JP2008106378A - 伸縮性不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時における機械方向に伸長させたときにおいて幅縮みが少なく、機械方向のモジュラスが大きく、機械方向の伸縮特性が優れた伸縮性不織布並びにその製造方法及びそれを用いたパンツ型使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】少なくとも弾性繊維層1を備えた伸縮性不織布10であって、非伸長状態において、弾性繊維層1は、製造時における機械方向(MD方向)と直交するCD方向に、相対的に坪量の高い高坪量部分12と相対的に坪量の低い低坪量部分13とが交互に配列している。
【選択図】図1

Description

本発明は伸縮性不織布に関する。
従来より、弾性繊維層を少なくとも備えた伸縮性不織布が用いられている(例えば、下記特許文献1参照)。特許文献1記載の伸縮性不織布は、弾性伸縮性の第1繊維層と非伸縮性の第2繊維層とが接合されてなる。
ところで、伸縮性不織布においては、製造時における機械方向(MD方向)に伸長させたときにおいて幅縮み(ネックイン)が少なく、加工性が高いことが望まれている。また、例えば、使い捨ておむつの外面を構成するシートに伸縮性不織布を用いる場合においては、MD方向と直交する方向(CD方向)における所望の部位において、MD方向のモジュラスが大きく、MD方向の伸縮特性が優れていることが望まれている。
しかしながら、特許文献1記載の伸縮性不織布においては、弾性伸縮性の第1繊維層は、ほぼ一様な厚さを有しているため、前述した幅縮みの低減及びMD方向の優れた伸縮特性を達成することはできない。
また、従来より、縞模様を有するシートの製造方法が種々知られている(例えば、下記特許文献2〜5参照)。特許文献2,3記載の製造方法は、冷却延伸装置における流路に幅広の部分及び幅狭の部分を設け、気流の流速を制御することにより、縞模様を有するシートを形成している。特許文献4記載の製造方法は、スパンボンド法において静電気帯電効果を利用して、縞模様を有するシートを形成している。特許文献5記載の製造方法は、冷却延伸装置の内部で流路にエアを吹き付け、気流の流速を制御することにより、縞模様を有するシートを形成している。
しかし、特許文献2、3に記載の製造方法においては、流路の幅狭の部分で繊維が引っ掛かりやすいため、粘着性が高く塊になりやすい弾性繊維への適用が困難である。特許文献4記載の製造方法を弾性繊維を適用すると、塊になりやすい。特許文献5記載の製造方法のように、冷却延伸装置の内部で流路にエアを吹き付ける方式では気流の流速の制御が難しい。このように、特許文献2〜5の記載の製造方法は、何れも弾性繊維を材料とするシートの製造に適していない。
特開2001−159062号公報 特開2001−32161号公報 特開昭50−138115号公報 特開平7−109658号公報 特開昭52−59775号公報
従って、本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る伸縮性不織布及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、前記伸縮性不織布を用いた使い捨ておむつを提供することにある。
本発明は、少なくとも弾性繊維層を備えた伸縮性不織布であって、非伸長状態において、弾性繊維層は、製造時における機械方向と直交するCD方向に、相対的に坪量の高い高坪量部分と相対的に坪量の低い低坪量部分とが交互に配列している伸縮性不織布を提供することにより前記目的を達成したものである。
また、本発明は、熱可塑性エラストマーからなる弾性繊維の溶融紡糸が可能な紡糸装置を用いて前記伸縮性不織布を製造する方法であって、紡糸装置は、紡糸ノズルの孔径、紡糸ノズルのランド長及び紡糸ノズルの孔ピッチのうちの少なくとも1つが前記CD方向に異なり、これにより、単位幅あたりの弾性繊維の紡糸質量が前記CD方向に大きい部位と小さい部位とを具備しており、紡糸装置により弾性繊維を紡糸し、紡糸された弾性繊維をコンベア上で積繊して積繊シートに形成した後に、該積繊シートから前記伸縮性不織布を製造する伸縮性不織布の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
また、本発明は、熱可塑性エラストマーからなる弾性繊維の溶融紡糸が可能な紡糸装置を用いて前記伸縮性不織布を製造する方法であって、紡糸装置により弾性繊維を紡糸し、紡糸された弾性繊維に、流速が前記CD方向に高速の部位と低速の部位とを有するエアを直接吹き付けることで、弾性繊維を延伸させると共に、空気搬送状態において弾性繊維に、質量が前記CD方向に大きい部位と小さい部位とを形成し、この弾性繊維を積繊して積繊シートを形成した後に、該積繊シートから前記伸縮性不織布を製造する伸縮性不織布の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
また、本発明は、熱可塑性エラストマーからなる弾性繊維の溶融紡糸が可能な紡糸装置を用いて前記伸縮性不織布を製造する方法であって、紡糸装置により弾性繊維を紡糸し、紡糸された弾性繊維を、流速が前記CD方向に高速の部位と低速の部位を有するエアにより吸引することで、空気搬送状態において弾性繊維に、質量が前記CD方向に大きい部位と小さい部位とを形成し、この弾性繊維を積繊して積繊シートを形成した後に、該積繊シートから前記伸縮性不織布を製造する伸縮性不織布の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
また、本発明は、前記伸縮性不織布が、使い捨ておむつの胴回り部に弾性伸縮性を付与するためのシートとして用いられた使い捨ておむつを提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の伸縮性不織布によれば、製造時における機械方向(MD方向)に伸長させたときにおいて幅縮み(ネックイン)が少なく、加工性が高い。また、MD方向と直交する方向(CD方向)における所望の部位において、MD方向のモジュラスが大きく、MD方向の伸縮特性が優れている
本発明の伸縮性不織布の製造方法によれば、前記伸縮性不織布を容易に製造することができる。
本発明の使い捨ておむつによれば、胴回り部の伸縮特性が優れている。
以下、本発明について、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明の伸縮性不織布の第1実施形態の断面構造を示す模式図であり、図1(b)は、第1実施形態の伸縮性不織布を示す平面図である。第1実施形態の伸縮性不織布10は、図1(a)に示すように、弾性繊維層1のみからなる単層構造を有している。そして、非伸長状態において、弾性繊維層1は、図1(a)及び(b)に示すように、製造時における機械方向(MD方向)と直交するCD方向に、相対的に坪量の高い高坪量部分12と相対的に坪量の低い低坪量部分13とが交互に配列している。
高坪量部分12及び低坪量部分13を形成するには、つまり部分的に(位置によって)坪量を異ならせるには、構成繊維の量を異ならせればよく、具体的には構成繊維の長さ、繊維径等を異ならせる。第1実施形態においては、図1(a)に示すように、高坪量部分12は厚みが厚く、低坪量部分13は厚みが薄くなっている。
高坪量部分12の坪量は、5〜60g/m2、特に10〜40g/m2であることが好ましい。低坪量部分13の坪量は、2.5〜54g/m2、特に3〜30/m2であることが好ましい。低坪量部分13の坪量は、高坪量部分12の坪量の5〜90%であることが好ましく、12〜75%であることが更に好ましい。
高坪量部分12の厚みは、0.05〜2mm、特に0.1〜0.5mmであることが好ましい。低坪量部分13の厚みは、0.03〜1.5mm、特に0.05〜0.3mmであることが好ましい。厚みの測定は、断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。
高坪量部分12、低坪量部分13の構成繊維の繊維径は、伸縮特性の観点から、5μm以上、特に10μm以上が好ましく、また100μm以下、特に40μm以下であることが好ましい。
高坪量部分12及び低坪量部分13の平面視形状は、その形成方法によって異なるが、本実施形態においては帯状である。本実施形態においては、各高坪量部分12は等幅であり、同様に、各低坪量部分13は等幅である。
CD方向に沿って、高坪量部分12の幅は、5〜100mmであることが好ましく、10〜40mmであることが更に好ましい。また、低坪量部分13の幅は、5〜100mmであることが好ましく、10〜40mmであることが更に好ましい。
弾性繊維層1は、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を有するものである。弾性繊維層1は、少なくとも面と平行な一方向において、100%伸長後に収縮させたときの残留歪みが20%以下、特に10%以下であることが好ましい。この値は、少なくとも、MD方向及びCD方向の何れか一方において満足することが好ましく、両方向において満足することがより好ましい。
弾性繊維層1は、弾性を有する繊維の集合体である。弾性繊維層1には、その弾性を損なわない範囲において、非弾性の繊維を好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、一層好ましくは10重量%以下の範囲で配合してもよい。弾性を有する繊維は、連続フィラメント(連続繊維)でもよく、短繊維でもよい。弾性を有する繊維の成形方法には、例えば、溶融した樹脂をノズル孔から押し出し、この押し出された溶融状態の樹脂を熱風の吹き付けにより伸長させることによって繊維を細くするメルトブローン方法、半溶融状態の樹脂を冷風の吹き付けや機械的ドロー比によって延伸するスパンボンド法がある。また、溶融紡糸法の一種であるスピニングブローン法がある。
また、弾性繊維層1は、弾性を有する短繊維又連続フィラメントからなるウエブや不織布の形態であり得る。例えば、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成されたウエブや不織布であり得る。弾性繊維層1は、その層内において構成繊維の交点が熱融着していることが好ましい。
弾性繊維層1の構成繊維としては、例えば熱可塑性エラストマーやゴムなどを原料とする繊維を用いることができる。特に熱可塑性エラストマーを原料とする繊維は、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた繊維が熱融着させやすい点から好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、SBS、SIS、SEBS、SEPS等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。またこれらの樹脂からなる芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維を用いることもできる。弾性繊維の成形性、伸縮特性及びコストの面から、特にスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、又はそれらを組み合わせて用いることが好ましい。
本実施形態の伸縮性不織布10は、その面内方向の少なくとも一方向に伸縮性を有しており、面内のすべての方向に伸縮性を有していてもよい。その場合には、方向によって伸縮性の程度が異なることは妨げられない。最も伸縮する方向に関し、伸縮性の程度は、100%伸長時の荷重が20〜500cN/25mm、特に40〜150cN/25mmであることが好ましい。また100%伸長状態から収縮させたときの残留歪みは、15%以下、特に10%以下であることが好ましい。
第1実施形態の伸縮性不織布10によれば、弾性繊維層1における高坪量部分12及び低坪量部分13の配列に起因して、製造時における機械方向(MD方向)に伸長させたときにおいて幅縮み(ネックイン)が少なく、加工性が高い。また、MD方向と直交する方向(CD方向)における所望の部位において、MD方向のモジュラスが大きく、MD方向の伸縮特性が優れている。これらの点は、後述の実施例及び比較例を用いた評価結果からも裏付けられている。
また、低坪量部分13において通気性に優れるため、伸縮性不織布10全体の通気性も優れる。第1実施形態のように、弾性繊維層1が露出した形態においては、高坪量部分12及び低坪量部分13から濃淡が形成され、見栄えにも優れる。
次に、第1実施形態の伸縮性不織布の製造に好ましく用いられる、本発明の伸縮性不織布の製造方法の第1実施態様について説明する。図2(a)は、本発明の伸縮性不織布の製造方法の第1実施態様を示す模式的側面図であり、図2(b)は、第1実施態様における紡糸装置を示す斜視図である。
第1実施態様の伸縮性不織布の製造方法は、図2に示すように、熱可塑性エラストマーからなる弾性繊維1Aの溶融紡糸が可能な紡糸装置22を用いる。本実施態様における紡糸装置22は、メルトブローン法によって紡糸するメルトブローン紡糸ダイである。紡糸装置22は、紡糸ノズル22Aの孔径、紡糸ノズル22Aのランド長(ノズル穴の長さ)及び紡糸ノズル22Aの孔ピッチのうちの少なくとも1つがCD方向に異なり、これにより、単位幅あたりの弾性繊維1Aの紡糸質量がCD方向に大きい部位と小さい部位とを具備している。紡糸装置22においては、紡糸ノズル22Aの孔径、紡糸ノズル22Aのランド長及び紡糸ノズル22Aの孔ピッチのうちの2要素又は3要素がCD方向に異なっていてもよく、1要素のみがCD方向に異なっていてもよい。
紡糸ノズル22Aの孔径が大きい程、紡糸される弾性繊維1Aの繊維径が大きくなる。また、紡糸ノズル22Aのランド長が小さい程、紡糸量が多くなる。また、紡糸ノズル22Aの孔ピッチが小さい程、紡糸される弾性繊維1Aの繊維ピッチが小さくなる。従って、紡糸装置22においては、高坪量部分12に対応する部分において、紡糸ノズル22Aの孔径を大きく、紡糸ノズル22Aのランド長を短く、及び/又は、紡糸ノズル22Aの孔ピッチを小さくする。
反対に、紡糸装置22においては、低坪量部分13に対応する部分において、紡糸ノズル22Aの孔径を小さく、紡糸ノズル22Aのランド長を長く、及び/又は、紡糸ノズル22Aの孔ピッチを大きくする。
紡糸装置22の紡糸ノズル22Aがこのような構成を具備することにより、紡糸装置22には、単位幅あたりの弾性繊維1Aの紡糸質量がCD方向に大きい部位と小さい部位とができる。
そして、第1実施態様の製造方法においては、図2に示すように、紡糸装置22により弾性繊維1Aを紡糸し、紡糸された弾性繊維1Aをコンベア29上で積繊して積繊シート(弾性繊維ウエブ)1’に形成した後に、積繊シート1’から、第1実施形態の伸縮性不織布10を製造する。
紡糸装置22においては、紡糸ノズル22Aの先端近辺に、一対の熱風吐出部28Aが、紡糸ノズル22Aを中心に対向配置されている。そのため、紡糸ノズル22Aから紡糸された弾性繊維1Aに、熱風の吹き付けエアF1を吹き付け、弾性繊維1Aの繊維径を細くすると共に弾性繊維1Aに空気搬送力を付与できるようになっている。また、コンベア29は、ネット状の搬送面を有するコンベアベルト29Aと、コンベアベルト29Aを通じて吸引エアF2を発生させるバキューム機構29Bとを備えている。
また、第1実施態様の製造方法においては、紡糸装置22により弾性繊維1Aを紡糸し、紡糸された弾性繊維1Aに、流速がCD方向に高速の部位と低速の部位とを有する吹き付けエアF1を直接吹き付けることで、弾性繊維1Aを延伸させると共に、空気搬送状態において弾性繊維1Aに、質量がCD方向に大きい部位と小さい部位とを形成している。吹き付けエアF1の流速が速い程、積繊される弾性繊維1Aの質量が大きくなる。従って、紡糸装置22においては、高坪量部分12に対応する部分の弾性繊維1Aに対し、吹き付けエアF1の流速を速く(高速に)する。
反対に、吹き付けエアF1の流速が遅い程、積繊される弾性繊維1Aの質量が小さくなる。従って、紡糸装置22においては、低坪量部分13に対応する部分の弾性繊維1Aに対し、吹き付けエアF1の流速を遅く(低速に)する。
更に、第1実施態様の製造方法においては、紡糸装置22により弾性繊維1Aを紡糸し、紡糸された弾性繊維1Aを、流速がCD方向に高速の部位と低速の部位を有する吸引エアF2により吸引することで、空気搬送状態において弾性繊維1Aに、質量がCD方向に大きい部位と小さい部位とを形成している。吸引エアF2は、コンベア29のバキューム機構29Bにより、紡糸装置22からコンベアベルト29Aに向けて発生する。吸引エアF2の流速が速い程、積繊される弾性繊維1Aの質量が大きくなる。従って、高坪量部分12に対応する部分の弾性繊維1Aに対し、吸引エアF2の流速を速く(高速に)する。
反対に、吸引エアF2の流速が遅い程、積繊される弾性繊維1Aの質量が小さくなる。従って、低坪量部分13に対応する部分の弾性繊維1Aに対し、吸引エアF2の流速を遅く(低速に)する。
尚、第1実施態様においては、紡糸装置22の紡糸ノズル22Aの孔径、紡糸ノズル22Aのランド長、紡糸ノズル22Aの孔ピッチ、吹き付けエアF1の流速及び吸引エアF2の流速の5要素をCD方向に異ならせているが、本発明の伸縮性不織布の製造方法においては、この5要素の全てを異ならせる必要は必ずしもなく、この5要素のうち適宜選択した1〜4要素を異ならせるだけでもよい。
第1実施態様の製造方法によれば、紡糸装置22の紡糸ノズル22Aの孔径、紡糸ノズル22Aのランド長、紡糸ノズル22Aの孔ピッチ、吹き付けエアF1の流速、吸引エアF2の流速等をCD方向に異ならせることにより、高坪量部分12及び低坪量部分13が交互に配列した第1実施形態の伸縮性不織布10を容易に製造することができる。
第1実施態様の製造方法においては、紡糸装置として、メルトブローン紡糸ダイ22を用いているが、それに代えて、スパンボンド法によるスパンボンドダイ22’や、スピニングブローン法によるスピニングブローンダイ22”を用いることができる。
スパンボンドダイ22’を用いたスパンボンド法によれば、図3に示すように、半溶融状態の弾性繊維1Aを冷風の吹き付けエアF3や機械的ドロー比によって延伸することができる。冷風の吹き付けエアF3は、イジェクター28Bによって吹き付けられる。
スピニングブローンダイ22”には、図4に示すように、紡糸ノズル22Aの先端近辺に、一対の熱風吐出部28Aが、紡糸ノズル22Aを中心に対向配置されており、その下流側に一対の冷風吐出部28Cが、紡糸ノズル22Aを中心に対向配置されている。そのため、スピニングブローンダイ22”を用いたスピニングブローン法によれば、熱風の吹き付けエアF1及び冷風の吹き付けエアF3によって、熱風F1による溶融した弾性繊維1Aの伸長及び冷風F3による弾性繊維1Aの冷延伸が連続的に行われるので、伸縮性繊維の成形を容易に行えるという利点がある。また、繊維が緻密になりすぎず、短繊維に類した太さの伸縮性繊維を成形できるので、通気性の高い伸縮性不織布が得られるという利点もある。更にスピニングブローン法によれば、連続フィラメントのウエブを得ることができる。連続フィラメントのウエブは、溶融紡糸したフィラメントを、ウエブに直接又はニップさせながら積層させて形成することもできる。連続フィラメントのウエブは、短繊維のウエブに比較して高伸長時の破断が起こりにくく、弾性を発現させやすい。
スピニングブローン法に用いられる紡糸ダイとしては、例えば特公昭43−30017号公報の図1に記載されているもの、特開昭62−90361号公報の図2に記載されているもの、特開平3−174008号公報の図2に記載されているものを用いることができる。更に、特開平3−174008号公報の図2に示されるものや、特許第3335949号公報の図1ないし図3に示されるものを用いることができる。
紡糸装置22を構成する各種ダイは、CD方向に複数台設けることができる。それによって、紡糸ノズル22Aの孔径、紡糸ノズル22Aのランド長、紡糸ノズル22Aの孔ピッチ、吹き付けエアF1の流速、吸引エアF2の流速等をCD方向に異ならせた構成を実現することができる。
次に、本発明の伸縮性不織布の第2実施形態について説明する。図5(a)は、本発明の伸縮性不織布の第2実施形態の断面構造を示す模式図であり、図5(b)は、第2実施形態の伸縮性不織布を示す平面図である。
第2実施形態の伸縮性不織布10は、図5に示すように、弾性繊維層1の一面に、実質的に非弾性の非弾性繊維層2が積層された2層構造を有している。第2実施形態における弾性繊維層1は、非弾性繊維層2が積層される前においては、単層構造の第1実施形態の伸縮性不織布10(弾性繊維層1)と同様の構成を有している。従って、第2実施形態における弾性繊維層1については、非弾性繊維層2が積層される前において、第1実施形態における弾性繊維層1に関する説明が適宜適用される。
その反対に、第2実施形態における弾性繊維層1に関する説明も、第1実施形態における弾性繊維層1に適宜適用される。
第2実施形態においては、弾性繊維層1と非弾性繊維層2とは、弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって接合されている。弾性繊維層1と非弾性繊維層2とは、全面的に接合されていることが好ましい。
第2実施形態の伸縮性不織布10の伸縮性は、弾性繊維層1と非弾性繊維層2とを接合して得られた積層繊維シートに対し、延伸加工を施すことにより発現している。詳細には、該伸縮性は、弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態で、弾性繊維層1と非弾性繊維層2とを繊維交点の熱融着によって接合して得られた積層繊維シートに対し、延伸加工を施すことにより発現している(詳細は後述)。
非弾性繊維層2は、伸長性を有するが、実質的に非弾性のものである。ここでいう「伸長性」は、構成繊維自体が伸長する場合と、構成繊維自体は伸長しなくても、繊維同士の交点において熱融着していた両繊維同士が離れたり、繊維同士の熱融着等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維層全体として伸長する場合との何れでもよい。
非弾性繊維層2を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。非弾性繊維層2を構成する繊維は、短繊維でも長繊維でもよく、親水性でも撥水性でもよい。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。非弾性繊維層2は、連続フィラメント、短繊維のウエブ又は不織布であり得る。特に、厚みのある嵩高な非弾性繊維層2を形成し得る点から、短繊維のウエブであることが好ましい。芯鞘型の複合繊維の場合には、芯がPET、PPで、鞘が低融点PET、PP、PEのものが好ましい。特にこれらの複合繊維を用いると、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等を好ましく含む弾性繊維層1の構成繊維との熱融着が強くなり、層剥離が起こりにくい点で好ましい。
弾性繊維層1と非弾性繊維層2とが全面的に接合されている形態においては、弾性繊維層1と非弾性繊維層2との界面及びその近傍において、弾性繊維層1の構成繊維と非弾性繊維層2の構成繊維との交点が熱融着しており、実質的に全面で均一に接合されている。全面的に接合されていることによって、弾性繊維層1と非弾性繊維層2との間に浮きが生じること、つまり、両層が離間して空間が形成されることが防止される。両層間に浮きが生じると、弾性繊維層1と非弾性繊維層2との一体感がなくなり、伸縮性不織布10の風合いが低下する傾向にある。弾性繊維層1と非弾性繊維層2とが全面的に接合されている形態によれば、あたかも一層の不織布ごとき一体感のある多層構造の伸縮性不織布が提供される。
「弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態」とは、弾性繊維層1の構成繊維のほとんどが熱や圧力等を付与された場合であっても、フィルム状又はフィルム−繊維構造に変形していない状態をいう。弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態にあることで、伸縮性不織布に十分な通気性が付与されるという利点がある。なお、後述するように、第2実施形態の伸縮性不織布10には、熱エンボス加工が施されて接合部が形成される。この接合部においては、熱エンボス加工の条件によっては、弾性繊維層1の構成繊維がフィルム状又はフィルム−繊維構造となっている場合がある。従って、前記の「弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態」であるか否かは、接合部以外の部位に着目して判断する。
弾性繊維層1は、その層内において構成繊維の交点が熱融着している。同様に、非弾性繊維層2も、その層内において構成繊維の交点が熱融着している。
非弾性繊維層2においては、その構成繊維の一部が弾性繊維層1に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層1の構成繊維の一部が非弾性繊維層2に入り込んだ状態になっていることが好ましい。このような状態になっていることで、弾性繊維層1と非弾性繊維層2との一体化が促進され、両層間に浮きが生じることが一層効果的に防止される。結果として、それぞれの層の表面に追従した形で、層と層とが組み合わさっている状態となる。非弾性繊維層の構成繊維は、その一部が弾性繊維層1に入り込み、そこにとどまっている。例えば、非弾性繊維層2において、2つの表面のうち弾性繊維層1に対向する側における表面繊維間を結ぶ面をマクロ的に想定したとき、この面から層の内側に形成される繊維空間に、弾性繊維層1の構成繊維の一部が入り込んでいる。また、弾性繊維層1の2つの表面において、表面繊維間を結ぶ面をマクロ的に想定したとき、これらの面から層の内側に形成される繊維空間に、非弾性繊維層2の構成繊維の一部が入り込んでいる。特に、非弾性繊維層2の構成繊維が弾性繊維層1に入り込み、そこにとどまっている場合、非弾性繊維層2の構成繊維は、更に弾性繊維層1の構成繊維と交絡していることが好ましい。これは、伸縮性不織布の厚み方向断面をSEMやマイクロスコープなどで観察した際に、層間において実質的に空間が形成されていないことで確認される。また、ここでいう「交絡」とは、繊維同士が十分に絡み合っている状態を意味し、繊維層を単に重ね合わせただけの状態は、交絡に含まれない。交絡しているか否かは、例えば次の方法で判断できる。繊維層を単に重ね合わせた状態から、繊維層を剥離するときに要する力を測定する。これとは別に、繊維層を重ね合わせ、それに熱融着を伴わないエアスルー法を適用した後に、繊維層を剥離する力を測定する。二つの力を比較して、両者間に実質的に差異が認められる場合には、交絡していると判断できる。
非弾性繊維層2の構成繊維を弾性繊維層1に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維層1の構成繊維を非弾性繊維層2に入り込ませるには、非弾性繊維層2の構成繊維と弾性繊維層1の構成繊維とを熱融着させる処理前において、非弾性繊維又は弾性繊維の少なくとも一方がウエブ状態(熱融着していない状態)であることが好ましい。構成繊維を他の層に入り込ませる観点から、ウエブ状態である繊維層は、短繊維の方が長繊維に比べ自由度が高いことから好ましい。
非弾性繊維層2の構成繊維を弾性繊維層1に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維層1の構成繊維を非弾性繊維層2に入り込ませるには、エアスルー法を用いることが好ましい。エアスルー法を用いることで、相対する繊維層に構成繊維を入り込ませ、また、相対する繊維層から構成繊維を入り込ませることが容易となる。また、エアスルー法を用いることで、非弾性繊維層2の嵩高さを維持しつつ、非弾性繊維層2の構成繊維を弾性繊維層1に入り込ませることが容易となる。特に、ウエブ状態の非弾性繊維層2を弾性繊維層1と積層して、エアスルー法を用いることが好ましい。この場合、弾性繊維層1は、その構成繊維同士が熱融着していてもよく、熱融着していなくてもよい。更に、後述する製造方法において説明するように、特定の条件下でエアスルー法を行うことで、また、熱風の通りをよくするために伸縮性不織布10の通気性、特に弾性繊維層1の通気度を高いものとすることで、繊維をより均一に入り込ませることができる。エアスルー法以外の方法、例えばスチームを吹きかける方法も使用することができる。また、スパンレース法、ニードルパンチ法などを用いることも可能であるが、その場合には、非弾性繊維層2の嵩高さが損なわれたり、非弾性繊維層2の外面に弾性繊維層1の構成繊維が出てきてしまい、伸縮性不織布10の風合いが低下する傾向にある。
特に、非弾性繊維層2の構成繊維が弾性繊維層1の構成繊維と交絡している場合には、エアスルー法のみによって交絡していることが好ましい。
エアスルー法によって繊維を交絡させるためには、気体の吹き付け圧、吹き付け速度、繊維層の坪量や厚み、繊維層の搬送速度等を適切に調整すればよい。通常のエアスルー不織布を製造するための条件を採用しただけでは、非弾性繊維層2の構成繊維と弾性繊維層1の構成繊維とを交絡させることはできない。後述する製造方法において説明するように、特定の条件下でエアスルー法を行うことによって、両構成繊維を交絡させることができる。
エアスルー法では一般に、所定温度に加熱された気体を、繊維層の厚み方向に貫通させている。その場合には、繊維の交絡及び繊維交点の融着が同時に起こる。しかし、第2実施形態においては、エアスルー法によって各層内の構成繊維間で繊維交点を融着させることは必須ではない。換言すれば、エアスルー法は、非弾性繊維層2の構成繊維を弾性繊維層1に入り込ませるために、あるいは、非弾性繊維層2の構成繊維を弾性繊維層1の構成繊維と交絡させ、そして、非弾性繊維層2の構成繊維と弾性繊維層1の構成繊維とを熱融着させるために必要な操作である。また、繊維が入り込む方向は、加熱された気体の通過方向、及び非弾性繊維層2と弾性繊維層1との位置関係によって変わる。非弾性繊維層2は、風合いが良好な点から、エアスルー法によって、その構成繊維同士が繊維交点で融着されたエアスルー不織布となることが好ましい。
以上の説明の通り、第2実施形態の伸縮性不織布10においては、実質的に非弾性のエアスルー不織布の厚み方向内部に、構成繊維が繊維形態を保った状態の弾性繊維層1が含まれており、該エアスルー不織布の構成繊維の一部が弾性繊維層1に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層1の構成繊維の一部が非弾性繊維層2に入り込んだ状態になっている。更に好ましい形態においては、エアスルー不織布の構成繊維の一部が弾性繊維層1の構成繊維とエアスルー法によってのみ交絡している。弾性繊維層1がエアスルー不織布の内部に含まれていることによって、弾性繊維層1の構成繊維は、実質的に非弾性繊維層2の外面には存在しないことになる。このことは、弾性繊維に特有のべたつき感が生じない点から好ましいものである。
非弾性繊維層2の厚みは、弾性繊維層1の厚みの1.2〜20倍、特に1.5〜5倍になっていることが好ましい。一方、非弾性繊維層2の坪量よりも、弾性繊維層1の坪量の方が高くなっていることが好ましい。換言すれば、非弾性繊維層2は、弾性繊維層1よりも厚く且つ坪量が小さいことが好ましい。厚みと坪量とがこのような関係になっていることで、非弾性繊維層2は、弾性繊維層1に比較して厚みのある嵩高なものとなる。その結果、伸縮性不織布10は柔らかで風合いの良好なものとなる。
非弾性繊維層2の厚みは、0.05〜5mm、特に0.1〜1mmであることが好ましい。一方、弾性繊維層1の厚みは、非弾性繊維層2の厚みよりも小さいことが好ましく、具体的には、高坪量部分12の厚みは、0.05〜2mm、特に0.1〜0.5mmであることが好ましい。低坪量部分13の厚みは、0.03〜1.5mm、特に0.05〜0.3mmであることが好ましい。厚みの測定は、伸縮性不織布10の断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。
非弾性繊維層2の坪量は、風合い、厚み及び意匠性の観点から、それぞれ1〜60g/m2、特に5〜15g/m2であることが好ましい。一方、弾性繊維層1の坪量は、伸縮特性及び残留歪みの観点から、非弾性繊維層2の坪量よりも大きいことが好ましく、具体的には5〜80g/m2、特に20〜40g/m2であることが好ましい。
弾性繊維層1の構成繊維の繊維径は、非弾性繊維層2の構成繊維の繊維径の1.2〜5倍、特に1.2〜2.5倍であることが好ましい。これに加えて、弾性繊維層1の構成繊維の繊維径は、通気性及び伸縮特性の観点から、5μm以上、特に10μm以上が好ましく、また100μm以下、特に40μm以下であることが好ましい。一方、非弾性繊維層2の構成繊維の繊維径は、1〜30μm、特に10〜20μmであることが好ましい。つまり、非弾性繊維層2の構成繊維としては、弾性繊維層1の構成繊維よりも繊維径の細いものを用いることが好ましい。これによって、伸縮性不織布10の表層に位置する非弾性繊維層2の構成繊維の融着点が増加する。融着点の増加は、伸縮性不織布10の毛羽立ち発生の防止に有効である。更に、非弾性繊維層2の構成繊維として弾性繊維層1の構成繊維よりも繊維径が細いものを用いることで、肌触りの良い伸縮性不織布10が得られる。
図5には示していないが、第2実施形態の伸縮性不織布10にはエンボス加工が施されていてもよい。エンボス加工は、弾性繊維層1と非弾性繊維層2とを部分的に接合して両繊維層1,2の接合強度を一層高める目的で行われる。従って、エアスルー法によって弾性繊維層1と非弾性繊維層2とを十分に接合できれば、エンボス加工を行う必要はない。
第2実施形態の伸縮性不織布10によれば、弾性繊維層1の構成に起因して、第1実施形態と同様の効果が奏される他、後述する第3実施形態と同様の効果が奏される。
本発明の伸縮性不織布を吸収性物品の構成材料に用いる場合には、後述するように、弾性繊維層1が露出しない点から、第3実施形態のような3層構造の伸縮性不織布が好ましいが、第2実施形態のような2層構造の伸縮性不織布を、吸収性物品の構成材料に用いることもできる。その場合には、特に使用者の肌に触れる箇所に使用する場合には、肌触りやべたつき防止等の観点から、非弾性繊維層2が着用者の肌側に向くように(弾性繊維層1が着用者の肌側に向かないように)使用することが好ましい。
次に、第2実施形態の伸縮性不織布10の製造に好ましく用いられる、本発明の伸縮性不織布の製造方法の第2実施態様について、図6〜図9を参照しながら説明する。先ず、前記第1実施態様の製造方法における弾性繊維層1の製造工程と同様に、弾性樹脂を原料として用い、図6に示すように、紡糸装置22によって弾性繊維1Aを紡糸する。紡出された弾性繊維1Aは、コンベア29上に堆積され、弾性繊維の連続フィラメントを含む弾性繊維ウエブ1’が積層される。また、非弾性の短繊維を原料として用い、カード機(図示せず)によって製造された非弾性繊維ウエブ2’が積層される。
2つのウエブの積層体は、エアスルー方式の熱風炉24に送られ、そこで熱風処理が施される。熱風処理によって、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部が弾性繊維ウエブ1’に入り込む。熱風処理の条件によっては、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部は、弾性繊維ウエブ1’に入り込み、更に、弾性繊維ウエブ1’の構成繊維と交絡する。
非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部を弾性繊維ウエブ1’に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維ウエブ1’の構成繊維の一部を非弾性繊維ウエブ2’に入り込ませるための条件は、熱風風量:0.4〜3m/秒、温度:80〜160℃、搬送速度:5〜200m/分、熱風処理時間:0.5〜10秒であることが好ましい。ここでの熱風風量は、エアスルー法として一般的に行われる熱風風量よりも高いことが好ましく、具体的には1〜2m/秒であることが好ましい。エアスルー法の熱風処理に用いるネットに通気度の高いものを用いると、エアの通りによって繊維が一層入り込みやすくなる。熱風処理に用いるネット及び弾性繊維の直接紡糸に用いるネットは、それらの通気度が250〜800cm3/(cm2・s)、特に400〜750cm3/(cm2・s)であるものが好ましい。上記条件は、繊維を軟化させて均一に入り込ませる点及び繊維を融着させる点においても好ましい。更に、繊維の交絡は、熱風風量を3〜5m/秒とし、吹き付け圧を0.1〜0.3kPaとすることで可能となる。弾性繊維ウエブ1’の通気度が8m/(kPa・s)以上、特に24m/(kPa・s)以上であると、熱風の通りがよくなり、繊維をより均一に入り込ませることができるので好ましく、繊維融着が良好で最大強度が高くなり、毛羽立ちも防止されるという利点もある。
熱風処理においては、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部が弾性繊維ウエブ1’に入り込むのと同時に、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維と弾性繊維ウエブ1’の構成繊維とがそれらの交点で熱融着する。この場合、熱風処理によって弾性繊維ウエブ1’の構成繊維がフィルム状又はフィルム−繊維構造にならないように注意する。そして、熱風処理においては、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維同士が交点において熱融着し、同様に弾性繊維ウエブ1’の構成繊維同士が交点において熱融着する。
エアスルー法の熱風処理によって、2つのウエブが一体化された(積層)繊維シート10Bが得られる。繊維シート10Bは、周面にエンボス用凸部が規則的に配置されたエンボスロール26及びそれに対向配置された受けロール27を備えたエンボス装置25に送られ、そこで熱エンボス加工が施される。熱エンボス加工によって、接合部(図示せず)が規則的なパターンで形成された繊維シート10Aが得られる。該接合部は、例えば、繊維シート10Aの機械方向(MD方向)及びその直交方向(CD方向)の両方向に不連続に形成されていることが好ましい。
次いで、2層構造の繊維シート10Aを一旦原反状とした後、別のラインにおいて、2層構造の繊維シート10Aに対して延伸加工を施す。具体的には、図7に示すように、繊維シート10Aを、それぞれ、大径部31,32と小径部(図示せず)が軸長方向に交互に形成された一対の凹凸ロール33,34を備えた延伸装置30を用いて、繊維シート10AをCD方向に延伸させる。
延伸装置30は、一方又は双方の凹凸ロール33,34の枢支部を上下に変位させる公知の昇降機構(図示せず)を有し、凹凸ロール33,34間の間隔が調節可能になっている。本製造方法においては、各凹凸ロール33,34を、一方の凹凸ロール33の大径部31が他方の凹凸ロール34の大径部32間に遊挿され、他方の凹凸ロール34の大径部32が一方の凹凸ロール33の大径部31間に遊挿されるように組み合わせ、その状態の両凹凸ロール33,34間に、繊維シート10Aを挿入して、繊維シート10AをCD方向に延伸させる。
延伸装置30においては、両凹凸ロール33,34が駆動するようになっていてもよく(共回り)、一方の凹凸ロール33又は34のみが駆動するようになっていてもよい(連れ回り)。この延伸工程においては、繊維シート10Aにおける前記接合部のCD方向位置と、凹凸ロール33,34の大径部31,32の位置とを一致させることが好ましい。
その結果、本製造方法によれば、第2実施形態の伸縮性不織布10を効率的に製造することができる。
前記の延伸加工によって、繊維シート10Aの厚みは、延伸加工前後で1.1倍〜4倍、特に1.3倍〜3倍に増すことが好ましい。これによって、非弾性繊維層2の繊維が塑性変形して伸び、繊維が細くなる。これと同時に、非弾性繊維層2が一層嵩高となり、肌ざわり及びクッション性が良好になる。延伸加工される前の繊維シート10Aの厚みが薄いと、繊維シート10Aのロール原反を運搬及び保管するスペースを小さくできるメリットがある。
更に、前記の延伸加工によって、繊維シート10Aの曲げ剛性は、延伸加工前に比較して30〜80%、特に40〜70%に変化することが好ましい。これによって、ドレープ性が良く、柔らかな不織布が得られる。また、延伸加工される前の繊維シート10Aの曲げ剛性が高いことで、搬送ラインで繊維シート10Aに皺が入りにくくなるので好ましい。その上、延伸加工時にも繊維シート10Aに皺が入らず、加工しやすいものとなるので好ましい。
延伸加工前後での繊維シート10Aの厚みや曲げ剛性は、非弾性繊維層2に用いられる繊維の伸度、エンボスロールのエンボスパターン、凹凸ロール33,34のピッチや先端部の厚み、噛み合わせ量によって制御することができる。
延伸装置30から送り出された繊維シート10Aは、CD方向への延伸状態が解放される。即ち伸長が緩和される。その結果、繊維シート10AにCD方向の伸縮性が発現し、繊維シート10Aはその幅方向へ収縮する。これによって、目的とする伸縮性不織布10が得られる。なお、延伸状態を解放する場合、延伸状態が完全に解放されるようにしてもよく、伸縮性が発現する限度において、ある程度の延伸状態が維持された状態で延伸状態を解放してもよい。
第2実施態様の製造方法においては、CD方向に延伸を行う延伸装置(以下「第1延伸装置」ともいう)30の後工程側に、更に、MD方向に延伸を行う第2延伸装置30Aを設けることができる。第2延伸装置30Aは、図8及び図9に示すように、第1延伸装置30によってCD方向に延伸された第2実施形態の伸縮性不織布10を、更にMD方向に延伸するものである。第2延伸装置30Aは、2個で一対をなす歯溝ロール38,38からなる。歯溝ロール38は、その周面部に、軸方向に延び且つ互いに噛み合う歯溝を有する。
第2延伸装置30Aによれば、前述した第1延伸装置30によるCD方向への延伸と同様に、歯溝ロール38の回転方向に沿って一対の歯溝ロール38間に、第2実施形態の伸縮性不織布10を噛み込ませることで、該伸縮性不織布10をMD方向に延伸させることができる。そして、その延伸状態を開放することにより、弾性繊維層1に高坪量部分と低坪量部分とが、CD方向のみならずMD方向にも交互に配列した(換言すると、高坪量部分と低坪量部分とが面方向に格子縞状に配列した)伸縮性不織布10Cが得られる。
次に、第3実施形態の伸縮性不織布について説明する。第3実施形態においては、図10に示すように、弾性繊維層1の両面に、同一の又は異なる、実質的に非弾性の非弾性繊維層2,3が積層されて構成されている。2つの非弾性繊維層2,3は、構成繊維の材料、坪量、厚み等が同じであってもよく、異なっていてもよい。
第3実施形態の伸縮性不織布は、例えば、次の方法で製造することができる。先ず、非弾性の短繊維を原料として用い、カード機によって一方の非弾性繊維ウエブを製造し、一方向に連続搬送させる。その上に、紡糸された弾性繊維1Aを直接堆積させて、弾性繊維層ウエブ1’を形成する。弾性繊維層を堆積させる前に、非弾性繊維ウエブを熱処理により仮融着又は仮交絡させることが好ましい。このようにすることで、弾性繊維1Aの自由度が高くなり、風等によってお互いの繊維を一層入り込ませやすくなる。熱処理による仮融着としては、ヒートロール法、加圧カレンダーロール法、スチーム法、エアスルー法などが挙げられ、また仮交絡としては、ニードルパンチ法、ウオータージェット法などが挙げられる。特にヒートロール及びエアスルー法を用いると、不織布の風合いを損ねることがない点及び設備スペースを小さくできる点で好ましい。
非弾性繊維ウエブは、仮融着後又は仮交絡後に巻き取らず、インラインにてその上に弾性繊維1Aを直接堆積させることが好ましい。その理由は、一旦巻き取ってしまうと、巻き付き圧によって非弾性繊維ウエブが潰れてしまう場合があるからである。仮融着又は仮交絡させる目的は、非弾性繊維ウエブ上に弾性繊維1Aを直接溶融紡糸して堆積させるとき、非弾性繊維ウエブが風等で吹き飛ばされないようにすることにある。
非弾性繊維ウエブの上に、弾性繊維層ウエブ1’を積層した後の工程は、図6〜図9に示す第2実施態様の伸縮性不織布の製造方法と同様である。
第3実施形態の伸縮性不織布10は、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性の点から、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることができる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。例えば、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等として用いることができる。第3実施形態の伸縮性不織布10を使い捨ておむつの構成材料に用いた例については、後で詳述する。また、第3実施形態の伸縮性不織布10は、生理用ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができ、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。
第3実施形態の伸縮性不織布の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量:20〜160g/m2程度、厚み:0.1〜5mm程度とすることが望ましい。また、第3実施形態の伸縮性不織布は、弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保っていることに起因して、柔軟であり、また通気性が高くなっている。柔軟性の尺度である曲げ剛性に関し、第3実施形態の伸縮性不織布は、曲げ剛性値が10g/30mm以下と低いものとなっていることが好ましい。通気度は16m/(kPa・s)以上であることが好ましい。また、伸度は100%以上であることが望ましい。
曲げ剛性は、JIS L1096に準拠して測定され、ハンドルオメーターによる押し込み量:8mm、スリット幅:10mmの条件において、それぞれ流れ方向とそれに対して直角方向に曲げた際の平均値として得られる。通気度は、カトーテック株式会社製 AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES−F8−AP1により通気抵抗を測定し、その逆数として求められる。
本発明の伸縮性不織布においては、第1実施形態のような弾性繊維層1の単層構造からなる形態、並びに第2及び第3実施形態のような弾性繊維層1と非弾性繊維層との積層(2層以上)構造からなる形態の何れにおいても、CD方向に沿って、複数の高坪量部分12は、その位置によって幅が異なっていてもよく、また、複数の低坪量部分13は、その位置によって幅が異なっていてもよい。
例えば、図11に示す形態においては、高坪量部分12には、幅の狭い順に、高坪量部分12A、12B及び12Cの3種類の幅の高坪量部分12が混在していてもよく、また、低坪量部分13には、幅の広い順に、低坪量部分13A、13B及び13Cの3種類の幅の低坪量部分13が混在していてもよい。
次に、本発明の伸縮性不織布の具体的な用途として、第3実施形態の伸縮性不織布10を、パンツ型使い捨ておむつに適用した例を説明する。本実施形態の使い捨ておむつにおいては、第3実施形態の伸縮性不織布10を、後述する外層シート112に用いることで、胴回り部Dに弾性伸縮性を付与している。
本実施形態のパンツ型使い捨ておむつは、吸収性コアを含む吸収性本体と、該吸収性本体の非肌当接面側に接合された外包材とを備え、該外包材における腹側部及び背側部の両側縁部同士が接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているものである。このおむつは以下の特徴を有している。
(イ)前記外包材は、伸縮性シートからなる外層シートと非伸縮性シートからなる内層シートとが積層された構造を有し、該外層シートと該内層シートとは、前記サイドシール部並びに前記ウエスト開口部及び前記レッグ開口部それぞれの周縁部を除く部分の全域又は大部分において接合されていない。
(ロ)前記吸収性本体と前記外包材の前記内層シートとは本体接合部により接合されている。
(ハ)前記サイドシール部が分離され且つ前記外包材が展開された状態において、前記内層シートの実質的な幅は、収縮した状態の前記外層シートの幅よりも広くなっている。
以上の特徴を有するパンツ型使い捨ておむつを、図面を参照しながら以下に説明する。
おむつ101は、図12〜図15に示すように、液透過性の表面シート102、液不透過性又は撥水性の裏面シート103及び両シート102、103間に介在配置された液保持性の吸収性コア104を有する実質的に縦長の吸収性本体110と、吸収性本体110の裏面シート103側(非肌当接面側)に接合された外包材111とを備えている。
外包材111は、その両側縁が、長手方向中央部において内方に括れた砂時計形の形状を有しており、おむつの輪郭を画成している。外包材111は、その長手方向において、着用者の腹側に配される腹側部Aと背側に配される背側部Bとその間に位置する股下部Cとに区分される。腹側部A及び背側部Bは、外包材111の長手方向前後端部に相当し、股下部Cは外包材111の長手方向中央部に相当する。外包材111は、その腹側部Aの両側縁部A1,A2と背側部Bの両側縁部B1,B2とが互いに接合され、使い捨ておむつ101にはウエスト開口部105及び一対のレッグ開口部106が形成されている。この接合によって、使い捨ておむつ101の左右両側縁には一対のサイドシール部S,Sが形成され、パンツ型を形成している。これらの接合には、例えばヒートシール、高周波シール、超音波シール等が用いられる。
表面シート102、裏面シート103及び吸収性コア104は、それぞれ矩形状であり、一体化されて、縦長の吸収性本体110を形成している。表面シート102、裏面シート103及び吸収性コア104としては、それぞれ、従来からこの種のおむつに用いられているものと同様のものを用いることができる。例えば、吸収性コア104としては、高吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成され、ティッシュペーパ(図示せず)によって被覆されているものを用いることができる。
吸収性コア104は、図16に示すように、砂時計型の中央吸収体141と中央吸収体141の両側方に対称的に設けられた一対のサイド吸収体142,142とを具備している。中央吸収体141と一対のサイド吸収体142,142とはそれぞれ少なくとも股下部において分離している。サイド吸収体142の長手方向一方部及び長手方向他方部は、それぞれ、中央吸収体141の長手方向一方部(腹側部)及び長手方向他方部(背側部)で連設している。従って、中央吸収体141と一対のサイド吸収体142,142との間には、それぞれ、刳り貫かれた形状の切離部143,143が形成されている。
長手方向一方部、長手方向中央部及び長手方向他方部は、吸収性コア104を長手方向に略3等分するように3領域に区分したときの各領域である。吸収性コア104が切離部143を有していると、吸収性コア104の両側縁部が起立し易い。また、吸収性コア104が幅方向に押圧されると、吸収性コア104全体の幅が狭くなるため、外包材111の幅方向の収縮が阻害され難い。なお、吸収性コア104の平面視形状は、図16に示す形状に制限されず、例えば、サイド吸収体142が長手方向一方部又は長手方向他方部の一方のみで中央吸収体141に連接している形状、サイド吸収体142が中央吸収体141に連接していない(分離している)形状、切離部143を有していない形状でもよい(何れも図示せず)。
吸収性本体110の長手方向の左右両側には、図13〜図15に示すように、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス108,108が形成されている。各側方カフス108の自由端部の近傍には、側方カフス弾性部材181が伸長状態で配されている。これにより、図12に示すように組み立てられた使い捨ておむつ101を着用させる際に、側方カフス弾性部材181が収縮することにより側方カフス108が起立して、吸収性本体110の幅方向への液の流出が阻止される。側方カフス108,108の形成用のシート材182は、図14及び図15に示すように、おむつの状態において、吸収性本体110の幅方向外側の所定幅の部分182Sが、裏面シート103の肌当接面側に巻き下げられ、吸収性コア104と裏面シート103との間に固定されている。
外包材111は、本発明の伸縮性不織布からなる外層シート112と非伸縮性シートからなる内層シート113とが積層された構造を有している。外層シート112はおむつの外面をなし、内層シート113は外層シート112の内面側に配されている。外層シート112を形成する伸縮性不織布は、おむつを展開状態としたときに、少なくともおむつ幅方向(図13の左右方向)に伸縮性を有していればよい。内層シート113を形成する非伸縮性シートは、おむつを展開状態としたときに、少なくともおむつ幅方向に伸縮性を有していない。
外層シート112は、おむつ幅方向において、おむつ長手方向(図13の上下方向)よりも大きく伸長可能である。より具体的には、おむつ幅方向においては、大きく伸長し且つ伸長後に収縮する(最大伸度100%以上且つ伸長回復率70%以上)が、おむつ長手方向においては、わずかにしか伸長しない(例えば、最大伸度50%以下)。
非伸縮性シートとしては、不織布、不織布と樹脂フィルムとの積層材、多孔性フィルム等が好ましい。非伸縮性シートは、通気性及び風合いを良好にする観点から、熱可塑性繊維からなる不織布から形成されているものが好ましく、また、排泄物の漏れ防止の観点から、撥水性の不織布から形成されているものが好ましい。
おむつ101においては、図14及び図15に示すように、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける外層シート112と内層シート113との間は、サイドシール部A1,A2,B1,B2においては、ヒートシール、高周波シール又は超音波シールにより互いに接合されており、ウエスト開口部105の周縁部150及び一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部160においては、ホットメルト型接着剤等の接着剤152,162により互いに接合されている。そして、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける外層シート112と内層シート113との間は、これらの部分を除く部分の大部分において接合されていない。
具体的には、外層シート112と内層シート113との間は、サイドシール部A1,A2,B1,B2、ウエスト開口部105の周縁部150、一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部160に加えて、腹側部A及び背側部Bそれぞれのおむつ幅方向中央部において接合されており、それら以外の部分においては接合されていない。
このように、腹側部A及び背側部Bにおける広い範囲において、外層シート112と内層シート113との間を接合しない構成とすることにより、外包材111が接着剤で硬くなる部分を最小限に抑えることができ、おむつの外面や、外包材111の内面における吸収性本体110に覆われていない部分を、柔らかで肌触りの良いものとすることができる。また、外包材111の通気性が良好に維持されるので、ムレにくいおむつを提供することができる。更に、ウエスト開口部105及び一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部150,160において、外層シート112と内層シート113との間を接合した構成としたため、胴回り部Dにおいては、伸縮性の外包材111により適度なフィット性を得ることができる。
腹側部A及び背側部Bそれぞれにおけるウエスト部Eには、ウエスト開口部105の開口周縁端に沿って、複数のウエスト部弾性部材151,151が配されている。ウエスト部Eとは、ウエスト開口部105の周縁端から下方に30mm離間した位置までの領域をいい、例えば図17に示すように、腹側のウエスト開口部105の周縁端の位置と、背側のウエスト開口部105の周縁端の位置とがずれている場合においては、ずれて延出している領域がないものと仮定した上で、ウエスト部Eの範囲を定める。これらのウエスト部弾性部材151,151は、接着剤152を介して外層シート112と内層シート113との間に伸長状態で固定されている。
また、腹側部A、股下部C及び背側部Bに亘って存在するレッグ開口部の周縁部160,160にも、各開口部の周縁端に沿って、レッグ部弾性部材161a,161bが配されている。これらのレッグ部弾性部材161a,161bは、接着剤162を介して外層シート112と内層シート113との間に伸長状態で固定されている。ウエスト部弾性部材151及びレッグ部弾性部材161a,161bとしては、それぞれ、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、ホットメルト系伸縮部材等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)又は帯状(平ゴム)に形成したものが好ましく用いられる。
このように、ウエスト開口部105及び一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部150,160に、糸状又は帯状の弾性部材151,161a,161bを、外層シート112と内層シート113との間に挟んだ状態に固定することにより、これらの部位のフィット性を外包材111の伸縮特性の制約を受けることなく高めることができる。
また、糸状又は帯状の弾性部材151,161a,161bを外層シート112と内層シート113との間に挟んだ状態に固定できるため、このような弾性部材を、一枚のシートからなる外包材に固定する場合に比べて、弾性部材が着用者に違和感を与えたり、外観を悪化させることを防止することもできる。
おむつ101において、ウエスト開口部105の周縁部150に存する外層シート112と内層シート113との間が接合されている領域の幅は、腹側部A及び背側部Bそれぞれについて、ウエスト開口部の周縁端105a,105bから70mm以内であることが好ましく、60mm以内であることが更に好ましい。レッグ開口部106の周縁部160に存する外層シート112と内層シート113との間が接合されている領域の幅は、腹側部A、股下部C及び背側部Bの各部において、レッグ開口部106の周縁端から50mm以内であることが好ましく、30mm以内であることが更に好ましい。
また、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおけるおむつ幅方向において、外層シート112と内層シート113との間が接合されていない部分の合計長さ(L1+L2)は、左右のサイドシール部A1,A2間の長さLa(Lb)に対して、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましい。
腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外層シート112と内層シート113との間が接合されていない部分の面積は、腹側部A及び背側部Bそれぞれの面積に対して、60〜100%であることが好ましく、70〜100%であることがより好ましい。この数値を満たすものを「全域又は大部分」というものとする。
本明細書に記載の各部の寸法や比等は、図13に示すようにおむつを展開状態とし、ウエスト開口部及びレッグ開口部の弾性部材による収縮力を解除した自然状態(張力等の外力を作用させない状態)において測定した値又はそれに基づくものである。
おむつ101においては、股下部Cにおける外層シート112と内層シート113との間も、レッグ開口部の周縁部160及び股下部Cのおむつ幅方向中央部において、接着剤162,接合部114を介して接合されているが、それ以外の部分においては接合されていない。おむつ101においては、図13に示すように、レッグ開口部の周縁部160に伸縮性を付与するためのレッグ部弾性部材161は、レッグ開口部の周縁部160から股下部Cの幅方向中央に向かって延出しているが、このように、レッグ開口部に周方向に伸縮性を付与するためのレッグ部弾性部材161が配されている部分は、レッグ開口部の周縁部160に含まれる。
おむつ101においては、腹側部A、背側部B及び股下部Cそれぞれのおむつ幅方向中央部において、外層シート112と内層シート113との間が接合されているため、おむつの装着前及び装着中の外観を一層良好にすることができる。また、外包材111の外面に廃棄用テープ(図示せず)を設ける場合に、廃棄用テープをおむつ幅方向中央部に固定することで、廃棄用テープを強固に固定することができる。廃棄用テープは、おむつを丸めた状態を保持するテープであり、従来公知の各種のものを用いることができる。
腹側部A、背側部B及び股下部Cそれぞれのおむつ幅方向中央部において、外層シート112と内層シート113との間が接合されているため、裏面シート103に、模様や文字、その他の記号等の図柄を設けた場合に、おむつ外面側からその図柄を明瞭に視認できる。
おむつ101において、図13及び図14に示すように、外包材111の外面側を構成する構成する外層シート112は、外層シート112と内層シート113とによって各ウエスト部弾性部材151,51を挟持固定する部位よりも更に延出する長さを有し、外層シート112における内層シート113よりも延出した部分112a,112bが吸収性本体110側に折り返されている。吸収性本体110は、その長手方向両端部における肌当接面側が、外層シート112の折り返された部分(折り返し部分)112a,112bに覆われている。外層シート112の折り返し部分112a,112bは、吸収性本体110の長手方向両端部と重なる部分が、吸収性本体110の略全幅に亘って接着剤(図示せず)を介して接着されており、これにより、吸収性本体110の長手方向両端部が、外包材111に固定されている。折り返し部分112a,112bを形成することで、吸収性本体110の前後端部が着用者に直接接触することを防止し、吸収性本体110の前後端部からの吸収性コア104の吸水性ポリマーの漏れを防止することができる。
次に胴回り部Dについて説明する。胴回り部Dとは、図13に示すように、ウエスト部Eの下方からレッグ開口部106の上端までの領域をいう。胴回り部Dは、図13に示すように、長手方向に更に、上方胴回り部D1とその下方の下方胴回り部とに区分される。上方胴回り部D1は、おむつ101を着用したときに着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位(以下「腸骨領域」ともいう)に当接する領域に、位置することが好ましい。腸骨稜及び上前腸骨棘は解剖学の用語である。腸骨稜とは図18において符号Q1で示される部位であり、上前腸骨棘とは図18において符号Q2で示される部位である。
従来、パンツ型おむつの着用中のずれ落ちを防止するためには、特にそのおむつが幼児用である場合には、ウエスト部Eによる締め付け圧を高くして、ウエスト部Eによる締め付け圧によってパンツ型おむつを着用者の身体に密着させることが有効であると考えられてきた。
しかし、パンツ型おむつの着用中のずれ落ちを効果的に防止するためには、ウエスト部Eの締め付け圧を高くするよりも、着用者の腸骨領域に対応するおむつの部位の締め付け圧を従来よりも高めることが有効であることが見い出された。その理由は、着用者(特に幼児)は、その身体的な特徴として腹周りが張り出しているので、張り出している腹周りに当接するウエスト部Eの締め付け圧を高くすると、その締め付け圧が高い故にウエスト部Eが次第に絞り込まれて、腹周りが細くなる部位にまでウエスト部Eがずれ下がってくるからである。
図19は、赤ちゃんの体を円錐に見立てた状態を示している。図中、θは、ウエスト部(点A)における接線に対する垂線と、体の中心に向かう水平線とのなす角度を表す。Fは弾性部材の締め付け力を示し、Pは締め付け力Fに起因する摩擦力を示し、f1は締め付け力Fに起因するズレ落ち力を示し、f2は垂直抗力を示している。ここで、f1=Fsinθであり、またP=νN=νf2=νFcosθ(νは摩擦係数を表す)であるから、点Aにおける下方に向く「ずれ落ち力Z」は、次式で表される。
Z=f1−P=Fsinθ−νFcosθ=F(sinθ−νcosθ)
この式から、ウエスト部Eがずれ落ちの生じる状態にある場合、締め付け力Fが大きい程、ずれ落ち力が大きくなることが理解できる。
着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位(腸骨領域)には一定の幅があり、当該幅の範囲内でおむつ1の上方胴回り部D1を腸骨領域に固定することで、おむつ1のずれ落ちを効果的に防止することができる。この観点から、本実施形態のおむつ1においては、上方胴回り部D1の幅(つまり、おむつ1の長手方向に沿う上方胴回り部D1の長さ)を12〜35mmとしている。この幅が20〜35mm、特に25〜30mmであると、おむつ1のずれ落ちを一層効果的に防止することができ、また、着用状態におけるおむつ1の外観やおむつ1の装着操作(履かせやすさ等)を一層向上させることができる。
おむつ1を着用した状態で、上方胴回り部D1が着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位(腸骨領域)に当接するようにするためには、おむつ1の寸法と着用者の体格との関係が重要である。例えば、パンツ型おむつの主たる着用対象者である幼児を考えた場合、おむつ1の展開状態において、腹側部Aの上方胴回り部D1の中心位置(おむつ1の長手方向に沿う中心位置)とおむつ1の長手方向中心線CLとの間の距離K1(図13参照)を180〜230mmとし、且つおむつ1の展開状態において、背側部Bの上方胴回り部D1の中心位置(おむつ1の長手方向に沿う中心位置)とおむつ1の長手方向中心線CLとの間の距離K2(図13参照)を180〜230mmとすることで、上方胴回り部D1を着用者の腸骨領域に首尾良く当接させることができる。
この値は、パンツ型おむつの主たる着用対象者である幼児、約350人の身体計測を実施して決定されたものである。この値は、具体的には、図20に示すように、上前腸骨棘の水平位置高さにある腹側部の左右中心点を「上前腸骨棘高前中心」とし、上前腸骨棘の水平位置高さにある背側部の左右中心点を「上前腸骨棘高後中心」とすると共に、上前腸骨棘高前中心から股下を経由し、上前腸骨棘高後中心までの長さを「上前腸骨棘高前後長」とし、この上前腸骨棘高前後長におむつの材料による厚み等を考慮した必要長を加えて得られた数値を二分したものである。当該距離K1及びK2を185〜220mm、特に195〜215mmとすることで、上方胴回り部D1を着用者の腸骨領域に一層首尾良く当接させることができる。
成人用のおむつの場合には、当該距離K1及びK2を300〜350mm、特に305〜335mmとすることで、上方胴回り部D1を着用者の腸骨領域に一層首尾良く当接させることができる。
尚、おむつ1の長手方向中心線CLとは、腹側のウエスト開口部105の周縁端の位置と、背側のウエスト開口部105の周縁端の位置とが実質的にずれていない場合においては、おむつ1の展開状態における長手方向の中点を通る、おむつ幅方向に沿う直線のことをいう。
一方、例えば図17に示すように、腹側のウエスト開口部105の周縁端の位置と、背側のウエスト開口部105の周縁端の位置とがずれている場合においては、ずれて延出している領域がないものと仮定した上で、おむつの長手方向中心線CLを定める。
本実施形態におむつ1においては、主として、上方胴回り部D1による締め付け力によって、おむつ1を着用者の身体に固定している。換言すれば、従来のパンツ型おむつと異なり、ウエスト部Eによる締め付け力は、本実施形態のおむつ1においては、おむつ1を着用者の身体に固定するための主たる手段ではない。逆に、ウエスト部Eの締め付け力を高くしてしまうと、おむつ1のずれ落ちが助長されてしまう。
下方胴回り部D2は、おむつ1を着用した場合に、着用者の腸骨領域の下側の領域(下腹部)に当接することが好ましい。下方胴回り部D2の幅(つまり、おむつ1の長手方向に沿う下方胴回り部D2の長さ)は、40〜70mm、特に45〜65mmであることが好ましい。
吸収性本体110は、その長手方向両端部を除く部分においては、図14及び図15に示すように、幅方向中央部のみが本体接合部115により外包材111の内層シート113に接合されている。外包材111の伸縮が、吸収性本体110の接合によって阻害されにくくなるため、胴回り部Dに良好なフィット性が得られる。外包材111のおむつ幅方向中央部における外層シート112と内層シート113との間の接合部114の幅W1は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、吸収性本体110の幅Wの0〜40%であることが好ましく、0〜30%であることがより好ましい。接合部114の幅W1が吸収性本体110の幅Wの40%を超えた場合、伸縮性の阻害が生じる。
本体接合部115は、おむつ幅方向中央部に設けられている。本体接合部115の幅W2は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、吸収性本体110の非肌当接面側の幅Wの70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。本体接合部115の幅W2が吸収性本体110の幅Wの70%以上であると、装着中における吸収性本体110の剥がれ、破壊等が生じ難い。本体接合部115は、おむつ幅方向に離間した形態でもよい。
サイドシール部Sが分離され且つ外包材111が展開された状態において、内層シート113の実質的な幅は、収縮した状態の外層シート112の幅よりも広くなっている。即ち、外包材111が展開された状態において、外層シート112は、その収縮力により収縮した状態になっているが、内層シート113は、非伸縮性シートからなるため、幅がほとんど狭くならない。そのため、内層シート113は外層シート112に対して幅方向に弛んだ状態になる。このような弛んだ内層シート113を仮想的に外層シート112から分離し、内層シート113の弛みを解消したときの内層シート113の幅を「内層シート113の実質的な幅」とする。
内層シート113の実質的な幅は、収縮した状態の外層シート112の幅の1.3〜4.0倍であることが好ましく、1.5〜3.0倍であることが更に好ましい。
このように構成されたおむつ101においては、サイドシール部Sが分離され且つ外包材111が展開された状態において、内層シート113の実質的な幅は、収縮した状態の外層シート112の幅よりも広くなっている。従って、外包材111の外層シート112が伸縮性シートから形成されているため、装着時のおむつの外観やフィット感が良好である。また、外包材111の内層シート113が非伸縮性シートから形成されているため、使用時に外包材111が幅方向に伸長しても、内層シート113が弛み、外包材111からの吸収性本体110の剥がれ、外包材111の破れ等の問題が生じ難い。また、外包材111の肌当接面側は、触感及び風合いが良好で、柔らかさに優れている。
おむつ101においては、外層シート112と非伸縮性シートからなる内層シート113とがほとんど接着されていないため、非伸縮性の吸収性本体110の影響を受けることなく、外包材111の伸縮性が良好である。外包材111の外層シート112が伸長状態から解放されても、吸収性本体110は収縮することなく外観に優れ、且つ吸収性本体110の吸収性能が維持できる。そのため、本体接合部115の幅W2を広く設定しても、外包材111の幅方向の伸縮性は阻害されない。
本発明の伸縮性不織布は、前記実施形態に制限されない。例えば、本発明の伸縮性不織布は、4層以上の構造を有していてもよい。その場合、弾性繊維層と非弾性繊維層とが交互に積層した形態が一般的であるが、弾性繊維層が隣接して積層した形態及び非弾性繊維層が隣接して積層した形態を含む形態でもよい。
本発明の伸縮性不織布の製造方法は、前記実施態様に制限されない。例えば、図9に示す方法においては、一方の凹凸ロールの大径部と他方の凹凸ロールの小径部とによって繊維シート10Aが挟まれていない状態で延伸が行われているが、大径部と小径部との間の間隔を狭くして、大径部と小径部との間に繊維シート10Aを挟んだ状態で延伸を行うこともできる。つまり、繊維シート10Aを介して大径部と小径部とが底つきした状態で延伸することもできる。また、延伸工程は、特開平6−133998号公報に記載の方法を用いることもできる。
また、第2実施態様の製造方法においては、弾性繊維層1と非弾性繊維層2とを接合する手段は、エアスルー法に制限されず、例えば、接着剤、エンボス(熱又は超音波)、ヒートロール、スパンレース(不織布化する前のウエブ状態の非弾性繊維層2を、弾性繊維層1に重ねてウオータージェットを行う)が挙げられる。
また、弾性繊維層の構成繊維が紡糸直後で溶融状態又は半溶融状態のときに、その溶融状態又は半溶融状態の弾性繊維層の構成繊維を、非弾性繊維層ウエブの上に導入し、溶融状態又は半溶融状態の弾性繊維層の構成繊維の固化結合力又は粘着力を利用して、弾性繊維層1と非弾性繊維層2との接合を行うこともできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
下記実施例1及び比較例1について、下記「伸長時の幅縮みの測定方法」により伸長時の幅縮みを評価した。その評価結果を下記〔表1〕に示す。〔表1〕において、〔 〕内の%で示す値は、伸長前の最小幅を基準とする当該条件における最小幅の百分率である。
<伸長時の幅縮みの測定方法>
伸縮性不織布をMD方向に250mm、CD方向に150mmの大きさで矩形の試験片に切り出す。切り出した試験片を試験機(株式会社オリエンテック製:テンシロン RTC1210A)に装着する。チャック間距離は200mmとする。試験片をMD方向へ300mm/分の速度で伸長させ、250mmに伸長させたとき(1.25倍に伸長させたとき)、300mmに伸長させたとき(1.5倍に伸長させたとき)及び伸長力を開放したときにおける試験片の最小幅(CD方向の幅)を測定する。
〔実施例1〕
SEPS樹脂100%を原料としてメルトブローン法により、第1実施形態の伸縮性不織布を製造した。この試験片においては、CD方向に、15mm幅の低坪量部分13、40mm幅の高坪量部分12、40mm幅の低坪量部分13、40mm幅の高坪量部分12、15mm幅の低坪量部分13の順で、高坪量部分12及び低坪量部分13が配列している。高坪量部分12の坪量は20.8g/m2、低坪量部分13の坪量は15.4g/m2である。
〔比較例1〕
実施例1に比して、高坪量部分12及び低坪量部分13はなく、伸縮性不織布全体の坪量は、全面において均一で、17.4g/m2である。それ以外は実施例1と同様である。
Figure 2008106378
上記実施例1及び比較例1それぞれについて下記「MD方向の伸縮特性の測定方法」を行って得られた伸縮特性を、図21に示す。また、下記実施例2及び比較例2それぞれについて下記「MD方向の伸縮特性の測定方法」を行って得られた伸縮特性を、図22に示す。
<MD方向の伸縮特性の測定方法>
伸縮性不織布をMD方向に150mm、CD方向に10mmの大きさで矩形の試験片に切り出す。切り出した試験片を試験機(株式会社オリエンテック製:テンシロン RTC1210A)に装着する。チャック間距離は100mmとする。試験片をMD方向に300mm/分の速度で、チャック間距離が200mmになるまで(つまり伸度が100%になるまで)伸長させ、その後、伸長力を開放する。伸長過程及び伸長力の解放過程における荷重を、ほぼ10%の伸度刻みで測定する
〔実施例2〕
第3実施形態の伸縮性不織布を製造した。第3実施形態においては、弾性繊維層1は、SEPS樹脂100%を原料としてメルトブローン法により形成されている。弾性繊維層の両面に設けられた非弾性繊維層は、PET/PE繊維を原料としてエアスルー法で形成されている。この試験片における弾性繊維層においては、40mm幅の低坪量部分13、40mm幅の高坪量部分12の順で、高坪量部分12及び低坪量部分13が配列している。高坪量部分12の坪量は、弾性繊維層及び非弾性繊維層全体で40.2g/m2、弾性繊維層で19.5g/m2、非弾性繊維層で20.7g/m2である。低坪量部分13の坪量は、伸縮性不織布全体で32.0g/m2、弾性繊維層で10.4g/m2、非弾性繊維層で21.6g/m2である。
〔比較例2〕
実施例2に比して、高坪量部分12及び低坪量部分13はなく、伸縮性不織布全体の坪量は、全面において均一で、全体で37.7g/m2、弾性繊維層で16.6g/m2、非弾性繊維層で21.1g/m2である。それ以外は実施例2と同様である。
前記実施例及び比較例の評価結果から、例えば以下のことがわかる。実施例1では、比較例1に比して、MD方向への伸長時に幅縮みが小さく、図21に示すように、伸縮特性の異なる高坪量部分及び低坪量部分を有する伸縮性不織布であった。また、実施例2では、図22に示すように、伸縮特性の異なる高坪量部分及び低坪量部分を有し、肌触りのよい伸縮性不織布であった。
図1(a)は、本発明の伸縮性不織布の第1実施形態の断面構造を示す模式図であり、図1(b)は、第1実施形態の伸縮性不織布を示す平面図である。 図2(a)は、本発明の伸縮性不織布の製造方法の第1実施態様を示す模式的側面図であり、図2(b)は、第1実施態様における紡糸装置を示す斜視図である。 図3は、スパンボンド法による紡糸装置を示す模式的側面図である。 図4は、スピニングブローン法による紡糸装置を示す模式的側面図である。 図5(a)は、本発明の伸縮性不織布の第2実施形態の断面構造を示す模式図であり、図5(b)は、第2実施形態の伸縮性不織布を示す平面図である。 図6は、本発明の伸縮性不織布の製造方法の第2実施態様の前段を示す模式的斜視図である。 図7は、本発明の伸縮性不織布の製造方法の第2実施態様の後段を示す模式的斜視図である。 図8は、伸縮性不織布がMD方向に延伸されている状態を示す斜視図である。 図9は、伸縮性不織布がMD方向に延伸されている状態を示す断面図である。 図10は、本発明の伸縮性不織布の第3実施形態の断面構造を示す模式図である。 図11は、高坪量部分及び低坪量部分の別の配列形態を示す平面図である。 図12は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を示す斜視図である。 図13は、図12に示す使い捨ておむつの展開状態を示す平面図である。 図14は、図12に示す使い捨ておむつの分解斜視図である。 図15は、図13におけるX−X線断面図である。 図16は、図12に示す使い捨ておむつにおける吸収性コアを示す平面図である。 図17は、腹側のウエスト開口部の周縁端の位置と背側のウエスト開口部の周縁端の位置とがずれている形態のおむつを示す斜視図である。 図18は、腸骨を示す説明図である。 図19は、着用者のウエスト部におけるずれ落ち力の算出方法を示す説明図である。 図20は、上前腸骨棘高前後長の測定方法を示す説明図である。 図21は、実施例1及び比較例1の伸縮特性を示す折れ線グラフである。 図22は、実施例1及び比較例1の伸縮特性を示す折れ線グラフである。
符号の説明
1 弾性繊維層
1’ 弾性繊維ウエブ
1A 弾性繊維
2,3 非弾性繊維層
2’ 非弾性繊維ウエブ
10 伸縮性不織布
10A 繊維シート
10B (積層)繊維シート
12 高坪量部分
13 低坪量部分

Claims (10)

  1. 少なくとも弾性繊維層を備えた伸縮性不織布であって、
    非伸長状態において、弾性繊維層は、製造時における機械方向と直交するCD方向に、相対的に坪量の高い高坪量部分と相対的に坪量の低い低坪量部分とが交互に配列している伸縮性不織布。
  2. 前記低坪量部分の坪量は、前記高坪量部分の坪量の5〜90%である請求項1記載の伸縮性不織布。
  3. 前記CD方向に沿って、前記高坪量部分の幅は5〜100mmであり、また、前記低坪量部分の幅は5〜100mmである請求項1又は2記載の伸縮性不織布。
  4. 前記CD方向に沿って、複数の前記高坪量部分は、その位置によって幅が異なっており、また、複数の前記低坪量部分は、その位置によって幅が異なっている請求項1ないし3の何れかに記載の伸縮性不織布。
  5. 前記弾性繊維層の少なくとも一面に、実質的に非弾性の非弾性繊維層を更に備え、弾性繊維層と非弾性繊維層とは部分的に又は全面的に接合されており、
    前記伸縮性不織布の伸縮性は、弾性繊維層と非弾性繊維層とを接合して得られた積層繊維シートに対し、延伸加工を施すことにより発現している請求項1ないし4の何れかに記載の伸縮性不織布。
  6. 前記伸縮性不織布の伸縮性は、前記弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態で、弾性繊維層と前記非弾性繊維層とを繊維交点の熱融着によって接合して得られた積層繊維シートに対し、延伸加工を施すことにより発現している請求項5記載の伸縮性不織布。
  7. 熱可塑性エラストマーからなる弾性繊維の溶融紡糸が可能な紡糸装置を用いて、請求項1記載の伸縮性不織布を製造する方法であって、
    紡糸装置は、紡糸ノズルの孔径、紡糸ノズルのランド長及び紡糸ノズルの孔ピッチのうちの少なくとも1つが前記CD方向に異なり、これにより、単位幅あたりの弾性繊維の紡糸質量が前記CD方向に大きい部位と小さい部位とを具備しており、
    紡糸装置により弾性繊維を紡糸し、紡糸された弾性繊維をコンベア上で積繊して積繊シートに形成した後に、該積繊シートから、請求項1記載の伸縮性不織布を製造する伸縮性不織布の製造方法。
  8. 熱可塑性エラストマーからなる弾性繊維の溶融紡糸が可能な紡糸装置を用いて、請求項1記載の伸縮性不織布を製造する方法であって、
    紡糸装置により弾性繊維を紡糸し、紡糸された弾性繊維に、流速が前記CD方向に高速の部位と低速の部位とを有するエアを直接吹き付けることで、弾性繊維を延伸させると共に、空気搬送状態において弾性繊維に、質量が前記CD方向に大きい部位と小さい部位とを形成し、この弾性繊維を積繊して積繊シートを形成した後に、該積繊シートから、請求項1記載の伸縮性不織布を製造する伸縮性不織布の製造方法。
  9. 熱可塑性エラストマーからなる弾性繊維の溶融紡糸が可能な紡糸装置を用いて、請求項1記載の伸縮性不織布を製造する方法であって、
    紡糸装置により弾性繊維を紡糸し、紡糸された弾性繊維を、流速が前記CD方向に高速の部位と低速の部位を有するエアにより吸引することで、空気搬送状態において弾性繊維に、質量が前記CD方向に大きい部位と小さい部位とを形成し、この弾性繊維を積繊して積繊シートを形成した後に、該積繊シートから、請求項1記載の伸縮性不織布を製造する伸縮性不織布の製造方法。
  10. 請求項1記載の伸縮性不織布が、使い捨ておむつの胴回り部に弾性伸縮性を付与するためのシートとして用いられた使い捨ておむつ。
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