以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、同一又は同様の要素には同一の符号を付して説明を省略するものとする。
図1は、本発明の実施形態に係る駐車支援装置の構成図である。同図に示すように、駐車支援装置1は、運転者の駐車を支援するものであって、好適には車両前後方向と駐車枠の奥行き方向とが交差する状態から、自車両の駐車枠への駐車を支援するものである。
具体的に駐車支援装置1は、カメラ10と、舵角センサ20と、車輪速センサ30と、ヨーレートセンサ40と、コントロールユニット50と、スピーカ(提示手段)60と、モニタ(提示手段)70とを備えている。
カメラ10は、車両に設置され、駐車枠を撮影するものであり、撮影により得られた画像データをコントロールユニット50に送信する構成となっている。図2は、カメラ10の詳細を示す説明図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示している。同図(a)に示すように、カメラ10は、車両100の先端に設置されて、死角となる左右方向を撮影することにより、駐車枠110を撮影するようになっている。また、同図(b)に示すように、カメラ10は、車両100の後端に設置されて、車両100の後方を撮影することにより、駐車枠110を撮影するようになっていてもよい。なお、予め左右死角や車両後方を撮影する撮像手段が車両に搭載されている場合、カメラ10はこの撮像手段と兼用される構成であってもよい。また、カメラ10は、駐車枠へアプローチする前の状態で駐車枠110が撮影できる構成であれば上記構成に限るものではない。
再度、図1を参照する。舵角センサ20は、車両100に設置され、運転者によるハンドルの操舵量を検出するものである。また、車輪速センサ30は、車両100に設置され、車輪の回転量を検出することにより、車両100の移動量を検出するものである。また、ヨーレートセンサ40は、車両100に設置され、車両100の向き(進行方向)を検出するものである。そして、これらセンサ20〜40は、検出した情報をコントロールユニット50に送信する構成となっている。
コントロールユニット50は、カメラ10や各種センサ20〜40の情報に基づいて、運転者が円滑に車両100を駐車できるように支援するための情報を生成するものである。また、コントロールユニット50は、スピーカ60及びモニタ70に接続され、駐車支援の情報をスピーカ60やモニタ70に送信する構成となっている。
スピーカ60は、車室内に設置され、コントロールユニット50からの情報に従って、駐車時の運転操作の内容を運転者に提示するものである。モニタ70は、インスルメントパネル中央部などに設置され、スピーカ同様に、コントロールユニット50からの情報に従って、駐車時の運転操作の内容を運転者に提示するものである。そして、本実施形態に係る駐車支援装置1は、スピーカ60及びモニタ70が情報提示することにより、運転者の駐車を支援するようになっている。
ここで、詳細にコントロールユニット50は、画像処理部(駐車枠検出手段)51と、基準点検出部(基準点検出手段)52と、自車位置検出部(自車検出手段)53と、回転半径軌跡記憶部54と、全長・車幅記憶部55と、内側後輪軌跡演算部(軌跡演算手段)56と、ピボットエリア設定部(領域設定手段)57と、エリア内判断部58と、指示作成部(位置一致判断手段、方向一致判断手段、縁部接触検出手段)59とを有している。
画像処理部51は、カメラ10により撮影された画像から、駐車枠110を検出するものである。この際、画像処理部51は、カメラ10により撮影された画像に対し、エッジ検出を行い、路面に書かれた駐車枠の線(図2に示す符号110の枠線)を検出することにより、駐車枠110を検出する。
また、画像処理部51は、駐車枠110を検出するに際して、駐車枠110の奥行き方向を検出しておく。具体的に画像処理部51は、撮影された画像と、カメラ10の画角や焦点距離の情報とから、上記エッジ検出により特定された駐車枠110に該当する画素それぞれが、自車両100からどの程度の距離に相当するものかを求める。そして、画像処理部51は、駐車枠110に該当する各画素の距離から駐車枠110の奥行き方向を検出する。
基準点検出部52は、画像処理部51により検出された駐車枠110のうち奥行き方向に伸び、且つ自車両100の前方側に存在する枠線の自車両側端部を基準点として検出するものである。基準点検出部52を詳細に説明する。図3は、基準点検出部52の詳細を示す説明図であり、(a)は基準点検出の第1の例を示し、(b)は基準点検出の第2の例を示している。
まず、基準点検出部52は、基準点を検出するにあたり、画像処理部51により検出された駐車枠110のうち、奥行き方向に伸びる枠線を検出する。ここで、図3(a)及び(b)に示す例で言えば、奥行き方向は、図中のY軸方向、すなわち駐車枠110の長手方向をいう。このため、基準点検出部52は、駐車枠110の長手方向に伸びる枠線を検出することとなる。
ここで、図3(a)に示す例では、駐車枠110が奥行き方向に伸びる枠線110a,110bのみによって構成されている。このため、基準点検出部52は、枠線のすべてを奥行き方向に伸びる線として検出する。一方、図3(b)に示す例では、駐車枠110が奥行き方向に伸びる枠線110a,110bと、これに直交する枠線110cとにより構成されている。このため、基準点検出部52は、直交する枠線110cを除いた枠線110a,110bを奥行き方向に伸びる線として検出することとなる。
次に、基準点検出部52は、奥行き方向の枠線110a,110bのうち、自車両100の前方方向側に存在するものを検出する。従って、基準点検出部52は、図3(a)に示す例において枠線110aを検出し、図3(b)に示す例において枠線110bを検出する。
次に、基準点検出部52は、検出した枠線の自車両側端部を検出する。すなわち、基準点検出部52は、図3(a)に示す例において枠線110aの自車車両端部を基準点111として検出し、図3(b)に示す例において枠線110bの自車車両端部を基準点111として検出する。以上のようにして、基準点検出部52は、基準点111を検出する。
再度、図1を参照する。自車位置検出部53は、舵角センサ20、車輪速センサ30及びヨーレートセンサ40からの出力信号に基づいて、駐車枠110に対する自車の位置と向きを検出するものである。
回転半径軌跡記憶部54は、舵角センサ20の出力に応じた自車両100の旋回半径を記憶したものである。また、全長・車幅記憶部55は、自車両100の全長と車幅を記憶したものである。
内側後輪軌跡演算部56は、回転半径軌跡記憶部54及び全長・車幅記憶部55の記憶内容と、自車位置検出部53により検出された自車両100の位置及び向きとに基づいて、基準点検出部52により検出された基準点111に、自車両100の後輪のうち駐車枠110に近い後輪が一致する軌跡を演算するものである。内側後輪軌跡演算部56を詳細に説明する。図4は、内側後輪軌跡演算部56の詳細を示す説明図である。同図に示すように、車両100は、左側方に駐車枠110が存在し、且つ駐車枠110の奥行き方向に直交する方向に向いて停車しているとする。すなわち、車両100が図中X軸の負の方向に向いて停車しているとする(位置a)。
内側後輪軌跡演算部56は、この位置aのような状態から、自車両100の後輪のうち駐車枠110に近い後輪が基準点111に一致する軌跡を演算する。ここで、自車両100の後輪のうち駐車枠110に近い後輪とは、図4に示す例のように車両100の左側に駐車枠110が存在する場合、左後輪101となる。また、車両100が逆方向、すなわちX軸の正の方向に向いて停車していた場合には、右後輪102となる。
また、内側後輪軌跡演算部56は、自車両100の後輪のうち駐車枠110に近い後輪が基準点111に一致する軌跡を、前進旋回と直進後退とからなるように演算する。すなわち、内側後輪軌跡演算部56は、図4に示す例の場合、位置bや位置cなどまで右旋回しつつ前進して、その後直進後退する軌跡を演算することとなる。
本実施形態においてスピーカ60やモニタ70は、内側後輪軌跡演算部56により演算された軌跡に従って、運転操作の内容を運転者に提示することとなる。これにより、本実施形態において、自車両100は基準点111と後輪とが一致するように誘導されることとなる。
なお、内側後輪軌跡演算部56は、最小回転半径で自車両100を前進させ、その後、自車両100を直進後退させる軌跡を演算することが望ましい。これにより、転舵するのは前進時のみであり、しかも前進時にフル転舵すればよく、運転が容易となるためである。また、最小回転半径で自車両100を前進させ、その後、自車両100を直進後退させる軌跡を演算する場合には、位置aから、(最小回転半径+車幅/2)の距離を確保できるだけの対向スペースが存在すればよく、対向スペースが狭くても好適に駐車を支援することができる。
再度、図1を参照する。ピボットエリア設定部57は、駐車枠110の奥行き方向に伸びる枠線110a,110bの内側に形成され、且つ、基準点111を中心にした半径が所定距離の半円領域を設定するものである。図5は、ピボットエリア設定部57の詳細を示す説明図である。同図に示すように、ピボットエリア設定部57は、枠線110a,110bの内側に半径が所定距離の半円領域(以下ピボットエリアという)112を形成する。このとき、ピボットエリア設定部57は、枠線110a,110bの中心線113の内側にピボットエリア112を形成する。また、ピボットエリア112の半径は、例えば約50cm程度である。
なお、ピボットエリア設定部57は、枠線110a,110bの内線114の内側にピボットエリア112を形成してもよいし、枠線110a,110bの外線115の内側にピボットエリア112を形成してもよい。また、ピボットエリア112の半径は50cmに限るものではない。
再度、図1を参照する。エリア内判断部58は、自車両100の後輪101,102のうち駐車枠110に近い後輪がピボットエリア112に収まっているか否かを判断するものである。また、エリア内判断部58は、後輪がピボットエリア112のどの辺りに位置しているかを判断する機能も有している。そして、エリア内判断部58は、判断結果を指示作成部59に送信する構成となっている。
指示作成部59は、切替位置判断部59aとハンドル方向判断部59bと移動・停車判断部59cを有している。具体的に、切替位置判断部59aはハンドルの切替し位置を運転者に提示するための情報を作成し、ハンドル方向判断部59bは、右又は左のハンドルの操作方向を運転者に提示するための情報を作成し、移動・停車判断部59cは、前進、後退又は停止を運転者に提示するための情報を作成するものである。
また、指示作成部59は、エリア内判断部58からの信号に基づいて、自車両100の後輪101,102のうち駐車枠110に近い後輪が基準点111に一致したことを検出する機能を有している。
さらに、指示作成部59は、後輪101と基準点111との一致が判断されてから、ピボットエリア112から後輪101が出ないように最小回転半径での前進と逆方向の最小回転半径での後退とを繰り返して、車両前後方向が駐車枠110の奥行き方向と一致するように、自車両100を誘導する指示情報を作成する機能も有している。すなわち、指示作成部59は、最小回転半径での前進と逆方向の最小回転半径での後退とを繰り返すことで、車両100の向きを徐々に変えるように指示することとなる。
また、指示作成部59は、上記指示の結果、画像処理部51により検出された駐車枠110の奥行き方向と、自車位置検出部53により検出された自車両100の向きとが一致した場合には、その一致を検出する機能を有している。ここで、両方向が一致する場合とは、車両100を直進後退させるだけで、車両100を駐車枠110に収めることができる場合である。従って、指示作成部59は、この一致を検出した場合、その後車両100の直進後退を指示することとなる。
さらに、指示作成部59は、基準点111と一致した側の後輪101がピボットエリア112の縁部に接したことを検出する機能についても有している。そして、指示作成部59は、縁部に接したことを検出した場合には、ピボットエリア内での自車両の前進と後退との指示を切り替えるようにする。
次に、本実施形態に係る駐車支援装置1の動作を説明する。図6は、本実施形態に係る駐車支援装置1の動作の説明図であり、(a)は駐車前の初期状態を示し、(b)は駐車運転中における第1の状態を示すものである。また、(c)は駐車運転中における第2の状態を示すものであり、(d)は駐車運転中における第3の状態を示すものである。また、(e)は駐車運転中における第4の状態を示すものであり、(f)は駐車運転中における第5の状態を示すものであり、(g)は駐車完了状態を示すものである。
まず、図6(a)に示すように、車両前後方向と駐車枠110の奥行き方向とが交差する状態で車両100が停車しているとする。この状態において、カメラ10は駐車枠110を撮影する。そして、画像処理部51は駐車枠110を検出する。また、自車位置検出部53は、舵角センサ20、車輪速センサ30及びヨーレートセンサ40からの信号により、自車位置と自車の向きとを検出する。
また、基準点検出部52は画像処理部51により検出された駐車枠110のうち奥行き方向に伸び、且つ自車両100の前方方向側に存在する枠線110aの自車両側端部を基準点111として検出する。さらに、ピボットエリア設定部57は、駐車枠110の奥行き方向に伸びる枠線110a,110bの内側に形成され、且つ、基準点111を中心にした半径が所定距離のピボットエリア112を設定する。
さらには、内側後輪軌跡演算部56は、回転半径軌跡記憶部54及び全長・車幅記憶部55の記憶内容と、自車位置検出部53により検出された自車両100の位置及び向きとに基づいて、基準点検出部52により検出された基準点111に、自車両100の後輪101,102のうち駐車枠110に近い後輪101が一致する軌跡を演算する。
そして、指示作成部59は、演算された軌跡に従って指示情報を作成する。これにより、スピーカ60及びモニタ70は、演算された軌跡に従って、駐車時の運転操作の内容を運転者に提示することとなり、運転者の操作によって車両100は図6(b)に示すように、右旋回しつつ前進する。
その後、図6(c)に示すように、車両100の左側面の延長線120が基準点111に一致すると、指示作成部59は車両100を直進後退させるように指示情報を作成して、運転操作の内容をスピーカ60及びモニタ70に提示させる。これにより、運転者は、車両100を直進後退させることとなる。
そして、後輪101が基準点111に一致すると、指示作成部59は一致を検出し、ピボットエリア112から後輪101が出ないように前進と後退とを繰り返し指示することとなる。このとき、指示作成部59は、図6(d)に示すように最小回転半径での前進と、図6(e)に示すように逆方向の最小回転半径での後退とを繰り返して指示する。また、指示作成部59は、後輪101がピボットエリア112の縁部に接したことを検出すると、前進と後退との指示を切り替える。
その後、図6(f)に示すように、車両前後方向と駐車枠110の奥行き方向とが一致したとする。このとき、指示作成部59は、車両100を直進後退させるように指示情報を作成して、運転者に車両100の直進後退を促す。そして、図6(g)に示すように、車両100が直進後退すると、駐車支援の処理が終了することとなる。
このように、本実施形態では、自車両100の後側方が基準点111に接近していくように、誘導されることとなる。このため、仮に基準点付近に障害物が存在したとしても、運転者の目視が可能となることから、たとえ駐車に不慣れな運転者が駐車する場合であっても感じさせる不安を軽減するができる。すなわち、目視不可能な車両後部が障害物に接近することがなく、不安が軽減されることとなる。
次に、図7〜図20を参照して、本実施形態に係る駐車支援装置1の詳細動作と、指示作成部59による指示を受けて運転者が駐車するときの様子を説明する。図7及び図8は、本実施形態に係る駐車支援装置1の詳細動作を示すフローチャートであり、図7は処理の前半部分を示し、図8は処理の後半部分を示している。なお、図7に示すフローチャートは、車両100が旋回しながら前進して直進後退するまでの処理(以下処理1という)を示し、図8に示すフローチャートは、車両100がピボットエリア112において向きを調整して直進後退するまでの処理(以下処理2という)を示している。また、図9〜図20は、駐車支援装置1により駐車支援される車両100の各状態を示している。
まず、図9に示すように車両前後方向と駐車枠110の奥行き方向とが交差する状態から、駐車支援が開始される。そして、指示作成部59はフル転舵で前進を指示する情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70はフル転舵での前進を運転者に指示する(図7:ST10)。
次いで、指示作成部59は、車両100の側面の延長線120が、基準点111と一致したか否かを判断する(ST11)。ここで、延長線120が基準点111と一致していないと判断した場合(ST11:NO)、指示作成部59は、一致したと判断するまで、この処理を繰り返すこととなる。
一方、図10に示すように、延長線120が基準点111と一致した場合には(ST11:YES)、指示作成部59は車両100の停止情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は車両100の停止を運転者に指示する(ST12)。また、指示作成部59は、停止後にハンドルの中立にする情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70はこの情報を指示する(ST13)。次いで、指示作成部59は、後退情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は後退操作を指示する(ST14)。
次に、指示作成部59は、後輪101が基準点111と一致したか否かを判断する(図8:ST15)。一致していないと判断した場合(ST15:NO)、一致したと判断されるまで、この処理が繰り返されることとなる。一方、図11に示すように、後輪101が基準点111と一致した場合(ST15:YES)、ピボットエリア設定部57は、図12に示すように、基準点111を中心にピボットエリア112を設定する(ST16)。なお、図12では便宜上車両の向きを図11とは異ならせている。
次いで、指示作成部59は、内側方向にフル転舵する旨の情報(すなわち駐車枠110に近い後輪101の側にハンドルをフル転舵する旨の情報)を作成し、スピーカ60及びモニタ70は、「内側方向にフル転舵」する旨を提示する(ST17)。次に、指示作成部59は、後退する旨の情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は「後退」する旨を提示する(ST18)。これにより、図13に示すようにフル転舵の状態で車両100が後退することとなる。
そして、指示作成部59は、駐車枠110の奥行き方向と車両前後方向とが一致するか否かを判断する(ST19)。ここで、駐車枠110の奥行き方向と車両前後方向とが一致しない場合(ST19:NO)、指示作成部59は、後輪101がピボットエリア112の縁部に接したか否かを判断する(ST20)。
後輪101がピボットエリア112の縁部に接していない場合(ST20:NO)、接したと判断されるまで、この処理が繰り返されることとなる。一方、図13に示すように、後輪101がピボットエリア112の縁部に接した場合(ST20:YES)、指示作成部59は、逆方向にフル転舵する旨の情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は「逆方向にフル転舵」する旨を提示する(ST21)。次いで、指示作成部59は、逆方向に進む旨の情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は「逆方向に進む」旨を提示する(ST22)。これにより、図14に示すように、車両100は逆方向にハンドルをフル転舵した状態で、前進旋回することとなる。
その後、処理はステップST19に移行する。そして、再度、指示作成部59は、駐車枠110の奥行き方向と車両前後方向とが一致するか否かを判断する(ST19)。その後、駐車枠110の奥行き方向と車両前後方向とが一致すると判断されるまで上述のようにステップST19〜ST22の処理が繰り返されることとなる。これにより、車両100は、図15〜図18に示すように後退旋回と前進旋回とを繰り返すこととなる。
そして、図19に示すように、駐車枠110の奥行き方向と車両前後方向とが一致したとすると(ST19:YES)、指示作成部59は、停車する旨の情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は「停車する」旨を提示する(ST23)。その後、指示作成部59は、ハンドルを中立する旨の情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は「ハンドル中立」する旨を提示する(ST24)。
そして、指示作成部59は、後退する旨の情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は「後退」する旨を提示する(ST25)。これにより、図20に示すように車両100が直進後退して、駐車枠110に収まることとなる。そして、駐車完了後に、処理は終了する。
このようにして、第1実施形態に係る駐車支援装置1によれば、自車両100の後輪101,102のうち駐車枠に近い後輪が基準点111に一致する軌跡を演算して、駐車時の運転操作内容を運転者に提示することとしている。このため、たとえ基準点付近に障害物が存在したとしても、運転者の目視が可能である。すなわち、従来装置のように単純に障害物へ後退しつつ接近する場合、目視できない車両後部を障害物へ接近させることもあり、運転者に不安を与える可能性があった。ところが、本実施形態では、基準点111に一致させる軌跡を演算して提示するため、その提示に従えば自車両100の後側方が基準点111に接近していくこととなる。従って、仮に基準点付近に障害物が存在したとしても、運転者の目視が可能となることから、たとえ駐車に不慣れな運転者が駐車する場合であっても感じさせる不安を軽減するができる。
また、最小回転半径で自車両100を前進させ、その後、自車両100を直進後退させる軌跡を演算することとしている。このため、運転操作は、最小回転半径での前進と、直進後退とになる。すなわち、転舵するのは前進時のみであり、しかも前進時にフル転舵すればよく、運転が容易となっている。従って、駐車に不慣れな運転者であっても運転操作を容易に行うことができる。
また、自車両100の後輪101,102のうち駐車枠110に近い後輪が基準点111に一致してから、駐車枠110の奥行き方向と自車両100の向きとが一致するまで、ピボットエリア112から後輪が出ないように最小回転半径での前進と逆方向の最小回転半径での後退とを繰り返し提示することとしている。さらに、後輪がピボットエリア112の縁部に接したことが検出されたにより、その前進と後退との提示を切り替えることとしている。このため、自車両100の後輪101,102のうち駐車枠110に近い後輪が一度基準点111に一致したあとは、自車両100が駐車できるようになるまで、基準点111の近傍にて車両100が前後させられることとなる。故に、前後の障害物に自車両を接近させる必要がなく、複数方向に注意を向ける必要がなくなっている。
特に、特許文献1に記載の装置によれば、フル転舵状態で後退を開始して可能な限り障害物に近い位置で停車させ、その後、逆方向へハンドルをフル転舵して前進し障害物に接近して停車させ、これを繰り返すように運転者へ指示するため、駐車に不慣れな運転者は前後方向を連続的に確認することとなる。特に、特許文献1に記載の装置では、自車両を可能な限り障害物に接近させるため、不安に感じる運転者は一層確認をとる傾向にある。
ところが、本実施形態では、基準点111の近傍にて車両100が前後させられるため、車両100を障害物に接近させることが前提となっておらず、運転者は前後移動にあたり車両100を障害物に接触させてしまうのではないかという不安を感じることが少なくなっている。従って、感じさせる不安を一層軽減するができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る駐車支援装置2は、第1実施形態のものと同様であるが、構成及び処理内容が第1実施形態のものと一部異なっている。
以下、第1実施形態との相違点について説明する。図21は、第2実施形態に係る駐車支援装置2の構成図である。同図に示すように、第2実施形態に係る駐車支援装置2は、新たに超音波センサ80を備えている。また、コントロールユニット50が障害物位置検出部83(障害物検出手段)を備えている。
超音波センサ80は、車両前方や側方にある障害物までの距離や方位を検出するためのものであって、第1超音波センサ81と第2超音波センサ82とからなっている。第1超音波センサ81は車両前方にある障害物までの距離や方位を検出するためのものであり、第2超音波センサ82は車両側方にある障害物までの距離や方位を検出するためのものである。そして、これらセンサ81,82は、信号値の情報をコントロールユニット50に送信する構成となっている。なお、ここでは障害物までの距離と方角を検出するための手段として、超音波センサ80を挙げているが、これに限らず、障害物までの距離と方角を検出できるのであれば、その他のもの(カメラ、ミリ波レーダ、レーザレーダ等)を用いてもよい。
障害物位置検出部83は、超音波センサ80の出力から自車両100の周辺の障害物を検出するものである。詳細に障害物位置検出部83は、第1超音波センサ81からの信号値に基づいて、自車両100の前方に存在する障害物の位置を検出し、第2超音波センサ82からの信号値に基づいて、自車両100の側方に存在する障害物の位置を検出する構成になっている。また、障害物位置検出部83は、双方の信号値から障害物の方位を検出する構成になっている。
次に、第2実施形態に係る駐車支援装置2の動作を説明する。第2実施形態に係る駐車支援装置2の動作は、第1実施形態と同様であるが、上記処理1(すなわち図7に示した処理)が第1実施形態と異なっている。
図22は、第2実施形態に係る駐車支援装置2の動作を示すフローチャートである。なお、図22において、車両100は、図4の位置aに停車しているものとする。従って、車両100の前方とはX軸の負方向を意味し、車両100の右側方とはY軸の正方向を意味し、車両100の左側方とはY軸の負方向を意味する。
まず、同図に示すように、駐車支援装置2は、まず基準点111と自車両100との位置を把握する(ST30)。次いで、駐車支援装置2は、基準点111と車両100との距離が(最小回転半径+車幅/2)以下であるか否かを判断する(ST31)。なお、以下の説明において、車両100との距離とは、車両100の両後輪101,102の中間点との距離をいうものとする。
ここで、基準点111と車両100との距離が(最小回転半径+車幅/2)以下でないと判断した場合(ST31:NO)、基準点111と車両100との距離が(最小回転半径+車幅/2)以下と判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、基準点111と車両100との距離が(最小回転半径+車幅/2)以下であると判断された場合、障害物位置検出部83は第1超音波センサ81からの信号に基づいて前方の障害物の位置を検出する(ST32)。その後、障害物位置検出部83は第2超音波センサ82からの信号に基づいて側方の障害物(特に右側方の障害物)の位置を検出する(ST33)。
そして、内側後輪軌跡演算部56は、前方の障害物までの距離が所定の閾値よりも短いか否かを判断する(ST34)。前方の障害物までの距離が短くないと判断した場合(ST34:NO)、内側後輪軌跡演算部56は、パターン1を選択する(ST35)。そして、処理は、図8に示したステップST15に移行することとなる。ここで、パターン1とは、最小回転半径での前進と直進後退とに加えて、障害物位置検出部83により検出された障害物の位置に基づき、直進前進又は直進後退を含めて軌跡を演算するモードをいう。
図23〜図26は、内側後輪軌跡演算部56がパターン1を選択したときの軌跡を示す説明図である。前方の障害物までの距離が短くないと判断される場合(ST34にて「NO」と判断される場合)、車両100の前方に障害物が近接していないが、図23に示すように、車両100の右側方に障害物が近接している可能性がある。このため、内側後輪軌跡演算部56は、図24に示すように、障害物を避けるように、車両100を直進させる軌跡を演算する。
また、内側後輪軌跡演算部56は、図25に示すように、直進後に、車両100の側面の延長線120が基準点111に一致するまで、最小回転半径で前進し、図26に示すように、一致後に直進後退をすることで、後輪101が基準点111に一致する軌跡を演算する。
すなわち、内側後輪軌跡演算部56は、パターン1が選択された場合、直進前進と、最小回転半径で前進と、直進後退とからなる軌跡を演算することとなる。また、内側後輪軌跡演算部56は、直進後退と、最小回転半径で前進と、直進後退とからなる軌跡を演算するようにしてもよい。
再度、図22を参照する。前方の障害物までの距離が短いと判断した場合(ST34:YES)、内側後輪軌跡演算部56は、側方の障害物までの距離が所定の閾値よりも短いか否かを判断する(ST36)。そして、側方の障害物までの距離が所定の閾値よりも短くないと判断した場合(ST36:NO)、内側後輪軌跡演算部56は、パターン2を選択する(ST37)。そして、処理は、図8に示したステップST15に移行することとなる。ここで、パターン2とは、障害物位置検出部83により検出された障害物の位置に基づき、最小回転半径での前進と直進後退とから軌跡を演算するモードをいう。
図27〜図29は、内側後輪軌跡演算部56がパターン2を選択したときの軌跡を示す説明図である。前方の障害物までの距離が短いと判断され、側方の障害物までの距離が短くないと判断される場合(ST36にて「NO」と判断される場合)、図27に示すように、車両100の右側方に障害物が近接していないといえる。一方、車両100の前方には、図27に示すように障害物が近接しているといえる。このため、内側後輪軌跡演算部56は、図28に示すように、障害物に当たることがないように、最小回転半径にて車両100を前進させる軌跡を演算する。
そして、内側後輪軌跡演算部56は、図28に示すように、車両100の側面の延長線120が基準点111に一致するまで最小回転半径で前進し、図29に示すように、一致後に直進後退をすることで、後輪101が基準点111に一致する軌跡を演算する。すなわち、内側後輪軌跡演算部56は、パターン2が選択された場合、第1実施形態と同様に、最小回転半径での前進と、直進後退とからなる軌跡を演算することとなる。
再度、図22を参照する。側方の障害物までの距離が短いと判断した場合(ST36:YES)、内側後輪軌跡演算部56は、パターン3を選択する(ST38)。そして、処理は、図8に示したステップST15に移行することとなる。ここで、パターン3とは、障害物位置検出部83により検出された障害物の位置に基づき、最小回転半径での前進と逆方向の最小回転半径での後退とから軌跡を演算するモードをいう。
図30〜図32は、内側後輪軌跡演算部56がパターン3を選択したときの軌跡を示す説明図である。図30に示すように、前方及び側方の障害物までの距離が短いと判断される場合(ST36にて「YES」と判断される場合)、車両100の周囲には、図30に示すように障害物が近接しているといえる。このため、内側後輪軌跡演算部56は、図31に示すように、まず、最小回転半径にて車両100を前進させる軌跡を演算する。このとき、内側後輪軌跡演算部56は、図31に示すように、車両100が障害物に近接しているため、車両100の側面の延長線120が基準点111に一致するまで前進せず、その手前で停止する軌跡を演算する。
そして、内側後輪軌跡演算部56は、図32に示すように、逆方向に最小回転半径で後退をすることで、後輪101が基準点111に一致する軌跡を演算する。すなわち、内側後輪軌跡演算部56は、パターン3が選択された場合、最小回転半径での前進と、最小回転半径での後退とからなる軌跡を演算することとなる。
図33は、第1実施形態と第2実施形態のパターン3とにおいて、前進から後退に移行するときの車両位置を示す説明図である。障害物が周囲に存在しない場合、第1実施形態にて説明したように、車両1001の側面の延長線1201が基準点111に一致するまで前進する。このため、車両1001の移動距離は長くなる。他方、障害物が周囲に存在する場合、第2実施形態のパターン3の説明のように、車両1002の側面の延長線1202が基準点111に一致するまで前進しない。このため、第1実施形態の場合と比較して、移動距離が短くなっている。具体的に実験の結果によると、移動距離は車幅の半分(特定車両で約83cm)程度短くなる。故に、内側後輪軌跡演算部56がパターン3を選択した場合、周囲に障害物が存在しても好適に駐車支援されることとなる。
このようにして、第2実施形態に係る駐車支援装置2によれば、第1実施形態と同様に、たとえ駐車に不慣れな運転者が駐車する場合であっても感じさせる不安を軽減するができる。また、駐車に不慣れな運転者であっても運転操作を容易に行うことができ、感じさせる不安を一層軽減するができる。
さらに、第2実施形態によれば、最小回転半径で自車両100を前進させ、その後、逆方向に最小回転半径で自車両100を後退させることとしている。このため、車両100の移動軌跡を最小限にすることとなり、対向スペースが狭い場所であっても円滑な駐車を支援することができる。
また、障害物の位置を検出し、最小回転半径での前進と直進後退とに加えて、障害物の位置に基づき直進前進又は直進後退を含めて軌跡を演算することとしている。このため、直進前進又は直進後退を含めて軌跡を演算して障害物を避けるようにすることが可能となる。従って、駐車支援を円滑に行うことができる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る駐車支援装置3は、第1実施形態のものと同様であるが、構成及び処理内容が第1実施形態のものと一部異なっている。
以下、第1実施形態との相違点について説明する。第3実施形態に係る駐車支援装置3は、第1実施形態と同様に、前進旋回と直進後退とによって後輪101が基準点111に一致する軌跡を求める構成となっている。ところが、運転者は、前進旋回から直進後退に移行する地点(以下移行地点という)に到達するまえに、車両100を停止させ後退させてしまう場合がある。例えば、車両100に障害物が近接している場合、運転者は車両100が障害物に接触してしまうのではないかという不安から移行地点に到達するまえに車両100を停止させ後退させてしまうことがある。この場合、直進後退をしたとしても、車両100の後輪101は基準点111に一致しなくなってしまう。このため、第3実施形態に係る駐車支援装置3では、車両100が移行地点に到達するまえに停止してしまった場合に、後輪101が基準点111に一致する軌跡を再度演算するようになっている。
具体的に説明すると、第3実施形態において内側後輪軌跡演算部56は移行地点に自車両100が到達するまえに自車両100が停止したことを検出する機能(手前停車検出手段)を有している。また、内側後輪軌跡演算部56は、移行地点の到達前に自車両100が停止したこと検出した場合、自車位置検出部53により検出された自車両100の位置及び向きから、基準点111に自車両100の後輪101,102のうち駐車枠110に近い後輪が一致する軌跡を再度演算する機能(軌跡再演算手段)を有している。このため、スピーカ60及びモニタ70は、内側後輪軌跡演算部56により再演算された軌跡に従って、運転操作内容を運転者に提示することとなる。
次に、第3実施形態に係る駐車支援装置3の動作を説明する。第3実施形態に係る駐車支援装置3の動作は、第1実施形態と同様であるが、上記処理1(すなわち図7に示した処理)が第1実施形態と異なっている。
図34は、第3実施形態に係る駐車支援装置3の動作を示すフローチャートである。なお、図34に示すステップST40〜ST45の処理は、図7に示すステップST10〜ST14と同様であるため、説明を省略する。また、図35及び図36は、第3実施形態に係る駐車支援装置3の動作を示す説明図である。
第3実施形態において、車両100の側面の延長線120が基準点111と一致していないと判断した場合(ST41:NO)、コントロールユニット50は、車両100が移行地点手前で停止したか否かを判断する(ST45)。車両100が移行地点手前で停止していないと判断した場合(ST45:NO)、処理はステップST41に戻る。
一方、図35に示すように、車両100が移行地点手前で停止したと判断した場合(ST45:YES)、指示作成部59は、停止状態でハンドルを逆方向へ回す旨の情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は、停止状態でハンドルを逆方向へ回す旨を運転者に指示する(ST46)。次いで、内側後輪軌跡演算部56は、現在のハンドルの舵角に基づく軌跡を演算する(ST47)。そして、内側後輪軌跡演算部56はその軌跡が基準点111と一致するか否かを判断する(ST48)。ここで、軌跡が基準点111と一致しないと判断した場合(ST48:NO)、処理はステップST46に戻り、再度スピーカ60及びモニタ70は、停止状態でハンドルを逆方向へ回す旨を運転者に指示することとなる。
図36に示すように、車両100が移行地点の手前で停車してしまった場合、フル転舵の状態で後退しても、後輪101が基準点111に一致しないことが殆どである。すなわち、車両100が移行地点の手前で停車してしまった場合、後退したときに後輪101が基準点111と一致する舵角を探す必要がある。本装置3は、ステップST46〜ST48の処理において、後退したときに後輪101が基準点111と一致する舵角を検出しようとしている。すなわち、ステップST47で現在の舵角に基づく軌跡を求め、ステップST48にて、その軌跡が基準点111と一致するか確認し、一致しない場合には、再度ステップST46においてハンドルの転舵を指示する。これにより、後退したときに後輪101が基準点111と一致する舵角が検出されることとなる。
そして、現在のハンドルの舵角に基づく軌跡が基準点111と一致すると判断した場合(ST48:YES)、指示作成部59は、舵角固定の旨の指示情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70はハンドルの固定を運転者に指示する(ST49)。次いで、指示作成部59は、後退する旨の情報を作成し、スピーカ60及びモニタ70は後退操作を指示する(ST50)。その後、処理は図8に示したステップST15に移行することとなる。
このようにして、第3実施形態に係る駐車支援装置3によれば、第1実施形態と同様に、たとえ駐車に不慣れな運転者が駐車する場合であっても感じさせる不安を軽減するができる。また、駐車に不慣れな運転者であっても運転操作を容易に行うことができ、感じさせる不安を一層軽減するができる。
さらに、第3実施形態によれば、自車両100が前進から後退へ変更する移行地点に到達するまえに停止してしまった場合、自車両100の後輪101,102のうち駐車枠110に近い後輪が基準点111に一致する軌跡を再度演算することとしている。このため、車両感覚の乏しい運転者が装置の提示内容に不安を感じて、移行地点手前で停車してしまった場合であっても、駐車支援を継続することができる。従って、円滑な駐車支援を行うことができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせるようにしてもよい。たとえば、本支援装置1〜3では、車両の向きとして、絶対的な角度を検出してもよいが、駐車枠110との相対的な角度が明らかであれば、処理を実行することができる。このため、車両の向きとしては、対的な角度を検出することにより求められてもよく、駐車枠110との相対的な角度を検出することにより求められてもよい。