JP2008143941A - 感光性樹脂及びそれを含む感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】長鎖のモノ(メタ)アクリレート(a)5〜30モル%と、ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、エポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)30〜80モル%と、前記(a)、(b)及び(c)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)10〜60モル%とをその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の5〜100%に不飽和一塩基酸(e)を付加させ、前記(e)成分を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%に多塩基酸無水物(f)を付加させて得られる感光性樹脂。
【選択図】なし
Description
プリント配線基板等の電子材料分野でも半導体基板用の樹脂として活性エネルギー線で硬化する樹脂を用いたソルダーレジスト等が使用されている。フォトレジスト法でプリント配線板に使用される材料としては、酸ペンダント型ノボラックエポキシアクリレートが一般的で、例えば、エポキシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させ、次いで、多塩基酸無水物を付加した化合物が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、ノボラック型エポキシアクリレートに酸無水物を付加した化合物も知られている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、これらの化合物は銅メッキ面との密着性が十分でなく、多層プリント配線板用として使用した場合には、導体回路間の十分な密着強度が得られないという課題を有する。
また、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体をラジカル重合して得られた側鎖にエポキシ基を有する重合体と以下の重合体からなるフォトレジストが提案されている(例えば、特許文献4を参照)。その重合体としては、カルボキシル基を有するラジカル重合性単量体とアクリル酸エステル等をラジカル共重合させ、得られた共重合の側鎖のカルボキシル基にグリシジル(メタ)アクリレートのような化合物を付加して側鎖を不飽和基にしたもの、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体を単位として含む(共)重合体に(メタ)アクリル酸を反応させ、さらに、多塩基酸無水物を付加した(共)重合体、エポキシアクリレートに多塩基酸無水物を付加した(共)重合体、無水マレイン酸重合体にグリシジル(メタ)アクリレートのような化合物を付加して側鎖を不飽和基にしたもの等が用いられている。
半導体回路の集積度の向上とともにソルダーレジストの分野では、感光性樹脂に要求される性能は極めて厳しくなり、その厳しい要求を満たすために、上記のような種々改良された樹脂が提案されているが、充分に満足するものは得られていない。
即ち、本発明は、下記式(1)〜(3)
ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、
エポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)30〜80モル%と、
前記(a)、(b)及び(c)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)10〜60モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の5〜100%に不飽和一塩基酸(e)を付加させ、前記(e)成分を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%に多塩基酸無水物(f)を付加させて得られることを特徴とする感光性樹脂(以下、感光性樹脂(I)と記すことがある)である。
また、本発明は、下記式(1)〜(3)
ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、
不飽和一塩基酸(e)20〜70モル%と、
上記化合物(a)、(b)及び(e)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)20〜70モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるカルボキシル基の5〜80%にエポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)を付加させることにより得られることを特徴とする感光性樹脂(以下、感光性樹脂(II)と記すことがある)である。
上記感光性樹脂(I)及び(II)の酸化は、20〜150KOHmg/gであることが好ましい。
また、本発明は、上記感光性樹脂(I)及び/又は(II)と、反応性希釈剤(g)と、溶剤(h)とを必須成分とすることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
まず、本発明の感光性樹脂(I)について説明する。
感光性樹脂(I)は上記モノマー成分(a)、(b)、(c)及び(d)に由来する骨格を側鎖に有しており,その共重合比率は(a)5〜30モル%、好ましくは、5〜25モル%、さらに好ましくは10〜25モル%、(b)5〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜25モル%、(c)30〜80モル%、好ましくは35〜70モル%、さらに好ましくは40〜60モル%、及び(d)10〜60モル%、好ましくは20〜50モル%、さらに好ましくは30〜45モル%である。
(a)成分が5モル%未満であると顔料との分散性が低下し、また(a)成分が30モル%を超えると、耐熱性が低下する。
(b)成分が5モル%未満であると耐熱性の保持が難しくなり、また(b)成分が30モル%を超えると顔料との分散性が低下するため、感光性樹脂(I)を配合した感光性着色樹脂組成物の安定性が低下してしまう。
(c)成分を30〜80モル%とすることにより、感光基の導入量、すなわち、後述する(e)成分である不飽和一塩基酸に由来する不飽和基の導入量をコントロールすることができ、感光性樹脂(I)の硬化性をコントロールすることができる。(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を上記のような比率にすることにより、(d)成分は10〜60モル%の範囲内で適宜選定することができる。
(e)成分である不飽和一塩基酸のカルボキシル基は、(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基と反応してエポキシ基を開環し、水酸基が形成されるとともに末端に不飽和基が付与される。(f)成分である多塩基酸無水物は、(e)成分中のカルボキシル基と(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基との反応により生じた水酸基と反応して酸無水物基が開環してカルボキシル基に変換される。
(e)成分である不飽和一塩基酸の使用量は、(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基の100モルに対して5〜100モル、好ましくは30〜100モル、さらに好ましくは50〜100モルである。
不飽和一塩基酸の使用量を5モル以上とすることにより、樹脂が硬化するために必要な不飽和基の最低量を導入することができ、不飽和一塩基酸の使用量を100モル以下とすることにより、得られる感光性樹脂(I)中の未反応の不飽和一塩基酸の量を少なくできる。
次に反応させる(f)成分である多塩基酸無水物の使用量は、(e)成分中のカルボキシル基と(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基との反応により生じた水酸基100モルに対して5〜100モル、好ましくは10〜90モル、さらに好ましくは20〜90モルである。水酸基100モルに対して多塩基酸無水物のモル数を5〜100モルの範囲とすることにより、得られる感光性樹脂(I)の酸価(JIS K6901)を20〜150KOHmg/gの範囲にコントロールすることができる。酸価については、後述の感光性樹脂(II)の項で説明する。
例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAcと略記することがある)のようなグリコールエーテル系の溶剤、トルエンやキシレンのような炭化水素系や酢酸エチルのような官能基を有していない有機溶剤中に上記(a)、(b)、(c)及び(d)成分を所望の比率で溶解し、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートのような重合開始剤を混合して還流状態で50〜130℃程度で、1〜20時間程度重合させることにより、共重合体(Ia)の有機溶剤溶液が得られる。重合開始剤の使用量は(a)、(b)、(c)及び(d)成分の合計量100質量部に対して、通常0.5〜20質量部、好ましくは1.0〜10質量部である。
有機溶剤を使用せずに(a)、(b)、(c)及び(d)成分と重合開始剤だけで塊状重合を行ってもよい。
本発明の感光性樹脂(I)は後述の反応性希釈剤や溶剤を混合した感光性樹脂組成物として、主としてレジスト等の電子材料として用いられるので、共重合体(Ia)を上記のようなラジカル共重合で製造する際、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエステル系の溶剤が好ましく用いられる。
その共重合体(Ib)の水酸基に(f)成分である多塩基酸無水物を反応させることにより本発明の感光性樹脂(I)が得られる。共重合体(Ib)の水酸基と多塩基酸無水物との反応は上記共重合体(Ia)中の(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基に(e)成分である不飽和一塩基酸を反応させた後、そのまま(f)成分を所望量添加して通常50〜150℃程度、好ましくは80〜130℃加熱して行う。新たに触媒を添加する必要はない。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノール(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販のものとして、例えば、商品名ライトエステルNB、ライトエステルIB、ライトエステルTB、ライトエステルEH、ライトエステルPO(いずれも共栄社化学株式会社製)、ブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーP、ブレンマーPP−1000、ブレンマーPP−500、ブレンマーAP−150、ブレンマーAP−400、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー70PEP−350B、ブレンマー55PET−400、ブレンマー30PET−800、ブレンマー30PPT−800、ブレンマー50PPT−800、ブレンマー10PPB−500B、ブレンマー10APB−500B、ブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200(いずれも日本油脂株式会社製)等が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトンを付加したもの等が挙げられ、市販のものとして、例えば、商品名プラクセルFA1DDM、プラクセルFA2D、プラクセルFM1D、プラクセルFM2D(いずれもダイセル化学工業株式会社製)や、その末端水酸基に酸無水物変性したものが挙げられる。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、2−オキソラニル・6−ヘキサノリド付加重合物の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、市販のものとして、例えば、商品名カヤラッドTC−110、カヤラッドTC−110S、カヤラッドTC−120、カヤラッドTC−120S(いずれも日本化薬株式会社製)、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトンを付加したもの等が挙げられる。上記した一般式(1)〜(3)で表される(a)成分は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(b)成分の代表的なものとして、以下のような一般式(4)及び(5)で表されるロジン変性グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ロジンは天然物であり、産地によって成分が若干異なるが、通常は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等の混合物である。通常はアビエチン酸、ネオアビエチン酸及びそれらのジヒドロキシ化物の含有量が最も多いと言われている。上記一般式(4)において、R7が単結合の場合、アビエチン酸のグリシジル(メタ)アクリレートであり、上記一般式(5)において、R7が単結合の場合、ネオアビエチン酸のグリシジル(メタ)アクリレートである。
(b)成分の具体例としては、2−ヒドロキシプロピルデヒドロアビエチン酸アクリレート等が挙げられ、市販のものとして、例えば、商品名ビームセット101、ビームセット102、ビームセット115(いずれも荒川化学工業株式会社製)、K1000A、UNIRESIN K900B(いずれも新中村化学工業株式会社製)等が挙げられる。上記した(b)成分は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、反応性及びコストの面から、テトラヒドロ無水フタル酸や無水コハク酸を用いることが好ましい。
感光性樹脂(II)の前駆体である共重合体(IIa)は、上記感光性樹脂(I)で用いるものと同じモノマー成分(a)、(b)、(d)及び(e)に由来する骨格を側鎖に有しており、その共重合比率は(a)5〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜25モル%、(b)5〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜25モル%、(e)が20〜70モル%、好ましくは30〜60モル%、さらに好ましくは40〜50モル%、及び(d)が20〜70モル%、好ましくは20〜60、さらに好ましくは25〜50モル%である。
感光性樹脂(II)における(e)成分も感光性樹脂(I)で用いられるものと同じ化合物であるが、感光性樹脂(I)の場合とは役割が異なっており、ラジカル共重合の段階で共重合体(IIa)の側鎖にカルボキシル基を存在させるために用いられる。したがって、(e)成分の使用量は、感光性樹脂(I)の場合とは異なっており、(a)の5〜30モル%に対して(e)成分が20〜70モル%の割合である。
感光性樹脂(II)における(d)成分は感光性樹脂(I)で用いられるものと同じであり、その使用モル比を20〜70モル%とする理由も感光性樹脂(I)の場合と同じである。すなわち、(a)、(b)及び(e)成分の使用比率により必然的に上記範囲が決められる。
共重合体(IIa)を製造するためのラジカル共重合は、各成分のモル比が異なる以外は共重合体(Ia)を製造するためのラジカル共重合と同じ条件で行われる。
共重合体(IIa)中のカルボキシル基に(c)成分であるエポキシ基を有するラジカル重合性化合物を反応させる際の条件は、各成分のモル比以外は、共重合体(Ia)のエポキシ基に(e)成分である不飽和一塩基酸を反応させる場合と同じ条件である。
なお、本発明における感光性樹脂(I)及び(II)の酸価は、感光性樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K6901:1999、5.3の酸価に記載の方法に従って測定されるものである。
以上のようにして、得られた本発明の感光性樹脂(I)及び(II)においては、重量平均分子量は通常は、3,000〜100,000であり、好ましくは5,000〜40,000である。重量平均分子量を3,000以上とすることにより、耐熱性が劣るのを防止し、100,000以下とすることにより現像性が低下するのを防止する。
なお、本発明における感光性樹脂(I)及び(II)の重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件にて測定し、ポリスチレン換算にて算出されるものである。
カラム:ショーデックス KF−801+KF−802+KF−802+KF−803
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計(ショーデックス RI−101)
流速:1mL/min
使用できる反応性希釈剤(g)としては、感光性樹脂(I)及び/又は感光性樹脂(II)と反応可能なものであれば特に制限はされない。反応性希釈剤(g)の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のポリカルボン酸モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;トリアリルシアヌレート等を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
反応性希釈剤(g)の添加量は感光性樹脂(I)及び/又は感光性樹脂(II)の100質量部に対して、通常は10〜200質量部、好ましくは20〜150質量部である。上記範囲にすることにより、光硬化性を適正な範囲に保つことができ、さらに、粘度を調整することもできる。また、使用する反応性希釈剤(g)の種類によっては、感光性樹脂組成物の粘度を調整するために、溶剤(h)をさらに添加してもよい。
溶剤(h)の具体例としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート等を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、前記ラジカル重合反応において好ましく使用されるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。
溶剤(h)の添加量は感光性樹脂(I)及び/又は感光性樹脂(II)の100質量部に対して、通常は30〜1000質量部、好ましくは50〜800質量部である。上記範囲とすることにより、粘度を適度に保つことができる。
また、顔料の分散性を向上させるために、カラーフィルタ形成用感光性樹脂組成物に公知の分散剤を添加してもよい。分散剤としては、高分子分散剤を用いると経時の分散安定性に優れるので好ましい。高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性エステル系分散剤等を挙げることができる。このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成株式会社製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)等が挙げられる。
現像に使用されるアルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム等の水溶液、アミン系では、アミノフェノール系化合物も有用であるが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用され、その代表例として3−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メトキシエチルアニリン及びこれらの硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩の水溶液が挙げられる。
光照射して塗布面を硬化させる際に用いられる光源としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタハライドランプ等が用いられる。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート152質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、スチレン16質量部、グリシジルメタクリレート85質量部、ロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)43質量部、及び2−オキソラニル・6−ヘキサノリド付加重合物のアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製 カヤラッドTC−110S)41質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し9質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸42質量部、トリフェニルホスフィンを0.66質量部、及びメチルハイドロキノン0.15質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了し、次いで、テトラヒドロ無水フタル酸23質量部を加え、115℃で2時間反応させ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114質量部を加えることにより、固形分酸価32KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:10,000)の溶液を得た。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート165質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、スチレン16質量部、グリシジルメタクリレート85質量部、ロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)65質量部、及びヒドロキシエチルメタクリレートの0.2molカプロラクトン付加物(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFM2D)36質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し9質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸42質量部、トリフェニルホスフィンを0.66質量部、及びメチルハイドロキノン0.15質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了し、次いで、テトラヒドロ無水フタル酸24質量部を加え、115℃で2時間反応させ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120質量部を加えることにより、固形分酸価31KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:13,000)の溶液を得た。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート201質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ベンジルメタクリレート53質量部、メタクリル酸43質量部、ロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)43質量部、及びプロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製 ブレンマー10PPB−500B)58質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し2質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が88KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8質量部を加えることにより、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート68質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ビニルトルエン45質量部、N,N−ジメチルアクリルアミド(株式会社興人製)10質量部、メタクリル酸36質量部、及びロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)43質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し2質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が96KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12質量部を加えることにより、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、スチレン52質量部、及びグリシジルメタクリレート71質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し9質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、アクリル酸35質量部、トリフェニルホスフィンを0.66質量部、及びメチルハイドロキノン0.15質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了し、次いで、テトラヒドロ無水フタル酸17質量部を加え、115℃で2時間反応させ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート85質量部を加えることにより、固形分酸価33KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:10,000)の溶液を得た。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート146質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ベンジルメタクリレート100質量部、メタクリル酸37質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し3質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が94KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12質量部を加えることにより、固形分酸価94KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート169質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ベンジルメタクリレート44質量部、メタクリル酸39質量部、及び2−オキソラニル・6−ヘキサノリド付加重合物のアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製 カヤラッドTC−110S)81質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し3質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が89KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4質量部を加えることにより、固形分酸価89KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ベンジルメタクリレート44質量部、メタクリル酸43質量部、及びロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)108質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し5質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が88KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8質量部を加えることにより、固形分酸価88KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
合成例1〜4で得られた感光性樹脂の溶液をそれぞれ実施例1〜4で使用し、比較合成例1〜4で得られた感光性樹脂の溶液をそれぞれ比較例1〜4で使用した。実施例及び比較例における各種物性等の測定は下記の方法で実施した。
各感光性樹脂の溶液の固形分100質量部にペンタエリスリトールテトラアクリレート30質量部、光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン4質量部を添加して調製した樹脂組成物をアプリケーターでガラス基板上に湿潤時の厚み10μmで塗布し、100℃の温風乾燥器中で低沸点物を揮発させた後、オーク製作所株式会社製超高圧水銀灯を用い、必要に応じてマスクを通して150mJ/cm2で露光し、厚み2μmの硬化塗膜を得た後、アルカリ現像を行った。
各硬化塗膜を切り出し、熱重量分析(TGA)を行った。切り出した試料を220℃まで加熱し、2時間保持した時の重量変化率を測定した。結果を表2に示した。
硬化塗膜をJIS K5400に準じて碁盤目試験を行い、100個の碁盤目の剥離状態を目視観察して以下の基準で評価した。結果を表2に示した。
○:剥離が全く認められないもの。
△:全体の10%未満に剥離が認められるもの。
×:全体の10%以上に剥離が認められるもの。
マスクを通して露光した硬化塗膜を23℃で0.1重量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像し、水洗後の塗膜の有無を観察した。
また、スプレー現像で水洗後の塗膜の無いものに関しては、マスクを通して露光した硬化塗膜を23℃で0.1重量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いてディップ現像し、現像形態が溶解型か剥離型かを観察した。
ネガ型のレジストの現像工程においては、レジスト層の硬化していない未露光部分がアルカリ現像液により溶解し基板上から離脱していくが、その現像形態としては、離脱していく部分が主に大きな塊となって剥がれる剥離型と、染料が水に溶けていくように徐々に溶解、拡散する溶解型とがある。前者の剥離型は固液分の塊が異物となって系内に残留し、他の色の画素を汚染しやすいので好まれない現像形態であり、後者の溶解型が望まれる現像形態である。評価は以下の基準で行った。結果を表2に示した。
○:現像時間70秒後、目視で塗膜無し。現像形態:溶解型。
△:現像時間70秒後、目視で塗膜無し。現像形態:剥離型。
×:現像時間70秒後、目視で塗膜あり。
(赤色顔料分散液の調製)
直径0.5mmのジルコニアビーズ180質量部が充填されたSUS容器に、C.Iピグメントレッド177 10.00質量部、溶剤(PGMAc)33.75質量部及び分散剤(ビックケミー社製 Disperbyk−2000)6.25質量部を投入し、ペイントシェーカーで6時間分散させて赤色顔料分散液を得た。
(青色顔料分散液の調整)
C.Iピグメントレッド177 10.00質量部の代わりに、C.Iピグメントブルー15:6 10.00質量部を用いる以外は赤色顔料分散液の調製と同様にして青色顔料分散液を得た。
(緑色顔料分散液の調整)
C.Iピグメントレッド177 10.00質量部の代わりに、C.Iピグメントグリーン36 10.00質量部を用いる以外は赤色顔料分散液の調製と同様にして緑色顔料分散液を得た。
5cm角ガラス基板(無アルカリガラス)上に乾燥時膜厚2.2μmとなるようにカラーレジストをスピンコートし、80℃で3分プリベーク後、塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置して150mJ/cm2で露光した。次いで、0.1重量%炭酸ナトリウム水溶液で0.3MPaの水圧でスプレー現像を行った後、230℃で30分ポストベークを行い、カラーレジスト硬化塗膜を得た。
現像ガラス基板を投光器により目視で観察し、残渣の有無を確認した。更に、基板の表面をエタノール付きウエスで拭き取り、ウエス上に拭き取られた残渣の有無を確認した。結果を表2に示した。
顔料分散安定性の目安として、着色樹脂組成物の粘度変化を測定した。顔料分散安定性が悪い場合、粘度の上昇があり好ましくない。以下、具体的に説明する。
光開始剤系成分1及び光開始剤系成分2を除いた着色感光性樹脂組成物を調製した直後、及び23℃の恒温槽に7日間静置した後の粘度を測定(東機産業株式会社製 E型粘度計、ローター1°34’×R24、23℃、20rpmで測定)した。顔料分散安定性が良好である目安として、7日後の粘度変化が初期粘度に対して10%以下、好ましくは5%以下である。結果を表2に示した。
Claims (4)
- 下記式(1)〜(3)
ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、
エポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)30〜80モル%と、
前記(a)、(b)及び(c)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)10〜60モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の5〜100%に不飽和一塩基酸(e)を付加させ、前記(e)成分を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%に多塩基酸無水物(f)を付加させて得られることを特徴とする感光性樹脂。 - 下記式(1)〜(3)
ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、
不飽和一塩基酸(e)20〜70モル%と、
上記化合物(a)、(b)及び(e)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)20〜70モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるカルボキシル基の5〜80%にエポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)を付加させることにより得られることを特徴とする感光性樹脂。 - 酸化が20〜150KOHmg/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の感光性樹脂と、反応性希釈剤(g)と、溶剤(h)とを必須成分とすることを特徴とする感光性樹脂組成物。
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