JP2008115161A - 多機能性複合粉体を配合してなる化粧料 - Google Patents

多機能性複合粉体を配合してなる化粧料 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、a)良好な付着性、b)良好な延展性(延び広がり)、c)適度なツヤ感、d)均一な化粧膜、e)適度な隠蔽性(カバー力)、f)白浮きしない化粧膜、g)化粧料の外観色と化粧膜の色調の同一性、h)良好なソフトフォーカス性、i)良好な紫外線遮蔽性などを兼ね備えた多機能性複合粉体を配合してなる化粧料に関する。
【解決手段】 鱗片状基材の表面に、少なくとも酸化チタン微粒子からなる粒子群を担持させ、さらにその表面をチタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆した複合粉体を配合してなる化粧料、および前記微粒子群に、さらに酸化鉄(III)微粒子を含む化粧料。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鱗片状基材の表面に酸化チタン微粒子等を担持させた複合粉体を配合してなる化粧料、特にメークアップ化粧料に関するものである。
従来、パウダーファンデーション等のメークアップ化粧料には、マイカ、タルク、セリサイト等の鱗片状粉体が配合されている。この鱗片状粉体を前記化粧料に配合すると、該化粧料を皮膚に塗る際に皮膚への付着性や皮膚上での延展性(延び広がり)が向上し、さらには皮膚上に塗られた化粧膜(皮膚上に塗られた塗膜を意味し、以下同じ。)に適度なツヤ感が付与される等の効果が期待できるので、この鱗片状粉体は、前記メークアップ化粧料には欠かせないものである。
また、前記メークアップ化粧料においては、前記の付着性、延展性、ツヤ感などの他に、(1)均一な化粧膜が得られること、(2)適度な隠蔽性(カバー力)を有すること、(3)化粧膜が白浮きしないことなどが求められており、さらにこれらに加えてソフトフォーカス性や紫外線遮蔽性が要求されることが多い。
しかしながら、前記鱗片状粉体はそれ自身、高い隠蔽性(カバー力)を持たないため、前記化粧料には、さらに酸化チタン微粒子(白色顔料)などが配合されることが一般的である。しかし、この酸化チタン微粒子は、高い隠蔽性(カバー力)を持つが故に、皮膚の色である肌色に調色されたファンデーションを用いても、前記化粧膜が見る角度によっては白浮きして見えることがあった。また、前記酸化チタン微粒子は、通常、平均粒子径が0.3μm前後と比較的小さいため、パウダー状化粧料の調合工程で化粧料中に均一に分散させることが難しく、該化粧料中の一部に凝集した状態で存在することがあるため、化粧料の外観色では白さが目立たないものの、これを皮膚上に塗布すると、前記微粒子の凝集状態が解かれた皮膚上またはその近傍の化粧膜に強い白さが現れることがあった。すなわち、前記化粧料の外観色と、該化粧料を皮膚上に塗布した化粧膜の色調とが大きく異なることがあった。さらに、この化粧料を皮膚に塗った場合、酸化チタン微粒子に由来するキシミ感を持つため、化粧料の使用感(延び広がりや付着性等についての皮膚感触)を損ねることがあった。
これを改善することを目的として、鱗片状基材の表面に酸化チタン微粒子(白色顔料)を付着させ、皮膚感触と隠蔽性を両立させた化粧用体質顔料が提案されている。(特許文献1を参照のこと。)しかし、この体質顔料は、それ自身が紫外線遮蔽効果を有しておらず、また白色を呈しているため化粧料中で白浮きすることなどがあり、上記のようなメークアップ化粧料に要求される基本的特性をすべて満足させることはできなかった。
また、前記鱗片状粉体は、紫外線を遮蔽しないため、化粧料に紫外線遮蔽性を付与するために有機系紫外線吸収剤を配合したり、紫外線遮蔽性を有する一次粒子径が数十nmの酸化チタン微粒子(以下、酸化チタンナノ微粒子という)を配合したりすることが少なからずあった。しかし、前記有機系紫外線吸収剤は、皮膚刺激性があるため、その使用上限が定められており、また前記酸化チタンナノ微粒子は、上記の酸化チタン微粒子よりも小さな平均粒子径(すなわち、0.3μm前後に対し数十nm前後の平均粒子径)を有しているため、パウダー状ファンデーション等の化粧料の調合工程で均一に分散させることが非常に難しく、該化粧料中の一部に凝集した状態で存在することが多々あるため、上記した酸化チタン微粒子の場合と同様に、化粧料の外観色と、該化粧料を皮膚上に塗布した化粧膜の色調とが大きく異なることがあった。さらに、この化粧料を皮膚に塗った場合、酸化チタン微粒子に由来するキシミ感が非常に強いため、化粧料の使用感(延び広がりや付着性等についての皮膚感触)を著しく損ねることがあった。
このように、メークアップ化粧料などに用いられる各種原料(特に、体質顔料や着色顔料など)は、それぞれの原料が持つ役割の範囲内で一定の効果を奏するものの、上記のような様々な欠点を抱えていることが知られている。そこで、化粧品メーカーでは、メークアップ化粧料などに配合されるそれぞれの原料の配合量のバランスをとることで、上記の基本的特性、すなわちa)良好な付着性、b)良好な延展性(延び広がり)、c)適度なツヤ感、d)均一な化粧膜、e)適度な隠蔽性(カバー力)、f)白浮きしない化粧膜、g)化粧料の外観色と化粧膜の色調の同一性、h)良好なソフトフォーカス性、i)良好な紫外線遮蔽性などが付与された化粧料を得ているのが現状であり、それ故に化粧料への配合に高度な技術を要していた。しかし、このような高度な配合技術を駆使しても、これらの要件の全てを満足させることは難しかった。
特許第3745688号
本発明者らは、上記のような高度な配合技術を用いることなく、一種類の複合粉体を配合するだけで、メークアップ化粧料などに要求される基本的特性を兼ね備えた化粧料を開発することを目的として鋭意研究を重ねた結果、鱗片状基材の表面に酸化チタン微粒子からなる粒子群を担持させ、さらにその表面をチタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆した複合粉体を用いればよいことを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、a)良好な付着性、b)良好な延展性(延び広がり)、c)適度なツヤ感、d)均一な化粧膜、e)適度な隠蔽性(カバー力)、f)白浮きしない化粧膜、g)化粧料の外観色と化粧膜の色調の同一性、h)良好なソフトフォーカス性、i)良好な紫外線遮蔽性などを兼ね備えた複合粉体、すなわち多機能性複合粉体を配合してなる化粧料、特にメークアップ化粧料を提供することを目的としている。
本発明による化粧料は、鱗片状基材の表面に、少なくとも酸化チタン微粒子からなる粒子群を担持させ、さらにその表面をチタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆した複合粉体を配合してなることを特徴としている。
また、前記粒子群は、さらに酸化鉄(III)微粒子を含み、その含有量が0.01〜10.0重量%の範囲にあることが好ましい。
前記酸化チタン微粒子は、着色顔料として使用される白色の酸化チタン微粒子であることが好ましい。
また、前記酸化鉄(III)微粒子は、着色顔料として使用される赤褐色のベンガラ微粒子であることが好ましい。
さらに、前記酸化チタン微粒子および/または前記酸化鉄(III)微粒子は、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、鉄から選ばれた1種または2種以上の金属元素の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物で表面処理されたものであることが好ましい。
前記鱗片状基材の表面に担持される前記酸化チタン微粒子は、前記複合粉体中に5〜30重量%含むことが好ましい。
また、前記微粒子群を担持してなる前記鱗片状基材に被覆される前記複合酸化物は、前記複合粉体中に10〜30重量%含むことが好ましい。
さらに、前記複合酸化物中に含まれる前記鉄をFe23で表し、さらに前記チタニウムをTiO2で表したとき、その重量組成比(Fe23/TiO2)は、0.01〜0.3の範囲にあることが好ましい。
前記化粧料は、前記複合粉体を10〜60重量%の範囲で含むことが好ましい。
また、前記化粧料は、前記複合粉体以外に、着色顔料としての酸化チタン微粒子を含有していないことが好ましい。
さらに、前記化粧料は、メークアップ化粧料であることが好ましい。
本発明に係る複合粉体によれば、他の着色顔料などと組み合わせることなく、メークアップ化粧料などに要求される基本的特性、すなわちa)良好な付着性、b)良好な延展性(延び広がり)、c)適度なツヤ感、d)均一な化粧膜、e)適度な隠蔽性(カバー力)、f)白浮きしない化粧膜、g)化粧料の外観色と化粧膜の色調の同一性、h)良好なソフトフォーカス性、i)良好な紫外線遮蔽性などを兼ね備えた化粧料を容易に得ることができる。
さらに、酸化チタン微粒子に加えて酸化鉄(III)微粒子を担持させた複合粉体を用いて調合された化粧料は、これを皮膚に塗ったとき、赤味を帯びた肌色を呈することができる。
このように、本発明に係る複合粉体は、それ自身が多くの機能を備えた多機能性複合粉体であるので、上記のような高度な配合技術を有していなくとも、所望の化粧料、特にメークアップ化粧料を容易に調製することができる。
以下、本発明に係る複合粉体を配合してなる化粧料について具体的に説明する。
[複合粉体A]
本発明に係る第一の複合粉体は、鱗片状基材の表面に、少なくとも酸化チタン微粒子からなる粒子群を担持させ、さらにその表面をチタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆した複合粉体である。
ここで使用される鱗片状基材としては、一般的に化粧料用の体質顔料として用いられるものであれば、特に制限なく使用することができ、例えば、タルク、マイカ、セリサイト、合成マイカ、板状シリカ、板状酸化アルミニウム、薄片状ガラス粉末およびアルミニウム蒸着フィルム等が挙げられる。この中でも、マイカは、前記の付着性、延展性(延び広がり)、ツヤ感などを与える上で特に優れているため、これを使用することが好ましい。
前記鱗片状基材の大きさは、平均粒子径が概ね1〜40μm、好ましくは5〜30μmであることが望ましい。ここで、前記平均粒子径が1μm未満では、得られる複合粉体の粒子径が小さすぎて、所望の効果が得られ難く、また前記平均粒子径が40μmを超えると、得られる複合粉体の光沢が強すぎてギラついた外観となることがあるので、好ましくない。
さらに、前記鱗片状基材の平均厚さは0.005〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μmであることが望ましい。ここで、前記鱗片状基材の平均厚さが0.005μm未満では、嵩高くなって吸油量が大幅に増加し、化粧料への配合に高度な技術を要することになり、また前記平均厚さが1μmを超えると、延展性が低下するので好ましくない。
前記鱗片状基材上に担持される酸化チタン微粒子としては、化学式TiO2で表され、一般的に化粧料用の着色顔料として用いられる白色のものであれば、特に制限なく使用することができる。
しかし、前記酸化チタン微粒子の平均粒子径は、0.1〜0.4μm、好ましくは0.2〜0.3μmであることが望ましい。ここで、前記平均粒子径が0.1μm未満では、可視光の散乱効果が低いためソフトフォーカス効果が得られず、また得られる複合粉体の感触が悪くなり、さらにはキシミ感の増大と隠蔽性(カバー力)の低下を招くことになる。また、前記平均粒子径が0.4μmを超えても、隠蔽性(カバー力)の低下を招くため、好ましくない。
また、前記酸化チタン微粒子は、表面処理しないでそのまま使用してもよいが、これを使用する前に予めケイ素、アルミニウム、亜鉛、鉄から選ばれた1種または2種以上の金属元素の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物で表面処理したものを使用することが好ましい。このような酸化チタン微粒子としては、例えば、石原産業(株)製のタイペークCR−50(アルミニウム化合物処理品)や触媒化成工業(株)製のSYMPHOLIGHT WW(アルミニウム化合物およびケイ素化合物処理品)などがある。
前記酸化チタン微粒子は、前記鱗片状基材の表面に担持されて使用される。この場合、前記鱗片状基材の表面に担持される粒子群は、必ずしもその表面の全部ではなく、一部に存在してもよい。ただし、その表面の一部に偏在するのではなく、基材全体に均一かつ疎らに存在することが望ましい。さらに、前記粒子群は、前記鱗片状基材の表面に重なって存在するのではなく、一層となっていることが好ましい。
また、前記鱗片状基材の表面に担持される前記酸化チタン微粒子は、前記複合粉体中に5〜30重量%含むことが好ましい。ここで、前記酸化チタン微粒子の含有量が5重量%未満であると、適度な隠蔽性(カバー力)やソフトフォーカス効果を得ることが難しくなり、また30重量%を超えると、酸化チタン微粒子に由来するキシミ感が強くなり、皮膚への付着性の増大と延展性(延び広がり)の悪化を招くことになるので、好ましくない。
前記粒子群を担持してなる前記鱗片状基材上に被覆される、チタニウムおよび鉄を含む複合酸化物は、その組成の一部を示せば、下記一般式(I)で表され、鉄を含ませることにより、高い紫外線遮蔽性を付与することができる。

| | |
−O−Ti−O−Fe−O−Ti−O− (I)
| | |
前記基材上に被覆される前記複合酸化物は、前記複合粉体中に10〜30重量%含むことが好ましい。ここで、前記複合酸化物の含有量が10重量%未満であると、十分な紫外線遮蔽効果を得ることが難しくなり、また30重量%を超えると、上記の場合と同様に、皮膚への付着性の増大と延展性(延び広がり)の悪化を招くことになるので、好ましくない。
さらに、前記複合酸化物中に含まれる前記鉄をFe23で表し、さらに前記チタニウムをTiO2で表したとき、その重量組成比(Fe23/TiO2)は、0.01〜0.3の範囲にあることが好ましい。ここで、前記重量組成比(Fe23/TiO2)が0.01未満であると、得られる複合粉体の色相が薄すぎて白浮き抑制の効果が得られず、また0.3を超えると、前記色相が濃くなって、淡色化粧料へ配合することが難しくなるので、好ましくない。
また、前記複合酸化物の被覆は、図1にその概念的な断面図を示すように、前記酸化チタン微粒子を該被覆層で完全に覆わない程度、すなわち前記酸化チタン微粒子の平均粒子径以下の厚さで行うことが好ましい。もし、前記酸化チタン微粒子を完全に覆うように被覆すると、前記酸化チタン微粒子に基づく機能が大幅に低下してしまうので、好ましくない。ただし、前記被覆層で完全に覆われていなければ、前記酸化チタン微粒子の表面が前記複合酸化物で覆われていてもよいことは勿論である。
前記複合酸化物の被覆層の厚さを正確に測定することは困難であるが、前記の被覆重量から判断すると、40nm以下、好ましくは5〜25nmの範囲にあることが望ましい。
[複合粉体B]
本発明に係る第二の複合粉体は、鱗片状基材の表面に、少なくとも酸化チタン微粒子および酸化鉄(III)微粒子からなる粒子群を担持させ、さらにその表面をチタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆した複合粉体である。
ここで使用される前記酸化鉄(III)微粒子としては、化学式Fe23で表され、一般的に化粧料用の着色顔料として用いられる赤褐色のもの、例えばベンガラ微粒子であれば、特に制限なく使用することができる。
しかし、前記酸化鉄(III)微粒子の平均粒子径(該微粒子が細長い形状を有している場合には、該粒子の長径をLで表し、その短径をDで表したとき、(L+D)/2の数式から算出される値の平均値をいう。)は、0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.6μmであることが望ましい。ここで、前記平均粒子径が0.1μm未満では、発色が弱くなるため、所望の着色力(例えば、仄かな赤色)が得られなくなり、また前記平均粒子径が1.0μmを超えると、鮮やかな発色が得られなくなり、くすんだ色となるので、好ましくない。
前記酸化鉄(III)微粒子は、前記酸化チタン微粒子の場合と同様に、表面処理しないでそのまま使用してもよいが、これを使用する前に予めケイ素、アルミニウム、亜鉛、鉄から選ばれた1種または2種以上の金属元素の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物で表面処理したものを使用することが好ましい。このような酸化鉄(III)微粒子としては、例えば、チタン工業(株)製のTAROX R−516P(未処理品)、触媒化成工業(株)製SYMPHOLIGHT RW(ケイ素化合物処理品)などがある。
また、前記酸化鉄(III)微粒子は、前記粒子群中に0.01〜10重量%の範囲で含んでいることが好ましい。ここで、前記酸化鉄(III)微粒子の含有量が0.01重量%未満であると、この微粒子を添加した意味があまりなくなり、また10重量%を超えると、得られる複合粉体の色相が赤味を増して、淡色化粧料へ配合することが難しくなるので、好ましくない。
なお、その他の構成成分については、上記の複合粉体Aの場合と同様であるので、ここではその説明を省略する。
[複合粉体の調製方法]
以下に、本発明に係る複合粉体の調製方法について具体的に説明するが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。
鱗片状基材上への担持
前記酸化チタン微粒子、または前記酸化チタン微粒子および前記酸化鉄(III)微粒子からなる粒子群を鱗片状基材の表面に担持させる方法としては、以下に示すような従来公知の方法を採用することができる。
(1)水、アルコールまたはその混合物の分散媒に前記粒子群を分散させたコロイド溶液を、前記鱗片状基材の懸濁液(通常は水懸濁液)中に添加して分散させ、その両者間の静電気的相互作用を利用して前記鱗片状基材の表面に前記粒子群を担持させた後、前記分散媒を分離して乾燥させる方法。
(2)水、アルコールまたはその混合物の分散媒に前記粒子群を分散させたコロイド溶液を、前記鱗片状基材の懸濁液(通常は水懸濁液)中に添加して分散させ、この分散液をスプレイドライヤーの熱風気流中に噴霧して乾燥させる方法。この場合、前記分散媒中に含まれる固形分濃度(すなわち、前記粒子群と前記鱗片状基材の合計量)は、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲にあることが好ましい。また、スプレイドライヤーの熱風乾燥温度(入口側の気流温度)は、60〜130℃の範囲にあることが好ましい。
このようにして得られた乾燥粉体(すなわち、前記粒子群を担持してなる鱗片状基材)は、前記の基材同士が付着または凝集していることもあるので、このような場合は、必要に応じてすり鉢、アトマイザー、ミキサーなどを用いて解砕または粉砕してから次の工程に供することが望ましい。
複合酸化物による被覆
前記乾燥粉体、すなわち前記粒子群を担持してなる鱗片状基材上にチタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆する方法としては、以下に示すような従来公知の方法を採用することができる。
(1)水、アルコールまたはその混合物の分散媒に前記乾燥粉体を懸濁させた懸濁液に、塩化チタンなどの水溶液と塩化鉄などの水溶液を加えて撹拌して前記基材の表面を前記複合酸化物で被覆した後、前記分散媒を分離して乾燥し、さらに400〜900℃の温度で焼成する方法。
(2)水、アルコールまたはその混合物の分散媒に前記乾燥粉体を懸濁させた懸濁液に、チタンや鉄などの金属水酸化物コロイド溶液を加えて撹拌した後、前記分散媒をスプレイドライヤーの熱風気流中に噴霧して前記基材の表面を前記金属水酸化物で被覆・乾燥し、さらに105〜150℃の温度で乾燥した後、400〜900℃の温度で焼成する方法。この場合、スプレイドライヤーによる乾燥条件は、上記の場合と同様な条件を採用することができる。
このようにして、本発明に係る複合粉体は、従来公知の方法で調製することができるが、その調製にあたっては、以下のことを考慮して行うことが望ましい。
a)適度な隠蔽性(カバー力)を付与するために、鱗片状基材上に担持される前記酸化チタン微粒子の平均粒子径やその担持量を調整する。
b)良好な紫外線遮蔽効果を付与するために、前記基材上に被覆される前記複合酸化物の量を調整する。さらに、前記酸化チタン微粒子に基づく機能を低下させないように、前記複合酸化物の被覆層の厚さを調整する。
c)前記の白浮きを抑制する機能を付与するため、前記複合酸化物中に含まれる鉄の量を調整して、得られる複合粉体に仄かな黄色味を帯びさせる。あるいは、前記粒子群に酸化鉄(III)微粒子を適量加えて、得られる複合粉体に仄かな赤味を帯びさせる。
d)前記複合酸化物の組成比などを調整して、得られる複合粉体のツヤをメークアップ化粧料に適したものとする。さらに、適度な付着性や均一な化粧膜が得られるように調整する。
[化粧料]
以下に、本発明の化粧料、特にメークアップ化粧料について具体的に説明する。
本発明による化粧料は、前記の複合粉体(すなわち、複合粉体Aおよび/または複合粉体B)と、以下に述べる各種化粧料成分とを配合して得られるものである。
本発明化粧料への前記複合粉体の配合量は、調製すべき化粧料の種類や配合すべき化粧料成分等によっても異なるが、前記化粧料に対し5〜60重量%、好ましくは10から50重量%の範囲にあることが望ましい。ここで、前記複合粉体の配合量が1重量%未満では、他の化粧料成分の影響を受けて、この複合粉体が持っている前記基本的特性の全てを発揮させることができなくなり、また60重量%を超えると、油剤や水分、さらには前記複合粉体以外の感触改良剤(例えば、球状シリカ等の無機系材料や各種有機樹脂など)を配合する余地がなくなり、化粧料として成り立たなくなるので、好ましくない。
前記の各種化粧料成分としては、例えば、オリーブ油、ナタネ油、牛脂等の油脂類、ホホバ油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等のロウ類、パラフィン、スクワラン(合成スクワランおよび植物性スクワランを含む)、α−オレフィンオリゴマー、マイクロクリスタリンワックス、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、α−ヒドロキシ酸等の脂肪酸類、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類、アルキルグリセリルエーテル類、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、ラウリル酸セチル、オレイン酸デシル等のエステル類、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール類、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖、トレハロース等の糖類、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン油、各種変性シリコーン油、環状ジメチルシリコン油等のシリコーン油、シリコーン系および/または他の有機化合物にて架橋させたシリコーンゲル、ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性の各種界面活性剤、パーフルオロポリエーテル等のフッ素油、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸、グアーガム、アルブミン、プルラン、カルボキシビニルポリマー、セルロースまたはその誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の各種高分子、アニオン、カチオン、ノニアオン系各種界面活性剤類、動植物抽出物、アミノ酸及びペプチド類、ビタミン類、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系、サリチル酸系、安息香酸エステル系、ウロカニン酸系、ベンゾフェノン系を始めとした紫外線防御剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、変性または未変性の粘土鉱物、酢酸ブチル、アセトン、トルエン等の溶剤、各種粒子径、粒子径分布および形状を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、マイカ、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム、パール光沢を有する雲母チタン、およびこれらの複合物、各種有機顔染料、水、香料などが挙げられる。
ここで、前記の酸化チタンや酸化亜鉛等の無機化合物は、その表面に予めシリコン処理、フッ素処理、金属石鹸処理などを施したものを用いてもよい。
また、ポリアクリル酸メチル、ナイロン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタンなどの樹脂粒子を含んでいてもよい。
さらに、美白効果を有する有効成分として、アルブチン、コウジ酸、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、ジ−パルチミン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、その他のアスコルビン酸誘導体、プラセンタエキス、イオウ、油溶性甘草エキス、クワエキス等の植物抽出液、リノール酸、リノレイン酸、乳酸、トラネキサム酸などを含ませることができる。
また、肌荒れ改善効果を有する有効成分として、ビタミンC、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、カフェー誘導体、リグナン、サポニン、レチノイン酸及びレチノイン酸構造類縁体、N−アセチルグルコサミン、α−ヒドロキシ酸等の抗老化効果を有する有効成分、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類、混合異性化糖、トレハロース、プルラン等の糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン・キトサン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等の生体高分子類、アミノ酸、ベタイン、セラミド、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロールまたはその誘導体、ε−アミノ化プロン酸、グリチルリチン酸、各種ビタミン類などを含ませることができる。
さらに、本発明においては、医薬部外品原料規格2006(発行:株式会社薬事日報社、平成18年6月16日)や、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(発行:The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association、Eleventh Edition 2006)等に収載されている化粧料成分を特に制限なく使用することができる。
しかし、前記化粧料成分の選定に際しては、次のことを考慮して行うことが好ましい。すなわち、メークアップ化粧料などの化粧料においては、通常、隠蔽性(カバー力)その他を改良することを目的として酸化チタン微粒子(白色顔料)が配合されているが、本発明に係る前記複合粉体を配合した化粧料には、このような酸化チタン微粒子を配合しないことが望ましい。もし、前記複合粉体の他に前記酸化チタン微粒子を加えると、前記複合粉体による白浮き抑制効果が低下するばかりでなく、均一な化粧膜が得られなくなることがある。
本発明による化粧料は、従来公知の方法で製造することができる。しかしながら、前記のような高度な配合技術を駆使することは、必ずしも必要ない。
このような方法で製造された化粧料は、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、ジェル状、ムース状、液状、クリーム状などの各種形態で使用され、さらに具体的に述べれば、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、ムースファンデーション、プレスドパウダー等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイブロー、アイライナー、マスカラ、口紅等のポイントメークアップ化粧料、ボディパウダー、乳液、クリーム、化粧下地、石鹸、クレンジングフォーム、メーク落とし用クリーム等の洗浄用化粧料、保湿・肌荒れ防止、アクネ、角質ケア、マッサージ、しわ・たるみ対応、くすみ・くま対応、紫外線ケア、美白、抗酸化ケア用等のスキンケア化粧料、育毛用、フケ防止、かゆみ防止、洗浄用、コンディショニング・整髪、パーマネント・ウエーブ用、ヘアカラー・ヘアブリーチ用等のヘアケア化粧料、洗浄用、日焼け防止、手荒れ防止、スリミング用、血行改善用、かゆみ抑制、体臭防止、制汗、体毛ケア、リペラント用等のボディーケア化粧料、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、シャワーコロン等、練香水、ボディーロ−ション、バスオイル等のフレグランス化粧料、歯磨き、マウスウォッシュ等のオーラルケア製品などが挙げられる。この中でも、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、プレスドパウダー等のメークアップ化粧料に使用することが特に好ましい。
このようにして得られた化粧料は、上記の基本的特性、すなわちa)良好な付着性、b)良好な延展性(延び広がり)、c)適度なツヤ感、d)均一な化粧膜、e)適度な隠蔽性(カバー力)、f)白浮きしない化粧膜、g)化粧料の外観色と化粧膜の色調の同一性、h)良好なソフトフォーカス性、i)良好な紫外線遮蔽性、などの効果を奏することができる。
なお、本発明に係る前記複合粉体は、その他の化粧料に配合して使用してもよい。しかし、これらの化粧料は、前記の基本的特性の全てを必ずしも要求しないので、必要に応じて前記複合粉体を使用することが望ましい。
〔測定方法〕
次に、本発明の実施例その他で採用された測定方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)鱗片状基材の平均粒子径
前記鱗片状基材の試料をレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−300)を用いて、その平均粒子径を測定した。
(2)鱗片状基材の厚さ
前記鱗片状基材の試料から選ばれた100個の粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S-5200N)を用いて写真撮影し、その厚さの平均値を測定した。
(3)酸化チタン微粒子の平均粒子径
前記酸化チタン微粒子の試料から選ばれた100個の粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S-5200N)を用いて写真撮影し、その粒子径の平均値を測定した。
(4)酸化鉄(III)微粒子の平均粒子径
前記酸化鉄(III)微粒子の試料から選ばれた100個の粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S-5200N)を用いて写真撮影し、その粒子径の平均値を測定した。ただし、本発明の実施例で使用された酸化鉄(III)微粒子は、細長い形状を有しているため、その粒子の長径(L)と短径(D)の合計値を2で除した値を粒子径とした。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
複合粉体の調製
[調製例1]
鱗片状基材として、平均粒子径9μmの雲母244g(山口雲母(株)製Y−1800)を純水1200mlに加えて十分に攪拌した後、10重量%濃度の塩化水素水溶液を用いてpHを2.3付近に調節した懸濁液を得た。
次に、この懸濁液に、平均粒子径0.25μmの酸化チタン微粒子57g(石原産業(株)製タイペークCR−50)を加えて、十分に攪拌しながら、60℃の温度に加熱した後、15重量%濃度のアンモニア水を用いてpHを5.0に調節し、さらに凝集剤として、5重量%濃度の塩化カルシウム水溶液120mlを添加して30分間撹拌した。
次いで、これを室温まで冷却した後、濾過水洗し、110℃の温度で16時間乾燥した。
さらに、得られた乾燥粉末の塊をミキサーに入れて解砕(または粉砕)して、酸化チタン微粒子が担持された雲母300gを得た。
この中から計量分離された雲母280gを、純水1200mlに加えて十分に攪拌した後、10重量%濃度の塩化水素水溶液を用いてpHを5.5付近に調節し、さらに60℃の温度に加熱した懸濁液を得た。
次に、10重量%濃度の塩化鉄水溶液35gと10重量%濃度の塩化チタン水溶液665gを混合した後、これを前記懸濁液に撹拌しながら17時間かけて添加し、さらに室温まで冷却した。なお、前記混合液の添加に際しては、15重量%濃度のアンモニア水を用いて懸濁液のpHを5.5に保持した。
このようにして得られた固形分(雲母その他)を濾過水洗した後、110℃の温度で16時間乾燥し、さらに800℃の温度で3時間焼成して、チタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆された酸化チタン微粒子付雲母A(以下、「複合粉体A」という)を得た。
[調製例2]
表1に示す割合となるように、前記雲母と前記酸化チタン微粒子との重量比率を変更すると共に、前記塩化鉄水溶液と前記塩化チタン水溶液との重量比率を変更し、さらに前記塩化鉄および前記塩化チタンの被覆量を変更した以外は、調製例1と同様にして、チタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆された酸化チタン微粒子付き雲母B〜F、H〜J(以下、「複合粉体B〜F」および「複合粉体H〜J」という)を得た。
[調製例3]
前記酸化チタン微粒子を前記雲母上に担持させずに、表1に示す割合となるように調製した以外は、調製例1と同様にして、チタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆された雲母K(以下、「複合粉体K」という)を得た。
[調製例4]
前記塩化鉄水溶液を添加せずに、表1に示す割合となるように調製した以外は、調製例1と同様にして、酸化チタンで被覆された酸化チタン微粒子付き雲母L(以下、「複合粉体L」という)を得た。
[調製例5]
前記塩化チタン水溶液を添加せずに、表1に示す割合となるように調製した以外は、調製例1と同様にして、酸化鉄で被覆された酸化チタン微粒子付き雲母M(以下、「複合粉体M」という)を得た。
[調製例6]
鱗片状基材として、平均粒子径9μmの雲母244g(山口雲母(株)製Y−1800)を純水1200mlに加えて十分に攪拌した後、10重量%濃度の塩化水素水溶液を用いてpHを2.3付近に調節した懸濁液を得た。
次に、この懸濁液に、平均粒子径0.25μmの酸化チタン微粒子53g(石原産業(株)製タイペークCR−50)と平均粒子径0.45μmのベンガラ微粒子4g(チタン工業(株)製TAROX R−516P)を加えて、十分に攪拌しながら、60℃に加熱した後、15重量%濃度のアンモニア水を用いてpHを5.0に調節し、さらに凝集剤として、5重量%濃度の塩化カルシウム水溶液120mlを添加して30分間撹拌した。
次いで、これを室温まで冷却した後、濾過水洗し、110℃の温度で16時間乾燥した。
さらに、得られた乾燥粉末の塊をミキサーに入れて解砕(または粉砕)して、酸化チタン微粒子およびベンガラ微粒子が担持された雲母300gを得た。
この中から計量分離された雲母280gを、純水1200mlに加えて十分に攪拌した後、10重量%濃度の塩化水素水溶液を用いてpHを5.5付近に調節し、さらに60℃の温度に加熱した懸濁液を得た。
次に、10重量%濃度の塩化鉄水溶液35gと10重量%濃度の塩化チタン水溶液665gを混合した後、これを前記懸濁液に撹拌しながら17時間かけて添加し、さらに室温まで冷却した。なお、前記混合液の添加に際しては、15重量%濃度のアンモニア水を用いて懸濁液のpHを5.5に保持した。
このようにして得られた固形分(雲母その他)を濾過水洗した後、110℃の温度で16時間乾燥し、さらに800℃の温度で3時間焼成して、チタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆された酸化チタン微粒子/ベンガラ微粒子付き雲母G(以下、「複合粉体G」という)を得た。
混合粉体の調製
[調製例7]
鱗片状基材として、平均粒子径9μmの雲母65g(山口雲母(株)製Y−1800)、平均粒子径0.25μmの酸化チタン微粒子15g(石原産業(株)製タイペークCR−50)および平均粒子径35nmの酸化チタンナノ微粒子20g(TAYCA CORPORATION製MT−500B)をミキサーに入れて撹拌し、均一に混合して、雲母/酸化チタン微粒子/酸化チタンナノ微粒子を含む混合粉体Nを得た。
[実施例1および比較例1]
パウダーファンデーションの調製
表2に示す配合比率(重量%)となるように、調製例1〜7で得られた複合粉体A、B、D〜Mまたは混合粉体Nの成分(1)と下記化粧料成分(2)〜(8)をそれぞれミキサーに入れて撹拌し、均一に混合した。次に、下記化粧料成分(9)〜(11)をこのミキサーに入れて撹拌し、さらに均一に混合した。次いで、得られたケーキ状物質を解砕処理した後、その中から約12gを取り出し、46mm×54mmx4mmの角金皿に入れてプレス成型した。
これにより、前記複合粉体A、D、E、F、H、IまたはJを50重量%含むパウダーファンデーションA-(50)、D-(50)、E-(50)、F-(50)、H-(50)、I-(50)またはJ-(50)(以下、「実施例化粧料1A-(50)、1D-(50)、1E-(50)、1F-(50)、1H-(50)、1I-(50)または1J-(50)」という)、前記複合粉体A、BまたはGを30重量%含むパウダーファンデーションA-(30)、B-(30)またはG-(30)(以下、「実施例化粧料1A-(30)、1B-(30)または1G-(30)」という)、前記複合粉体K、LまたはMを50重量%含むパウダーファンデーションK-(50)、L-(50)またはM-(50)(以下、「比較例化粧料1K-(50)、1L-(50)または1M-(50)」という)、および前記混合粉体Nを50重量%含むパウダーファンデーションN-(50)(以下、「比較例化粧料1N-(50)」という)をそれぞれ調製した。これらをまとめた結果を表3に示す。
[実施例2および比較例2]
プレスドパウダーの調製
表4に示す配合比率(重量%)となるように、調製例1、調製例2および調製例7で得られた複合粉体A、Cまたは混合粉体Nの成分(1)と下記化粧料成分(2)〜(8)をそれぞれミキサーに入れて撹拌し、均一に混合した。次に、下記化粧料成分(9)〜(10)をこのミキサーに入れて撹拌し、さらに均一に混合した。次いで、得られたケーキ状物質を解砕処理した後、その中から約12gを取り出し、46mm×54mmx4mmの角金皿に入れてプレス成型した。
これにより、前記複合粉体Aを10重量%含むプレスドパウダーA-(10)(以下、「実施例化粧料2A-(10)」という)、前記複合粉体Cを50重量%含むプレスドパウダーC-(50)(以下、「実施例化粧料2C-(50)」という)、および前記混合粉体Nを10重量%含むプレスドパウダーN-(10)(以下、「比較例化粧料2N-(10)」という)をそれぞれ調製した。これらをまとめた結果を表5に示す。
[実施例3および比較例3]
パウダーファンデーションの官能評価
実施例1で調製されたパウダーファンデーション、すなわち実施例化粧料1A-(50)、1A-(30)、1B-(30)、1D-(50)、1E-(50)、1F-(50)、1G-(30)、1H-(50)、1I-(50)、1J-(50)、および比較例1で調製されたパウダーファンデーション、すなわち比較例化粧料1K-(50)、1L-(50)、1M-(50)、1N-(50)をそれぞれ肌に塗った場合の使用感(官能評価試験結果)について、20人のモニターから聞き取り調査を行った。その結果の平均値を表6に示す。なお、この使用感についての聞き取り調査は、以下の基準に基づいて行った。
◎:最適な使用感または感触が得られている。
○:ほぼ最適な使用感または感触が得られている。
△:やや違和感がある。
X:明らかな違和感がある。
パウダーファンデーションの紫外線遮蔽性の評価
実施例1で調製されたパウダーファンデーション、すなわち実施例化粧料1A-(50)、1A-(30)、1B-(30)、1D-(50)、1E-(50)、1F-(50)、1G-(30)、1H-(50)、1I-(50)、1J-(50)、および比較例1で調製されたパウダーファンデーション、すなわち比較例化粧料1K-(50)、1L-(50)、1M-(50)、1N-(50)をそれぞれ0.08g計り取り、サージカルテープ(3M社/Transporeテープ)40cm2に均一に塗布した。
これらを測定試料としてSPFアナライザー(Optometrics社、SPF290S、光源に75Wキセノンランプを使用)を用いて、紫外線遮蔽性の強弱を示すSPF(Sun Protection Factor)値をそれぞれ5回測定し、その平均値を求めた。その結果を表7に示す。なお、SPF値はその値が大きいほど、紫外線遮蔽効果が高いことを意味する。
表6からも明らかなように、本発明に係る複合粉体A、B、D〜Jを配合したパウダーファンデーション、すなわち実施例化粧料1A-(50)、1A-(30)、1B-(30)、1D-(50)、1E-(50)、1F-(50)、1G-(30)、1H-(50)、1I-(50)および1J-(50)は、上記の基本的特性、すなわちa)良好な付着性、b)良好な延展性(延び広がり)、c)適度なツヤ感、d)均一な化粧膜、e)適度な隠蔽性(カバー力)、f)白浮きしない化粧膜、g)化粧料の外観色と化粧膜の色調の同一性、h)良好なソフトフォーカス性の全てにおいて問題がないことが分かった。この中でも、本発明に係る複合粉体A、B、D〜Gを配合したパウダーファンデーション、すなわち実施例化粧料1A-(50)、1A-(30)、1B-(30)、1D-(50)、1E-(50)、1F-(50)および1G-(30)は、前記基本的特性の全てにおいて特に優れていることが分かった。
さらに付言すれば、前記酸化チタン微粒子を含まない複合粉体Kを配合した比較例化粧料1K-(50)の場合は、隠蔽性(カバー力)が低すぎ、また前記酸化チタン微粒子を比較的多く含む複合粉体Hを配合した実施例化粧料1H-(50)の場合は、隠蔽性(カバー力)が少し高すぎ、その他においても少し劣っていることが分かった。よって、前記酸化チタン微粒子の含有量は、5〜30重量%の範囲にあることが望ましいことが分かった。
また、前記複合粉体G(ベンガラ微粒子を含む)を配合した実施例化粧料1G-(50)の場合は、皮膚に塗ったとき、ベンガラ粒子を含まない複合粉体(例えば複合粉体A)を配合した実施例化粧料よりも、さらに白浮きが抑制されることが分かった。
表7からも明らかなように、本発明に係る複合粉体A、B、D〜Jを配合したパウダーファンデーション、すなわち実施例化粧料1A-(50)、1A-(30)、1B-(30)、1D-(50)、1E-(50)、1F-(50)、1G-(30)、1H-(50)、1I-(50)および1J-(50)は、上記の紫外線遮蔽性において特に問題がないことが分かった。この中でも、本発明に係る複合粉体A、B、E、G、HおよびJを配合したパウダーファンデーション、すなわち実施例化粧料1A-(50)、1A-(30)、1B-(30)、1E-(50)、1G-(30)、1H-(50)、および1J-(50)は、前記紫外線遮蔽性において特に優れていることが分かった。
さらに、前記複合酸化物(特に、その中のチタン成分)を比較的少なく含む複合粉体D、FまたはIを配合した実施例化粧料1D-(50)、1F-(50)または1I-(50)は、前記付着性が低くなって前記延展性(延び広がり)に優れている反面、前記紫外線遮蔽性に少し劣っていることが分かった。また、前記複合酸化物(特に、その中のチタン成分)を比較的多く含む複合粉体Jを配合した実施例化粧料1J-(50)は、前記紫外線遮蔽性に優れている反面、前記付着性が強くなって前記延展性(延び広がり)に少し劣っていることが分かった。よって、前記複合酸化物の含有量は、10〜30重量%の範囲にあることが望ましいことが分かった。
また、酸化チタンのみ(すなわち、鉄を含まない)で被覆した複合粉体Lを配合した比較例化粧料1L-(50)の場合は、前記化粧膜に白浮きが発生することが分かった。さらに、酸化鉄のみ(すなわち、チタニウムを含まない)で被覆した複合粉体Mを配合した比較例化粧料1M-(50)の場合は、多くの点で劣っていることが分かった。よって、チタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆する必要があり、さらにこれらの重量組成比(Fe23/TiO2)は、0.01〜0.3の範囲にあることが望ましいことが分かった。
また、前記混合粉体Nを配合した比較例化粧料1N-(50)の場合は、紫外線遮蔽性に優れているものの、その他の多くの点で劣っていることが分かった。
[実施例4および比較例4]
プレスドパウダーの官能評価
実施例2で調製されたプレスドパウダー、すなわち実施例化粧料2A-(10)、2C-(50)、および比較例2で調製されたプレスドパウダー、すなわち比較例化粧料2N-(10)をそれぞれ肌に塗った場合の使用感(官能評価試験結果)について、20人のモニターから聞き取り調査を行った。その結果の平均値を表8に示す。なお、この使用感についての聞き取り調査は、以下の基準に基づいて行った。
◎:最適な使用感または感触が得られている。
○:ほぼ最適な使用感または感触が得られている。
△:やや違和感がある。
X:明らかな違和感がある。
表8からも明らかなように、本発明に係る複合粉体AまたはCを配合したプレスドパウダー、すなわち実施例化粧料2A-(10)および2C-(50)は、上記の基本的特性、すなわちa)良好な付着性、b)良好な延展性(延び広がり)、c)適度なツヤ感、d)均一な化粧膜、e)適度な隠蔽性(カバー力)、f)白浮きしない化粧膜、g)化粧料の外観色と化粧膜の色調の同一性、h)良好なソフトフォーカス性の全てにおいて優れていることが分かった。
これに対し、前記混合粉体Nを配合した比較例化粧料2N-(10)の場合は、一部を除いて多くの点で劣っていることが分かった。
本発明に係る複合粉体の概念的な断面図である。
符号の説明
1 雲母等の鱗片状基材
2 酸化チタン微粒子
3 チタニウムおよび鉄を含む複合酸化物による被覆層

Claims (11)

  1. 鱗片状基材の表面に、少なくとも酸化チタン微粒子からなる粒子群を担持させ、さらにその表面をチタニウムおよび鉄を含む複合酸化物で被覆した複合粉体を配合してなる化粧料。
  2. 前記粒子群が、さらに酸化鉄(III)微粒子を含み、その含有量が0.01〜10.0重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
  3. 前記酸化チタン微粒子が、着色顔料として使用される白色の酸化チタン微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
  4. 前記酸化鉄(III)微粒子が、着色顔料として使用される赤褐色のベンガラ微粒子であることを特徴とする請求項2に記載の化粧料。
  5. 前記酸化チタン微粒子および/または前記酸化鉄(III)微粒子が、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、鉄から選ばれた1種または2種以上の金属元素の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物で表面処理されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料。
  6. 前記鱗片状基材の表面に担持される前記酸化チタン微粒子が、前記複合粉体中に5〜30重量%含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料。
  7. 前記微粒子群を担持してなる前記鱗片状基材に被覆される前記複合酸化物が、前記複合粉体中に10〜30重量%含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料。
  8. 前記複合酸化物中に含まれる前記鉄をFe23で表し、さらに前記チタニウムをTiO2で表したとき、その重量組成比(Fe23/TiO2)が0.01〜0.3の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の化粧料。
  9. 前記化粧料が、前記複合粉体を5〜60重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の化粧料。
  10. 前記化粧料が、前記複合粉体以外に、着色顔料としての酸化チタン微粒子を含有していないことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の化粧料。
  11. 前記化粧料が、メークアップ化粧料であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の化粧料。
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