JP5154488B2 - 樹脂製燃料タンク用接合部品 - Google Patents

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本発明は、樹脂製燃料タンクに接合される、接合パイプや接合バルブ等の、樹脂製燃料タンク用接合部品に関するものである。
自動車用の樹脂製燃料タンクの開口部外周に接合される、接合パイプや接合バルブ等の接合部品としては、最近、樹脂製のものが使用されている。この樹脂製接合部品は、通常、熱板溶着により樹脂製燃料タンクに接合される。
上記樹脂製燃料タンクは、燃料の蒸散防止を考慮して、通常、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の燃料低透過材料からなる燃料低透過層を組み込んだ多層構造とされ、その最外層の材料には、耐衝撃性,耐薬品性,耐水性,経済性等の理由から、高密度ポリエチレン(HDPE)等が用いられている。
一方、上記樹脂製燃料タンクに接合される接合パイプの材料としては、一般に、ポリアミド12(PA12)等のポリアミド樹脂(燃料低透過材料)が用いられている。しかしながら、PA12等は、上記燃料タンクの最外層であるHDPE層に対して溶着しない。そのため、燃料タンクの最外層(HDPE層)と、接合パイプとの間に、両者のいずれとも強固に溶融接合する変性ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂からなる溶着部材を介在させ、両者を溶着させたものが提案されている(特許文献1)。
また、上記接合パイプそのものを、ポリオレフィン樹脂からなる海相中に、ポリアミド樹脂からなる島相が分散してなるアロイ材により構成し、上記海相となるポリオレフィン樹脂(HDPE等)と、燃料タンクの最外層(HDPE層)とを溶着させたものも提案されている(特許文献2)。
特許第2715870号公報 特開2001−302910号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、接合パイプと燃料タンクの最外層(HDPE層)との間に溶着部材を介在させる必要があるため、部品数が増加し、コストが増大する。また、上記溶着部材の材料である変性ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂は、溶着性には優れているが、燃料に対するバリア性が劣るため、燃料が溶着部材を透過して外部に蒸散するという難点もある。
一方、上記特許文献2に記載のものは、ポリオレフィン樹脂とポリアミド樹脂との配合比率により、接合パイプの燃料低透過性が大きく左右されるため、充分な燃料低透過性を得るにはさらに改良を加える必要がある。また、上記特許文献2に記載のものは、アロイ材の海島界面の相溶性が充分でないため、燃料浸漬時に、海相と島相との膨張率の違いから海島界面が剥離し、その剥離により生じた空間に燃料が入りこみ、燃料低透過性が劣るという難点もある。なお、上記接合パイプの材料として、樹脂中にナノコンポジット等の無機系フィラーを配合したものを用い、燃料低透過性を向上させることも検討されているが、この手法では、フィラーを微分散可能な状態に前処理する必要があり、コスト面で不利である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、樹脂製燃料タンクとの溶着性(溶着強度)、および燃料低透過性に優れた、樹脂製燃料タンク用接合部品の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品は、樹脂製燃料タンクの開口部外周に、それ自体の一端開口部を位置決めした状態で溶着される略筒状の樹脂製燃料タンク用接合部品であって、上記樹脂製燃料タンク用接合部品が、下記の(A)〜(C)からなる海相中に、下記の(D)からなる島相が分散したアロイ材により形成されてなり、上記(A)の含有割合が(A)〜(D)合計量全体の2〜19重量%であり、かつ上記海相と島相との間に両相の相溶層を有するという構成をとる。
(A)酸変性率が2.0重量%以上である高酸変性高密度ポリエチレン樹脂。
(B)酸変性率が0.5重量%以上2.0重量%未満である酸変性高密度ポリエチレン樹脂。
(C)未変性高密度ポリエチレン樹脂。
(D)ポリアミド樹脂。
すなわち、本発明者らは、樹脂製燃料タンクとの溶着性、および燃料低透過性に優れた、樹脂製燃料タンク用接合部品を得るため、鋭意研究を重ねた。この研究の過程で、本発明者らは、上記接合部品そのものを、高密度ポリエチレン樹脂からなる海相中に、ポリアミド樹脂からなる島相が分散したアロイ材で構成することを想起した。そして、この着想に基づき、上記海相を構成する高密度ポリエチレン樹脂について研究を重ねた結果、高酸変性高密度ポリエチレン樹脂(A)と、酸変性高密度ポリエチレン樹脂(B)と、未変性高密度ポリエチレン樹脂(C)とからなる高密度ポリエチレン樹脂を用いるとともに、上記アロイ材中の上記高酸変性高密度ポリエチレン樹脂(A)の含有割合を(A)〜(D)の合計量全体の2〜19重量%とし、上記海相と島相との間に両相の相溶層を形成すると、樹脂製燃料タンクとの溶着性、および燃料低透過性に優れた、樹脂製燃料タンク用接合部品が得られることを見いだし、本発明に到達した。
この理由については明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品を構成するアロイ材は、図4の走査電子顕微鏡(SEM)写真に示すように、海相(黒く写っているところ)と、島相(白く写っているところ)との界面に相溶層(白くぼやけて写っている層)が形成されていることが確認されている。本発明者らが、上記相溶層について研究、分析したところ、上記相溶層において、海相中の高酸変性高密度ポリエチレン樹脂(A)が、島相中のポリアミド樹脂(D)と直鎖型に結合し、これが相溶剤として作用し、海島界面の安定化に寄与していると考えられる。また、上記相溶層において、海相中の酸変性高密度ポリエチレン樹脂(B)が、島相中のポリアミド樹脂(D)とグラフト型に結合し、これが相溶剤として作用し、ポリアミド樹脂(D)との接着性に寄与していると考えられ、また、海相中の未変性高密度ポリエチレン樹脂(C)が、海島の引張強度に寄与していると考えられる。このような理由により、図4に示すアロイ材は、上記相溶層により、海島界面での相溶状態が強化されているものと考えられる。そして、図4に示すアロイ材は、従来の樹脂製アロイ材にみられるような、燃料浸漬による膨張時の海島界面剥離が生じず、界面の燃料透過経路化(燃料が漏れるための経路ができること)がなくなるため、燃料低透過性に優れるようになると考えられる。
すなわち、従来の樹脂製アロイ材〔高酸変性高密度ポリエチレン樹脂(A)および酸変性高密度ポリエチレン樹脂(B)を含有せず、未変性高密度ポリエチレン樹脂(C)のみからなる海相中に、ポリアミド樹脂(D)からなる島相が分散してなる樹脂製アロイ材〕は、図5の走査電子顕微鏡写真に示すように、海相(黒く写っているところ)と、島相(白く写っているところ)との界面に相溶層が殆ど形成されていない。また、島相の分散度合について、図4と図5のアロイ材を対比すると、図5に示す従来のアロイ材の方が島相の分散度合は良い。このことから、燃料低透過性の向上には、島相の分散度合よりも、海島界面での相溶層の形成が重要であり、有効であることがわかる。
本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品は、高酸変性高密度ポリエチレン樹脂(A)と、酸変性高密度ポリエチレン樹脂(B)と、未変性高密度ポリエチレン樹脂(C)とからなる海相中に、ポリアミド樹脂(D)からなる島相が分散したアロイ材により形成されてなり、上記アロイ材中の上記高酸変性高密度ポリエチレン樹脂(A)の含有割合が、(A)〜(D)合計量全体の2〜19重量%であり、かつ上記海相と島相との間に両相の相溶層を有している。そのため、樹脂製燃料タンクの開口部外周との溶着部分の溶着性(溶着強度)に優れるとともに、燃料低透過性にも優れている。また、上記のように、高酸変性高密度ポリエチレン樹脂(A)を配合しているため、引張強度も向上する。そのため、本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品は、ジョイント部材として、より優れた強度性能を発揮することができる。さらに、本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品は、一体成形で製造可能であり、材料コストも抑えることができるため、コスト面でも有利である。また、本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品は、樹脂製燃料タンクに直接溶着することができるため、溶着部材が不要となり、部品数の増加、コストの増大を抑制することができる。
また、上記アロイ材中の上記ポリアミド樹脂(D)の含有割合が、(A)〜(D)合計量全体の25〜37重量%である場合には、燃料タンク最外層との溶着性と、燃料低透過性とのバランスがより良好となる。
そして、上記アロイ材中の、上記高酸変性高密度ポリエチレン樹脂(A)および酸変性高密度ポリエチレン樹脂(B)の総含有割合が、(A)〜(D)合計量全体の20〜35重量%であり、上記未変性高密度ポリエチレン樹脂(C)の含有割合が、(A)〜(D)合計量全体の30〜50重量%である場合には、燃料タンク最外層との溶着性がより強固となり、かつ、燃料低透過性もより向上する。
また、上記相溶層の厚みが、100〜350nmの範囲である場合には、海島界面剥離が抑制され、燃料低透過性がより一層向上する。
本発明の接合部品の一実施の形態が樹脂製燃料タンクに溶着した状態を模式的に示す断面図である。 実施例,比較例の試験片を示す断面図である。 実施例,比較例の試験片の燃料透過量を測定する試験装置を示す断面図である。 本発明の接合部品を構成するアロイ材の走査電子顕微鏡(SEM)写真である(倍率:10000倍)。 従来のアロイ材の走査電子顕微鏡(SEM)写真である(倍率:10000倍)。
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品(以下、「接合部品」と略す。)は、樹脂製燃料タンクの開口部外周に、それ自体の一端開口部を位置決めした状態で溶着される略筒状のものであり、例えば、接合パイプや接合バルブ等のジョイント部材として用いられる。
本発明の接合部品の一例である接合パイプ1は、例えば、図1に示すように、樹脂製燃料タンクTの開口部Taの外周に溶着された状態で用いられ、上記接合パイプ1には、燃料ホース(図示せず)が接続される。上記接合パイプ1は、図1に示すように、ホース外嵌部となる上半分が一定内径に形成され、下半分が内外径とも末広がり状に形成された略円筒状となっている。なお、図において、RはOリングを示す。
上記樹脂製燃料タンクTとしては、通常、外側表面(最外層)が、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)層からなり、例えば、図1に示すように、HDPE層(最外層)/変性HDPE層/EVOH層/変性HDPE層/HDPE層(最内層)の5層構造に構成されている。
本発明では、上記接合パイプ1そのものが、下記に詳述する特殊なアロイ材からなることが最大の特徴であり、これにより、樹脂製燃料タンクTの開口部Ta外周との溶着部分(外側表面層であるHDPE層との溶着部分)において優れた溶着力が得られるとともに、優れた燃料低透過性を得ることができる。また、図1に示すように、上記接合パイプ1を、樹脂製燃料タンクTに直接溶着することができるため、従来の溶着に要していた溶着部材は不要となる。
上記特殊なアロイ材は、高酸変性HDPE(A)と、酸変性HDPE(B)と、未変性HDPE(C)からなる海相中に、ポリアミド樹脂(D)からなる島相が分散したアロイ材であり、上記海相と島相との間に両相の相溶層を有している。ここで、高酸変性HDPE(A)および酸変性HDPE(B)とは、HDPEを不飽和カルボン酸誘導体等の酸で変性したものをいい、未変性HDPE(C)とは、HDPEを変性していないものをいう。そして、上記高酸変性HDPE(A)は、酸変性HDPE(B)よりも酸の使用割合(含有割合)が多いものをいう。
上記アロイ材中の高酸変性HDPE(A)の含有割合は、(A)〜(D)合計量全体の2〜19重量%であり、好ましくは2〜10重量%、特に好ましくは3〜8重量%である。すなわち、上記高酸変性HDPE(A)の含有割合が少なすぎると、燃料タンクとの溶着性が悪くなり、逆に上記高酸変性HDPE(A)の含有割合が多すぎると、燃料低透過性が悪くなるからである。
上記アロイ材中の、上記高酸変性HDPE(A)および酸変性HDPE(B)の総含有割合は、(A)〜(D)合計量全体の20〜35重量%が好ましく、特に好ましくは27〜30重量%である。また、上記アロイ材中の未変性HDPE(C)の含有割合は、(A)〜(D)合計量全体の30〜50重量%が好ましく、特に好ましくは35〜45重量%である。
上記アロイ材中のポリアミド樹脂(D)の含有割合は、(A)〜(D)合計量全体の25〜37重量%が好ましく、特に好ましくは30〜35重量%である。すなわち、上記ポリアミド樹脂(D)の含有割合が少なすぎると、HDPE〔(A)〜(C)〕の含有割合が多くなるため、燃料低透過性が悪くなる傾向がみられ、逆に上記ポリアミド樹脂(D)の含有割合が多すぎると、燃料タンクとの溶着性が悪くなる傾向がみられるからである。
ここで、上記高酸変性HDPE(A)、酸変性HDPE(B)および未変性HDPE(C)中のHDPEは、一般的なポリエチレン(PE)よりも高密度のものをいい、通常、比重が0.93〜0.97、好ましくは0.93〜0.96であり、かつ、融点が120〜145℃のものをいう。なお、上記比重は、ISO 1183に基づく値であり、上記融点は、ISO 3146に基づく値である。
上記高酸変性HDPE(A)の酸変性率は、2.0重量%以上であり、好ましくは2.0〜2.5重量%である。また、上記酸変性HDPE(B)の酸変性率は、0.5重量%以上、2.0重量%未満であり、好ましくは0.5〜1.0重量%である。上記酸としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体等が、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記高酸変性HDPE(A)および酸変性HDPE(B)は、例えば、HDPEに、不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸誘導体等の変性用化合物を、ラジカル開始剤の存在下、グラフト変性することによって得ることができる。そして、上記変性により得られる高酸変性HDPE(A)および酸変性HDPE(B)は、マレイン酸無水物残基,マレイン酸基,アクリル酸基,メタクリル酸基,アクリル酸エステル基,メタクリル酸エステル基,酢酸ビニル基等の官能基のいずれか、もしくは二種以上の官能基を有する変性HDPEであることが好ましい。
上記高酸変性HDPE(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常、18000程度であり、また、上記酸変性HDPE(B)および未変性HDPE(C)の重量分子量(Mw)は、通常、250000程度である。
つぎに、上記島相を構成するポリアミド樹脂(D)としては、例えば、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド99(PA99)、ポリアミド1010(PA1010)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド912(PA912)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド6とポリアミド66との共重合体(PA6/66)、ポリアミド6とポリアミド12との共重合体(PA6/12)等が用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、材料コストとバリア性の観点から、ポリアミド6(PA6)が好ましい。
そして、上記アロイ材は、上記高酸変性HDPE(A)と、酸変性HDPE(B)と、未変性HDPE(C)と、ポリアミド樹脂(D)とを、先に述べたような所定の割合で配合し、例えば、220〜260℃の温度で、二軸押出機(混練機)等を用いて高剪断をかけて混練することにより得ることができる。
なお、上記アロイ材の材料には、上記(A)〜(D)に加えて、増核剤(アロイ材全体の0.3〜0.5重量%程度)、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、ブロッキング剤等を必要に応じて配合しても差し支えない。
本発明の接合部品の一例である前記接合パイプ1は、例えば、上記のようにして調製したアロイ材(通常、ペレット状に加工したもの)を用い、溶融押出成形、溶融射出成形等を行うことにより、製造することができる。なお、成形温度は、通常、220〜260℃で行われる。
上記接合パイプ1を構成するアロイ材は、(A)〜(C)からなる海相(マトリクス)中に、ポリアミド樹脂(D)からなる島相(ドメイン)が微分散されており、かつ上記海相と島相との間には、両相の相溶層が形成されている。上記島相の分散径は、通常、0.5〜10μmであり、微分散の海島構造を示す。なお、上記海島構造の観察は、走査電子顕微鏡(SEM)により行うことができる。
また、上記アロイ材における海相と島相との間に形成された相溶層の厚みは、100〜350nmの範囲が好ましく、特に好ましくは100〜300nmの範囲である。上記相溶層の厚みの測定も、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて行うことができる。なお、高酸変性HDPE(A)を添加しない場合のアロイ材の相溶層の厚みは、70nm未満であるため、相溶層の厚みを測定することにより、高酸変性HDPE(A)の有無を確認することもできる。
また、上記接合パイプ1を構成するアロイ材の溶融温度は、樹脂製燃料タンクTへの溶着を容易にする観点から、220〜260℃の範囲〔燃料タンクの最外層(HDPE層)の溶融温度に近い範囲〕になるよう設定されていることが好ましい。
なお、上記接合パイプ1と樹脂製燃料タンクTとの接合(溶着)方法としては、例えば、高い溶着強度が得られる観点から、熱板溶着法、振動溶着法、超音波溶着法、レーザー溶着法等が好適であるが、ホットガス溶着法、回転溶着法であっても差し支えない。
また、本発明の接合部品は、上記接合パイプ以外にも、例えば、ワンウェイバルブやフローティリングバルブを圧入等の物理勘合で組み合わせなる、燃料フィラーバルブ,ORVR(Onboard Refueling Vapor Recovery)バルブ,VSF(Vent Shaft Float)バルブ,Vリターンバルブ等の接合バルブに用いることもできる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔ポリアミド樹脂、PA6(D)〕
宇部興産社製、UBEナイロン1013B(Mw:13000)
〔高酸変性HDPE(A)〕
酸変性率2.5重量%のHDPE(三洋化成社製、ユーメックス2000、Mw:18000)
〔酸変性HDPE(B)〕
酸変性率0.5重量%のHDPE(日本ポリエチレン社製、アドテックスDH0200、Mw:約250000)
〔未変性HDPE(C)〕
日本ポリエチレン社製、HB111R(Mw:250000)
〔実施例1〜6、比較例1〜3〕
下記の表1および表2に示すように、各成分を同表に示す割合で配合し、二軸混練押出機(日本製鋼所社製、TEX30α)を用いて、樹脂温度270℃で混練し、アロイ材からなるペレットを作製した。そして、各ペレットの海相,島相の分散状態を、走査電子顕微鏡(日立テクノロジーズ社製、S4800)を用いて観察するとともに、両相の相溶層の厚みを測定した。これらの結果を、下記の表1および表2に併せて示した。
Figure 0005154488
Figure 0005154488
つぎに、上記各ペレットを用い、金型内に溶融射出成形(成形温度:260℃)して、図2に示すような有天円筒状の試験片1′(高さ10mm、内径70mm、周壁および天壁の厚み4mm)を作製した。
このようにして得られた実施例品および比較例品の各試験片を用い、下記の基準に従って、各特性(初期物性,浸漬後の物性)の評価を行った。これらの結果を、上記表1および表2に併せて示した。
〔燃料透過量〕
樹脂製燃料タンクの構成材に相当するシート材として、HDPE/変性HDPE/EVOH/変性HDPE/HDPEの5層構造からなるシート材を作製した。つぎに、そのシート材に、上記試験片の下端開口内径と同径の開口部を形成した。そして、この開口部と試験片の下端開口部とを位置合わせした状態で、試験片を上記シート材の片面(HDPE層の表面)に熱板溶着(260℃×20秒間)により溶着し、各サンプルを作製した。つぎに、図3に示すように、カップ形状の容器12を準備し、この容器12に、Fuel C〔トルエン:イソオクタン=50:50(容量基準)〕と、エタノールとの混合燃料液(FC/E10)〔Fuel C:エタノール=90:10(容量基準)〕13を収容した。図において、11はシート材、11aはその開口、1′は試験片を示す。上記容器12は、上端部が拡径した段部を有しており、上端開口部内周面には、雌螺子が螺刻(図示せず)されている。そして、上記容器12の段部に、リング状のシールゴム14を介して、上記サンプルを重ね、さらに、リング状の螺子蓋15を上端開口部に螺合させて上記サンプルのシート材11の部分を締め付けることにより、容器12を密封した。このようにして、燃料透過量を測定する試験装置を作製した。そして、その試験装置を上下逆さまにした状態で、雰囲気を40℃に保ち、1ケ月間、毎日1回試験装置の重量を測定し、1日当たりの重量変化を算出した。そして、その重量変化が安定した時の1日当たりの重量変化を燃料透過量とした。なお、本発明においては、上記燃料透過量(mg・mm/cm2 /day)が4.0以下であることが要求される。
〔タンクとの溶着性〕
樹脂製燃料タンクに相当する上記5層構造からなるシート材11に上記各試験片1′を前記と同様にして溶着し、その部分を、10mm幅で短冊状に切断し、各サンプルを作製した。そして、この短冊状のサンプルにおけるシート材11の先端部と、試験片1′の先端部とを、引張試験機(オリエンテック社製)の各チャックに挟み、引張速度50mm/秒の条件で、引張試験を行った。溶着性の評価は、シート材11と試験片1′との界面で剥離が起こらず、シート材11または試験片1′のいずれか(母材)が破壊したものを○、界面剥離がみられたものを×とした。
〔引張強さ〕
上記と同様にして上記シート材11に各試験片1′を溶着させた部分を、10mm幅で短冊状に切断し、各サンプルを作製した。そして、この短冊状のサンプルにおけるシート材11の先端部と、試験片1′の先端部とを、引張試験機(オリエンテック社製)の各チャックに挟み、引張速度50mm/秒の条件で、引張試験を行い、引張強さ(MPa)を測定した。
〔60℃×168時間浸漬後〕
上記図3に示した試験装置を上下逆さまにした状態で、雰囲気を60℃に保ち、168時間浸漬した。その後、下記の基準に従い、各項目の評価を行った。これらの結果を、上記表1および表2に併せて示した。
〔タンクとの溶着性〕
前記60℃×168時間浸漬後の試験片を用いる以外は、上記と同様にして、溶着性の評価を行った。
〔降伏点応力〕
前記60℃×168時間浸漬後の試験片を用い、ASTM D638に準じて、降伏点応力を測定した。
〔ΔV(体積膨潤率)〕
前記60℃×168時間浸漬後の試験片を用い、JIS K 6258に準じて、Fuel C/E10に浸漬前後のΔV(体積膨潤率)を測定した。
〔燃料抽出性〕
前記60℃×168時間浸漬後の試験片からペレット10gを切り出し、これを200mlの混合燃料液(FC/E10)入りの試験管に入れ、60℃×24時間浸漬した。つぎに、この液をエバポレータで濃縮し、残留物があるかどうかを確認した。評価は、抽出物が確認できなかったものを○、抽出物が確認できたものを×とした。
上記表1および表2の結果から明らかなように、いずれの実施例品も、燃料透過量が少なく、しかも、樹脂製燃料タンクとの溶着力も強力で、溶着性に優れていた。なかでも、高酸変性HDPEの含有割合が2〜10%である実施例1〜4は、燃料低透過性が特に良好であった。
これに対して、比較例1品は、高酸変性HDPEを配合していないため、溶着性が劣っていた。比較例2品は、高酸変性HDPEの配合量が少なすぎるため、溶着性が劣っていた。比較例3品は、高酸変性HDPEの配合量が多すぎるため、島相の分散性が悪く、燃料低透過性に劣っていた。なお、本発明者らは、上記海相が、高酸変性HDPEのみからなる場合には、溶着性が劣ることを実験により確認している。
本発明の樹脂製燃料タンク用接合部品は、樹脂製燃料タンクに接合される、接合パイプや接合バルブ等のジョイント部材として用いることができる。
1 接合パイプ

Claims (4)

  1. 樹脂製燃料タンクの開口部外周に、それ自体の一端開口部を位置決めした状態で溶着される略筒状の樹脂製燃料タンク用接合部品であって、上記樹脂製燃料タンク用接合部品が、下記の(A)〜(C)からなる海相中に、下記の(D)からなる島相が分散したアロイ材により形成されてなり、上記(A)の含有割合が(A)〜(D)合計量全体の2〜19重量%であり、かつ上記海相と島相との間に両相の相溶層を有することを特徴とする樹脂製燃料タンク用接合部品。
    (A)酸変性率が2.0重量%以上である高酸変性高密度ポリエチレン樹脂。
    (B)酸変性率が0.5重量%以上2.0重量%未満である酸変性高密度ポリエチレン樹脂。
    (C)未変性高密度ポリエチレン樹脂。
    (D)ポリアミド樹脂。
  2. 上記(D)の含有割合が(A)〜(D)合計量全体の25〜37重量%である請求項1記載の樹脂製燃料タンク用接合部品。
  3. 上記(A)および(B)の総含有割合が(A)〜(D)合計量全体の20〜35重量%であり、上記(C)の含有割合が(A)〜(D)合計量全体の30〜50重量%である請求項1または2記載の樹脂製燃料タンク用接合部品。
  4. 上記相溶層の厚みが、100〜350nmの範囲である請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂製燃料タンク用接合部品。
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