JP2008195454A - 注出口部付き袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】注出口部付き袋を、積層フィルム製の袋の一端に狭い幅の注出口部10を設けて形成し、該注出口部10の少なくとも片面の積層フィルムの内面に、テープ状のシート材50を貼着すると共に、少なくとも該注出口部の領域で、該テープ状のシート材50とその外側の積層フィルムとを外側に膨らむ樋状に熱成形し、その樋状の熱成形部14に三角形状の凹凸15を設けて、両者を溶着させて構成する。
【選択図】図5
Description
しかし、このような注出口部付き袋は、安価で生産性に優れる点では好ましいが、注出口部の開口性や開口部の保形性が悪く、内容物注出の途中などで注出口部が閉塞しやすく、内容物の注出適性の点では劣る問題があった。
具体例として、例えば、(1)袋の注出口部のフィルム材料に流路を形成するための溝状の窪みを設け、その溝状の窪みにプラスチック製などの小管を固定して、流路が潰れるのを防止すると共に、前記小管を通して中味を空にできるようにした袋がある(特許文献1参照)。
また、(2)パウチの上部の一部に注出口部を設け、その注出口部の内面に、装着時は偏平な形状で、使用時に筒状に起こして注出口部を開口できる補強部材を装着した詰め替え用パウチがある(特許文献2参照)。
しかし、このような袋でも、その製造の際、注出口部のフィルム材料に深絞り成形などで溝状の窪みを設け、その中に前記小管を挿入してスポット溶接などで固定しているので、製造の工程数が増し、製造装置が複雑になると同時に生産速度も抑制される。また、前記小管は、円筒状で硬さがあり、その外径が5mm程度以上は必要となるため、袋の注出口部のみが嵩張り、空袋の取り扱いや保管が厄介になるほか、内容物を充填する際の充填シール機における空袋の供給装置についても特別な装置が必要となり、全体として設備費の増大と生産速度の抑制などコストアップの要因が多く、更に品質面においても小管が硬いため、その端部で袋のフィルム材料が傷つけられやすいという問題があった。
しかし、このような詰め替え用パウチでも、製造後、保存日数が数カ月以上の長期になると、徐々に補強部材の起こしトルクが高くなり、使用時に注出口部を角筒状に起こしにくくなる問題があり、必ずしも満足できるものではなかった。
即ち、請求項1に記載した発明は、積層フィルム製の袋の一端に狭い幅の注出口部が設けられた注出口部付き袋において、該注出口部の両面の積層フィルムのうち、少なくとも片面の積層フィルムの内面に、テープ状のシート材が貼着されると共に、少なくとも該注出口部の領域において、該シート材とその外側の積層フィルムとが、外側に膨らむ樋状に熱成形されて溶着され、更に、該樋状の熱成形部の表面には内容物の注出方向を示す三角形状の凹凸が設けられていることを特徴とする注出口部付き袋からなる。
また、袋の注出口部の積層フィルムの内面に貼着して取り付ける前記テープ状のシート材は、注出口部の積層フィルムの内面にスポットシールなどで仮止め的に貼着した後、外側の積層フィルムと共に、外側に膨らむ樋状に熱成形して両者を溶着させるものである。従って、前記シート材は、前記熱成形が可能であると同時に、積層フィルムの最内層(シーラント層)と熱接着可能であることが必要であり、この点から、特に限定はされないが、プラスチックの単体または積層体などで形成され、少なくとも袋の積層フィルムに貼着される面は、積層フィルムのシーラント層と熱接着が可能なポリオレフィン系などの熱接着性樹脂で形成することが好ましい。
前記シート材は、袋の注出口部の片面の積層フィルムのみに貼着して樋状に熱成形してもよいが、両面の積層フィルムの内面に貼着して樋状に熱成形することが更に好ましく、それにより、両側の樋状の成形部同士が向かい合わせとなり、注出口部を全体として円筒状などの筒状に保形性よく開口させることができる。
また、前記三角形状の凹凸は、三角形状の全体が凸状または凹状となる形状のほか、三角形状の外側と内側が凹み、所定の太さの三角形状に隆起させた形状であってもよい。このような三角形状の凹凸は、1個でもよいが、2個または3個など複数を縦に整列させて設けてもよい。
このような三角形状の凹凸は、前記テープ状のシート材とその外側の積層フィルムとを外側に膨らむ樋状に熱成形する際に、少なくとも成形用の雌型にこれらの凹凸形状を設けておくことにより、樋状の成形と同時に熱成形することができる。
前記水平方向とは、袋を垂直に立てたとき垂線と直交する方向の意味である。
(1)袋自体は積層フィルムで形成されているので、その積層構成の選定により、密封性のほか、各種の強度、内容物の保存性など、袋に必要とされる各種の性能を優れたものにすることができる。
(2)袋の注出口部には、テープ状のシート材が貼着されると共に、そのシート材と外側の積層フィルムとが外側に膨らむ樋状に熱成形され、溶着されているので、注出口部の剛性が高められると共に、充填された内容物を取り出す際には、注出口部の先端部をその開封位置で切り取って開封するだけで、注出口部が自動的に保形性よく開口する。
従って、液状の内容物が充填されている場合でも、注出の途中で注出口部が閉塞するようなこともなく、最後までスムーズに注出することができる。
(3)前記テープ状のシート材は、厚みを適宜に調節でき、且つ材質も格別硬いものではないので、袋の積層フィルムを傷つけることがない。また、樋状に熱成形された注出口部は、経時的に多少の成形の戻りはあるが、大部分は維持されるので、注出口部の開口性が悪くなることもない。
(4)また、前記テープ状のシート材を、注出口部の両面の積層フィルムの内面に貼着して、それぞれを外側に膨らむ樋状に熱成形して溶着させることにより、両側の樋状の成形部同士を向かい合わせにできるので、注出口部を全体として円筒状などの筒状に保形性よく開口させることができ、内容物を一層スムーズに注出することができる。
(5)前記テープ状のシート材は、注出口部の先端側の開封位置から注出口部の基部近辺までの長さに設けることにより、注出口部の前記開口性とその保形性の向上効果を得られるが、更に、注出口部の基部から袋の中心部に向けて10〜30mm程度延長した長さに設けることにより、注出口部の基部近辺での折れ曲がりによる注出口部の閉塞も防止することができるので、内容物を一層確実且つスムーズに注出することができる。
(6)前記樋状の熱成形部の表面には、内容物の注出方向を示す三角形状の凹凸が設けられているので、内容物の注出箇所や注出方向を一層分かりやすくすることができる。
また、前記注出口部を該袋の上部の一方のコーナー部に設けているので、内容物の注出操作を容易にできると同時に、袋の上部のうち、注出口部を設けていない部分を内容物の充填口に使用できるので、比較的広い幅の充填口とすることができ、内容物の充填も容易に行うことができる。
図1は、本発明の注出口部付き袋の注出口部に貼着して用いるテープ状のシート材の構成を説明する拡大図であり、(イ)は、その平面図、(ロ)、(ハ)、(ニ)は、それぞれ(イ)のA−A線の模式断面図である。
図2は、本発明の注出口部付き袋の製造において、注出口部の積層フィルムの内面にテープ状のシート材を貼着した後、そのシート材と外側の積層フィルムとを外側に膨らむ樋状に熱成形して溶着させる際に用いる成形金型の一例の構成を示す要部の図であり、(イ)は、その雄型と雌型とが離れた時の状態を示す斜視図、(ロ)は、雄型と雌型の間に前記テープ状のシート材と積層フィルムとが挿入され、熱プレス成形される時の状態を示す断面図である。但し、樋状の熱成形部の表面に設ける三角形状の凹凸に関連する構成は省略して示した。
図3の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)は、それぞれ本発明の注出口部付き袋の注出口部に貼着されたテープ状のシート材とその外側の積層フィルムとを外側に膨らむ樋状に熱成形した際の膨らみ形状の例を示す断面図である。この場合も、樋状の熱成形部の表面に設けられる三角形状の凹凸は省略して示した。
図4、図5、図6は、それぞれ本発明の注出口部付き袋の一実施例の構成を示す模式正面図である。
図7は、図4〜図6に示した注出口部付き袋の注出口部のA−A線断面図であり、(イ)は、注出口部の片面(前面)の積層フィルムの内面のみにテープ状のシート材を貼着して熱成形した場合の膨らみ形状の一例を示す断面図で、(ロ)は、注出口部の両面の積層フィルムの内面にテープ状のシート材を貼着して熱成形した場合の膨らみ形状の一例を示す断面図である。
このようなテープ状のシート材50は、例えば、図1の(イ)のA−A線の模式断面図である(ロ)、(ハ)、(ニ)に示すような層構成を採ることができる。
即ち、(ロ)は、テープ状のシート材50を、袋の積層フィルムの内面のシーラント層に熱接着性を有する熱接着性樹脂の層aの単独の層で形成したものである。
(ハ)は、テープ状のシート材50を、前記熱接着性樹脂の層aとその熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層bとの2層の積層体で形成したものである。
また、(ニ)は、テープ状のシート材50を、前記熱接着性樹脂の層aと、熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層bとの間に、接着層cを設けた3層の積層体で形成したものである。
また、前記その他の熱成形可能な材料としては、例えば、アルミニウム箔などの金属箔も使用することができる。
また、図1の(ニ)に示したテープ状のシート材50のように、シート材50を、熱接着性樹脂の層aと、熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層bとの間に、接着層cを設けた3層の積層体で形成する場合、中間層の接着層cは、積層体の製造方法に応じて選定すればよく、例えば、ドライラミネート用の1液または2液硬化型の接着剤のほか、押し出しラミネートなどに使用されるポリエチレン系またはポリプロピレン系などの接着性樹脂を使用することができる。
シート材50の厚みが0.15mm未満の場合は、シート材50を外側の積層フィルムと共に外側に膨らむ樋状に熱成形した際の成形部の剛性、保形性の向上効果が少なくなるため好ましない。また、シート材50の厚みが1mmを超える場合は、前記成形部の剛性、保形性の向上効果は既に十分でありその必要性がなく、むしろ熱成形に時間が掛かり生産性が低下するため好ましくない。
このほか印刷などの手段で着色することも可能であり、図1の(ニ)に示したような構成で、熱接着性樹脂の層aと、熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層bとをドライラミネート法や押し出しラミネート法で積層するような場合は、いずれか一方の積層面に印刷などの手段で着色しておいて積層してもよい。
また、着色する色は、光学的に検知できる色であれば特に限定はされないが、例えば、青色、赤色などを好適に使用することができる。
特に単層または多層の押し出し成形法で製造する場合は、所定の幅wのテープ状のシート材50を1列で成形して巻き取り状に製造することもできるが、全体的には多列の広幅の巻き取り状に作製しておいて、スリッターにより所定の幅wにカットして個々の巻き取りを製造する方法が効率的で生産性に優れている。
また、本発明において、テープ状のシート材50を袋の注出口部の積層フィルムの内面に最初に貼着する方法は、ホットメルト接着剤などの接着剤を用いてスポット的に貼着することもできるが、その後、樋状に熱成形して溶着させることから、スポットシールなどの熱接着方式で貼着することが、製造コストも低く、生産性にも優れる点で一層好ましい。
図2の(イ)に示した成形金型20は、熱プレス成形に用いるもので、横型半円柱状の成形凸部を備えた雄型21と、横型半円柱状の成形凹部を備えた雌型22とで構成され、雄型21と雌型22の間に、袋の注出口部の積層フィルム1または1′の内面に図1の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)に示したような構成のテープ状のシート材50をその熱接着性樹脂の層a面を対向させてスポットシールなどで貼着され、予め予備加熱された被成形物を導入し、雄型21と雌型22とで加熱加圧して、(ロ)の断面図に示すように、テープ状のシート材50の流れ方向に沿ってその中央部が半円筒形で外側に膨らむ樋状になるように熱成形すると共に、シート材50とその外側の積層フィルム1または1′とを溶着させるものである。
尚、雄型21と雌型22の熱プレス成形部の形状に関しては、図示したような横型半円柱状の成形凸部と凹部に限らず、成形部を外側に膨らむ樋状に成形できる形状であれば何でもよく、例えば、次の図3にも示すように、断面が台形、三角形、表面に波形の凹凸を設けた半円形などに成形できる形状とすることができる。
図4に示した注出口部付き袋100は、四方シール形式の袋を利用して作製したものであり、前後の壁面フィルム(積層フィルム)1、1′の両側の端縁部を側部シール部6a 、6b でヒートシールし、上部の中央部に狭い幅の注出口部10を、その外周を注出口部シール部7でヒートシールして形成し、その両側に切り欠き部9a 、9b を設けて上方に突出する形状に設けると共に、注出口部10の少なくとも片面(前面)の積層フィルム1の内面には、テープ状のシート材50を、予め注出口部10の中心線Cに沿って、その先端側の開封位置よりも僅かに内側の位置から、注出口部の基部を示す線Bよりも15mm程度袋100の中心部に向かう位置までの長さに貼着し、そのテープ状のシート材50を外側の積層フィルム1と共に外側に膨らむ樋状に熱成形すると同時に、その樋状の熱成形部14の中央部には三角形状の凹凸15を、その頂角が注出口部10の先端側を向くように二個配列して設けて両者を溶着させておき、更に、注出口部10の先端側の前記開封位置には、易開封性手段として、ハーフカット線11とその両端にノッチ12a 、12b を設けて構成したものである。
尚、袋100の下部の端縁部は、下部シール部13でヒートシールされるが、この部分は、内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールするものである。
前記三角形状の凹凸15は、この場合、A−A線断面図である図7の(イ)に示すように、その全層が隆起した形状に設けたものである。
また、前記テープ状のシート材50は、注出口部10の片面の積層フィルム1の内面のみに貼着して前記のように樋状に熱成形してもよいが、両面の積層フィルム1、1′の内面にそれぞれ貼着して外側に膨らむ樋状に熱成形することが更に好ましい。この点は、以下の図5、図6に示す注出口部付き袋200、300においても同様である。
また、前記ハーフカット線11は、3本の平行なハーフカット線で示したが、特に限定はされず、1本、或いは、2本でもよく、また、開封時に引き裂きラインが中心のハーフカット線から外れた時の対策として、中心のハーフカット線の両側に各1本〜各3本など複数のハーフカット線を平行に、または中心のハーフカット線に収斂する形状に、或いは、複数の平行なハーフカット線とこれに斜めに交差する斜め方向のハーフカット線とを組み合わせた形状など、任意の形状に設けることができる。
このようなハーフカット線を設ける方法は、レーザー光照射による方法が、凹凸面に対しても安定した深さに設けられると共に、複数のハーフカット線を任意の形状に容易に設けられる点で好ましい。
図5に示した注出口部付き袋200は、スタンディングパウチ形式の袋を利用して作製したものであり、袋の底部を、前後の壁面フィルム(積層フィルム)1、1′の下部の間に底面フィルムを内側に折り返して底面フィルム折り返し部2まで挿入してなるガセット部4を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部3a 、3b を設け、ガセット部4を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部5でヒートシールして形成し、袋の胴部は、前後の壁面フィルム(積層フィルム)1、1′の両側の端縁部を側部シール部6a 、6b でヒートシールして形成すると共に、袋200の上部の一方のコーナー部(図において左側のコーナー部)には、その外周を注出口部シール部7でヒートシールしてなる先細り形状で斜め外側上方を向く狭い幅の注出口部10が、その両側に切り欠き部9a 、9b を設けて突出する形状に設けられている。
また、注出口部10の少なくとも片面(前面)の積層フィルム1の内面には、この場合も、テープ状のシート材50を、予め注出口部10の向きに沿って、その先端側の開封位置よりも僅かに内側の位置から、注出口部の基部よりも10〜15mm程度袋200の中心部に向かう位置までの長さに貼着し、そのテープ状のシート材50を外側の積層フィルム1と共に外側に膨らむ樋状に熱成形すると同時に、その樋状の熱成形部14の中央部には三角形状の凹凸15を、その頂角が注出口部10の先端側を向くように二個配列して設けて両者を溶着させておき、更に、注出口部10の先端側の前記開封位置には、易開封性手段として、ハーフカット線11とその上側の端部にノッチ12a を設けて構成したものである。
この場合も、前記三角形状の凹凸15は、A−A線断面図である図7の(イ)に示すように、その全層が隆起した形状に設けたものである。
また、袋200の上部のうち、注出口部10を設けていない部分は、上部シール部8でヒートシールするが、この部分は、内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールするものである。
前記ハーフカット線11に関しても、前記図4と同様に、3本の平行なハーフカット線で示したが、特に限定はされず、1本、或いは、2本のほか、中心のハーフカット線の両側に各1本〜各3本など複数のハーフカット線を平行に、または中心のハーフカット線に収斂する形状に、或いは、複数の平行なハーフカット線とこれに斜めに交差する斜め方向のハーフカット線とを組み合わせた形状など、任意の形状に設けることができる。
図6に示した注出口部付き袋300は、前記図5に示した注出口部付き袋200の構成において、注出口部10の先端側の開封線、具体的にはハーフカット線11を水平方向に変更して設けると共に、注出口部10の少なくとも片面(前面)の積層フィルム1の内面に貼着するテープ状のシート材50についても、長さ方向の端部をハーフカット線11に合わせて水平方向にカットして貼着し、そのシート材50を外側の積層フィルム1と共に外側に膨らむ樋状に熱成形すると同時に、その樋状の熱成形部14の中央部に三角形状の凹凸15を、その頂角が注出口部10の先端側を向くように二個配列して設けて両者を溶着させた構成に変更して構成したものである。
この場合も、テープ状のシート材50の層構成、およびハーフカット線11の本数と組み合わせ形状などは図4、図5で説明した内容と同様である。
図7の(イ)に示した注出口部10のA−A線断面図は、注出口部10の前後の積層フィルム1、1′のうち、前面側の積層フィルム1の内面のみにテープ状のシート材50をスポットシールなどで貼着した後、そのシート材50と外側の積層フィルム1とを、図2に示したような成形金型20を用いて、外側に膨らむ半円筒形の樋状に熱成形すると同時に、樋状の熱成形部14の中央部(図では上部)に三角形状の凹凸15を全層が外側に隆起した形状に設けて両者を溶着させると共に、その内側の面にフラットな状態の背面側の積層フィルム1′を重ね合わせて、注出口部10の外周を注出口部シール部7でヒートシールした状態を示すものであり、注出口部10の内部は半円筒状に広がった形状となる。
上記(イ)、(ロ)に示した注出口部10の筒状の広がり形状は、テープ状のシート材50、50′とその外側の積層フィルム1、1′とを樋状に熱成形する際の前記成形金型20の形状を変更することにより、前記図3の(イ)〜(ニ)に示したような形状に容易に変えることができる。
このような注出口部10の膨らみ形状は、注出口部10の前後両面の積層フィルム1、1′の内面にテープ状のシート材50、50′を貼着して樋状に熱成形する場合、前後を同一形状に熱成形して筒状体にできるほか、例えば、図3の(イ)〜(ニ)に示した異なる形状を組み合わせて筒状体を形成してもよい。
これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用することもできる。
前記強度向上層としては、前記基材フィルム層のいずれかを適宜追加積層してもよく、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層を兼ねて積層することもできる。
前記基材フィルム層と、ガスバリヤー層、遮光層、強度向上層との積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
シーラント層の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を押し出しコートして積層する方法などを採ることができる。但し、内容物がシーラント層に浸透しやすいものの場合は、ドライラミネーション法で積層することが好ましい。
本発明の注出口部付き袋は、先にも説明したように、積層フィルム製の袋の一端に狭い幅の注出口部を設け、その注出口部の内面に前記テープ状のシート材を貼着すると共に、そのテープ状のシート材と外側の積層フィルムとを、外側に膨らむ樋状に熱成形して溶着させ、また、その樋状の熱成形部の表面には前記三角形状の凹凸を設けたことを特徴とするものであり、袋自体の形式は特に限定はされず、例えば、三方シール形式、四方シール形式、ピロー形式などの平パウチ形式の袋のほか、スタンディングパウチ形式の袋など、いずれの形式の袋でもよい。
従って、基本的には採用した形式の袋の製袋機を利用して、これに注出口部を設けるためのヒートシール装置、注出口部の両側に切り欠き部やノッチを設けるための打ち抜き装置、注出口部に前記テープ状のシート材を所定の長さにカットしてスポット状などに貼着するテープ状のシート材取り付け装置、そして、取り付けられたテープ状のシート材とその外側の積層フィルムとを外側に膨らむ樋状に熱成形すると同時に、樋状の熱成形部の中央部に前記三角形状の凹凸を設けて両者を溶着させるための熱プレス成形装置、更に、ハーフカット線を設けるためのレーザー光照射装置などを適宜追加付設することにより、その製袋機を使用して容易に製造することができる。
尚、本発明において、注出口部付き袋の少なくとも注出口部の片面の積層フィルムの内面に貼着され、外側の積層フィルムと共に、外側に膨らむ樋状に熱成形されて溶着されるテープ状のシート材は、通常、注出口部の先端側では、図4〜図6にも示すように、注出口部の開封位置の直近までの長さに設けられるが、更に、注出口部の開封位置を越える長さに設けてもよい。只、その場合は、注出口部の開封性がシート材によって損なわれるため対策を採る必要があり、例えば、注出口部の内面に貼着されたシート材を外側の積層フィルムと共に外側に膨らむ樋状に熱成形する際に用いる成形金型〔図2の(イ)参照〕の雄型21と雌型22のうち、シート材に接する雄型21の表面の注出口部の開封位置に相当する位置に、断面が三角状、台形状などの線状突起を設けておいて熱プレス成形することにより、シート材に線状の薄肉部が形成され、この薄肉部により良好な開封性を付与することができる。上記薄肉部の厚みは20〜80μmの範囲が好ましい。
また、このような構成を採ることにより、注出口部をその開封位置で引き裂いて開封した際に、シート材とその外側の積層フィルムとが同位置で引き裂かれるため、注出口部の開封端に積層フィルムの出っ張りがなくなり、内容物注出の際の液切れなどをよくすることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(1)壁面用積層フィルム1,1′の構成
(外側)二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルムと記載する)(厚み15μm)/接着剤/アルミニウム蒸着(蒸着厚み400Å)二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、アルミ蒸着PETフィルムと記載する)(厚み12μm)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(以下、L・LDPEフィルムと記載する)(厚み120μm)
(2)底面用積層フィルムの構成
(外側)ONフィルム(厚み15μm)/接着剤/アルミ蒸着PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/L・LDPEフィルム(厚み90μm)
上記各フィルムの貼り合わせは、いずれもドライラミネーション法で行ったものであり、各フィルムの間の接着剤は、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用したものである。
テープ状のシート材50は、幅が11mm、長さは30mmとし、図1の(ハ)に示した2層の積層構成で袋の積層フィルムに貼着される側の熱接着性樹脂の層aは、低密度ポリエチレン層(厚み120μm)とし、反対側の層bは、中密度ポリエチレン層(厚み140μm)として総厚みが260μmとなるように形成した。
(4)注出口部付き袋200の寸法、および注出口部10へのテープ状のシート材50の取り付け方法
袋の寸法は、全幅が135mmで、全長が225mm、底部のガセット部4の折り込み長さは37mmとした。
注出口部10は、図示した形状で、注出口部シール部7に示した形状の最大部の幅が40mmで、最大部の長さが55mmとなる大きさに設けた。細部については、ハーフカット線11を設けた位置の全幅が24mmで、注出口部10の先細り角度は、略36°とした。
また、テープ状のシート材50の注出口部10への貼着は、注出口部10の両面の積層フィルム1、1′の内面に、それぞれスポットシールにより行い、その後、テープ状のシート材50、50′とその外側の積層フィルム1、1′とを、図2に示したような成形金型20を用いて、外側に膨らむ半円筒形の樋状に熱プレス成形すると同時に、その樋状の熱成形部14の中央部に、図5に示したように、三角形状の凹凸15それぞれ設けて両者を溶着させた〔図7の(ロ)も参照〕。
尚、上記熱プレス成形は、テープ状のシート材50、50′の長さ方向の全体を熱プレス成形してもよいが、ここではシート材50、50′の30mmの長さのうち、注出口部の先端側に2mmと袋の内部側に8mmの長さを残し、中間部の20mmの長さのみを半円筒形の樋状に熱プレス成形した。
また、ハーフカット線11は、中心のハーフカット線の両側に各3本の平行なハーフカット線をそれぞれ0.7mm間隔で設け、更に、この平行なハーフカット線と斜めに交差する斜め方向のハーフカット線2本をX字状に設けた形状に形成した。また、ハーフカット線11の上側(袋の中央部側)の端部にはノッチ12a を設けた。
注出口部付き袋200を以上のように作製して実施例1の注出口部付き袋とした。
以上のように作製した実施例1、2、3の注出口部付き袋の注出適性を評価するため、それぞれの注出口部付き袋に、未シールの上部シール部8から内容物として液体洗剤を約400ml充填した後、上部シール部8をヒートシールして袋を密封した。
上記のように作製した実施例1、2、3の注出口部付き袋による包装体は、いずれも安定した自立性を有し、外観もよく取り扱い性にも優れていた。また、注出口部10の表面には前記三角形状の凹凸15が設けられているので、注出口部の位置および内容物の注出口方向が一層分かりやすく、誤使用のおそれもなく使い勝手に優れていた。
次に、各包装体に充填された液体洗剤の注出適性試験を行うため、各包装体の注出口部10の先端部を摘んでノッチ12a を始点としてハーフカット線11に沿って引き裂いたところ、いずれもハーフカット線11に沿ってきれいに引き裂いて注出口部10を開封することができた。
そして、注出口部10の開封と同時に、いずれの包装体も開口部の形状が若干異なるものの、自動的に注出口部10が筒状に保形性よく開口した。
特に、実施例3の包装体は、注出口部10の開口端が水平方向にカットされているので、注出口部をボトルの口部に差込む操作も一層容易で特に使用適性に優れていた。
2 底面フィルム折り返し部
3a 、3b 底面フィルム切り欠き部
4 ガセット部
5 底部シール部
6a 、6b 側部シール部
7 注出口部シール部
8 上部シール部
9a 、9b 切り欠き部
10 注出口部
11 ハーフカット線
12a 、12b ノッチ
13 下部シール部
14 樋状の熱成形部
15 三角形状の凹凸
20 成形金型
21 雄型
22 雌型
50、50′ テープ状のシート材
a 熱接着性樹脂の層
b 熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層
c 接着層
B 注出口部の基部を示す線
C 注出口部の中心線
100、200、300 注出口部付き袋
Claims (6)
- 積層フィルム製の袋の一端に狭い幅の注出口部が設けられた注出口部付き袋において、該注出口部の両面の積層フィルムのうち、少なくとも片面の積層フィルムの内面に、テープ状のシート材が貼着されると共に、少なくとも該注出口部の領域において、該シート材とその外側の積層フィルムとが、外側に膨らむ樋状に熱成形されて溶着され、更に、該樋状の熱成形部の表面には、内容物の注出方向を示す三角形状の凹凸が設けられていることを特徴とする注出口部付き袋。
- 前記テープ状のシート材が、2層以上の積層体で形成され、袋の注出口部に貼着される側の層が熱接着性樹脂で形成され、その反対側の層が該熱接着性樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の注出口部付き袋。
- 前記テープ状のシート材が着色されていることを特徴とする請求項1または2に記載の注出口部付き袋。
- 前記注出口部の開封位置に易開封性手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の注出口部付き袋。
- 前記袋が、スタンディングパウチ形式の袋で、前記注出口部が該袋の上部の一方のコーナー部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の注出口部付き袋。
- 前記注出口部が、袋の上部の一方のコーナー部に斜め外側上方を向くように設けられると共に、該注出口部の開封位置の開封線が、水平方向に設定され、該注出口部の積層フィルムの内面に貼着されたテープ状のシート材の長さ方向の端部も該開封線に合わせて水平方向にカットされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の注出口部付き袋。
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