JP2008114935A - 紙送りローラ - Google Patents

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Abstract

【課題】高い摩擦係数および耐摩耗性を有すると共に、通紙枚数が多くなっても摩擦係数の低下が少なく、通紙時における鳴き現象の発生を大幅に低減でき、内層−外層間での物質移動も抑制して長期間にわたって優れた性能を維持できる簡便な構造の紙送りローラを提供する。
【解決手段】本発明は内層と外層との2層のゴム層からなり、内層の外周面と外層の内周面とは空隙なく密着し、前記内層はゴム成分としてシリコーンゴムを含み、外層はゴム成分としてEPDMゴムまたは/およびウレタンゴムを含み、前記内層の硬度はJIS−A硬度で10度以下、外層の硬度は25度以上60度以下であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、自動預金支払機(ATM)等における紙送り機構に用いられる紙送りローラに関し、詳しくは、芯体の外周面に装着される環状弾性体(ゴムロール)を内層、外層からなる2層構造として、摩擦係数の低下や鳴き現象の発生を抑制するものである。
静電式複写機、各種プリンタ、普通紙ファクシミリ装置、自動預金支払機(ATM)等の紙送り機構には各種の紙送りローラが用いられている。該紙送りローラとは、紙(紙以外の薄葉体状物を含む。以下同様。)と接触して回転およびロール表面の摩擦によって紙を移送するローラであって、給紙ローラ、レジストローラ、搬送ローラ、転写ローラ等を指すものである。
前記紙送りローラのゴムロールの材料には、従来、天然ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDMゴム)、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム等が使用されている。
この種の紙送りローラとして用いるゴムロールは、従来、非発泡層からなる1層構造のものが多いが、1層構造の場合、通紙枚数が多くなると摩擦係数が低下しやすい。摩擦係数が低下すると紙を送る能力が低減するため、搬送不良が生じたり、紙がロール表面を滑ることによる鳴き現象が発生したりする。そこで、近年は、2層構造もしくは3層構造とすることにより、耐摩耗性の向上や摩擦係数の低減の抑制を図ることが提案されている。
例えば、特開2001−341862号公報(特許文献1)には、発泡層の内層と非発泡層の外層とからなる2層構造の給紙ローラや、非発泡層の最内層と発泡層の内層と非発泡層の外層とからなる3層構造の給紙ローラが開示されている。
前記特許文献1では、十分なニップ量を得る観点から、発泡層のASKA−C硬度が50度以下、非発泡層のJIS−A硬度が60度以下に制御されていることが好ましいとされている。なお、3層構造の給紙ローラにおける最内層は、ゴムロールの芯体への固定を強固にするためのものである。
また、特開2002−347972号公報(特許文献2)には一定範囲にJIS−A硬度を制御した上層と下層とからなる2層構造のゴムロールが開示されている。ここでは、上層の耐摩耗性の向上と搬送不良および鳴き現象の低減とを両立させる観点から、上層のJIS−A硬度が35度〜50度、下層のJIS−A硬度が25度以下に制御されている。
前記特許文献1、2のように、外層のゴム硬度を高く、内層のゴム硬度を低くする場合、外層の耐摩耗性の向上や搬送不良および鳴き現象の低減に対しては一定の効果が得られるが、内層−外層間における物質移動やブリードが生じないような配慮がなされておらず、その効果が十分ではないという問題がある。
そこで、本出願人は、前記問題を解決すべく、一定範囲にJIS−A硬度を制御した非発泡の内層および外層の間に非発泡の中間層が挟まれている3層構造のゴムロールを開発した(特開2006−111401号公報(特許文献3))。
このように内層と外層との間に中間層を設けることにより、内層−外層間における物質移動やブリードを阻止することができる。
特開2001−341862号公報 特開2002−347972号公報 特開2006−111401号公報
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、高い摩擦係数および耐摩耗性を有すると共に、通紙枚数が多くなっても摩擦係数の低下が少なく、通紙時における鳴き現象の発生を大幅に低減することができると共に、内層−外層間での物質移動も抑制して長期間にわたって優れた性能を維持できる、より簡便な構造の紙送りローラを提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、
内層と外層との2層のゴム層を備え、内層の外周面と外層の内周面とは空隙なく密着しており、
前記内層はゴム成分としてシリコーンゴムを含み、該内層の硬度はJIS−A硬度で10度以下、とされる一方、
前記外層はゴム成分としてEPDMゴムまたは/およびウレタンゴムを含み、該外層の硬度は25度以上60度以下とされていることを特徴とする紙送りローラを提供している。
特許文献1〜3の実施例では内層のゴム成分としてEPDMゴムを用いているが、EPDMゴムを用いてJIS−A硬度を10度以下にすることは可能である。しかし、JIS−A硬度を10度以下まで低減させるためには多量の軟化剤の添加が必要となるため、外層への軟化剤の移行やブリードが発生する。このような内層−外層間における物質移動やブリードに対し特許文献1および2のように何ら対策を講じないと、外層の耐摩耗性の向上や搬送不良および鳴き現象の低減という発明の効果が減弱される。そこで、特許文献3に記載の発明においては内層−外層間における物質移動やブリードをなくすために内層と外層との間に中間層を設ける必要があった。
これに対し、本発明においては発想の転換を図り、軟化剤の移行やブリードを遮断するのではなく、内層に含有される軟化剤の量を減ずることにより軟化剤の移行やブリードを発生しにくくすることを検討した。その結果、内層のゴム成分をシリコーンゴムとすることにより、軟化剤を多量に添加しなくてもJIS−A硬度を10度以下とすることができることを知見した。これにより、特許文献3に記載の発明においては必須であった中間層を設ける必要がなく、より簡便な構造の紙送りロールが提供できる利点がある。
本発明においては、紙送りローラを内層と外層の2層のゴム層から構成し内層の外周面と外層の内周面とを空隙なく密着させることにより、内層と外層を積層させた状態でのローラの硬度を全体にわたってバラツキなく所定の硬度とすることができる。その結果、ローラの偏磨耗を防止できると共にローラの外径フレの発生を抑制することができる。
特に本発明の紙送りローラにおいては外層が内層の外周面に接着剤を介さずに嵌装して一体化されていることが好ましい。このように接着剤を用いない構造とすることにより、外層が外気や紙との直接接触で劣化して寿命に達した際、外層のみを交換することができる。
前記内層の硬度はJIS−A硬度で5度以上、前記外層の硬度はJIS−A硬度で60度以下とされることが好ましい。
本発明においては、内層のJIS−A硬度を10度以下と低く設定することで、ローラと紙との接触面積を十分に確保することができ、ローラの摩擦係数の低下を抑制することができると共に鳴き現象の発生を低減することができる。前記内層のJIS−A硬度が10度より高くなると、長期間にわたり紙送りローラと紙との接触面積を十分に確保することが困難になり、摩擦係数の低下を抑制することが困難になる。
なお、内層のJIS−A硬度の下限は限定されず、硬度はあるが低すぎて硬度計では針が動かず「0」を指している状態も含まれるが、5度以上が好ましい。
一方、外層のJIS−A硬度を25度以上60度以下と高く設定することで、耐摩耗性と摩擦係数とのバランスを図ることができる。外層のJIS−A硬度が25度より小さい場合にはローラの耐摩耗性が低下し、60度より大きい場合には摩擦係数が低下してローラとしての性能が十分に出せない場合がある。
前記外層のJIS−A硬度と前記内層のJIS−A硬度との差は、紙送りローラの摩擦係数の低下と鳴き現象の発生とを十分に抑制する観点から15度〜55度であることが望ましい。硬度の差が15度未満であると鳴きを抑制する効果が得られず、55度を超えると外層ゴムの硬度が高くなって摩擦係数が低くなる。前記硬度差は特に好ましくは20度〜50度である。
前記のように、本発明の内層のゴム成分をシリコーンゴムとしている。
前記シリコーンゴムとしては自体公知の種々のシリコーンゴムを用いることができるが、ゴム材料と同様に取り扱うことができるミラブル型シリコーンゴムが好適に使用される。このミラブル型シリコーンゴムは、直鎖状で高重合度(6000〜10000)のポリオルガノシロキサン(シリコーンガム)を主原料とし、それにシリカ系の補強充填剤、増量用充填剤、分散促進剤等を配合したゴムコンパウンドとして供給されている。上記シリコーンガムとしては、メチルビニルシリコーン[(CH=CH)(CH)SiO]が最も一般的に用いられるが、その他ゴムの物性を改良するために例えば(CHSiO、(CFCHCHSiO、(CSiO等の重合単位が直鎖中に導入されたポリオルガキサンも使用される。
前記シリコーンゴムとしては、内層の硬度を10度以下にするために高伸び・低応力のシリコーンゴムが好ましい。
具体的には、50%伸び時の引張応力が0.2MPa以下、もしくは100%伸び時の引張応力が0.5MPa以下であることが好ましい。また、伸びが600%以上であることが好ましい。
なお、引張応力や伸びはJIS K6249に従って測定することができる。
内層に含まれるゴム成分としてはシリコーンゴムのみであることが好ましいが、必要に応じてシリコーンゴム以外の他のゴム成分を配合することもできる。内層の全ゴム成分に占める前記「他のゴム」の比率は10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とするのがより好ましい。前記「他のゴム成分」としては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム、スチレンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)等から選択される1種または複数種のゴム成分を好適に用いることができる。
内層には必要に応じ軟化剤、充填剤、補強剤、着色剤または劣化防止剤等の添加剤が適宜配合されてもよい。例えば、軟化剤または充填剤の種類や配合量を選択することにより内層の硬度を調整することができる。
軟化剤を配合する場合は、ゴム成分100質量部に対して0質量部以上100質量部未満の割合で含むことが好ましい。軟化剤がゴム成分100質量部に対して100質量部を越えて含まれていると、外層への移行やブリードのおそれがあり、外層の耐摩耗性の向上や搬送不良および鳴き現象の低減という発明の効果が減弱される可能性があるからである。
本発明の外層のゴム成分は内層のゴム成分とは相違するEPDMゴムあるいはウレタンゴムからなる。
EPDMゴムは主鎖の大半が飽和炭化水素からなり主鎖に二重結合をあまり含まないので、高濃度オゾン雰囲気、光線照射等の環境下に長時間曝されても分子主鎖切断が起こりにくく、耐オゾン性に優れた紙送りローラを得ることができる。
ウレタンゴムも同様に耐オゾン性に優れ、力学的特性にも優れているため耐摩耗性を向上させる上でも有効である。
前記ウレタンゴムはポリオールとイソシアネートを反応させて作られるゴムであり、ポリオールとしてポリエーテルポリオールを用いるエーテル系と、ポリエステルポリオールを用いるエステル系に大別される。本発明においてはいずれのタイプを用いてもよいが、エステル系ウレタンゴムを用いることが好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリプロピレングリコール(PPG)系ポリオールまたはこれのエチレンオキサイド変性物もしくはアミン変性物、さらにはポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えばアジピン酸、イソフタル酸もしくはテレフタル酸等のジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンもしくはネオペンチルグリコール等のポリオールとの縮合反応生成物や、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
上記イソシアネートとしては、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)もしくはリジンイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネートもしくは水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環状系ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、p−フェニレンジイソシアネートもしくは1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族系ジイソシアネート等が挙げられる。
また、ウレタンゴムを加工面から分類すれば、注入成形タイプ、ミラブルタイプ、熱可塑性タイプ等が挙げられる。本発明においてはいずれのタイプを用いてもよいが、ミラブルタイプを用いることが好ましい。ミラブルタイプは、通常のゴムと同様に、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等による練りが可能で、硫黄や有機過酸化物等の架橋剤を用いて架橋することにより、イソシアネート架橋の場合と同様の耐摩耗性、耐圧縮永久歪み性に優れた架橋化合物を与えることができるものである。
外層にはゴム成分としてEPDMゴムあるいはウレタンゴムのみを含むことが好ましいが、必要に応じてEPDMゴムあるいはウレタンゴム以外の他のゴムを含んでいてもよい。前記「他のゴム」としては、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴムまたはクロロスルフォン化ポリエチレン等が挙げられる。外層の全ゴム成分に占める前記「他のゴム」の比率は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
外層には必要に応じ軟化剤、充填剤、補強剤、着色剤または劣化防止剤等の添加剤が適宜配合されてもよい。例えば、軟化剤または充填剤の種類や配合量を選択することにより外層の硬度を調整することができる。
以上のような構成を有する本発明の紙送りローラは、高い摩擦係数および耐摩耗性を有するとともに通紙枚数が多くなっても摩擦係数の低下が少ないことが特徴である。
その指標として、外層の外周面の初期摩擦係数は1.5以上であることが好ましい。なかでも、前記初期摩擦係数は1.7以上3.5以下であることがより好ましい。また、下記実施例に記載の方法で行う通紙試験後の摩擦係数が1.5以上であることが好ましい。なかでも、前記通紙後摩擦係数は1.6以上3.0以下であることがより好ましい。さらに、初期摩擦係数に対する通紙後摩擦係数の比率は0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。
本発明によれば、紙送りローラを内層と外層の2層のゴム層から構成し、内層の外周面と外層の内周面とを空隙なく密着させることにより、内層と外層を積層させたローラの硬度を全体にわたってバラツキなく所定の硬度とすることができ耐磨耗性を維持することができる。
本発明の紙ローラにおいては、内層のJIS−A硬度を10度以下に設定することによりローラと紙との接触面積を十分に確保できるため、ローラの摩擦係数の低下を抑制することができると共に鳴き現象の発生を低減することが可能となり、外層のJIS−A硬度を25〜60度に設定することにより耐摩耗性と摩擦係数のバランスをとることができる。
内層のゴム成分をシリコーンゴムとすることにより軟化剤の配合量が少なくても低硬度を実現できるため、外層との間にバリア層を設けなくても外層への軟化剤をはじめとする物質移行やブリードを抑制でき、より簡便な構造で、かつ長期にわたって優れた性能を維持できる紙送りローラを提供することができる。
また、外層のゴム成分がEPDMゴムあるいはウレタンゴムからなるため、耐磨耗性や耐オゾン性に優れた紙送りローラを得ることができる。
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明にかかる紙送りローラ10を芯体11と共に示した概略斜視図である。芯体11が紙送りローラ10の中空部に圧入されることにより、紙送りローラ10が芯体11に固定されている。
紙送りローラ10の肉厚は特に限定されないが、例えば1mm以上20mm以下である。また、紙送りローラ10の長さは特に限定されないが、例えば3mm以上200mm以下である。
図2の断面模式図は、図1の紙送りローラ10を給紙ローラとして用いた給紙機構の一例を示している。この給紙機構は、紙送りローラ10、分離パッド12およびトレイ13を備えている。分離パッド12とトレイ13とは一定間隔を介して設置され、分離パッド12の上面とトレイ13とは仰角を成している。分離パッド12は基板14に固定されており、分離パッド12と紙送りローラ10とは、互いに対向している。
紙送りローラ10が図中の矢印Rで示される方向に回転することにより、該ローラ表面と接触しているトレイ13上の紙15が、1枚ずつ送り出される。
紙送りローラ10は、図3の断面図に示すように、内層のゴム層16と外層のゴム層17の2層から構成され、内層のゴム層16の外周面と外層のゴム層17の内周面とは空隙なく密着している。当該構造は、外層17が内層16の外周面に接着剤を介さずに嵌装して一体化されることにより形成されている。
内層のゴム層16は架橋されて円筒状に成形され、そのJIS−A硬度が10度以下、好ましくは5度以上10度以下に調整されている。
内層16の厚さは特に限定されないが、例えば2mm以上10mm以下である。内層16の厚さが小さすぎると鳴きを抑制する効果が低下しやすくなる。一方、内層16の厚さが大きすぎると偏磨耗しやすくなる。
外層のゴム層17は架橋されて円筒状に成形され、そのJIS−A硬度が25度以上60度以下に調整されている。また、外層17のJIS−A硬度と内層16のJIS−A硬度との差は、ローラの摩擦係数の低下と鳴き現象の発生を十分に抑制する観点から15度〜55度、好ましくは20度〜55度となるようにしている。
外層のゴム層17の厚さは特に限定されないが、例えば1mm以上8mm以下である。外層17の厚さが小さすぎるとローラの寿命が短くなる一方、外層17の厚さが大きすぎると内層を柔らかくする効果がなくなる恐れがある。
内層のゴム層16はゴム成分としてシリコーンゴムを単独で含む。
前記シリコーンゴムとしてはミラブル型シリコーンゴムを用い、なかでも内層の硬度を10度以下にするために高伸び・低応力のシリコーンゴムを用いることが好ましい。具体的には、100%伸び時の引張応力が0.1〜0.5MPaであることが好ましく、伸びが700%以上であることが好ましい。
外層のゴム層17はゴム成分としてEPDMゴムを含む。
EPDMゴムにはゴム成分のみからなる非油展タイプのEPDMゴムとEPDMのゴム成分と共に伸展油を含む油展タイプのEPDMゴムとが存在するが、いずれのタイプのものでも使用可能である。
内層のゴム層16および外層のゴム層17に含まれる上記ゴム成分は架橋されている。架橋形態は特に限定されず、硫黄架橋、金属塩架橋、パーオキサイド架橋、樹脂架橋、電子線架橋等を適用することができる。
前記架橋を形成させるための架橋剤としては、硫黄、硫黄化合物、金属酸化物、有機過酸化物、無機化酸化物、樹脂架橋剤等を用いることができる。架橋剤の種類はゴムの種類等に応じて適宜選択することができる。なかでも、内層16を構成するシリコーンゴムについては有機過酸化物を用いたパーオキサイド架橋が形成されることが好ましく、外層17を構成するEPDMゴムまたはウレタンゴムについては、硫黄または硫黄化合物を用いた硫黄架橋(加硫)か、有機過酸化物を用いたパーオキサイド架橋が形成されることが好ましい。使用条件によっては、硫黄架橋またはパーオキサイド架橋でローラ表面にブルームが発生する場合があり、その際には樹脂架橋剤を用いた樹脂架橋を形成させてもよい。
硫黄化合物としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)もしくはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウラム系化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(ZnMBT)、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩(NaMBT)、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩(CMBT)もしくは2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール(DPBT)等のチアゾール系化合物;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(BBS)、N−オキシチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DPBS)もしくはN,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸塩、ジエチルジチオカルバミン酸塩、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸塩、ペンタメチレンジチオカルバミン酸塩もしくはエチルフェニルジチオカルバミン酸塩等のジチオカルバミン酸金属塩系化合物等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド(DCP)、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを用いることが好ましい。
無機化過酸化物としては、例えば過酸化水素等を挙げることができる。
樹脂架橋剤としては、例えばフェノール樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、フェノール樹脂を用いることが好ましく、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂またはそのハロゲン化物を用いることがより好ましい。
上記架橋剤の配合量は架橋剤の種類またはゴム成分の種類等に応じて適宜選択することができる。
架橋剤として硫黄または/および硫黄化合物を用いる場合、その配合量はゴム成分100質量部に対して好ましくは0.2〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部である。 架橋剤として有機過酸化物を用いる場合、その配合量はゴム成分100質量部に対し0.2〜3.0質量部であることが好ましい。
架橋剤として樹脂架橋剤を用いる場合、その配合量はゴム成分100質量部に対し2〜20質量部であることが好ましい。
上記架橋剤とともに加硫促進剤、加硫促進助剤、共架橋剤または架橋活性剤等を用いてもよい。
加硫促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)もしくはリサージ(PbO)等の無機促進剤や以下に記す有機促進剤を用いることができる。有機促進剤としては、2−メルカプト・ベンゾチアゾールもしくはジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドもしくはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系;テトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレアもしくはエチレンチオウレア等のチオウレア系等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.5〜5質量部が好ましい。
加硫促進助剤としては、酸化亜鉛(亜鉛華)等の金属酸化物;ステアリン酸、オレイン酸もしくは綿実脂肪酸等の脂肪酸;その他従来公知の加硫促進助剤が挙げられる。加硫促進剤の添加量は、ゴム成分100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましく、2〜8質量部がより好ましい。
なお、架橋剤として硫黄または/および硫黄化合物を用いる場合に加硫促進剤または/および加硫促進助剤を配合することが好ましい。
共架橋剤とはそれ自身も架橋するとともにゴム分子とも反応して架橋し全体を高分子化する働きをするものである。とくに架橋剤として有機過酸化物を用いる場合には、この共架橋剤を用いて共架橋することにより架橋分子の分子量が増大し、耐摩耗性を向上させることができる。
上記共架橋剤としては、例えば多官能性モノマー、メタクリル酸あるいはアクリル酸の金属塩、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、複素環ビニル化合物、アリル化合物、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマー類、ジオキシム類等が挙げられる。
有機過酸化物とともに共架橋剤を配合する場合、当該共架橋剤の配合量は共架橋剤の種類または用いる他の成分との関係で適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して好ましくは5〜20質量部、より好ましくは10〜15質量部である。
架橋活性剤としては金属酸化物が使用され、特に酸化亜鉛、炭酸亜鉛が好ましい。架橋活性剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、さらには1〜5質量部であることがより好ましい。
なお、架橋剤として樹脂架橋剤を用いる場合に架橋活性剤を配合することが好ましい。
内層16および外層17には、上記ゴム成分およびゴム成分を架橋させるための架橋剤以外にも、必要に応じ軟化剤、充填剤、補強剤、着色剤または劣化防止剤等の添加剤が適宜配合されてもよい。
前記軟化剤としてはオイルまたは可塑剤等が用いられる。軟化剤の添加により内層および外層の硬度を調整することが可能である。オイルとしては、例えばパラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油、炭化水素系オリゴマーからなる合成油、プロセスオイル等を用いることができる。ここで、合成油としては、例えばα−オレフィンのオリゴマー、ブテンのオリゴマー、エチレンとα−オレフィンとの非晶質オリゴマー等が好ましい。また、可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルセパケート(DOS)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジ−(ブトキシ・エトキシ・エチル)アジペート等を用いることができ、なかでもジ−(ブトキシ・エトキシ・エチル)アジペートが好ましい。
内層16における軟化剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0〜30質量部であることが好ましく、0〜15質量部であることがより好ましく、全く配合しないことが更に好ましい。軟化剤の配合量が少ないほど外層への移行やブリードのおそれが少なくなり、ひいては外層の耐摩耗性の向上や搬送不良および鳴き現象の低減という発明の効果が十分に発揮されるからである。
外層16における軟化剤の配合量は、硬度を所望の値に調整でき、かつ軟化剤がブリードして他の部材を汚染することがない量からゴム成分の種類等に応じて適宜選択することができるが、具体的にはゴム成分100質量部に対して20〜300質量部であることが好ましい。
前記充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム等の鉱物質の無機充填剤の他、セラミック粉、木粉等を挙げることができる。このような充填剤の添加により、本発明の紙送りローラの機械的強度を向上させることができる。なお、本発明においては、外層を構成するゴム組成物に鉱物質の無機充填剤を添加することが好ましい。
充填剤は内層16または外層17を構成する組成物全質量の25質量%以下で配合するのが好ましく、20質量%以下で配合するのがより好ましい。これは充填剤の配合は本発明の紙送りローラの引張強度および引裂強度等の改善には有効であるものの、あまり多く配合すると柔軟性が低下してローラの摩擦係数が低下する傾向を示すためである。
前記補強剤としては、カーボンブラック等が用いられる。カーボンブラックの添加により、本発明の紙送りローラの耐摩耗性を向上させることが可能である。カーボンブラックとしては、例えばHAF、MAF、FEF、GPF、SRF、SAF、MT、FT等のカーボンブラックを用いることができる。
カーボンブラックの粒径は、ゴム組成物への分散性の観点から10μm以上100μm以下であることが好ましい。
本発明においては、ゴム強度を上げる観点から、特に外層を構成するゴム組成物にはカーボンブラックを添加することが好ましい。
内層16を構成するゴム組成物の好ましい配合例として、シリコーンゴム100質量部に対して0.2〜1質量部の有機過酸化物とを配合したものを挙げることができる。
外層17を構成するゴム組成物の好ましい配合例として、EPDMゴム100質量部に対し、1〜60質量部の鉱物質の無機充填剤と、0〜140質量部のパラフィンオイルと、0〜5質量部の補強剤とを配合したものを挙げることができる。
また、好ましい他の配合例として、ウレタンゴム100質量部に対し、1〜30質量部の鉱物質の無機充填剤と、50質量部以下の軟化剤、特にジ−(ブトキシ・エトキシ・エチル)アジペートと、0〜5質量部の補強剤とを配合したものを挙げることができる。
鉱物質の充填剤としては、酸化珪素、炭酸カルシウム、酸化チタン等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
架橋剤としては、いずれの態様においてもゴム成分100質量部に対して0.5〜2質量部の粉末硫黄を用い、これと共に1〜5質量部のジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系または/およびテトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系の加硫促進剤と、4〜8質量部の酸化亜鉛(亜鉛華)等の金属酸化物または/およびステアリン酸等の脂肪酸などの加硫促進助剤を用いることが好ましい。
本発明の紙送りローラは公知の方法で製造することができる。
架橋ゴム組成物のローラ状の成形品を得る場合、まず上記各原料を混練するが、この混練物の架橋は混練物の成形前または成形後に行っても、また作業時間を短縮するために混練物の成形と同時に行ってもよい。混練物の成形と同時に架橋を行いローラ状のゴム層を作製する場合、型部を所望のチューブ形状にした金型を加熱し、該加熱した金型内に上記混練物を充填し、圧縮成形(プレス加硫)することにより得られる。
内層および外層の各層を構成するゴム組成物の調整は、従来から行われている通常の方法で行えばよい。例えば、ゴム成分、架橋剤、その他の添加剤からなる配合物を、オープンロール、バンバリーミキサーまたはニーダー等の公知のゴム混練装置を用いて混練りすることにより、ゴム組成物を得ることができる。混練り中の配合物の温度は例えば70℃〜100℃であり、混練り時間は例えば3分〜10分である。
ゴム組成物の加硫・成形方法としては、押し出し成形、トランスファ成形等を挙げることができる。例えば、未加硫のゴム組成物を、所定のトランスファ成形用金型に導入し、例えば150℃〜200℃の温度で5分〜30分程度の加熱を行うことにより、ゴム組成物の加硫とチューブ状への成形を同時に行うことができる。その後、成形されたゴムチューブを円筒研磨盤で所望の外径になるまで研磨し、所望の長さにカットすることにより、内層のゴム層16や外層のゴム層17を得ることができる。
このように別個に夫々のゴム層を成形し、外層側のゴム層の中空部に内層のゴム層を内部に圧入し、あるいは、内層のゴム層に外層のゴム層を外挿して密着させることにより得ることができる。この際、外層が内層の外周面に接着剤を介さずに嵌装して一体化されている。この場合、外層17の内径φaは内層16の外径φbより僅かに小さくすることが望ましい。具体的には、内径φa/外径φbの比は0.80〜0.95に設定することが望ましい。
以下、本発明の紙送りローラの実施例1〜4および比較例1〜3について詳述する。
まず、表1に示す配合A〜Hに従ってゴム組成物を調整した。表1中、成分量を示す数値の単位は質量部である。
Figure 2008114935
表1中に記載の各成分は以下の通りである。
・シリコーンゴムA:ジーイー東芝シリコーン(株)製「XE20−C0510(商品名)」
・シリコーンゴムB:ジーイー東芝シリコーン(株)製「TSE2913u(商品名)」
・EPDMゴムA:住友化学工業(株)製「エスプレン670F(商品名)」(EPDMゴム50質量%および伸展油50質量%からなる油展ゴム)
・EPDMゴムB:住友化学工業(株)製「エスプレン505A(商品名)」
・酸化珪素:日本シリカ工業(株)製「ニプシール VN3(商品名)」
・炭酸カルシウム:備北粉化工業(株)製「BF300(商品名)」
・酸化チタン:チタン工業(株)製「クロノス 酸化チタン KR380(商品名)」
・カーボンブラック;東海カーボン(株)製「シースト SO(商品名)」
・パラフィンオイル:出光興産(株)製「PW−380(商品名)」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛2種(商品名)」
・ステアリン酸:日本油脂(株)製「つばき(商品名)」
・粉末硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
・加硫促進剤A:ジベンゾチアジルスルフィド(大内新興化学工業(株)製「ノクセラー DM(商品名)」)
・加硫促進剤B:テトラエチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業(株)製の「ノクセラー TET(商品名)」)
・過酸化物:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(ジーイー東芝シリコーン(株)製「TC−8(商品名)」)
Figure 2008114935
(比較例1)
ここでは、以下の要領でソリッド(1層)構造のゴムロールを作製した。
まず、配合Eのゴム組成物を所定の金型に導入し、170℃で20分間のプレス加硫を行い、内径φ9mm、外径φ21mm、長さ38mmのコットを作製した。このコットを円筒研磨盤で外径φ20mmになるまで研磨し、長さ10mmにカットした。カットで得られたゴムロールを紙送りローラとして専用の芯体に填め込んだ。
(実施例1〜3および比較例2〜3)
(i)内層の作製
表1,2に示す所定配合のゴム組成物を所定の金型に導入し、160℃で30分間のプレス加硫を行い、内径φ9mm、外径φ15mm、長さ60mmのコットを作製した。このコットを長さ10mmにカットし、内層のゴム層とした。
(ii)外層の作製
表1,2に示す所定配合のゴム組成物を所定の金型に導入し、160℃で20分間のプレス加硫を行い、内径φ14mm、外径φ21mm、長さ60mmのコットを作製した。このコットを円筒研磨盤で外径φ20mmになるまで研磨し、長さ10mmにカットして、外層のゴム層を作製した。
(iii)2層構造の紙送りローラの作製
内層のゴム層の中空部に専用の芯体を填め込み、さらに接着剤を用いずに外層のゴム層を内層のゴム層の外周面に嵌着して、紙送りローラを作製した。
表2に示した紙送りローラの評価は下記のように行った。
(内層および外層の硬度)
JIS K6253の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」の記載に従い、試験機デュロメータタイプAにてJIS−A硬度を測定した。この硬度は国際規格表示である従来のショアAと同じである。内層および外層のJIS−A硬度、内層と外層とのJIS−A硬度差を表2に示す。
(初期摩擦係数)
図4に模式的に示す方法により摩擦係数を測定した。
まず、紙送りローラ10と固定されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の板18との間に、ロードセル19に一端を接続した60mm×210mmサイズのP紙20(富士ゼロックス(株)製)の他端を挟持した。次いで、250gfの鉛直加重Wを紙送りローラ10から板18に向けて印加した。
次に、温度23℃、湿度55%の条件下で、紙送りローラ10を図4中の矢印Rで示す方向に周速300mm/秒で回転させた。そして、このときロードセル19に印加される搬送力Fを測定した。摩擦係数μは、測定された搬送力F(gf)および荷重W(W=250gf)から下記の数式1を用いて求めた。
<数式1> μ=F(gf)/250(gf)
なお、紙送りローラが所望の機能を果たすためには、初期摩擦係数が少なくとも1.5以上が必要であると考えられる。
(通紙評価)
富士ゼロックス(株)製の複写機「VIVACE455(商品名)」に紙送りローラを装着し、P紙(富士ゼロックス(株)製)5万枚を通紙し、通紙状況を観察した。
通紙状況は、○:良好、×:不送り並びに重送有り、の2段階で判断した。
(通紙後摩擦係数)
前記の通紙評価を行った後、複写機から紙送りローラを脱着し、初期摩擦係数の場合と同様の方法で、通紙後の紙送りローラの摩擦係数を測定した。
なお、紙送りローラが十分な耐久性を有すると認めるためには、通紙後摩擦係数として、少なくとも1.2以上が必要であると考えられる。
(鳴き評価)
富士ゼロックス(株)製の複写機「VIVACE455(商品名)」に紙送りローラを装着し、P紙(富士ゼロックス(株)製)1000枚を通紙し、鳴きの有無を確認した。
1000枚通紙する間に、鳴きが発生した場合は「有り」と、鳴きが発生しなかった場合は「無し」と評価した。
1層構造の比較例1の紙送りローラの場合、通紙評価は良好であったが、鳴きの発生が見られた。また、初期摩擦係数に対する通紙後摩擦係数の比率はおよそ0.79であり、摩擦係数の低下が比較的大きかった。
2層構造の比較例2の紙送りローラの場合、通紙評価は良好であったが、内層のJIS−A硬度が15度と高すぎたため、鳴きの発生が見られた。また、初期摩擦係数に対する通紙後摩擦係数の比率はおよそ0.75であり、摩擦係数の低下が比較的大きかった。
また、2層構造の比較例3の紙送りローラの場合、鳴きの発生は見られなかったが、外層のJIS−A硬度が20度と低すぎたため、通紙評価では外層の磨耗が激しく、実用レベルに達していなかった。また、通紙後の摩擦係数は測定不能であった。
一方、実施例1〜3の紙送りローラの場合、いずれも内層のJIS−A硬度が10度以下で外層のJIS−A硬度が25度以上60度以下であったため、鳴きの発生が見られず、通紙評価も良好であった。さらに、初期摩擦係数に対する通紙後摩擦係数の比率はいずれもほぼ0.94以上であり、摩擦係数の低下はほとんど見られなかった。
本実施形態の紙送りローラの概略斜視図である。 本実施形態の紙送りローラを用いた給紙機構の一例を示す断面模式図である。 本実施形態の紙送りローラの断面図である。 紙送りローラの摩擦係数を測定する方法を模式的に示す図である。
符号の説明
10 紙送りローラ
11 芯体
12 分離パッド
13 トレイ
14 基板
15 紙
16 外層のゴム層
17 内層のゴム層
18 PTFE製の板
19 ロードセル
20 P紙

Claims (5)

  1. 内層と外層との2層のゴム層を備え、内層の外周面と外層の内周面とは空隙なく密着しており、
    前記内層はゴム成分としてシリコーンゴムを含み、該内層の硬度はJIS−A硬度で10度以下、とされる一方、
    前記外層はゴム成分としてEPDMゴムまたは/およびウレタンゴムを含み、該外層の硬度は25度以上60度以下とされていることを特徴とする紙送りローラ。
  2. 前記内層の硬度はJIS−A硬度で5度以上、前記外層の硬度はJIS−A硬度で60度以下とされ、
    前記外層のJIS−A硬度と前記内層のJIS−A硬度との差が、15度〜55度とされている請求項1に記載の紙送りローラ。
  3. 前記外層が前記内層の外周面に、接着剤を介さずに外嵌されて一体化されている請求項1または請求項2に記載の紙送りローラ。
  4. 前記外層の外周面の初期摩擦係数が1.5以上とされている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の紙送りローラ。
  5. 前記内層に、軟化剤がゴム成分100質量部に対して0質量部以上100質量部以下の割合で配合されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の紙送りローラ。
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