JP2008277062A - 電池素子外装材、電池パック及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電池素子外装材は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル及びポリスチレンなどの重合体を含有する熱収縮フィルム17から成る。電池素子10の外形と近似する外形を有し、電池素子10を内部に封止する際に形成された溶着部を有する。 電池パックは、電池素子10と熱収縮フィルム17から成る電池素子外装材を有し電極端子15a、15bを外部に導出したまま電池素子外装材を封止して成る非水電解質二次電池と、形状維持ポリマーとフィラーを含み非水電解質二次電池を電池素子外装材ごと外装する電池外装材と、電池外装材に内蔵され非水電解質二次電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と、を備える。
【選択図】図2
Description
このような電池パックに用いられる電池としては、高容量を有するリチウムイオン二次電池がある。
金属缶に封入される場合には、深絞りによって成型された金属缶を用いるために缶の直方体の3辺のうち、深絞りする縦方向は長く作ることが難しい。よって、自ずと缶の厚みが厚いタイプの形状設計しかできず、サイズの大きな電池は製造できない。
更に、深絞りするために成型性に優れた金属しか投入できないため、強度を向上させることもできなかった。金属缶に封入された電池は注液後にヒートプレスすることができないので、事実上、ポリマー電池では金属缶を使用できなかった。
以上のことより、金属缶は体積エネルギー密度、サイズ、形状自由性がないこと、パックとしての強度の設計といった点で問題があった。
ここで、収納ケースは、ポリアミド、ポリウレタンなどの樹脂を溶融させて流し込む熱可塑性樹脂等から成り、例えば上下2つに分割され上ケースと下ケースとから構成される。収納ケースは、この上ケースと下ケースとを繋ぎ合わせることによって、内部にリチウムイオン二次電池と回路基板とを収納する空間を有する1つ筐体を形成する。
また、上下2つに分割された収納ケースを両面テープで繋ぎ合わせる場合、両面テープの厚みの分さらに電池パックの厚みが増してしまう。更に、分割された収納ケースを超音波溶着により繋ぎ合わせる際、超音波溶着する部分にある程度の厚みが必要となるため、電池パックが大きくなってしまう。
このように、従来の電池パックでは、収納ケースの肉厚を厚くせざるを得ず、全体が大型化され、重量が重くなってしまい、ポータブル電源に適さず用途が限られてしまう。
例えば、金属缶に封入された電池は既に分厚い金属缶に封入されているので機械的強度が十分であり、一体成型用の樹脂としては耐落下衝撃性を考慮して弾性に優れた樹脂を用いる必要がある。よって、硬い樹脂ではなく柔軟なゴム状の樹脂が注入される。
また、金属酸化物セラミックスを電池パックの外装材に用いることも考えられるが、金属酸化物セラミックは金属自体よりも硬さに優れるものの、脆性を有するので、外装に薄く密着させる加工技術に問題があった。
また、本発明の電池素子外装材の好適形態は、電池素子の外形と近似する外形を有し、この電池素子をその内部に封止する際に形成された溶着部を有することを特徴とする。
形状維持ポリマーとフィラーを含み、上記非水電解質二次電池を上記電池素子外装材ごと外装する電池外装材と、
この電池外装材に内蔵され、上記非水電解質二次電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と、を備え、
上記電池素子外装材の熱収縮フィルムが、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル及びポリスチレンから成る群より選ばれた少なくとも1種の重合体を含有する、ことを特徴とする。
形状維持ポリマーとフィラーを含み、上記非水電解質二次電池を上記電池素子外装材ごと外装する電池外装材と、
この電池外装材に内蔵され、上記非水電解質二次電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と、を備え、
上記電池素子外装材の熱収縮フィルムが、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル及びポリスチレンから成る群より選ばれた少なくとも1種の重合体を含有する電池パックを製造するに当たり、
上記非水電解質二次電池と上記保護回路基板を、上記電池外装材の成型用金型内に配置し、
次いで、上記形状維持ポリマーと上記フィラーを含有する後硬化成型材料を、上記成型用金型のキャビティ内に注入し、硬化させる、ことを特徴とする。
なお、ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィンとしてはポリエチレン及びポリプロピレンのいずれか一方又は双方の混合物が好適である。
よって、電池素子外装材を構成する熱収縮フィルムとしては、極性溶媒である電解液が漏液せず、電解液と反応しない材質であることが好ましく、特にポリオレフィン重合体を好ましく用いることができる。
なお、この電池素子外装材としては、外装の対象である電池素子の外形と近似する外形を有し、当該電池素子をその内部に封止する際に形成された溶着部を有するものが好ましい。
図1は、電池素子と電池素子外装材との外形関係を示す簡略的な平面説明図である。動ずに示すように、略矩形板状の外形を有する電池素子10(図1(A))に対し、電池素子外装材17もその平面形状は矩形をなしている(図1(B)〜(E))。
よって矩形体の4辺をシールするよりも(図1(B))、フィルムの1辺を折り返して3辺シールとすることが好ましい(図1(C))。更に好ましくは、筒状の治具を用いた押し出し成型により、上下に開放端部を有し左右の2辺が繋がっている筒状のフィルムの上下2辺をシールすることである(図1(D))。また、最も好ましくは、深絞りや押し出し成型などにより、3辺が繋がっているる袋状の外装材に電池素子を入れ、注液、減圧含浸後に、電極端子導出側の辺部を熱溶着することである(図1(E))。
通常、ポリマー型のリチウムイオン電池に用いられるアルミラミネートフィルムは、その厚みが80〜100μm程度である。通常1枚のアルミラミネートフィルムを電池のボトム部分で2つに折り返し、ボトム部分以外の3辺をシールする構成となっている。
電池素子外装材は、電池パックの強度にあまり貢献するものではなく、占有体積が小さいほどよいので、電池素子外装材の厚みが薄く、シール幅及びシール箇所が少ないほど体積エネルギー密度が向上するので好ましい。
なお、本発明においては、電池素子外装材のこのような特性から、図1に示したような例においても、電池素子外装材17には、電池素子10を収容するための特別な凹部を特に設ける必要もない。
これにより、電池素子の外形が異方性を持つ場合でも、電池素子外装材が熱収縮により外形と一体化する際に、各辺の収縮率の違いにより応力が生じたり、収縮により量産時に電池素子が破れるといった不良モードを防ぐという利点がある。
上述の如く、本発明の電池パックは、巻回型又は積層型の電池素子を上記の熱収縮フィルムから成る電池素子外装部材で包装した非水電解質二次電池と、この電池の保護回路基板を、後硬化樹脂である形状維持ポリマーとフィラーを含む電池外装材で包囲、具体的には、電池外装材が電池素子外装材ごと非水電解質二次電池と保護回路基板を内包するように一体的に成型して成るものである。
なお、形状維持ポリマーとしては、電池素子外装材である熱収縮フィルムとの密着性が良好で、寸法安定性や成型性に優れるものが好ましい。
かかる金属酸化物フィラーは、この電池外装材の硬さを向上する機能を果たし、上記形状維持ポリマーと接触した状態で配置される。例えば、この金属酸化物フィラーを上記形状維持ポリマーに混入してもよく、この場合、金属酸化物フィラーが形状維持ポリマーの全体に亘って均一に散在していることが好ましい。
具体的には、天然ゴムや加硫した合成ゴム、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル系、スチレン−ブタジエン系及びクロロプレン系などや、エボナイト、ウレタンゴム及びシリコンゴムを用いることができる。
(LiaKbNacCad)・AlO2・xSiO2・yH2O…(1)
(式中のa、b、c及びdは、それぞれ0≦a<1,0≦b<1、0≦c<1、0≦d<1、xは0.9≦x≦1.1の範囲内の値であり、yは零又は正の数を示す)で表されるゼオライトをフィラーとして用いることができ、これにより、電池外装材、ひいては電池パックの強度を向上できるとともに、水蒸気の透湿性を著しく低下させることが可能である。
上述のフィラーの平均粒径は、代表的には500nm(0.5μm)〜40μmであり、好ましくは2〜20μmである。
平均粒径を下げると硬度が上がる一方、成型時の充填性に影響して生産性に不具合をきたす虞がある。平均粒径を上げると所望の強度を得にくくなり、電池パックとしての寸法精度を十分に得ることができない虞がある。
なお、本発明においては、用途や材質に応じ、平均粒径の異なるフィラーを混合して用いることもできるし、形状の異なるフィラーを混合して用いることもできる。
3%未満では、この電池外装材の硬さを十分に向上できないことがあり、60%を超えると、製造時の成形性、金属酸化物の脆性により問題が発生することがある。
熱可塑性樹脂では、高温液状である間に被着材の表面を濡らし、冷えて固形化する過程で緊密な接着を数秒で作成できる利点がある。
しかし、樹脂の融点又はガラス転移温度よりも50〜150℃高い温度に加温されて流動性が発現するために、180℃〜450℃程度の高温に熱する必要がある。また、硬化が型に流し込んだ時点から始まるために成型厚みを薄くしようとした場合、非常に狭い隙間から広範囲の面積に、注入口付近では数秒で固まろうとする樹脂を流し込むプロセスになってしまう。樹脂を高温にして粘度を下げても、注入圧力を高めても、注入孔を増やしても、大面積で250μm以下の厚みに抑えたパックを作製することはできず、アルミニウム缶に比べても体積エネルギー密度に劣るパックしか製造できないという問題があった。
更に、かかる電池では、電解液が正極で酸化、負極で還元されるために、60℃以上の高温で保持するとガス発生により膨れが発生するる虞がある。
更にまた、漏液を防止すべくアルミラミネートで包装したポリマー電池において、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)などの物理ゲルを用いた場合には、80〜90℃でゲル溶融が起こり電池形状が変形する虞がある。
PTCであれば120℃までなら電気抵抗値が以前に近い値まで復帰するが、さらなる高温ではやはり電気を遮断したまま復帰しなくなる。温度ヒューズを用いた基板であれば、ヒューズの種類によるが90℃から130℃を一度超えてしまえばヒューズが作動、復帰しなくなってしまう虞がある。
これに対しては、金属フィラーを含有したエポキシ樹脂を用い、温度制御なしにパテを用いることが考えられる。
しかし、加熱処理を行わずにエポキシ樹脂を用いると、得られる外装材が強度に劣り、且つ目標とする強度にもよるが、反応時間(硬化時間)が少なくとも15分以上から通常1日超かかるために、生産効率が劣化する虞がある。
吸水率が0.2を超えると、ゼオライト等の水分吸収成分や後述する界面形成剤での水分侵入経路の遮断をもってしても、形状維持ポリマー自体が水分を保持し易くなってしまうため、電池外装材として水分遮断性を確保することが困難になり、電池素子内部に水分やガスが透過し、充電時に反応性の高いリチウム化合物と反応し、電解液の分解によるガス発生を引き起こしたり、発熱を招くことがある。
ここで、水蒸気の耐湿性は外装材の厚みに比例するので、電池外装材としては、従来用途よりも遥かに優れた低透湿性が要求されることになる。よって、従来の樹脂封止技術のそのままの転用では十分ではなく、本発明はこのような点も克服せんとするものである。
かかる界面形成剤としては、特に限定されるものではないが、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びアルミニウム(Al)などのフィラーの構成元素、特にその表面に存在する元素の少なくとも1つと同じ元素を核として持つカップリング剤、例えばシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤を挙げることができる。
R−M(OR’)3…(2)
(式中のRは、アミノプロピル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基、メルカト基及びビニル基などの官能基、MはSi、Ti又はAl、R’はメチル基又はエチル基を示す)で表され、特にケチミン官能基を有するシランカップリング剤が有用である。
また、ケチミン(ketimines)というケトンから誘導されるイミンについても、同様の界面形成剤としての機能があることを、本発明者らは知見した。なお、かかるケチミンは、次の一般式(3)
R2C=NR’…(3)
(式中のR、R’はそれぞれ別個に有機基を示し、Rは水素原子ではない)で表される。
例えば、本発明の電池外装材は、低透湿性であり、通常は、その水蒸気透過度が40℃、90%RHの条件下で1.0g/(m2・24h)以下であり、典型的には、0.3g/(m2・24h)以下である。
厚みが1000μmを超えると、この外装材を用いて製造した電池パックでも、体積エネルギー密度の点でメリットを発揮し難いことがある。
更に好ましくは300um以下であり、必要な機械的強度及び耐衝撃性を満たせば薄いほど良い。
また、厚くすれば、従来よりも更に高強度で信頼性の高い電池パックを得ることができる。更に、電池のサイズや形状選択が自由であることから、サイズが大きい自転車や自動車、バックアップ電源といった大型電池にも適用でき、必要な部位に必要な強度を設計できる設計自由度も持っている。
また、上述のようなフィラーとともに紫外線吸収材、光安定剤及び硬化剤のいずれかを用い、アクリル樹脂、エポキシ樹脂のいずれかを用いることにより、従来使用されていた金属板よりも薄く、生産性に優れた加工を施すことができるため、得られる電池のエネルギー密度が向上するだけでなく、多種多様な用途に応じサイズや形状、必要な強度を自由に設計したパックを提供できる。
図2は、本発明の電池パックの一実施形態において、電池素子外装材で電池素子を外装する前の非水電解質二次電池を示す分解斜視図である。
同図において、この電池20は、電池素子10が電池素子外装部材の一例である熱収縮フィルム17に外装されて作製されるものであり、電池素子10は熱収縮フィルム17に形成された凹部17a(空所17a)に収容され、その周辺部を封止される。
なお、本実施形態において、空所17aは、矩形板状をなす電池素子10の形状に対応して矩形板状の空間を有している。
図3は、熱収縮フィルム17に外装・収容される電池素子10の構造を示す斜視図である。同図において、この電池素子10は、帯状の正極11と、セパレータ13aと、正極11と対向して配された帯状の負極12と、セパレータ13bとを順に積層し、長手方向に巻回して形成されており、正極11及び負極12の両面にはゲル状電解質14が塗布されている。
[正極]
正極は、正極活物質を含有する正極活物質層が正極集電体の両面状に形成されたものである。正極集電体は、例えばアルミニウム(Al)箔などの金属箔により構成される。
正極活物質層は、例えば正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成される。ここで、正極活物質、導電剤、結着剤及び溶剤は、均一に分散していればよく、その混合比は問われない。
LiXMO2…(4)
(式中のMは少なくとも1種の遷移金属を示し、Xは電池の充放電状態によって異なるが、通常は0.05〜1.10である)で表されるリチウムと遷移金属との複合酸化物が用いられる。なお、リチウム複合酸化物を構成する遷移金属(M)としては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及びマンガン(Mn)等が用いられる。
また、遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体も使用可能である。LiNi0.5Co0.5O2やLiNi0.8Co0.2O2等がその例として挙げられる。
これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。更に、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2及びV2O5等のリチウムを有しない金属硫化物又は酸化物を使用してもよい。これらの正極活物質は、単独で又は複数種を混合して用いてもよい。
負極は、負極活物質を含有する負極活物質層が、負極集電体の両面上に形成されたものである。負極集電体は、例えば銅(Cu)箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
具体的にリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料としては、グラファイト、難黒鉛化炭素及び易黒鉛化炭素等が挙げられる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、及び活性炭等の炭素材料を使用することができる。
更に、リチウムをドープ・脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することができる。
また、正極端子15a及び15bの接続箇所は、電気的接触がとれているのであれば取り付ける場所、取り付ける方法は上記の例に限られない。
電解液としては、リチウムイオン電池に一般的に使用される電解質塩と非水溶媒が使用可能である。
リチウム塩を溶解する濃度は、上記非水溶媒に溶解することができる濃度であれば問題はないが、リチウムイオン濃度が非水溶媒に対して0.4mol/kg〜2.0mol/kgの範囲であることが好ましい。
マトリクスポリマは、上記非水溶媒に上記電解質塩が溶解されてなる非水電解液に相溶可能であり、ゲル化できるものであればよい。このようなマトリクスポリマとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、及びポリメタクリロニトリルを繰り返し単位に含むポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
かかるポリマーは、通常、数平均分子量が5.0×105〜7.0×105(50万〜70万)の範囲であるか、又は重量平均分子量が2.1×105〜3.1×105(21万〜31万)の範囲にあり、固有粘度が1.7〜2.1dl/gの範囲にある。
セパレータは、例えばポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系の材料から成る多孔質膜、又はセラミック製の不織布などの無機材料から成る多孔質膜により構成され、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造としてもよい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンの多孔質フィルムが最も有効である。
上述のようにして作製したゲル状電解質溶液を正極11及び負極12に均一に塗布し、正極活物質層及び負極活物質層に含浸させた後、常温で保存するか、若しくは乾燥工程を経てゲル状電解質層14を形成する。
次いで、ゲル状電解質層14を形成した正極11及び負極12を用い、正極11、セパレータ13a、負極12,セパレータ13bの順に積層して巻回し、電池素子10とする。
次いで、この電池素子10を熱収縮フィルム17の凹部(空所)17aに収容して外装し、ゲル状非水電解質二次電池を得る。
かかる熱収縮フィルムとしては、上述の如く、電解液が漏液せず、電解液と反応しないものがよい。
上述の如く、本発明の電池パックの製造方法では、以上のようにして作製した非水電解質二次電池を、当該電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と一緒に、成型用金型のキャビティの所定位置に配置する。
次に、上記形状維持ポリマーとフィラーを含有する溶融成型材料を上記キャビティに注入して硬化させ、これにより、電池外装材を装着した電池パックを得る。
本発明では、かかる余剰の成型材料をトリミングして削除するが、若干の樹脂注入痕が残る。
具体的には、図1において、矩形板状をなす電池20のいずれか一方の短辺側又は双方の短辺側に配置される。
そして、このように配置された保護回路基板と緩衝材は、上記成型材料によって電池20と一体的に成型される。
このため、緩衝材に使用する材料としては、耐衝撃性を有し寸法精度の良好なポリカーボネートやアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂や、アルミやステンレス等の金属を用いたり、樹脂材料にアルミ等の金属材料をインサート成型したものを用いることが好ましい。
具体的には、天然ゴム、加硫した合成ゴム、例えばポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル系、スチレン−ブタジエン系、クロロプレン系などやエボナイト、ウレタンゴム、シリコンゴムを用いることができる。
まず、必要に応じて電池20を図中の破線に沿って折り曲げ(図4(A)及び(B))、そのトップ側に保護回路基板32とトップ側緩衝材34、ボトム側にボトム側緩衝材33を配置し、図示しない成型用金型に設置する。次いで、上記の形状維持ポリマーとフィラーを含む成型材料を成型用金型に注入して硬化させ、熱収縮フィルム17が電池外装材18で被覆された本実施形態の電池パックを30を得る(図4(C))。
得られた電池パック30をボトム部に沿って切断した断面図を図5(A)に、電極端子の延在方向に沿って切断した断面図を図5(B)に示す。
より具体的には、矩形板状をなす電池素子10の周囲の3辺を溶着して封止した後、残りの1辺の開口部から電解液を注液し、その後にこの1辺を溶着して封止すればよい。これにより、封止部の全体形状は矩形枠状になる。
図2に示すような電池において、表1及び表2に示す仕様の熱収縮フィルムの内面側に接着剤を塗布した電池素子外装材(熱収縮フィルム17)を有する電池20を準備し、この非水電解質二次電池の保護回路として機能する基板に接続し、場合によっては緩衝材(ゴム状パーツ)を配置した後に金型内に設置した。
次いで、表1及び表2に示すフィラーを含む樹脂(形状維持ポリマー)を金型上部の0.5mmの径を持つ樹脂注入孔3つから注入して充填し、下部の樹脂排出孔3つから余分の金属酸化物フィラーを含む樹脂が出た時点で常温放置、恒温槽内で表1及び表2中に示した温度で静置、又は透明な型を用い、紫外線照射装置により365nmの紫外光を照射して樹脂を硬化させて電池外装材18を形成した(図4及び図5参照)。硬化後樹脂注入孔及び排出孔に残った余分な枝状の樹脂を切断して各例の電池パックを完成した。
各例の電池パックの仕様を表1及び表2に示す。
各例の電池パックについて、以下に示すような電池外装材硬化後の吸水率、透湿度、定格エネルギー密度、保存後の膨れ、落下試験、硬化時間などを測定し、得られた結果を表1及び表2に併記した。
JIS−K7209 プラスチック−吸水率の求め方に基づき測定した。
JIS−K7129 プラスチックフィルム及びシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定法)の求め方に基づき測定した。
まず、23℃で1Cの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで15時間行い、次いで、1Cの定電流放電を終止電圧2.5Vまで行った。この充放電を繰り返し、定格エネルギー密度は、1サイクル目の放電容量から求めた。
定格エネルギー密度[Wh/l]=(平均放電電圧[V]×定格容量[Ah])/電池体積[l]
なお、1Cは電池の理論容量を1時間で放出できる電流値を表す。
まず、23℃で1Cの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで15時間行い、満充電状態での電池パックの厚みを計測した。次いで、試験温度40±0.5℃、相対湿度差(90±2%)RHに設定した高温高湿槽内に電池パックを保管し、3ヶ月経過後に高温高湿槽より取り出し、再度厚みを計測した。保管前後の厚みの差を膨れとして表に記載した。
ランダムに電池の落とす面を変えながら、角形電池6面全ての面が当たるようにコンクリートの床に自由落下させた。10回落としてパックの外観に異常が見られなかったものを良品、割れたり、部品が取れるなどの外観に異常が見られたものを不良品とした。
熱硬化性樹脂の場合には、電池外装材18用の成型材料であるケイ素やアルミニウム等の金属酸化物を含むウレタン樹脂、アクリル樹脂又はエポキシ樹脂を一緒に成型金型に入れて、表1,2に示した所定の硬化温度に保ち、成型硬化させるのに要した時間を硬化時間とした。
紫外線硬化樹脂の場合は、電池外装材18用の成型材料であるケイ素やアルミニウム等の金属酸化物を含むウレタン樹脂、アクリル樹脂又はエポキシ樹脂を一緒に透明な成型金型に入れて、紫外線照射装置により波長365nmの紫外線を照射強度200mW/cm2で照射して成型硬化させるのに要した時間を硬化時間とした。
更に、電池外装材に用いるフィラーの一部としてゼオライトを用いたり、ケチミン等の界面形成剤を用いることで、更なる交代積エネルギー密度、高信頼性を両立できることが明らかとなった。
例えば、本発明の電池パックは、図2などに示した電池や電池素子のみならず、各種のゲル状ないしはポリマー型の非水電解質二次電池に適用することができ、巻回型電池素子のみならず、積層型の電池素子にも適用することができる。
Claims (16)
- ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル及びポリスチレンから成る群より選ばれた少なくとも1種の重合体を含有する熱収縮フィルムから成ることを特徴とする電池素子外装材。
- 上記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであり、上記ポリオレフィンがポリエチレン及び/又はポリプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載の電池素子外装材。
- 電池素子の外形と近似する外形を有し、この電池素子をその内部に封止する際に形成された溶着部を有することを特徴とする請求項1に記載の電池素子外装材。
- 上記電池素子の外形が角柱状又は円柱状をなし、当該電池素子外装材がそれぞれ角筒状の成型口又は円柱状の成型口から原料重合体を押出し又は射出して成型されたことを特徴とする請求項3に記載の電池素子外装材。
- 正極と負極をセパレータを介して巻回又は積層して成る電池素子と、熱収縮フィルムから成りこの電池素子を外装する電池素子外装材を有し、上記正極と上記負極の電極端子を外部に導出したまま、上記電池素子の周囲に沿って上記電池素子外装材を封止して成る非水電解質二次電池と、
形状維持ポリマーとフィラーを含み、上記非水電解質二次電池を上記電池素子外装材ごと外装する電池外装材と、
この電池外装材に内蔵され、上記非水電解質二次電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と、を備え、
上記電池素子外装材の熱収縮フィルムが、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル及びポリスチレンから成る群より選ばれた少なくとも1種の重合体を含有する、ことを特徴とする電池パック。 - 上記電池外装材が矩形板状をなし、この矩形板状をなす電池外装材において、上記電極端子側の辺部及びこれと対向する辺部の少なくとも一方に、緩衝材が内蔵されていることを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
- 上記形状維持ポリマーが、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂から成る群より選ばれた少なくとも1種の樹脂を含有することを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
- 上記フィラーがゼオライトを含むことを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
- 上記ゼオライトが、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)及びカルシウム(Ca)から成る群より選ばれた少なくとも1種の元素のカチオンを含み、且つアルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)のモル比(Si/Al)が0.9〜1.1であり、細孔入り口が8員酸素環のA型構造を有するゼオライトであることを特徴とする請求項8に記載の電池パック。
- 上記電池外装材が上記形状維持ポリマーと上記フィラーとの界面形成剤を含み、この界面形成剤は、上記フィラーに含まれる構成元素の少なくとも1つと同じ元素を核として持つことを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
- 上記界面形成剤が、カップリング剤であり、ケチミン官能基を有することを特徴とする請求項10に記載の電池パック。
- 上記電池外装材が、上記形状維持ポリマーとフィラーの溶融液の注入痕を有することを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
- 上記電池外装材の吸水率が0.2以下であることを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
- 上記電池外装材は低透湿性であり、その水蒸気透過度が40℃、90%RHの条件下で1.0g/(m2・24h)以下であることを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
- 正極と負極をセパレータを介して巻回又は積層して成る電池素子と、熱収縮フィルムから成りこの電池素子を外装する電池素子外装材を有し、上記正極と上記負極の電極端子を外部に導出したまま、上記電池素子の周囲に沿って上記電池素子外装材を封止して成る非水電解質二次電池と、
形状維持ポリマーとフィラーを含み、上記非水電解質二次電池を上記電池素子外装材ごと外装する電池外装材と、
この電池外装材に内蔵され、上記非水電解質二次電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と、を備え、
上記電池素子外装材の熱収縮フィルムが、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル及びポリスチレンから成る群より選ばれた少なくとも1種の重合体を含有する電池パックを製造するに当たり、
上記非水電解質二次電池と上記保護回路基板を、上記電池外装材の成型用金型内に配置し、
次いで、上記形状維持ポリマーと上記フィラーを含有する後硬化成型材料を、上記成型用金型のキャビティ内に注入し、硬化させる、ことを特徴とする電池パックの製造方法。 - 上記成型用金型のキャビティは2個以上のゲートを有し、これに起因して上記電池外装材に形成される成型材料余剰分を、上記硬化後に切除することを特徴とする請求項15に記載の電池パックの製造方法。
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