JP5311835B2 - 赤色の色相を呈する非干渉性のカラーフロップ粉体およびこれを配合してなる化粧料 - Google Patents

赤色の色相を呈する非干渉性のカラーフロップ粉体およびこれを配合してなる化粧料 Download PDF

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Description

本発明は、マイカ等の鱗片状基材の表面に酸化第二鉄微粒子を担持させ、さらにその表面を二酸化チタン層で被覆してなる、赤色の色相を呈する非干渉性のカラーフロップ粉体およびこれを配合してなる化粧料、特にベースメークアップ用化粧料およびポイントメークアップ用化粧料に関するものである。
従来、パウダーファンデーション等の化粧料には、マイカ、タルク、セリサイト等の鱗片状粉体が配合されている。この鱗片状粉体を化粧料に配合した場合の効果は、化粧料の皮膚上での延展性を向上させると共に、着色顔料の皮膚上での分散性を向上させ、さらに皮膚への付着力を高めることなどであり、メークアップ用化粧料には欠かせないものである。
また、主としてマイカの表面にある一定厚さの酸化チタンを被覆したものは、パール顔料と呼ばれ、化粧料や塗料等に使用されている。このパール顔料は、光の干渉を利用して光の入射角に対するある一定の反射角において各層の厚さに応じて色調が変化し、かつ強い光沢を有するものである。この光沢が強いほど、見る角度による明度の変化は大きくなり、その性質はフリップフロップ性と呼ばれている。
光の干渉により生じる色は、ベンガラ、群青等、一般の着色顔料の色と比較して明度は高いが、その着色力は非常に弱いことが知られている。この着色力を向上させる方法として、前記した酸化チタン層の上に酸化鉄等の可視光域のある特定範囲の波長を吸収する金属酸化物を被覆することが提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、ある特定の色を強める効果や光沢に起因する明度の変化を大きくする効果は得られるが、見る角度によって色相が変わるという効果は余り期待できない。
また、逆にマイカの表面にまず酸化第二鉄を被覆し、その上に一定の厚さの酸化チタン層を設けたものも提案されている(特許文献2)。しかし、当該被覆粉体においても、見る角度によって色相を変える効果はやはり小さいものであった。
さらに、特許文献3には、薄片状の金属基体上に、屈折率1.8以下の無色の被覆層、次に屈折率2.0以上の選択的に光を吸収する被覆層、更に必要に応じて無色または選択的に光を吸収する被覆層を順次形成してなる光沢顔料が提案されており、前記金属基体としてはアルミニウムまたはその合金、第1層である前記被覆層の物質としてはシリカ、酸化アルミニウム等、第2層である前記被覆層の物質としては酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン(TiO2のアンモニア還元物等を含む)等が例示されている。また、この明細書中には、当該被覆粉体によれば、見る角度によって色調が異なる効果が挙げられているものの、この光沢顔料は色調変化を強める目的で金属基材を使用しているため、強い金属光沢を有すると記載されている。従って、光沢を押さえた自然な外観を有する化粧料を得ることが困難であり、また隠蔽性も高すぎるという問題点がある。
また、上記のような問題点を解決するため、本出願人は、鱗片状基材に少なくとも2つの着色層を積層被覆した複合粉体を開発し、これを出願している(特許文献4)。この複合粉体によれば、見る角度によって色相が変わり、しかも過度の光沢がなく自然な外観を得ることができるものの、2つの着色層を有していることから、実質的に色彩が濃いものであった。従って、ベースメークアップ化粧料に配合した場合、濃い色彩のファンデーションには配合できるが、薄い色彩のファンデーションへの配合には制約があり、配合量を落とすと色調、彩度、明度のバランスからなる色彩の調整が可能となるが、所望のカラーフロップ効果が得られない問題があった。
さらに、本出願人は鱗片状基材に赤褐色の酸化第二鉄と二酸化珪素、二酸化チタンを順次積層してなる複合粉体についても開発を行い特許出願した(特許文献5)。
この複合粉体は肌の色に擬似したベージュの色相で、見る角度によって色彩が変化することによってこれを配合した化粧料によれば顔の立体感を強調したり輪郭がほっそりと小顔に見える効果を、過度の光沢なしに自然な外観で得ることができるものであった。また、この複合粉体は比較的低彩度であるため、薄い色彩のファンデーションに対しても所望量を配合することができ、ベースメークアップ用化粧料の材料として好適なものであった。
しかし、化粧料の色調としては、血色がよく見える赤やピンク系の色相が求められることがあるが、該粉体ではそのような色相は得られていなかった。
さらに、前記複合粉体は3つの被覆層を有していることから、その製造工程が煩雑であり経済的でなかった。
上記のように、過度の光沢がなく、自然なつやがあって、赤色の色相で、見る角度によって色彩が変化する効果を、彩度の高い赤色のものから彩度の低い赤色のものまで、他の材料と混ぜ合わせて調整することなしに一つの材料で得ることができ、また比較的簡便な製法によって製造することができる化粧料用材料は未だ知られていないのが現状である。
特公昭58−7674号公報 特開平7−11161号公報 特開平8−209024号公報 特開2000−273352号公報 特開2008−001664号公報
本発明者らは、上記のような問題点を解決することを目的として鋭意研究を続けたところ、特別な構成からなるカラーフロップ粉体を使用すればよいことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、見る角度によって色彩が変わり、しかも赤色の色相を呈し自然に血色のよい肌、頬、唇などの色を得ることのできる非干渉性のカラーフロップ粉体を提供することを目的としている。
さらに、本発明は、このカラーフロップ粉体を使用して、光沢を抑えて自然なつやを付与しながらも、顔、その他の立体的な構造を一つの材料で色彩の変化により強調することのできる化粧料を提供することを目的としている。
本発明のカラーフロップ粉体は、鱗片状基材の表面に赤褐色の酸化第二鉄微粒子を担持させ、さらにその表面を無彩色の二酸化チタン層で被覆してなる、赤色の色相を呈する非干渉性の粉体であることを特徴としている。
前記鱗片状基材は、マイカ、合成マイカ、タルク、セリサイト、合成セリサイト、板状シリカ、板状酸化アルミニウム、および板状酸化チタンから選ばれる一種または二種以上であることが好ましい。
また、前記鱗片状基材は、平均粒子径1〜40μmおよび平均厚さ0.05〜1.0μmの大きさを有することが好ましい。
前記酸化第二鉄微粒子は、着色顔料として使用される赤褐色のベンガラ微粒子であることが好ましい。
また、前記酸化第二鉄微粒子は、平均粒子径0.17〜0.7μmの大きさを有することが好ましい。
前記二酸化チタンの被覆層が、40nm以下であり、しかも必要な光反射力を備えた厚さであることが好ましい。
前記カラーフロップ粉体は、前記酸化第二鉄を0.2〜40重量%、前記二酸化チタン5〜30重量%および前記鱗片状基材をバランスで含むことが好ましい。
本発明におけるカラーフロップ粉体は、日本工業規格番号JIS Z 8729に規定される色相角habが正反射角より少しずれた拡散反射角付近で0°〜65°の範囲にあって、赤色の色相を呈することを特徴としている。
また、本発明におけるカラーフロップ粉体は、日本工業規格番号JIS Z 8729に規定される色相角habが正反射角より少しずれた拡散反射角付近で35°〜65°の範囲にあって、黄色がかった赤色の色相を呈することを特徴としている。
本発明におけるカラーフロップ粉体は、日本工業規格番号JIS Z 8730 7.1 に規定される色差△E* abが18以上であることを特徴としている。
また、前記カラーフロップ粉体が、正反射光域に干渉光による発色を呈さず、反射強度が10〜80の範囲にあることが好ましい。
一方、本発明による化粧料は、上記のカラーフロップ粉体を配合してなるものであることを特徴としている。
また、前記化粧料は、ベースメークアップ用化粧料またはポイントメークアップ用化粧料であることが好ましい。
本発明のカラーフロップ粉体によれば、他の顔料などと組み合わせることなくこれ自体で、見る角度によって色彩が変わり、赤色の色相を呈することができ自然に血色のよい肌、または唇などの色を得ることができる。また、本発明による化粧料は、顔、その他の立体的な構造を、一つの材料で光沢を抑えて自然なつやを付与しながらも、色彩の変化により強調することができるという利点を有している。
また本発明のカラーフロップ粉体では比較的彩度の高い赤だけではなく、比較的彩度の低い赤、すなわちピンク色を得ることができ、口紅やカラーパウダーなどのみならず、ほほ紅やベースメークアップ用化粧料などにおいても好適に配合できる。また純粋な赤に近い色相のものだけでなく、黄色がかった赤や黄色がかったピンク色を得ることができ、この粉体を配合した化粧料によれば血色がよく見えるだけでなく柔和な感じが得られる。
以下、本発明のカラーフロップ粉体および該カラーフロップ粉体を配合してなる化粧料について具体的に説明する。
〔カラーフロップ粉体〕
本発明によるカラーフロップ粉体は、鱗片状基材の表面に赤褐色の酸化第二鉄微粒子を担持させ、さらにその表面を無彩色の二酸化チタン層で被覆してなる、赤色の色相を呈する非干渉性の無機酸化物粉体である。
本発明で使用される鱗片状基材としては、特に制限されるものではないが、マイカ、タルク、セリサイト等の天然鉱物や、合成マイカ、合成セリサイト、板状シリカ、板状酸化アルミニウム、板状酸化チタン等の合成物である無機酸化物などを使用することができる。この中でも、マイカ、合成マイカを使用することが好ましい。
前記鱗片状基材の大きさは、平均粒子径が概ね1〜40μm、好ましくは5〜30μmであることが望ましい。
前記平均粒子径が1μm未満では、得られるカラーフロップ粉体の粒子径が小さすぎて、所望のカラーフロップ性が得られ難く、また前記平均粒子径が40μmを超えると、得られるカラーフロップ粉体の光沢が強すぎてギラついた外観となることがあるので、好ましくない。
さらに、前記鱗片状基材の平均厚さは0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmであることが望ましい。ここで、前記鱗片状基材の平均厚さが0.05μm未満では、延展性が低下する他、嵩高くなって、吸油量が大幅に増加することになり、また前記平均厚さが1μmを超えると、延展性が低下するので好ましくない。
本発明で使用される酸化第二鉄微粒子は、化学式Fe23で表され、一般的に化粧料用の着色顔料として用いられる赤褐色のものを使用することができる。中でも、ベンガラ微粒子を使用することが好ましい。
前記ベンガラ微粒子としては、球状または球状に近い形状、および針状、棒状などの細長い形状のものがあり、細長いものとしては、長径が0.3〜1.2μmの範囲にあり、短径が0.05〜0.15μmの範囲にあるものを使用することができる。
また、前記酸化第二鉄微粒子による発色を効果的に得るためには、前記酸化第二鉄微粒子の平均粒子径(該微粒子が細長い形状を有している場合には、該粒子の長径をLで表し、その短径をDで表したとき、(L+D)/2の数式から算出される値の平均値をいう)は、0.17〜0.7μm、好ましくは0.2〜0.6μmであることが望ましい。ここで、前記平均粒子径が0.17μm未満では、発色が弱くなるため、所望の着色力が得られなくなり、また前記平均粒子径が0.7μmを超えると、鮮やかな発色が得られなくなり、くすんだ色となるので、好ましくない。
前記酸化第二鉄微粒子は、赤褐色のものであれば、天然に産出されるものであってもよく工業的に合成され市販されているものであってもかまわない。しかし、工業的に合成された酸化第二鉄微粒子であって、一般的に化粧品用として市販されているものは、高純度であり粒径などが揃っているので好ましい。
前記酸化第二鉄微粒子は、表面処理等を施さずそのまま使用してもよく、また使用する前に予めケイ素、アルミニウムおよび亜鉛から選ばれた1種または2種以上の金属元素の酸化物、水酸化物および/または水和酸化物で表面処理したものを使用してもよい。表面処理をしていない酸化第二鉄微粒子として使用可能な市販品としては、例えば、チタン工業(株)製のTAROX R−516Pなどがあり、表面処理をした酸化鉄微粒子として使用可能な市販品としては例えば触媒化成工業(株)製SYMPHOLIGHT RW(ケイ素化合物処理品)などがある。
また、前記鱗片状基材の表面に担持される前記酸化第二鉄微粒子は、得られるカラーフロップ粉体に対し0.2〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲で含まれていることが好ましい。
ここで、前記含有量が0.2重量%未満では、着色力が不充分となり、所望のカラーフロップ性が得られないことがあり、また、得られるカラーフロップ粉体の色相角が65°を超える(黄色の色味が強い)ものとなる。前記含有量が40重量%を超えると、見る角度を変えた時の色彩の変化が小さくなり、所望のカラーフロップ性が得られないことがある。
また、前記酸化第二鉄の重量比によって、得られるカラーフロップ粉体の彩度、色相角、および明度を調整することができる。具体的には重量比が多いほど彩度が増加し、色相角が減少する(黄みが弱まり赤みが強まる)傾向にある。
またここでいう担持とは、酸化第二鉄微粒子を前記鱗片状基材上に化学的または物理的に付着させる操作を意味しており、鉄塩や有機鉄化合物の加水分解物もしくは重縮合物を液相中で基材上に析出させることによって基材を酸化第二鉄層で被覆する操作などとは区別される。
基材上に酸化第二鉄を被覆した場合には、その上に更に二酸化チタン層を被覆したときに、黄色の色相を呈するチタンと鉄の固溶体が副生し所望の色調が得られなくなるため酸化第二鉄層と二酸化チタン層の中間に二酸化珪素層を設ける必要性が生じるが、基材上に酸化第二鉄微粒子を担持したものはその上に更に二酸化チタン層を直接被覆してもチタンと鉄の固溶体は形成されないため製造工程を簡略化でき好ましい。
酸化第二鉄微粒子の具体的な担持方法については、後記する通りである。
本発明で使用される二酸化チタンは、化学式TiO2で表され、前記酸化第二鉄微粒子を担持してなる前記鱗片状基材上に非干渉性の光反射層(無彩色層)を形成するために使用される。また、前記二酸化チタンとしては、アナターゼ型またはルチル型の結晶性酸化チタンを使用することが好ましい。
前記基材上に被覆される前記二酸化チタンは、得られるカラーフロップ粉体に対し5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%の範囲で含まれていることが望ましい。
ここで、前記含有量が5重量%未満では、反射率が低下して、所望のカラーフロップ性が得られない他、適度なつやを付与できなくなることがある。一方、前記含有量が30重量%を超えると、逆に反射率が高くなりすぎて、ぎらぎらした外観となる他、隠蔽性が高くなりすぎることとなる。
また、前記二酸化チタンの被覆層の厚さは、40nm以下、好ましくは5〜30nmの範囲とすることが望ましい。
ここで、前記被覆層の厚さが40nmを超えると、有色の干渉光が発現することがある。この干渉光が発現すると、特に正反射域で無彩色を呈さなくなるので好ましくない。すなわち、前記干渉光が赤色、黄色の場合は、酸化第二鉄微粒子の赤褐色とのコントラストが低下し、カラーフロップ性が低下することになり、また前記干渉光が緑色、青色の場合は、赤味、黄色味を打ち消しあうため、この粉体を配合した化粧料を塗った肌が不自然に見えることがある。
一方、前記被覆層の厚さの下限値については、測定限界を超えているためこれを正確に規定することはできないが、少なくとも5nm未満の厚さでは、反射率が低下して、所望のカラーフロップ性が得られない他、適度なつやを付与できなくなるため、前記二酸化チタンによる効果(所謂、光反射力)を期待することは難しいものと察せられる。
このようにして、鱗片状基材の表面に、赤褐色の酸化第二鉄微粒子を担持させ、さらにその表面を無彩色の二酸化チタンで被覆してなる、本発明のカラーフロップ粉体は、鱗片状基材と同様に鱗片状の形状を有している。
本発明でいう鱗片状基材とは、板状、薄片状、うろこ状などの形状を有する粉体粒子(以下、単に「粒子」という場合がある)を意味し、本発明のカラーフロップ粉体も同様な形状を有する粉体粒子(これについても同様に、単に「粒子」という場合がある)である。しかし、前記鱗片状基材および前記カラーフロップ粉体は、本発明の明細書中に規定される平均粒子径および平均厚さを有していることが必要である。
前記カラーフロップ粉体の平均粒子径は、5〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲にあることが望ましい。
ここで、前記粉体の平均粒子径が5μm未満では、この粉体を配合した化粧料を塗った肌の感触が不良となることがある。一方、前記平均粒子径が40μmを超えると、光沢が強過ぎてギラついた外観となって好ましくない。特に、平均粒子径が10〜30μmの範囲にあるカラーフロップ粉体を配合すれば、延展性に優れた感触の良い化粧料が得られる。
また、前記カラーフロップ粉体の平均厚さは、前記鱗片状基材の厚さと前記被覆層の厚さに依存するが、0.05〜1μmの範囲にあることが好ましい。
本発明によるカラーフロップ粉体は、日本工業規格番号JIS Z 8730 7.1に規定される色差△E abが18以上、好ましくは22以上であることが望まれる。ここで、前記色差△E abが18未満では、上記と同様に、カラーフロップ性が低下して、所望の効果が得られなくなる。
また、日本工業規格番号JIS Z 8729 5.2 に規定される彩度C abにおいて、正反射角付近の彩度C abと正反射角より少しずれた拡散反射角付近の彩度C abとの彩度差△C abが10以上、好ましくは15以上であることが望ましい。
ここで前記彩度差△C abが上記の範囲外であると、カラーフロップ性が低下して、所望の効果が得ることが難しくなる。
このうち、彩度C* abが、正反射角付近では20以下、好ましくは10〜20の範囲、正反射角より少しずれた拡散反射角付近では21以上、好ましくは30以上であるものは、ベースメークアップ用化粧料として適しており彩度の低いシェードのファンデーションにおいても他の材料と混ぜて色彩を調節することなく使用することができる。
一方、前記正反射角付近の彩度C* abが5未満では、粉体自体の彩度が薄いことから、所望のカラーフロップ性が得られなくなる。また前記正反射角より少しずれた拡散反射角付近の彩度C* abが上記の範囲外であると、カラーフロップ性が低下して、所望の効果が得られなくなる。
さらに、前記カラーフロップ粉体は、日本工業規格番号JIS Z 8729 5.3に規定される色相角habが、正反射角付近では0〜65°の範囲にあることが望ましい。色相角habが、正反射角付近では35〜65°の範囲にあるものは特に黄色がかった赤色を呈するので好ましい。色相角habが65°を超えると色相が赤色ではなくなるので好ましくない。
また、前記カラーフロップ粉体は、正反射角付近に干渉光による発色を呈さず、反射強度が10〜80、好ましくは20〜60であることが望ましい。
ここで、前記反射強度が80を超えると、過度の光沢があり、この粉体を配合した化粧料を塗った肌が不自然に見えることがある。また、前記反射強度が10未満では、光沢が低すぎて、この粉体を配合した化粧料を塗った肌に程度な艶を付与できないことがある。
前記彩度C* abおよび前記色差△E* ab、ならびに前記色相角差△habは、前記粉体3gをニトロセルロースラッカー(遠藤化学工業所製)12gによく分散させ塗料化し、バーコーターNo.18を用いて白色の隠蔽率試験紙に塗付して調製した塗膜を、D65/2の光源を持ち、煽り角を10°に設定した三次元変角分光光度計(村上色彩技術研究所製、GCMS−4)を用いて、入射角0゜の条件にて受光角10゜の正反射角付近の反射光(以下、正反射光という場合がある)と45゜の拡散反射光のL*、a*、b*の変化を測定し、その結果を次式に入力することによって求められる。
* ab=[(a*2 +(b*21/2
△E* ab=[(△L*2 +(△a*2 +(△b*21/2
ab=tan-1(b*/a*
△hab=(hab45°―hab10°
本発明でいう反射強度とは、前記粉体3gをニトロセルロースラッカー(遠藤化学工業所製)12gによく分散させ塗料化し、バーコーターNo.18を用いて黒色の隠蔽率試験紙に塗付して調製した塗膜を、D65/2の光源を持ち、煽り角を0°に設定した三次元変角光度計(村上色彩技術研究所製、GP−200)を用いて、入射角0゜の条件にて受光角5゜の正反射光を測定した反射強度をいう。
また、正反射角付近の干渉光による発色の有無は、黒色の隠蔽率試験紙に貼った平滑性の高い透明両面テープの粘着面に前記粉体を塗布した試料を、D65/2の光源を持ち、煽り角を10°に設定した三次元変角分光光度計(村上色彩技術研究所製、GCMS−4)を用いて、入射角45゜、受光角45゜の条件にて、380nmから760nmの波長における反射率を測定し、有色の干渉光に由来する反射率のおおきなうねりの有無にて確認することができる。すなわち、有色の干渉光を発するものは、特定波長の吸収と反射が起こることから、大きくループしたプロットを辿り、一方、無彩色の場合は、当該波長の吸収と反射が起こらないことから、フラットなプロットを辿るので、その有無を判断することができる。
〔カラーフロップ粉体の調製〕
以下、本発明のカラーフロップ粉体の調製方法について具体的に説明する。
酸化第二鉄微粒子の担持
前記酸化第二鉄微粒子を鱗片状基材の表面に担持させる方法としては、以下に示すような従来公知の方法を採用することができる。その方法の代表例を述べれば、以下の通りである。
a)水および/または有機溶媒に前記粒子群を分散させたコロイド溶液を、前記鱗片状基材の懸濁液(通常は水懸濁液)中に添加して分散させ、その両者間の静電気的相互作用を利用して前記鱗片状基材の表面に前記粒子群を担持させる方法。
この後、必要に応じて、得られた懸濁液(すなわち、前記粒子群を担持してなる鱗片状基材の懸濁液)中の分散媒を分離して乾燥させて用いてもよい。
また、必要に応じて前記酸化第二鉄粒子群を分散したコロイド溶液を添加した前記鱗片状基材の懸濁液中に凝集剤を添加することもできる。
前記凝集剤としてはナトリウム、カリウム、カルシウムなどの塩化物などを含む従来公知のものを使用することができる。
b)水、アルコールまたはその混合物の分散媒に前記粒子群を分散させたコロイド溶液を、前記鱗片状基材の懸濁液(通常は水懸濁液)中に添加して分散させ、この分散液をスプレイドライヤーの熱風気流中に噴霧して乾燥させる方法。この場合、前記分散媒中に含まれる固形分濃度(すなわち、前記粒子群と前記鱗片状基材の合計量)は、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲にあることが好ましい。また、スプレイドライヤーの熱風乾燥温度(入口側の気流温度)は、60〜130℃の範囲にあることが好ましい。
二酸化チタン被覆層の形成
前記酸化第二鉄微粒子を担持してなる前記鱗片状基材上(表面)に二酸化チタンの被覆層を形成する方法としては、従来公知の被膜形成方法を採用することができる。その方法の代表例を述べれば、以下の通りである。
a)上記の方法で酸化第二鉄微粒子を担持させた鱗片状基材の分散液(溶媒は水および/または有機溶媒)に、二酸化チタン層の前駆物質である四塩化チタン、硫酸チタン等のチタン塩、ペルオキソチタン酸等の過酸化物をアルカリ、または酸で中和して基材上に析出させる方法。
b)上記の方法で酸化第二鉄微粒子を担持させた鱗片状基材の分散液(溶媒は水および/または有機溶媒)に、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等の有機チタン化合物またはこれらの部分加水分解物を所定量添加し、必要に応じて加水分解用触媒の存在下で加水分解さらには縮重合し、加水分解・縮重合物を前記二酸化珪素被覆層の上部に析出させる方法。
〔化粧料〕
以下に、本発明に係る化粧料について具体的に説明する。
本発明による化粧料は、本発明に係る前記カラーフロップ粉体と、以下に述べる各種化粧料成分とを配合して得られるものである。
前記カラーフロップ粉体の配合量は、調製すべき化粧料の種類や配合すべき化粧料成分等によっても異なるが、前記化粧料に対し1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%の範囲にあることが望ましい。
ここで、前記配合量が1重量%未満では、顔などの被塗布体に対する外観上の効果が得られなくなる。すなわち、本発明に係る化粧料によれば、見る角度によって色彩が変わり、しかも赤色の色相を呈することから、自然で血色のよい色調で顔、頬、唇等の立体感を強調することができるが、前記配合量が1重量%未満では、このような効果は得られない。一方、前記配合量が50重量%を越えると、本来、化粧料に求められるその他の重要な機能、例えば、隠蔽性、光散乱性、透明性、感触、紫外線防御機能、化粧もち等を付与する各種化粧料成分を配合できる比率が低下し、トータルバランスの取れた商品設計が困難となることから好ましくない。
前記の各種化粧料成分としては、例えば、オリーブ油、ナタネ油、牛脂等の油脂類、ホホバ油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等のロウ類、パラフィン、スクワラン(合成スクワランおよび植物性スクワランを含む)、α−オレフィンオリゴマー、マイクロクリスタリンワックス、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、α−ヒドロキシ酸等の脂肪酸類、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類、アルキルグリセリルエーテル類、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、ラウリル酸セチル、オレイン酸デシル等のエステル類、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール類、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖、トレハロース等の糖類、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン油、各種変性シリコーン油、環状ジメチルシリコーン油等のシリコーン油、シリコーン系および/または他の有機化合物にて架橋させたシリコーンゲル、ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性の各種界面活性剤、パーフルオロポリエーテル等のフッ素油、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸、グアーガム、アルブミン、プルラン、カルボキシビニルポリマー、セルロースまたはその誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の各種高分子、アニオン、カチオン、ノニアオン系各種界面活性剤類、動植物抽出物、アミノ酸及びペプチド類、ビタミン類、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系、サリチル酸系、安息香酸エステル系、ウロカニン酸系、ベンゾフェノン系を始めとした紫外線防御剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、変性または未変性の粘土鉱物、酢酸ブチル、アセトン、トルエン等の溶剤、各種粒子径、粒子径分布および形状を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、マイカ、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム、パール光沢を有する雲母チタン、およびこれらの複合物、各種有機顔染料、水、香料などが挙げられる。
ここで、前記の酸化チタンや酸化亜鉛等の無機化合物は、その表面に予めシリコーン処理、フッ素処理、金属石鹸処理などを施したものを用いてもよい。
また、ポリアクリル酸メチル、ナイロン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタンなどの樹脂粒子を含んでいてもよい。
さらに、美白効果を有する有効成分として、アルブチン、コウジ酸、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、ジ−パルチミン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、その他のアスコルビン酸誘導体、プラセンタエキス、イオウ、油溶性甘草エキス、クワエキス等の植物抽出液、リノール酸、リノレイン酸、乳酸、トラネキサム酸などを含ませることができる。
また、肌荒れ改善効果を有する有効成分として、ビタミンC、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、カフェー誘導体、リグナン、サポニン、レチノイン酸及びレチノイン酸構造類縁体、N−アセチルグルコサミン、α−ヒドロキシ酸等の抗老化効果を有する有効成分、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類、混合異性化糖、トレハロース、プルラン等の糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン・キトサン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等の生体高分子類、アミノ酸、ベタイン、セラミド、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロールまたはその誘導体、ε−アミノ化プロン酸、グリチルリチン酸、各種ビタミン類などを含ませることができる。
さらに、本発明においては、医薬部外品原料規格2006(発行:株式会社薬事日報社、平成18年6月16日)や、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(発行:The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association、Eleventh Edition 2006)等に収載されている化粧料成分を特に制限なく使用することができる。
なお、本発明の化粧料は、従来公知の方法で製造することができる。このようにして製造された化粧料のうち、ベースメークアップ用化粧料としては、粉末状、ケーキ状、液状、クリーム状、ジェル状などの各種形態で使用されるものであって、さらに具体的に述べれば、例えばパウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、ムースファンデーション、粉白粉、化粧下地などが挙げられる。
また、ポイントメークアップ用化粧料としては、例えばアイシャドウ、ほほ紅、アイライナー、マスカラ、口紅、リップグロス等が挙げられる。また本発明のカラーフロップ粉体はローション、乳液、クリーム等を含むスキンケア化粧料、ネイルエナメル等の爪用化粧料等にも好適に使用することができる。
〔測定方法〕
次に、本発明の実施例その他で採用された測定方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)鱗片状基材およびカラーフロップ粉体の平均粒子径
前記鱗片状基材または前記カラーフロップ粉体の試料をレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA―300)にかけて、その平均粒子径を測定した。
(2)鱗片状基材およびカラーフロップ粉体の厚さ
前記鱗片状基材または前記カラーフロップ粉体の試料から選ばれた100個の粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S-5200N)を用いて写真撮影し、その厚さの平均値を測定した。
(3)酸化第二鉄微粒子の平均粒子径
前記酸化第二鉄微粒子の試料から選ばれた100個の粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−5200N)を用いて写真撮影し、その粒子径の平均値を測定した。ただし、本発明の実施例で使用された酸化第二鉄微粒子は、細長い形状を有しているため、その粒子の長径(L)と短径(D)の合計値を2で除した値を粒子径とした。
(4)カラーフロップ粉体の二酸化チタン被覆層の厚さ
前記カラーフロップ粉体の試料をエポキシ樹脂(BUEHLHER製EPO-KWICK)に均一混合して常温で硬化させた後、ミクロトーム(Reichert-Nissei製ULTRACUT N)を用いて超薄切片の試料を調製した。次に、これをFE−TEM(日立製作所製HF-2200)を用いて観察し、そのTEM−EDS分析から二酸化チタン層の厚さを測定した。
(5)カラーフロップ粉体の組成
前記カラーフロップ粉体の試料を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(セイコー電子製SPS-1200A)を用いて、酸化第二鉄、二酸化チタンおよび基材の組成を測定して、カラーフロップ粉体の組成から基材の組成を差し引いて各組成を求めた。
(6)カラーフロップ粉体の光学特性
前記カラーフロップ粉体3gをニトロセルロースラッカー(遠藤化学工業所製)12gによく分散させ塗料化し、バーコーターNo.18を用いて白色の隠蔽率試験紙に塗付し、室温で乾燥させた。この試験紙上に形成された塗膜(厚さは約6μm)を、D65/2の光源を持ち、煽り角を10°に設定した三次元変角分光光度計(村上色彩技術研究所製、GCMS−4)を用いて、入射角0゜の条件にて受光角10゜の正反射光と45゜の拡散反射光のL*、a*、b*の変化を測定し、上記の方法で求めた。
(7)カラーフロップ粉体の光沢性
前記カラーフロップ粉体3gをニトロセルロースラッカー(遠藤化学工業所製)12gによく分散させ塗料化し、バーコーターNo.18を用いて黒色の隠蔽率試験紙に塗付し、室温で乾燥させた。この試験紙上に形成された塗膜(厚さは約6μm)を、D65/2の光源を持ち、光束絞りを5.0、受光絞りを3.0、SENSITIVITY ADJ.を950、HIGHT VOLT.を425、煽り角を0°に設定した三次元変角光度計(村上色彩技術研究所製、GP−200)を用いて、入射角0゜の条件にて受光角5゜の正反射光の反射強度を測定した。
(8)カラーフロップ粉体の干渉性
前記カラーフロップ粉体を黒色の紙に貼った平滑性の高い透明両面テープの粘着面に付着させた試料を、D65/2の光源を持ち、煽り角を10°に設定した三次元変角分光光度計(村上色彩技術研究所製、GCMS−4)を用いて、入射角45゜、受光角45゜の条件にて、380nmから760nmの波長における反射率を測定し、有色の干渉光に由来する反射率のうねりの有無を確認した。

以下、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
酸化第二鉄微粒子の担持工程
平均粒子径21μm、厚さ0.2μmのマイカ((株)キララ製Y−3000M)100gを純水400ccに加えて十分に攪拌し懸濁液を調製した。
この懸濁液に、平均粒子径0.45μmのベンガラ微粒子(チタン工業(株)製TAROX R−516P)0.6gを加えて、十分に撹拌した後、凝集剤として、5重量%濃度の塩化カルシウム水溶液10gを添加して30分間撹拌して、ベンガラ微粒子が担持されたマイカの懸濁液(1)を得た。
二酸化チタンの被覆工程
前記懸濁液(1)500gを取り出して60℃の温度まで昇温し、これに35重量%濃度の塩化水素水溶液を添加してpH2.3の懸濁液を調製した。
この懸濁液に、TiO2換算基準で10重量%濃度に調整した四塩化チタン水溶液173.8gを、15重量%濃度のアンモニア水溶液を加えてpHを2.3に保持しながら、16時間かけて添加した。次いで、添加終了後そのまま1時間放置し、室温まで冷却した後、該懸濁液中に含まれる固形分を濾過、洗浄した。
次に、得られた固形分を110℃の温度で16時間乾燥して、マイカの表面に酸化第二鉄微粒子を担持させ、さらにその表面を二酸化チタンで被覆した被覆粉体(2)を得た。
焼成工程
前記被覆粉体(2)を、電気炉(ヤマト科学(株)製)中に入れて、800℃の温度で3時間焼成した。次いで、この焼成粉体をジューサーミキサー(日立製作所(株)製)にかけて凝集物を解砕して、本発明のカラーフロップ粉体である実施例粉体Aを得た。
このようにして得られた実施例粉体Aについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
さらに、前記実施例粉体Aを黒色紙に塗布して、正面から観察すると、シルバー色で有色の干渉色は確認されず、過度の光沢もなかった。また、側面から観察すると、黄色がかったピンク色を呈し、見る角度で色調が異なることが観察された。ここでいうピンク色とは、赤色のうち彩度が低いものを意味している。また黄色がかったピンク色とは、ピンク色の中でも色相角habが35°〜65°の範囲にあるものを意味している。
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、ベンガラ微粒子の使用量を6.3gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を181.6gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例粉体Bを得た。
このようにして得られた実施例粉体Bについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
さらに、前記実施例粉体Bを黒色紙に塗布して、正面から観察すると、シルバー色で有色の干渉色は確認されず、過度の光沢もなかった。また、側面から観察すると、黄色がかった赤色を呈し、見る角度で色調が異なることが観察された。ここでいう黄色がかった赤色とは、赤色の中でも、色相角habが35°〜65°の範囲にあるものをいう。
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、ベンガラ微粒子の使用量を13.3gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を191gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例粉体Cを得た。
このようにして得られた実施例粉体Cについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
さらに、前記実施例粉体Cを黒色紙に塗布して、正面から観察すると、シルバー色で有色の干渉色は確認されず、過度の光沢もなかった。また、側面から観察すると、黄色がかった鮮やかな赤色を呈し、見る角度で色調が異なることが観察された。ここでいう鮮やかな赤色とは、赤色の中でも比較的彩度の高いものを意味している。
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、ベンガラ微粒子の使用量を54.5gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を241.5gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例粉体Dを得た。
このようにして得られた実施例粉体Dについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
さらに、前記実施例粉体Dを黒色紙に塗布して、正面から観察すると、シルバー色で有色の干渉色は確認されず、過度の光沢もなかった。また、側面から観察すると、鮮やかな赤色を呈し、見る角度で色調が異なることが観察された。
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、平均粒子径9μm、厚さ0.2μmのマイカ((株)山口雲母工業所製Y−1800)を使用し、ベンガラ微粒子の使用量を6.3gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を181.6gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例粉体Eを得た。
このようにして得られた実施例粉体Eについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
さらに、前記実施例粉体Eを黒色紙に塗布して、正面から観察すると、シルバー色で有色の干渉色は確認されず、過度の光沢もなかった。また、側面から観察すると、黄色がかったピンク色を呈し、見る角度で色調が異なることが観察された。
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、平均粒子径30μm、厚さ0.3μmのマイカ((株)山口雲母工業所製FA−450)を使用し、ベンガラ微粒子の使用量を6.3gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を181.6gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例粉体Fを得た。
このようにして得られた実施例粉体Fについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
さらに、前記実施例粉体Fを黒色紙に塗布して、正面から観察すると、シルバー色で有色の干渉色は確認されず、過度の光沢もなかった。また、側面から観察すると、黄色がかったピンク色を呈し、見る角度で色調が異なることが観察された。
実施例1で得られた実施例粉体Aをメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学(株)製KF−9901)で表面処理したシリコーン処理粉体(シリコーン3重量%処理品)を用いて、表1に示す組成(重量%)からなるリキッドファンデーションを調製した。
Figure 0005311835
上記の配合成分において、前記(2)は、日光ケミカル(株)製のニコムルスWOを使用し、また前記(6)〜(9)は、触媒化成工業(株)製のSYMPHOLIGHTシリーズを使用した。
なお、前記リキッドファンデーションの調製は、以下のように行った。
(a)前記(1)〜(5)の成分を混合し、70℃の温度に加熱して十分に撹拌混合した。
(b)前記(6)〜(12)の成分をホモミキサーを用いて混合し、5000rpmの回転速度で15分間、撹拌して、これに含まれる固形分を分散させた。
(c)前記(a)で得られた混合物を、前記(b)のホモミキサーの中に入れて混合し、5000rpmの回転速度で3分間、撹拌して乳化させた。
(d)前記(c)で得られた乳化物を室温まで冷却し、次いで真空容器中に入れて脱泡した。
次に、得られたリキッドファンデーションを、実際に腕の皮膚に塗布してみたところ、正反射角周辺ではシルバーの色味が確認され、それ以外では血色の良い肌色が観察された。また、このリキッドファンデーションを実際に顔に塗布したところ、市販のファンデーションと比較して、鼻筋がスッキリと見え、且つ顔全体の立体感を強調する効果があることを確認された。
実施例1で得られた実施例粉体Aをメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学(株)製KF−9901)で表面処理したシリコーン処理粉体(シリコーン3重量%処理品)を用いて、表2に示す組成(重量%)からなるパウダーファンデーションを調製した。
Figure 0005311835
上記の配合成分において、前記(4)は、触媒化成工業(株)製シリカマイクロビードP−1500のシリコーン5%処理品を使用し、また前記(5)は、石原産業(株)製タイペークCR−50シリコーン2%処理品を使用し、(6)〜(8)は、チタン工業(株)製のTAROXシリーズのシリコーン2%処理品を使用した。
なお、前記パウダーファンデーションの調製は、以下のように行った。
(a)前記(1)〜(9)の成分を混合し、十分に撹拌混合した。
(b)前記(10)〜(13)の成分を十分に混合した後、前記(a)の混合物に加えて、均一になるまで撹拌混合した。
(c)前記(b)で得られた混合物12gを55mm×47mmの金皿に載せ、これを1.5kg/cm2の圧力でプレスしてケーキ状ファンデーションに成形した。
次に、得られたパウダーファンデーションを、実際に腕の皮膚に塗布してみたところ、正反射角周辺ではシルバーの色味が確認され、それ以外では皮膚の色に近く、血色が良く見える肌色が観察された。また、このパウダーファンデーションを実際に顔に塗布したところ、市販のファンデーションと比較して、鼻筋がスッキリと見え、且つ顔全体の立体感を強調する効果があることを確認された。
比較例1
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、ベンガラ微粒子の使用量を0.06gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を173.1gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って比較例粉体Aを得た。
このようにして得られた比較例粉体Aについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
その結果、彩度差△C* abが10以下、色差△E* abが18以下であり、カラーフロップ性が確認されなかった。
比較例2
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、ベンガラ微粒子の使用量を142.9gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を328.3gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って比較例粉体Bを得た。
このようにして得られた比較例粉体Bについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
その結果、色差△E* abが18以下であり、カラーフロップ性が殆ど確認されなかった。
比較例3
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、ベンガラ微粒子の使用量を5.4gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を20.9gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って比較例粉体Cを得た。
このようにして得られた比較例粉体Cについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
その結果、彩度差△C* abが10以下、色差△E* abが18以下であり、カラーフロップ性が確認されなかった。
比較例4
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、ベンガラ微粒子の使用量を9.1gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を700.5gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って比較例粉体Dを得た。
このようにして得られた比較例粉体Dについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
その結果、カラーフロップ性は確認されるものの、青味を帯びた干渉色も確認された。また、当該比較例粉体Dを用いて実施例7と同様にリキッドファンデーションを調製し、肌に塗布してみたところ、青味を帯びた光が血色の悪い印象を与えて不自然であった。
比較例5
実施例1に示す酸化第二鉄微粒子の担持工程において、平均粒子径45μm、厚さ0.5μmのマイカ((株)山口雲母工業所製SA−350)を使用し、ベンガラ微粒子の使用量を6.3gとし、さらに、二酸化チタンの被覆工程において、四塩化チタン水溶液の使用量を181.6gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って比較例粉体Eを得た。
このようにして得られた比較例粉体Eについて、上記の測定方法を用いて平均粒子径、粒子組成、光学特性(正反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、反射強度、および干渉性の有無、拡散反射光の明度L*、彩度C* ab、hab、彩度差△C* ab、および色差△E* ab等)および粉体のTiO2被覆層の厚さを測定した結果をそれぞれ表3、表4および表5に示す。
その結果、カラーフロップ性は確認されるものの、反射強度が検出限界の89を超えていることが確認された。また、当該比較例粉体Eを用いて実施例7と同様にリキッドファンデーションを調製し、肌に塗布してみたところ、極めて光沢が強く、不自然な仕上がりとなった。
Figure 0005311835
Figure 0005311835
Figure 0005311835

Claims (9)

  1. 平均粒子径1〜40μmおよび平均厚さ0.05〜1.0μmの大きさを有する鱗片状基材の表面に赤褐色の酸化第二鉄微粒子を担持させ、さらにその表面を無彩色の二酸化チタン層で被覆してなる赤色の色相を呈する非干渉性のカラーフロップ粉体であって、前記酸化第二鉄を0.2〜40重量%、前記二酸化チタンを5〜30重量%含むことを特徴とするカラーフロップ粉体。
  2. 前記鱗片状基材が、マイカ、合成マイカ、タルク、セリサイト、合成セリサイト、板状シリカ、板状酸化アルミニウム、および板状酸化チタンから選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフロップ粉体。
  3. 前記酸化第二鉄微粒子が、着色顔料として使用される赤褐色のベンガラ微粒子であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のカラーフロップ粉体。
  4. 前記酸化第二鉄微粒子が、平均粒子径0.17〜0.7μmの大きさを有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のカラーフロップ粉体。
  5. 前記二酸化チタンの被覆層が、40nm以下であり、しかも必要な光反射力を備えた厚さであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のカラーフロップ粉体。
  6. 日本工業規格番号JIS Z 8730 7.1 に規定される正反射角付近の反射光と拡散反射光のL * 、a * 、b * の差である色差△E abが18以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のカラーフロップ粉体。
  7. 前記カラーフロップ粉体が、正反射光域に干渉光による発色を呈さず、反射強度が10〜80の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のカラーフロップ粉体。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のカラーフロップ粉体を配合してなる化粧料。
  9. 前記化粧料が、ベースメークアップ用化粧料またはポイントメークアップ用化粧料であることを特徴とする請求項に記載の化粧料。
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