JP4810340B2 - プラスチック燃料タンク用溶着材料 - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチック燃料タンク用溶着材料に関し、特に車両用のプラスチック燃料タンクの付属部品等に好適な溶着材料に関する。
自動車等の車両用のプラスチック燃料タンクには、燃料をタンク内に注入するための注入部やタンク内の燃料残存量を検出するためのセンサー部等の付属部品が設けられている。これらの付属部品は、熱板溶着等により燃料タンク本体に一体的に接合されている。
例えば、燃料タンク本体のみならず付属部品においても耐燃料透過性についての対策等が施された樹脂製燃料タンクが開示され、燃料取り出し部に耐燃料透過性樹脂及びポリエチレンよりなるアロイ樹脂がタンク本体に溶着されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、溶着強度の維持と耐燃料透過性能の改善とが達成可能な溶着部品の溶着構造及び溶着方法が開示され、溶着部の溶着強度確保層として高密度ポリエチレン等が使用されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、射出成形等されたポリエチレン樹脂である少なくとも1つの部品を備えた自動車用の燃料タンクが開示され、特定の物性を有するマルチモダルポリエチレン樹脂が射出成形燃料タンク及び部品として提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、上記プラスチック燃料タンクにおいては、耐燃料透過性、溶着部の耐衝撃性や溶着強度が確保されているものの、タンク本体と溶着部品との間の溶着強度の更なる改良、耐久性の改良、燃料タンクとしての信頼性の向上等が求められている。また、燃料タンク本体へ溶着部品を溶着する際、溶着不具合が発生しにくく、溶融樹脂の流動性バランスに優れた成形性が要求され、溶着後の性能を満足する材料が求められている。
特開2002−160537号公報 特開2003−336556号公報 特表2005−523842号公報
本発明は、上記問題に鑑みて、成形性、溶着強度及び耐久性のバランスに優れたプラスチック燃料タンク用材料に関し、特に車両用の燃料タンクの付属部品等に好適な溶着材料を提供し、結果として当該材料を装着したプラスチック燃料タンクの信頼性を従来よりも高めることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し、プラスチック燃料タンク容器の要求する特性に十分に適合でき、しかも良好な成形加工性を有する材料を検討した結果、特定の性質を備えたポリエチレン材料を選定すると、それにより成形性、溶着強度及び耐久性のバランスに優れた燃料タンクを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の特性(1)〜(5)の条件を満足するエチレン系重合体からなるプラスチック燃料タンク用溶着材料が提供される。
特性(1)密度が0.910g/cm以上0.960g/cm以下
特性(2)190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが1.0g/10分以上50g/10分以下
特性(3)温度230℃、剪断速度10sec−1における剪断粘度が5.0×10poise以上10×10poise以下
特性(4)温度230℃、剪断速度1000sec−1における剪断粘度が2.0×10poise以上4.0×10poise以下
特性(5)n−ブチルアルコール抽出量が4.0重量%以下
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度(η100 )が、燃料タンク本体の外層を構成する材料の温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度(η100 )と式(1)の関係を満足するエチレン系重合体であることを特徴とするプラスチック燃料タンク用溶着材料が提供される。
0.75η100 ≦η100 ≦1.25η100 ・・・(1)
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、温度−20℃〜50℃における線膨張係数(L)が、燃料タンク本体の外層を構成する材料の温度−20℃〜50℃における線膨張係数(L)と式(2)の関係を満足するエチレン系重合体であることを特徴とするプラスチック燃料タンク用溶着材料が提供される。
0.90L≦L≦1.10L ・・・(2)
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明の溶着材料を装着したプラスチック燃料タンクが提供される。
本発明によれば、プラスチック燃料タンク本体と溶着部品との間の溶着強度の更なる改良及び耐久性の改良を図ることができ、成形性、溶着強度及び耐久性のバランスに優れ、信頼性の向上したプラスチック燃料タンクを得ることができる。また、燃料タンク本体へ溶着部品を溶着する際、溶着不具合の発生しにくく、溶融樹脂の流動性バランスに優れた成形性を達成でき、溶着後の性能も満足させることができる。
本発明は、特性(1)〜(5)の条件を満足し、さらに好ましくは特性(6)〜(8)の条件を満足するエチレン単独重合またはエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンの共重合体であるエチレン系重合体からなるプラスチック燃料タンク用溶着材料である。以下、エチレン系重合体の特性、製造方法、溶着材料等について詳細に説明する。
1.エチレン系重合体の特性
特性(1)密度
本発明のエチレン系重合体の密度は、0.910g/cm以上0.960g/cm以下、好ましくは0.920g/cm以上0.955g/cm以下である。密度が0.910g/cm未満であると、成形品の剛性不足が顕在化し、0.960g/cmを超えると衝撃性能が不足する。
密度は、エチレンと共重合させるα−オレフィンの量を変化させることによって調整することができ、α−オレフィンの量を増加させると小さくすることができる。
ここで、密度は、JIS−K6922−1,2(2005年版)に準拠して測定されるもので、ペレットを温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温して厚み2mmのシートを成形し、このシートを温度23℃の室内で48時間状態調節した後、密度勾配管にて測定される。
特性(2)メルトフローレート
本発明のエチレン系重合体の190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレート(以下「HLMFR」ともいう。)は、1.0g/10分以上50g/10分以下、好ましくは1.5g/10分以上45g/10分以下である。HLMFRが1.0g/10分未満であると、射出成形時に押し出し量が不足し、成形不安定な状態となり実用的では無い。また、HLMFRが50g/10分を超えると射出成形性は良好であるが衝撃性能が不足し、実用的では無い。
190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートは、エチレン重合中に共存させる連鎖移動剤(水素等)の量を変化させるか、重合温度を変化させることによって調整することができ、水素の量を増加させる又は重合温度を高くすることにより大きくすることができる。
ここで、温度190℃、荷重21.6kgのメルトフローレートは、JIS−K6922−1(2005年版)に準拠して測定されるものである。
特性(3)温度230℃、剪断速度10sec−1における剪断粘度
本発明のエチレン系重合体の温度230℃、剪断速度10sec−1における剪断粘度は、5.0×10poise以上10×10poise以下、好ましくは6.0×10poise以上9.0×10poise以下である。温度230℃、剪断速度10sec−1における剪断粘度が5.0×10poise未満では溶着成形が難しくなり、10×10poiseを超えると部品の射出成形が難しくなる。
温度230℃、剪断速度10sec−1における剪断粘度は、エチレン系重合体の分子量及び分子量分布を変化させることによって調整することができる。具体的には、分子量の指標である重量平均分子量(Mw)を大きくすると大きくすることができ、また、分子量分布の指標である重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を大きくすると大きくすることができる。分子量の制御は、上記HLMFRと同様に、エチレン重合中に共存させる連鎖移動剤(水素等)の量を変化させるか、重合温度を変化させることによって調整することができ、水素の量を増加させる又は重合温度を高くすることにより分子量を小さくすることができる。また、Mw/Mnは、触媒の種類、助触媒の種類、重合温度、重合反応器内の滞留時間、重合反応器の数などで調整でき、また、押出機の温度、圧力、剪段速度などによる調整可能であり、好ましくは高分子量成分と低分子量成分の混合割合を調整することにより増減することができる。
ここで、温度230℃、剪断速度10sec−1における剪断粘度は、以下の方法で測定される。即ち、東洋精機製作所社製キャピログラフを用いて、1.0mmφ×40mm長さ、流入角90度のオリフィスにて、0.82mm/分の速度でピストンを降下させた時の230℃の溶融粘度を測定して求めることができる。
特性(4)温度230℃、剪断速度1000sec−1における剪断粘度
本発明のエチレン系重合体の温度230℃、剪断速度1000sec−1における剪断粘度は、2.0×10poise以上4.0×10poise以下、好ましくは2.0×10poise以上3.0×10poise以下である。温度230℃、剪断速度1000sec−1における剪断粘度が2.0×10poise未満では部品溶着成形が難しくなり、4.0×10poiseを超えると部品射出成形が難しくなる。
剪断速度1000sec−1における剪断粘度は、エチレン系重合体の分子量及び分子量分布を変化させることによって調整することができる。具体的には、分子量の指標である重量平均分子量(Mw)を大きくすると大きくすることができ、また、分子量分布の指標である重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を大きくすると大きくすることができる。分子量の制御は、上記HLMFRと同様に、エチレン重合中に共存させる連鎖移動剤(水素等)の量を変化させるか、重合温度を変化させることによって調整することができ、水素の量を増加させる又は重合温度を高くすることにより分子量を小さくすることができる。また、Mw/Mnは、触媒の種類、助触媒の種類、重合温度、重合反応器内の滞留時間、重合反応器の数などで調整でき、また、押出機の温度、圧力、剪段速度などによる調整可能であり、好ましくは高分子量成分と低分子量成分の混合割合を調整することにより増減することができる。
ここで、剪断速度1000sec−1における剪断粘度は以下の方法で測定される。即ち、東洋精機製作所社製キャピログラフを用いて、1.0mmφ×40mm長さ、流入角90度のオリフィスにて、82mm/分の速度でピストンを降下させた時の230℃の溶融粘度を測定して求めることができる。
特性(5)n−ブチルアルコール抽出量
本発明のエチレン系重合体のn−ブチルアルコール抽出量は、4.0重量%以下、好ましくは3.5重量%以下、さらに好ましくは3.0重量%以下である。n−ブチルアルコール抽出量が4.0重量%を超えると溶着不良を起こす。n−ブチルアルコール抽出量の下限値は特に限定されないが、通常0.1重量%程度である。
n−ブチルアルコール抽出量は、分子量分布を変化させることにより調整することができる。具体的には、分子量分布の指標である重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を小さくすると減少させることができる。Mw/Mnは、触媒の種類、助触媒の種類、重合温度、重合反応器内の滞留時間、重合反応器の数などで調整でき、また、押出機の温度、圧力、剪段速度などによる調整可能であり、好ましくは高分子量成分と低分子量成分の混合割合を調整することにより増減することができる。n−ブチルアルコール抽出により抽出される成分は、公知の炭化水素抽出、例えばn−へキサン抽出やn−ヘプタン抽出により抽出される成分と同一の場合もあるが必ずしも同一ではなく、本発明の目的を達成するためには、n−ブチルアルコール抽出による抽出量を所定の範囲とすることが重要である。
ここで、n−ブチルアルコール抽出量は、200メッシュパスの粉砕試料約10gを精秤し、400mlのn−ブチルアルコールを加えて、沸点にてソックスレー抽出を6時間行ない、抽出液からn−ブチルアルコールを蒸発させて乾燥固化させて得た抽出物の重量を測定し、初期試料重量に対する割合を求めて測定される。
特性(6)温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度
本発明のエチレン系重合体の温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度は、1.0×10poise以上5.0×10poise以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0×10poise以上3.0×10poise以下が好適である。温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度が1.0×10poise未満では部品溶着成形が難しくなり、5.0×10poiseを超えると部品射出成形が難しくなる。
剪断速度100sec−1における剪断粘度は、エチレン系重合体の分子量及び分子量分布を変化させることによって調整することができ、分子量を大きくすると大きくすることができ、分子量分布を広くすると大きくすることができる。
ここで、剪断速度100sec−1における剪断粘度は以下の方法で測定される。即ち、東洋精機製作所社製キャピログラフを用いて、1.0mmφ×40mm長さ、流入角90度のオリフィスにて、8.2mm/分の速度でピストンを降下させた時の230℃の溶融粘度を測定して求めることができる。
特性(7)燃料タンク本体の外層材の剪断速度との関係
本発明のエチレン系重合体は、温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度(η100 )が、プラスチック燃料タンク本体の外層を構成する材料の温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度(η100 )と式(1)の関係を満足することが好ましく、より好ましくは式(1’)の関係を満足し、さらに好ましくは式(1”)の関係を満足することが好適である。
0.75η100 ≦η100 ≦1.25η100 式(1)
0.80η100 ≦η100 ≦1.20η100 式(1’)
0.85η100 ≦η100 ≦1.15η100 式(1”)
エチレン系重合体の温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度(η100 )が式(1)の下限値よりも小さいと溶着材の溶着時の流れが低下し、また、式(1)の上限値よりも大きいと溶着材の溶着時の流れが大き過ぎなる傾向があり、いずれも良好な溶着構造とすることが難しくなる。プラスチック燃料タンク本体に部品を溶着する場合、両材料を230℃以上で溶融させ押し当てる方法が一般的であり、その押し当てる場合に溶融樹脂に流れが生じ、剪断応力が発生するが、その剪断速度はおよそ100sec−1と程度と推定される。本発明は、この剪断速度領域での剪断粘度が特定範囲の材料を使用することにより、好適なプラスチック燃料タンクが得られることを見出したものである。
プラスチック燃料タンクは、通常中空成形法によって成形されるものが多く、HLMFRが小さい材料、例えば高密度ポリエチレンが使用されるのに対して、溶着部品は通常射出成形法によって成形されるものが多く、HLMFRの大きい材料が使用される。このような中で、本発明は、上記関係式を満足する材料を選択することにより、溶融樹脂の流動性バランスに優れ、かつ溶着後の性能を満足させることができたものである。
ここで、プラスチック燃料タンク本体の外層を構成する材料の温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度(η100 )は、上記エチレン系重合体の剪断粘度と同様の方法で測定される。
特性(8)燃料タンク本体の外層材の線膨張係数との関係
本発明のエチレン系重合体は、温度−20℃〜50℃における線膨張係数(L)が、燃料タンク本体の外層を構成する材料の温度−20℃〜50℃における線膨張係数(L)と式(2)の関係を満足することが好ましく、より好ましくは式(2’)の関係を満足することが好適である。
0.90L≦L≦1.10L 式(2)
0.95L≦L≦1.05L 式(2’)
エチレン系重合体の線膨張係数が式(2)の範囲を外れると溶着界面剥離現象を引き起こす傾向がある。燃料タンク本体に部品を溶着させた後の溶着界面においては各材料が混在している状態となっており、プラスチック燃料タンクが使用される温度領域(−20℃〜50℃)において各材料の線膨張係数が大きく異ならないことが重要である。本発明は、特定範囲の線膨張係数の材料を使用することにより、好適なプラスチック燃料タンクが得られることを見出したものである。
線膨張係数は、密度を変化させることにより調整することができ、密度を大きくすると減少させることができる。
プラスチック燃料タンク本体の外層を構成する材料は上記関係式を満足するものであれば適宜使用可能であるが、好ましくはポリオレフィン系材料又はエチレン系重合体、さらに好ましくは本発明の溶着材料と同じ特性を有するエチレン系重合体が好適である。本発明の目的を達成するためには、上記関係式を満足することが好適であり、上記関係式を満足する材料を選択することにより、溶融樹脂の流動性バランスに優れた成形性が達成され、かつ溶着後の性能を満足させることができる。
ここで、温度−20℃〜50℃における線膨張係数は、JIS−K7197(2005年版)に準拠し、真空理工社製熱機械試験機TM9300により測定される。
2.エチレン系重合体の製造
本発明のエチレン系重合体は、チーグラー触媒、メタロセン触媒等の公知の各触媒を用いてエチレンを主として重合することによって得られる。例えば、一般的には、チタン、ジルコニウム等の遷移金属化合物、マグネシウム化合物からなるチーグラー触媒、ジルコニウム、ハフニウム、チタン等の遷移金属化合物に少なくとも1つのシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基を有するメタロセン系触媒を重合触媒として重合することによって得られる。
本発明のエチレン系重合体は、エチレンの重合に際してエチレン単独重合またはエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンから選ばれる1種またはそれ以上のコモノマーを所定の密度になるように共重合することにより得られる。共重合するα−オレフィンの例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられるが、耐久性ならびに経済性の見地からは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が好ましい。
具体的なエチレン系重合体を例示すれば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられ、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸またはエチレン−メタクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、1−ブテンを共重合したC4−LLDPE、C6〜C18の4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、オクテン等の高級αオレフイン(Higher Alpha Olefin)を1〜60重量%程度共重合したいわゆるHAO−LLDPE等がある。具体的には、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体というようものである。これらのエチレン単独重合体、エチレン共重合体は、市販の商品として入手できるばかりでなく、公知の重合方法により製造することができる。
本発明のエチレン系重合体は、単一のポリエチレンでもよいが、複数、例えば異なる二種類の物性を有するポリエチレン成分から構成することもできる。特に、本発明のポリエチレンは、連続多段重合法で得られるポリエチレンが好ましく、例えば、重合に際して直列に連結した複数のリアクターにて、最初のリアクターで、密度が0.915g/cm以上0.940g/cm以下であり、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.05g/10分以上10g/10分以下の高分子量ポリエチレン成分を23〜84重量%重合し、さらに第2番目のリアクターで、密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下であり、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1g/10分以上300g/10分以下の低分子量ポリエチレン成分を77〜16重量%重合して製造したものが好適である。
また、上記とは逆に、最初のリアクターで、密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下であり、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1g/10分以上300g/10分以下の低分子量ポリエチレン成分を77〜16重量%重合し、第2番目のリアクターで、密度が0.915g/cm以上0.940g/cm以下であり、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.05g/10分以上10g/10分以下の高分子量ポリエチレン成分を23〜84重量%重合してもよい。
さらに、上記所定の高分子量ポリエチレン成分及び低分子量ポリエチレン成分をそれぞれ別個に重合したものを、その後所定量をポリマーブレンドした、いわゆるポリエチレン組成物といわれる、混合したものでも差し支えない。
なお、連続多段重合にてポリエチレンを製造する場合、第2番目以降のリアクターで生成するするポリエチレンの量とその性状については、各段におけるポリエチレン生成量(未反応ガス分析等により把握できる)を求め、その物性については各段の後でそれぞれ抜き出した樹脂の物性を測定し、物性の加成性から換算して求めることができる。
本発明の高分子量ポリエチレン成分の密度が0.915g/cm未満では剛性が低下するおそれがある。0.960g/cmを超えると耐久性が不足する。また、本発明の高分子量ポリエチレン成分の190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが1g/10分未満の場合は射出成形性に難があり、50g/10分を超えると耐久性ならびに耐衝撃性を満足しない。
さらに、本発明の低分子量ポリエチレン成分の密度が0.970g/cmを超えると、耐衝撃性ならびに耐久性が不十分となる。0.940g/cm未満では小部品としての剛性が確保できない。また、本発明の低分子量ポリエチレン成分の190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1g/10分未満の場合は射出成形性に問題を生じ、300g/10分を超えると耐久性に問題を生じ、また、ウェルド強度の著しい悪化を引き起こす。
本発明の高分子量ポリエチレン成分の割合が23重量%未満の場合(本発明の低分子量ポリエチレン成分の割合が77重量%を超える場合)、耐久性の改良効果が乏しく、本発明の高分子量ポリエチレン成分の割合が84重量%を超える場合(本発明の低分子量ポリエチレン成分の割合が16重量%未満の場合)、射出成形性に問題を生じる。
3.溶着材料
本発明のエチレン系重合体からなる溶着材料には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種公知の添加剤、充填材等を適宜の量で添加できる。添加剤としては、例えば酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、着色剤、顔料、染料、紫外線吸収剤等を1種または2種以上適宜併用することができる。充填材としては、例えばタルク、マイカ等が使用できる。また、本発明のエチレン系重合体は、必要に応じて無水マレイン酸変性等をしておくこともできる。
さらに、本発明のエチレン系重合体からなる溶着材料には、必要に応じて耐燃料透過防止性樹脂としてナイロン6等のポリアミドやエチレンビニルアルコール共重合体と組み合わせて使用することができる。
本発明のエチレン系重合体からなる溶着材料は、必要に応じて射出成形法、中空成形法、押出成形法等の成形方法により成形品とすることもできるが、好ましくは射出成形に好適な材料であり、低温、かつ、高速で射出成形することができる。
本発明の溶着材料より成形される付属部品としては、蓋(キャップ)、内溶液供給口、または取り出し口等の部品等が該当し、プラスチック燃料タンク本体に溶着された燃料供給口、バルブまたは燃料ポンプ固定用蓋(キャップ)等が該当する。また、大型容器に溶着、ウェルドすることによって大型容器に一体に取り付ける、取っ手、内溶液供給口、または取り出し口等の役割を果たす中空パイプ状小部品、大型容器の開口部の補強部品、インレット、開口部ライナーのような各種部品を挙げることが出来る。さらに、大型容器のネジ山に取り付ける為の内面にネジ山を設けたキャップ、大型容器の口への単なるはめ込み式のキャップなど、いわゆる大型容器とは別体で取り扱われる多くの所定の形状に設計変更された小部品が挙げられる。
本発明のエチレン系重合体は、容器用付属部品に成形することができ、該容器として工業薬品缶、ドラム缶、燃料タンク等が挙げられ、大きさ、容量およびその形状はその大型容器の用途を考慮して任意に変えることができる。通常ジェリカン(20〜50L程度)、ドラム(20〜220L程度)、IBC(約1000L程度)、タンク(約1000L程度)、燃料タンク(約5〜150L程度)のような、ポリエチレン単独あるいは多層構造であってポリエチレンを主体とするプラスチック製のものが挙げられる。
本発明による溶着用材料は、プラスチック燃料タンクに対して、必要に応じて最適な装着方法を採用することができるが、溶着(熱板、超音波、振動、レーザー光などによる加熱融着)により装着されるのが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種の物性は以下の方法で測定した。
(1)密度:JIS−K6922−1,2(2005年版)に準拠して測定した。ペレットを温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温して厚み2mmのシートを成形し、このシートを温度23℃の室内で48時間状態調節した後、密度勾配管に入れ密度を測定した。
(2)190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレート:JIS−K6922−1(2005年版)に準拠して測定した。
(3)温度230℃、剪断速度10sec−1における剪断粘度:東洋精機製作所社製キャピログラフを用いて、1.0mmφ×40mm長さ、流入角90度のオリフィスにて、0.82mm/分の速度でピストンを降下させた時の230℃の溶融粘度を測定した。
(4)温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度:東洋精機製作所社製キャピログラフを用いて、1.0mmφ×40mm長さ、流入角90度のオリフィスにて、8.2mm/分の速度でピストンを降下させた時の230℃の溶融粘度を測定した。
(5)温度230℃、剪断速度1000sec−1における剪断粘度:東洋精機製作所社製キャピログラフを用いて、1.0mmφ×40mm長さ、流入角90度のオリフィスにて、82mm/分の速度でピストンを降下させた時の230℃の溶融粘度を測定した。
(6)n−ブチルアルコール抽出量:200メッシュパスの粉砕試料約10gを精秤し、400mlのn−ブチルアルコールを加えて、沸点にてソックスレー抽出を6時間行ない、抽出液からn−ブチルアルコールを蒸発させて乾燥固化させて得た抽出物の重量を測定し、初期試料重量に対する割合を求めた。
(7)線膨張係数:JIS−K7197(2005年版)に準拠し、真空理工社製熱機械試験機TM9300により測定した。
(8)溶着強度:プレス成形にて100×100×4mmのプレートを2枚作製した。各プレートの端部から3mmまでの部分(平面として100×4mm)が重なるように、270℃、0.2MPaにて突き当て溶着した。溶着したプレートのバリ部分をフライス盤により切削し平滑化し、溶着界面が中心となるように厚み3mmのJIS2号片を打抜いた。打抜いた試験片の引張り試験を行なった。引張り試験はJIS−K7113(2005年版)に準拠して行なった。
(9)耐久溶着強度:上記(8)にて得られた試験片を、2,2,4−トリメチルペンタン45容量部、トルエン45容量部及びエチルアルコール10容量部の混合溶媒に65℃、336時間浸漬後の引張り強度を測定した。引張り試験はJIS−K7113(2005年版)に準拠して行なった。
(10)溶着材としての射出成形性評価:射出成形機(東芝IS150E)を用いて成形温度230℃、金型温度40℃、冷却時間20秒で成形し、成形品の寸法などを測定し総合的に判断した。
(11)溶着加工性評価:溶着部品とタンク本体とを270℃、0.2MPaで圧縮成形し、正常に成形できるかを次の基準で評価した。
○:良好に問題なく成形できるもの
×:一方の流動性が悪くそのため他方の樹脂が流れ過ぎたものや、所定の形状に成形できないもの
(12)大型容器本体材との適合性評価:高密度ポリエチレンとして、表1に示す高密度ポリエチレンを使用し、大型中空成形機(株式会社日本製鋼所製NB120)を用いて中空成形を行ない、燃料タンク型の内容積100L、重量10.0kgの大型ブロー容器を得た。この容器の上部平面に直径65mmの穴を開設した。他方、溶着材料を用いて、インレット(外径100mmのドーナツ板の上部に外径約50mm、長さ約40mmの円筒管、下部に外径約70mm、長さ約30mmの円筒管を有する小部品)を射出成形により成形した。210℃熱板加熱融着により、インレットを大型容器の穴の部分に接合させた。当該容器を温度60℃の恒温槽内に保管し、外観を目視により観察し、クラックの発生ならびに変形、溶着部のはがれ等の異常有無により大型容器への適合性を評価した。
(13)膨潤による寸法変化:上記(9)の浸漬前後の試験片の寸法を測定し、次の基準で評価した。
○:寸法変化がほとんどないもの
△:寸法変化が大きいもの
(実施例1)
(1)固体触媒成分の調製
直径が10mmの磁性ボール約700個を入れた内容積が1Lのポット(粉砕用容器)に窒素雰囲気で市販のマグネシウムエチラート(平均粒径860μm)20g、粒状の三塩化アルミニウム1.66g及びジフェニルジエトキシシラン2.72gを入れた。これらを振動ボールミルを用い、振幅が6mm及び振動数が30Hzの条件で3時間共粉砕を行った。共粉砕後、内容物を窒素雰囲気下で磁性ボールと分離した。
以上のようにして得られた共粉砕生成物5g及び20mlのn−ヘプタンを200mlの三つ口フラスコに加えた。撹拌しながら室温において10.4mlの四塩化チタンを滴下し、90℃まで昇温し、90分間撹拌を続けた。次いで、反応系を冷却した後、上澄み液を抜き取り、n−ヘキサンを加えた。この操作を3回繰り返した。得られた淡黄色の固体を50℃にて減圧下で6時間乾燥を行って、固体触媒成分を得た。
(2)ポリエチレン樹脂の製造
内容積200Lの第1の重合液体充填ループ型反応器に脱水精製したイソブタンを102L/hr、トリイソブチルアルミニウムを54g/hrの速度で、前記固体触媒を3.2g/hrの速度で、さらにエチレンを14kg/hr、水素を0.59g/hr、コモノマーとして1−ヘキセンを1.38kg/hrの速度で連続的に供給し、80℃、重合圧力4.2MPa、平均滞留時間0.9hrの条件下でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。重合反応生成物の一部を採取し物性を測定した結果、HLMFRは0.16g/10min、密度は0.929g/cm、α−オレフィン含有量は0.65mol%であった。
次いで、第一工程重合生成物を含むイソブタンスラリーをそのまま内容積400Lの第二工程反応器に全量導入し、触媒および1−ヘキセンを追加することなく、イソブタンを86L/hr、エチレンを18kg/hr、水素を36g/hrの速度で連続的に供給し、90℃、重合圧力4.1MPa、平均滞留時間1.6hrの条件下で第二工程の重合を行った。第二工程反応器から排出されたポリエチレン系重合体の乾燥後のHLMFRは12g/10分、密度は0.949g/cm、α−オレフィン含有量は0.40mol%であった。なお、高分子量成分(第一工程で製造された重合体)の割合は45重量%であった。
一方、第二工程で製造される低分子量成分のポリエチレン系重合体のMFRは、二段目の重合条件で別途重合することにより求め、MFRが80g/10分であった。また、第二工程で製造される低分子量成分のポリエチレン系重合体のα−オレフィン含有量は、二段工程後のα−オレフィン含有量と一段工程後のα−オレフィン含有量の間に重量%に関する加成性が成り立つことを使い求め、0.26mol%であった。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
(実施例2)
(1)固体触媒成分の調製
200mlの三つ口フラスコに3.89gの無水の塩化アルミニウム(29.2ミリモル)および2.38gのマグネシウムエトキシドの粉末(20.8ミリモル)を添加した。ついで30mlのシクロヘキサン(不活性有機溶媒として)を仕込んだ後、75℃の温度において30分間攪拌しながら反応を行なった。反応系を室温まで放冷し、上澄液を抜き取り、新しい精製n−ヘキサン30mlを追加混合し、沈殿反応固体生成物を洗浄し、上澄液を抜き取る操作をさらに3度繰返した。沈殿した反応固体生成物に残存するn−ヘキサンを室温において減圧下で留去した。この固体反応生成物に7mlの四塩化チタンを加え、100℃の温度において80分間反応を行なった。反応系を室温まで冷却した後、この反応系にさらに40mlのn−ヘキサンを加え、上澄液を抜き取り、新しいn−ヘキサン40mlを加えて洗浄する操作を3回繰返すことによって未反応の四塩化チタンを実質的に洗浄除去を行なった。50℃において減圧下で乾燥を行ない、濃紫色の固体生成物が得られた。この触媒成分のチタン含有量は2.5重量%であった。
(2)ポリエチレン樹脂の製造
減圧乾燥した後、充分に窒素ガスで系内を置換した内容積が1.2lのステンレス製のオートクレーブ内にトリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(濃度 0.5モル/l)1.4ml(トリイソブチルアルミニウム 0.7ミリモル)を加え、上記によって得られた触媒成分21.5mgを加えた。不活性有機溶媒としてイソブタン346gをローターメーターを用いて仕込んだ。攪拌しながら85℃に昇温した。イソブタンの圧力は14.0kg/cm(ゲージ圧)を示してした。水素を系圧が16.0kg/cm(ゲージ圧)になるまで圧入し、つづいて系の圧力が26kg/cm(ゲージ圧)、エチレンの圧力は10kg/cm(ゲージ圧)に保たれるように連続的にエチレンを導入し続けた。エチレンの導入開始後、60分で系内のガスをリリーフラインを通して系外にパージした。得られた白色の粉末状の重合体を真空乾燥した。その結果、HLMFRが13g/10分、密度が0.950g/cmの重合体が得られた。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
(実施例3)
実施例2で得られた重合体をn−ヘプタン中に入れ洗浄、乾燥した。その結果、HLMFRが13g/10分、密度が0.950g/cmであって、n−ブチルアルコール抽出量が1.0重量%の重合体が得られた。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
(実施例4)
実施例1の水素量を調節することにより、HLMFRが10g/10分、密度が0.949g/cmの重合体が得られた。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
(比較例1)
実施例2の水素圧力を16.0kg/cm(ゲージ圧)よりも多めに圧入した以外は実施例2と同様に行なった。その結果、HLMFRが13g/10分、密度が0.950g/cmの重合体が得られた。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
(比較例2)
市販の日本ポリエチレン社製高密度ポリエチレン「HB111R」(HLMFRが6g/10分、密度が0.945g/cmの重合体)を用いた。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
(比較例3)
(1)固体触媒成分の調製
直径10mmの磁製ボールを約700個充填した内容積1Lの粉砕用ポットを充分に窒素置換した後、市販のマグネシウムエチラート20g(17.5mmol)、粒状の三塩化アルミニウム1.66g(17.5mmol)及びジフェニルジエトキシシラン2.72g(10mmmol)を入れた。このポットを振動ボールミルに取り付け、振幅が6mm及び振動数が30Hz/分の条件で3時間共粉砕を行った。粉砕後に内容物を窒素雰囲気下で取り出し、約20gの共粉砕物を得た。
充分に窒素置換した200mlの三ツ口フラスコに、上記で得られた共粉砕物5g及びn−ヘプタン20mlを加え、攪拌しながら室温で10mlの四塩化チタンを滴下した。滴下が終了後、反応系を90℃まで昇温し、90分間攪拌を続けた。次いで反応系を室温まで冷却後、n−ヘキサンを用いたデカンテーションを繰り返すことにより、未反応の四塩化チタンなどを除去した後、50℃にて減圧乾燥することにより、7.2gの固体触媒成分を得た。この固体触媒成分は元素分析の結果、10.1重量%のチタン原子を含んでいた。
(2)ポリエチレン樹脂の製造
内容積200Lの第1の重合液体充填ループ型反応器に脱水精製したイソブタンを270L/hr、トリイソブチルアルミニウムを224g/hrの速度で、上記固体触媒を5.2g/hrの速度で、さらにエチレンを87kg/hr、水素を5.4g/hr、コモノマーとして1−ヘキセンを2.7kg/hrの速度で連続的に供給し、80℃、重合圧力4.2MPa、平均滞留時間0.55hrの条件下でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。
重合反応生成物の一部を採取し物性を測定した結果、HLMFRは1.30g/10分、密度は0.9346g/cm、1−ヘキセン含有量は0.45モル%であった。
次いで、第一工程重合生成物を含むイソブタンスラリーをそのまま内容積400Lの第二工程反応器に全量導入し、触媒を追加することなく、イソブタンを120L/hr、エチレンを98kg/hr、水素を150g/hrの速度で連続的に供給し、90℃、重合圧力4.1MPa、平均滞留時間0.6hrの条件下で第二工程の重合を行った。第二工程反応器から排出されたエチレン系重合体のMFRは0.68g/10分、HLMFRは42g/10分、密度は0.951g/cm、1−ヘキセン含有量は0.35モル%であった。なお、高分子量成分(第一工程で製造された重合体)の割合は47質量%であった。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
(比較例4)
(1)固体触媒成分の製造
攪拌機および冷却器を取り付けた容量1Lの三つ口フラスコの内部を十分に窒素置換した後、乾燥ヘキサン250ml、あらかじめ3L振動ミルで1時間粉砕処理を行った無水塩化マグネシウム11.4gおよびn−ブタノール110mlを入れ、68℃で2時間加熱し均一な溶液とした。この溶液を室温まで冷却した後、25℃の運動粘度が25cStであるメチルポリシロキサン8gを添加し、1時間攪拌して均一な溶液を得た。この均一溶液を水で冷却した後、この中へ四塩化チタン50mlおよび乾燥ヘキサン50mlを、滴下漏斗を用い1時間を費やして滴下し、溶液を得た。この溶液は均一であり、反応生成物の錯体は析出していなかった。この溶液を還流しながら、68℃で2時間加熱処理を行った。加熱を開始して約30分後に反応生成物錯体の析出が見られた。これを採取して乾燥ヘキサン250mlで6回洗浄し、さらに窒素ガスで乾燥して、反応生成物錯体19gを回収した。反応生成物錯体を分析したところ、Mg14.5重量%、n−ブタノール44.9重量%およびTi0.3重量%を含有しており、その比表面積は17m/gであった。反応生成物錯体4.5gを窒素雰囲気下で攪拌機および冷却器を取り付けた容量1Lの三つ口フラスコに採取し、これに乾燥ヘキサン250mlおよび四塩化チタン25mlを加えて還流下に68℃で2時間加熱処理を行い、室温まで冷却した後、乾燥ヘキサン250mlで6回洗浄し、窒素ガスで乾燥して固体触媒成分4.6gを回収した。この固体触媒成分を分析したところ、Mg12.5重量%、n−ブタノール17.0重量%およびTi9.0重量%を含有しており、その比表面積は29m/gであった。この固体触媒成分をSEMで観察したところ、粒径は均一であり球に近い形状であった。
(2)ポリエチレン樹脂の製造
第一段反応器として内容積200Lの重合器に、触媒供給ラインから上記で得られる固体触媒成分14.3g/hrを、またトリエチルアルミニウム(TEA)を有機金属化合物供給ラインから56mmol/hrの速度にて連続的に供給して、重合内容物を所要速度で排出しながら、70℃において重合溶媒(n−ヘキサン)70(l/hr)、水素0.39(mg/hr)、エチレン16.2(kg/hr)、1−ブテン0.94(kg/hr)の速度で供給し、液相中の水素濃度0.37×10−3重量%、エチレン濃度0.17重量%、水素の対エチレン濃度比0.0094、1−ブテンの対エチレン濃度比1.10に保ち、全圧1.4MPa、平均滞留時間1.97Hrの条件下で連続的に第一段共重合を行った。
第一段反応器で生成したスラリー状重合生成物をそのまま内容積400Lの第二段反応器へ全量、内径50mmの連続管を通して導入し、重合器内容物を所要速度にて排出しながら、82℃にて、重合溶媒(n−ヘキサン)100(l/hr)、水素80.0(g/hr)、エチレン43.8(kg/hr)の速度で供給し、液相中の水素濃度0.050重量%、エチレン濃度0.61重量%、水素の対エチレン濃度比1.25、全圧1.2MPa、平均滞留時間1.05Hrの条件下で連続的に第二段重合を行った。
第二段反応器から排出される重合生成物をフラッシング槽へ導入し、HLMFRが230g/10分、密度が0.955g/cmの重合体が得られた。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
(比較例5)
市販のプライムポリマー社製高密度ポリエチレン「6300M」(HLMFRが15g/10分、密度が0.951g/cmの重合体)を用いた。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
(比較例6)
比較例3の水素量及び1−ヘキセン量を調節することにより、HLMFRが75g/10分、密度が0.945g/cmである重合体が得られた。
表1にポリエチレン系重合体の評価結果を示した。
Figure 0004810340
表1からわかるように、実施例1乃至実施例4は成形性、溶着強度及び耐久性のバランスに優れ、信頼性の向上したプラスチック燃料タンク用の材料例であり、比較例1は成形性に優れているが、溶着強度が低く、信頼性の低いプラスチック燃料タンク用の材料例であり、比較例2は溶着強度に優れているが、成形性が悪いプラスチック燃料タンク用の材料例であり、比較例3は射出成形性に優れているが、溶着強度が低いプラスチック燃料タンク用の材料例であり、比較例4は射出成形性に優れているが、溶着強度が低いプラスチック燃料タンク用の材料例であり、比較例5は成形性に優れているが、溶着強度が低く、信頼性の低いプラスチック燃料タンク用の材料例であり、比較例6は、n−ブチルアルコール抽出量が多いため溶着強度が低下した材料例である。
本発明の溶着材料は、プラスチック燃料タンク本体と溶着部品との間の溶着強度の更なる改良及び耐久性の改良を図ることができ、成形性、溶着強度及び耐久性のバランスに優れ、信頼性の向上したプラスチック燃料タンクを得ることができ、さらに、燃料タンク本体へ溶着部品を溶着する際、溶着不具合の発生しにくく、溶融樹脂の流動性バランスに優れた成形性を達成でき、溶着後の性能も満足させることができる。

Claims (4)

  1. 下記の特性(1)〜(5)の条件を満足するエチレン系重合体からなるプラスチック燃料タンク用溶着材料。
    特性(1)密度が0.910g/cm以上0.960g/cm以下
    特性(2)190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが1.0g/10分以上50g/10分以下
    特性(3)温度230℃、剪断速度10sec−1における剪断粘度が5.0×10poise以上10×10poise以下
    特性(4)温度230℃、剪断速度1000sec−1における剪断粘度が2.0×10poise以上4.0×10poise以下
    特性(5)n−ブチルアルコール抽出量が4.0重量%以下
  2. 温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度(η100 )が、燃料タンク本体の外層を構成する材料の温度230℃、剪断速度100sec−1における剪断粘度(η100 )と式(1)の関係を満足するエチレン系重合体であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック燃料タンク用溶着材料。
    0.75η100 ≦η100 ≦1.25η100 ・・・(1)
  3. 温度−20℃〜50℃における線膨張係数(L)が、燃料タンク本体の外層を構成する材料の温度−20℃〜50℃における線膨張係数(L)と式(2)の関係を満足するエチレン系重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチック燃料タンク用溶着材料。
    0.90L≦L≦1.10L ・・・(2)
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶着材料を装着したプラスチック燃料タンク。
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