JP5059836B2 - 紙送りローラ - Google Patents
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Description
しかし前記紙送りローラの外周面には紙から発生する紙粉が付着しやすく、紙と繰り返し接触するうちに前記外周面に紙粉が蓄積されることで紙に対する紙送りローラの摩擦係数が低下して、比較的早期に紙の搬送不良を生じる場合がある。
紙送りローラの耐久性、耐熱老化性等を向上するため、前記紙送りローラを形成するゴム分としてEPM、EPDM等のエチレン−α−オレフィン系共重合ゴムとジエン系ゴムとを併用したり(例えば特許文献1〜3等参照)、前記EPDM等の耐オゾン性ゴムと、イソプレンゴムとを併用したり(例えば特許文献4等参照)することが検討されている。
R1=MEPDM/(MIR+MBR) (1)
〔式中MEPDMはEPDM、MIRはIR、MBRはBRの、それぞれ質量部を示す。〕
で表される質量比R1が30/70以上、50/50以下で、かつ前記イソプレンゴム(IR)とブタジエンゴム(BR)の質量部が式(2):
MIR>MBR (2)
を満足していることを特徴とするものである。
R 2 =M IR /M BR (3)
〔式中MIRはIR、MBRはBRの、それぞれ質量部を示す。〕
で表される質量比R 2 が3.0以下であるのが好ましい。
本発明の紙送りローラのもとになるゴム組成物は、ゴム分としてEPDM、IR、およびBRの3種を併用するとともに、前記3種のゴム分の、式(1):
R1=MEPDM/(MIR+MBR) (1)
〔式中MEPDMはEPDM、MIRはIR、MBRはBRの、それぞれ質量部を示す。〕
で表される質量比R1を30/70以上、50/50以下とし、かつ前記イソプレンゴム(IR)とブタジエンゴム(BR)の質量部を、式(2):
MIR>MBR (2)
を満足する範囲としたものである。
本発明において、前記3種のゴム分の質量比R1が前記範囲に限定されるのは、下記の理由による。
一方、質量比R1が前記範囲を超える場合には相対的にIRおよびBRが少なくなるため、前記3種のゴム分を併用したことによる、紙と繰り返し接触させた際に、紙粉の蓄積による摩擦係数の低下とそれに伴う搬送不良とを生じにくくして、より長期に亘って良好な紙送りを維持する効果が得られない。
R2=MIR/MBR (3)
〔式中MIRはIR、MBRはBRの、それぞれ質量部を示す。〕
で表される質量比R2が3.0以下であるのが好ましい。
前記3種のゴム分のうちEPDMとしては、エチレン、プロピレン、およびジエンを共重合させた種々の共重合体がいずれも使用可能である。前記ジエンとしては、エチリデンノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCPD)等が挙げられる。
ジエンがENBであるENB系の油展EPDMとしては、例えば住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)670F〔ゴム分:伸展油=100:100(質量比)〕、671F〔ゴム分:伸展油=100:70(質量比)〕、三井化学(株)製の三井EPT3042E〔ゴム分:伸展油=100:120(質量比)〕等の1種または2種以上が挙げられる。
EPDMは前記例示のものを1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
EPDMとして油展EPDMを用いる場合、前記式(1)中のMEPDMは、前記油展EPDM中に含まれるゴム分(EPDM)の質量部である。
前記IRとしては、例えば日本ゼオン(株)製のニポール(登録商標)IR2200、IR2200L等が挙げられる。
IRは前記例示のものを1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
BRとしては、ポリブタジエン構造を有する種々の重合体がいずれも使用可能である。
BRは前記例示のものを1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物には、前記ゴム分を架橋させるための架橋剤を含有させる。
前記架橋剤としては、通常の硫黄加硫系(硫黄または含硫黄化合物と、加硫促進剤、加硫促進助剤等との併用系)の架橋剤を使用してもよいが、特に過酸化物架橋剤が好ましい。
過酸化物架橋剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス[(tert−ブチル)パーオキシイソプロピル]ベンゼン、ジ(tert−ブチルパーオキシ)ベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジtert−ブチルパーオキシドおよび2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3−ヘキセン等の1種または2種以上が挙げられる。
〈紙送りローラ〉
図1は、本発明の紙送りローラ1の、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例の紙送りローラ1は、前記ゴム組成物からなる円筒状のローラ本体2と、前記ローラ本体2の中心の通孔3に挿通されたシャフト4とを含んでいる。シャフト4は、例えば金属、セラミック、硬質樹脂等によって形成される。
前記ローラ本体2は、先に説明したゴム組成物を射出成形法、押出成形法等の任意の成形法によって円筒状に成形したのち、例えばプレス架橋等によって架橋させて形成される。
また前記一体化の前後の任意の時点で、必要に応じてさらにローラ本体2の外周面5を所定の表面粗さになるように研磨したり、前記外周面5をローレット加工、シボ加工等したり、あるいはローラ本体2の軸方向の長さ、すなわち紙送りローラ1の幅が所定値となるようにローラ本体2の両端をカットしたりする。これにより図1に示す紙送りローラ1が製造される。
また紙送りローラ1の用途によっては、通孔3はローラ本体2の中心から偏心した位置に設けてもよい。またローラ本体2は円筒状でなく異形形状、例えば外周面5の一部が平面状に切り欠かれた形状等であってもよい。かかる異形形状を有するローラ本体2を形成するには、射出成形法、押出成形法等によって、ローラ本体2を前記異形形状に直接に成形してもよいし、円筒状に形成したローラ本体2の外周面5を後加工して前記異形形状としてもよい。
本発明の紙送りローラ1は、例えば静電式複写機、レーザービームプリンタ、普通紙ファクシミリ装置、インクジェットプリンタ、自動現金預払機(ATM)等の機器類における紙送り機構に組み込まれる、給紙ローラ、搬送ローラ、プラテンローラ、排紙ローラ等の種々の紙送りローラとして用いることができる。
〈実施例1〉
ゴム分としての油展EPDM〔前出の住友化学(株)製のエスプレン670F、ゴム分:伸展油=100:100(質量比)〕60質量部(ゴム分としてのEPDMは30質量部)、IR〔前出の日本ゼオン(株)製のニポールIR2200〕50質量部、およびBR〔前出のJSR(株)製のJSR BR01〕20質量部と、過酸化物架橋剤としてのジクミルパーオキシド〔日油(株)製のパークミル(登録商標)D〕3質量部と、補強剤・充填剤としてのカーボンブラック〔HAF、東海カーボン(株)製の商品名シースト3〕5質量部と、パラフィンオイル〔出光興産(株)製のダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW−380〕20質量部とを混練してゴム組成物を調製した。
そして前記ローラ本体の通孔にφ14の樹脂製のシャフト(専用樹脂コア)を圧入して紙送りローラを製造した。
〈実施例2〉
油展EPDMの量を100質量部(ゴム分としてのEPDMは50質量部)、IRの量を30質量部、BRの量を20質量部とし、かつパラフィンオイルの量を20質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、紙送りローラを製造した。
〈比較例1〉
油展EPDMの量を100質量部(ゴム分としてのEPDMは50質量部)、IRの量を20質量部、BRの量を30質量部とし、かつパラフィンオイルの量を20質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、紙送りローラを製造した。
〈比較例2〉
油展EPDMの量を140質量部(ゴム分としてのEPDMは70質量部)、IRの量を20質量部、BRの量を10質量部とし、かつパラフィンオイルを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、紙送りローラを製造した。
〈比較例3〉
過酸化物架橋剤に代えて、粉末硫黄〔鶴見化学工業(株)製〕1質量部、テトラエチルチウラムジスルフィド〔加硫促進助剤、大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)TET〕2質量部、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド〔加硫促進助剤、大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM〕1質量部、ステアリン酸〔日油(株)製の商品名つばき〕1質量部、および酸化亜鉛2種〔三井金属鉱業(株)製〕5質量部を配合したこと以外は比較例2と同様にしてゴム組成物を調製し、紙送りローラを製造した。
〈比較例4〉
油展EPDMの量を40質量部(ゴム分としてのEPDMは20質量部)、IRの量を50質量部、BRの量を30質量部、パラフィンオイルの量を50質量部とし、かつカーボンブラックを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、紙送りローラを製造した。
〈比較例5〉
油展EPDMの量を160質量部(ゴム分としてのEPDMは80質量部)、IRの量を10質量部、BRの量を10質量部とし、かつパラフィンオイルを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、紙送りローラを製造した。
〈比較例6〉
実施例1で使用したのと同じ油展EPDM200質量部(ゴム分としてのEPDMは100質量部)と、粉末硫黄〔鶴見化学工業(株)製〕1質量部、テトラエチルチウラムジスルフィド〔加硫促進助剤、大内新興化学工業(株)製のノクセラーTET〕2質量部、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド〔加硫促進助剤、大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM〕1質量部、ステアリン酸〔日油(株)製の商品名つばき〕1質量部、および酸化亜鉛2種〔三井金属鉱業(株)製〕5質量部と、補強剤・充填剤としてのカーボンブラック〔HAF、東海カーボン(株)製の商品名シースト3〕1質量部、酸化珪素〔東ソー・シリカ(株)製のNipsil(登録商標)VN3〕10質量部、炭酸カルシウム〔備北粉化工業(株)製のBF300〕、および酸化チタン〔チタン工業(株)製の商品名クロノスKR−380〕15質量部と、パラフィンオイル〔出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPW−380〕20質量部とを混練してゴム組成物を調製した。そして前記ゴム組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして紙送りローラを製造した。
実施例1で使用したのと同じ油展EPDM150質量部(ゴム分としてのEPDMは75質量部)、および非油展EPDM〔住友化学(株)製のエスプレン586〕25質量部と、補強剤・充填剤としてのカーボンブラック〔HAF、東海カーボン(株)製の商品名シースト3〕5質量部と、過酸化物架橋剤としてのジクミルパーオキシド〔日油(株)製のパークミルD〕1.5質量部とを混練してゴム組成物を調製した。そして前記ゴム組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして紙送りローラを製造した。
各実施例、比較例の紙送りローラを、テフロン(登録商標)板の上に載置した幅60mm×長さ210mmの紙〔ゼロックス社製のXerox Business4200〕の上に340gfの鉛直荷重をかけながら圧接させた状態で、前記紙送りローラを周速度105mm/秒で回転させた際に、前記紙に加わる搬送力Fを、ロードセルを用いて測定して、式(4):
μ=F/340 (4)
により摩擦係数μを求めた。
またこの通紙時の通紙状況を観察して、1万枚までの間に紙送りの不良が生じたものを×(通紙状況不良)、1万枚の通紙をしても紙送りの不良が生じなかったものを○(通紙状況良好)と評価した。
各実施例、比較例の紙送りローラの耐候性を、日本工業規格JIS K6259:2004「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方」に所載の静的オゾン劣化試験に則って評価した。
すなわち各実施例、比較例で調製したのと同じゴム組成物を用いて、前記規格において規定された寸法、形状の試験片を作製し、前記試験片に引張ひずみ(10%伸長)を加えながら温度40℃、オゾン濃度50ppm、試験時間96時間の条件でオゾンに曝露した際に、前記試験片に亀裂が発生したか否かを確認した。
以上の結果を表1、表2に示す。
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面
Claims (3)
- ゴム組成物からなる紙送りローラであって、前記ゴム組成物は、ゴム分としてエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、およびブタジエンゴム(BR)を含み、前記3種のゴム分の、式(1):
R1=MEPDM/(MIR+MBR) (1)
〔式中MEPDMはEPDM、MIRはIR、MBRはBRの、それぞれ質量部を示す。〕
で表される質量比R1が30/70以上、50/50以下で、かつ前記イソプレンゴム(IR)とブタジエンゴム(BR)の質量部が式(2):
MIR>MBR (2)
を満足していることを特徴とする紙送りローラ。 - 前記ゴム組成物は、イソプレンゴム(IR)とブタジエンゴム(BR)の、式(3):
R2=MIR/MBR (3)
〔式中MIRはIR、MBRはBRの、それぞれ質量部を示す。〕
で表される質量比R2が3.0以下である請求項1に記載の紙送りローラ。 - 前記ゴム組成物は、過酸化物架橋剤によって架橋されている請求項1または2に記載の紙送りローラ。
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