以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明をする。
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態として示す駐車支援装置の構成について説明をする。図1に示すように駐車支援装置は、カメラ装置11と、車輪速センサ12と、操舵角センサ13と、モニタ14と、スピーカ15と、インヒビターSW(スイッチ)16と、超音波センサ17と、制御ユニット20とを備えており車両に搭載される。図1に示す駐車支援装置は、駐車動作における車両の現在位置に応じて運転者の注意を喚起する注意喚起情報を適宜選択し、選択した注意喚起情報を強調して提示することで車両の後退駐車を支援することができる。これにより、駐車支援装置は、当該駐車支援装置による後退駐車の支援がない場合であっても後退駐車させることの運転技術を運転者に常に保ち続けることができるように学習させることができる。
なお、以下の説明において、駐車支援装置を搭載した車両は、車両を駐車する目標となる駐車枠線が形成された駐車場内に、駐車枠線内に収まるように他の車両と並列に後退駐車すること(以下、単に並列後退駐車と呼ぶ。)を想定するものとするが、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、車両が、後退しながら縦列に駐車する場合にも適用することができる。
駐車枠線は、主に隣り合う左右に駐車される他の車両との駐車間隔を規定しながら駐車場内の所定の位置に設けられ、車両の駐車位置を規定している白線などである。さらに、駐車枠線は、白線などにより車両の後方の駐車位置を規定するようにしてもよい。また、各駐車枠線内には、後退駐車した際に車両が後退しすぎないように、車両の後退を規定する輪留めなどが設けられている。
本発明の実施の形態として示す駐車支援装置は、大まかに分類していくつかの動作工程を経て、目標となる目標駐車位置まで車両を移動させることができる。
ここで、駐車支援装置を用いて、車両を並列後退駐車させる場合の各動作工程について説明をする。駐車支援装置を用いて車両を並列後退駐車させるには、初期位置セット動作、内側アプローチ動作、外側アプローチ動作、車両を駐車させる場所の駐車枠線に対する平行動作、左右ギャップ均等動作、後退動作を車両に要求する必要がある。
(1)初期位置セット動作は、車両が前進して後退を開始する位置へと車両を停車させるまでの動作工程である。
(2)内側アプローチ動作は、車両が後退を開始してから、旋回した際に車両の内側となる後輪が駐車枠線の先端付近に達するまで車両を動作させる動作工程である。
(3)外側アプローチ動作は、車両が旋回した際に内側となる後輪が駐車枠線の先端付近に達してから、旋回により外側となる車両の後端部を、隣接して駐車された車両、または駐車枠線と接触しないように車両を動作させる動作工程である。
(4)駐車枠線に対する平行動作は、車両の後輪が左右の駐車枠線内に存在し、且つ車両の前後方向と駐車枠線の長手方向とのなす角度が略平行となるまで車両を動作させる動作工程である。
(5)左右ギャップ均等動作は、車両が左右の駐車枠線間に存在し、且つ車両の左右方向にある隣接車又は駐車枠線までの距離が略均等になるまで車両を動作させる動作工程である。
(6)後退動作は、車両が駐車枠線と略平行で且つ左右間のギャップも均等になった状態から、自車両の後端部を駐車枠線の後端部又は輪留め、若しくは後方に存在する障害物との距離が所定位置以下となるまで真っ直ぐに車両を後退させるよう動作させる動作工程である。
カメラ装置11は、車両の特に後方に搭載された車載カメラであり、車両の駐車しようとする目標となる駐車枠線と輪留めなど自車両の周囲環境の様子を撮影可能なように設置されている。カメラ装置11は、撮像素子として、例えば、小型で高画質の画像を撮像することができるCCD(Charge Coupled Devices)などを用いている。カメラ装置11で撮影された車両後方画像は、電気信号として制御ユニット20に出力される。
車輪速センサ12は、車両の左右輪(前後どちらでも可)に設置され、車輪速度を検出する。車輪速センサ12は、検出した車輪速度を制御ユニット20に出力する。
これにより制御ユニット20は、出力された車輪速度に基づき、自車両の移動距離と旋回方向を検出する。具体的には、制御ユニット20は、左右後輪のセンサ出力を比較して、出力パルスの少ないほうが移動距離が少ない、即ち旋回半径が小さいものとして出力パルスの小さい車輪が内側となって旋回していること(旋回方向)を検出する。
操舵角センサ13は、図示しないステアリングホイール近傍に設置され、運転者によるステアリングホイールの操作量とその方向を検出する。操舵角センサ13で検出された検出値は、制御ユニット20へと出力される。
モニタ14は、車両に搭載され、制御ユニット20によって生成された運転者への駐車支援を指示する表示画像を表示させる車載モニタである。モニタ14は、例えば、液晶ディスプレイなどであり、主に運転者であるユーザに視認し易い位置に設置される。また、モニタ14の表示パネルは、タッチパネルになっていてもよい。
スピーカ15は、モニタ14と同じく車両に搭載され、制御ユニット20で生成された運転者への駐車支援を指示する音声や警報音を出力する。
インヒビターSW16は、オートマチックのシフトレバーのシフトポジションを感知するスイッチであり、シフトレバーに設置される。例えば、インヒビターSW16は、車両のシフトレバーが、D(ドライブ)レンジがらR(リバース)レンジにシフトチェンジされた事を検出して、制御ユニット20へ出力すると、制御ユニット20は、内側アプローチ工程の開始を把握する。
超音波センサ17は、センサヘッドから超音波を発信し、対象物で反射してくる超音波を再度センサヘッドで受信し、この音波の発信から受信までの時間を計測することで対象物の位置を検出する。超音波センサ17は、車両の後端部(右方向、左方向、後方向など)に設置され、車両が駐車する目標となる駐車枠線の左右に存在する隣接車両の存在を検出する。超音波センサ(後)は自車両後部に真後ろに向けて設置され、自車両が駐車する駐車枠の奥行き方向に存在する障害物を検出する。超音波センサ17で検出された検出値は、制御ユニット20へと出力される。
制御ユニット20は、第1検出部21と、演算処理部22と、自車両位置検出部23と、記憶部24と、第2検出部25と、提示画像生成部26と、次ステップ移行判断部27と、次ステップ移行命令出力部28とを備えている。 制御ユニット20は、駐車支援装置を統括的に制御する制御部であり、カメラ装置11、車輪速センサ12、操舵角センサ13、インヒビターSW16、超音波センサ17からの出力を用いて、後退駐車に関する所定の処理を実行した結果をモニタ14、スピーカ15から出力させるように制御する。
第1検出部21は、カメラ装置11で撮影された映像に基づき、車両を並列後退駐車させる際の各動作工程において所定の駐車枠線の検出、距離検出などを実行する。
演算処理部22は、第1検出部の検出結果に応じて、車両を並列後退駐車させる際の各動作工程において実行される所定の演算処理を実行する。
自車両位置検出部23は、第1検出部21(旋回内側枠線先端検出機能)で検出された駐車枠線の先端を基準に、車輪速センサ12、操舵角センサ13の出力に基づき自車両の現在位置を検出する。
記憶部24は、書き込み読み出しが自在なRAM(Random Access Memory)などであり、車両を並列後退駐車させる際の各動作工程において用いられる情報を記憶する。
第2検出部25は、超音波センサ17で検出される検出値に基づき、車両を並列後退駐車させる際の各動作工程において、自車両の所定の部位と隣接する他の車両との距離を検出する。
提示画像生成部26は、車両を並列後退駐車させる際の各動作工程において、運転者へ提示する画像、すなわち車両に搭載されたモニタ14で出力表示させる画像を生成する。
次ステップ移行判断部27は、車両を並列後退駐車させる際の各動作工程において、所定の動作工程を実行したかどうかを判断する。そして、次ステップ移行判断部27は、判断結果に応じて、次ステップ移行命令出力部28へその旨を出力する。
次ステップ移行命令出力部28は、次ステップ移行判断部27の判断結果に応じて、次ステップへと移行するようモニタ14、スピーカ15へと命令を出力する。
旋回外側後端軌跡演算部29は、操舵角センサ13の出力に基づいて、記憶部24に記憶された後端位置の後退軌跡を演算して提示画像生成部26、次ステップ移行判断部27へと出力する。
続いて、図2に示すフローチャートを用いて、駐車支援装置の処理動作について簡潔に説明をする。
(1:初期位置セット動作)
ステップS1において、運転者は、車両を駐車させる場所、つまり車両の駐車目標位置となる駐車枠線を決定する。
ステップS2において、車両に搭載されたカメラ装置11で駐車枠線を撮影する。これに応じて制御ユニット20は、駐車枠線の先端から車両が後方に旋回した際に内側となる後輪までの距離と、現在の自車両の前後方向に延びる線分と駐車枠線の長手方向とのなす角度を検出する。
ステップS3において、制御ユニット20は、ステップS2で検出した角度情報から自車両に近い初期位置を演算しモニタ14へ表示させるよう制御する。この初期位置が並列後退駐車をする際の後方進行する際の開始位置となる。なお、初期位置の設定手法については、同一出願人による特開2006−160147号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
ステップS4において、制御ユニット20は、自車両の現在位置を検出する。
ステップS5において、制御ユニット20は、ステップS3で演算した初期位置とステップS4で検出した自車両の位置とを比較して一致するかどうかを判断する。制御ユニット20は、一致した場合にはステップS6へと処理を進める一方、一致しなかった場合にはステップS4へと処理を戻す。
ステップS6において、制御ユニット20は、車両の自車両位置と初期位置とが一致していることに応じて、車両の前進を停止させる旨をモニタ14、スピーカ15といった外部出力装置を介して教示する。
(2:内側アプローチ動作)
ステップS7において、制御ユニット20は、図示しない自車両のシフトレバーのシフトポジションがドライブ(D)からリバース(R)へ変更されたかどうかを判断する。制御ユニット20は、リバース(R)へ変更された場合にはステップS8へと進み、リバース(R)変更されなかった場合には、当該ステップS7へと処理を戻し、リバース(R)への変更を待機する状態を継続する。
ステップS8において、制御ユニット20は、自車両が旋回する際に内側となる後輪と、この後輪と同じ側に存在する駐車枠線の車両に近い側の先端位置とをモニタ14を介して強調表示させる。具体的には、制御ユニット20は、上記箇所を点滅させたり、変色させるなどして強調表示させる。これにより、自車両が旋回する際に内側となる後輪を駐車枠線の先端位置を目標としながら後退するように教示し、注意を喚起することができる。
ステップS9において、制御ユニット20は、カメラ装置11で撮影された画像から駐車枠線の先端から自車両の後輪との距離を検出する。
ステップS10において、制御ユニット20は、ステップS9で検出した駐車枠線の先端から自車両の後輪との距離が所定値(例えば、50cm程度)以下となったかどうかを判断する。制御ユニット20は、上述した距離が所定値以下になった場合、ステップS11へと処理を進める一方、所定値よりも長い場合、ステップS9へと処理を戻し、所定値以下になるまで待機状態を継続する。
(3:外側アプローチ動作)
ステップS11において、制御ユニット20は、自車両が旋回する際に外側となる後端部(例えば、リアバンパー)の位置と、この旋回外側に位置する隣接車両の外周線とをモニタ14を介して強調表示させる。具体的には、制御ユニット20は、上記箇所を点滅させたり、変色させるなどして強調表示させる。これにより、自車両が旋回する際に外側となる後端部を隣接する車両に接触することなく後退するように注意を喚起することができる。
ステップS12において、制御ユニット20は、操舵角センサ13から出力される操舵角に基づき自車両が後退する後退軌跡を演算する。そして、制御ユニット20は、車両が旋回した際に外側に位置する隣接車両の外周線を検出する。
ステップS13において、制御ユニット20は、ステップS12で検出した自車両が後退する後退軌跡が、隣接車両の外周線に接触するかどうかを判断する。制御ユニット20は、接触しないと判断した場合、ステップS14へと処理を進める一方、接触すると判断した場合、ステップS12へと戻り自車両の位置が変化するのを待機する状態を継続する。
(4:駐車枠線に対する平行動作、5:左右ギャップ均等動作)
ステップS14において、制御ユニット20は、カメラ装置11で撮影された画像から検出した左右の駐車枠線と、自車両前の前後方向を示す直線表示図形(例えば、矢印図形など)とをモニタ14を介して強調表示させる。具体的には、制御ユニット20は、上記箇所を点滅させたり、変色させるなどをして強調表示させる。これにより、旋回後に自車両が駐車枠線と平行となったかどうかを教示し、注意を喚起することができる。
ステップS15において、制御ユニット20は、カメラ装置11で撮影された画像から自車両の左右のそれぞれの端部から左右の駐車枠線までの距離となす角度を検出する。
ステップS16において、制御ユニット20は、ステップS15で検出した自車両の左右のそれぞれの端部と、駐車枠線とのなす角度が略平行かどうかを判断する。制御ユニット20は、上述した角度が略平行の場合にはステップS17へと処理を進める一方、略平行でない場合にはステップS15へと処理を戻し、平行となるのを待機する状態を継続する。
ステップS17において、制御ユニット20は、ステップS15で検出された自車両の左右のそれぞれの端部から左右の駐車枠線又は隣接車用までの距離が、右側と左側とで略均等になっているかどうかを判断する。制御ユニット20は、略均等の場合はステップS19へと処理を進める一方、略均等でない場合はステップS18へと処理を進める。
ステップS18において、制御ユニット20は、ステップS17の判断に応じて、距離が広い方の駐車枠線を強調表示する。これにより、車両の左右端部と、それぞれの駐車枠線との距離を右と左とで略均等になるように教示し、注意を喚起することができる。
(6:後退動作)
ステップS19において、制御ユニット20は、ステップS17の判断に応じて、自車両の後端部(例えば、リアバンパー)と、駐車位置の奥行きを規定する駐車枠線の後端とをモニタ14を介して強調表示させる。具体的には、制御ユニット20は、上記箇所を点滅させたり、変色させるなどして強調表示させる。これにより、自車両の後端部を駐車枠線の後端に合わせるよう教示し、注意を喚起することができる。
ステップS20において、制御ユニット20は、自車両の後端部と、駐車枠線の後端との距離を検出する。なお、駐車枠線の後端に代えて駐車枠線の後端方向に存在する壁などの後方障害物を検出するようにしてもよい。
ステップS21において、制御ユニット20は、自車両の後端部と、駐車枠線の後端との距離が所定値(例えば、10cm)以下になったかどうかを判断する。制御ユニット20は、上述した距離が所定値以下となった場合、ステップS22へと処理を進める一方、所定値よりも長い場合、ステップS20へと処理を戻し、所定値以下になるまで待機状態を継続する。
ステップS22において、制御ユニット20は、車両の後退進行を停止させる指示をモニタ14、スピーカ15を介して出力する。これにより、車両の後進を停止させる旨をモニタ14、スピーカ15といった外部出力装置を介して教示する。
なお、以下の説明において、本発明の実施の形態として示す駐車支援装置では、モニタ表示として自車両周囲に設置した複数のカメラ装置で撮影した映像を画像処理することで、視点変換させた俯瞰画像を用いて説明をするが、本発明はこのようにモニタ表示させる画像の種別よって限定されるものではない。
続いて、図2に示すフローチャートを用いて簡潔に説明した駐車支援装置の処理動作である、上述した(1)〜(6)の各動作工程について詳細に説明をする。
[1:初期位置セット動作]
初期位置セット動作工程は、図1に示した駐車支援装置の制御ユニット20の各機能部のうち、図3に示すような機能を利用することで実現できる。
まず、制御ユニット20の第1検出部21は、旋回内側枠線先端検出機能と、自車両旋回内側後輪〜旋回内側枠先端距離検出機能と、自車両前後方向〜駐車枠線のなす角度検出機能を有している。
旋回内側枠線先端検出機能は、カメラ装置11で撮影した駐車枠線の映像に対して画像処理を行い自車両旋回方向内側にある駐車枠線の先端(自車両の後部に近い端部)を検出する機能である。
自車両旋回内側後輪〜旋回内側枠先端距離検出機能は、カメラ装置11で撮影した駐車枠線映像と旋回内側枠線先端検出部で検出した駐車枠線端部から、自車両旋回方内側にある後輪位置までの距離を検出する機能である。カメラ装置11の固定位置が既知なので、カメラ装置11位置〜枠線先端と、カメラ装置11位置〜自車両旋回内側後輪位置とが算出でき、枠線先端〜自車両旋回内側後輪位置が算出できる。
自車両前後方向〜駐車枠線のなす角度検出機能は、カメラ装置11で撮影した駐車枠線映像から画像処理を行い駐車枠線を抽出し、その長手方向と自車両前後方向とのなす角度を検出する機能である。カメラ装置11の固定位置が既知なので、その光軸と自車両前後方向のなす角度は算出可能な固定値となる、次にカメラ装置11の光軸と画像処理で抽出した駐車枠線長手方向とのなす角度を検出して、自車両前後方向と駐車枠線長手方向とのなす角度が算出できる。
記憶部24は、自車両の旋回内側後輪位置記憶機能と、自車両の最小回転半径記憶機能と、自車両の画像記憶機能を有している。
自車両の旋回内側後輪位置記憶機能は、自車両のカメラ装置11の設置位置(複数ある場合には各々の設置場所)と自車両左右後輪との位置関係(車両のXYZ軸方向の距離)を記憶する機能である。記憶部24は、検出された位置情報を、第1検出部21の自車両旋回内側後輪〜旋回内側枠先端距離検機能などへ出力する。
自車両の最小回転半径記憶機能は、自車両左右後輪位置と自車両左右後端部の後退時の最小回転半径を記憶する機能である。
自車両の画像記憶機能は、自車両形状を記憶する機能であり、記憶部24は、自車両を上方より俯瞰した画像を提示画像生成部26へと出力する。
次に、演算処理部22は、初期位置演算機能を有しており、第1検出部21からの出力に基づき、初期位置を演算して表示画像を提示画像生成部26及び次ステップ移行判断部27へ出力する。なお、初期位置の演算手法については、同一出願人による特開2006−160147号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
自車両位置検出部23は、第1検出部21で検出された駐車枠線の先端を基準に、車輪速センサ12と操舵角センサ13の出力に基づき自車両の位置を検出する。
提示画像生成部26は、演算処理部22で演算された初期位置と、記憶部24に記憶された自車両画像とから、運転者へ提示する画像生成して、生成した画像をモニタ14へと出力する。
次ステップ移行判断部27は、演算処理部22で演算された初期位置と、自車両位置検出部23で検出された自車両位置とを監視する。次ステップ移行判断部27は、自車両位置が初期位置に到達したか否かを判断し、到達した場合に次ステップ移行命令出力部28へとその旨を出力する。
次ステップ移行命令出力部28は、初期位置への駐車ステップが終了し、次の駐車ステップへ移行する旨をモニタ14、スピーカ15を介して出力し、制御ユニット20を次ステップの処理へと切り替える。
続いて、図4に示すフローチャートと図5乃至図8を用いて、初期位置セット動作の処理動作について説明をする。説明のため駐車支援装置は、図5乃至図8に示す車両30に搭載されているものとする。
まず、ステップS31において、運転者は、図5に示す紙面に向かって左方向から進行してきた車両30を所定の場所へと駐車するために、車両30に搭載された駐車支援装置の起動スイッチを投入しオン状態にする。
ステップS32において、車両30の周囲に設置された複数のカメラ装置11によって駐車枠線を撮影し、撮影した画像を制御ユニット20の第1検出部21へと出力する。第1検出部21は、出力された画像を画像処理することで、図5に示すような紙面に向かって左側の駐車枠線L1、右側の駐車枠線R1と、その先端部L1S,R1Sとを検出する。
ステップS33において、演算処理部22は、初期位置演算機能により、ステップS32で検出された駐車枠線L1,R1と、先端部L1S,R1Sを基準として、後退進行するための初期位置を設定する。なお、初期位置の設定手法については、同一出願人による特開2006−160147号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
ステップS34において、提示画像生成部26は、記憶部24に記憶された図5(a)に示すような自車両の俯瞰画像に、カメラ装置11で撮影された駐車枠線L1,R1、運転者の注意を喚起する注意喚起情報としてステップS33で設定された初期位置を強調表示した初期位置F1を重畳してモニタ14を介して表示させる。このとき、提示画像生成部26は、右側の駐車枠線R1から所定距離(例えば、50cm)離れた位置に平行に存在する直線HLを接線とし、記憶部24に記憶された自車両の最小回転半径をRとする複数の円弧線CLn(nは、自然数)を同時に表示させる。なお、図5(a)中には、円弧線CLnをn=6とし6本のみしか表示させていないが、実際には無数に存在するものとする。また、初期位置F1に一致させる車両30の先端部であるフロントバンパー31の位置も、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として選択して強調表示させる。
図5(a),(b)にも示すように、駐車枠線L1,R1の外側には、既に駐車している他の車両40,50の俯瞰画像も表示されている。
ステップS35において、自車両位置検出部23は、車輪速センサ12からの出力に応じて、車両30が移動したかどうかを判断する。自車両位置検出部23は、車両30の移動があった場合は処理をステップS36へと進める一方、車両30が移動がなかった場合には、ステップS35へと処理を戻し移動するまで待機状態を継続する。
ステップS36において、自車両位置検出部23は、車輪速センサ12の出力値と、カメラ装置11で撮像された画像から駐車枠線L1,R1の先端部L1S,R1Sを基準として移動後の自車両の位置を特定する。特に自車両の旋回する内側に存在する後輪の設置位置を特定する。
ステップS37において、提示画像生成部26は、記憶部24より車両30の画像を読み出し、車両30の移動に応じてモニタ14に表示している車両30の位置を更新する。
ステップS38において、次ステップ移行判断部27は、車両30の先端部(例えば、フロントバンパー31)が初期位置F1に到達したかどうかを判断する。このとき、次ステップ移行判断部27は、車両30の旋回方向の後輪、図5(b)では、右に旋回するため右側の後輪32が円弧線CLn上に交差することなく接しているかどうかも判断する。次ステップ移行判断部27は、車両30が初期位置F1に到達し、且つ円弧線CLn上に後輪32が接している場合、ステップS39へと処理を進める一方、そうでない場合にはステップS36へと処理を戻し、初期位置F1への到達を待機する状態を継続する。
ステップS39において、次ステップ移行命令出力部28は、後退を開始してから、自車両位置検出部23により出力される車両の現在位置に応じて、車両30を一旦停車するようモニタ14、スピーカ15を介して指示し、初期位置セット動作を終了する。
図6(a),(b)は、図5とは逆に、紙面に向かって右方向から進行してきた車両30を所定の場所へと駐車する際の様子を示した図である。この場合も、左右が逆になっているだけで、上述した図4に示したフローチャートを用いて説明した場合と全く同じで処理動作となるため説明を省略する。
このように、運転支援装置は、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として、車両30の一部を示す情報であるフロントバンパー31の画像情報と、周囲環境に関する情報である初期位置F1の画像情報とを選択し、モニタ14を介して強調して提示することで、後退駐車を支援しながら、駐車動作における初期位置セット動作を運転者に学習させることができる。
図7(a),(b)は、初期位置F1を設定することなく、図7(a)に示すように、車両30の後退駐車する際の旋回方向の後輪32の接地位置近傍に、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として矢印図形Y1を表示させて、この矢印図形Y1を参照しながら、車両30を所定の場所へと駐車するように支援する。具体的には、図7(b)に示すように、モニタ14を介して矢印図形Y1をモニタ14を介して強調表示させ、同じく旋回内側となる駐車枠線R1の車両進入側の端部である先端部R1Sをモニタ14を介して強調表示させる。図7(b)は、矢印図形Y1を円弧線CLnに交差することなく接線となるように初期位置へとセットさせた様子を示した図であり、注意喚起情報として選択し強調表示させた矢印図形Y1と先端部R1Sとの位置関係から駐車動作における後退進行の初期位置を把握することができる。
これにより運転者は、旋回方向の後輪側の接地位置近傍に表示させた画像情報である矢印図形Y1と、同じく画像情報である先端部R1Sの位置関係を参照しながら、円弧線CLnに交差することなく沿うように運転操作することで、確実に所望の場所へと駐車することができる。
例えば、運転技術に習熟していない初心者の場合には、上述した図5,6を用いて説明したように、初期位置F1をモニタ14上に表示させることで、後退を開始する位置を確実に把握することができる。
また、運転技能の上達にともない、初期位置F1の表示をやめ、図7に示すように旋回方向の後輪32の接地位置近傍に矢印図形Y1と、駐車枠線R1の先端部R1Sを強調表示させて、矢印図形Y1と先端部R1Sとの関係だけで後退駐車を支援することで、駐車支援装置への依存度を徐々に低減させていく。これにより初期位置F1を頼りに後方への移動を開始するようにするのではなく、より現実に近い後輪32の接地位置近傍に表示された矢印図形Y1に基づき後退進行させるようにすることで、モニタ14を介して提示される駐車支援装置による後退進行動作への依存度を段階的に低減させることができる。
最終的には、モニタ14に表示される図形などに頼ることなく後退進行する際の旋回方向の後輪の位置に着目しながら運転を実現するように運転技能を習熟させることができる。
図8(a),(b)は、図7とは逆に、紙面に向かって右方向から進行してきた車両30を所定の場所へと駐車する際の様子を示した図である。この場合も、左右が逆になっているだけで、上述した図4に示したフローチャートを用いて説明した場合と全く同じ処理動作となるため説明を省略する。
このように、運転支援装置は、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として、車両30の一部を示す情報である旋回しながら後退する際の内側となる後輪の接地位置の画像情報である矢印図形Y1と、周囲環境に関する情報である先端部R1S(L1S)の画像情報とを選択し、モニタ14を介して強調して提示することで、後退駐車を支援しながら、駐車動作における初期位置セット動作を運転者に学習させることができる。
[2:内側アプローチ動作]
内側アプローチ動作工程は、図1に示した駐車支援装置の制御ユニット20の各機能部のうち、図9に示すような機能を利用することで実現できる。
まず、制御ユニット20の第1検出部21は、旋回内側枠線先端検出機能を有している。
旋回内側枠線先端検出機能は、カメラ装置11で撮影した駐車枠線の映像に対して画像処理を行い自車両旋回方向内側にある駐車枠線の先端(自車両の後部に近い端部)を検出する。
記憶部24は、自車両の旋回内側後輪位置記憶機能と、自車両の画像記憶機能を有している。
自車両の旋回内側後輪位置記憶機能は、自車両のカメラ装置11設置位置(複数ある場合には各々の設置場所)と自車両左右後輪との位置関係(車両のXYZ軸方向の距離)を記憶する機能である。記憶部24は、検出された位置情報を、次ステップ移行判断部27などへ出力する。
自車両の画像記憶機能は、自車両形状を記憶する機能であり、記憶部24は、自車両を上方より俯瞰した画像を提示画像生成部26へと出力する。
次に、演算処理部22は、PB(ピボット)エリア設定機能を有しており、第1検出部からの出力、インヒビターSW16からの出力に基づき、シフトレバーのD(ドライブ)レンジがらR(リバース)レンジへと切り替えられたことに応じて、第1検出部21で検出された駐車枠線の先端を中心として、車両の旋回により最小半径Rを所定値(例えば、50cm)とする半円を描いた場合に形成される半円エリアを設定する。この場合に描かれる半円エリアの半円は、円弧が駐車枠線L1,R1間を向いている。演算処理部22は、PBエリア設定機能により設定された半円エリアを提示画像生成部26、次ステップ移行判断部27に出力する。
提示画像生成部26は、演算処理部22より出力された半円エリアを記憶部24に記憶された自車両画像とから運転者へ提示する画像を生成してモニタ14へと出力する。
次ステップ移行判断部27は、演算処理部22で演算された半円エリアと、自車両位置検出部23で検出された自車両位置とを監視する。次ステップ移行判断部27は、自車両位置が半円エリアに到達したか否かを判断し、到達した場合に次ステップ移行命令出力部28へとその旨を出力する。
次ステップ移行命令出力部28は、内側アプローチへの動作ステップが終了し、次の駐車ステップへと移行する旨をモニタ14、スピーカ15を介して出力し、制御ユニット20を次のステップへの処理へと切り替える。
続いて、図10に示すフローチャートと図11、図12を用いて内側アプローチ動作の処理動作について説明をする。説明のため駐車支援装置は、図11、図12に示す車両30に搭載されているものとする。
ステップS41において、車両30の周囲に設置された複数のカメラ装置11によって駐車枠線を撮影し、撮影した画像を制御ユニット20の第1検出部21へ出力する。第1検出部21は、出力された画像を画像処理することで、図11に示すような紙面に向かった左側の駐車枠線L1、右側の駐車枠線R1とを、先端部L1S,R1Sとを検出する。
ステップS42において、演算処理部22は、PBエリア設定機能により、ステップS41で検出された先端部R1Sを中心にして、駐車枠線L1、駐車枠線R1との間に駐車枠線L1方向を円弧とするような最小半径R(例えば、50cm)の半円エリアCFを設定する。
ステップS43において、提示画像生成部26は、記憶部24に記憶された図11(a)に示すような自車両の俯瞰画像に、カメラ装置11で撮影された駐車枠線L1,R1、ステップS42で設定されたエリアを運転者の注意を喚起する注意喚起情報として強調表示した半円エリアCFを重畳してモニタ14を介して表示させる。
ステップS44において、自車両位置検出部23は、車輪速センサ12からの出力に応じて、車両30が移動したかどうかを判断する。自車両位置検出部23は、車両30の移動があった場合は処理をステップS45へと進める一方、車両30の移動がなかった場合には、ステップS44へと処理を戻し移動するまで待機状態を継続する。
ステップS45において、自車両位置検出部23は、車輪速センサ12の出力値と、カメラ装置11で撮像された画像から駐車枠線L1,R1の先端部L1S,R1Sを基準として移動後の自車両の位置を特定する。具体的には、図11(a)に示すように、車両30の旋回の内側となる後輪32の接地位置の画像情報を運転者の注意を喚起する注意喚起情報として強調表示する。
ステップS46において、提示画像生成部26は、記憶部より車両30の画像を読み出し、車両30の移動に応じてモニタ14に表示している車両30の位置を更新する。
ステップS47において、次ステップ移行判断部27は、車両30の旋回側の後輪32が図11(b)に示すように、半円エリアCFに到達しかどうか判断する。次ステップ移行判断部27は、後輪32が半円エリアCFに到達した場合、ステップS48へと処理を進める一方、到達していない場合、ステップS45へと処理を戻し、半円エリアCFへの到達を待機する状態を継続する。
ステップS48において、次ステップ移行命令出力部28は、半円エリアCFへと後輪32が進入したことに応じて、所望の駐車位置への車両30の後退進行において、外側アプローチ動作へと移行して、旋回外側の後輪の位置に注意するようモニタ14、スピーカ15を介してして指示し、内側アプローチ動作を終了する。
図12(a),(b)は、図11とは逆に、紙面に向かって右方向から進行してきた車両30を所定の場所へと駐車する際の様子を示した図である。この場合も、左右が逆になっているだけで、上述した図10に示したフローチャートを用いて説明した場合と全く同じ処理動作となるため説明を省略する。
このように、運転支援装置は、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として、車両30の一部を示す情報である旋回しながら後退する際の内側となる後輪32の接地位置の画像と、周囲環境に関する情報である半円エリアCFの画像情報とを選択し、モニタ14を介して強調して提示することで、後退駐車を支援しながら、駐車動作における内側アプローチ動作を運転者に学習させることができる。
[3:外側アプローチ動作]
外側アプローチ動作工程は、図1に示した駐車支援装置の制御ユニット20の各機能部のうち、図13に示すような機能を利用することで実現できる。
まず、制御ユニット20の第1検出部21は、旋回外側枠線検出機能を有している。旋回外側枠線検出機能は、カメラ装置11で撮影した駐車枠線の映像に対して画像処理を行い自車両旋回方向外側にある駐車枠線を検出する。
記憶部24は、自車両の旋回外側後端位置記憶機能と、自車両の画像機能を有している。
自車両の旋回外側後端位置記憶機能の後端位置とは、例えば、リアバンパーなどを示している。自車両の旋回外側後端位置記憶機能は、自車両のカメラ装置11の設置位置(複数ある場合には各々の設置場所)と自車両左右後端、具体的にはリアバンパーの左右後端部との位置関係を記憶する機能である。
自車両の画像記憶機能は、自車両形状を記憶する機能であり、記憶部24は、自車両よを上方より俯瞰した画像を提示画像生成部26へと出力する。
第2検出部25は、右隣接車両までの距離検出機能と、左隣接車両までの距離検出機能と、旋回外側隣接車両検出機能とを有している。
右隣接車両までの距離検出機能は、超音波センサ(右)の出力を受けて駐車枠線の右隣接車両までの距離を検出する。左隣接車両までの距離検出機能は、超音波センサ(左)の出力を受けて駐車枠線の左隣接車両までの距離を検出する。
旋回外側隣接車両検出機能は、左右の車輪速センサ12の出力の差から求めた旋回方向の外側に存在し、かつ右隣接車両までの距離検出機能、左隣接車両までの距離検出機能により検出された旋回外側の隣接車両の位置(距離)を特定して提示画像生成部26、次ステップ移行判断部27へと出力する。
旋回外側後端軌跡演算部29は、操舵角センサ13の出力に基づいて、記憶部24に記憶された自車両の旋回外側後端位置の後退軌跡を演算して提示画像生成部26、次ステップ移行判断部27へと出力する。
提示画像生成部26は、第1検出部21で検出された外側駐車枠線又は第2の検出部で検出された隣接車の外周と、記憶部24に記憶された自車両画像と、旋回外側後端軌跡演算部29で演算された操舵角に基づいた後退軌跡とから、運転者へ提示する画像を生成して生成した画像をモニタ14へと出力する。
次ステップ移行判断部27は、第1検出部21で検出された外側駐車枠線又は第2検出部で検出された隣接車の外周と、自車両位置検出部23で検出された自車両位置と、旋回外側後端軌跡演算部29演算された操舵角に基づいた後退軌跡とから、自車両と外側隣接車両の接触の可能性を判断し、接触しないと判断された場合に次ステップ移行命令出力部28へとその旨を出力する。
次ステップ移行命令出力部28は、外側アプローチへの動作ステップが終了し、次の駐車ステップへと移行する旨をモニタ14、スピーカ15を介して出力し、制御ユニット20を次のステップへの処理へと切り替える。
続いて、図14、図15に示すフローチャートと図16乃至図19を用いて、外側アプローチ動作の処理動作について説明をする。説明のため、駐車支援装置は、図16乃至図19に示す車両30に搭載されているものとする。
まず、図14に示すフローチャートを用いて説明をする。図14に示すフローチャートでは、旋回時において、旋回外側の隣接車両に接触しないことが確認できた時点で次の動作ステップへと移行する処理動作となっている。
ステップS51において、車両30の周囲に設置された複数のカメラ装置11によって、駐車枠線を撮影し、撮影した画像を制御ユニット20の第1検出部21へ出力する。第1検出部21は、出力された画像を画像処理することで、図16(a),(b)に示すような紙面に向かった左側の駐車枠線L1を検出する。
ステップS52において、第2検出部25は、車両30の左右後端部に設置された超音波センサ17で旋回の外側の隣接車両の距離を検出し、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として隣接車両の外周線(輪郭線)T1を検出する。
ステップS53において、操舵角センサ13によって、自車両の操舵角を検出する。
ステップS54において、旋回外側後端軌跡演算部29は、ステップS53で検出された操舵角に基づき自車両の後端部のうち旋回により外側となる箇所である後端軌跡を算出する。
ステップS55において、図16(a),(b)に示すように、ステップS53で検出された旋回の外側の隣接車の外周線(輪郭線)T1の画像情報と、ステップS54で算出された後端部の軌跡である後端軌跡T2の画像情報とを運転者の注意を喚起する注意喚起情報としてモニタ14に重畳して表示させる。
ステップS56において、次ステップ移行判断部27は、旋回の外側の隣接車の外周線(輪郭線)T1と、後端軌跡T2とが接触しているか否かを判断する。次ステップ移行判断部27は、外周線(輪郭線)T1と、後端軌跡T2とが接触していない場合にはステップS57へと処理を進める一方、接触している場合にはステップS53へと処理を戻し、操舵角センサ13によって検出される操舵角が変化するのを待機する状態となる。
初期位置から正しく後退進行できた場合、車両30の左右方向は、図17に示すように、駐車枠線L1,R1のそれぞれから等距離DL,DRを保ちながら所望の駐車位置へと後方進入していくことになる。
ステップS57において、次ステップ移行命令出力部28は、外周線(輪郭線)T1と、後端軌跡T2とが接触していないことに応じて、所望の駐車位置への車両30の後退進行において、自車両の後方を注意するようモニタ14、スピーカ15を介して指示し、外側アプローチ動作を終了する。
ところで、ステップS56では、自車両の操舵角での後退進行の軌跡が、旋回外側の隣接車両に接触しない、すなわち操舵角を保持した状態で後退することが確認できた時点で次のステップS57へと移行しているが、図15のフローチャートに示すように、実際に車両の旋回外側後端(リアバンパーの端など)が旋回外側に存在する隣接車両を回避した時点で次の処理ステップへと移行するようにすることもできる。
図15に示すフローチャートは、図14に示すフローチャートのステップS56の処理ステップが異なるだけであるため、相違する処理ステップのみについて説明をし重複する処理ステップについては説明を省略をする。
ステップS61において、次ステップ移行判断部27は、車輪速センサ12からの出力に応じて車両30が移動したかどうかを判断する。次ステップ移行判断部27は、車両30が移動したと判断した場合にはステップS62へと処理を進める一方、車両30が移動していないと判断した場合にはステップS61へと処理を戻し、車両30の移動を待機する状態を継続する。
ステップS62において、次ステップ移行判断部27は、車輪速センサ12からの出力と、カメラ装置11で撮影された駐車枠線を基準にした車両30の位置、特に車両30の旋回外側後端部の位置を特定する。
ステップS63において、提示画像生成部26は、車両30の位置を基準にして駐車枠線、または隣接車両輪郭線との相対的な位置変化を反映させるようモニタ14の表示を更新する。
ステップS64において、次ステップ移行判断部27は、旋回外側に位置する隣接車両輪郭線との接触を回避したかどうかを判断する。具体的には、超音波センサ17により車両30と隣接車両との距離を測定し、出力値変化(微分値)を監視して、増加し始めたら距離が広がっているとして回避動作が実行されていると判断する。次ステップ移行判断部27は、回避動作が実行されたと判断した場合には、ステップS57へと処理を進める一方、回避動作が実行されていないと判断した場合には、ステップS62へと処理を戻す。
図18(a),(b)、図19は、図16(a),(b)、図17とは逆に、紙面に向かって右方向から進行してきた車両30を所定の場所へと駐車する際の様子を示した図である。この場合も、左右が逆になっているだけで、上述した図14、図15に示したフローチャートを用いて説明した場合と全く同じ処理動作となるため説明を省略する。
このように、運転支援装置は、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として、車両30の進行方向に関する情報である旋回しながら後退する際の外側となる後端部の後端軌跡の画像情報である後端軌跡T2と、周囲環境に関する情報である旋回の外側に位置する隣接車両の外周線の画像情報である外周線(輪郭線)T1とを選択し、モニタ14を介して強調して提示することで、後退駐車を支援しながら、駐車動作における外側アプローチ動作を運転者に学習させることができる。
[4:駐車枠線に対する平行動作、5:左右ギャップ均等動作]
駐車枠線に対する平行動作工程、左右ギャップ均等動作工程は、図1に示した駐車支援装置の制御ユニット20の各機能部のうち、図20に示すような機能を利用することで実現できる。
第1検出部21は、左右の駐車枠線検出機能と、駐車枠線迄の距離検出機能と、自車両前後方向〜駐車枠線のなす角度検出機能とを有している。
左右の駐車枠線検出機能は、カメラ装置11で撮影した駐車枠線の映像に対して画像処理を行い左右の駐車枠線を検出する。駐車枠線迄の距離検出機能は、左右の駐車枠線検出機能から取得された情報に基づき、自車両の左右側面から左右の駐車枠線までの距離を検出する。検出された距離情報は、演算処理部22に出力される。
自車両前後方向〜駐車枠線のなす角度検出機能は、カメラ装置11で撮影した駐車枠線の映像に対して画像処理を行い駐車枠線を抽出し、その長手方向と自車両前後方向とのなす角度を検出し演算処理部22へ出力する。
第2検出部25は、右隣接車両までの距離検出機能と、左隣接車両までの距離検出機能と、旋回外側隣接車両検出機能とを有している。
右隣接車両までの距離検出機能は、超音波センサ(右)の出力を受けて駐車枠線の右隣接車両までの距離を検出する。左隣接車両までの距離検出機能は、超音波センサ(左)の出力を受けて駐車枠線の左隣接車両までの距離を検出する。各検出情報は、演算処理部22へと出力される。
演算処理部22は、左右ギャップ比較判断機能と、平行判断機能とを有している。
左右ギャップ比較判断機能は、第1検出部による駐車枠線までの距離検出結果、又は、第2検出部からの右隣接車両、左隣接車両までの距離検出結果に基づいて、自車両側面と左右の駐車枠線、又は左右の隣接車両との距離を比較して、左右ギャップの差が所定値以下かを判断する。例えば、所定値が10cm以下の場合は、次ステップ移行判断部27へ出力する。
平行判断機能は、第1検出部21の自車両前後方向〜駐車枠線のなす角度検出機能と、自車両位置検出部23との結果に基づいて、自車両前後方向と駐車枠線長手方向とのなす角度が所定値以下であるのかを判断する。例えば、所定値が10度以下の場合は次ステップ移行判断部27へ出力する。
自車両位置検出部23は、車輪速センサ12と操舵角センサ13出力に基づいた自車両の位置を検出し演算処理部22部へ出力する。
提示画像生成部26は、演算処理部22の左右ギャップ比較判断機能と平行判断機能と、記憶部24の自車両の画像記憶部の自車両画像とから運転者へ提示する画像を生成して生成した画像をモニタ14へと出力する。
次ステップ移行判断部27は、演算処理部22の左右ギャップ比較判機能と平行判断機能とを監視して、自車両左右のギャップが均等でかつ、自車両前後方向が駐車枠線の長手方向と平行となっているかどうかを判断し、条件が満たされた場合に次ステップ移行命令出力部28へとその旨を出力する。
次ステップ移行命令出力部28は、駐車枠線に対する平行動作ステップ、左右ギャップ均等動作ステップが終了し、次の駐車ステップへと移行する旨をモニタ14、スピーカ15を介して出力し、制御ユニット20を次のステップへの処理へと切り替える。
続いて、図21、図22に示すフローチャートと、図23,24を用いて、駐車枠線に対する平行動作工程、左右ギャップ均等動作工程について説明をする。説明のため駐車支援装置は、図23,24に示す車両30に搭載されているものとする。また、図21のフローチャートに示す処理工程と、図22に示す処理工程とは、それぞれシリアルで実行されてもよいし、互いにパラレルで実行されてもよい。
まず、図21に示すフローチャートを用いて、駐車枠線に対する平行動作工程について説明をする。図21に示すように、ステップS71において、車両30の周囲に設置された複数のカメラ装置11によって、駐車枠線を撮影し、撮影した画像を制御ユニット20の第1検出部21へと出力する。第1検出部21は、出力された画像を画像処理することで、図23(a)に示すような紙面に向かって左側の駐車枠線L1、右側の駐車枠線R1を検出し、検出した駐車枠線L1,R1の中間に位置し駐車枠線L1,R1と平行な線分SLと、自車両前後方向(自車両の進行方向)を示す矢印MLとのなす角度θを検出する。これは、カメラ装置11の光軸方向と駐車枠線L1,R1とのなす角度から検出することができる。
なお、図23(a)は、駐車枠線L1,R1と車両30とが平行となっていない状態を示している。
ステップS72において、制御ユニット20は、駐車枠線L1,R1の画像情報と、自車両前後方向(自車両の進行方向)を示す矢印MLの画像情報とを運転者の注意を喚起する注意喚起情報として選択し、モニタ14を介して強調表示させる。具体的には、制御ユニット20は、上記箇所を点滅させたり、変色させるなどして強調表示させる。
ステップS73において、制御ユニット20の演算処理部22は、駐車枠線L1,R1の中間に位置し駐車枠線L1,R1と平行な線分SLと、自車両前後方向の矢印MLとのなす角度θが所定値(例えば、10度)以下となっているかどうかを判断する。つまり、演算処理部22は、駐車枠線L1,R1に車両30のY軸が平行となっているかどうかを判断する。演算処理部22は、所定値以下の場合、ステップS75へと処理を進める一方、所定値よりも大きい場合、ステップS74へと処理を進める。
ステップS74において、演算処理部22は、駐車枠線L1,R1と、矢印MLとの点滅周期や色といった表示方法を変化させて平行ではないことを運転者に通知する。
ステップS75において、演算処理部22は、駐車枠線L1,R1と、矢印MLとの点滅周期や色といった表示方法を変化させて、平行になったことを運転者に通知する。これにより駐車枠線に対する平行動作工程を終了する。
なお、図23(a)に示すような状態となった場合、モニタ14に表示されている駐車枠線R1を強調表示することで、この方向にステアリングホイールを切って前進し、駐車枠線R1と平行にするように教示する。または、シフトレバーがR状態となっていれば駐車枠線L1を強調表示して、この方向にステアリングホイールを切って後退し駐車枠線と平行にするように教示する。
このように、運転支援装置は、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として、車両30の進行方向に関する情報である矢印MLの画像情報と、周囲環境に関する情報である駐車枠線L1,R1の画像情報とを選択し、モニタ14を介して強調して提示することで、後退駐車を支援しながら、駐車動作における駐車枠線に対する平行動作を運転者に学習させることができる。
次に、図22に示すフローチャートを用いて、左右ギャップ均等動作工程について説明をする。図22に示すように、ステップS81において、車両30の周囲に設置された複数のカメラ装置11によって駐車枠線を撮影し、撮影した画像を制御ユニット20の第1検出部21へと出力する。第1検出部21は、出力された画像を画像処理することで、図23(a)に示すような紙面に向かって左側の駐車枠線L1、右側の駐車枠線R1とを検出する。また、車両30の後端部の左右に設置された超音波センサ17は、左右の隣接車を検出する。
ステップS82において、第1検出部21は、検出した左右の駐車枠線L1,R1までの距離を検出する。また、第2検出部25は、超音波センサ17からの出力に基づき左右の隣接車までの距離を検出する。
ステップS83において、演算処理部22は、車両30の左側の駐車枠線L1又は左側の隣接車両までの距離と、車両30の右側の駐車枠線R1又は左側の隣接車両までの距離である左右のギャップを比較する。
ステップS84において、演算処理部22は、左右のギャップ、つまり図23(b)に示す自車両左側のギャップDLと、自車両右側のギャップDRとの差が所定値(例えば10cm)以下となり左右のギャップが均等になっているかどうか、さらには、どちらのギャップが大きいのかを判断する。
なお、図23(b)では、車両30と左右の駐車枠線L1,R1とのギャップが左右均等となっていない状態を示している。
演算処理部22は、左右のギャップが均等となっている場合にはステップS85へと処理を進め左側のギャップが大きい場合には、ステップS87へと処理を進め、右側のギャップが大きい場合にはステップS86へと処理を進める。
ステップS85において、提示画像生成部26は、左右のギャップが均等となっていることに応じて、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として駐車枠線L1,R1のどちらもモニタ14を介して強調表示させる。具体的には、制御ユニット20は、上記箇所を点滅させたり、変色させるなどして強調表示させる。これにより、左右のギャップが均等であることを運転者に教示することができる。そして、左右ギャップ均等動作工程を終了する。
ステップS86において、提示画像生成部26は、右側のギャップが大きいことに応じて、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として駐車枠線R1をモニタ14を介して強調表示させる。これにより、右側のギャップが大きいことを運転者に教示することができる。ステップS86を終了すると、ステップS81へと処理を戻す。
ステップS87において、提示画像生成部26は、左側のギャップが大きいことに応じて、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として駐車枠線L1をモニタ14を介して強調表示させる。これにより、左側のギャップが大きいことを運転者に教示することができる。ステップS87を終了すると、ステップS81へと処理を戻す。
なお、図23(b)に示すような状態となった場合、モニタ14に表示されている駐車枠線R1を強調表示して、この方向にステアリングホイールを切って前進し、左右ギャップを均等にする旨を教示する。あるいは、シフトレバーR状態であれば、駐車枠線L1を強調表示して、この方向にステアリングホイールを切って後退し、左右ギャップを均等にする旨を教示する。
また、ステップS86、ステップS87では、ギャップの大きい側の駐車枠線L1,R1を強調表示させるようにしたが、逆にギャップの小さい側の駐車枠線L1,R1を強調表示するようにしてもよい。
図24(a),(b)は、図23(a),(b)とは逆に、紙面に向かって右方向から進行してきた車両30を所定の場所へと駐車する際の様子を示した図である。この場合も、左右が逆になっているだけで、上述した図21、図22に示したフローチャートを用いて説明した場合と全く同じ処理動作となるため説明を省略する。
このように、運転支援装置は、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として、車両30の一部に関する情報と、周囲環境に関する情報とに基づき、車両30の左側端部から左側端部近傍の駐車枠線L1又は隣接車両までの距離と、車両30の右側端部から右側端部近傍の駐車枠線R1又は隣接車両までの距離とが均等であるかどうかを示すように駐車枠線L1,R1の画像情報を選択し、モニタ14を介して強調して提示することで、後退駐車を支援しながら、駐車動作における左右ギャップ均等動作を運転者に学習させることができる。
[6:後退動作]
後退動作工程は、図1に示した駐車支援装置の制御ユニット20の各機能部のうち、図25に示すような機能を利用することで実現できる。
まず、制御ユニット20の第1検出部21は、駐車枠線後端部検出機能を有している。
駐車枠線後端部検出機能は、カメラ装置11で撮影した駐車枠線の映像に対して画像処理を行い、自車両から最も遠い端部である駐車枠線の奥行き方向の端部、又は輪留めを検出する。駐車枠線後端部検出機能は、検出した情報を提示画像生成部26、次ステップ移行判断部27へと出力する。
記憶部24は、自車両の画像記憶機能と、自車両の後端位置記憶機能とを有している。
自車両の画像記憶機能は、自車両形状を記憶する機能であり、記憶部24は、自車両よを上方より俯瞰した画像を提示画像生成部26へと出力する。
自車両の後端位置記憶機能は、自車両のカメラ装置11の設置位置(複数ある場合には各々の設置場所)と自車両後端(具体的には、リアバンパー)との位置関係を記憶する。
第2検出部25は、後部障害物までの距離検出機能を有している。後部障害物までの距離検出機能は、超音波センサ(後)17の出力を受けて、自車両のリアバンパーから後方障害物までの距離を検出する。第2検出部25は、検出した情報を提示画像生成部26、次ステップ移行判断部27へと出力する。
自車両位置検出部23は、車輪速センサ12の出力に基づいた自車両の位置(具体的には後方障害物若しくは、枠線後端、輪留めまでの距離)を検出し次ステップ移行判断部27へ出力する。
提示画像生成部26は、第1検出部21の駐車枠線後端検出機能で検出された駐車枠線の奥行き方向の端部(自車両から最も遠い端部)、又は輪留めと、自車両の画像記憶部の自車両画像と、第2検出部25の後部障害物までの距離検出機能で検出したリアバンパーから後方障害物までの距離とから運転者へ提示する画像を生成し、生成した画像をモニタ14へと出力する。
次ステップ移行判断部27は、第2検出部25で検出されたリアバンパーから後方障害物までの距離と、自車両位置検出部23で検出された自車両位置と、記憶部24に記憶されているリアバンパーの位置とから、後方の駐車枠線、又は後方障害物までの距離との接触の可能性を判断し、接触しない場合に次ステップ移行命令出力部28へ出力する。
次ステップ移行命令出力部28は、後退動作ステップが終了したことに応じて、駐車支援装置による所望の駐車位置への駐車処理ステップが全て終了した旨をモニタ14、スピーカ15を介して出力し、全ての処理動作を終了する。
続いて、図26に示すフローチャートと図27を用いて、後退動作の処理動作についても説明をする。説明のため駐車支援装置は、図27に示す車両30に搭載されているものとする。
まず、ステップS91において、車両30の周囲に設置された複数のカメラ装置11によって、駐車枠線L1,R1、輪留めを撮影し、撮影した画像を制御ユニット20の第1検出部21へと出力する。第1検出部21は、出力された画像を画像処理することで、図27(a)に示す駐車枠線L1,R1の奥行き方向の後端位置F2、または図示しない輪留めを検出する。また、車両30の後部に設置された超音波センサ17で後方に存在するであろう図示しない後方障害物を検出する。
ステップS92において、第1検出部21は、車両30の後端部33から後端位置F2、図示しない輪留めまでの距離を算出する。また、第2検出部25は、自車両の後端部33から図示しない後方障害物までの距離を算出する。
ステップS93において、次ステップ移行判断部27は、車両30の後端部33から後端位置F2までの距離(ギャップ)、図示しない輪留めまでの距離(ギャップ)、図示しない後方障害物までの距離(ギャップ)とを比較する。
ステップS94において、次ステップ移行判断部27は、ステップS93で比較したギャップが所定値(10cm)以下かどうかを判断する。次ステップ移行判断部27は、比較したギャップが所定値以下である場合、ステップS96へと処理を進める一方、所定値以下でない場合、ステップS95へと処理を進める。
ステップS95において、演算処理部22は、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として、車両30の後端部33の画像情報と、駐車位置の奥行き側の端部の画像情報として、後端位置F2の画像情報、図示しない輪留めの画像情報、図示しない後方障害物を示すアイコン(画像情報)のいずれかを選択し、点滅周期や色といった表示方法を変化させてギャップが大きいことを運転者に教示する。
ステップS96において、演算処理部22は、車両30の後端部33の画像情報と、後端位置F2の画像情報、図示しない輪留めの画像情報、図示しない後方障害物を示すアイコン(画像情報)のいずれかの点滅周期や色といった表示方法を変化させて、ギャップが小さくなったことを運転者に教示する。これにより図27(b)に示すように、所望の駐車位置へと車両30が確実に後退進行した場合には車両30を停車するよう教示し、後退動作工程、さらには駐車支援装置の全ての処理を終了させる。
このように、運転支援装置は、運転者の注意を喚起する注意喚起情報として、車両30の一部を示す情報である後端部33の画像情報と、周囲環境に関する情報である所望の駐車位置の奥行き側の端部の画像情報とを選択し、モニタ14を介して強調して提示することで、後退駐車を支援しながら、駐車動作における後退動作を運転者に学習させることができる。
[警報音、強調表示の制御手法について]
上述したように、駐車支援装置を用いて車両を並列後退駐車させるには、初期位置セット動作、内側アプローチ動作、外側アプローチ動作、車両を駐車させる場所の駐車枠線に対する平行動作、左右ギャップ均等動作、後退動作を車両に要求する必要がある。このような各動作工程において、スピーカ15を介して警報音を鳴らしたり、モニタ14を介して指示アイコン(画像情報)などを強調表示したりする際の制御手法の一例について説明をする。
まず、スピーカ15を介して鳴らす警報音は、以下に示すように3種類に大別される。図28(a)乃至(c)は、警報音をオン状態とする制御信号の時間変化を示した図である。
まず、目標値(例えば、距離=ギャップ、操舵角、自車両の角度など)と自車両の現状との差が大きい場合には、図28(a)に示すように周期の長い断続音により警報音を鳴らすように制御する。また、目標値と自車両の現状との差が小さい場合には、図28(b)に示すように周期の短い断続音により警報音を鳴らすように制御する。さらに、目標値と自車両の現状との差がゼロとなった場合には、図28(c)に示すように連続音により警報音を鳴らすように制御する。
続いて、モニタ14を介して表示させる強調表示は、以下に示すように3種類に大別される。図29(a)乃至(d)は、強調表示をオン状態とする制御信号の時間変化を示した図である。
まず、目標値(例えば、距離=ギャップ、操舵角、自車両の角度など)と自車両の現状との差が大きい場合には、図29(a)に示すように、自車両の対象となる特定部位を示したアイコン(画像情報)や自車両の進行方向に関するアイコン(画像情報)と、位置合わせの基準となる周囲環境に関するアイコン(画像情報)とを比較的長い周期で交互に点滅して表示するように制御する。また、目標値と自車両の現状との差が小さい場合には、図29(b)に示すように、上述した各アイコンを比較的短い周期で交互に点滅して表示するように制御する。
さらに、目標値と自車両の現状との差がゼロとなった場合には、図29(c)に示すように連続点灯により強調表示するように制御する。このように目標と自車両の現状との差がゼロとなった場合には、図29(d)に示すように同一位相の周期で点滅させて強調表示するように制御してもよい。
また、モニタ14を介して強調表示する場合、図30に示すように、目標と自車両の現状との差の大きさに応じてアイコンの色を変化させるようにしてもよい。例えば、図30(a),(b),(c)に示すような、所望の駐車枠線内に車両30を駐車させる後退動作工程において、後端部33と後端位置F2との距離の長さに応じて色を変化させる。後端部33と後端位置F2との距離が大きい場合には、青色にして後退を促す。そして、距離が短くなってきたら黄色にして車両30を減速させて微調整を促す。そして、停止位置となったら赤色にして車両30を停車させる。
このように、色を変えてモニタ14へ表示させることで、注意すべき個所とともに、運転者が、どの程度、どのような運転操作をするべきかどうかを提示することができる。
[車両を駐車枠線に対して平行にしてからの後退動作工程]
上述したように、駐車支援装置を用いて車両を並列後退駐車させるには、初期位置セット動作、内側アプローチ動作、外側アプローチ動作、車両を駐車させる場所の駐車枠線に対する平行動作、左右ギャップ均等動作、後退動作を車両に要求する必要がある。ところで、図31(a)に示すように、車両30を駐車する所望の駐車スペースX1に対向する位置にある対向スペースSPに充分な余裕がある場合、車両30の運転者は、図31(a)に示すように、矢印YZのように車両30を運転操作し、図31(b)に示すように車両30を右側の駐車枠線R1から所定距離(例えば、50cm)離れた位置に平行に存在する直線HLに矢印図形Y1を合わせ、直接、左右ギャップを均等となるようにすることが可能な場合もある。
このような場合、初期位置セット動作、内側アプローチ動作、外側アプローチ動作、車両を駐車させる場所の駐車枠線に対する平行動作、左右ギャップ均等動作などを省略し、いきなり後退動作だけを車両30の運転者に要求することもできる。これにより、各処理工程でモニタ14を介しての表示が目障りとなってしまうことを防止することができる。
また、駐車支援装置を用いた車両を後退駐車させる初期位置セット動作、内側アプローチ動作、外側アプローチ動作、車両を駐車させる場所の駐車枠線に対する平行動作、左右ギャップ均等動作、後退動作は、運転者の後退駐車の習熟度に応じて適宜必要な動作のみを実行するようにしてもよい。
例えば、運転の初心者の場合には、内側アプローチ動作、外側アプローチ動作、車両を駐車させる場所の駐車枠線に対する平行動作、左右ギャップ均等動作を実行することで、初心者に要求する学習量を最小限度にすることができ駐車支援装置の処理負荷も低減させることができる。
また、例えば、運転の中級者の場合には、図7、図8を用いて説明した運転技能の上達した運転者用の初期位置セット動作、内側アプローチ動作、外側アプローチ動作、後退動作を実行することで、中級者が自力でできる運転操作は任せ、一般的に中級者の苦手とされる運転操作のみを支援することで、中級者に要求する学習量を最小限にすることができ駐車支援装置の処理負荷も低減させることができる。
さらに、駐車支援装置は、初期位置セット動作、内側アプローチ動作、外側アプローチ動作、車両を駐車させる場所の駐車枠線に対する平行動作、左右ギャップ均等動作、後退動作を、運転者の技能に応じて任意に組み合わせて実行するようにしてもよい。
[俯瞰表示としない場合]
上述した説明では、車両30の周囲に設置された複数のカメラ装置11によって撮影された映像を視点変換して俯瞰表示した映像をモニタ14を介して表示させるようにしていたが、駐車支援における動作工程において、運転者に注意を喚起する位置を撮影した映像だけを選択的に運転者にモニタ14を介して提示するようにしてもよい。
その際、カメラ装置11で撮影された映像をモニタ14を介して表示させる際、注意を喚起する個所の強調表示は、上述した手法と全く同様の表示とする。また、左右の駐車枠線などのように表示個所が離れている場合には、モニタ14の表示を分割して、左右の駐車枠線を表示させるようにする。
さらに、注意を喚起する個所の強調表示は、モニタ14へと表示させるだけでなく、運転席から目視可能な場所であれば、図32(a),(b),(c)に示すように、レーザポインタLP1,LP2,LP3などでレーザ光を直接路面に照射して強調表示を行うようにしてもよい。また、ライトなどで注意喚起点を照らすようにしてもよい。ただし、図32(c)に示すように、車両30が、例えば、右ハンドル車であった場合などに、左後方の駐車枠線とのギャップなどを目視で確認できない個所については、該当個所のみカメラ装置11で補助的に支援する必要がある。
これにより、モニタ14を搭載していなかったとしても、駐車支援装置により、各処理動作工程における確認行動を体得できるため、常に駐車支援装置に依存することなく並列後退駐車を実行することができる。また、夜間や降雨などにより窓を開けることができない天候などにおいてもレーザポインタやライトで注意喚起個所を照らすことができるため、昼間と同様に駐車支援を実行することができる。
このようにして、本発明の実施の形態として示す駐車支援装置は、車両30の駐車枠線に対する現在の位置に応じて、自車両の一部に関する情報又は自車両の進行方向に関する情報と、周囲環境に実在する駐車枠線や、隣接車両の外周線(輪郭線)などといった周囲環境に関する情報とから運転者の注意を喚起する注意喚起情報を選択し提示するため、駐車動作の各ステップ毎に注意喚起情報を提示できるようにしているため、どのタイミングにおいてどこに注意を注げばよいのかを運転者自身で常に学習していくことができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。