JP2008133332A - 自動車緩衝器用潤滑油組成物 - Google Patents

自動車緩衝器用潤滑油組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2008133332A
JP2008133332A JP2006319390A JP2006319390A JP2008133332A JP 2008133332 A JP2008133332 A JP 2008133332A JP 2006319390 A JP2006319390 A JP 2006319390A JP 2006319390 A JP2006319390 A JP 2006319390A JP 2008133332 A JP2008133332 A JP 2008133332A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating oil
oil composition
mass
composition
automobile shock
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006319390A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5087262B2 (ja
Inventor
Hidetoshi Koga
英俊 古賀
Shuichi Sakagami
衆一 坂上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP2006319390A priority Critical patent/JP5087262B2/ja
Publication of JP2008133332A publication Critical patent/JP2008133332A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5087262B2 publication Critical patent/JP5087262B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Abstract

【課題】自動車の緩衝器におけるピストンロッドとオイルシールやピストンバンドとシリンダ等摺動部の摩擦力を適度に高めるとともに、自動車の高速走行時の操縦安定性、危険回避性能およびワインディング道路での旋回性能などの向上を図ることができる自動車緩衝器用潤滑油組成物を提供すること。
【解決手段】自動車緩衝器用潤滑油組成物は、潤滑油基油に対し、組成物全量に基づき、(A)酸性亜リン酸ジエステル0.01〜1質量%、(B)酸性リン酸エステルまたはそのアミン塩0.02〜0.6質量%、(C)分散型粘度指数向上剤0.5〜15質量%を配合してなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車緩衝器用潤滑油組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、自動車の緩衝器(ショックアブソーバ)におけるピストンロッドとオイルシールやピストンバンドとシリンダ等摺動する部分の摩擦力を高め、自動車の高速走行時の操縦安定性を著しく向上させ得る自動車緩衝器用潤滑油組成物に関する。
自動車緩衝器用潤滑油は、主として、車に最適な減衰力を発揮し、操縦安定性を保持するために、振動抑制を目的として用いられる。特に最近、高速道路網が完備し、従来に増して高速走行の割合が増加している。したがって、高速走行安定性や、危険回避能力に優れた性能を発揮する車に対する需要が増加してきている。しかしながら、わが国における現行車においては、例えば速度80km/h以上において、車線変更のためにハンドルを切った際に、不安定なローリングが発生し、車体の安定性が悪くなったり、危険を回避するための必要回避距離が長い、などの問題が生じる。
この原因は、緩衝器における微少振幅時のオイルシールとピストンロッドやピストンバンドとシリンダ等摺動部における摩擦力の大小に関係することが、研究の結果明らかとなった。高速走行では、タイヤ、スプリング、緩衝器、車体へと振動が移行し、微少振動状態になる。この振動は、通常ストローク長さが0.4〜2mm程度であり、繰り返し速度が1.5〜15Hz程度である。このような条件は、緩衝器の減衰力が発生しにくい条件であるために制振作用が充分に発揮されない。その結果、オイルシールとピストンロッドやピストンバンドとシリンダ等摺動部の滑り始めの摩擦力が小さいと容易に車体の姿勢が傾き安定性を悪化させることになる。
したがって、このような問題を解決するには、緩衝器用潤滑油のオイルシールとピストンロッドやピストンバンドとシリンダ等摺動部の摩擦力を大きくすればよいと考えられる(例えば、特許文献1)。
特開2003−147379号公報
しかしながら、特許文献1に記載された潤滑油組成物のように摩擦力を大きくするだけでは、必ずしも自動車の高速走行時の操縦安定性の向上には結びつかない。また、オイルシールの摩耗によるオイル漏れ、ピストンバンドとシリンダの摩耗増加や軸受とロッドの摩耗増加の原因となるおそれもある。
そこで、本発明は、自動車の緩衝器におけるピストンロッドとオイルシールやピストンバンドとシリンダ等摺動部の摩擦力を適度に高めるとともに、自動車の高速走行時の操縦安定性、危険回避性能およびワインディング道路での旋回性能などの向上を図ることができる自動車緩衝器用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の優れた性能を有する自動車緩衝器用潤滑油組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、基油に、酸性亜リン酸ジエステルと、酸性リン酸エステルまたはそのアミン塩と、さらに分散型粘度指数向上剤とをそれぞれ所定の割合で配合することにより、その目的を達成し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記のような自動車緩衝器用潤滑油組成物を提供するものである。
1.潤滑油基油に対し、組成物全量に基づき、(A)酸性亜リン酸ジエステル0.01〜1質量%、(B)酸性リン酸エステルまたはそのアミン塩0.02〜0.6質量%、(C)分散型粘度指数向上剤0.5〜15質量%を配合してなることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
2.上記1に記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、潤滑油基油が、40℃における動粘度4〜10mm2/sの鉱油および/または合成油であることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物、
3.上記1または2に記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、(A)成分の酸性亜リン酸ジエステルが下記式(1)で示される化合物であることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
Figure 2008133332
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
4.上記1〜3のいずれかに記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、(B)成分の酸性リン酸エステルが下記式(2)で示される化合物であることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
Figure 2008133332
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜18のアルキル基またはアルケニル基を示す。ただし、R3およびR4は、同時に水素となることはない。)
5.上記1〜4のいずれかに記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、(C)成分の分散型粘度指数向上剤が分散型PMAであることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
6.上記5に記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、前記分散型PMAの質量平均分子量が1万〜50万であることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
本発明によれば、適度な摩擦係数を有し、摩擦材部分の摺動速度が変化してもシール/ピストンロッド間の摩擦係数の変化が少ない自動車緩衝器用潤滑油組成物を提供できる。すなわち、自動車の緩衝器におけるピストンロッドとオイルシールやピストンバンドとシリンダ等摺動部の摩擦力を適度に高めることができ、自動車の高速走行時の操縦安定性、危険回避性能およびワインディング道路での旋回性能などの向上を図ることができる。
本発明の自動車緩衝器用潤滑油組成物(以下、「本組成物」ともいう)は、基油に、(A)酸性亜リン酸ジエステルと、(B)酸性リン酸エステルまたはそのアミン塩と、さらに(C)分散型粘度指数向上剤とをそれぞれ所定の割合で配合することにより得られる。以下、本組成物について詳細に説明する。
本組成物における基油としては、通常、鉱油や合成油が用いられる。この鉱油や合成油の種類、その他については特に制限はなく、鉱油としては、例えば、溶剤精製、水添精製などの通常の精製法により得られたパラフィン基系鉱油、中間基系鉱油又はナフテン基系鉱油などが挙げられる。
また、合成油としては、例えば、ポリブテン、ポリオレフィン(α−オレフィン(共)重合体)、各種のエステル(例えば、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステルなど)、各種のエーテル(例えば、ポリフェニルエーテルなど)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、GTL(Gas to Liquids)などが挙げられる。
本発明においては、基油として、上記鉱油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、上記合成油を一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。さらには、鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて用いてもよい。
本組成物は、主に乗用を目的とする車の緩衝器油として用いられることから、前記した基油の粘度としては、40℃における動粘度で4〜10mm2/sの範囲が好ましい。
本組成物においては、(A)成分として、酸性亜リン酸ジエステルが用いられる。この酸性亜リン酸ジエステルは、下記式(1)で示されるものが好ましい。
Figure 2008133332
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
ここで、式(1)において、RおよびRの炭素数がともに18を越えると摩擦係数が低下しすぎるおそれがある。摩擦係数を保持する観点からはRおよびRの炭素数は、12以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。ただし、炭素数が少ないと、極性の増加による金属部分の腐食性の増大が懸念されるため、炭素数は2以上であることが好ましい。
また、アルキル基やアルケニル基は、直鎖構造でも良いし、分岐構造でも良いが、摩擦係数を向上させるためには分岐構造が好ましい。
このような酸性亜リン酸ジエステルとしては、ジ(2-エチルへキシル)ハイドロジェンホスファイト、ジエチルハイドロジェンホスファイト、ジブチルハイドロジェンホスファイト、ジオクチルハイドロジェンホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、ジミリスチルハイドロジェンホスファイト、ジパルミチルハイドロジェンホスファイト、ジステアリルハイドロジェンホスファイト、ジオレイルハイドロジェンホスファイトなどが挙げられる。
(A)成分の酸性亜リン酸ジエステルは、本組成物全量に対する配合量として0.01〜1質量%であることが必要であり、好ましくは0.01〜0.8質量%である。
配合量が0.01質量%未満であると、緩衝器を構成するブッシュ/ロッド間及びピストン/インナーチューブ間の耐摩耗性が不十分となる。
一方、酸性亜リン酸ジエステルの配合量が1質量%を越えた場合、前記したRおよびRの炭素数がともに12以上の酸性亜リン酸ジエステルでは摩擦係数の低下が大きく、炭素数がともに8以下の酸性亜リン酸ジエステルではシール/ロッド間の摩擦係数の増大が著しくなり好ましくない。
本組成物においては、(B)成分として、酸性リン酸エステル、またはそのアミン塩が用いられる。この酸性リン酸エステルは、下記式(2)で示されるものが好ましく、モノエステルでもジエステルでもよい。
Figure 2008133332
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜18のアルキル基またはアルケニル基を示す。ただし、R3およびR4は、同時に水素となることはない。)
ここで、式(2)において、R3およびR4の炭素数が18を越えると本組成物を潤滑油として用いた場合の摩擦係数が低下しすぎるおそれがある。また、シール/ロッド間の摩擦係数を保持させるためには、R3およびR4は炭素数が12以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。このようなR3やR4としては、水素以外に例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、および各種のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、さらにはシクロペンチル基、シクロヘキシル基などのアルキル基、アリル基、プロペニル基および各種のブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。これらの中で、メチル基およびエチル基が好適である。また、アルキル基やアルケニル基は、直鎖構造でも良いし、分岐構造でも良い。
このような酸性リン酸エステルとしては、モノメチルハイドロジェンホスフェート、モノエチルハイドロジェンホスフェート、モノプロピルハイドロジェンホスフェート、モノブチルハイドロジェンホスフェート、モノ−2−エチルヘキシルハイドロジェンホスフェート、ジメチルハイドロジェンホスフェート、ジエチルハイドロジェンホスフェート、ジプロピルハイドロジェンホスフェート、ジブチルハイドロジェンホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルハイドロジェンホスフェートなどが挙げられる。
(B)成分である酸性リン酸エステルのアミン塩におけるアミンとしては、一級アミンが好ましく、また、アルキルアミンでもアルケニルアミンでもよい。アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、このようなものとしては、各種のドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、あるいはオレイル基などが挙げられるが、これらの中で分岐型のドデシル基が好適である。具体的には、1−(2,2−ジメチループロピル)−1,3,3−トリメチルーブチルアミン、ラウリルアミン各種異性体、ミリスチルアミン各種異性体、パルミチルアミノ各種異性体、ステアリルアミン各種異性体、さらにはオレイルアミンなどが挙げられる。
これらのアミンは、酸性リン酸エステルの酸性を包み込む役割をもち、酸性リン酸エステルが本来有する反応性を調整している。具体的には、オイルシールとピストンロッド間の摩擦力を向上させる効果を発揮する。すなわち、オイルシールなどの有機系材料に対してはリン系添加剤の働きを弱め、鋼に対しては、リン系添加剤の耐摩耗性、耐カジリ性を発揮させる効果がある。
(B)成分の酸性リン酸エステルまたは酸性リン酸エステルのアミン塩は、本組成物全量に対する配合量として0.02〜0.6質量%であることが必要であり、好ましくは0.03〜0.5質量%、である。
酸性リン酸エステルの配合量が0.02質量%未満であると、緩衝器を構成するブッシュ/ロッド間及びピストン/インナーチューブ間の耐摩耗性が不十分となる。一方、酸性リン酸エステルやそのアミン塩の配合量が0.6質量%を越えると、本組成物を潤滑油として用いた場合のシール/ロッド間の摩擦係数が高くなりすぎる。なお、好ましい摩擦係数としては、μ3(摩擦速度3.0mm/s)が0.2以下である。
本組成物においては、(C)成分として分散型粘度指数向上剤が用いられる。非分散型粘度指数向上剤を用いた組成物では、自動車緩衝器内部のシール/ロッド間の摩擦部分における摩擦力保持効果が低い。
ここで、分散型粘度指数向上剤とは、含窒素モノマーをコモノマーとする共重合体からなる粘度指数向上剤であるが、エチレン性不飽和結合を有する含窒素モノマーを共重合成分として含む共重合体が好ましい。
(C)成分の分散型粘度指数向上剤としては、緩衝器の摩擦部分における摺動速度が変化しても、各速度域の摩擦力の保持効果に特に優れる分散型PMA(ポリアルキルメタクリレート)が好ましい。このような分散型PMAとしては、極性モノマーを5〜20モル%程度含むものが好ましく、極性モノマーとしては、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−メチル−5−ビニルピリジンなどのアミン、N−ビニルピロリジノンなどの窒素化合物が好適に使用できる。
このような分散型粘度指数向上剤の質量平均分子量としては1万〜50万が好ましく、
3万〜50万がより好ましく、5万〜20万が最も好ましい。質量平均分子量が1万未満であると本組成物における増粘効果が少なくなって好ましくない。また、質量平均分子量が50万を越えると本組成物のせん断安定性が大きく低下してしまい好ましくない。
また、分散型粘度指数向上剤の配合量としては、本組成物全量基準で0.5〜15質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。分散型粘度指数向上剤の配合量が0.5質量%未満では、本組成物における増粘効果が少なくなって好ましくない。また、配合量が15質量%を越えると本組成物の粘度が大きくなりすぎて好ましくない。
本組成物においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、従来、自動車緩衝器用潤滑油に慣用されている他の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、消泡剤、無灰清浄分散剤、金属系清浄剤、潤滑性向上剤(摩擦調整剤)、シールスウエラーなどを、適宜添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などを挙げることができ、これらは、通常0.05〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%の割合で使用される。
金属不活性化剤としては、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾール誘導体、トリアゾール、トリアゾール誘導体、ジチオカルバメート、ジチオカルバメート誘導体、イミダゾール、イミダゾール誘導体などを挙げることができ、これらは、通常0.005〜0.3質量%の割合で使用される。
消泡剤としては、例えば、フッ素変形シリコーンオイル等のフルオロシリコーンオイル、ジメチルポリシロキサン等のシリコーンオイル、ポリアクリレートなどが挙げられ、通常、ごく少量、例えば0.001〜0.004質量%程度添加される。
無灰清浄分散剤としては、例えば、コハク酸イミド類(ポリブテニルコハク酸イミド等)、ホウ素含有コハク酸イミド類、ベンジルアミン類、ホウ素含有ベンジルアミン類、コハク酸エステル類、脂肪酸あるいはコハク酸で代表される一価または二価カルボン酸アミド類などが挙げられる。金属系清浄剤としては、例えば、中性金属スルホネート、中性金属フェネート、中性金属サリチレート、中性金属ホスホネート、塩基性スルホネート、塩基性フェネート、塩基性サリチレート、過塩基性スルホネート、過塩基性サリチレート、過塩基性ホスホネートなどが挙げられる。これらの配合量は、潤滑油組成物全量基準で、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。
潤滑性向上剤(摩擦調整剤)としては、極圧剤や油性剤、耐摩耗剤などが挙げられ、例えば、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、硫化オキシモリブデンオルガノホスホロジチオエート(MoDTP)、および硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)などの有機金属系化合物や、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、およびジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトなどが挙げられる。
これらの配合量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。
また、硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化エステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビルポリサルファイド、チアジアゾール化合物、アルキルチオカルバモイル化合物、トリアジン化合物、チオテルペン化合物、ジアルキルチオジプロピオネート化合物などの硫黄系極圧剤も挙げられる。これらの配合量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは0.05〜2質量%である。
さらに、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和および不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和および不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和および不飽和モノアミン、8ないし18の炭素数からなる炭化水素鎖を有する脂肪族二級アミン混合物、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和および不飽和モノカルボン酸アミド、オレイン酸モノグリセリドのような多価脂肪酸エステルなどの各種油性剤が挙げられる。これらの油性剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
以上のような各種添加剤は、単独で、または数種組み合わせて配合してもよく、本組成物はこれらの効果を阻害するものではない。
自動車の乗り心地を良くする観点からは、自動車緩衝器のシール/ロッド間の摩擦速度(滑り速度)が極低速度域(0.3mm/s付近)にあるときは摩擦係数が小さなことが望ましく(例えば0.1以下)、一方、低〜高速度域(3〜20mm/s付近)では摩擦係数がある程度高いこと(例えば0.14以上)が望ましいことがわかってきた。もっとも低〜高速度域における摩擦係数が高すぎても、オイルシールの摩耗によるオイル漏れや、ピストンバンドとシリンダの摩耗増加や軸受とロッドの摩耗増加の原因となるおそれもあるため、摩擦係数としては0.2以下であることが好ましい。
また、低〜高速度域(3〜20mm/s付近)における摩擦係数ができるだけ変化しない(低下しない)ことも重要である。すなわち、20mm/sにおける摩擦係数μ20と、3mm/sにおける摩擦係数μ3との比(μ20/μ3)が0.4以上であると、急な微振幅に対するシールの速度変化が少ないため自動車の高速安定性が非常に優れる。
本発明の自動車緩衝器用潤滑油組成物は、このような特性を満たすことが可能である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。具体的には、自動車緩衝器用として潤滑油組成物を調製した後、低速度域〜高速度域を想定した各摩擦速度で摩擦係数を測定し、潤滑油としての性能を評価した。
<摩擦係数の測定法>
・試験機 :バウデン式往復動摩擦試験機
・実験条件
加重 :9.8N
ストローク:10.0mm
速度(3点):0.3、3、20mm/s
摩擦回数 :30
温度 :40℃
摩擦材 :上部ゴム(A835、NOK製)
下部クロームメッキ板(50×1000×5mm)
なお、ゴムはゴムプレートを径15mmの円形に切り出し、図1のように径12.7mm球で押し出し、プレートにサンプル油を数滴落として試験を行った。
〔実施例1〜4、比較例1〜13〕
以下に示す基油と添加剤により潤滑油組成物を調製し、前記した方法で各摩擦速度における摩擦係数μを測定した。また、20mm/sにおける摩擦係数μ20と、3mm/sにおける摩擦係数μ3との比(μ20/μ3)を求めた。潤滑油組成物の配合処方および評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2008133332
Figure 2008133332
(1)基油
・鉱油:40℃動粘度 8.2mm/s
(2)添加剤
(2-1)粘度指数向上剤
・質量平均分子量29,000の分散型PMA
・質量平均分子量100,000の分散型PMA
・質量平均分子量480,000の分散型PMA
・質量平均分子量140,000の非分散型PMA
(2-2)耐摩耗剤(本発明における(A)成分と(B)成分を含む)
・ジ(2-エチルへキシル)ハイドロジェンホスファイト
・ジ(オレイル)ハイドロジェンホスファイト
・モノ(n−エチル)ホスフェートアミン塩
・ジ(2-エチルへキシル)ホスフェート
・モノ(2-エチルへキシル)ホスフェート
(2-3)無灰清浄分散剤
・ポリブテニルコハク酸イミド
・脂肪酸アミド(イソステアリン酸アミド)
(2-4)シールスウエラー(硫黄系)
(2-5)油性剤
・オレイン酸モノグリセリド
・脂肪族二級アミン(ヤシ油2級アミン)
・オレイルアルコール
(2-6)銅不活性化剤
・1H−ベンゾトリアゾール
(2-7)酸化防止剤
・フェノール系酸化防止剤:2,6-ジ-tert-ブチルパラクレゾール
(2-8)消泡剤
・フッ化シリコーン系消泡剤
〔評価結果〕
表1の結果から明らかなように、本発明の自動車緩衝器用潤滑油組成物を用いた実施例1〜4は、極低速度域(0.3mm/s)における摩擦係数が0.090〜0.112と非常に小さく、その一方で、低〜高速度域(3、20mm/s)における摩擦係数は0.070〜0.192と十分な値を示し、さらに、20mm/sにおける摩擦係数μ20と、3mm/sにおける摩擦係数μ3との比(μ20/μ3)が0.40〜0.47と十分高い値を示している。すなわち、実施例1〜4の潤滑油組成物を自動車の緩衝器用として使用した場合に、高速安定性に優れるということが理解できる。
これに対し、比較例1〜3、10〜13の潤滑油組成物では、いずれもμ3が低い。また、比較例4〜9の潤滑油組成物では、いずれもμ20/μ3が低い。それ故、比較例の潤滑油組成物は、自動車の緩衝器用として使用した場合に、高速安定性に関して十分な性能を発揮することが困難である。
本発明の潤滑油組成物は、自動車緩衝器に好適に利用できる。
実施例における動摩擦係数測定方法を示す図。

Claims (6)

  1. 潤滑油基油に対し、組成物全量に基づき、(A)酸性亜リン酸ジエステル0.01〜1質量%、(B)酸性リン酸エステルまたはそのアミン塩0.02〜0.6質量%、(C)分散型粘度指数向上剤0.5〜15質量%を配合してなることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
  2. 請求項1に記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、
    潤滑油基油が、40℃における動粘度4〜10mm2/sの鉱油および/または合成油であることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、
    (A)成分の酸性亜リン酸ジエステルが下記式(1)で示される化合物であることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
    Figure 2008133332
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、
    (B)成分の酸性リン酸エステルが下記式(2)で示される化合物であることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
    Figure 2008133332
    (式中、R3およびR4は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜18のアルキル基またはアルケニル基を示す。ただし、R3およびR4は、同時に水素となることはない。)
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、
    (C)成分の分散型粘度指数向上剤が分散型PMAであることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
  6. 請求項5に記載の自動車緩衝器用潤滑油組成物において、前記分散型PMAの質量平均分子量が1万〜50万であることを特徴とする自動車緩衝器用潤滑油組成物。
JP2006319390A 2006-11-27 2006-11-27 自動車緩衝器用潤滑油組成物 Active JP5087262B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006319390A JP5087262B2 (ja) 2006-11-27 2006-11-27 自動車緩衝器用潤滑油組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006319390A JP5087262B2 (ja) 2006-11-27 2006-11-27 自動車緩衝器用潤滑油組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008133332A true JP2008133332A (ja) 2008-06-12
JP5087262B2 JP5087262B2 (ja) 2012-12-05

Family

ID=39558396

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006319390A Active JP5087262B2 (ja) 2006-11-27 2006-11-27 自動車緩衝器用潤滑油組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5087262B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011021111A (ja) * 2009-07-16 2011-02-03 Cosmo Oil Lubricants Co Ltd 緩衝器用油圧作動油組成物
WO2011062282A1 (ja) 2009-11-19 2011-05-26 株式会社ジェイテクト 潤滑油、摩擦部材及び歯車式の差動制限機能付ディファレンシャル
WO2012098569A1 (ja) 2011-01-17 2012-07-26 三菱電機株式会社 レーザ光源モジュール
WO2013114740A1 (ja) * 2012-01-31 2013-08-08 出光興産株式会社 緩衝器油組成物
JP2014037510A (ja) * 2012-08-20 2014-02-27 Idemitsu Kosan Co Ltd 潤滑油組成物
JP2019019170A (ja) * 2017-07-12 2019-02-07 Jxtgエネルギー株式会社 緩衝器用潤滑油組成物

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0411694A (ja) * 1990-04-28 1992-01-16 Tonen Corp 緩衝器用潤滑油組成物
JPH04314794A (ja) * 1990-03-31 1992-11-05 Tonen Corp 自動車のサスペンション用油圧作動油
JPH05255682A (ja) * 1992-03-11 1993-10-05 Tonen Corp 油圧作動油組成物
JPH05255683A (ja) * 1992-03-11 1993-10-05 Tonen Corp 緩衝器用油圧作動油組成物
JPH07228642A (ja) * 1994-02-17 1995-08-29 Sanyo Chem Ind Ltd 粘度指数向上剤および粘度指数向上方法
JPH07286189A (ja) * 1994-04-18 1995-10-31 Sanyo Chem Ind Ltd 潤滑油添加剤及び潤滑油
JP2000119677A (ja) * 1998-10-12 2000-04-25 Idemitsu Kosan Co Ltd 自動車用緩衝器油組成物
JP2000154391A (ja) * 1998-11-20 2000-06-06 Idemitsu Kosan Co Ltd 自動車緩衝器用潤滑油組成物
JP2003147379A (ja) * 2001-11-13 2003-05-21 Idemitsu Kosan Co Ltd 自動車緩衝器用潤滑油組成物

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04314794A (ja) * 1990-03-31 1992-11-05 Tonen Corp 自動車のサスペンション用油圧作動油
JPH0411694A (ja) * 1990-04-28 1992-01-16 Tonen Corp 緩衝器用潤滑油組成物
JPH05255682A (ja) * 1992-03-11 1993-10-05 Tonen Corp 油圧作動油組成物
JPH05255683A (ja) * 1992-03-11 1993-10-05 Tonen Corp 緩衝器用油圧作動油組成物
JPH07228642A (ja) * 1994-02-17 1995-08-29 Sanyo Chem Ind Ltd 粘度指数向上剤および粘度指数向上方法
JPH07286189A (ja) * 1994-04-18 1995-10-31 Sanyo Chem Ind Ltd 潤滑油添加剤及び潤滑油
JP2000119677A (ja) * 1998-10-12 2000-04-25 Idemitsu Kosan Co Ltd 自動車用緩衝器油組成物
JP2000154391A (ja) * 1998-11-20 2000-06-06 Idemitsu Kosan Co Ltd 自動車緩衝器用潤滑油組成物
JP2003147379A (ja) * 2001-11-13 2003-05-21 Idemitsu Kosan Co Ltd 自動車緩衝器用潤滑油組成物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011021111A (ja) * 2009-07-16 2011-02-03 Cosmo Oil Lubricants Co Ltd 緩衝器用油圧作動油組成物
WO2011062282A1 (ja) 2009-11-19 2011-05-26 株式会社ジェイテクト 潤滑油、摩擦部材及び歯車式の差動制限機能付ディファレンシャル
WO2012098569A1 (ja) 2011-01-17 2012-07-26 三菱電機株式会社 レーザ光源モジュール
WO2013114740A1 (ja) * 2012-01-31 2013-08-08 出光興産株式会社 緩衝器油組成物
US10138440B2 (en) 2012-01-31 2018-11-27 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Shock absorber oil composition
JP2014037510A (ja) * 2012-08-20 2014-02-27 Idemitsu Kosan Co Ltd 潤滑油組成物
WO2014030608A1 (ja) * 2012-08-20 2014-02-27 出光興産株式会社 潤滑油組成物
US9458405B2 (en) 2012-08-20 2016-10-04 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Lubricating oil composition
JP2019019170A (ja) * 2017-07-12 2019-02-07 Jxtgエネルギー株式会社 緩衝器用潤滑油組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP5087262B2 (ja) 2012-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5280851B2 (ja) 緩衝器用潤滑油組成物
JP6353840B2 (ja) 緩衝器用潤滑油組成物
JP5150154B2 (ja) 緩衝器用潤滑油組成物
JP6055737B2 (ja) 緩衝器用潤滑油組成物
WO2015025972A1 (ja) 緩衝器用潤滑油組成物、及び緩衝器の摩擦低減方法
JP5087262B2 (ja) 自動車緩衝器用潤滑油組成物
US20150184107A1 (en) Lubricating oil composition for shock absorber
JP5879168B2 (ja) 緩衝器用潤滑油組成物
EP2886631B1 (en) Lubricating oil composition
JPH05255683A (ja) 緩衝器用油圧作動油組成物
KR20160047471A (ko) 완충기용 윤활유 조성물
JPH05255682A (ja) 油圧作動油組成物
JP2007009200A (ja) 緩衝器用油圧作動油組成物
WO2019230412A1 (ja) 駆動系機器用潤滑油組成物及びその製造方法、駆動系機器の潤滑方法並びに駆動系機器
JP4159774B2 (ja) 自動車緩衝器用潤滑油組成物
EP3473695A1 (en) Hydraulic fluid
JP4870385B2 (ja) 緩衝器用油圧作動油組成物
WO2018003247A1 (ja) 油圧装置用作動油およびその油圧装置用作動油を用いた油圧装置
WO2006129888A1 (ja) 緩衝器用油圧作動油組成物
WO2020213504A1 (ja) 油圧装置用作動油及びその油圧装置用作動油を用いた油圧装置
JP2003055681A (ja) 潤滑油組成物
WO2006129889A1 (ja) 緩衝器用油圧作動油組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120420

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120904

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120910

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5087262

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150914

Year of fee payment: 3