JP2010076628A - 樹脂製燃料タンク用接合部品およびその製法 - Google Patents

樹脂製燃料タンク用接合部品およびその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂製燃料タンクの開口部外周との溶着部分において優れた溶着力を奏するとともに、燃料低透過性に優れ、耐ソルベントクラック性、成形性にも優れる、樹脂製燃料タンク用接合部品およびその製法を提供する。
【解決手段】樹脂製燃料タンク用接合部品(接合パイプ1)が、下記の(A)および(B)を主成分とするとともに下記の(C)成分を含有し、(A)成分および(B)成分の含有比率が、重量比で、(A)/(B)=10/90〜70/30の範囲であり、かつ、(B)成分が海相(マトリクス)を形成し(A)成分が島相(ドメイン)を形成するアロイ材からなる。
(A)高結晶性高密度ポリエチレン樹脂。
(B)低結晶性高密度ポリエチレン樹脂。
(C)結晶増核剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂製燃料タンクに接合される、接合パイプや接合バルブ等の、樹脂製燃料タンク用接合部品およびその製法に関するものである。
自動車用の樹脂製燃料タンクの開口部外周に接合される、接合パイプや接合バルブ等の接合部品としては、最近、樹脂製のものが使用されている。そして、その樹脂製接合部品は、通常、熱板溶着により樹脂製燃料タンクに接合される。
上記樹脂製燃料タンクは、燃料の蒸散防止を考慮して、通常、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の燃料低透過材料からなる燃料低透過層を組み込んだ多層構造とされ、その最外層の材料には、耐衝撃性,耐薬品性,耐水性,経済性等の理由から、高密度ポリエチレン(HDPE)等が用いられている。
また、上記接合パイプ等の接合部品の材料には、一般に、ポリアミド12(PA12)等の燃料低透過材料が用いられる。しかしながら、PA12等は、上記燃料タンクの最外層であるHDPE層に対して溶着しない。そこで、燃料タンクとの溶着性を高めるため、上記接合パイプもHDPEにより構成することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2715870号公報
しかしながら、HDPE(なかでも、高結晶性のHDPE)からなる接合部品は、ガソリン等の燃料に浸漬させると亀裂(ソルベントクラック)が生じやすいといった問題がある。ここで、高結晶性のHDPEは、粘度が低いことから、これのみでの成形(金型成形)は困難であり、さらに、成形できたとしても、その成形体である接合部品を燃料タンクと溶着する際、溶着用の熱板側に、上記成形体の溶けたものが糸を引いて付着する問題もある。
そこで、接合部品の材料に、耐ソルベントクラック性の高い、分岐構造のHDPEを用いることが検討されている。しかし、このグレードのHDPEは、燃料に対するバリア効果が低いことから、燃料系の接合部品の材料として使用するには問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、樹脂製燃料タンクの開口部外周との溶着部分において優れた溶着力を奏するとともに、燃料低透過性に優れ、耐ソルベントクラック性、成形性にも優れる、樹脂製燃料タンク用接合部品およびその製法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、樹脂製燃料タンクの開口部外周に、それ自体の一端開口部を位置決めした状態で溶着される略筒状の樹脂製燃料タンク用接合部品であって、下記の(A)および(B)を主成分とするとともに下記の(C)成分を含有し、(A)成分および(B)成分の含有比率が、重量比で、(A)/(B)=10/90〜70/30の範囲であり、かつ、(B)成分が海相(マトリクス)を形成し(A)成分が島相(ドメイン)を形成するアロイ材からなる樹脂製燃料タンク用接合部品を第一の要旨とする。
(A)高結晶性高密度ポリエチレン樹脂。
(B)低結晶性高密度ポリエチレン樹脂。
(C)結晶増核剤。
また、本発明は、上記第一の要旨の樹脂製燃料タンク用接合部品の製法であって、上記(A)および(B)成分を、重量比で、(A)/(B)=10/90〜70/30の範囲となるよう配合して高剪断をかけて混練した後、これをペレット化し、そのペレットと、上記(C)成分とを混合し、これを加熱成形する樹脂製燃料タンク用接合部品の製法を第二の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、上記接合部品の材料(主成分)に使用する高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)として、成形性、燃料低透過性、溶着性等の観点から、高結晶性高密度ポリエチレン樹脂(高結晶性HDPE)と低結晶性高密度ポリエチレン樹脂(低結晶性HDPE)とをブレンドしたものを用いることを想起した。そして、実験を重ねた結果、上記観点から、そのブレンド比率を特定の範囲に設定し、かつ上記低結晶性HDPEが海相となり、上記高結晶性HDPEが島相となるアロイ材となるよう構成すると、良好な結果が得られることを突き止めた。さらに、実験を続けることにより、上記アロイ材中に、結晶増核剤を配合すると、耐ソルベントクラック性・燃料低透過性が格段に向上することを突き止めた。本発明者らは、このようになった要因を突き止めるため、走査透過電子顕微鏡(STEM)を用いて上記アロイ材のモルフォロジーを観察したところ、結晶増核剤の配合により、樹脂の流れ方向(ラメラ構造の成長方向)に乱れが生じるようになることを確認した。この乱れによって、クラックの伝播が阻害されるようになり、また、燃料透過経路(主に海相がガソリン成分の浸透経路となる)も長くなってガソリン成分の浸透が阻害されるようになったものと考えられる。しかも、結晶増核剤により島相部分の結晶化度が上がる(結晶が整列し細密化する)ことも確認されており、これにより燃料による膨潤が抑制されるようになるため、さらに燃料低透過性が向上したものと考えられる。これらのことから、燃料タンク用接合部品を、上記のようなアロイ材からなるものとすることにより、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品は、高結晶性HDPEと低結晶性HDPEと結晶増核剤とを含有するアロイ材からなり、高結晶性HDPEと低結晶性HDPEとの含有比率が特定の範囲で、低結晶性HDPEが海相を形成し高結晶性HDPEが島相を形成している。そのため、樹脂製燃料タンクの開口部外周との溶着部分において優れた溶着力を奏するとともに、燃料低透過性に優れ、耐ソルベントクラック性、成形性にも優れた効果を発揮することができる。そして、本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品は、樹脂製燃料タンクに直接溶着することができるため、従来、その両者の間に介在させて使用していた溶着部材は、不要とすることができる。また、本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品は、上記のように別部材を要しないため、一体成形で製造可能であり、材料コストも抑えることができ、コスト面でも有利である。
特に、上記アロイ材中の、結晶増核剤の含有割合が、その高結晶性HDPEと低結晶性HDPEとの合計量100重量部に対し、0.3〜0.5重量部の範囲である場合には、燃料低透過性、耐ソルベントクラック性に、より優れたものとなる。
また、上記アロイ材中の結晶増核剤が、ジベンジリデンソルビトール系結晶増核剤、有機カルボン酸塩系結晶増核剤、リン酸エステルナトリウム塩系結晶増核剤である場合には、燃料低透過性、耐ソルベントクラック性に、より優れたものとなる。
そして、本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品において、上記高結晶性HDPEと低結晶性HDPEとを特定の割合で配合して、二軸押出機等で高剪断をかけて混練した後、これをペレット化し、そのペレットと、上記結晶増核剤とを混合し、これを加熱成形して上記樹脂製燃料タンク用接合部品を製造すると、上記のような海島構造が良好に形成することができることから、所望の燃料低透過性、耐ソルベントクラック性等が得られるようになる。
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。但し、本発明は、これに限定されるものではない。
図1は、本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品(以下、「接合部品」と略す。)の一例である接合パイプ1を、樹脂製燃料タンクTの開口部Taの外周に溶着した状態を模式的に示している。図示されてないが、上記接合パイプ1の上端には、燃料ホースが外嵌され、接続される。また、上記接合パイプ1は、通常、図1に示すように、ホース外嵌部となる上半分が一定内径に形成され、下半分が内外径とも末広がり状に形成された略円筒状となっている。なお、図1において、符号RはOリングである。また、上記樹脂製燃料タンクTは、通常、図1に示すように、外側表面(最外層)から、HDPE層/変性HDPE層/EVOH層/変性HDPE層/HDPE層の5層構造となっている。
本発明では、上記接合パイプ1そのものが、下記に詳述する特殊なアロイ材からなることを最大の特徴としており、これにより、樹脂製燃料タンクTの開口部Ta外周との溶着部分(外側表面層であるHDPE層との溶着部分)において優れた溶着力が得られるとともに、優れた燃料低透過性、耐ソルベントクラック性、成形性を達成することができる。また、図1に示すように、上記接合パイプ1を、樹脂製燃料タンクTに直接溶着することができるため、従来の溶着に要していた溶着部材は不要となる。
上記特殊なアロイ材は、下記の(A)および(B)を主成分とするとともに下記の(C)成分を含有するアロイ材であって、(A)成分および(B)成分の含有比率が、重量比で、(A)/(B)=10/90〜70/30の範囲であり、かつ、(B)成分が海相(マトリクス)を形成し(A)成分が島相(ドメイン)を形成するものである。ここで「主成分」とは、組成物の特性に大きな影響を与えるもののことであり、通常は、アロイ材全体の50重量%以上を意味する。
(A)高結晶性HDPE。
(B)低結晶性HDPE。
(C)結晶増核剤。
上記のように、(A)成分および(B)成分の含有比率は、重量比で、(A)/(B)=10/90〜70/30の範囲にする必要があり、好ましくは、(A)/(B)=20/80〜50/50の範囲である。すなわち、上記(A)成分である高結晶性HDPEの割合が上記範囲未満であると、島相の形成が不充分となり燃料低透過性に劣るからであり、逆に、上記高結晶性HDPEの割合が上記範囲を超えると、組成物の粘度が低くなるため成形性に劣り、しかも、金型成形時や、燃料タンクとの溶着時に、金型や熱板側に、接合パイプ1の溶融物が付着して汚染させる問題が生じるからである。
ところで、上記(A)成分および(B)成分のHDPE(高結晶性HDPEおよび低結晶性HDPE)は、一般的なポリエチレンよりも高密度のものであり、通常、その比重が0.93〜0.97、好ましくは0.93〜0.96の範囲内であり、かつ、融点が120〜145℃の範囲内のものである。なお、上記比重は、ISO 1183に基づく値であり、上記融点は、ISO 3146に基づく値である。
そして、上記高結晶性HDPEとは、その密度が0.96〜0.97のものであり、上記低結晶性HDPEとは、その密度が0.93〜0.95のものである。上記高結晶性HDPEは、例えば、金属触媒を用いた重合によって得ることができる。また、上記低結晶性HDPEは、例えば、多段重合プロセス等、タイ分子を効率的に導入可能な重合プロセスを用いることによって得ることができる。そして、上記高結晶性HDPEの具体例としては、例えば、日本ポリエチレン社製のノバテックHJ560,ノバテックHJ590N,ノバテックHJ580等があげられる。また、上記低結晶性HDPEの具体例としては、例えば、東ソー社製のニポロンハード6510、プライムポリマー社製のハイゼックス6300M等あげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
上記(A)成分および(B)成分のHDPEとともに用いられる結晶増核剤(C成分)としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール系結晶増核剤、有機カルボン酸塩系結晶増核剤、リン酸エステルナトリウム塩系結晶増核剤等があげられる。これらを用いることにより、燃料低透過性、耐ソルベントクラック性が、より優れたものとなるため、好ましい。
上記ジベンジリデンソルビトール系結晶増核剤としては、具体的には、ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルジベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルジベンジリデン)ソルビトール等があげられる。また、上記有機カルボン酸塩系結晶増核剤としては、具体的には、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−t−ブチル安息香酸ナトリウム、フタル酸水素ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸ナトリウム等があげられる。また、上記リン酸エステルナトリウム塩系結晶増核剤としては、具体的には、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2、2′−メチレンビス(4、6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等があげられる。そして、これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
そして、上記アロイ材中の、結晶増核剤(C成分)の含有割合は、その高結晶性HDPE(A成分)と低結晶性HDPE(B成分)との合計量100重量部(以下、「部」と略す)に対し、0.1〜0.5部の範囲とすることが、燃料低透過性、耐ソルベントクラック性に優れたものとなるため、好ましい。上記観点から、より好ましくは、上記結晶増核剤(C成分)の含有割合は、0.3〜0.5部の範囲である。なお、上記結晶増核剤の含有割合が上記範囲未満であると、燃料低透過性、耐ソルベントクラック性の向上効果に乏しく、逆に、上記結晶増核剤の含有割合が上記範囲を超えるよう配合しても、それ以上の効果は得られない。
そして、上記アロイ材は、例えば、上記二種類のHDPE(A成分およびB成分)を、先に述べたような特定の割合で配合し、220〜250℃の温度で、二軸押出機等で高剪断をかけて混練した後、これをペレット化し、そのペレットと、上記結晶増核剤(C成分)とを混合することにより、得ることができる。このように一旦ペレット化したものと結晶増核剤とを混合して調製すると、海島構造が良好に形成されることから、接合パイプ1に、所望の燃料低透過性、耐ソルベントクラック性等が得られるようになる。上記海島構造の観察は、例えば、走査透過電子顕微鏡(STEM)により行うことができる。なお、仮に、上記(A)〜(C)成分を同時に配合して混練しても、上記のような所望の海島構造は形成されない。
なお、上記アロイ材の材料には、上記二種類のHDPEと、結晶増核剤に加えて、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、ブロッキング剤等を必要に応じて配合しても差し支えない。
そして、本発明の接合部品の一例である接合パイプ1は、上記のようにして調製したアロイ材(通常、ペレット状に加工される)を、加熱成形(溶融押出成形、溶融射出成形等)することにより、製造することができる。なお、成形温度は、220〜260℃で行われる。
なお、上記接合パイプ1と樹脂製燃料タンクとの接合(溶着)方法としては、例えば、高い接合強度が得られる観点から、熱板溶着法,振動溶着法,超音波溶着法,レーザー溶着法等が好適であるが、ホットガス溶着法,回転溶着法であっても差し支えない。
また、本発明の接合部品は、上記接合パイプ以外にも、例えば、燃料フィラーバルブ,ORVR(Onboard Refueling Vapor Recovery)バルブ,VSF(Vent Shaft Float)バルブ,Vリターンバルブ、燃料カットオフ等の接合バルブに好適に用いられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、下記に示す材料を準備した。
〔高結晶性HDPE(A成分)〕
日本ポリエチレン社製、ノバテックHJ560(密度:0.96)
〔低結晶性HDPE(B成分)〕
東ソー社製、ニポロンハード6510(密度:0.95)
〔結晶増核剤(C成分)〕
アデカ社製、アデカスタブNA−11
〔実施例1〜5、比較例1〜2〕
上記各材料を、下記の表1および表2に示す割合で準備し、その材料のうち、高結晶性HDPEと低結晶性HDPEとを、二軸混練押出機(日本製鋼所製、TEX30α)を用いて、混練温度220℃で混練し、これをペレット化した後、そのペレットと、結晶増核剤とを、同表に示す割合で混合し、再度、ペレット化した。
〔比較例3〕
結晶増核剤の配合を行わなかった。それ以外は、実施例1と同様にして、ペレットを製造した。
〔比較例4〕
上記各材料を、下記の表に示す割合で同時に配合して、二軸混練押出機(日本製鋼所製、TEX30α)を用いて、混練温度220℃で混練し、これをペレット化した。
上記のように作製した各ペレットの海相,島相の分散状態(海島構造)を、走査透過電子顕微鏡(STEM)(日立社製、S−4800)を用いて観察し、その結果を下記の表1および表2に併せて示した。すなわち、海島構造の評価では、明確な海島構造が確認されるもの「○」、海島構造がはっきりしないものを「△」、海島構造が全く確認されないものを「×」と評価した。また、ラメラ構造の乱れが確認されるものを「○」、ラメラ構造の乱れが確認されないものを「×」と評価した。なお、上記観察は、ペレットを薄くスライスしてカーボン蒸着した後、0.5%RuO4 溶液を用いて30分間染色したものに対して行った。
Figure 2010076628
Figure 2010076628
つぎに、上記のようにして得られたペレットを用い、金型内への溶融射出成形することにより、図2に示すような有天円筒状の試験片1′を作製した。なお、成形温度は220℃にて行った。この試験片の寸法は、高さ10mm、内径70mmとし、周壁および天壁の厚み4mmとなるように作製した。
このようにして得られた実施例および比較例の各試験片を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表3および表4に併せて示した。
〔燃料透過量〕
図3に示すように、樹脂製燃料タンクに相当するHDPE/変性HDPE/EVOH/変性HDPE/HDPEの5層構造(図3では各層を図示せず)からなるシート材11を準備し、このシート材11に、上記試験片1′の下端開口内径と同径の開口部11aを形成した。そして、この開口部11aの外周部と試験片1′の下端開口部とを位置決めした状態で、各試験片1′を上記シート材11の片面(HDPE層の表面)に熱板溶着(240℃×20秒間)により溶着し、各サンプルを作製した。つぎに、カップ形状の容器12を準備し、この容器12に、Fuel C〔トルエン:イソオクタン=50:50(容量基準)〕と、エタノールとの混合燃料液〔Fuel C:エタノール=90:10(容量基準)〕13を収容した。上記容器12は、上端部が拡径した段部を有しており、上端開口部内周面には、雌螺子が螺刻されている。そして、上記容器12の段部に、リング状のシールゴム14を介して、上記サンプルを重ね、さらに、リング状の螺子蓋15を上端開口部に螺合させて上記サンプルのシート材11の部分を締め付けることにより、容器12を密封した。このようにして、燃料透過量を測定する試験装置を作製した。そして、その試験装置を上下逆さまにした状態で、雰囲気を40℃に保ち、1ケ月間、毎日1度ずつ試験装置の重量を測定し、1日当たりの重量変化を算出した。そして、その重量変化が安定した時の1日当たりの重量変化を燃料透過量とした。なお、本発明においては、上記燃料透過量(mg・mm/cm2 /day)が7未満であることが要求される。
〔溶着汚染〕
上記サンプル作製時(溶着時)に使用した熱板に、上記試験片1′の溶融物の付着がみられなかったものを「○」、上記溶融物の付着による汚染がみられたものを「×」と評価した。
〔タンクとの溶着性〕
樹脂製燃料タンクに相当する上記5層構造からなるシート材11に上記各試験片1′が溶着した部分を、10mm幅で短冊状に切断し、サンプルを作製した。そして、この短冊状のサンプルにおけるシート材11の先端部と各試験片1′の先端部とを、引張試験機(オリエンテック社製)の各チャックに挟み、引張速度50mm/秒の条件で、引張試験を行った。その結果、シート材11と試験片1′との界面で剥離は起こらず、シート材11または試験片1′のいずれか(母材)が破壊したものを「○」と評価した。
〔耐ソルベントクラック性〕
上記各試験片1′を、Fuel C:エタノール=90:10(容量基準)の混合燃料液に浸漬し、40℃環境下で48時間放置した。その後、試験片1′を目視観察した結果、クラックが全く入っていないものを○、若干のクラックが入っていたものを△、クラックが多数入っていたものを×と評価した。
Figure 2010076628
Figure 2010076628
上記結果から、実施例の試験片は、いずれも燃料透過量が少ないことがわかる。しかも、溶着汚染もみられず、樹脂製燃料タンクとの溶着力も強力であり、かつソルベントクラックも生じることはなかった。
これに対して、比較例1の試験片は、高結晶性HDPEの割合が少な過ぎるため、海島構造による燃料低透過性が充分に発現されてないことから、実施例の試験片に比べ、燃料透過量がやや多く、しかもソルベントクラックも発生した。比較例2の試験片は、高結晶性HDPEの割合が多過ぎたことから、溶着汚染がみられ、しかもソルベントクラックも発生した。比較例3の試験片は、結晶増核剤が不含であることから、ラメラ構造の乱れによる燃料低透過性や耐ソルベントクラック性が充分に発現されない結果となった。比較例4の試験片は、材料自体は実施例1と同じ割合であるが、製造方法が異なり、全材料を同時に混練し、作製したことから、所望の海島構造が形成されず、そのため、実施例1に比べ、燃料低透過性や耐ソルベントクラック性が充分に発現されない結果となった。
なお、実施例で使用されている結晶増核剤(アデカスタブNA−11)は、リン酸エステルナトリウム塩系結晶増核剤であるが、これに代えて、ジベンジリデンソルビトール系結晶増核剤や有機カルボン酸塩系結晶増核剤を用いたときでも、実施例と同様、上記各特性に優れる結果が得られることが、実験により確認された。
本発明の接合部品の一実施の形態が樹脂製燃料タンクに溶着した状態を模式的に示す断面図である。 実施例,比較例の試験片を示す断面図である。 実施例,比較例の試験片の燃料透過量を測定する試験装置を示す断面図である。
符号の説明
1 接合パイプ

Claims (5)

  1. 樹脂製燃料タンクの開口部外周に、それ自体の一端開口部を位置決めした状態で溶着される略筒状の樹脂製燃料タンク用接合部品であって、下記の(A)および(B)を主成分とするとともに下記の(C)成分を含有し、(A)成分および(B)成分の含有比率が、重量比で、(A)/(B)=10/90〜70/30の範囲であり、かつ、(B)成分が海相(マトリクス)を形成し(A)成分が島相(ドメイン)を形成するアロイ材からなることを特徴とする樹脂製燃料タンク用接合部品。
    (A)高結晶性高密度ポリエチレン樹脂。
    (B)低結晶性高密度ポリエチレン樹脂。
    (C)結晶増核剤。
  2. 上記アロイ材中の(C)成分の含有割合が、その(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対し、0.3〜0.5重量部の範囲である請求項1記載の樹脂製燃料タンク用接合部品。
  3. 上記(C)成分の結晶増核剤が、ジベンジリデンソルビトール系結晶増核剤、有機カルボン酸塩系結晶増核剤およびリン酸エステルナトリウム塩系結晶増核剤からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1または2記載の樹脂製燃料タンク用接合部品。
  4. 上記(A)成分の高結晶性高密度ポリエチレン樹脂の密度が0.96〜0.97であり、上記(B)成分の低結晶性高密度ポリエチレン樹脂の密度が0.93〜0.95である請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂製燃料タンク用接合部品。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂製燃料タンク用接合部品の製法であって、下記の(A)および(B)成分を、重量比で、(A)/(B)=10/90〜70/30の範囲となるよう配合して高剪断をかけて混練した後、これをペレット化し、そのペレットと、下記の(C)成分とを混合し、これを加熱成形することを特徴とする樹脂製燃料タンク用接合部品の製法。
    (A)高結晶性高密度ポリエチレン樹脂。
    (B)低結晶性高密度ポリエチレン樹脂。
    (C)結晶増核剤。
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JP2008114819A (ja) * 2006-11-08 2008-05-22 Nippon Polyethylene Kk 射出成形プラスチック燃料タンク用ポリエチレン系樹脂及びそれを用いた射出成形燃料タンク

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