JPH04314794A - 自動車のサスペンション用油圧作動油 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車のサスペンショ
ン用油圧作動油に関し、特に、自動車の姿勢制御を液圧
流体を用いて行なう油圧装置に適用され、正確な姿勢制
御を可能とする油圧応答性に優れた自動車のサスペンシ
ョン用油圧作動油に関する。更に詳しくは、本発明は、
オレフィンオリゴマーとジエステルとを含む混合油を基
油成分とする合成潤滑油系の油圧応答性に優れた自動車
のサスペンション用油圧作動油に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車車体の支持装置（サスペンション
）として、各車輪の近傍に設けられるスプリングダンパ
ーの代わりに、ハイドロリック・ラムを取付け、プレッ
シャー・アキュムレーター（蓄圧器）からの油圧によっ
て前記ラムを駆動させ、車体の姿勢を安定的に制御しよ
うとするものがある。この種のサスペンション用の油圧
作動油は、自動車の厳しい使用環境から、その基本的特
性として、高温での良好な粘度特性と低温での良好な流
動特性、即ち良好な粘度−温度特性を有することが要求
される。従来、自動車のサスペンション用油圧作動油と
しては、低温流動性に優れた低粘度の鉱油を基油とし、
これに粘度指数向上剤としてポリメタクリレート（ＰＭ
Ａ）を多量に配合して所望の粘度−温度特性を付与した
ものが知られている。しかしながら、従来の鉱油系油圧
作動油は、良好な粘度−温度特性を有するものの、その
他の要求特性においては不十分なものである。

【０００３】従来の鉱油系油圧作動油では、１００℃で
の動粘度が約２センチストークス（ｃＳｔ；ｍｍ２／ｓ
）の鉱油を基油とし、所望の粘度−温度特性を付与する
ため、粘度指数向上剤としてＰＭＡを多量に配合するこ
とにより、１００℃での粘度を約６ｃＳｔ程度に調整し
ている。この油圧作動油は、以下のような問題点を有し
ている。 （１）　　通常の自動車用油圧作動油、例えば、ＡＴＦ
（オートマチック　　トランスミッション　　フルード
）やＰＳＦ（パワー　　ステアリング　　フルード）な
どの引火点が２００℃以上であるのに対し、前記油圧作
動油の引火点は、１００〜１４０℃と非常に低いこと。 （２）　　蒸発ロスがＡＴＦやＰＳＦではほとんど０％
であるのに対し、前記油圧作動油の蒸発ロスは、１５〜
３５％にも達すること。 （３）　　基油粘度が低いため、焼付防止性が悪いこと
。 （４）　　剪断力による油圧作動油の粘度低下が大きく
、剪断安定性が悪いこと 。これは、前記油圧作動油が、ピストンポンプの摺動部
、ショックアブソーバーピストンのノズルなどにおいて
、剪断力により粘度低下をきたすことによるもので、主
としてＰＭＡの剪断安定性が低いことに起因する。この
ように、従来の鉱油系油圧作動油は、自動車のサスペン
ション用油圧作動油に要求される諸特性を満足すること
、特に、油圧応答性を長期にわたり安定的に維持するこ
とが極めて困難である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、良好
な粘度−温度特性を有するとともに、耐引火性、耐蒸発
性、焼付防止性、剪断安定性等が改善され、油圧応答性
が長期にわたって維持される自動車のサスペンション用
油圧作動油を提供することにある。本発明者らは、前記
従来技術の有する問題点を克服するために鋭意研究した
結果、オレフィンオリゴマーとジエステルとを特定の割
合で混合した合成潤滑油を基油として用いることにより
、前記目的を達成できることを見出し、その知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、（ａ）オレフィンオリゴマー７０〜９０重量％と、
（ｂ）炭素数４〜１４の脂肪族二塩基酸と炭素数４〜１
４のアルコールとの縮合により得られるジエステル１０
〜３０重量％とを含む混合油を基油として含有すること
を特徴とする自動車のサスペンション用油圧作動油が提
供される。また、本発明によれば、前記基油に、リン酸
エステル系摩擦調整剤および粘度指数向上剤を含有せし
めた自動車のサスペンション用油圧作動油が提供される
。

【０００６】以下、本発明について詳述する。本発明の
自動車のサスペンション用油圧作動油は、前記した如く
、従来のスプリングダンパーを用いたサスペンション機
構によるのではなく、油圧を利用して車体の姿勢制御を
行う油圧装置などに供せられるものである。この種の姿
勢制御方式においては、マイクロプロセッサー技術の発
達により、路面情報をセンサーが数１０００個／秒、例
えば、３０００個／秒の割合で入手し、これに対応させ
て姿勢の制御が行われる。従って、正確な姿勢制御には
、油圧作動油として数１０００回／秒の油圧の駆動指示
に対し長期にわたり安定的に応答できるものでなければ
ならない。

【０００７】本発明者らの研究によれば、この種の用途
に供せられるサスペンション用油圧作動油は、自動車の
使用環境の条件からして、高温で良好な粘度特性、具体
的には、１００℃で、通常、２〜１５ｃＳｔ、好ましく
は４〜１０ｃＳｔの動粘度を有するとともに、良好な低
温粘度特性（低温流動性）、具体的には、−４０℃で、
通常、４００〜２４００ミルパスカルセカンド（ｍＰａ
・ｓ）、好ましくは５００〜２０００ｍＰａ・ｓの粘度
を有することが望ましい。また、油圧作動油の粘度指数
（ＶＩ）は、通常、２００以上、好ましくは２５０以上
であることが望ましい。さらに、サスペンション用油圧
作動油の基本特性として、耐引火性、耐蒸発性、焼付防
止性、剪断安定性などが総合的に優れていなければなら
ない。このような諸特性に優れた油圧作動油は、（ａ）
オレフィンオリゴマー７０〜９０重量％と、（ｂ）炭素
数４〜１４の脂肪族二塩基酸と炭素数４〜１４のアルコ
ールとの縮合により得られるジエステル１０〜３０重量
％とを含む混合油を基油として用いることにより得るこ
とができる。

【０００８】（オレフィンオリゴマー）本発明で使用さ
れるオレフィンオリゴマーは、通常、炭素数２〜１４、
好ましくは４〜１２の範囲の、直鎖状あるいは分枝状の
オレフィン系炭化水素から選択された任意の１種の単独
重合または２種以上の共重合により得られるものである
。オレフィンオリゴマーは、通常、１００℃で、１〜１
３０ｃＳｔ、好ましくは１．５〜２５ｃＳｔの動粘度を
有するものである。その平均分子量は、通常、約１００
〜約２０００、好ましくは約２００〜約１０００の範囲
である。本発明で使用するオレフィンオリゴマーとして
は、特に、水素添加により不飽和結合を飽和させたもの
が好ましい。

【０００９】オレフィンオリゴマーとしては、例えば、
α−オレフィンオリゴマー、エチレン／α−オレフィン
オリゴマー等がある。α−オレフィンオリゴマーとして
は、炭化水素または低級オレフィンの３〜６量体化によ
り得られる炭素数６〜１２のα−オレフィンの混合物、
例えば、２５〜５０重量％のヘキセン−１、３０〜４０
重量％のオクテン−１および２５〜４０重量％のデセン
−１からなる混合物を共重合したものを挙げることがで
きる。デセン−１のごとき単独モノマーから得られるオ
リゴマーおよびその水素添加物も好適である。エチレン
／α−オレフィンオリゴマーとしては、例えば、４０〜
９０重量％のエチレンと１０〜６０重量％のプロピレン
とをを共重合させたものを挙げることができる。

【００１０】これらのオレフィンオリゴマーは、触媒と
して、塩化アルミニウム、フッ化ホウ素等のフリーデル
クラフト型触媒、チーグラー触媒または酸化クロム等の
酸化物触媒等を使用して製造することができる。オレフ
ィンオリゴマーの水素添加は、重合反応生成物から触媒
を除去した後、加温、加圧下において、例えば、ニッケ
ル−モリブデン／アルミナのような水素化触媒の存在下
に、水素と接触させることにより行うことができる。

【００１１】（ジエステル）本発明で使用されるジエス
テルは、炭素数４〜１４の脂肪族二塩基酸と炭素数４〜
１４のアルコールとの脱水縮合によって得られジエステ
ルである。このジエステルは、通常、１００℃で２〜７
ｃＳｔの動粘度を有する。炭素数４〜１４の脂肪族二塩
基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、ピペリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラジリン酸、
およびテトラデカン二酸などを挙げることができる。こ
れらの中でも、アジピン酸、アゼライン酸、およびセバ
シン酸が好ましく、アジピン酸およびセバシン酸が特に
好ましい。

【００１２】炭素数４〜１４のアルコールとしては、例
えば、ｎ−ブタノール、イソブタノール、ｎ−アルミア
ルコール、イソアミルアルコール、ｎ−ヘキサノール、
２−エチルブタノール、シクロヘキサノール、ｎ−ヘプ
タノール、イソヘプタノール、メチルシクロヘキサノー
ル、ｎ−オクタノール、ジメチルヘキサノール、２−エ
チルヘキサノール、２，４，４−トリメチルペンタノー
ル、イソオクタノール、３，５，５−トリメチルヘキサ
ノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデ
カノール、２−ブチルオクタノール、トリデカノールお
よびイソテトラデカノールなどを挙げることがでる。こ
れらの中でも、２−エチルヘキサノールおよびイソデカ
ノールが特に好ましい。

【００１３】これらの脂肪族二塩基酸と炭素数４〜１４
のアルコールから得られるジエステルとしては、例えば
、ジ−（１−エチルプロピル）アジペート、ジ−（３−
メチルブチル）アジペート、ジ−（１，３−メチルブチ
ル）アジペート、ジ−（２−エチルヘキシル）アジペー
ト、ジ−（イソノニル）アジペート、ジ−（イソデシル
）アジペート、ジ−（ウンデシル）アジペート、ジ−（
トリデシル）アジペート、ジ−（イソテトラデシル）ア
ジペート、ジ−（２，２，４−トリメチルペンチル）ア
ジペート、ジ−［混合（２−エチルヘキシル、イソノニ
ル）］アジペート、ジ−（１−エチルプロピル）アゼレ
ート、ジ−（３−メチルブチル）アゼレート、ジ−（２
−エチルブチル）アゼレート、ジ−（２−エチルヘキシ
ル）アゼレート、ジ−（イソオクチル）アゼレート、ジ
−（イソノニル）アゼレート、ジ−（イソデシル）アゼ
レート、ジ−（トリデシル）アゼレート、ジ−［混合（
２−エチルヘキシル、イソノニル）］アゼレート、ジ−
［混合（２−エチルヘキシル，デシル）］アゼレート、
ジ−［混合（２−エチルヘキシル、イソデシル）］アゼ
レート、ジ−［混合（２−エチルヘキシル、２−プロピ
ルヘプチル）］アゼレート、ジ−（ｎ−ブチル）セバケ
ート、ジ−（イソブチル）セバケート、ジ−（１−エチ
ルプロピル）セバケート、ジ−（１，３−メチルブチル
）セバケート、ジ−（２−メチルブチル）セバケート、
ジ−（２−エチルヘキシル）セバケート、ジ−［２−（
２−エチルブトキシ）エチル］セバケート、ジ−（２，
２，４−トリメチルベンジル）セバケート、ジ−（イソ
ノニル）セバケート、ジ−（イソデシル）セバケート、
ジ−（イソウンデシル）セバケート、ジ−（トリデシル
）セバケート、ジ−（イソテトラデシル）セバケート、
ジ−［混合（２−エチルヘキシル，イソノニル）］セバ
ケート、ジ−（２−エチルヘキシル）グルタレート、ジ
−（イソウンデシル）グルタレート、およびジ−（イソ
テトラデシル）グルタレートなどを挙げることができる
。

【００１４】これらのジエステルは、通常、１００℃で
、２〜７ｃＳｔ、好ましくは２．２〜６ｃＳｔの動粘度
を有するものである。動粘度が低すぎると、耐引火性、
耐揮発性および耐荷重性に問題があり、高すぎると低温
での粘度が大きくなり、低温流動性が損なわれる。

【００１５】（基　　油）本発明の自動車のサスペンシ
ョン用油圧作動油の基油は、前記オレフィンオリゴマー
とジエステルとの混合油を含むものである。両者の配合
割合は、オレフィンオリゴマー７０〜９０重量％、好ま
しくは７５〜９０重量％、さらに好ましくは８０〜８５
重量％と、ジエステル１０〜３０重量％、好ましくは１
０〜２５重量％、さらに好ましくは１５〜２０重量％で
ある。この配合割合の混合油を基油として用いることに
より、自動車のサスペンション用油圧作動油としての前
記要求特性を満足させることができる。即ち、良好な粘
度−温度特性を有するとともに、耐引火性、耐蒸発性、
焼付防止性、剪断安定性等が総合的に改善された油圧作
動油を得ることができる。従来の鉱油を基油とする油圧
作動油においては、粘度−温度特性を改良すると、蒸発
性や剪断安定性等が低下するが、本発明の基油を用いる
と、良好な粘度−温度特性を有するとともに、良好な耐
蒸発性や剪断安定性を達成することができる。

【００１６】基油中のジエステルの配合割合が大きくな
りすぎると、低温粘度が高くなり、低温流動性が低下す
るとともに、油圧装置を構成するゴム部材を膨潤させや
すくなる。また、オレフィンオリゴマーの配合割合が大
きくなりすぎると、ゴム部材を硬くする傾向が見られる
。なお、本発明で用いる基油には、本発明の目的を損な
わない範囲において、鉱油などの他の潤滑油を配合して
もよい。例えば、本発明の自動車のサスペンション用油
圧作動油は、５０重量％未満の配合割合で鉱油系油圧作
動油を混合しても、−４０℃における良好な低温粘度特
性が維持される。

【００１７】（各種添加剤）本発明においては、オレフ
ィンオリゴマーとジエステルとの混合油を含む基油に対
し、サスペンション用油圧作動油としての特性を向上さ
せるために、各種の添加剤を配合することができる。こ
れら添加剤の中でも、特に重要なものは、リン酸エステ
ル系摩擦調整剤と粘度指数向上剤である。

【００１８】リン酸エステル系摩擦調整剤本発明のサス
ペンション用油圧作動油には、摩擦特性や摩耗防止特性
を向上させるために、リン酸エステル、亜リン酸エステ
ルおよびリン酸エステルアミン塩から選ばれる少なくと
も１種の摩擦調整剤を添加することができる。リン酸エ
ステルは、特に初期（なじみ運転時）の摩擦特性と摩耗
防止性を向上させるために使用され、また、亜リン酸エ
ステルは、特になじみ運転後、長期にわたり低い摩擦特
性を確保するために使用される。リン酸エステルアミン
塩は、亜リン酸エステルと同様の性能を有し、亜リン酸
エステルより若干摩擦特性は高いものの、亜リン酸エス
テルよりさらに長期にわたって良好な摩擦特性を確保す
ることができる。

【００１９】リン酸エステルおよび亜リン酸エステルと
しては、例えば、下記の一般式で示されるものが挙げら
れる。 Ｏ＝Ｐ（ＯＲ１）（ＯＲ２）（ＯＲ３）、Ｏ＝Ｐ（ＯＨ
）（ＯＲ１）（ＯＲ２）、Ｏ＝Ｐ（ＯＨ）２（ＯＲ１）
、 Ｐ（ＯＲ１）（ＯＲ２）（ＯＲ３）、 Ｐ（ＯＨ）（ＯＲ１）（ＯＲ２）、 Ｐ（ＯＨ）２（ＯＲ１）。 （ただし、式中、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３は、炭素数４以
上の飽和または不飽和のアルキル基、アリール基または
アルキル置換アリール基であり、それぞれ同一または相
異なるものであってもよい。）リン酸エステル系摩擦調
整剤として、より具体的には、例えば、オレイルアシッ
ドフォスフェイト〔（Ｃ１８Ｈ３５Ｏ）Ｐ（ＯＨ）２Ｏ
と（Ｃ１８Ｈ３５Ｏ）２Ｐ（ＯＨ）Ｏとの混合物〕、ジ
オレイルハイドロゲンホスファイト〔（Ｃ１８Ｈ３５Ｏ
）２Ｐ（ＯＨ）〕などが挙げられる。

【００２０】リン酸エステルアミン塩は、リン酸エステ
ルまたは亜リン酸エステルとアミン化合物との反応生成
物である。アミン化合物としては、例えば、炭素数１０
〜２０の飽和または不飽和のアルキル基からなる１級ま
たは２級アミンを挙げることができる。リン酸エステル
アミン塩の具体例としては、ジイソオクチルアシッドフ
ォスフェイトアミン塩〔（ｉ−Ｃ８Ｈ１７Ｏ）２Ｐ（Ｏ
Ｈ）Ｏと（Ｃ１８Ｈ３５）ＮＨ２の反応生成物〕を挙げ
ることができる。

【００２１】リン酸エステル系摩擦調整剤の添加割合は
、通常、０．０１〜５重量％、好ましくは０．０５〜２
重量％である。この添加割合の範囲内において、良好な
摩擦特性および摩耗防止特性が得られる。また、これら
の摩擦調整剤は、２種以上を併用することが、初期およ
び長期に良好な摩擦特性および摩耗防止特性を付与する
上で好ましい。

【００２２】粘度指数向上剤 従来の鉱油系の油圧作動油においては、良好な粘度−温
度特性を得るために、粘度指数向上剤として、比較的高
分子量のポリメタクリレート（ＰＭＡ）を添加していた
。これに対して、本発明で用いる基油は、それ自体が良
好な粘度−温度特性を示すため、重量平均分子量が２〜
２０万、好ましくは２万以上１０万未満、より好ましく
は３〜９万程度のＰＭＡを粘度指数向上剤として添加す
ることにより、油圧作動油の粘度−温度特性を一層向上
させることができる。特に、重量平均分子量が１０万未
満の比較的低分子量のＰＭＡは、高分子量のＰＭＡと比
較して剪断安定性に優れているため、本発明の油圧作動
油の粘度−温度特性および剪断安定性をともに向上させ
ることができる。これらの粘度指数向上剤の添加割合は
、通常、５〜３０重量％、好ましくは１０〜２５重量％
である。

【００２３】また、前記ＰＭＡ系以外にも、ＰＩＢ（ポ
リイソブチレン）系、ＥＰＣ（エチレン−プロピレン共
重合体）系、ＳＰＣ（スチレン−ブタジエン共重合体水
添物）系などの粘度指数向上剤を用いることができる。

【００２４】その他の添加剤 本発明の自動車のサスペンション用油圧作動油には、前
記リン酸エステル系摩擦調整剤および粘度指数向上剤の
他に、本発明の目的を損なわない範囲内において、例え
ば、無灰分散剤、金属不活性化剤、酸化防止剤、消泡剤
、防錆剤、金属清浄剤などの汎用の潤滑油用添加剤を配
合することができる。

【００２５】無灰分散剤は、リン酸エステル系摩擦調整
剤、油劣化物などを油中に分散させる目的で使用される
もので、例えば、コハク酸イミド系、コハク酸アミド系
、ベンジルアミン系、エステル系のものなどが挙げられ
る。これらの無灰分散剤は、通常、０．０５〜１重量％
の割合で使用される。

【００２６】金属不活性化剤は、油の酸化や熱劣化物に
よる金属の腐蝕防止、基油中への金属の溶出防止を目的
として使用されるもので、例えば、チアジアゾール系、
トリアゾール系などがあり、通常、０．０１〜０．５重
量％の割合で使用される。

【００２７】酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤
やフェノール系酸化防止剤など慣用のものが使用できる
。アミン系酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジ
フェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アル
キル化−α−ナフチルアミンなどがあり、フェノール系
酸化防止剤としては、例えば、２，６−ジ−ｔ−ブチル
フェノール、４，４′−メチレンビス（２，６−ｔ−ブ
チルフェノール）などがあり、これらは、通常、０．０
５〜１重量％の割合で使用される。

【００２８】その他の添加剤としては、ジメチルポリシ
ロキサン、ポリアクリレートなどの消泡剤、アルケニル
コハク酸またはその部分エステル、アルカノールアミン
などの防錆剤、油の酸化劣化物を中和化するためのＣａ
−スルフォネート、Ｍｇ−スルホネート、Ｂａ−スルホ
ネート、Ｃａ−フェネート、Ｂａ−フェネートなどの金
属清浄剤などを所望に応じて適宜使用することができる
。

【００２９】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて更に詳しく
説明するが、本発明はこれらの実施例のものに限定され
るものではない。 ［実施例１〜１８、比較例１〜３］ 表１ないし表４に示される基油成分と、各種添加剤成分
を混合して自動車のサスペンション用油圧作動油を調製
した。各成分の配合割合は、重量％で示されている。な
お、添加剤成分の重量％は、基油成分と添加剤成分との
合計量を基準としたものである。

【００３０】表中の各成分は、次のとおりである。 ＰＡ０１・・・・デセン−１オリゴマ−の水素添加物。

【００３１】動粘度：１００℃で、２．３ｃＳｔ。 ＰＡ０２・・・・デセン−１オリゴマ−の水素添加物。

【００３２】動粘度：１００℃で、１．７ｃＳｔ。 ジエステル（ＤＯＡ）・・・・ジ（２−エチルヘキシル
）アジペート。 動粘度：１００℃で、２．３ｃＳｔ。 ジエステル（ＤｉＤＡ）・・・・ジ（イソデシル）アジ
ペート 動粘度：１００℃で、３．６ｃＳｔ。 鉱油・・・・動粘度：１００℃で、２．０ｃＳｔ。 無灰分散剤・・・・アルケニルコハク酸ポリアルキレン
ポリイミド 酸化防止剤Ａ・・・・（フェノール系）２，６−ジ−ｔ
−ブチル−４−メチル−フェノール酸化防止剤Ｂ・・・
・（アミン系） ビス（ｐ−オクチルフェニル）アミン 金属不活性化剤・・・・ベンゾトリアゾール系粘度指数
向上剤・・・・ポリメタクリレート（ＰＭＡ）■重量平
均分子量３．５万、 ■重量平均分子量９万、 ■重量平均分子量１０万以上。 摩擦調整剤（リン酸エステル）・・・・モノオレイルホ
スフェイトとジオレイル ホスフェイトとの混合物〔（Ｃ１８Ｈ３５Ｏ）Ｐ（ＯＨ
）２Ｏと （Ｃ１８Ｈ３５Ｏ）２Ｐ（ＯＨ）Ｏとの混合物〕摩擦調
整剤（亜リン酸エステル）・・・・ジオレイルハイドロ
ゲンホスファイト 〔（Ｃ１８Ｈ３５Ｏ）２Ｐ（ＯＨ）〕 摩擦調整剤（リン酸エステルアミン塩）・・・（ｉ−Ｃ
８Ｈ１７Ｏ）２Ｐ（ＯＨ）Ｏ と（Ｃ１８Ｈ３５）ＮＨ２の反応生成物

【００３３】＜
性能評価法＞ 動粘度・・・・・　　ウベローデ粘度計を用い、ＪＩＳ
　　Ｋ−２２８３にしたがって、１００℃で測定した。 単位は、ｃＳｔ（＝ｍｍ２／ｓ） 粘度指数・・・・・　　ウベローデ粘度計を用い、ＪＩ
Ｓ　　Ｋ−２２８３にしたがって、４０℃と１００℃の
動粘度から算出した。数値の大きいほど粘度−温度特性
が良好であることを示す。 低温粘度・・・・・　　ブルックフィールド粘度計を用
い、ＡＳＴＭ　　Ｄ−２９８３にしたがって、−４０℃
での粘度を測定した。 蒸発量・・・・・　　油圧作動油を金属製容器に入れ、
真空ポンプで−２０ｍｍＨ２Ｏまで減圧し、１００℃で
８時間加熱した後の蒸発量を測定し、加熱前の重量に対
する重量％を算出した。 剪断安定性・・・・・　　油圧作動油をガラス製容器に
入れ、超音波１０ＫＨＺを３０分間照射し、試験後の粘
度変化率を測定した。 ニトリルゴムとの適合性・・・・・　　ニトリルゴム試
験片を油圧作動油に１２０℃で所定の時間（７０、１４
０、２８０、５６０時間）浸漬し、ゴムの物性変化（体
積変化、硬さ変化、引張強さ変化、伸び変化）を測定し
た。測定結果を総合的に判断して、各物性の変化率の小
さなものを「適」とし、変化率の大きなものを「不適」
とした。性能評価の結果を表１ないし表４に示す。

【００３４】

【表１】

【００３５】

【表２】

【００３６】

【表３】

【００３７】

【表４】

【００３８】

【発明の効果】本発明のオレフィンオリゴマーとジエス
テルとを含む混合油を基油とした自動車のサスペンショ
ン用油圧作動油は、粘度−温度特性に優れているととも
に、耐引火性、耐蒸発性、焼付防止性、剪断安定性など
に優れたものである。したがって、本発明の油圧作動油
は、自動車の姿勢制御に用いられる油圧装置に極めて好
適なものであり、長期にわたり優れた油圧応答性を発揮
することができる。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　（ａ）オレフィンオリゴマー７０〜９
   ０重量％と、（ｂ）炭素数４〜１４の脂肪族二塩基酸と
   炭素数４〜１４のアルコールとの縮合により得られるジ
   エステル１０〜３０重量％とを含む混合油を基油として
   含有することを特徴とする自動車のサスペンション用油
   圧作動油。
2. 【請求項２】　　前記基油、リン酸エステル系摩擦調整
   剤および粘度指数向上剤を含有する請求項１記載の油圧
   作動油。
3. 【請求項３】　　１００℃での動粘度が２〜１５センチ
   ストークス（ｃＳｔ；ｍｍ２／ｓ）で、かつ、−４０℃
   での粘度が４００〜２４００ミリパスカルセカンド（ｍ
   Ｐａ・ｓ）である請求項１または２記載の油圧作動油。
4. 【請求項４】　　粘度指数（ＶＩ）が２００以上である
   請求項１ないし３のいずれか１項記載の油圧作動油。
5. 【請求項５】　　リン酸エステル系摩擦調整剤が、リン
   酸エステル、亜リン酸エステルおよびリン酸エステルア
   ミン塩よりなる群から選ばれる少なくとも１種である請
   求項２記載の油圧作動油。
6. 【請求項６】　　粘度指数向上剤が、重量平均分子量２
   万以上１０万未満のポリメタクリレートである請求項２
   記載の油圧作動油。