JP2008240705A - 車両用内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用内燃機関は、オイルクーラ60と、オイルフィルタ50と、クランク軸を回転駆動する電動モータ30とを備える。オイルクーラ60および電動モータ30は、機関本体を構成するロアブロック2の前部20において車両の前進方向を向いた前面21aに配置され、オイルフィルタ50は前部20において側方を向いた側面22aに設けられた取付座28に取り付けられる。オイルクーラ60およびオイルフィルタ50を連通させる連通油路が前部20の内部に設けられる。
【選択図】図3
Description
一方、機関本体の前部に配置される装置には走行風が当たりやすいことから、オイルクーラおよびオイルフィルタを該前部に車両の前進方向に臨んで配置することにより、オイルクーラおよびオイルフィルタが走行風により冷却されて、オイルの冷却が期待できる。しかるに、機関本体の前部における前面および側面から構成される外面には、オイルクーラおよびオイルフィルタにより占有されていない部分が、冷却が望まれる装置の配置に利用されずに残されている。
また、機関本体の前部において、オイルクーラまたはオイルフィルタが取り付けられる壁(例えば前壁)の外面(例えば前面)が外方(例えば前方)に向かって膨らんだ形状で突出する突出面を有することがあり、また該外面には、外方に向かって突出する突出部が設けられることがある。そして、これら突出面や突出部を利用することにより、オイルクーラ、オイルフィルタまたは電動モータが取り付けられる取付ボスの所要剛性を確保しながら、該取付ボスの小型・軽量化が可能になる。
さらに、オイルフィルタおよびオイルクーラを経たオイルをオイル受給部(例えばクランク軸を支持する主軸受)に導く油路については、オイルポンプの駆動による動力損失低減のためなどから、流通抵抗を低減して、オイルの圧力損失の低減を図ることが好ましい。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用内燃機関において、前記オイルクーラは前記前面に配置され、前記オイルフィルタは前記側面に設けられた取付座に取り付けられ、前記取付座の一部分は前記側面から前方に張り出す張出部を形成し、前記張出部に、前記オイルクーラが取り付けられるクーラ用取付ボスが前方に突出して設けられるものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の車両用内燃機関において、前記前面は前方に突出する突出面を有し、前記突出面には、前記オイルクーラが取り付けられるクーラ用取付ボスおよび前記電動モータが取り付けられるモータ用取付ボスが、前記突出面から前方に突出して設けられるものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の車両用内燃機関において、前方に指向する中心軸線を有する円筒状のケースを有する前記オイルクーラおよび前記前部から車幅方向に突出する駆動軸を有する前記電動モータは、車幅方向に並んで配置され、前記電動モータは、前記駆動軸の回転中心線が前記中心軸線に対して上方に位置するように配置されるものである。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の車両用内燃機関において、前記前面は、前記前面を有する前壁が前記クランク軸のクランクウェブとの干渉を回避するために前方に湾曲して突出することにより形成される膨出面を有し、前記膨出面には、前記オイルクーラが取り付けられる別のクーラ用取付ボスおよび前記電動モータが取り付けられる別のモータ用取付ボスが前方に突出して設けられるものである。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載の車両用内燃機関において、前記前部を有する前記機関本体はクランクケースであり、車幅方向での前記クランクケースの幅内に前記オイルフィルタの全体が配置されるものである。
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項記載の車両用内燃機関において、前記オイルポンプから前記オイルクーラまで延びる半直線に沿って直線状に延びている孔が仕切部材により仕切られて第1油路および第2油路が形成され、前記第1油路は前記オイルポンプからのオイルを前記オイルフィルタに導く導入油路であり、前記第2油路は、前記オイルフィルタからのオイルを前記オイルクーラに導く前記連通油路であり、前記オイルクーラからのオイルは、導出油路を経て前記クランク軸の主軸受にオイルを供給する油路が分岐するメイン油路に流入し、前記導出油路および前記メイン油路は、前記導入油路および前記連通油路よりも前記クランク軸寄りに配置されるものである。
請求項2記載の事項によれば、張出部が前方に突出している分だけオイルクーラが取り付けられる取付ボスの突出量を小さくできるので、該取付ボスの剛性が高められると共に、該取付ボスが小型・軽量化される。さらに、取付ボスが取付座に設けられることで、オイルクーラおよびオイルフィルタを近接させて配置することができるので、連通油路を短縮することができて、オイルの圧力損失(したがって流通抵抗)を低減でき、しかもオイルクーラおよびオイルフィルタの配置のコンパクト化に寄与する。また、前方に張り出している張出部の分だけ、取付座と走行風との接触面積が増加するので、張出部が放熱部となって、オイルフィルタを流通するオイルの冷却性の向上に寄与する。
請求項3記載の事項によれば、突出面が前方に突出している分だけ突出面から前方に突出する両取付ボスの突出量を小さくできるので、該取付ボスの剛性が高められると共に、該取付ボスが小型・軽量化される。
請求項4記載の事項によれば、オイルクーラにおける車幅方向での最大幅を規定する部分と、電動モータにおける車幅方向での最大幅を規定する部分とを上下方向でオフセットして配置することができる。この結果、オイルクーラおよび電動モータを車幅方向で一層近接して配置することができて、車幅方向でのオイルクーラおよび電動モータの配置のコンパクト化が可能になり、車幅方向に大型の電動モータを採用する場合にも、車幅方向での駆動軸の突出を抑制することができて、車幅方向での内燃機関の大型化を抑制できる。
請求項5記載の事項によれば、膨出面が前方に突出している分だけクランクウェブとの干渉を回避する膨出面から前方に突出するそれぞれの別の取付ボスの突出量を小さくできるので、該別の取付ボスの剛性が高められると共に、該別の取付ボスが小型・軽量化される。
請求項6記載の事項によれば、オイルフィルタを、クランクケースにおいて車幅方向での中心寄りに配置することができるので、車幅方向でのオイルフィルタの突出が防止されて、内燃機関の外観性が向上する。
請求項7記載の事項によれば、オイルポンプからのオイルをオイルクーラに導く油路の一部である第1油路および第2油路が、オイルポンプからオイルクーラまで直線状に延びている孔を仕切ることにより形成されるので、導入油路および連通油路の形成が容易になる。また、導出油路およびメイン油路は、導入油路および連通油路よりもクランク軸寄りに配置されることにより、メイン油路から主軸受までの油路長を短縮できるので、主軸受に供給されるオイルの圧力損失を低減できる。
図1〜図3を参照すると、本発明が適用された車両用内燃機関Eは、多気筒4ストローク内燃機関であり、クランク軸5が車幅方向に指向する横置き配置で、車両としての小型車両である自動二輪車に搭載される。
また、前記シリンダヘッドにより形成される動弁室内には、吸気弁および排気弁をクランク軸5の回転に同期して開閉駆動する動弁装置が配置される。
鋳造された単一の部材であるロアブロック2における前部20は、車両の前進方向に向いた壁である前壁21と、前壁21にそれぞれ連続する左右の側壁22,23と、前壁21において前進方向である前方に向いた面である前面21aと、右側壁22,23において右方に向いた右側面22aと、左側壁23において左方に向いた左側面23aとを有する。ここで、前面21a、右側面22aおよび左側面23aは、前部20の外面を構成する。また、右側面22aおよび左側面23aは、上下方向で見て(以下、「平面視」という。)、前進方向に直交する側方を向いた側面である。
駆動軸33にはピニオン34が設けられる。該ピニオン34は、この実施形態では駆動軸33に一体成形されるが、駆動軸33とは別個の部材であってもよい。そして、駆動軸33は、該ピニオン34を含む歯車列から構成される始動用減速機構を介して、クランク軸5を回転駆動する。また、前面視で、前記モータ本体において駆動軸33は、スタータモータ30における車幅方向での最大幅を規定する部分である。
このように、取付ボス24aが突出面26から前方に突出することにより、該取付ボス24aの突出量は、突出面26とは異なり前方に突出していない面21a1(図3,図4参照)に設けられる場合に比べて小さくて済むうえ、スタータモータ30はケース32と前面21aとの間に空隙が形成されるように前壁21に取り付けられるので、前壁21からの熱伝導が抑制され、しかも空気への放熱面積が大きくなって、スタータモータ30の冷却性が向上する。
このように、取付ボス24bが膨出面27から前方に突出することにより、該取付ボス24bの突出量は、前記面21a1に設けられる場合に比べて小さくて済む。
このように、取付ボス25aが張出部28aから前方に向かって突出していること、取付ボス25aとは別の取付ボス25bが突出面26から前方に向かって突出していること、および取付ボス25cが膨出面27から前方に突出していることにより、各取付ボス25a,25b,25cの突出量が小さくて済む。
取付座28の一部分は、取付座29に一体成形されて該取付座29から右方に突出している(図3,図4参照)。さらに、取付座28の一部分としての前部は、側面22aから前方に向かって側面視で円弧状に張り出す(図2参照)張出部28aを形成する。張出部28aには、張出部28aの前面である張出面28a1から前方に突出する取付ボス25aと、張出部28aと取付部61aとの干渉を回避するための切欠き部28cとが設けられる。
また、オイルフィルタ50は、右方において、ロアブロック2の右の端面2eから右方に突出しておらず(図3,図4参照)、車幅方向でのロアブロック2の幅内にオイルフィルタ50の全体が配置される。このため、オイルフィルタ50が取り付けられた内燃機関Eが車幅方向でコンパクトになる。
図1,図5を参照すると、オイルパン3に貯留しているオイルは、オイルストレーナ41を経てオイルポンプ42に吸入される。オイルポンプ42から吐出されたオイルは、オイルフィルタ50およびオイルクーラ60を流通した後、ロアブロック2に設けられると共にクランク軸5の回転中心線Leの真下で回転中心線Leに沿って直線状に延びているメイン油路76(図2〜図4も参照)に流入する。メイン油路76のオイルは、該メイン油路76から分岐する複数の分岐油路を流通して、内燃機関Eの前記潤滑箇所を含む前記オイル受給部に供給される。前記分岐油路には、複数の主軸受9にそれぞれオイルを供給する複数の油路77が含まれる。各軸受保持部10に対応している各油路77は、メイン油路76のオイルを主軸受9(前記オイル供給部の一部である。)に開口すると共に、さらにシリンダブロック1を経て前記シリンダヘッドまで延びていて、該シリンダヘッドに設けられる前記動弁装置(前記オイル供給部の一部である。)にオイルを供給する。
また、前記動弁装置を潤滑した後の前記シリンダヘッドからのオイルは、シリンダブロック1およびロアブロック2にそれぞれ設けられた孔で構成される戻り油路78a,78b(図4も参照)を流通して前記戻り油路79に流入し、その後、該戻り油路79およびオイル雰囲気空間8を通じてオイルパン3に戻る。
ポンプハウジング43には、該ポンプハウジング43に接続されるオイルストレーナ41を経てオイルパン3から吸入されたオイルを前記ポンプ室に導く吸入油路43aおよび吸入ポート43bと、前記ポンプ室からのオイルが吐出される吐出ポート43cおよび吐出ポート43cに連なる吐出油路43dと、吐出油路43dでの過大圧力を開放するリリーフ弁46とが設けられる。
オイルクーラ60、オイルフィルタ50およびスタータモータ30は、前記機関本体としてのロアブロック2の前部20において前進方向を向いた前面21aおよび前進方向に直交する側方を向いた側面22a,23aから構成される前記外面に配置され、連通油路73は前部20の内部に設けられ、スタータモータ30は前進方向に臨んで配置されることにより、ロアブロック2の前部20において車両の前進方向に臨む位置に取り付けられるスタータモータ30は、走行風により冷却されるので、その冷却性が向上する。しかも、スタータモータ30は、前記外面を構成する前面21aに配置されるので、前部20において走行風が当たりやすい位置にスタータモータ30を配置することができるうえ、スタータモータ30が前部20の内部に設けられる連通油路73の形成を制約することがないので、スタータモータ30が前部20に配置されるにも拘わらず、オイルクーラ60およびオイルフィルタ50の配置の自由度が制約されない。
オイルフィルタ50は、前部20の左壁に取り付けられてもよく、その場合、スタータモータ30は車幅方向でオイルクーラ60を挟んでオイルフィルタ50とは反対側の右側に配置される。
前記電動モータは、スタータモータ30を兼ねると共に、車両の発進時または加速時にクランク軸5の回転を助勢するものであってもよい。
内燃機関は、クランク軸が前後方向に指向する縦置き配置で車両に搭載されてもよく、その場合、前記特定平面は、最前のシリンダのシリンダ軸線を含むと共にクランク軸の回転中心線に直交する平面であるとする。そして、スタータモータは前部の側面に配置されてもよい。
内燃機関は単気筒内燃機関であってもよい。
前記小型車両は、鞍乗り型の4輪車であってもよい。
E…内燃機関。
Claims (7)
- オイルクーラと、連通油路を介して前記オイルクーラと連通するオイルフィルタと、クランク軸を回転駆動する電動モータとを備える車両用内燃機関であって、前記オイルクーラおよび前記オイルフィルタが、機関本体の前部に、車両の前進方向に臨んで取り付けられる車両用内燃機関において、
前記オイルクーラ、前記オイルフィルタおよび前記電動モータは、前記前部において前記前進方向である前方を向いた前面および前記前進方向に直交する側方を向いた側面から構成される外面に配置され、前記連通油路は前記前部の内部に設けられ、前記電動モータは前方に臨んで配置されることを特徴とする車両用内燃機関。 - 前記オイルクーラは前記前面に配置され、前記オイルフィルタは前記側面に設けられた取付座に取り付けられ、前記取付座の一部分は前記側面から前方に張り出す張出部を形成し、前記張出部に、前記オイルクーラが取り付けられるクーラ用取付ボスが前方に突出して設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用内燃機関。
- 前記前面は前方に突出する突出面を有し、前記突出面には、前記オイルクーラが取り付けられるクーラ用取付ボスおよび前記電動モータが取り付けられるモータ用取付ボスが、前記突出面から前方に突出して設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用内燃機関。
- 前方に指向する中心軸線を有する円筒状のケースを有する前記オイルクーラおよび前記前部から車幅方向に突出する駆動軸を有する前記電動モータは、車幅方向に並んで配置され、前記電動モータは、前記駆動軸の回転中心線が前記中心軸線に対して上方に位置するように配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の車両用内燃機関。
- 前記前面は、前記前面を有する前壁が前記クランク軸のクランクウェブとの干渉を回避するために前方に湾曲して突出することにより形成される膨出面を有し、前記膨出面には、前記オイルクーラが取り付けられる別のクーラ用取付ボスおよび前記電動モータが取り付けられる別のモータ用取付ボスが前方に突出して設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の車両用内燃機関。
- 前記前部を有する前記機関本体はクランクケースであり、車幅方向での前記クランクケースの幅内に前記オイルフィルタの全体が配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両用内燃機関。
- 前記オイルポンプから前記オイルクーラまで延びる半直線に沿って直線状に延びている孔が仕切部材により仕切られて第1油路および第2油路が形成され、前記第1油路は前記オイルポンプからのオイルを前記オイルフィルタに導く導入油路であり、前記第2油路は、前記オイルフィルタからのオイルを前記オイルクーラに導く前記連通油路であり、前記オイルクーラからのオイルは、導出油路を経て前記クランク軸の主軸受にオイルを供給する油路が分岐するメイン油路に流入し、前記導出油路および前記メイン油路は、前記導入油路および前記連通油路よりも前記クランク軸寄りに配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の車両用内燃機関。
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