JP2008114819A - 射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂及びそれを用いた射出成形燃料タンク - Google Patents

射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂及びそれを用いた射出成形燃料タンク Download PDF

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Abstract

【課題】成形性と耐久性とのバランスに優れた大型容器用材料である燃料タンク用樹脂、特に射出成形性、耐久性、耐衝撃性のバランスに優れた射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂及びそれを用いた成形品を提供する。
【解決手段】下記(1)〜(5)の要件を満足することを特徴とする射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂などを提供した。
(1)密度が0.940〜0.970g/cmの範囲にある
(2)ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が6g/10分以上である
(3)230℃、剪断速度243sec−1における剪断粘度が10000poise以下である
(4)−40℃のシャルピー衝撃強度が5KJ/m以上である
(5)フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間が80時間以上である
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂及びそれを用いた射出成形燃料タンクに関する。さらに詳しくは、射出成形プラスチック燃料タンク用材料において、良好な射出成形性を維持したまま、得られる成形品の耐久性、耐衝撃性、耐火性が優れる燃料タンク用ポリエチレン系樹脂材料及びそれを用いた射出成形燃料タンクに関する。
近年、自動車用燃料タンク分野では、軽量化、省エネルギー化といった目的で製品の樹脂化が活発に押し進められている。樹脂材料としては、安価、高強度、良耐候性、良耐薬品性、リサイクル性等の観点から、ポリエチレンが一般に主材料として用いられている。また、樹脂製の燃料タンクは、大型のブロー成形による生産が主流となっている。
しかしながら、大型のブロー成形では、成形機が専用化する、バリ等の廃材発生により生産性が低下する、成形品の肉厚分布が不均一になる、ブロー成形ピンチ部からの燃料透過性等の課題を抱えている。
これらの課題を解決するため、ブロー成形以外の成形法、例えば射出成形法によるプラスチック燃料タンクなどが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
しかしながら、例えば、特許文献1では、特定の密度、メルトインデックス、分子量分布指数等を有する射出成形に適したエチレン系共重合体が開示されているが、大型部品に適することは開示されているものの、プラスチック燃料タンクとして好適な材料が開示されていない。
また、特許文献2には、特定の密度、分散インデックス及びメルトインデックスを有するポリエチレンから構成される自動車用燃料タンクが開示されているが、耐燃料油性という点から不十分な面がある。
さらに、特許文献3には、ポリアミド樹脂及びポリフェニレンスルフィド樹脂からなる樹脂組成物を射出成形した自動車用燃料タンク部品が開示されているが、燃料タンク本体として好適な材料は開示されていない。
またさらに、特許文献4には、ポリフェニレン樹脂組成物を溶融成形(特に射出成形、射出プレス成形)してなる樹脂成形品が提案されているが、この樹脂組成物からの成形品は、耐衝撃性、耐燃料透過性は良いものの、成形効率性という点では不十分な面がある。
特開平7−278229号公報 特開2001−71759号公報 特開2002−284991号公報 特開2004−339478号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、成形性と耐久性とのバランスに優れた大型容器用材料であるプラスチック燃料タンク用樹脂、特に射出成形性、耐久性、耐衝撃性のバランスに優れ、かつ耐火性に優れた射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂及びそれを用いた成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し、射出成形プラスチック燃料タンクの要求する特性に十分に適合できる材料を検討した結果、密度、流動性、配向性等が特定範囲にあるポリエチレン系樹脂から、成形性と耐久性とのバランスに優れた成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(1)〜(5)の要件を満足することを特徴とする射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂が提供される。
(1)密度が0.940〜0.970g/cmの範囲にある
(2)ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が6g/10分以上である
(3)230℃、剪断速度243sec−1における剪断粘度が10000poise以下である
(4)−40℃のシャルピー衝撃強度が5KJ/m以上である
(5)フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間が80時間以上である
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、下記成分(a)23〜84重量%と成分(b)77〜16重量%とを含有することを特徴とする射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂が提供される。
成分(a):密度が0.915〜0.940g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が0.05〜10g/10分のポリエチレン
成分(b):密度が0.940〜0.970g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(試験条件:190℃、2.16kg荷重)が1〜300g/10分のポリエチレン
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明に係る射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂を用いて成形され、シャルピー衝撃強度比による配向性比が50%以上であることを特徴とする射出成形燃料タンクが提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1又は2の発明に係る射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂及び燃料バリア性材料を用いて成形され、シャルピー衝撃強度比による配向性比が50%以上であることを特徴とする射出成形燃料タンクが提供される。
本発明は、上記した如く、射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂などに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)前記ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体又はエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする上記の射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂。
(2)前記ポリエチレン系樹脂は、中密度ポリエチレン(MDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)、特に、高密度ポリエチレン(HDPE)であることを特徴とする上記の射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂。
(3)前記ポリエチレン系樹脂は、チーグラー触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする上記の射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂。
(4)前記成分(a)と成分(b)は、連続多段重合法で得られることを特徴とする上記の射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂。
(5)前記燃料バリア性材料は、ポリアミド若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体、無機系充填材、アルミニウム又はエポキシ系塗料、特に、ポリアミド又はエチレン・ビニルアルコール共重合体であることを特徴とする上記の射出成形燃料タンク。
本発明によれば、成形性と耐久性とのバランスに優れた大型容器が得られ、特に射出成形性、耐久性、耐衝撃性のバランスに優れ、かつ耐火性に優れた射出成形プラスチック燃料タンクを得ることが可能となる。
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂は、以下の特性(1)〜(5)の要件を満足するポリエチレン系樹脂である。
以下、本発明の樹脂およびその用途などについて、項目毎に詳細に説明する。
1.特性(1):密度
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂は、エチレン系重合体からなるものであり、エチレン系重合体の密度は、0.940〜0.970g/cmであり、好ましくは0.942〜0.965g/cmであり、さらに好ましくは0.945〜0.960g/cmである。
密度は、JIS K7112(1999)「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠し、ペレットを温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温し厚み2mmのシートを成形し、このシートを温度23℃の室内で48時間状態調節した後、密度勾配管に入れ測定される。
密度が0.940g/cm未満であると、成形品の剛性不足が顕在化し、一方、0.970g/cmを超えると、耐衝撃性が不足する。
密度の調整は、例えば、エチレンと共重合させるα−オレフィンの量を変化させることによって行うことができ、α−オレフィンの量を増加させると小さくすることができる。
2.特性(2):ハイロードメルトフローレート(HLMFR)
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂となるエチレン系重合体は、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が6g/10分以上である。
温度190℃、荷重21.6kgのハイロードメルトフローレート(HLMFR)は、JIS K6922−1(1997)「プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」に準拠して、測定条件G:190℃、21.60kg(211.83N)荷重でISO1133に従って、測定されるものであり、HLMFRが6g/10分未満であると、射出成形時に流動性が不足し、成形不安定な状態となり実用的では無い。温度190℃、荷重21.6kgのハイロードメルトフローレート(HLMFR)の上限値は、特に限定されないが、通常50g/10分である。
190℃、21.6kg荷重におけるハイロードメルトフローレート(HLMFR)の調整は、エチレン重合中に共存させる連鎖移動剤(水素等)の量を変化させるか、重合温度を変化させることによって、調整することができ、水素の量を増加させる又は重合温度を高くすることにより、大きくすることができる。
3.特性(3):230℃、剪断速度243sec−1における剪断粘度
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂となるエチレン系重合体は、230℃、剪断速度243sec−1における剪断粘度が10000poise以下、好ましくは9000poise以下、さらに好ましくは8000poise以下である。剪断粘度が10000poiseを超えると、射出成形時の流動性が不足する。
230℃、剪断速度243sec−1における剪断粘度は、東洋精機社製キャピログラフにより、径1.0mmφ、長さ40mmのノズルを使用して測定される。
剪断粘度は、概ねエチレン系重合体の分子量を大きくすることにより、大きくすることができる。
4.特性(4):−40℃のシャルピー衝撃強度
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂となるエチレン系重合体は、−40℃のシャルピー衝撃強度が5KJ/m以上であり、好ましくは6KJ/m以上であり、さらに好ましくは7KJ/m以上下である。−40℃のシャルピー衝撃強度が5KJ/m未満では、成形品の衝撃強度の不足が顕在化する。一方、−40℃のシャルピー衝撃強度の上限値は、特に限定されないが、通常100KJ/mである。
ここで、−40℃のシャルピー衝撃強度は、JIS K6922−2(1997)「プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」に準拠して試験片を作成し、JIS K7111(1996)「プラスチック−シャルピー衝撃強さの試験方法」に準じて測定されるものである。
−40℃のシャルピー衝撃強度は、エチレン系重合体の分子量を上げるか、分子量分布を狭くすることにより、大きくすることができる。
5.特性(5):フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂となるエチレン系重合体は、フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間が80時間以上、好ましくは150時間以上、さらに好ましくは200時間以上である。フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間が80時間未満では、成形品の耐久性が不足する。
フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間は、JIS K6774(1995)「ガス用ポリエチレン管」の付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠し、80℃、6MPaで測定を行う。試験片は、JIS K6922−2(1997)「プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」の表2の条件で作成した厚さ6mmで圧縮成形シートから切出し、全周にノッチを入れたもの(試験片厚み 6mm ノッチ深さ 1mm 全周)を使用する。
フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間は、概ねエチレン系重合体の密度を小さくすることにより、大きくすることができる。
6.ポリエチレン系樹脂(エチレン系重合体)の種類、成分
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂となるエチレン系重合体は、エチレン単独重合することにより、またはエチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜10のα−オレフィンから選ばれる1種またはそれ以上のコモノマーを所定の密度になるように共重合することにより、得ることができる。共重合するα−オレフィンの例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等が挙げられるが、耐久性ならびに経済性の見地からは、特にプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1が好ましい。
更に、エチレンと共重合するコモノマーとして、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルシクロヘキサン、スチレンあるいはその誘導体などのビニル化合物も使用することができる。
また、これらα−オレフィンは、1種のみでもよく、また2種以上を併用してもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィンの含有量は、10重量%以下、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。α−オレフィンの含有量が10重量%より多くなると、剛性が低下するので好ましくない。
より詳細に、具体的なエチレン系重合体を例示すれば、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられ、好ましくは高密度ポリエチレンが好適である。
本発明のエチレン系重合体は、チーグラー触媒、メタロセン触媒等の公知の各触媒を用いてエチレンを主として重合することによって得られる。好ましくは、チタン、ジルコニウム等の遷移金属化合物、マグネシウム化合物からなるチーグラー触媒を重合触媒として重合することが好適である。
本発明のエチレン系重合体は、単一のポリエチレンでもよいが、好ましくは、複数、例えば異なる二種類の物性を有するポリエチレン成分から構成することが好適である。
異なる二種類の物性を有するポリエチレン成分から構成されるものの好ましい態様は、下記成分(a)23〜84重量%と成分(b)77〜16重量%とを含有するものである。
成分(a):密度が0.915〜0.940g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が0.05〜10g/10分のポリエチレン
成分(b)密度が0.940〜0.970g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(試験条件:190℃、2.16kg荷重)が1〜300g/10分のポリエチレン
上記の異なる二種類の物性を有するポリエチレン成分から構成されるものは、連続多段重合法で得られるポリエチレンが好ましく、例えば、重合に際して直列に連結した複数のリアクターにて、最初のリアクターで、密度が0.915〜0.940g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が0.05〜10g/10分の高分子量ポリエチレン成分(a)を23〜84重量%重合し、さらに第2番目のリアクターで、密度が0.940〜0.970g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(試験条件:190℃、2.16kg荷重)が1〜300g/10分の低分子量ポリエチレン成分(b)を77〜16重量%重合して製造したものが好適である。
また、上記とは逆に、最初のリアクターで、密度が0.940〜0.970g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(試験条件:190℃、2.16kg荷重)が1〜300g/10分の低分子量ポリエチレン成分(b)を77〜16重量%重合し、第2番目のリアクターで、密度が0.915〜0940g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が0.05〜10g/10分の高分子量ポリエチレン成分(a)を23〜84重量%重合してもよい。
さらに、上記所定の高分子量ポリエチレン成分(a)及び低分子量ポリエチレン成分(b)をそれぞれ別個に重合したものを、その後所定量をポリマーブレンドした、いわゆるポリエチレン組成物といわれる、混合したものでも差し支えない。
なお、連続多段重合にてポリエチレンを製造する場合、第2番目以降のリアクターで生成するするポリエチレンの量とその性状については、各段におけるポリエチレン生成量(未反応ガス分析等により把握できる)を求め、その物性については、各段の後でそれぞれ抜き出した樹脂の物性を測定し、物性の加成性から換算して求めることができる。
本発明に係る高分子量ポリエチレン成分(a)の密度が0.915g/cm未満では、剛性が低下するおそれがある。一方、密度が0.940g/cmを超えると、耐久性が不足する。また、本発明に係る高分子量ポリエチレン成分(a)のハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が0.05g/10分未満の場合は、射出成形性に難があり、一方、HLMFRが10g/10分を超えると、耐久性ならびに耐衝撃性を満足しない。
さらに、本発明に係る低分子量ポリエチレン成分(b)の密度が0.970g/cmを超えると、耐衝撃性ならびに耐久性が不十分となる。一方、密度が0.940g/cm未満では、剛性が確保できない。また、本発明に係る低分子量ポリエチレン成分(b)のメルトフローレート(MFR)(試験条件:190℃、2.16kg荷重)が1g/10分未満の場合は、射出成形性に問題を生じ、一方、MFRが300g/10分を超えると、耐久性に問題を生じ、また、ウェルド強度の著しい悪化を引き起こす。
本発明に係る高分子量ポリエチレン成分(a)の割合が23重量%未満の場合(すなわち、本発明に係る低分子量ポリエチレン成分(b)の割合が77重量%を超える場合)、耐久性の改良効果が乏しく、本発明に係る高分子量ポリエチレン成分(a)の割合が84重量%を超える場合(すなわち、本発明に係る低分子量ポリエチレン成分(b)の割合が16重量%未満の場合)、射出成形性に問題を生じる。
本発明のエチレン系重合体からなる射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、各種公知の添加剤、充填材等を適宜の量で添加できる。添加剤としては、例えば酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、着色剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、造核剤、中和剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、相溶化剤、接着剤等を1種または2種以上適宜併用することができる。また、充填材としては、例えばタルク、マイカ等が使用できる。
また、本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂には、必要に応じて、無水マレイン酸変性樹脂、熱可塑性樹脂やゴム等を添加することもできる。
さらに、本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂には、燃料透過性向上のため、耐燃料透過防止性樹脂(又は燃料バリア性樹脂)として、ナイロン6等のポリアミドや、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)と、好ましくはEVOHと組み合わせて使用することができる。
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂は、必要に応じて射出成形法、中空成形法、押出成形法等の成形方法により成形品とすることもできるが、好ましくは射出成形に好適な材料であり、低温、かつ、高速で射出成形することができる。
7.用途
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂より成形される成形品としては、特に射出成形による大型容器が好ましい例として挙げられる。大型容器としては、工業薬品缶、ドラム缶、燃料タンク等が該当し、好ましくはプラスチック燃料タンクである。
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂は、シャルピー衝撃強度比による配向性比が50%以上であり、好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上となるように射出成形することが好適である。シャルピー衝撃強度比による配向性比が50%未満では、成形品の衝撃強度の低下を招いてしまう。シャルピー衝撃強度比による配向性比は、目的とする物性に応じて、射出成形時の樹脂の溶融温度を適宜変更して、調整することが可能である。
具体的には、シャルピー衝撃強度比による配向性比は、射出成形時の樹脂の溶融温度を高くすると、小さくすることができる。
シャルピー衝撃強度比による配向性比は、樹脂を溶融して射出成形した成形品からJIS K6922−2(1997)「プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」に準拠して試験片を作成し、JIS K7111(1996)「プラスチック−シャルピー衝撃強さの試験方法」に準じて、試験片の長辺の方向が樹脂の流動方向と同一方向となるように切り出したサンプルで測定したシャルピー衝撃強度値Smと、試験片の長辺の方向が樹脂の流動方向と垂直方向となるように切り出したサンプルで測定したシャルピー衝撃強度値Stの比、St/Smから計算したものである。
本発明に係る射出成形プラスチック燃料タンクは、公知の方法で成形することができ、例えば、射出成形にて二分割形成した分割成形体どうしを溶着部で溶着することにより得られる。該燃料タンクの耐燃料透過性は、例えば、燃料バリア性材料(例えば、前記の耐燃料透過防止性樹脂)を、本発明の樹脂と混合、射出成形して、燃料バリア性材料を層状、島状その他の形状に成形品中に存在させることにより、付与することができる。また、本発明の樹脂により成形した成形品と別途用意した燃料バリア性材料とを接着等により組み合わせることにより、さらには、本発明の樹脂により成形した成形品に、燃料バリア性塗料を塗装することにより、耐燃料透過性を付与することができる。燃料バリア性材料は、公知の材料を使用することができ、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)やナイロン等の樹脂、クレー等の無機系充填材、アルミニウム等の金属、エポキシ系塗料等が挙げられる。
本発明の射出成形プラスチック燃料タンク用樹脂は、大型容器のみならず、大型容器に取り付ける小部品、例えば工業薬品缶、ドラム缶においては蓋(キャップ)、内溶液供給口、または取り出し口等の部品、燃料タンクにおいては、燃料タンク本体に溶着された燃料供給口、バルブまたは燃料ポンプ固定用蓋(キャップ)等の樹脂としても、好適に使用できる。この小部品とは、大型容器に溶着、ウェルドすることによって、大型容器に一体に取り付ける、取っ手、内溶液供給口、または取り出し口等の役割を果たす中空パイプ状小部品、大型容器の開口部の補強部品、インレット、開口部ライナーのような各種部品を挙げることができる。
また、大型容器の蓋(キャップ)のような、大型容器のネジ山に取り付ける為の内面にネジ山を設けたキャップ、大型容器の口への単なるはめ込み式のキャップなど、いわゆる大型容器とは別体で取り扱われる多くの所定の形状に設計変更された小部品を、対象とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、樹脂の物性は、以下の方法で測定した。
(1)密度:JIS K7112(1999)に準拠し、測定した。
(2)ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重):JIS K6922−1(1997)に準拠して測定した。また、メルトフローレート(MFR)(試験条件:190℃、2.16kg荷重)も、JIS K6922−1(1997)に準拠して測定した。
(3)230℃、剪断速度243sec−1における剪断粘度:東洋精機社製キャピログラフにより、径1.0mmφ、長さ40mmのノズルを使用し測定した。
(4)−40℃のシャルピー衝撃強度:JIS K6922−2(1997)に準拠して試験片を作成し、JIS K7111(1996)に準じて測定した。
(5)フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間:JIS K6774(1995)付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠し、80℃、6MPaで測定を行った。試験片は、JIS K6922−2(1997)表2の条件で作成した厚さ6mmで圧縮成形シートから切出し、全周にノッチを入れたもの(試験片厚み6mm、ノッチ深さ1mm、全周)を使用した。
(6)射出成形性:射出成形機(東芝機械社製IS150E)を用いて、成形温度230℃、金型温度40℃、冷却時間20秒で成形し、外観、成形品の寸法などを測定した。評価基準として、外観が良好で成形収縮率の低いものを◎、外観に問題がなく成形収縮率の低いものを○、外観不良又は成形収縮率の大きいものを×とした。
(7)配向性比:樹脂を溶融して射出成形した成形品からJIS K6922−2(1997)に準拠して試験片を作成し、JIS K7111(1996)に準じて、試験片の長辺の方向が樹脂の流動方向と同一方向となるように切り出したサンプルで測定したシャルピー衝撃強度値Smと、試験片の長辺の方向が樹脂の流動方向と垂直方向となるように切り出したサンプルで測定したシャルピー衝撃強度値Stの比、St/Smから計算した。
(8)射出成形品の耐衝撃性:樹脂を230℃で溶融混合し、射出成形機(東芝機械社製IS150E)を用いて、成形温度230℃、金型温度40℃、冷却時間20秒の条件にて、縦100mm、横100mm、高さ50mm、厚さ3mm、重量120g、容積500mlの直方体箱状の凹型容器に成形した。同じ方法で同じ形状の直方体箱状の凹型容器を製造し、2つの直方体箱状の凹型容器を使用し、各容器の口の淵部を200℃熱板にて溶融させ、各容器の淵部を合わせて溶着させることで密閉容器を作製した。
次に、この密閉容器の上面に10mmφ程度の穴を開け、その穴からエチレングリコール50重量%水溶液を入れて密栓し、−40℃にて、高さ6mより落下試験を行ない、異常の有無を確認した。
(9)射出成形品の耐久性:樹脂を230℃で溶融混合し、射出成形機(東芝機械社製IS150E)を用いて、成形温度230℃、金型温度40℃、冷却時間20秒の条件にて、縦100mm、横100mm、高さ50mm、厚さ3mm、重量120g、容積500mlの直方体箱状の凹型容器に成形した。同じ方法で同じ形状の直方体箱状の凹型容器を製造し、2つの直方体箱状の凹型容器を使用し、各容器の口の淵部を200℃熱板にて溶融させ、各容器の淵部を合わせて溶着させることで密閉容器を作製した。成形した容器を80℃にて1000時間保管し、異常の有無を確認した。
(10)射出成形品の耐燃料透過性:樹脂を230℃で溶融混合し、射出成形機(東芝機械社製IS150E)を用いて、成形温度230℃、金型温度40℃、冷却時間20秒の条件にて、縦100mm、横100mm、高さ50mm、厚さ3mm、重量120g、容積500mlの直方体箱状の凹型容器に成形した。同じ方法で同じ形状の直方体箱状の凹型容器を製造し、2つの直方体箱状の凹型容器を使用し、各容器の口の淵部を200℃熱板にて溶融させ、各容器の淵部を合わせて溶着させることで密閉容器を作製した。
次に、この密閉容器の上面に10mmφ程度の穴を開け、その穴からエタノール10容量%含有ガソリンを700ml注入、密栓し、40℃、200時間放置後の重量変化を測定した。
[実施例1]
(1)固体触媒成分の調製
直径が10mmの磁性ボール約700個を入れた内容積が1Lのポット(粉砕用容器)に、窒素雰囲気で市販のマグネシウムエチラート(平均粒径860μm)20g、粒状の三塩化アルミニウム1.66g及びジフェニルジエトキシシラン2.72gを入れた。これらを、振動ボールミルを用いて、振幅が6mm及び振動数が30Hzの条件で3時間共粉砕を行った。共粉砕後、内容物を窒素雰囲気下で磁性ボールと分離した。
以上のようにして得られた共粉砕生成物5g及び20mlのn−ヘプタンを200mlの三つ口フラスコに加えた。撹拌しながら室温において10.4mlの四塩化チタンを滴下し、90℃まで昇温し、90分間撹拌を続けた。次いで、反応系を冷却した後、上澄み液を抜き取り、n−ヘキサンを加えた。この操作を3回繰り返した。得られた淡黄色の固体を50℃にて減圧下で6時間乾燥を行って、固体触媒成分を得た。
(2)ポリエチレン(I)の製造
内容積200Lの第1の重合液体充填ループ型反応器に、脱水精製したイソブタンを102L/hr、トリイソブチルアルミニウムを54g/hrの速度で、前記固体触媒を3.2g/hrの速度で、さらにエチレンを14kg/hr、水素を0.59g/hr、コモノマーとして1−ヘキセンを1.38kg/hrの速度で連続的に供給し、80℃、重合圧力4.2MPa、平均滞留時間0.9hrの条件下で、エチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。
重合反応生成物の一部を採取し物性を測定した結果、HLMFRは0.16g/10min、密度は0.929g/cmであった。
次いで、第一工程重合生成物を含むイソブタンスラリーをそのまま内容積400Lの第二工程反応器に全量導入し、触媒および1−ヘキセンを追加することなく、イソブタンを86L/hr、エチレンを18kg/hr、水素を36g/hrの速度で連続的に供給し、90℃、重合圧力4.1MPa、平均滞留時間1.6hrの条件下で、第二工程の重合を行った。第二工程反応器から排出されたポリエチレン系重合体の乾燥後のHLMFRは15g/10分、密度は0.948g/cmであった。なお、高分子量成分(第一工程で製造された重合体)の割合は、45重量%であった。
一方、第二工程で製造される低分子量成分のポリエチレン系重合体のMFRと密度は、二段目の重合条件で別途重合することにより求め、MFRは80g/10分であり、密度は0.946g/cmであった。
(3)ポリエチレン(I)の評価
このポリエチレン(I)の剪断粘度、シャルピー衝撃強度、フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間を測定した。
また、ポリエチレン(I)を用いて上記の耐衝撃性及び耐久性の評価を行なった。
それらの評価結果を表1に示した。ポリエチレン(I)は、射出成形性が良好であり、耐衝撃性、シャルピー衝撃強度、耐久性のいずれも良好であった。
[実施例2]
水素供給量を調節した以外は実施例1と同様に、ポリエチレンの製造を行い、密度が0.948g/cm、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が20g/10分のポリエチレン(II)を製造した。
実施例1のポリエチレン(I)の代わりにポリエチレン(II)を使用した以外は、実施例1と同様に、ポリエチレンの評価を行なった。
それらの評価結果を表1に示した。ポリエチレン(II)は、射出成形性が良好であり、耐衝撃性、シャルピー衝撃強度、耐久性のいずれも良好であった。
[実施例3]
水素供給量を調節した以外は実施例1と同様に、ポリエチレンの製造を行い、密度が0.948g/cm、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が10g/10分のポリエチレン(III)を製造した。
実施例1のポリエチレン(I)の代わりにポリエチレン(III)を使用した以外は、実施例1と同様に、ポリエチレンの評価を行なった。
それらの評価結果を表1に示した。ポリエチレン(III)は、射出成形性が良好であり、耐衝撃性、シャルピー衝撃強度、耐久性のいずれも良好であった。
[比較例1]
実施例1のポリエチレン(I)の代わりに日本ポリエチレン社製ノバテックHD HB111R(以下「ポリエチレン(IV)」という。)を使用した以外は、実施例1と同様に、評価を行なった。
それらの評価結果を表1に示した。ポリエチレン(IV)は、射出成形性について流動性が不足しており、形状精度やひけが大きく(成形収縮率が大きく)実用的ではなかった。又、シャルピー衝撃強度比による配向性比は、30%であり、容器の耐衝撃性も満足できないレベルであった。
[比較例2]
1−ヘキセン供給量及び水素供給量を調節した以外は実施例1と同様に、ポリエチレンの製造を行い、密度が0.957g/cm、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が22g/10分のポリエチレン(V)を製造した。
実施例1のポリエチレン(I)の代わりにポリエチレン(V)を使用した以外は、実施例1と同様に、評価を行なった。
それらの評価結果を表1に示した。ポリエチレン(V)は、フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間が10時間であり、耐久性が不足しており、容器の耐久性が満足できないレベルであった。
[比較例3]
1−ヘキセン供給量及び水素供給量を調節した以外は実施例1と同様に、ポリエチレンの製造を行い、密度が0.935g/cm、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が35g/10分のポリエチレン(VI)を製造した。
実施例1のポリエチレン(I)の代わりにポリエチレン(VI)を使用した以外は、実施例1と同様に、評価を行なった。
それらの評価結果を表1に示した。ポリエチレン(VI)は、成形品の耐衝撃性が不足しており、容器として満足できるレベルでなかった。
[比較例4]
水素供給量を調節した以外は実施例1と同様に、ポリエチレンの製造を行い、密度が0.948g/cm、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が5g/10分のポリエチレン(VII)を製造した。
実施例1のポリエチレン(I)の代わりにポリエチレン(VII)を使用した以外は、実施例1と同様に、評価を行なった。
それらの評価結果を表1に示した。ポリエチレン(VII)は、HLMFRが小さく、射出成形性が不充分であり、射出成形材料として満足できるレベルでなかった。
[比較例5]
水素供給量を調節した以外は実施例1と同様にポリエチレンの製造を行い、密度が0.948g/cm、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が80g/10分のポリエチレン(VIII)を製造した。
実施例1のポリエチレン(I)の代わりにポリエチレン(VIII)を使用した以外は、実施例1と同様に、評価を行なった。
それらの評価結果を表1に示した。ポリエチレン(VIII)は、HLMFRが大きく、−40℃のシャルピー衝撃強度が低く、容器としての耐衝撃性が満足できるレベルでなかった。
[実施例4]:燃料タンクとしての評価
ポリエチレン(I)100重量部、クラレ社製エチレンビニルアルコール樹脂(EVOH)1重量部及び日本ポリエチレン社製無水マレイン酸変性ポリエチレン5重量部を、230℃で溶融混合し、射出成形機(東芝機械社製IS150E)を用いて、成形温度230℃、金型温度40℃、冷却時間20秒の条件にて、縦100mm、横100mm、高さ50mm、厚さ3mm、重量120g、容積500mlの直方体箱状の凹型容器に成形した。
同じ方法で同じ形状の直方体箱状の凹型容器を製造し、2つの直方体箱状の凹型容器を使用し、各容器の口の淵部を200℃熱板にて溶融させ、各容器の淵部を合わせて溶着させることで密閉容器を作製した。
耐燃料透過性は、この密閉容器の上面に10mmφ程度の穴を開け、その穴からガソリン400mlを容器に入れ密栓し、40℃の温度で、8週間の燃料透過量を重量法で測定した。
上記の射出成形性は良好であった。成形品の耐衝撃性、耐久性、耐燃料透過性を評価した結果、耐衝撃性、耐久性ともに異常なく、耐燃料透過性は、0.01g/dayであった。また、配向性比は53%であった。それらの評価結果を表1に示した。
[比較例6]:燃料タンクとしての評価
ポリエチレン(I)の代わりにポリエチレン(IV)を使用した以外は、実施例4と同様に、評価を行なった。
その結果、射出成形性は不良(×)であった。また、成形品の耐衝撃性、耐久性、耐燃料透過性を評価した結果、耐衝撃性はクラックが発生し、耐久性は異常なく、耐燃料透過性は、0.01g/dayであった。また、配向性比は30%であった。それらの評価結果を表1に示した。
[参考例1]:燃料タンクとしての評価
クラレ社製エチレンビニルアルコール樹脂(EVOH)を使用しなかった以外は、実施例4と同様に、評価を行なった。
その結果、射出成形性は良好であった。また、成形品の耐衝撃性、耐久性、耐燃料透過性を評価した結果、耐衝撃性、耐久性ともに異常なく、耐燃料透過性は、0.13g/dayであった。また、配向性比は53%であった。それらの評価結果を表1に示した。
Figure 2008114819
本発明の樹脂から得られる成形品は、成形性と耐久性とのバランスに優れ、特に射出成形性、耐久性、耐衝撃性のバランスに優れ、かつ耐久性に優れた大型射出成形プラスチック燃料タンクとすることができ、工業的に非常に利用価値の高いものである。

Claims (4)

  1. 下記(1)〜(5)の要件を満足することを特徴とする射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂。
    (1)密度が0.940〜0.970g/cmの範囲にある
    (2)ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が6g/10分以上である
    (3)230℃、剪断速度243sec−1における剪断粘度が10000poise以下である
    (4)−40℃のシャルピー衝撃強度が5KJ/m以上である
    (5)フルノッチクリープ試験(80℃、6MPaで測定)における破断時間が80時間以上である
  2. 下記成分(a)23〜84重量%と成分(b)77〜16重量%とを含有することを特徴とする請求項1に記載の射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂。
    成分(a):密度が0.915〜0.940g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR)(試験条件:190℃、21.6kg荷重)が0.05〜10g/10分のポリエチレン
    成分(b):密度が0.940〜0.970g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(試験条件:190℃、2.16kg荷重)が1〜300g/10分のポリエチレン
  3. 請求項1又は2に記載の射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂を用いて成形され、シャルピー衝撃強度比による配向性比が50%以上であることを特徴とする射出成形燃料タンク。
  4. 請求項1又は2に記載の射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂及び燃料バリア性材料を用いて成形され、シャルピー衝撃強度比による配向性比が50%以上であることを特徴とする射出成形燃料タンク。
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