JP2008260840A - 水系コーティング剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性、滑り性がより一層改善された水系のコーティング剤を提供する。
【解決手段】(A)特定のポリジオルガノシロキサンと、(B)特定のポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、(C)硬化触媒と、(D)塩素化ポリオレフィンおよび/またはアクリル変性ポリオレフィンと、(E)分子量2,000,000以上の超高分子量ポリエチレン微粒子を含有する水系コーティング剤組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)特定のポリジオルガノシロキサンと、(B)特定のポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、(C)硬化触媒と、(D)塩素化ポリオレフィンおよび/またはアクリル変性ポリオレフィンと、(E)分子量2,000,000以上の超高分子量ポリエチレン微粒子を含有する水系コーティング剤組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、水系コーティング剤組成物に係わり、特に、保存安定性が良好で可使時間が長く、ゴム、プラスチックなどの基材の表面を処理することにより、非粘着性、撥水性、滑り性などが良好で、基材との密着性(接着性)および耐摩耗性に優れた被膜を形成することができる水系コーティング剤組成物に関する。
従来から、自動車用ウェザーストリップとして使用されているエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)ゴムや各種ゴム製品には、その表面に非粘着性、撥水性、耐摩耗性、滑り性などを付与するため、各種のポリオルガノシロキサン組成物からなるコーティング剤を塗布することが行われている。
このようなコーティング剤としては、例えば、末端に水酸基を持つポリジオルガノシロキサンに、ケイ素原子に結合した水素原子を有するポリオルガノシロキサンおよび/またはオルガノアルコキシシランと硬化触媒とを加えた組成物などが知られている。
しかしこれらのコーティング剤組成物は、通常有機溶剤を含む溶液であるため、安全・衛生上の問題や引火性に起因する取扱い上の問題があるばかりでなく、自然環境に与える影響が大きいという問題があった。そのため、有機溶剤を使用しない水系エマルジョンタイプのコーティング剤の開発が求められていた。
しかしながら、有機溶剤希釈型のコーティング剤をそのまま水系に適用した場合、被膜の耐久性、密着性(接着性)などが十分に得られなかった。また、シラン成分が水と反応し、水系化が困難である、あるいは接着性の良好な被膜が得られないなどの問題があった。
一方、エマルジョンタイプのシリコーン系コーティング剤として、各種のシロキサン化合物を組み合わせて配合した組成物が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
また、密着性や耐摩耗性を改善するために、脱アルコール縮合タイプのシリコーン系水性エマルジョンに、無水マレイン酸基を有する塩素化ポリオレフィンを配合したコーティング剤(例えば、特許文献2参照)や、脱水素縮合タイプのシリコーンエマルジョンに、特定の密着性向上成分(アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、カルボン酸など)を配合したコーティング剤(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
さらに、架橋剤成分としてオルガノトリアルコキシシランを有し、密着性向上成分としてアミド基およびカルボキシル基含有オルガノトリアルコキシシラン、エポキシ基含有トリアルコキシシランをそれぞれ有する脱アルコール縮合タイプのコーティング剤が提案されている。(例えば、特許文献4参照)
また近年、これらのコーティング剤に、滑り性向上成分として球状シリコーンエラストマー微粒子を配合することも提案されている。そして、球状シリコーンエラストマー微粒子として、分子中にビニル基を含有するポリオルガノシロキサンとポリオルガノハイドロジェンロキサンを界面活性剤により水中に乳化し、触媒として白金化合物を加えてヒドロシリル化反応を生起させて架橋・硬化したものが考えられている。(例えば、特許文献5参照)
しかしながら、特許文献1に記載されたエマルジョンタイプのコーティング剤においては、被膜の密着性や耐摩耗性が十分でなく、またソリッド系およびそれに近いゴム材料に対して、接着性や被膜強度が十分に発現しないという問題があった。さらに、エマルジョンの保存安定性や各成分配合後の可使時間が十分ではないという問題があった。
また、特許文献2に記載されたコーティング剤においては、主成分のシリコーンが脱アルコール縮合タイプであり、被膜の密着性や耐摩耗性が十分ではなかった。
また、特許文献3に記載されたコーティング剤においても、均一塗布性、非粘着性、撥水性、滑り性、基材との密着性などに対する効果が必ずしも十分でなく、さらなる改善が求められていた。
さらに、特許文献4に記載されたコーティング剤においては、被膜の密着性や耐摩耗性が十分ではなく、さらには触媒存在下で加水分解性を有するシランを配合させるために、配合方法や配合後の可使時間に問題があった。
またさらに、特許文献5に記載された球状シリコーンエラストマー微粒子を配合したコーティング剤においては、保存安定性が悪く、短時間でハードケーキを形成するため可使時間が短く、しかも被膜の耐摩耗性も悪いという問題があった。
そこで、本願出願人は、特定のシリコーンポリマー、塩素化ポリオレフィンなどのエマルジョンと、金属系の硬化触媒を含まない球状シリコーンエラストマー微粒子をそれぞれ配合した、優れた特性を有する水系のコーティング剤を提案した(特許文献6)。
特開平8−245882号公報
特開2001−207106公報
特開2002−188057公報
特開2003−155411公報
特開平3−93834号公報
特開2006−182936号公報
特許文献6によれば、基材表面の処理剤として、特にEPDMなどのゴムシートおよびモールド成形体基材への水系コーティング剤として、保存安定性、均一塗布性、非粘着性、撥水性、可使時間および滑り性に優れ、基材に対する密着性、耐摩耗性が改善されたコーティング剤が得られる。
しかしながら、更に検討を進めた結果、用途によっては、より一層の耐摩耗性、滑り性が要求されることがあり、特許文献6のコーティング剤では要求性能を満足できない場合があった。
しかしながら、更に検討を進めた結果、用途によっては、より一層の耐摩耗性、滑り性が要求されることがあり、特許文献6のコーティング剤では要求性能を満足できない場合があった。
本発明者らは、耐摩耗性、滑り性がより一層改善されたコーティング剤を得るべく鋭意検討した結果、特定のシリコーンポリマー、塩素化ポリオレフィンなどのエマルジョンと、超高分子量ポリエチレン微粒子をそれぞれ配合することにより、優れた特性を有する水系のコーティング剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水系コーティング剤組成物は、
(A)25℃における粘度が50〜10,000,000mPa・sの両末端が水酸基で閉塞されたポリジオルガノシロキサンと、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
(C)硬化触媒と、
(D)塩素化ポリオレフィンおよび/またはアクリル変性ポリオレフィンと、
(E)分子量2,000,000以上の超高分子量ポリエチレン微粒子をそれぞれ含有することを特徴とする。
(A)25℃における粘度が50〜10,000,000mPa・sの両末端が水酸基で閉塞されたポリジオルガノシロキサンと、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
(C)硬化触媒と、
(D)塩素化ポリオレフィンおよび/またはアクリル変性ポリオレフィンと、
(E)分子量2,000,000以上の超高分子量ポリエチレン微粒子をそれぞれ含有することを特徴とする。
本発明の水系コーティング剤組成物は、滑り性向上成分として、超高分子量ポリエチレン微粒子を含有しているので、組成物自体の保存安定性が良好で可使時間が長いうえに、ゴム、プラスチックから成る基材、特に発泡または非発泡のEPDMゴムから成る基材に対して、極めて接着性に優れかつ良好な滑り性、非粘着性、撥水性などを有する硬化被膜を形成することができる。また、この硬化被膜は、摩擦係数が低く耐摩耗性に優れている。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態の水系コーティング剤組成物は、(A)25℃における粘度が50〜10,000,000mPa・sの両末端が水酸基で閉塞(あるいは封鎖)されたポリジオルガノシロキサンと、(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、(C)硬化触媒と、(D)塩素化ポリオレフィンおよび/またはアクリル変性ポリオレフィン、および(E)分子量2,000,000以上の超高分子量ポリエチレン微粒子をそれぞれ含有する。
本発明の実施形態に使用される(A)成分の両末端水酸基閉塞ポリジオルガノシロキサンは、分子の両末端にケイ素原子に結合した水酸基を有し、その反応性によって硬化反応に関与するものである。
ポリジオルガノシロキサン中のケイ素原子に結合した有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基のようなアルキル基;ビニル基、プロペニル基のようなアルケニル基;フェニル基のようなアリール基;フェネチル基のようなアラルキル基;およびこれらの炭化水素基の水素原子の一部がハロゲン原子、ニトリル基などで置換されたものが例示される。合成のしやすさ、硬化後の被膜の物性とのかね合いなどから、メチル基が好ましい。
このような両末端水酸基閉塞ポリジオルガノシロキサンの粘度は、25℃において50〜10,000,000mPa・sであり、好ましくは1,000〜2,000,000mPa・sである。50mPa・s未満では硬化後の被膜が脆くなり、また10,000,000mPa・sを超えると安定したエマルジョンを得ることが困難である。
(A)成分として使用されるポリジポリオルガノシロキサンは、25℃における粘度が上記範囲内であれば良く、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。さらに、直鎖状のポリシロキサンであることが好ましいが、部分的に分岐や網構造があっても良い。また、粘度が100,000mPa・s以上である場合には、安定なエマルジョンを得るために、公知の乳化重合により製造することが好ましい。
本発明に使用される(B)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、(A)成分の両末端水酸基閉塞ポリジオルガノシロキサンと脱水素縮合反応して網状構造を形成するために、ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するものである。
分子中のケイ素原子に結合した有機基としては、前記した(A)成分のケイ素原子に結合した有機基と同様なものが例示される。このようなポリオルガノハイドロジェンシロキサンのシロキサン鎖は、直鎖状、分岐状および環状のいずれでも良い。
(B)成分の配合量は、前記(A)100重量部に対して0.5〜20重量部とすることが好ましい。0.5重量部未満では、硬化速度が遅すぎて連続被膜を形成することが難しく、また20重量部を超えると、硬化被膜が脆くなり好ましくない。
本発明に使用される(C)成分の硬化触媒は、(A)成分の両末端水酸基閉塞ポリジオルガノシロキサンの水酸基と、(B)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンのSi−H結合との間の脱水素縮合反応を促進する触媒である。このような硬化触媒としては、金属脂肪酸塩、アミン類、第4アンモニウムヒドロキシド類などが挙げられる。これらのものを併用しても良い。
金属脂肪酸塩としては、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレエート、ジブチルスズジステアレート、トリブチルスズアセテート、トリブチルスズオクトエート、トリブチルスズラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジエチルスズジオレエート、モノメチルスズジオレエートのように金属原子に直接結合した有機基をもつもの、およびオクテン酸亜鉛、オクテン酸鉄、オクテン酸スズのように金属原子に直接結合した有機基を持たないものが例示される。
アミン類としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチルテトラアミンのような有機アミン;α−アミノプロピルトリエトキシシランのようなアミノ基を有するシラン化合物やそれらの塩が例示される。第4アンモニウムヒドロキシド類としては、テトラメチルアンモニウム、ジメチルベンジルアンモニウムおよびそれらの塩が例示される。
(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が好ましい。0.1重量部未満では、硬化速度が遅すぎて連続被膜を形成することが難しく、また10重量部を超えると、組成物の安定性が悪くなり好ましくない。
実施形態では、前記(A)成分と(B)成分および(C)成分を含有するエマルジョンに、後述する(D)成分あるいはそのエマルジョンを配合してエマルジョンを調製することができる。
(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有するエマルジョンの調製方法としては、適当な乳化剤を用いて(A)成分〜(C)成分の各成分を単独でエマルジョン化したものを混合しても良いし、あるいは2種または3種の成分を混合した後、エマルジョン化しても良い。エマルジョンは、適宜、既存の機械乳化あるいは乳化重合により製造したものを用いることができる。
本発明の実施形態において、(D)成分である塩素化ポリオレフィンおよび/またはアクリル変性ポリオレフィンは、組成物から得られる被膜の接着性(密着性)を向上させるために配合される成分である。塩素化ポリオレフィンとしては、反応基として無水マレイン酸基を有する塩素化ポリオレフィンを使用することができる。また、アクリル変性ポリオレフィンとしては、反応基として無水マレイン酸基とアクリル基をそれぞれ有する無水マレイン酸・アクリル変性ポリオレフィンを使用することができる。このような塩素化ポリオレフィンとアクリル変性ポリオレフィンの少なくとも一方を配合することにより、本発明のコーティング剤組成物から得られる被膜に、ゴムに対する優れた接着性と耐摩耗性を付与することができる。また、このコーティング剤組成物は各成分配合後の安定性にも優れているので、長い可使時間が可能となる。
(D)成分である塩素化ポリオレフィンおよび/またはアクリル変性ポリオレフィンは、いずれもエマルジョンの形態のものを配合することが好ましい。塩素化ポリオレフィンのエマルジョンおよびアクリル変性ポリオレフィンのエマルジョンについて、塩素含有量やベースとなる塩素化ポリオレフィン樹脂の分子量、アクリル変性量(含有量)、およびベースとなるポリオレフィンの分子量などに特に制限はないが、入手のし易さから、反応基として無水マレイン酸基を有する無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィンのエマルジョン、および反応基として無水マレイン酸基とアクリル基をそれぞれ有するポリオレフィンである無水マレイン酸・アクリル変性ポリオレフィンをそれぞれ使用することが望ましい。
特に、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィンエマルジョンとしては、分子量が10,000〜200,000で、塩素含有量が5〜35重量%で、無水マレイン酸基含有量が0.1〜30重量%である変性塩素化ポリオレフィンを、乳化(エマルジョン化)したものが好ましい。また、無水マレイン酸アクリル変性ポリオレフィンエマルジョンとしては、分子量が10,000〜200,000で、アクリル基含有量が5〜35重量%で、無水マレイン酸基含有量が0.1〜30重量%である変性ポリオレフィンを乳化したものが好ましい。
このような(D)成分の含有量は、(A)両末端が水酸基で閉塞されたポリジオルガノシロキサン100重量部に対して5〜150重量部、より好ましくは50〜100重量部とする。(D)成分の含有量を上記範囲に限定したのは、5重量部未満であると、配合目的であるゴム基材との接着性向上および耐摩耗性の付与を十分に達成することができず、一方50重量部を超えて配合しても、ゴム基材との接着性向上および耐摩耗性付与の効果が飽和し、かえって耐候性など他の特性が低下するためである。
(E)成分である分子量2,000,000以上の超高分子量ポリエチレン微粒子としては、粒子径10〜30μmのものが好ましい。分子量2,000,000未満では、本発明が目的とする耐摩耗性、滑り性向上が不十分なことがある。粒子径が上記範囲をはずれる場合も同様である。
微粒子形状は球状が好ましいが、真球状である必要性はない。
このような超高分子量ポリエチレン微粒子としては、市販品として商品名等:ミペロンXM−220、ミペロンXM−221U、ミペロンPM−200(以上、三井化学株式会社製)が挙げられる。
微粒子形状は球状が好ましいが、真球状である必要性はない。
このような超高分子量ポリエチレン微粒子としては、市販品として商品名等:ミペロンXM−220、ミペロンXM−221U、ミペロンPM−200(以上、三井化学株式会社製)が挙げられる。
(E)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して5〜150重量部、より好ましくは30〜75重量部である。(E)成分の配合量を上記範囲に限定したのは、5重量部未満であると、被膜の滑り性が劣り、反対に150重量部を超えると塗装性が悪化し、また粒子の凝集により被膜にざらついた触感が生じ好ましくないためである。
本発明の実施形態においては、ゴム基材表面などに対する濡れ性を向上させ、コーティングの際の寄りや弾きを防止する成分として、アルキルアミンオキサイドを、エマルジョンに対する固形分比で0.5〜10重量%の範囲で添加することができる。なお、アルキルアミンオキサイドはジメチルアルキルアミンオキサイドに代表され、アルキル基としては、ラウリル基、ミリスチル基、ヤシ油等の天然油脂変性基などが例示される。
また、実施形態の水系コーティング剤組成物には、さらに密着性を向上させるために、非水溶性アミノ基含有ポリオルガノシロキサンを含有するエマルジョンを添加することができる。非水溶性アミノ基含有ポリオルガノシロキサンの添加量は、塗布効率や塗布性の点から、成分濃度がエマルジョン組成物の固形分の3〜50重量%になるように、水で調整することが望ましい。
本発明の水系コーティング剤組成物を塗布するには、紙、ゴム、プラスチック、金属などから成る基材の表面に、ディップコート、スプレーコート、刷毛塗り、ナイフコート、ロールコートなどの方法によって塗布する。次いで、室温で数時間放置するか、あるいは基材の耐熱性の度合いに応じて適宜加熱を行い、塗膜を硬化させる。加熱条件は、基材が紙の場合には120〜180℃の温度で10〜30秒間、基材がゴムの場合には80〜180℃の温度で1〜5分間、プラスチックの場合には70〜150℃の温度で30秒〜2分間とすることが好ましい。
また、本発明の実施形態においては、上記組成物の基材との接着性を向上させるために、各種シランカップリング剤の単体あるいは混合物をそのままであるいは部分縮合させて添加しても良い。
さらに、実施形態においては、上記組成物の耐候性を向上させる目的で無機系、有機系の紫外線吸収剤を、滑り性をさらに向上させる目的で高粘度のポリジメチルシロキサンを、つや消し性と滑り性を向上させる目的で、平均粒径0.01〜100μm程度のポリアルキルシルセスキオキサン、ポリカーボネート樹脂等の有機フィラーあるいは無機フィラーを、着色する目的で無機顔料などを、それぞれ本発明の趣旨を変えない範囲で添加することができる。また必要に応じて、増粘剤、消泡剤、防腐剤を適宜配合することは任意である。
本発明の実施形態の水系コーティング剤組成物は、各種基材の表面を処理した場合に、従来のシリコーン組成物による処理方法に比べて、均一塗布性に優れ、基材に対して接着性(密着性)、耐摩耗性に優れた硬化被膜を与える。特に、従来の非粘着性被膜形成用シリコーン組成物では十分な密着性が得られなかったゴム、プラスチック基材、特に発泡EPDMゴムから成る基材に対して、優れた密着性、耐摩耗性を持つ硬化被膜を形成する。
さらに、常温ないし比較的低温で硬化被膜を形成するので、耐熱性の低い基材や大型で加熱処理のしにくい基材に対しても処理が可能であり、他の物質に対する非粘着性が良好で、撥水性を有しかつ優れた耐摩耗性を有する硬化被膜を形成する。
したがって、本発明の水系コーティング剤組成物は、EPDMゴムなどが使用される用途、例えば自動車用ウェザーストリップ、プリンターブレード、防振ゴム、建材用ガスケット等のゴム部品の表面処理剤として、好適に使用することができる。さらに本発明の水系コーティング剤組成物は、ゴム、プラスチックをはじめ各種基材に、非粘着性で撥水性を付与する場合に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、粘度などの物性値は全て25℃、相対湿度50%での値を示し、表1中、部とあるのはいずれも重量部を表す。
実施例1〜7および比較例1〜3
表1に示す組成の各成分を同表に示す上から順に配合し、コーティング剤組成物を調製した。そして、このときの配合性を調べた。
次いで、得られた水系コーティング剤組成物を、発泡EPDMゴムのシートの表面に、スプレーガンを用い、硬化被膜の膜厚が10μmになるように塗布した。そのときの発砲EPDMゴムシートに対するコーティング剤組成物の濡れ性を調べた。その後、塗布膜から水を揮散させた後、150℃のオーブンで10分間加熱乾燥させ、硬化被膜を形成した。
実施例1〜7および比較例1〜3
表1に示す組成の各成分を同表に示す上から順に配合し、コーティング剤組成物を調製した。そして、このときの配合性を調べた。
次いで、得られた水系コーティング剤組成物を、発泡EPDMゴムのシートの表面に、スプレーガンを用い、硬化被膜の膜厚が10μmになるように塗布した。そのときの発砲EPDMゴムシートに対するコーティング剤組成物の濡れ性を調べた。その後、塗布膜から水を揮散させた後、150℃のオーブンで10分間加熱乾燥させ、硬化被膜を形成した。
このように表面処理された発泡EPDMゴムシートについて、硬化被膜の耐溶剤性、摩擦係数、耐摩耗性をそれぞれ調べた。結果を表1に示す。なお、被膜の耐溶剤性、摩擦係数および耐摩耗性は、それぞれ以下に示す方法で調べた。
[耐溶剤性]
ヘキサンを含浸させたワイピングペーパーで、被膜表面を30往復摩擦し、摩擦後の状態を調べた。
[摩擦係数]
コーティングしたゴム表面に、幅10mm、長さ100mmのガラス板を置き、200gの荷重をかけてガラス板を900mm/min.の速度で移動させ、そのときに得られる引っ張り応力により動摩擦係数を求めた。なお、最大静止摩擦係数はガラス板が動き出すときの値である。
[耐摩耗性]
厚さ2mm、幅20mmで接触面が曲面加工された図1に示すガラス板を摩耗子として用い、これを400gの荷重で押し付け、15cmの間隔を60回/min の速度で往復させる摩耗性試験を行なった。耐摩耗性は、ゴム表面が摩耗により擦り切れた時の往復回数により評価した。
成物を調製した。
[耐溶剤性]
ヘキサンを含浸させたワイピングペーパーで、被膜表面を30往復摩擦し、摩擦後の状態を調べた。
[摩擦係数]
コーティングしたゴム表面に、幅10mm、長さ100mmのガラス板を置き、200gの荷重をかけてガラス板を900mm/min.の速度で移動させ、そのときに得られる引っ張り応力により動摩擦係数を求めた。なお、最大静止摩擦係数はガラス板が動き出すときの値である。
[耐摩耗性]
厚さ2mm、幅20mmで接触面が曲面加工された図1に示すガラス板を摩耗子として用い、これを400gの荷重で押し付け、15cmの間隔を60回/min の速度で往復させる摩耗性試験を行なった。耐摩耗性は、ゴム表面が摩耗により擦り切れた時の往復回数により評価した。
成物を調製した。
なお、表1中、ポリジメチルシロキサンエマルジョンは、シリコーン分50重量%、粘度1,400,000mPa・sで末端水酸基封鎖の乳化重合エマルジョンであり、メチルハイドロジェンシロキサンエマルジョンは、平均式:
(CH3)3SiO(CH3HSiO)50Si(CH3)3で表されるポリメチルハイドロジェンシロキサンを30重量%の割合で含有する機械乳化エマルジョンである。
また、塩素化ポリオレフィンエマルジョンは、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン(塩素含有量17重量%、分子量約60,000)を30重量%含有するエマルジョンである。
さらに、非水溶性アミノ基含有ポリシロキサンは、平均式;
{H2N(CH2)2NH(CH2)3}SiO[{(CH3)2SiO}15OH]3
で表されるアミノ基含有ポリシロキサンを30重量%の割合で含有する乳化重合エマルジョンである。
また、弾性球状微粒子は、架橋ウレタンソフトパウダー(平均粒子径7μ)であり、球状シリコーンエラストマー微粒子分散液は特開2006−182936号公報の調製例1で得られたシリコーンエラストマー微粒子の水分散液(平均粒子径15μ、不揮発分量重量45%)であり、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子は平均粒子径6μのものである。
また、超高分子量ポリエチレン微粒子1(三井化学社製ミペロンXM−221U)は、分子量200万(パウダー状、平均粒子径25μ)、超高分子量ポリエチレン微粒子2(Ticona社製GUR X143)は、分子量200万(パウダー、平均粒子径20μ)、超高分子量ポリエチレン微粒子3(三井化学社製ミペロンPM−200)は、分子量200万(パウダー、平均粒子径10μ)のものである。
(CH3)3SiO(CH3HSiO)50Si(CH3)3で表されるポリメチルハイドロジェンシロキサンを30重量%の割合で含有する機械乳化エマルジョンである。
また、塩素化ポリオレフィンエマルジョンは、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン(塩素含有量17重量%、分子量約60,000)を30重量%含有するエマルジョンである。
さらに、非水溶性アミノ基含有ポリシロキサンは、平均式;
{H2N(CH2)2NH(CH2)3}SiO[{(CH3)2SiO}15OH]3
で表されるアミノ基含有ポリシロキサンを30重量%の割合で含有する乳化重合エマルジョンである。
また、弾性球状微粒子は、架橋ウレタンソフトパウダー(平均粒子径7μ)であり、球状シリコーンエラストマー微粒子分散液は特開2006−182936号公報の調製例1で得られたシリコーンエラストマー微粒子の水分散液(平均粒子径15μ、不揮発分量重量45%)であり、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子は平均粒子径6μのものである。
また、超高分子量ポリエチレン微粒子1(三井化学社製ミペロンXM−221U)は、分子量200万(パウダー状、平均粒子径25μ)、超高分子量ポリエチレン微粒子2(Ticona社製GUR X143)は、分子量200万(パウダー、平均粒子径20μ)、超高分子量ポリエチレン微粒子3(三井化学社製ミペロンPM−200)は、分子量200万(パウダー、平均粒子径10μ)のものである。
Claims (5)
- (A)25℃における粘度が50〜10,000,000mPa・sの両末端が水酸基で閉塞されたポリジオルガノシロキサンと、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
(C)硬化触媒と、
(D)塩素化ポリオレフィンおよび/またはアクリル変性ポリオレフィンと、
(E)分子量2,000,000以上の超高分子量ポリエチレン微粒子をそれぞれ含有することを特徴とする水系コーティング剤組成物。 - (E)成分の微粒子が、粒子径10〜30μmから成る微粒子であることを特徴とする請求項1記載の水系コーティング剤組成物
- 前記(E)超高分子量ポリエチレン微粒子の含有量が、前記(A)成分のポリジオルガノシロキサン100重量部に対して、5〜150重量部であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の水系コーティング剤組成物。
- アルキルアミンオキサイドおよび/または非水溶性アミノ基含有ポリオルガノシロキサンをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の水系コーティング剤組成物。
- 発泡あるいは非発泡のエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体から成る成形体の上に塗布されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の水系コーティング剤組成物。
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