JP4029799B2 - 樹脂組成物及び燃料系樹脂成形品 - Google Patents

樹脂組成物及び燃料系樹脂成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP4029799B2
JP4029799B2 JP2003300391A JP2003300391A JP4029799B2 JP 4029799 B2 JP4029799 B2 JP 4029799B2 JP 2003300391 A JP2003300391 A JP 2003300391A JP 2003300391 A JP2003300391 A JP 2003300391A JP 4029799 B2 JP4029799 B2 JP 4029799B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
ethylene
modified
copolymer rubber
fuel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003300391A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005068300A (ja
Inventor
克志 伊藤
治靖 水谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyoda Gosei Co Ltd
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyoda Gosei Co Ltd filed Critical Toyoda Gosei Co Ltd
Priority to JP2003300391A priority Critical patent/JP4029799B2/ja
Publication of JP2005068300A publication Critical patent/JP2005068300A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4029799B2 publication Critical patent/JP4029799B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、樹脂組成物及びその樹脂組成物を用いて成形される水素、ガソリン等の燃料が接触する燃料タンク、燃料パイプ、コネクター、キャップ等の燃料系樹脂成形品に関するものである。
従来、燃料タンク(特にそのライナー)の材料には金属が使用されていたが、最近では軽量化等のために樹脂が使用されてきている。この樹脂製燃料タンクは、燃料のバリア性に優れたエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物よりなるバリア層と、該バリア性の耐衝撃性の低さを補うための熱可塑性樹脂よりなる層とを積層した積層構造よりなるものがほとんどである(特許文献1、2)。しかし、積層構造の樹脂製燃料タンクは、多層ブロー成形という複雑な成形加工が必要になるため、コスト高となる。また、形状が複雑な部分や寸法が小さい部分は多層ブロー成形することが困難なため、形状寸法が制約されるという問題もある。
そこで、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物に柔軟な熱可塑性樹脂をブレンドした樹脂組成物を用いて単層構造の樹脂製燃料タンクを成形することが検討されている。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と、ポリアミド樹脂と、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体又はその金属塩と、11以下の溶解性パラメータを有する熱可塑性樹脂とを所定の配合重量割合でブレンドした樹脂組成物が案出されている(特許文献3)。しかし、この樹脂組成物は、ガソリン及び酸素のバリア性は実用になるが、水素のバリア性に劣る熱可塑性樹脂が連続層となりエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が分散層になるとされていることから、水素のバリア性については疑問があり、低温での耐衝撃性は水素燃料タンクの要求を満足しない。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物にその他の熱可塑性樹脂をブレンドすることも検討されているが、特に水素のバリア性と低温での耐衝撃性とを満足させるような解決策は未だ見出されていない。
特開平5−318676号公報 特開平8−34888号公報 特開2000−313749号公報
本発明の目的は、上記問題を解消し、燃料(特に水素)のバリア性と低温での耐衝撃性とを両立させることができ、また、単層構造の成形を可能にして成形装置で簡単に安価に成形加工することができる樹脂組成物及び燃料系樹脂成形品を提供することにある。
開発した樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)(以下、「EVOH」という。)80〜40重量%と、酸変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)(以下、「酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム」という。)及び/又は酸変性された熱可塑性エラストマー(B’)(以下、熱可塑性エラストマーを「TPE」といい、酸変性されたTPEを「酸変性TPE」という。)20〜60重量%とからなるものである。B及び/又はB’とは、少なくともいずれか一方を含み、両方の併用でもよいことを意味する。EVOH(A)と酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)及び/又は酸変性TPE(B’)とはブレンドされて使用される。ブレンド方法としては、特に限定されないが、バンバリーミキサーや、単軸あるいは二軸スクリュー押出機等を用いる方法を例示できる。
但し、このうちで本発明に係る樹脂組成物は、エチレン含量が25〜50モル%であるEVOH(A)80〜40重量%と、熱プレスで作製した厚さ0.1〜0.3mmのフィルムを測定試料としFT−IRを測定手法として測定した酸変性度が0.1〜3重量%であり、DMA法により測定したガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であり、DMA法により測定した−40℃での貯蔵弾性率が600MPa以下である、不飽和カルボン酸の無水物で酸変性されたエチレン−ブテン共重合体ゴム(B)20〜60重量%とからなるものである。よって、当該エチレン−ブテン共重合体ゴムに代えてそれ以外のエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムを加えたものは、以下、参考例として位置付けられる。
本発明の樹脂組成物中には、EVOH(A)と、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)以外の組成成分、例えば添加剤(例えば熱安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、フィラー、他の樹脂)等が含まれてもよいが、本発明の効果を阻害しない範囲で使用される。他の樹脂とは、例えば高密度あるいは低密度ポリエチレン等が挙げられるが、酸変性されている方がより好ましい。
EVOH(A)は親水性樹脂であるため、疎水性のエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムやTPEとは相溶性が悪い。しかし、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムやTPEが酸変性されているとEVOHとの相溶性が向上する。また、EVOH(A)と酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)及び/又は酸変性TPE(B’)との配合重量割合が上記の範囲であると、EVOH(A)がマトリックス(連続層)を形成する。従って、ブレンドされるときに、EVOH(A)中にEVOHと相溶した酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)が微分散しやすくなる。本発明の燃料系樹脂成形品及び樹脂組成物は、こうしてEVOH(A)がマトリックス(連続層)を形成するので、燃料のバリア性に優れ、また、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)が微分散するので、低温での耐衝撃性が向上する。なお、EVOH(A)が40重量%未満で、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)及び/又は酸変性TPE(B’)が60重量%を越えると、EVOH(A)がマトリックス(連続層)を形成しにくくなるため、燃料のバリア性が低下する。また、EVOH(A)が80重量%を越え、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)及び/又は酸変性TPE(B’)が20重量%未満だと、低温での耐衝撃性が低下する。
また、本発明に係る燃料系樹脂成形品は、上記の樹脂組成物を用いて成形されたことを特徴とするもので、成形品としては、水素、ガソリン等の燃料が接触する燃料タンク、燃料パイプ、コネクター、キャップ等を例示できる。この燃料系樹脂成形品においては、上記のとおりEVOH(A)のマトリックス中に酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)が分散相として微分散している。
本発明に係る樹脂組成物及び燃料系樹脂成形品によれば、エチレン含量が25〜50モル%であるEVOH(A)よりなるマトリックス中に、熱プレスで作製した厚さ0.1〜0.3mmのフィルムを測定試料としFT−IRを測定手法として測定した酸変性度が0.1〜3重量%であり、DMA法により測定したガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であり、DMA法により測定した−40℃での貯蔵弾性率が600MPa以下である、不飽和カルボン酸の無水物で酸変性されたエチレン−ブテン共重合体ゴム(B)が分散相として微分散するので、燃料(ガソリンのみならず水素の)バリア性に優れ、また、低温での耐衝撃性にも優れる。また、単層構造の樹脂成形品の成形を可能にして成形装置で簡単に安価に成形加工することができる。
[EVOH(A)について]
本発明に用いられるEVOH(A)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することによって得られたものであり、該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、特に限定されない任意(公知)の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も特に限定されない任意(公知)の方法で行い得る。
(1)EVOH(A)としては、エチレン含量10〜60モル%のものが好ましく、本発明で採用した25〜50モル%のものがさらに好ましい。エチレン含有量が10モル%未満では高湿時のバリア性や成形性が低下し、60モル%を越えるとバリア性が低下する傾向がある。
(2)また、EVOH(A)のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、0.1〜50g/10分(210℃、21.18N)が好ましく、0.5〜30g/10分(同上)がさらに好ましい。MFRが0.1g/10分(同上)未満では成形性が低下し、50g/10分(同上)を越えると成形物の機械強度が低下する傾向がある。
(3)また、EVOH(A)としては、特に限定されないが、不純物の少ないものが好ましく、例えば250℃で120分後の加熱減量が3wt%未満のもの好ましい。
[酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)及び酸変性TPE(B’)について]
検討した酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)は、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)、エチレン−オクテン共重合体ゴム(EOR)等を不飽和カルボン酸またはその無水物等の酸で変性したものであり、具体的には不飽和カルボン酸またはその無水物をエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムに付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムを挙げることができ、特に酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムが好ましく、より具体的には無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムが挙げられる。本発明では、不飽和カルボン酸の無水物で酸変性されたEBRを採用した。
本発明に用いられる酸変性TPEは、特に限定されないが、オレフィン系(TPO)、スチレン系(TPS)、エステル系(TPEE)、アミド系(TPAE)等の各TPEを例示でき、TPO又はTPSが好ましい。TPOのハードセグメントはオレフィン系樹脂からなり、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)を例示できる。TPOのソフトセグメントとしては、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム(EPR)又はエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)等を例示できる。TPSとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、それらを水添したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等がある。
酸変性TPEは、TPEを不飽和カルボン酸又はその無水物等の酸で変性したものであり、具体的には不飽和カルボン酸又はその無水物をTPEに付加反応やグラフト反応等により、化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性TPEを挙げることができ、特に酸グラフト変性TPEが好ましく、より具体的には無水マレイン酸グラフト変性スチレンーエチレンーブチレンースチレンブロック共重合体が挙げられる。
酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)及び/又は酸変性TPE(B’)の酸変性度は、0.1〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.4〜2重量%である。該酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)中の酸変性度が少ないと、該酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)が微分散せず、耐衝撃性が劣る。逆に多すぎると架橋反応を起こし成形性が悪くなることがあるため好ましくない。
酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下のものが好ましい。低温時において、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムや酸変性TPEの柔軟性が維持され、靭性が得られるからである。
酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)は、−40℃での弾性率(貯蔵弾性率)が600MPa以下のものが好ましい。低温時においても、マトリックスであるEVOH(A)と分散相である酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)との間に大きい弾性率差が生じ、界面に応力集中が発生し、衝撃を吸収するからである。そして、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であり、さらに−40℃での弾性率(貯蔵弾性率)が600MPa以下である酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)がより好ましい。
酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)は、MFRが0.1〜10g/10分(230℃、荷重21.18N)ものが好ましい。該MFRが該範囲よりも小さい場合は、ブレンド時、押出機内が高トルク状態となって押出作業が困難となり、また該範囲よりも大きい場合には、微分散しにくくなるので好ましくない。
以下、実施例を参考例及び比較例とともに挙げて、本発明を具体的に説明する。
[実施例1〜6、参考例1〜3
表1に示す3種類のEVOH(A-1〜A-3)に、表2に示す3種類の酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B−1〜B−3)及び1種類の酸変性TPS(B’)を、表3に示す配合割合でブレンドしてなる樹脂組成物を用いて、高圧ガス容器用ライナーを作製した。これを作製するに当り、成形用金型は予めボスをインサートし、その中に上記各組成物を射出成形してライナーの半割品を得た。その半割品同士を熱板溶着して(ボスは図中の6)、図1に示す水素燃料タンク1の円筒状のライナー2を成形した。これらを実施例1〜6、参考例1〜3とした。ライナー2の厚さは円筒部で約3mmである。
各実施例、参考例のライナー2の流動方向に垂直に液体窒素で冷却破断し、50℃ヘキサンやクロロホルム中に30分浸漬させた後取り出し、常温ドラフター内で3時間乾燥し、金蒸着した後、断面を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、EVOHのマトリックス中に酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム又は酸変性TPSが分散相として微分散していることを確認した。
[比較例1〜5]
表1に示すEVOH(A-1)のみで、ライナー2を単層射出成形し、これを比較例1とした。また、表1に示すEVOH(A-1)に、表2に示す酸変性されていないエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(X−1、X−2)を、表4に示す配合割合でブレンドしてなる樹脂組成物で、同じくライナー2を単層射出成形し、これらを比較例2及び4とした。また、表1に示すEVOH(A-1)に、表2に示す酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(Mah−EBR)(B−3)を、表4に示すように酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(Mah−EBR)配合割合の少ない樹脂組成物で、同じくライナー2を単層射出成形し、これらを比較例3とした。さらに、高密度ポリエチレン(HDPE)で、同じくライナー2を単層射出成形し、これを比較例5とした。
Figure 0004029799
Figure 0004029799
表2において、単なるEBRは(酸グラフト変性されていない)エチレン−ブテン共重合体ゴム、単なるEORは(酸グラフト変性されていない)エチレン−オクテン共重合体ゴムである。「Mah−***」は無水マレイン酸で酸グラフト変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム又はTPEであることを意味する。また、EPRはエチレン−プロピレン共重合体ゴムである。
表2における酸変性度については、一般に酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)の酸変性度はそれらのメーカーより明らかにされていない場合が多いため、以下の方法で推定している。
(1)酸変性度が既知である酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムを用いて厚さtが0.1〜0.3mmであるフィルムをそれぞれ熱プレスで作製し、FT−IRにより得られた図2に示すチャートから酸無水物のピーク面積(a)及びカルボキシル基のピーク面積(b)を求め、(a)+(b)を厚さtで除したものを官能基濃度とし、既知の酸変性度と得られた官能基濃度より図3に示す検量線を作成した。
(2)次に、酸変性度が未知である酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(B)や酸変性TPE(B’)について、同様にして官能基濃度を求め、前記検量線より酸変性度を推定した。
表2におけるTg及び−40℃時の貯蔵弾性率は、UBM社製のFTレオスペクトラーを用いて下記条件でDMA法(動的粘弾性測定法)により測定し、Tgはtanδのピーク温度、貯蔵弾性率は−40℃時の値を使用した。
温度範囲:−100℃〜+40℃
昇温速度:3℃/分(ステップ2℃)
基本周波数:20Hz(正弦波)
静荷重:100g
チャック間:20mm
試験片サイズ:幅5mm、厚さ2mm、長さ35mm
Figure 0004029799
Figure 0004029799
実施例1〜6、参考例1〜3及び比較例1〜5のそれぞれについて、水素透過係数を測定するとともに、−40℃アイゾット衝撃強度試験とライナー落下試験を行い、それらの試験結果を表3,4に示した。各試験の詳細は次のとおりである。
[水素透過係数]
直径80mm・厚さ2mmの試験片の評価面積16.5cm に対して、高圧差圧式透過試験機を用いて、透過した水素ガスをガスクロマトグラフィで検知し、時間に対する累積透過量より透過係数を算出した。測定温度は常温(23℃)、ガス圧力は10MPaである。測定された水素透過係数は、EVOHを60重量%以上含む実施例1〜6、参考例1〜3及び比較例1〜4では十分に低く、水素に対する十分なバリア性を有することが明らかとなった。これに対し、HDPEよりなる比較例5の水素透過係数は、著しく高かった。
[−40℃アイゾット衝撃強度]
ISO180に準拠して行った。但し、ハンマー容量は2.75Jである。測定された衝撃強度は、EVOH80〜60重量%にエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムあるいは酸変性TPS20〜40重量%をブレンドした実施例1〜6、参考例1〜3では十分に高く、水素燃料タンクの要求を満足することが明らかとなった。これに対し、EVOH100重量%の比較例1も、酸変性されていないエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムをブレンドした比較例2及び4も、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムをブレンドしてもその配合割合の低い比較例3も、衝撃強度が低かった。なお、HDPEよりなる比較例5の衝撃強度は、著しく高かった。
[ライナー落下試験]
成形したライナー2の単体を、500mm毎に徐々に高くした高さから順次落下させて、ヒビあるいは割れが発生しない高さを求めた。測定温度(雰囲気温度)は常温(23℃)である。測定された高さは、実施例1〜6、参考例1〜3では十分に高く、水素燃料タンクの要求を満足することが明らかとなった。これに対し、比較例1〜4では高さが低く、脆かった。なお、比較例5の高さは、著しく高かった。
[黄変度]
シリンダー温度220℃の射出成形機内で20分間放置後の溶融材料の色変化を放置時間ゼロのときと比較し、次のように評価した。
著しく黄色に変化: ×
明らかに黄色に変化: △
わずかに黄色に変化: ○
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)図1に示すように、水素燃料タンク1に接続される水素燃料パイプ3のライナー4、水素燃料タンク1と水素燃料パイプとのコネクター5、水素燃料タンク1のボス6等を、本発明に係る樹脂組成物を用いて成形したものとすること。
(2)本発明に係る燃料系樹脂成形品は、本発明に係る樹脂組成物を用いた少なくとも一層を含む積層構造としてもよい。
(3)本発明に係る燃料系樹脂成形品は、前記射出成形のみならず、他の成形方法(例えば押出成形)で成形することもできる。
本発明に係る実施例の水素燃料タンクを示す一部破断側面図である。 FT−IRにより得られたチャート図である。 酸変性度を求めるために作成した検量線を示す図である。
符号の説明
1 水素燃料タンク
2 ライナー
3 水素燃料パイプ
4 ライナー
5 コネクター
6 ボス

Claims (2)

  1. エチレン含量が25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)80〜40重量%と、熱プレスで作製した厚さ0.1〜0.3mmのフィルムを測定試料としFT−IRを測定手法として測定した酸変性度が0.1〜3重量%であり、DMA法により測定したガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であり、DMA法により測定した−40℃での貯蔵弾性率が600MPa以下である、不飽和カルボン酸の無水物で酸変性されたエチレン−ブテン共重合体ゴム(B)20〜60重量%からなる樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物を用いて成形された、水素、ガソリンを燃料とする燃料タンク、燃料パイプ、コネクター、キャップ
JP2003300391A 2003-08-25 2003-08-25 樹脂組成物及び燃料系樹脂成形品 Expired - Fee Related JP4029799B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003300391A JP4029799B2 (ja) 2003-08-25 2003-08-25 樹脂組成物及び燃料系樹脂成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003300391A JP4029799B2 (ja) 2003-08-25 2003-08-25 樹脂組成物及び燃料系樹脂成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005068300A JP2005068300A (ja) 2005-03-17
JP4029799B2 true JP4029799B2 (ja) 2008-01-09

Family

ID=34405339

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003300391A Expired - Fee Related JP4029799B2 (ja) 2003-08-25 2003-08-25 樹脂組成物及び燃料系樹脂成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4029799B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5025270B2 (ja) * 2005-01-12 2012-09-12 株式会社クラレ 樹脂組成物及びそれからなるフィルム
JP4972916B2 (ja) * 2005-05-31 2012-07-11 株式会社ブリヂストン Evoh系複合樹脂及び冷媒輸送用ホース
JP5501867B2 (ja) * 2010-01-07 2014-05-28 株式会社クラレ 艶消しフィルム、これを用いた内装材及び艶消しフィルムの製造方法
CN104520624B (zh) 2012-08-02 2016-06-22 日本合成化学工业株式会社 高压气体用软管或贮存容器
JP6620741B2 (ja) * 2014-12-27 2019-12-18 三菱ケミカル株式会社 エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物樹脂組成物、高圧ガス用樹脂チューブ又は複合容器用樹脂ライナー、及び高圧ガスホース又は複合容器
JP6372371B2 (ja) * 2015-01-23 2018-08-15 豊田合成株式会社 圧力容器用樹脂組成物及び圧力容器
JP7126387B2 (ja) * 2018-06-27 2022-08-26 株式会社クラレ 層構造体、成形体及びその製造方法
CN117715975A (zh) 2021-07-29 2024-03-15 Agc株式会社 聚合物合金、高压气体用软管和高压气体用贮藏容器
WO2023048073A1 (en) 2021-09-21 2023-03-30 Kuraray Co., Ltd. Multilayer structure with an improved hydrogen barrier

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005068300A (ja) 2005-03-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014021422A1 (ja) 高圧ガス用ホース又は貯蔵容器
JP5384110B2 (ja) ゴムとポリアミドブロックグラフトコポリマーとをベースにした多層構造物と、その空調回路および冷却回路用パイプでの使用
JP2010518217A (ja) 油の影響に対し改善された耐性を有する可撓性熱可塑性組成物と該組成物の使用
US10252498B2 (en) Multilayer composite comprising an EVOH layer
JP4029799B2 (ja) 樹脂組成物及び燃料系樹脂成形品
EP3816231B1 (en) Polyamide resin composition for blow-molded products exposed to high-pressure hydrogen, and blow-molded product
WO2012121295A1 (ja) ポリエチレン系構造体
KR101439152B1 (ko) 폴리프로필렌 수지 조성물
JPWO2012133008A1 (ja) 接着性樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体
JP6488063B1 (ja) 樹脂組成物、その製造方法及びそれを用いた多層構造体
JP3630926B2 (ja) 重合体組成物およびその用途
JPWO2004052964A1 (ja) 燃料系部品用材料およびそれを用いた燃料系部品
JP2006161045A (ja) エチレン−ビニルアルコールコポリマー及び反応性基を有する架橋性ゴムの混合物、並びに、良好なバリア特性を有する成形品の製造のためのその使用
JP2009114366A (ja) 高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物及びその製造方法
JP2005315367A (ja) 高圧ガス容器用ライナー
JP2014058659A (ja) 高圧ガス用ホース又は貯蔵容器
JP2016222903A (ja) ブロー成形用樹脂組成物及び多層構造体
JP5344949B2 (ja) 金属ppキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物。
EP3816230B1 (en) Polyamide resin composition for extrusion molded products exposed to high-pressure hydrogen, and extrusion molded product
JP2010235659A (ja) 樹脂製燃料系部材
JP2004331708A (ja) 熱可塑性重合体組成物及びそれからなる成形品
KR20190036735A (ko) 폴리아미드 수지 조성물 및 이로부터 제조된 성형품
WO2017170189A1 (ja) ゴム組成物およびそれを用いた高圧水素機器用シール部品
JP5243904B2 (ja) 樹脂製燃料タンク用接合部品およびその製法
JP4207312B2 (ja) 成型体用組成物及び成型体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070626

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070925

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071008

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4029799

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111026

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111026

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121026

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121026

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131026

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees