JP2008143932A - ポリウレタン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1)と特定のウレタン樹脂(B2)との混合樹脂、上記(A1)成分と、特定のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A2)との混合樹脂、又は特定の(A2)成分と、特定のウレタン樹脂(B1)との混合樹脂を含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物中の全てのポリウレタン成分である全ポリウレタン分が、多価イソシアネートとポリオールとから由来する骨格を有し、全ポリウレタン分中の少なくとも一部が、カルボキシル基含有ポリオール由来の骨格を有し、上記の芳香族多価イソシアネート由来の骨格と、脂肪族多価イソシアネート由来の骨格との含有比が、モル比で、90/10〜10/90とする。
【選択図】なし
Description
これらの問題点に対し、水性のポリレタン樹脂及びポリオレフィン樹脂を有する樹脂組成物(特許文献1、2参照)が知られている。
この発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物は、ポリウレタン成分及びビニル重合体成分とからなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂と、ポリウレタン成分からなるウレタン樹脂との混合樹脂、又は、上記ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂と、異なるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂との混合樹脂を含有する樹脂組成物である。
上記ポリウレタン成分とは、多価イソシアネートと、ポリオールに由来する構造を繰り返し単位として有する特定のポリウレタンをいう。
ポリウレタン成分(u1)を構成する芳香族イソシアネートとしては、芳香族の有機系の多価イソシアネートがあげられる。これの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。この中でも、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が好ましい。
ポリウレタン成分(u2)を構成する脂肪族イソシアネートとしては、脂肪族の有機系の多価イソシアネートがあげられる。これの具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。中でも、メチレン鎖を有する1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
上記のポリウレタン成分(u1,u2)を構成するポリオールとしては、一般に知られているジオール等のポリオールが用いられる。このポリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、メチルペンタンポリオールアジペート等の比較的低分子量のポリオールの他、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリマータイプのポリオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸等からなるカルボキシル基含有ポリオール等があげられ、これらの1種又は複数種を用いることができる。
上記ビニル重合体成分(v)とは、原料となるビニル単量体の単独重合体又は共重合体をいう。このビニル単量体成分としては、(メタ)アクリル系単量体、ハロゲン化ビニル系化合物、多官能性不飽和単量体、芳香族ビニル化合物等があげられる。なお、この明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
なお、上記のビニル基を有する単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂は、ポリウレタン成分及びビニル重合体成分(v)との複合樹脂をいう。具体的には、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1)は、ポリウレタン成分(u1)とビニル重合体成分(v)とからなる複合樹脂をいい、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A2)は、ポリウレタン成分(u2)とビニル重合体成分(v)とからなる複合樹脂をいう。
上記ポリウレタン成分(u1,u2)、及びウレタン樹脂(B1,B2)は、上記した特定の多価イソシアネートと、上記ポリオールとを混合し、ウレタン反応させることにより製造される。
次に、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1,A2)の製造方法について説明する。上記の通り、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1,A2)は、ポリウレタン成分(u1,u2)とビニル重合体成分(v)との複合体であり、その製造法としては、ポリウレタン成分(u1,u2)を得た後、ビニル単量体をポリウレタン成分からなるポリウレタン系水分散液に加え、その後、ビニル重合する方法、上記のポリオール、特定の多価イソシアネート、及びビニル単量体を混合し、まず、ウレタン重合を行い、次いでビニル重合を行う方法があげられる。いずれの方法を採用してもよいが、以下においては、上記のポリオール、特定の多価イソシアネート、及びビニル単量体を混合し、まず、ウレタン重合を行い、次いでビニル重合を行う方法について説明する。
この発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物は、上記のポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1)と、ウレタン樹脂(B2)との混合樹脂、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1)と、ポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A2)との混合樹脂、又はポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A2)と、ウレタン樹脂(B1)との混合樹脂を含有する樹脂組成物である。すなわち、この樹脂組成物中の全ポリウレタン分中に含まれる多価イソシアネート由来の骨格が、芳香族多価イソシアネート由来の骨格及び脂肪族多価イソシアネート由来の骨格を有する。
この発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物は、上記の各成分以外に、この発明の効果を阻害しない範囲内で他の成分を混合してもよい。この他の成分として、他種のポリマー、安定剤、フィラー、防黴剤、粘度調整剤、分散剤等があげられる。上記他種のポリマーとしては、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスチレン(PS)等があげられる。
[厚膜成形性]
ガラス板上に、皮膜の厚さが約100μmとなるように樹脂組成物を塗布し、室温下で一夜放置した後、110℃で10分間焼き付けた後、目視にてクラックの有無を判断した。
○:クラックの発生は見られなかった
△:徐々に微白化が見られた(微細なクラックの発生)
×:クラックが発生していた(ミクロクラックやアリゲータークラックの発生)
上記厚膜成形性試験で得られた皮膜を、0.5cm幅の短冊に切り、オートコムC型万能試験機((株)ケーエスイー製)を用いて、下記の測定条件下で、最大伸度(%)、100%強度(MPa)、最大強度(MPa)を測定した。
測定条件:23℃、50%Rhの雰囲気下で、2cmチャック間、200mm/minの引っ張り速度とする。
上記の厚膜成形性試験で得られた皮膜を1cm×5cmの短冊形に切り出し、試験片とした。この試験片を10cmまで15秒以内で引っ張り、1分間保持した後、はね返させることなく急に収縮させ、1分後の長さを測定した。そして、下記の式から永久伸びを算出した。
永久伸び=(収縮させ1分後の長さ)(cm)/(初期の長さ)(cm)×100
(1)面積膨潤比
上記厚膜成形性試験で得られた皮膜を、1cm×5cmに切り、溶剤(イソプロパノール(IPA)、アセトン)に30分間、室温にて浸漬し、wet状態で面積を測定し、下記の式で面積膨潤比を算出した。
面積膨潤比=(wet状態での面積)/5
[多価イソシアネート]
・ヘキサメチレンジイソシアネート…旭化成ケミカルズ(株)製:デュラネート50M(商品名)、以下「HDI」と略する。
・トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート…Degussa−Huls社製:VESTANAT TMDI(商品名)、以下「TMDI」と略する。
・ジフェニルメタンジイソシアネート…三井化学(株)製:コスモネートPH(商品名)、以下「MDI」と略する。
・ポリテトラメチレンエーテルグリコール…三菱化学(株)製:PTMG1000、OHV:112mgKOH/g、以下「PTMG(1000)」と略する。
・ポリプロピレングリコール…第一工業製薬(株)製:ハイフレックスD2000、OHV:56mgKOH/g、以下「PPG(2000)」と略する。
・1,4−ブタンジオール…三菱化学(株)製、以下「14BG」と略する。
・ジメチロールプロピオン酸…Mallinckrodt Ahemical Inc.社製、以下「DMPA」と略する。
・アクリル酸エチル…三菱化学(株)製、以下、「EA」と称する。
・アクリロニトリル…ダイヤニトリックス(株)製、以下、「AN」と称する。
・アクリル酸2−メトキシエチル…三菱化学(株)製:アクリル酸エチルDC−1、以下、「DC−1」と称する。
・アクリル酸ブチル…三菱化学(株)製、以下、「BA」と称する。
・ハイドロキノンモノメチルエーテル…和光純薬工業(株)製:試薬、以下、「HQ」と称する。
・レドックス系開始剤…7重量%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液(化薬アクゾ(株)製、以下「PO」と略する。)と、1重量%アスコルビン酸水溶液(武田薬品(株)製、以下「AsA」と略する。)とからなる触媒。
・中和剤…トリエチルアミン、和光純薬工業(株)製:トリエチルアミン、以下「TEA」と略する。
・溶剤…メチルエチルケトン、和光純薬工業(株)製:2−ブタノン、以下「MEK」と略する。
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、表1に示す各ポリオールの各成分、酸ジオール、ビニル単量体の各成分、及び安定剤を表1に記載の量ずつ加え、内温を50℃とし、表1に記載の量の多価イソシアネートを加え、80℃に加温し、この温度で5時間反応させてウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、このウレタンプレポリマー溶液に、表1に記載の量の中和剤を添加した後、蒸留水を、50℃で15分間かけて滴下し、乳白色の分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、表1に記載の量の開始剤を添加し、ビニル重合を開始した。発熱終了後、さらに70℃に昇温して3時間維持することにより、ポリウレタンとビニル重合体を含む水性分散液を得た。
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、表1に示す各ポリオールの各成分、溶剤を表1に記載の量ずつ加え、内温を50℃とし、表1に記載の量の多価イソシアネートを加え、80℃に加温し、この温度で5時間反応させてウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、このウレタンプレポリマー溶液に、表1に記載の量の中和剤を添加し、その後蒸留水を、50℃で15分間かけて滴下し、乳白色の分散液を得た。
その後、この分散液を90℃まで昇温し、蒸留装置を取り付け脱溶剤を1時間以上行い、水性ウレタン分散液を得た。
表2に示すように、(A1)成分、(A2)成分、及び(B2)成分を、表2に示す割合で混合し、樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物について、上記の方法にしたがって、永久伸び、破断伸び、耐溶剤性、及び厚膜形成性について測定・評価した。その結果を表2に示す。
Claims (6)
- 芳香族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタン成分(u1)及びビニル重合体成分(v)とからなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1)と、脂肪族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタン成分(u2)からなるウレタン樹脂(B2)、又は上記ポリウレタン成分(u2)及びビニル重合体成分(v)とからなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A2)との混合樹脂を含有する樹脂組成物であって、
上記樹脂組成物中の全てのポリウレタン成分である全ポリウレタン分が、多価イソシアネートとポリオールとから由来する骨格を有し、
上記全ポリウレタン分中の少なくとも一部が、カルボキシル基含有ポリオール由来の骨格を有し、
上記の芳香族イソシアネート由来の骨格と、脂肪族イソシアネート由来の骨格との含有比が、モル比で、90/10〜10/90であるポリウレタン系樹脂組成物。 - 脂肪族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタン成分(u2)及びビニル重合体成分(v)とからなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A2)と、芳香族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタン成分(u1)からなるウレタン樹脂(B1)、又は上記ポリウレタン成分(u1)及びビニル重合体成分(v)とからなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1)との混合樹脂を含有する樹脂組成物であって、
上記樹脂組成物中の全てのポリウレタン成分である全ポリウレタン分が、多価イソシアネートとポリオールとから由来する骨格を有し、
上記全ポリウレタン分中の少なくとも一部が、カルボキシル基含有ポリオール由来の骨格を有し、
上記の芳香族イソシアネート由来の骨格と、脂肪族イソシアネート由来の骨格との含有比が、モル比で、90/10〜10/90であるポリウレタン系樹脂組成物。 - 芳香族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタン成分(u1)及びビニル重合体成分(v)とからなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1)と、脂肪族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタン成分(u2)からなるウレタン樹脂(B2)又は上記ポリウレタン成分(u2)及びビニル重合体成分(v)とからなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A2)との混合樹脂を含有する樹脂組成物であって、
永久伸びが100〜125%、及び破断伸びが100〜1000%、かつ、イソプロパノール及びアセトンに対する面積膨潤比がいずれも4以下であるポリウレタン系樹脂組成物。 - 脂肪族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタン成分(u2)及びビニル重合体成分(v)とからなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A2)と、芳香族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタン成分(u1)からなるウレタン樹脂(B1)、又は上記ポリウレタン成分(u1)及びビニル重合体成分(v)とからなるポリウレタン−ビニル重合体複合樹脂(A1)との混合樹脂を含有する樹脂組成物であって、
永久伸びが100〜125%、及び破断伸びが100〜1000%、かつ、イソプロパノール及びアセトンに対する面積膨潤比がいずれも4以下であるポリウレタン系樹脂組成物。 - 上記ビニル重合体成分(v)の原料となるビニル単量体は、(メタ)アクリル系単量体である請求項1乃至4のいずれかに記載のポリウレタン系樹脂組成物。
- 水性分散液である請求項1乃至5のいずれかに記載のポリウレタン系樹脂組成物。
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