JP3969572B2 - 紙葉類の重送防止ゴム部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙葉類の重送防止ゴム部材に関し、詳しくは、複写機、プリンター、ファクシミリ等の給紙機構に用いられる、分離シート、分離パッド等の紙葉類の重送防止ゴム部材の配合を調整し、その摩擦係数と耐磨耗性を改良するものである。
【0002】
【従来の技術】
給紙機構では、PPC用紙、OHP用フィルム等の紙葉類が多数枚トレイに蓄えられ、この紙葉類が給紙ローラによって画像形成機構に送られる。この給紙ローラと紙葉類との摩擦係数は、ある程度大きめである必要がある。具体的には、紙葉類と給紙ローラとの摩擦係数が、紙葉類同士の摩擦係数よりも大きくなければならない。これによって、紙葉類が一枚ずつ確実に分離されて画像形成機構に送られ、いわゆる重送が防止される。
【0003】
この給紙機構において、如何に紙葉類と給紙ローラとの摩擦係数が大きくても、トレイ内の紙葉類の残り枚数が少なく(例えば数枚程度と)なると、残りの紙葉類すべてが一度に送られて重送が発生してしまうことがある。これは、トレイと紙葉類との摩擦係数が紙葉類同士の摩擦係数よりも小さいため、紙葉類が一枚ずつ確実に分離されないことに起因する。紙葉類の残り枚数が少なくなった場合の重送を防止するには、トレイと紙葉類との摩擦係数がある程度大きめである必要がある。
【0004】
ところが、トレイと紙葉類との摩擦係数が大きすぎて、給紙ローラと紙葉類との摩擦係数よりも大きくなると、トレイ内の最後の紙葉類が送られなくなっていわゆる紙残りが発生してしまう。紙残りを防止するには、トレイと紙葉類との摩擦係数が給紙ローラと紙葉類との摩擦係数よりも小さいことが必要である。即ち、この種の給紙機構において、重送防止と紙残り防止とを両立させるには、給紙ローラと紙葉類との摩擦係数μ1、トレイと紙葉類との摩擦係数μ2及び紙葉類同士の摩擦係数μ3との間には、μ1>μ2>μ3なる関係が成立していることが要求される。
【0005】
例えば、紙葉類がPPC用紙である場合、μ1は1.5〜2.5程度であり、μ3は0.3〜0.35程度である。従って、μ2は0.5〜1.2程度とされる必要がある。ところが、トレイの本体は通常合成樹脂製であり、この合成樹脂の表面は摩擦係数が小さいので、トレイ本体のみではμ2を適切な範囲内とすることは困難である。
【0006】
よって、適切な摩擦係数を得るために、トレイ本体の給紙ローラと対向する位置に、分離シートや分離パッド、分離ローラ等の紙葉類の重送防止部材が設けられることがある。この種の重送防止部材は、ゴム組成物を用いて成形されるのが一般的であり、紙葉類の分離性能が安定し、さらに耐オゾン性や耐磨耗性等の耐久性に優れていることが要求されている。
【0007】
例えば、特開平8−151489号では、耐久性に優れたゴム組成物として、エチレン−プロピレン−ジエン三次元共重合体95〜5重量部とアクリルゴム5〜95重量部とからなるゴム組成物100重量部に対してブタジエンゴムを1〜30重量部含むゴム組成物が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−151489号のゴム組成物は、低硬度であるために、上記のように紙葉類の重送防止ゴム部材として良好な摩擦係数を得ることができないという問題がある。
【0009】
このように、摩擦係数が高くても構わない給紙ローラと異なり、分離シート等の重送防止ゴム部材は、摩擦係数がある一定の範囲内であることが要求されるため、その配合が非常に重要である。通常、摩擦係数をコントロールするために、硬度が高くなるように調整されるが、硬度を高くしようとすると充填剤等の配合量が多くなり、耐磨耗性が悪くなるという問題がある。
【0010】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、摩擦係数を一定の範囲に保持しながら、耐磨耗性にも優れた紙葉類の重送防止ゴム部材を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、EPDMゴムを主成分とするゴム成分と、酸化ケイ素及びシランカップリング剤と、該酸化ケイ素及びシランカップリング剤以外の充填剤が含有されてなるゴム組成物を用いて成形されてなる紙葉類の重送防止ゴム部材であって、
上記ゴム組成物は、上記ゴム成分100重量部に対して酸化ケイ素が10重量部〜30重量部含まれると共に、上記酸化ケイ素に対して上記シランカップリング剤が10重量%〜30重量%含まれ、かつ、
上記酸化ケイ素及びシランカップリング剤以外の充填剤として炭酸カルシウムと酸化チタンとを含んでおり、該充填剤は上記ゴム成分100重量部に対して15重量部〜25重量部含まれていることを特徴とする紙葉類の重送防止ゴム部材を提供している。
【0012】
本発明者は、鋭意研究の結果、EPDMゴムを主成分とするゴム組成物において、シランカップリング剤を酸化ケイ素と共に規定量配合することにより、配合する充填剤(炭酸カルシウム及び酸化チタン等架橋に関わらない配合薬品)の量を少なくして硬度を高くすることができる上に、耐磨耗性をも向上できることを見出した。よって、分離シート、分離パッド等の紙葉類の重送防止ゴム部材として適切な摩擦係数を有しつつ、耐磨耗性を向上させることができる。
【0013】
上記ゴム成分100重量部に対して酸化ケイ素を10重量部〜30重量部としているのは、酸化ケイ素が10重量部より少ないと摩擦係数が高くなりすぎ重送防止ゴム部材として良好な性能を示さないためである。一方、酸化ケイ素が30重量部より多いと摩擦係数が低くなりすぎ重送防止ゴム部材として良好な性能を示さない上に加工性も悪くなるためである。なお、好ましくは15重量部〜30重量部である。
【0014】
シランカップリング剤は、2種類の反応性の異なる官能基を有しており、その反応基により無機質と有機質を化学的に結合させることができる。このため、シランカップリング剤が、酸化ケイ素と反応すると共に、ゴムの炭素とも結合することにより、紙葉類の重送防止部材の補強性を増大させることができる。シランカップリング剤は、酸化ケイ素以外の充填剤(アルミナ、酸化チタン等)とも反応するが、酸化ケイ素はシランカップリング剤と同じケイ素(Si)を有するので特にシランカップリング剤と結合性が良く、両者を組み合わせて用いることにより、効率良く補強性を高めることができる。酸化ケイ素を配合するには、具体的にはシリカ(二酸化ケイ素)等として配合するのが好ましく、二酸化ケイ素を多く含む充填剤としてはカオリン、タルク等が挙げられる。
【0015】
上記酸化ケイ素に対して上記シランカップリング剤が10重量%〜30重量%としているのは、シランカップリング剤が10重量%より少ないと磨耗量が多くなるためである。一方、シランカップリング剤が30重量%より多いとゴム硬度が高くなり、摩擦係数が低くなるためである。
【0016】
上記EPDMゴム(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)はその配合量により摩擦係数の調節が容易とされる。またEPDMは主鎖が飽和炭化水素からなり、主鎖に二重結合を含まないため、高濃度オゾン雰囲気、光線照射等の環境下に長時間曝されても、分子主鎖切断が起こりにくい。従って、紙葉類の重送防止ゴム部材の耐オゾン性をも高めることができる。
【0017】
高摩擦係数や耐オゾン性が高い点より、ゴム成分としては、EPDMのみを使用することが最も好ましく、EPDMと他のゴムとをブレンドする場合、全ゴムに占めるEPDMの比率は、50重量%以上、さらに、80重量%以上が好ましい。
【0018】
さらに、上記ゴム成分100重量部に対して、上記酸化ケイ素及びシランカップリング剤以外の充填剤は15重量部〜25重量部含まれるとしている。これは、15重量部より少ないと硬度を高くしにくく、必要な摩擦係数が得にくくなるためである。一方、25重量部より多いと耐磨耗性が悪くなりやすいためである。
上記酸化ケイ素以外の充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタンを含有しており、さらにカーボンを含有するのが好ましい。その他、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、その他金属粉、セラミック粉、ガラス粉、木粉等の架橋に関わらない配合薬品を1種又は複数種用いることができる。
【0019】
上記紙葉類の重送防止ゴム部材の硬度はJIS A硬度が70度〜90度の範囲であるのが良い。これにより、重送防止ゴム部材として良好な摩擦係数を得ることができ、紙葉類の分離性能を安定させることができる。
【0020】
上記ゴム組成物にはEPDM以外のゴム成分として、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等のジエン系ゴム、ブチルゴム、BR,イソプレンゴム、SBR、クロロプロピレンゴム(CR)、NR、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR)から選択される1種または2種以上を混合使用しても良い。
【0021】
シランカップリング剤としては、下式で表されるものが挙げられる。なお、下式中、Xは有機反応基でアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、メタクリル基、ビニル基等が挙げられる。Yは無機反応基であり、一般式(−OR)からなる反応基で、Rは同一または異なる炭素数1〜3の飽和アルキル基である。なお、nは1〜3の整数である。
【0022】
また、具体的に、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフェン等が挙げられる。
【0023】
加硫剤としては、粉末硫黄が好ましい。また、硫黄、有機含硫黄化合物の他、過酸化物なども使用可能である。有機含硫黄化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。過酸化物としてはベンゾイルペルオキシド等を挙げることができる。
加硫剤の添加量は、ゴム成分100重量部に対して、0.5重量部以上3重量部以下、好ましくは1重量部以上2重量部以下がよい。
【0024】
また、加硫促進剤を配合してもよく、消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や以下に記す有機促進剤を用いることができる。
有機促進剤としては、2−メルカプト・ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェン等のチアゾール系、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、プロピルアミン等の脂肪族第1アミンと2−メルカプト・ベンゾチアゾールとの酸化縮合物、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン等の脂肪族第2アミンと2−メルカプト・ベンゾチアゾールとの酸化縮合物、脂環式第1アミンと2−メルカプト・ベンゾチアゾールとの酸化縮合物、モリフォリン系化合物と2−メルカプト・ベンゾチアゾールとの酸化縮合物等のスルフェンアミド系、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩系、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素等のチオウレア系、ジ−オルト−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1−オルト−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−オルト−トリルグアニジン塩等のグアニジン系を適宜組み合わせていることができる。
加硫促進剤の添加量は、ゴム成分100重量部に対して、0.5重量部以上5重量部以下、好ましくは2重量部以上4重量部以下がよい。
【0025】
また、加硫促進助剤を配合しても良く、例えば亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、その他従来公知の加硫促進助剤が挙げられる。
【0026】
また、ゴム組成物中に、必要に応じて、可塑剤やオイル等の軟化剤、老化防止剤、ワックス等を配合しても良い。
【0027】
本発明の紙葉類の重送防止ゴム部材の作成方法としては、公知の方法が採用でき、例えば、以下の方法により作成できる。
ゴム組成物を2軸押出機、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー等のゴム混練装置に投入し、混練りし、80〜90℃に加熱しながら、5〜6分程度混練りし、この混合物を金型内にセットして165〜175℃にてプレス加硫を行い、ゴムシートを作製する。このシートを所望の厚さにスライスした後、さらに所望の大きさの長方形に裁断し、紙葉類の重送防止ゴム部材としている。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の紙葉類の重送防止ゴム部材としての分離シートが用いられた給紙機構が示された模式的断面図である。
【0029】
この給紙機構は、給紙ローラ2とトレイ4とを備えている。トレイ4は、その上面の給紙ローラ2寄りに分離シート6を備えている。トレイ4の上面には、多数枚の紙葉類8が重ねられて蓄えられている。トレイ4の給紙ローラ2寄りは、その下面に当接するバネ(図示されず)によって上方に押し上げられ、給紙ローラ2に向かって押し付けられている。
【0030】
分離シート6と給紙ローラ2との間には、紙葉類8の先端部分10が挟まれており、給紙ローラ2が図中の矢印Rで示される方向に回転することによって、紙葉類8が1枚ずつ画像形成機構に向けて送り出される構成としている。
【0031】
紙葉類の重送防止ゴム部材である分離シート6は下記のゴム組成物を用いて成形されている。
ゴム成分としてEPDMゴムを単独で用い、ゴム成分100重量部に対して酸化ケイ素を15重量部配合すると共に、酸化ケイ素に対してシランカップリング剤を10重量%配合している。また、酸化ケイ素以外の充填剤として、炭酸カルシウムを15重量部、酸化チタンを2重量部、カーボン1重量部配合している。その他、硫黄、加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸を配合している。
【0032】
上記配合のゴム組成物を混練した後、金型内にセットして165〜175℃にてプレス加硫を行い、ゴムシートを作製する。このシートを所望の厚さにスライスした後、さらに所望の大きさの長方形に裁断し、紙葉類の重送防止ゴム部材である分離シート6としている。
【0033】
このように、EPDMゴムに対して、シランカップリング剤及び酸化ケイ素を規定量配合したゴム組成物を用いて分離シート6を成形している。このため、配合する充填剤の量を少なくしながら硬度を高くすることができる。その結果、摩擦係数を一定の範囲に調整することができると共に、耐磨耗性をも向上することができる。
【0034】
図2は、本発明の紙葉類の重送防止ゴム部材としての分離パッドが用いられた給紙機構が示された模式的断面図である。
この給紙機構では、トレイ12と給紙ローラ2とが離間しており、給紙ローラ2と対向する位置には、基板14に固定された分離パッド16が設けられている。給紙ローラ2が図中の矢印Rで示される方向に回転することにより、トレイ12の上の紙葉類8が1枚ずつ画像形成機構に向けて送り出される構成としている。
【0035】
また、分離パッド16に代えて、分離ローラが設けられた給紙機構も存在し、分離パッドと分離シートとの両方を備えた給紙機構も存在する。
上記のような分離シート、分離パッド、分離ローラ等のいずれの場合でも、本発明の紙葉類の重送防止ゴム部材とすることができる。
【0036】
また、分離シート、分離パッド、分離ローラ等の紙葉類の重送防止ゴム部材は、表面が研磨されることによって表面粗度を高め、その摩擦係数を調整しても良い。
【0037】
以下、本発明の紙葉類の重送防止ゴム部材の実施例、参考実施例及び比較例について詳述する。
下記表1に示すように、実施例、参考実施例および比較例について、表に記載の配合からなる混練物を作成し、該混練物を170℃20分の条件でプレス加硫して50mm×200mm×2mmのシート状に成形し、このシートを1.2mmにスライスした後、幅10mm長さ60mmの長方形に裁断し、紙葉類の重送防止ゴム部材を製造した。
【0038】
【表1】
【0039】
表中の各配合の数値単位は重量部であり、使用した材料は下記の通りである。
EPDMゴム:住友化学製「エスプレン586」
シランカップリング剤:デグサジャパン「Si69」
酸化ケイ素:日本シリカ製「ニプシール VN3」
炭酸カルシウム:備北粉化製「BF300」
酸化チタン:チタン工業製「クロノス酸化チタン KR380」
カーボン:東海カーボン製「シーストSO」
ステアリン酸:日本油脂製「つばき」
粉末硫黄:鶴見化学製「粉末硫黄」
加硫促進剤DM:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学「ノクセラーDM」
加硫促進剤TET:テトラエチルチウラムジスルフィド、大内新興化学「ノクセラーTET」
【0040】
(実施例1乃至実施例4、参考実施例1)
表1に示すように、EPDMゴムと、EPDMゴム成分100重量部に対して酸化ケイ素が10重量部〜30重量部含まれると共に、上記酸化ケイ素に対して上記シランカップリング剤が参考実施例1では5重量%、実施例1〜実施例4では10〜30重量%含まれるゴム組成物を用いて紙葉類の重送防止ゴム部材を成形した。
【0041】
(比較例1乃至比較例3)
比較例1は酸化ケイ素の配合量を規定量より少なくした。比較例2は酸化ケイ素の配合量を規定量より多くした。比較例3は酸化ケイ素の配合量を規定量より多くし、かつシランカップリング剤を配合しなかった。
【0042】
上記実施例、参考実施例及び比較例の紙葉類の重送防止ゴム部材について、後述する方法により、初期摩擦係数、耐久性(磨耗量)、通紙状況の評価を行った。また、加工性についても良好なものを「○」、加工性があまり良くなかったものを「△」とした。評価結果を表1の下欄に示す。
【0043】
[初期摩擦係数の測定]
ヘイドン14型の摩擦係数測定機(新東科学社の商品名「トライボギア TYPE:HEIDON−14DR」)を用意し、測定紙としてキャノン社のプロパーボンド紙を用いて、初期摩擦係数を測定した。測定条件は、荷重が200gfで、速度が600mm/minとした。
初期摩擦係数は0.6以上1.1以下を良好とした。
【0044】
[通紙試験]
実施例、参考実施例及び比較例の紙葉類の重送防止ゴム部材を分離パッドとして装着したプリンター(キャノン社の商品名「LBP470」)にて、通紙状況の観察を行った。通紙状況が良好なものを「○」、不送り並びに重送があったものを「△」、不送り並びに重送が多発したものを「×」とした。
また、観察は初期通紙1000枚で行った。また、耐久試験は、上記プリンターを用い5万枚(50K)通紙試験を行った。磨耗量は35mg以下が最適とした。
【0045】
[硬度の測定]
JIS A硬度(JIS K6253スプリング式測定法)を測定した。
実施例1は75°、参考実施例1は70°、実施例2は78°、実施例3は82°、実施例4は87°、比較例1は72°、比較例2は93°、比較例3は86°であった。
【0046】
表1に示すように、実施例1〜4、参考実施例1は、EPDMに対して、規定量の酸化ケイ素とシランカップリング剤が配合されているため、初期摩擦係数が0.8〜1.1となり、いずれも重送防止ゴム部材として適切な値であり、通紙性能に優れていることが確認できた。また、耐磨耗性も15mg〜30mgと少なく、耐磨耗性にも優れていた。さらには加工性にも優れていた。
【0047】
一方、比較例1は磨耗量が60mgと多く不適であった。比較例2は摩擦係数が低く通紙性能が悪く、さらには加工性も良くなかった。比較例3は磨耗量が100mgと非常に多く耐磨耗性が悪く、加工性と通紙性能もあまり良くなかった。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、EPDMゴムを主成分とするゴム成分に対して、シランカップリング剤及び酸化ケイ素を規定量配合したゴム組成物を用いて紙葉類の重送防止ゴム部材を成形している。このため、配合する充填剤の量を少なくしながら硬度を高くすることができる。その結果、摩擦係数を一定の範囲に調整することができると共に、耐磨耗性をも向上することができる。さらには、耐オゾン性にも優れ、耐久性を良好なものとすることができる。
【0049】
よって、分離シート、分離パッド、分離ローラ等として、紙送りローラと対向させて配置すると、紙の分離性能を安定させることができる。従って、インクジェットプリンター、レーザプリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置等の紙送り機構において、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の紙葉類の重送防止ゴム部材としての分離シートが用いられた給紙機構が示された模式的断面図である。
【図2】 本発明の紙葉類の重送防止ゴム部材としての分離パッドが用いられた給紙機構が示された模式的断面図である。
【符号の説明】
2 給紙ローラ
4、12 トレイ
6 分離シート
8 紙葉類
10 先端部分
14 基板
16 分離パッド
Claims (3)
- EPDMゴムを主成分とするゴム成分と、酸化ケイ素及びシランカップリング剤と、該酸化ケイ素及びシランカップリング剤以外の充填剤が含有されてなるゴム組成物を用いて成形されてなる紙葉類の重送防止ゴム部材であって、
上記ゴム組成物は、上記ゴム成分100重量部に対して酸化ケイ素が10重量部〜30重量部含まれると共に、上記酸化ケイ素に対して上記シランカップリング剤が10重量%〜30重量%含まれ、かつ、
上記酸化ケイ素及びシランカップリング剤以外の充填剤として炭酸カルシウムと酸化チタンとを含んでおり、該充填剤は上記ゴム成分100重量部に対して15重量部〜25重量部含まれていることを特徴とする紙葉類の重送防止ゴム部材。 - 上記ゴム組成物は硫黄により加硫されており、上記酸化ケイ素及びシランカップリング剤以外の充填剤としてさらにカーボンが含有されている請求項1に記載の紙葉類の重送防止ゴム部材。
- JIS A硬度が70度〜90度である請求項1または請求項2に記載の紙葉類の重送防止ゴム部材。
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