JP4894317B2 - 注出口部付き袋 - Google Patents
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Description
しかし、このような注出口部付き袋は、安価で生産性に優れる点では好ましいが、注出口部の開口性や開口部の保形性が悪く、内容物注出の途中などで注出口部が閉塞しやすく、内容物の注出適性の点では劣る問題があった。
具体例として、例えば、(1)袋の注出口部のフィルム材料に流路を形成するための溝状の窪みを設け、その溝状の窪みにプラスチック製などの小管を固定して、流路が潰れるのを防止すると共に、前記小管を通して中味を空にできるようにした袋がある(特許文献1参照)。
また、(2)パウチの上部の一部に注出口部を設け、その注出口部の内面に、装着時は偏平な形状で、使用時に筒状に起こして注出口部を開口できる補強部材を装着した詰め替え用パウチがある(特許文献2参照)。
しかし、このような袋でも、その製造の際、注出口部のフィルム材料に深絞り成形などで溝状の窪みを設け、その中に前記小管を挿入してスポット溶接などで固定しているので、製造の工程数が増し、製造装置が複雑になると同時に生産速度も抑制される。また、前記小管は、円筒状で硬さがあり、その外径が5mm程度以上は必要となるため、袋の注出口部のみが嵩張り、空袋の取り扱いや保管が厄介になるほか、内容物を充填する際の充填シール機における空袋の供給装置についても特別な装置が必要となり、全体として設備費の増大と生産速度の抑制などコストアップの要因が多く、更に品質面においても小管が硬いため、その端部で袋のフィルム材料が傷つけられやすいという問題があった。
しかし、このような詰め替え用パウチでも、製造後、保存日数が数カ月以上の長期になると、徐々に補強部材の起こしトルクが高くなり、使用時に注出口部を角筒状に起こしにくくなる問題があり、必ずしも満足できるものではなかった。
即ち、請求項1に記載した発明は、積層フィルム製の袋の一端に狭い幅の注出口部がヒートシールパターンにより設けられた注出口部付き袋において、前記注出口部の両面の積層フィルムの内面に、互いに異なる長さのテープ状シート材が熱接着され、一方の面の前記テープ状シート材の長さを前記注出口部の先端側の開封位置から前記注出口部の基部までの長さとし、もう一方の面の前記テープ状シート材の長さを前記注出口部の前記開封位置から前記基部よりも更に袋の中心部に向けて10〜30mmの範囲の長さを延長して設けると共に、それぞれの前記テープ状シート材とその外側の前記積層フィルムとが、外側に膨らむ樋状に熱成形されて溶着されていることを特徴とする注出口部付き袋からなる。
また、袋の注出口部の積層フィルムの内面に熱接着される前記テープ状シート材は、注出口部の積層フィルムの内面に、その全面、またはパターン状などにその一部で熱接着した後、外側の積層フィルムと共に、外側に膨らむ樋状に熱成形して溶着させるものである。
従って、前記テープ状シート材は、前記熱成形が可能であると同時に、積層フィルムの最内層(シーラント層)と熱接着可能であることが必要であり、この点から、特に限定はされないが、プラスチックの単体または積層体などで形成され、少なくとも袋の積層フィルムに熱接着される面は、積層フィルムのシーラント層と熱接着が可能なポリオレフィン系などの熱接着性樹脂で形成することが好ましい。
また、このようなテープ状シート材は、袋の注出口部の両面の積層フィルムの内面に熱接着して樋状に熱成形することがより好ましいが、片面の積層フィルムの内面のみに前記のように熱接着して樋状に熱成形するだけでも、注出口部を筒状に保形性よく開口させ、また、注出口部の基部近辺での折れ曲がりによる注出口部の閉塞を防止する点で相当な効果を得ることができる。
(1)袋自体は積層フィルムで形成されているので、その積層構成の選定により、密封性のほか、各種の強度、内容物の保存性など、袋に必要とされる各種の性能を優れたものにすることができる。
(2)袋の注出口部の両面の積層フィルムの内面には、互いに異なる長さのテープ状シート材が熱接着されると共に、それぞれのテープ状シート材とその外側の積層フィルムとが、少なくとも該注出口部の領域において、外側に膨らむ樋状に熱成形されて溶着されているので、例えば、一方の面のテープ状シート材の長さを注出口部の先端側の開封位置から注出口部の基部までの長さとし、もう一方の面のテープ状シート材の長さを注出口部の前記開封位置から基部よりも更に袋の中心部に向けて10〜30mm程度延長した長さに設けることにより、注出口部自体は、その剛性が高められると共に、外側に膨らむ樋状に熱成形さた両面のテープ状シート材により筒状に形成される。従って、充填された内容物を取り出す際には、注出口部の先端部をその開封位置で切り取って開封するだけで、注出口部が自動的に筒状に保形性よく開口し、液状の内容物が充填されている場合でも、注出の途中で注出口部が閉塞することがなく、最後までスムーズに注出することができる。また、前記注出口部の開封位置からその基部よりも更に袋の中心部に向けて10〜30mm程度延長した長さに設けたテープ状シート材により、注出口部の基部近辺での折れ曲がりによる注出口部の閉塞も防止することができる。
この場合、一方のテープ状シート材を注出口部の開封位置から注出口部の基部までの長さとし、もう一方のテープ状シート材よりも短くしているので、その分、テープ状シート材の使用量を少なくすることができ、コストメリットを得ることができる。
(3)前記テープ状シート材は、厚みを適宜に調節でき、且つ材質もポリオレフィン系樹脂が主体で格別硬いものではないので、袋の積層フィルムを傷つけることがない。また、樋状に熱成形された注出口部は、経時的に多少の成形の戻りはあるが、大部分は維持されるので、注出口部の開口性が経時的に悪くなることもない。
(1)この場合も、袋自体は積層フィルムで形成されているので、その積層構成の選定により、密封性のほか、各種の強度、内容物の保存性など、袋に必要とされる各種の性能を優れたものにすることができる。
(2)また、袋の注出口部の両面の積層フィルムの内面のうち、一方の内面には少なくとも注出口部の先端側の開封位置から基部までの長さにテープ状シート材が熱接着され、もう一方の内面には該テープ状シート材と同じ長さのテープ状シート材が、その接着位置を袋の内部側に移動させて熱接着されると共に、それぞれのテープ状シート材とその外側の積層フィルムとが、少なくとも該注出口部の領域において、外側に膨らむ樋状に熱成形されて溶着されているので、例えば、一方の面のテープ状シート材を注出口部の先端側の開封位置から注出口部の基部までの長さに熱接着し、もう一方のテープ状シート材を、前記と同じ長さでその接着位置を袋の内部側に移動させて、その一方の一部が前記テープ状シート材と重なり、もう一方の端部が注出口部の基部よりも袋の中心部側に突き出すように熱接着することができる。このようにテープ状シート材を熱接着することにより、注出口部を筒状に保形性よく開口させる効果は、注出口部の両面にテープ状シート材を熱接着した場合よりもやや低下するが、相当の効果はあり、また、注出口部の基部近辺での折れ曲がりによる注出口部の閉塞を防止する効果は、前記接着位置を袋の内部側に移動させて熱接着したテープ状シート材により十分に得ることができる。
従って、この場合も、充填された内容物を取り出す際には、注出口部の先端部をその開封位置で切り取って開封するだけで、注出口部が自動的に筒状に保形性よく開口し、液状の内容物が充填されている場合でも、注出の途中で注出口部が閉塞することがなく、また、注出口部の基部近辺で折れ曲がって注出口部が閉塞することもなく、最後までスムーズに内容物を注出することができる。
また、注出口部に熱接着されるテープ状シート材は、その両方が注出口部の開封位置からその基部までの長さであり、両者とも短くしているのでその使用量を一層少なくすることができ、コストメリットを一層大きくできる。
(3)前記テープ状シート材は、厚みを適宜に調節でき、且つ材質もポリオレフィン系樹脂が主体で格別硬いものではないので、袋の積層フィルムを傷つけることもない。また、樋状に熱成形された注出口部は、経時的に多少の成形の戻りはあるが、大部分は維持されるので、注出口部の開口性が経時的に悪くなることもない。
また、前記注出口部を該袋の上部の一方のコーナー部に設けているので、内容物の注出操作を容易にできると同時に、袋の上部のうち、注出口部を設けていない部分を内容物の充填口に使用できるので、比較的広い幅の充填口とすることができ、内容物の充填も容易に行うことができる。
図1は、本発明の注出口部付き袋の注出口部に熱接着し、熱成形して用いるテープ状シート材の構成を説明する拡大図であり、(イ)は、その平面図、(ロ)、(ハ)、(ニ)は、それぞれ(イ)のA−A線の模式断面図である。
図2は、本発明の注出口部付き袋の製造において、注出口部の積層フィルムの内面にテープ状シート材を接着した後、そのシート材と外側の積層フィルムとを外側に膨らむ樋状に熱成形して溶着させる際に用いる成形用金型の一例の構成を示す要部の図であり、(イ)は、その雄型と雌型とが離れた時の状態を示す斜視図、(ロ)は、雄型と雌型の間に前記テープ状シート材と積層フィルムとが挿入され、熱プレス成形される時の状態を示す断面図である。
図3、図4は、それぞれ本発明の注出口部付き袋の一実施例の構成を示す模式正面図である。
図5は、図3に示した注出口部付き袋の注出口部のA−A線模式拡大断面図であり、注出口部の膨らみ形状の一例を示す断面図である。
図6は、図4に示した注出口部付き袋の注出口部のA−A線模式拡大断面図であり、注出口部の膨らみ形状の一例を示す断面図である。
このようなテープ状シート材50は、例えば、図1の(イ)のA−A線の模式断面図である(ロ)、(ハ)、(ニ)に示すような層構成を採ることができる。
即ち、(ロ)に示したテープ状シート材50a は、袋の積層フィルムの内面のシーラント層に熱接着性を有する熱接着性樹脂の層aの単独の層で形成したものである。
(ハ)に示したテープ状シート材50b は、前記熱接着性樹脂の層aとその熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層bとの2層の積層体で形成したものである。
また、(ニ)に示したテープ状シート材50c は、前記熱接着性樹脂の層aと、熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層bとの間に、接着層cを設けた3層の積層体で形成したものである。
また、前記その他の熱成形可能な材料としては、例えば、アルミニウム箔などの金属箔も使用することができる。
また、図1の(ニ)に示したテープ状シート材50c のように、シート材を、熱接着性樹脂の層aと、熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層bとの間に、接着層cを設けた3層の積層体で形成する場合、中間層の接着層cは、積層体の製造方法に応じて選定すればよく、例えば、ドライラミネート用の1液または2液硬化型の接着剤のほか、押し出しラミネートなどに使用されるポリエチレン系またはポリプロピレン系などの接着性樹脂を使用することができる。
シート材50の厚みが0.15mm未満の場合は、シート材50を外側の積層フィルムと共に外側に膨らむ樋状に熱成形した際の成形部の剛性、保形性の向上効果が少なくなるため好ましない。また、シート材50の厚みが1mmを超える場合は、前記成形部の剛性、保形性の向上効果は既に十分でありその必要性がなく、むしろ熱成形に時間が掛かり生産性が低下し、材料費を含めて製造コストがアップするため好ましくない。
シート材50の着色方法は、例えば、シート材50のシート成形の際に、樹脂に着色剤を練り込む方法が簡便であり、特に、シート材50を2層以上の積層体で形成する場合は、いずれか一層を着色すればよいので全層を着色するよりもコストアップを抑制することができる。
このほかシート材50を、図1の(ニ)に示したような構成で、熱接着性樹脂の層aと、熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層bとをドライラミネート法や押し出しラミネート法で積層するような場合は、例えば、いずれか一方の積層面に印刷などの手段で着色しておいて積層してもよい。
着色する色は、光学的に検知できる色であれば特に限定はされないが、例えば、青色、赤色などを好適に使用することができる。
特に単層または多層の押し出し成形法で製造する場合は、所定の幅wのテープ状シート材50を1列で成形して巻き取り状に製造することもできるが、全体的には多列の広幅の巻き取り状に作製しておいて、スリッターにより所定の幅wにカットして個々の巻き取りを製造する方法が効率的で生産性に優れている。
また、3層で形成する場合は、例えば、多層共押し出し成形法を採り、袋の注出口部に熱接着される側の熱接着性樹脂の層aを低密度ポリエチレンで形成し、その反対側の熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層bをポリプロピレンの層で形成し、中間層の接着層cは両者の接着性を向上させるプロピレン系などの接着性樹脂の層で形成することができる。
図2の(イ)に示した成形用金型20は、熱プレス成形に用いるもので、横型半円柱状の成形凸部を備えた雄型21と、横型半円柱状の成形凹部を備えた雌型22とで構成されており、雄型21と雌型22の間に、袋の注出口部の積層フィルム1、1′の内面の所定の位置に、図1の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)に示したような構成のテープ状シート材50(50a 、50b 、50c )がその熱接着性樹脂の層a面を対向させてその全面、またはパターン状などにその一部で熱接着され、予め予備加熱された被成形物を導入し、雄型21と雌型22とで加熱加圧して、図2の(ロ)の断面図に示すように、テープ状シート材50、50′の流れ方向に沿ってその中央部が半円筒形で外側に膨らむ樋状になるように熱成形すると共に、シート材50、50′とその外側の積層フィルム1、1′とを溶着させるものである。
尚、雄型21と雌型22の熱プレス成形部の形状に関しては、図示したような横型半円柱状の成形凸部と凹部に限らず、成形部を外側に膨らむ樋状に形成できる形状であれば何でもよく、例えば、成形部の断面が台形、三角形、表面に波形の凹凸を設けた半円形などに成形できる任意の形状とすることができる。
図3に示した注出口部付き袋100は、スタンディングパウチ形式の袋を利用して作製したものであり、袋の底部を、前後の壁面の積層フィルム1、1′の下部の間に底面の積層フィルムを内側に折り返して底面フィルム折り返し部2まで挿入してなるガセット部4を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面の積層フィルムの両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部3a 、3b を設け、ガセット部4を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部5でヒートシールして形成し、袋の胴部は、前後の壁面の積層フィルム1、1′の両側の端縁部を側部シール部6a 、6b でヒートシールして形成すると共に、袋100の上部の一方のコーナー部(図において左側のコーナー部)には、その外周を注出口部シール部7でヒートシールしてなる先細り形状で斜め外側上方を向く狭い幅の注出口部10が、その両側に切り欠き部9a 、9b を設けて突出する形状に設けられている。
また、注出口部10の前後の積層フィルム1、1′のうち、前面側の積層フィルム1の内面には、テープ状シート材50を、予め注出口部10の中心線Cに沿って、その先端側の開封位置よりも僅かに内側の位置から注出口部10の基部(注出口部の基部を示す線B参照)近辺までの長さに熱接着すると共に、両者を外側に膨らむ樋状に熱成形して溶着させ、また、背面側の積層フィルム1′の内面には、前記テープ状シート材50よりも長さを更に長くしたテープ状シート材50′を、予め注出口部10の中心線Cに沿って、その先端側の開封位置よりも僅かに内側の位置から注出口部10の基部(線B)よりも20mm程度袋の中心部側に延長した長さに熱接着すると共に両者を外側に膨らむ樋状に熱成形して溶着させておき、更に、注出口部10の先端側の開封位置には、易開封性手段として、ハーフカット線11とその上側の端部にノッチ12a を設けて構成したものである。
尚、袋100の上部のうち、注出口部10を設けていない部分は、上部シール部8でヒートシールするが、この部分は、内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールするものである。
また、前記テープ状シート材50、50′としては、前記図1の(ロ)、(ハ)、(ニ)の断面図に示したように、単層のシート材50a 、2層構成のシート材50b 、3層構成のシート材50c のうち、いずれの積層構成のシート材を用いてもよい。
前記ハーフカット線11は、3本の平行なハーフカット線で示したが、特に限定はされず、1本、或いは、2本でもよく、また、開封時に引き裂きラインが中心のハーフカット線から外れた時の対策として、中心のハーフカット線の両側に各1本〜各3本など複数のハーフカット線を平行に、または中心のハーフカット線に収斂する形状に、或いは、複数の平行なハーフカット線とこれに斜めに交差する斜め方向のハーフカット線とを組み合わせた形状など、任意の形状に設けることができる。
このようなハーフカット線を設ける方法は、レーザー光照射による方法が、凹凸面に対しても安定した深さに設けられると共に、複数のハーフカット線を任意の形状に容易に設けられる点で好ましい。
図4に示した注出口部付き袋200は、前記図3に示した注出口部付き袋100の構成において、注出口部10の前後の積層フィルム1、1′の内面に熱接着し、樋状に熱成形して溶着させたテープ状シート材50、50′の長さと接着位置のみを以下のように変更したほかは、総て図3に示した注出口部付き袋100と同様に形成して構成したものである。
即ち、注出口部10の前後の積層フィルム1、1′のうち、前面側の積層フィルム1の内面には、図3に示した注出口部付き袋100の場合と同様に、テープ状シート材50を注出口部10の先端側の開封位置(ハーフカット線11を設けた位置)よりも僅かに内側の位置から注出口部10の基部近辺までの長さに熱接着して外側に膨らむ樋状に熱成形して溶着させ、また、背面側の積層フィルム1′の内面には、前記テープ状シート材50と同じ長さのテープ状シート材50′を、その熱接着位置を注出口部の中心線Cに沿い、且つ袋200の中心部側に移動させた位置、即ち、テープ状シート材50′の先端側はその一部が前記テープ状シート材50と重なり、もう一方の端部は注出口部10の基部(線B)よりも袋の中心部側に10mm以上突出した位置となるように移動させて熱接着すると共に、外側に膨らむ樋状に熱成形して溶着させて構成したものである。
尚、テープ状シート材50′の熱成形に際しては、テープ状シート材50′が熱接着されている部分のみを外側に膨らむ樋状に熱成形してもよいが、更にその先端側のテープ状シート材50′が熱接着されていない積層フィルム1′のみの部分も注出口部10の開封位置まで延長して外側に膨らむ樋状に熱成形してもよい。
即ち、図5に示した注出口部は、図3において、注出口部10の前面側の積層フィルム1の内面にテープ状シート材50を熱接着し、また、背面側の積層フィルム1′の内面にテープ状シート材50′を熱接着し、それぞれのテープ状シート材50、50′の幅方向の中央部を外側の積層フィルム1、1′と共に、図2の(イ)に示したような雄型21と雌型22からなる成形用金型20を用いて、その断面が外側に半円形に膨らむ樋状となるように熱成形してそれぞれのテープ状シート材50、50′と積層フィルム1、1′を溶着させた後、それぞれの樋状成形体をそのテープ状シート材50、50′同士を対向させて重ね合わせ、その外周(図5では両側の端縁部)を注出口部シール部7でヒートシールして、注出口部10をその断面が円形状となる円筒状に形成したものである。
このような注出口部の膨らみ形状は、上記円筒状のほか、楕円筒状、四角形、六角形、八角形などの角筒状など任意の筒状に形成することができる。
只、上記注出口部10の背面側の積層フィルム1′のみの部分も、断面が半円形に外側に膨らむ樋状に熱成形することは可能であり、そうした場合は、保形性はやや劣るものの断面が円形に近い筒状に注出口部を形成することができる。
本発明の注出口部付き袋に用いる積層フィルムは、主にプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられ、簡単な構成では、基材フィルム層にシーラント層を積層した構成の積層フィルムが用いられるが、袋に充填される内容物や、内容物充填後の加熱処理の有無などの使用条件、或いは、水蒸気その他のガスバリヤー性、遮光性、各種の機械的強度など必要とされる性能に応じて、更に上記基材フィルム層とシーラント層との間などに水蒸気その他のガスバリヤー層や、遮光層、強度向上層などを積層した構成の積層フィルムを使用することができる。
上記基材フィルム層や水蒸気その他のガスバリヤー層、遮光層、強度向上層、シーラント層などは、それぞれを単独の層で形成してもよいが、複数の層を積層して形成してもよい。
これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用することもできる。
これらのうち、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着層を設けたフィルムは、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
前記強度向上層としては、前記基材フィルムのいずれかを適宜追加積層してもよく、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層を兼ねて積層することもできる。
前記基材フィルム層と、ガスバリヤー層、遮光層、強度向上層との積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
シーラント層の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を押し出しコートして積層する方法などを採ることができる。但し、内容物がシーラント層に浸透しやすいものの場合は、ドライラミネーション法で積層することが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(1)壁面の積層フィルム1,1′の構成
(外側)二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルムと記載する)(厚み15μm)/接着剤/アルミニウム蒸着(蒸着厚み400Å)二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、アルミ蒸着PETフィルムと記載する)(厚み12μm)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(以下、L・LDPEフィルムと記載する)(厚み120μm)
(2)底面の積層フィルムの構成
(外側)ONフィルム(厚み15μm)/接着剤/アルミ蒸着PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/L・LDPEフィルム(厚み90μm)
上記各フィルムの貼り合わせは、いずれもドライラミネーション法で行ったものであり、各フィルムの間の接着剤は、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用したものである。
テープ状シート材50、50′の構成は、図1の(ハ)に示した2層の積層構成で袋の積層フィルムの内面に熱接着される側の熱接着性樹脂の層aは、低密度ポリエチレン層(厚み120μm)とし、反対側の層bは、中密度ポリエチレン層(厚み140μm)として総厚みが260μmとなるように形成した。
テープ状シート材50、50′の幅は、両者とも12mmで共通とし、長さはテープ状シート材50が注出口部の開封位置よりも1mm程度内側から注出口部の基部までの長さとし、テープ状シート材50′は注出口部の開封位置よりも1mm程度内側から注出口部の基部(基部を示す線B)よりも20mm袋の中心部側に延長した長さとした。
(4)注出口部付き袋100の寸法、および注出口部10へのテープ状シート材50、50′の取り付け方法
袋100の寸法は、全幅が135mmで、全長が225mm、底部のガセット部4の折り込み長さは37mmとした。
注出口部10は、図示した形状で、注出口部シール部7に示した形状の最大部の幅が40mmで、最大部の長さが55mmとなる大きさに設けた。細部については、ハーフカット線11を設けた位置の全幅が24mmで、注出口部10の先細り角度は、略36°とした。
次いで、テープ状シート材50、50′とその外側の積層フィルム1、1′とを、図2に示したような成形金型20を用いて、外側に膨らむ半円筒形の樋状に熱プレス成形して溶着させた。
尚、上記熱プレス成形は、テープ状シート材50、50′の幅方向の両側端縁部各1.5mm程度を除いた中央部を長さ方向に半円筒形の樋状になるように熱成形した。
また、ハーフカット線11は、中心のハーフカット線の両側に各3本の平行なハーフカット線をそれぞれ0.7mm間隔で設け、更に、この平行なハーフカット線と斜めに交差する斜め方向のハーフカット線2本をX字状に設けた形状に形成した。
注出口部付き袋100を以上のように作製して実施例1の注出口部付き袋とした。
注出口部10の前面側の積層フィルム1の内面には、実施例1と同様に、注出口部の開封位置よりも1mm程度内側から注出口部の基部(基部を示す線B)までの長さのテープ状シート材50をその位置に熱接着して取り付け、背面側の積層フィルム1′の内面には、前記テープ状シート材50と同じ長さのテープ状シート材50′を、注出口部の中心線Cに沿って、その先端側は長さ5mm程度が前記テープ状シート材50と重なり、もう一方の端部が注出口部の基部を示す線Bよりも15mm程度袋の中心部側に突き出す位置に熱接着して取り付けた後、両側のテープ状シート材50、50′をそれぞれ外側の積層フィルム1、1′と共に、実施例1と同様に、外側に膨らむ樋状に熱成形して実施例2の注出口部付き袋を作製したものである。
以上のように作製した実施例1、2の注出口部付き袋の注出適性を評価するため、それぞれの注出口部付き袋に、未シールの上部シール部8から内容物として液体洗剤を約400ml充填した後、上部シール部8をヒートシールして袋を密封した。
上記のように作製した実施例1、2の注出口部付き袋による包装体は、いずれも安定した自立性を有し、外観もよく取り扱い性にも優れていた。
次に、各包装体に充填された液体洗剤の注出適性試験を行うため、各包装体の注出口部10の先端部を摘んでノッチ12a を始点としてハーフカット線11に沿って引き裂いたところ、いずれもハーフカット線11に沿ってきれいに引き裂いて注出口部10を開封することができた。
そして、注出口部10の開封と同時にいずれの包装体も、開口部の形状は実施例1の包装体が円形で、実施例2の包装体は半円形のように異なるものの、自動的に注出口部10が筒状に保形性よく開口した。
2 底面フィルム折り返し部
3a 、3b 底面フィルム切り欠き部
4 ガセット部
5 底部シール部
6a 、6b 側部シール部
7 注出口部シール部
8 上部シール部
9a 、9b 切り欠き部
10 注出口部
11 ハーフカット線
12a 、12b ノッチ
13 下部シール部
14 接着部
20 成形用金型
21 雄型
22 雌型
50、50′、50a 、50b 、50c テープ状シート材
a 熱接着性樹脂の層
b 熱接着性樹脂の層aの樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料の層
c 接着層
B 注出口部の基部を示す線
C 注出口部の中心線
100、200 注出口部付き袋
Claims (5)
- 積層フィルム製の袋の一端に狭い幅の注出口部がヒートシールパターンにより設けられた注出口部付き袋において、前記注出口部の両面の積層フィルムの内面に、互いに異なる長さのテープ状シート材が熱接着され、一方の面の前記テープ状シート材の長さを前記注出口部の先端側の開封位置から前記注出口部の基部までの長さとし、もう一方の面の前記テープ状シート材の長さを前記注出口部の前記開封位置から前記基部よりも更に袋の中心部に向けて10〜30mmの範囲の長さを延長して設けると共に、それぞれの前記テープ状シート材とその外側の前記積層フィルムとが、外側に膨らむ樋状に熱成形されて溶着されていることを特徴とする注出口部付き袋。
- 積層フィルム製の袋の一端に狭い幅の注出口部がヒートシールパターンにより設けられた注出口部付き袋において、該注出口部の両面の積層フィルムの内面のうち、一方の内面には少なくとも注出口部の先端側の開封位置から基部までの長さにテープ状シート材が熱接着され、もう一方の内面には該テープ状シート材と同じ長さのテープ状シート材が、その接着位置を袋の内部側に移動させて熱接着されると共に、それぞれのテープ状シート材とその外側の積層フィルムとが、少なくとも該注出口部の領域において、外側に膨らむ樋状に熱成形されて溶着されていることを特徴とする注出口部付き袋。
- 前記テープ状シート材が、2層以上の積層体で形成され、袋の注出口部に熱接着される側の層が熱接着性樹脂で形成され、その反対側の層が該熱接着性樹脂よりも融点の高い樹脂またはその他の熱成形可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の注出口部付き袋。
- 前記注出口部の開封位置に易開封性手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の注出口部付き袋。
- 前記袋が、スタンディングパウチ形式の袋で、前記注出口部が該袋の上部の一方のコーナー部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の注出口部付き袋。
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