JP2008101055A - シリカ含有ゴム組成物、その製造方法、及びその架橋成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物とシランカップリング剤とを混練する工程を有するシリカ含有ゴム組成物の製造方法であって、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の混練を5〜90℃で開始し、その混練温度を120℃以上に到達させた後において、シランカップリング剤をジエン系ゴム−シリカ共凝固物混練物に添加し、混練することを特徴とするシリカ含有ゴム組成物の製造方法。このシリカ含有ゴム組成物から得られる架橋性ゴム組成物及び架橋成形体。
【選択図】なし
Description
シリカ又はシリカとカーボンブラックとが配合されたタイヤ用ゴム組成物は、低燃費性とウエットグリップ性との両立が可能となることが見出され、タイヤトレッド用ゴム材料として注目されている。
そこで、シリカの粒子径(表面積)を特定の範囲とすることにより、加工性、低発熱性、破壊特性及び耐摩耗性に優れたゴム組成物を得ることが提案されている(特許文献1)。
しかし、この方法では、上記の特性は改良されるものの、配合物粘度が非常に高く、混練が困難となる問題があり、そのうえ、耐摩耗性の改善効果はまだ不十分であった。
そこで、ゴム中のシリカの分散性を改善するために、共役ジエン系ゴムラテックスとシリカ分散液とを混合し、次いで、共役ジエン系ゴムラテックス中のゴムをカチオン性樹脂やカチオン性高分子を用いて凝固させることによって、凝固したゴム中にシリカを均一に取り込ませる、いわゆる「共凝固」により、シリカ含有ゴム組成物を得る方法が提案されている。
この方法によれば、一般的なシリカに比べて高いCTAB比表面積を有するシリカを用いた場合でも、ゴム中に良好に分散させることができることが示されている(特許文献2及び特許文献3)。
上記シリカ含有ゴム組成物の製造方法において、前記混練工程における共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物とシランカップリング剤との混練物の排出時温度が130〜180℃であることが好ましい。
また、上記シリカ含有ゴム組成物の製造方法において、シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB比表面積)が、40〜400m2/gであることが好ましい。
また、上記シリカ含有ゴム組成物の製造方法において、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物が、共役ジエン系ゴムの溶液又は水分散液とシリカとを混合することによってゴム及びシリカを共凝固させて得たものであることが好ましい。
また、上記シリカ含有ゴム組成物の製造方法において、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物が、共役ジエン系ゴム100重量部、シリカ20〜200重量部及び伸展油5〜100重量部を含有するものであることが好ましい。
更に、本発明によれば、上記シリカ含有ゴム組成物及び架橋剤を含有してなる架橋性シリカ含有ゴム組成物が提供される。
更に、本発明によれば、上記架橋性シリカ含有ゴム組成物を架橋成形してなる架橋成形体が提供される。
しかも、得られるシリカ含有ゴム組成物は、補強性や耐摩耗性に優れている。従って、このシリカ含有ゴム組成物及びこれを架橋成形してなる成形体は、その特性を活かす各種用途、例えば、トレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウオール、ビード部等のタイヤ用部材;ホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品、免震ゴム等のゴム部材;耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等の樹脂強化ゴム部材;等に有用であり、なかでも、タイヤ用部材に好適である。
共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物は、共役ジエン系ゴムとシリカとの混合物から、共役ジエン系ゴムを凝固させることによって、共役ジエン系ゴム中にシリカを分散させたものである。
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等が好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
共役ジエン単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニル単量体は、特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン等が好ましく、スチレンがより好ましい。
芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのゴムは、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特にタイヤ用としては、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体が好ましい。共役ジエン−芳香族ビニル共重合体における各単量体単位の比率は、特に限定されないが、共役ジエン単量体単位含有量は、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは55〜82重量%、特に好ましくは60〜80重量%であり、芳香族ビニル単量体単位含有量は、好ましくは15〜50重量%、より好ましくは18〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。
また、共役ジエン−α,β−エチレン性不飽和ニトリル共重合体において、共役ジエン単量体単位含有量は、好ましくは40重量%以上、より好ましくは45重量%以上であり、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の量は、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下である。
共役ジエン系ゴムにおいて、共役ジエン単量体以外の単量体量が多すぎると、発熱性が大きくなり、低温脆性も劣る。
極性基を有する共役ジエン系ゴムは、例えば、これらの極性基を有するビニル単量体を共役ジエン単量体と共重合させることによって得ることができる。
また、共役ジエン系ゴムのラテックスは、通常、乳化重合で得ることができるが、共役ジエン系ゴムの有機溶媒溶液を転相することによっても得ることができる。
分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のチオール化合物;四塩化炭素等のハロゲン化物;ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン類のテルペン化合物;等を用いることができる。
乳化重合の温度は、使用する重合開始剤の種類によって適宜選択することができるが、通常、0〜100℃、好ましくは0〜60℃である。重合様式は、連続重合、回分重合等のいずれの様式でも構わない。
乳化重合反応停止後、得られた乳化重合反応液(ラテックス)から必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、必要に応じて硝酸、硫酸などの酸を添加混合してラテックスのpHを所定の値に調整して、共役ジエン系ゴムラテックスを調製する。
老化防止剤の具体例としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、オクタデシル−3−(3’,3’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートやスチレン化フェノール等のフェノール系老化防止剤;2,4−ビス(オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール等のイオウ系老化防止剤;N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤;ヒドロキノン系老化防止剤;リン系老化防止剤等が挙げられる。これらの中でも、フェノール系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤が好ましい。
これらの老化防止剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
老化防止剤は、重合終了後の任意の時点で共役ジエン系ゴムに添加すればよい。また、老化防止剤は、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物とシランカップリング剤とを混練するときに同時に混練することもできる。
老化防止剤の添加量は、共役ジエン系ゴム100重量部に対し、通常、0.05〜10.0重量部、好ましくは0.08〜6.0重量部、より好ましくは0.1〜4.0重量部である。
伸展油としては、ゴム工業において通常用いられているものが使用でき、その具体例として、パラフィン系、芳香族系、ナフテン系の石油系軟化剤;植物系軟化剤;脂肪酸等を示すことができる。石油系軟化剤の場合には、多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。この含有量は、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により測定される。
伸展油の配合量は、共役ジエン系ゴム100重量部に対して、一般的には5〜100重量部、好ましくは15〜60重量部、特に好ましくは30〜50重量部である。
伸展油の添加時期は特に限定されないが、共役ジエン系ゴムの溶液又は水分散液に溶解又は分散させるのが好ましい。
また、伸展油は、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物とシランカップリング剤とを混練するときに同時に混練することもできる。
これらのシリカは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、生産性に優れる湿式シリカが好ましく、その中でも特にゲルを経ないで得られる沈降シリカが好ましい。
また、シリカは、窒素吸着法により測定した比表面積(SBET)が50〜300m2/gであるものが好ましく、130〜280m2/gであるものがより好ましく、170〜280m2/gであるものが最も好ましい。
更に、上記シリカは、ジブチルフタレート吸油量(以下、単に「吸油量」という。)が100〜400ml/100gであるものが好ましく、110〜350ml/100gであるものがより好ましく、120〜300ml/100gであるものが最も好ましい。
上記の比表面積及び吸油量を有するシリカを用いると、強度や耐摩耗性等に優れた架橋成形体を与えるシリカ含有ゴム組成物が得られ、シリカによる補強効果に優れた低燃費性タイヤを得ることができる。
平均粒子径を0.1μm以上にすることにより、シリカの自己凝集性による分散不良を防ぐことができ、物性バランスに優れたシリカ含有ゴム組成物が得られる。一方、平均粒子径を50μm以下とすることにより、シリカによる補強効果や低燃費性が向上する。
特に、タイヤに用いられる場合は、シリカの平均粒子径を1〜30μmとするのが好ましい。
具体的には、ジェットミル、ボールミル、ナラミル、ミクロミル等を使用して、目的とする粒子径が得られるように適宜調整する乾式粉砕法;ディスパー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、コロイドミル等を使用して、目的とする粒子径が得られるように適宜調整する湿式粉砕法;等の方法が挙げられる。また、湿式粉砕法によりシリカの粒子径を調整する場合は、水、有機溶媒、ゴムラテックス、又はこれらの混合溶液中で調整することができる。
カチオン性物質としては、具体的には、カチオン性界面活性剤やカチオン性高分子を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミンアセテート類;セチルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩等のアルキルアミン塩酸塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド等のアルキルアンモニウムハライド類;アルキルアミンオキサイド類;アルキルアリールアンモニウムハライド類;アルキルベタイン類;等を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、アルキルアンモニウムハライド類が好ましく、特にセチルトリメチルアンモニウムブロマイドが好ましい。
カチオン性高分子の具体例としては、ポリジアリルメチルアミン;ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物及びそれらのアンモニウム塩;エピクロロヒドリン・ポリアミン縮合物、エピクロロヒドリン・ジメチルアミン縮合物等のエピクロロヒドリン・アミン縮合物;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリル酸エステルメチルクロライド等の4級アンモニウム塩基を有した高分子;等を挙げることができる。これらの中で、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、及びエピクロロヒドリン・アミン縮合物が好ましい。
重量平均分子量が1,000より小さいと、加硫ゴムの強度や耐摩耗性等の補強性が劣る恐れがあり、また、重量平均分子量が1,000,000を超えると、ゴム中でのシリカ分散が不良となる恐れがある。
また、カチオン性高分子のカチオン当量分子量の値は、コロイド滴定により、好ましくは250以下、より好ましくは220以下、最も好ましくは200以下である。
カチオン性高分子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性高分子は、水溶液として使用しても、そのままで使用してもよい。
上記カチオン性高分子の添加量をこの範囲とすることにより、架橋成形体とした場合の補強性や耐摩耗性に優れ、スコーチの問題もなく、混練加工性や押出加工性に優れる方向にある。
なお、共役ジエン系ゴムとシリカとの混合物にカチオン性界面活性剤やカチオン性高分子等のカチオン性物質を含有させる場合には、このカチオン性物質を配合することによって、凝固を起こさせることもできる。
共凝固によって生成するクラムと液体成分(以下、「セラム」という。)とを分離して、得られたクラムを水洗し、ろ過後、スクイザー、遠心脱水やフィルタープレス等でクラムを絞って脱水する。次いで、クラムを粒状に粉砕した後に押出乾燥機、熱風式乾燥機や撹拌翼を有する間接加熱乾燥機等で乾燥して、ペレット状又はブロック状に成形する。また、クラムとセラムとを分離することなく、噴霧乾燥することにより、クラムを粉状に成形することができる。
以上のようにして、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物が得られる。
90℃を超える温度で共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の混練を開始すると、混練発熱のため温度が急激に上昇し、シランカップリング剤を添加する所定温度範囲に制御するのが難しくなり、この結果、シランカップリング剤が過剰な熱履歴を受けてしまうことにより配合物粘度が上昇し、押し出し成形等の加工性が著しく悪くなる。
一方、混練開始温度が5℃未満ではトルクが大きくなり、機械に負荷が掛かる。
共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の混練の方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。混練機としては、従来一般的に用いられているニーダー、ブランベンダー、バンバリーミキサー等の密閉式混練機、オープンロール、二軸押し出し機等を用いることができる。
シランカップリング剤添加時における共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の混練物の温度は、120〜180℃であることが好ましく、140〜175℃であることがより好ましい。
即ち、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物への、シランカップリング剤の添加及び混練を、上記の温度範囲内で行なうことにより、シランカップリング剤が過剰な熱履歴を受けることがなく、得られる共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の混練物とシランカップリング剤との混練物の配合物粘度を上昇させることなく混練することができる。このような混練物を使用すると、成形加工性に優れるシリカ含有ゴム組成物を得ることができる。
また、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の混練物にシランカップリング剤を添加するときの上限の温度は、180℃以下にしたほうが、加工性改良の点で、より良い方向にある。
0.4≦S2/S1≦0.7 (1)
即ち、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物及び所望により添加した配合剤を混練すると、混練トルクが急速にS1まで上昇する。その後、ゴムが可塑性を有すると同時に、配合剤を添加した場合には、その均一分散によって混練トルクが低下する。この混練トルク低下が一定の範囲の時に、シランカップリング剤を添加するのが好ましい。S2/S1が0.7を超えると、得られるゴム配合物の粘度とスコーチへの効果が十分に得られず加工性が劣る恐れがあり、0.4を下回ると、ゴム配合物の補強性や耐摩耗性への改良効果が低下する恐れがある。
共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の混練物と、シランカップリング剤との混練中の温度は、上記の範囲内であれば特に制限されず、一定である必要はない。例えば、混練終了時に目標の排出時温度に到達するように混練温度を上昇又は下降させてもよいし、混練終了前に目標の排出時温度に到達させて、そのまま混練終了まで混練温度を一定に維持するようにしてもよい。
混練時間が上記の範囲よりも短いとシランカップリング剤とシリカとを十分に反応させることができず、補強効果、耐摩耗性及び低燃費性を損なう恐れがある。また、上記の範囲よりも長いと得られるゴム組成物の補強性や耐摩耗性への改良効果が低下する恐れがある。
所定時間混練を行なった後、混練物を混練機から排出する。共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物混練物とシランカップリング剤との混練物の排出時温度は、好ましくは130〜180℃、より好ましくは140〜170℃の範囲で行なう。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ100重量部に対するシランカップリング剤の配合量は、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
シリル化剤の量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜15重量部、最も好ましくは1〜10重量部である。
シリカ含有ゴム組成物は、シリル化剤を配合することにより、その補強性及び低燃費性が更に改善される。
これらのシリル化剤のうち、特にクロロシラン化合物、アルコキシシラン化合物及びシラザン化合物が好ましく用いられる。
これらのシリル化剤は、1種単独で用いてもよいし、任意の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ100重量部に対するシリル化剤の配合量は、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜15重量部、最も好ましくは1〜10重量部である。
これらのうち、共役ジエン系ゴムとシリカとの混合物を調製する前に、シリカと混合しておく方法が好ましい。これにより、シリカの表面の親水性部分が疎水化され、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物中におけるシリカの分散が良好になるとともに、シリカ表面のシラノール基とシランカップリング剤との反応の効率を向上させる。
これらの重合体を配合することにより、シリカ含有ゴム組成物から得られる架橋性ゴム組成物の補強性及び低燃費性が更に改善される。
オルガノポリシロキサンとしては、重合度3〜10,000のものが好ましく、メトキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基、エポキシ基、カルボニル基、スルフィド基、スルホニル基、ニトリル基等の官能基を有するものであることが好ましい。
また、ポリエーテル系重合体は、アルキレンオキシド、エピハロヒドリン、不飽和エポキシド等のオキシラン化合物を重合して得られる、主鎖にエーテル結合を有する重合体である。ポリエーテル系重合体としては、分子量100〜10,000,000のものが好ましい。
これらのオルガノポリシロキサンやポリエーテル系重合体は、それぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オルガノポリシロキサン及びポリエーテル系重合体の添加方法は特に制限されず、シリル化剤の添加方法と同様の方法を示すことができる。
また、カーボンブラックの表面にシリカを担持させたカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。
全ゴム成分100重量部に対するカーボンブラックの配合量は、通常、150重量部以下であり、カーボンブラックとシリカの合計で20〜200重量部が好ましい。
これらのカーボンブラックの配合時期は、特に限定されない。
可塑剤の具体例としては、フタル酸モノエステル、フタル酸ジエステル等を挙げることができる。
滑剤の具体例としては、ワックス等を挙げることができる。
これらの配合量は、全ゴム成分100重量部に対して、1〜5重量部が好ましい。
これらの添加剤の配合時期は、特に限定されない。
本発明で用いる共役ジエン系ゴム以外のその他のゴムの配合方法は、特に限定されず、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の混練時に添加混練しても、ジエン系ゴム−シリカ共凝固物混練物とシランカップリング剤との混練時に添加混練しても、また、シリカ含有ゴム組成物に添加混練しても、よい。また、その他のゴムの種類によっては、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物調製時に、共役ジエン系ゴムと併用してもよい。
架橋剤の具体例としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等の硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄等のハロゲン化硫黄;ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等のキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリン等の有機多価アミン化合物;メチロール基をもったアルキルフェノール樹脂;等が挙げられる。
これらの中でも、硫黄が好ましい。
これらの架橋剤は、1種を単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
架橋剤の配合量は、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
架橋促進剤の具体例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系架橋促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系架橋促進剤;ジエチルチオウレア等のチオウレア系架橋促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩等のチアゾール系架橋促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系架橋促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸系架橋促進剤;イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系架橋促進剤;等が挙げられる。
これらの架橋促進剤は、1種を単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの架橋促進剤のうち、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。
架橋促進剤の配合量は、全ゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
金属酸化物の具体例としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛等が挙げられる。
脂肪酸の具体例としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸等が挙げられ、その誘導体としては、ステアリン酸亜鉛等の金属塩、オレイン酸ジブチルアンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられる。
金属水酸化物の具体例としては、水酸化カルシウム、活性化水酸化カルシウム等が挙げられる。
金属炭酸塩の具体例としては、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛等が挙げられる。
これらの中でも、酸化亜鉛及び脂肪酸が好ましい。
酸化亜鉛としては、表面活性の高い粒度5μm以下のものを用いるのが好ましく、粒度が0.05〜0.2μmの活性亜鉛華や0.3〜1μmの亜鉛華等を挙げることができる。また、酸化亜鉛は、アミン系の分散剤や湿潤剤で表面処理されていてもよい。
これらの架橋活性化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
なお、架橋活性化剤は、シリカ含有ゴム組成物に架橋剤及び架橋促進剤を配合する前に、シリカ含有ゴム組成物に含有させるのが好ましく、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物とシランカップリング剤との混練物に配合するのがより好ましい。このとき、混練時間は、好ましくは30秒以上、より好ましくは60秒以上、好ましくは30分以下、より好ましくは25分以下である。
架橋方法は特に限定されず、架橋成形体の性状、大きさ等に応じて選択すればよい。金型中に架橋性ゴム組成物を充填して加熱することにより成形と同時に架橋してもよく、予め成形しておいた未加硫ゴム組成物を加熱して架橋してもよい。架橋温度は、好ましくは120〜200℃、より好ましくは100〜190℃、最も好ましくは120〜180℃である。
光散乱回折式の粒度分布測定装置(コールター社製、商品名「LS−230」)を用いて測定した体積基準中位径の値を採用する。
シリカ湿ケークを乾燥器(120℃)に入れて乾燥した後、ASTM D3765−92記載の方法を下記のように改良した方法で得られた値を採用する。
即ち、カーボンブラックの標準品であるIRTB(83.0m2/g)に代えて、別途にCTAB標準液を調製し、これによってエアロゾルOT溶液の標定を行い、シリカ表面に対するCTAB1分子あたりの吸着断面積を35平方オングストロームとしてCTABの吸着量から比表面積を算出する。これは、カーボンブラックとシリカとでは表面状態が異なるので、同一比表面積でもCTABの吸着量に違いがあると考えられるためである。
シリカ湿ケークを乾燥器(120℃)に入れて乾燥した後、マイクロメリティクス社製測定器(商品名「アサップ2010」)を使用して、窒素吸着量を測定し、相対圧0.2における1点法の値を採用する。
(4)シリカの吸油量
JIS K6220に準じて求める。
JIS K−6220に準拠して、含水率を測定する。
JIS K6383(屈折率法)に準じて測定する。
(7)共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)
ムーニー粘度計(島津製作所社製)を用い、JIS K6300に準じて測定する。
熱分析装置TG/DSC(セイコー電子工業社製、商品名「TG/DTA320」)を用いて、乾燥試料の空気中での熱分解後の燃焼残分率(%)及び150℃までの重量減少率(%)を測定し、下記式を用いて算出し、共役ジエン系ゴム100部に対する量(部)に換算して示す。
なお、測定条件は、空気中で昇温速度20℃/min、到達温度600℃での保持時間20分とする。
シリカ含有率(%)=燃焼残分率/(100−(150℃までの重量減少率))×100
共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の試料の重量を測定後、120℃で3時間、真空乾燥し、再度、重量を測定する。乾燥による重量減少量の真空乾燥前の重量に対する百分率を求める。
(10)架橋性シリカ含有組成物の配合物粘度(ML1+4、130℃)
ムーニー粘度計(島津製作所社製)を用い、JIS K6300に準じて測定した。測定結果について、比較例1の測定値を100とする指数で表す。この数値が低いと加工性に優れることを示す。
JIS K6300に準じて、ムーニー粘度計(島津製作所社製)を用いL形ローターでムーニースコーチ試験により測定温度130℃におけるスコーチタイムt5(分)を測定する。測定結果について、比較例1の測定値を100とする指数で表す。この数値が高いと加工性に優れることを示す。
JIS K6253に準じて、Duro−A硬さ計(高分子計器社製)を用い、室温での硬さを測定する。測定結果について、比較例1の測定値を100とする指数で表す。この数値が高いとタイヤの操縦安定性、耐摩耗性に優れることを示す。
(13)架橋成形体の引張強度
JIS K6251に準じて、ストログラフAE−CT(東洋精機製作所社製)を用い、破断応力及び破断伸びを測定した。測定結果について、比較例1の測定値を100とする指数で表す。この数値が高いとシリカ分散性が良好で機械的強度や補強性に優れることを示す。
ランボーン摩耗試験機(上島製作所社製)を用い、スリップ率10%、荷重1.0kgの条件で測定する。測定結果について、比較例1の測定値を100とする指数で表す。この値が高いと耐摩耗性に優れることを示す。
(15)混練トルクS1及びS2
バンバリーミキサー(ラボプラストミル型式100C ミキサータイプB−250;東洋精機製作所社製)を用い、混練開始温度80℃、ローター回転数70rpmで測定する。
攪拌機付き耐圧反応器に脱イオン水200部、ロジン酸石鹸1.5部、脂肪酸石鹸2.1部、単量体として1,3−ブタジエン57.5部及びスチレン42.5部、並びにt−ドデシルメルカプタン0.09部を仕込んだ。反応器温度を10℃とし、重合開始剤としてのジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部及びソディウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.06部、並びにエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.014部及び硫酸第二鉄0.02部を反応器に添加して重合を開始した。重合転化率が45%に達した時点で、t−ドデシルメルカプタン0.05部を添加して反応を継続させた。重合転化率が70%に達した時点で、ジエチルヒドロキシルアミンを0.05部添加して反応を停止させた。
未反応単量体を水蒸気蒸留により除去した後、重合体100部に対して、老化防止剤として、スチレン化フェノール0.45部及び2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール0.15部を添加し、固形分濃度が20%のスチレン−ブタジエン共重合ゴムラテックスを得た。
温度調整機付きの1m3ステンレス製反応容器にケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2濃度:10g/L、モル比:SiO2/Na2O=3.41)230Lを投入し、85℃に昇温した。次に、22%硫酸73Lとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2濃度:90g/L、モル比:SiO2/Na2O=3.41)440Lを同時に120分かけて投入した。10分間熟成後、22%硫酸16Lを15分かけて投入した。上記反応は、反応液温度を85℃に保持し、反応液を常時攪拌しながら行い、最終的に反応液のpHが3.2のシリカスラリーを得た。
得られたシリカスラリーをフィルタープレスで水洗、ろ過し、シリカ固形分が25%のシリカB湿ケークを得た。
ここで、得られたシリカB湿ケークの一部を乾燥し、シリカB粉末を得た。このシリカB粉末のBET比表面積(SBET)、CTAB比表面積(SCTAB)、吸油量及び含水率を測定した。その結果、BET比表面積(SBET)は201m2/g、CTAB比表面積(SCTAB)は190m2/gであり、吸油量は210ml/100g、含水率は7.1%であった。得られたシリカB粉末は比較例2に用いた。
シリカの製造例で得られたシリカB湿ケーク及び純水を、水性懸濁液中のシリカB固形分濃度が15%になるように、ホモジナイザーを用いてシリカB湿ケークを粉砕しながら混合し、シリカ水性懸濁液(sd1)を得た。シリカ水性懸濁液(sd1)中のシリカBの粒子径は15μmであった。
伸展油Enerthene1849A(ブリティッシュペトロリアム社製)66.0部と界面活性剤セチルトリメチルアンモニウムブロマイド2.5部及び純水31.5部をホモジナイザーを用いて混合し、伸展油エマルションを得た。なお、純水及び伸展油は60℃に加温したものを用いた。
上記シリカの水性懸濁液(sd1)462部と伸展油エマルション56.8部及び純水300部を、ホモジナイザーを用いて混合し、シリカ含有伸展油エマルション(se1)(シリカ含有量69.3部、伸展油含有量37.5部)を得た。
上記共役ジエン系ゴムラテックス製造例で得られたスチレン−ブタジエン共重合ゴムラテックス500部を純水1,000部で希釈し、50℃に昇温した。次に、上記で希釈されたスチレン−ブタジエン共重合ゴムラテックスに、シリカ含有伸展油エマルション(se1)824部を撹拌下、添加した。この時のpHは8.5であった。
次に、上記混合液に10%硫酸を添加しpHを低下させ、共凝固を進行させた。pHを7以下にすると上澄み液が透明になり始め、更に10%硫酸を添加し最終的にpHを6程度にした。なお、混合液の温度は50℃に維持して行なった。
得られた凝固物をろ過し、70℃で真空乾燥して、スチレン−ブタジエン共重合ゴム−シリカ共凝固物(a1)を得た。スチレン−ブタジエン共重合ゴム−シリカ共凝固物(a1)のシリカの含有率は、ゴム固形分100部に対して69.3部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム−シリカ共凝固物(a1)の含水率は0.2%であった。得られたスチレン−ブタジエン共重合ゴム−シリカ共凝固物(a1)は、実施例1及び実施例3で用いた。
シリカの製造例で得られたシリカB湿ケーク及び純水を、水性懸濁液中のシリカ固形分濃度が15.7重量%になるように、ホモジナイザーを用いてシリカB湿ケークを粉砕しながら混合し、次いで、カチオン性高分子(エピクロロヒドリン・ジメチルアミン共重縮合体(重量平均分子量24万、カチオン当量分子量138)の10%水溶液)をシリカ固形分100部に対して3部となるように混合し、カチオン性界面活性剤含有シリカ水性懸濁液(sd2)を得た。シリカ水性懸濁液(sd2)中のシリカの平均粒子径は、15μmであった。
共役ジエン系ゴムラテックスの製造例で得たゴムラテックス500部と脂肪酸石鹸により66%乳化水溶液とした伸展油(ブリティッシュペトロリアム社製、商品名「Enerthene1849A」)57部とを混合した。
得られた混合液を純水1,000部で希釈し、50℃に昇温した。次いで、混合液に上記シリカ水性懸濁液(sd2)製造例で得られたシリカ水性懸濁液(sd2)467部を攪拌下、添加して共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物を含む混合液を得た。この時の混合液のpHは7.4であった。
次に、上記混合液に10%硫酸を添加しpHを低下させた。pHを6.5以下にして凝固を完結させた。混合液の温度は50℃に維持して行なった。
得られた共凝固物をろ過し、70℃で真空乾燥して、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物(a2)を得た。共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物(a2)中のシリカの含有量は、ゴム固形分100部に対して69.3部、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物(a2)の含水率は0.2%であった。得られた共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物(a2)は、実施例2、比較例3及び比較例4で用いた。
表1に示す各種ゴム成分及び配合剤は、以下のとおりである。
・共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物(a1):(共役ジエン系ゴム(SBR1)100部/シリカB69.3部/伸展油37.5部)
・共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物(a2):(共役ジエン系ゴム(SBR1)100部/シリカB69.3部/伸展油37.5部)
・スチレン−ブタジエンゴム(SBR1):(スチレン−ブタジエンゴム:100部/伸展油:37.5部)
・シリカA:Zeosil 165GR(ローディア社製)(BET比表面積(SBET):163m2/g、CTAB比表面積(SCTAB):157m2/g、吸油量:215ml/100g)、含水率:7.1%
・シリカB:シリカの製造例によって得られたシリカ粉末(BET比表面積(SBET):201m2/g、CTAB比表面積(SCTAB):190m2/g、吸油量:200ml/100g)、含水率:7.1%
・シランカップリング剤:ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグサ社製、商品名「Si69」)
・プロセスオイル:Enerthene1849A(ブリティッシュペトロリアム社製)
・カーボンブラック:東海カーボン社製、商品名「シースト7HM」
・老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」)
・加硫促進剤CBS:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」)
・加硫促進剤DPG:1,3−ジフェニルグアニジン(大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」)
(シリカ含有ゴム組成物)
スチレン−ブタジエン共重合ゴム−シリカ共凝固物(a1)をバンバリーミキサー(東洋精機社製、ラボプラストミル、型式100C ミキサータイプB−250)で混練開始温度80℃、ローター回転数70rpmとして混練した。2分経過後に、シランカップリング剤、プロセスオイル、カーボンブラック及びステアリン酸を添加した。この時点での混練温度は150℃、S2/S1は0.597であった。また、混練機の温度が150℃に達した時点でローター回転数を50rpmとして、温度が一定になるようにした。更に混練を続け、5分経過後に混練物(シリカ含有ゴム組成物1A)を排出した。混練物の排出温度は151℃であった。
次に、バンバリーミキサーに上記の混練物(シリカ含有ゴム組成物1A)、酸化亜鉛及び老化防止剤を添加し、混練開始温度80℃、ローター回転数70rpmとして混練した。そして3分経過後に混練物(シリカ含有ゴム組成物1)を排出した。また混練機の温度が145℃に達した時点でローター回転数を50rpmとして、温度が一定になるようにした。
次に、上記混練物(シリカ含有ゴム組成物1)を50℃のオープンロール上で硫黄と加硫促進剤を添加して混練した後、架橋性シリカ含有ゴム組成物1を得た。
架橋性シリカ含有ゴム組成物1の配合物粘度とスコーチタイムを測定した後に、160℃で15分間プレス加硫を行い、得られた架橋成形体1の物性を測定した。結果を表1に示す。
スチレン−ブタジエン共重合ゴム−シリカ共凝固物(a1)に代えて共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物(a2)を用いたほかは、実施例1と同様の方法で、シリカ含有ゴム組成物2を得た。なお、混練開始から2分経過後にシランカップリング剤、カーボンブラック及びステアリン酸を添加した時点での混練温度は150℃、S2/S1は0.563、混練物の排出温度は152℃であった。
このシリカ含有ゴム組成物2から、実施例1と同様にして、架橋性シリカ含有ゴム組成物2を得、更に架橋成形体2を得た。得られた架橋成形体2の物性を測定した。結果を表1に示す。
スチレン−ブタジエン共重合ゴム−シリカ共凝固物(a1)の全重量のうち2/3をバンバリーミキサーに投入して、そして1分30秒経過後に残りのスチレン−ブタジエン共重合ゴム−シリカ共凝固物(a1)並びにシランカップリング剤、プロセスオイル、カーボンブラック及びステアリン酸を添加したほかは、実施例1と同様の方法で、シリカ含有ゴム組成物3を得た。なお、1分30秒経過後に残りのスチレン−ブタジエン共重合ゴム−シリカ共凝固物(a1)並びにシランカップリング剤、プロセスオイル、カーボンブラック及びステアリン酸を添加した時点での混練温度は140℃、S2/S1は0.565、混練物の排出温度は150℃であった。
実施例1と同様にして、このシリカ含有ゴム組成物3から架橋性シリカ含有ゴム組成物3を得、更に、架橋成形体3を得た。得られた架橋成形体3の物性を測定した。結果を表1に示す。
スチレン−ブタジエンゴムをバンバリーミキサーで、混練開始温度80℃、ローター回転数70rpmとして混練した。そして30秒経過後に配合剤のうちシリカA50部とシランカップリング剤を添加し(このときの温度は、100℃であった。)、次いで2分経過後に残りの配合剤のシリカA19.3部部並びにカーボンブラック、ステアリン酸をそれぞれ添加し、混練を続け、5分経過後に混練物C1Aを排出した。また、混練機の温度が150℃に達した時点でローター回転数を50rpmとして、温度が一定になるようにした。なお、シランカップリング剤添加時のトルクS2は最大トルクS1と同値であり、S2/S1は1.0、混練物の排出温度は151℃であった。
架橋性シリカ含有ゴム組成物C1の配合物粘度とスコーチタイムを測定した後に、160℃で15分間プレス加硫を行い、得られた架橋成形体C1の物性を測定した。結果を表1に示す。
シリカAに代えてシリカBを用いたほかは、比較例1と同様の方法で、シリカ含有ゴム組成物C2を、次いで架橋性シリカ含有ゴム組成物C2を得た。比較例1と同様にS2は最大トルクS1と同値であり、S2/S1は1.0となる。混練物の排出温度は150℃であった。これから架橋成形体C2を得て、得られた架橋成形体C2の物性を測定した。結果を表1に示す。
共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物(a2)にシランカップリング剤を予め添加した後、バンバリーミキサーに投入した。そのときの混練開始温度は80℃、S2は最大トルクS1と同値であり、S2/S1は1.0となる。混練開始2分30秒経過後に残りの配合剤のカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸及び老化防止剤を添加する以外は、実施例1と同様にして、シリカ含有ゴム組成物C3を得た。
このシリカ含有ゴム組成物C3から、実施例1と同様にして、架橋性シリカ含有ゴム組成物C3を得、更に架橋成形体C3を得た。混練物の排出温度は150℃であった。得られた架橋成形体C3の物性を測定した。結果を表1に示す。
共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物(a2)の混練を120℃で開始した。混練開始から30秒経過後にシランカップリング剤、カーボンブラック及びステアリン酸を添加した。この添加時の混練温度は150℃で、S2/S1は0.822、混練物の排出温度は150℃であった。
以後、実施例1と同様にして、シリカ含有ゴム組成物C4を得た。
このシリカ含有ゴム組成物C4から、実施例1と同様にして、架橋性シリカ含有ゴム組成物C4を得、更に架橋成形体C4を得た。得られた架橋成形体C4の物性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1〜2のように、乳化重合スチレン−ブタジエンゴムとシリカの乾式法による混練混合では、シリカ分散性が不十分なために、得られた架橋成形体C1〜C2は、引張強度、耐摩耗性が劣る。
比較例3のように、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物に対して、本発明の規定よりも低い温度でシランカップリング剤を添加した場合は、得られた架橋成形体C3は、引張強度及び耐摩耗性に優れるものの、配合物粘度が高く、更にスコーチタイムも短く、加工性に劣る。
比較例4のように、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物に対して、本発明の規定よりも高い温度で混練を開始した場合は、得られた架橋成形体C4は、引張強度及び耐摩耗性に優れるものの、配合物粘度が高く、更にスコーチタイムも短く、加工性に劣る。
これに対して、本発明に規定する製造方法によって得られた架橋成形体1〜3(実施例1〜3)は、配合物粘度、スコーチタイム、補強性や耐摩耗性のバランスに優れている。
Claims (8)
- 共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物とシランカップリング剤とを混練する工程を有するシリカ含有ゴム組成物の製造方法であって、共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物の混練を5〜90℃で開始し、その混練温度を120℃以上に到達させた後において、シランカップリング剤をジエン系ゴム−シリカ共凝固物混練物に添加し、混練することを特徴とするシリカ含有ゴム組成物の製造方法。
- 前記混練工程における共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物とシランカップリング剤との混練物の排出時温度が130〜180℃であることを特徴とする請求項1に記載のシリカ含有ゴム組成物の製造方法。
- シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB比表面積)が、40〜400m2/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリカ含有ゴム組成物の製造方法。
- 共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物が、共役ジエン系ゴムの溶液又は水分散液とシリカとを混合することによってゴム及びシリカを共凝固させて得たものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ含有ゴム組成物の製造方法。
- 共役ジエン系ゴム−シリカ共凝固物が、共役ジエン系ゴム100重量部、シリカ20〜200重量部及び伸展油5〜100重量部を含有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリカ含有ゴム組成物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によって得られることを特徴とするシリカ含有ゴム組成物。
- 請求項6に記載のシリカ含有ゴム組成物及び架橋剤を含有してなる架橋性シリカ含有ゴム組成物。
- 請求項7に記載の架橋性シリカ含有ゴム組成物を架橋成形してなる架橋成形体。
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