JP2008096646A - 樹脂乳化液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを含む樹脂乳化液であって、該樹脂乳化液中の乳化粒子の体積中位粒径(D50)が0.5μm以下であり、且つ、体積基準の粒度分布における変動係数が30以下であるトナー用樹脂乳化液、(1)ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを含む原料を、塩基性水性媒体中において分散させる工程、(2)得られた分散液を攪拌して中和させる工程、及び(3)中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で乳化する工程、を有する樹脂乳化液の製造方法であって、少なくとも前記工程(2)における攪拌を、公転軸に自転軸が2軸以上連結され、夫々の自転軸に設けられた攪拌羽根が遊星運動を行う混合機を用いて行うトナー用樹脂乳化液の製造方法である。
【選択図】なし
Description
このような技術として、例えば、樹脂(A)、顔料(B)を含有する有機溶媒(C)中の分散液(I)と分散剤(D)を含有する水系媒体を混合してなる水系分散体を造粒して樹脂組成物粒子を製造する方法において、(I)が、(A)、(B)、(C)及び必要により顔料分散剤(E)を自転公転機能を有する混合機で混合分散してなる固形分濃度50〜98重量%の混合分散物を必要により有機溶媒で希釈してなる固形分濃度20〜70%の調整液である樹脂組成物粒子の製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、前記の特許文献1及び特許文献2の技術はいずれも、樹脂や顔料の分散性が未だ十分でなく、また得られるトナーの耐久性についても不十分であった。
(1)ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを含む樹脂乳化液であって、該樹脂乳化液中の乳化粒子の体積中位粒径(D50)が0.5μm以下であり、且つ、体積基準の粒度分布における変動係数が30以下である、トナー用樹脂乳化液、
(2)(1)ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを含む原料を、塩基性水性媒体中において分散させる工程、(2)得られた分散液を攪拌して中和させる工程、及び(3)中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で乳化する工程、を有する樹脂乳化液の製造方法であって、少なくとも前記工程(2)における攪拌を、公転軸に自転軸が2軸以上連結され、夫々の自転軸に設けられた攪拌羽根が遊星運動を行う混合機を用いて行う、トナー用樹脂乳化液の製造方法、
(3)(a)上記(2)に記載の製造方法で樹脂乳化液を得る工程、及び(b)得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を凝集、合一させる工程、を有する電子写真用トナーの製造方法、及び
(4)上記(3)に記載の製造方法で得られた電子写真用トナー、
に関する。
本発明のトナー用樹脂乳化液は、ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを含む樹脂乳化液であって、該樹脂乳化液中の乳化粒子の体積中位粒径(D50)が0.5μm以下であり、且つ、体積基準の粒度分布における変動係数が30以下のものである。すなわち、本発明のトナー用樹脂乳化液は小粒径でシャープな粒度分布を有しているために、乳化粒子を凝集・合一して得られるトナーの製造に用いた場合、均一な凝集が可能となり、得られるトナーは画像濃度が高く耐久性の高いものとなる。
変動係数=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径(D4))×100
なお、本発明において体積平均粒径(D4)とは、体積分率で計算した平均粒径を意味する。
この工程は、ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを含む原料を、塩基性水性媒体中において分散させる工程である。
結着樹脂は、ポリエステルを含有するが、ポリエステルとともに、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等が使用できる。なかでも、着色剤分散性、定着性及び耐久性の観点から、ポリエステル以外にスチレン−アクリル共重合体が好ましく、ポリエステルを主成分とするものがより好ましい。結着樹脂中におけるポリエステルの含有量は60重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。本発明においては、結着樹脂としてポリエステルとともに上記他の樹脂を1種組み合わせて用いても良いが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
トナーの耐久性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
さらに、本発明のトナー用結着樹脂は、定着性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することができ、一方のポリエステル(イ)の軟化点は70以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(ロ)の軟化点のポリエステルの軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(イ)とポリエステル(ロ)の重量比(イ/ロ)は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
非晶質ポリエステルのアルコール成分には、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等の、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が含有されていることが好ましい。
非晶質ポリエステルの数平均分子量は、耐久性及び定着性の観点から、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜12,000が更に好ましい。
上記非晶質ポリエステルは、トナーの耐久性及び帯電性の点から、結着樹脂中好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上の割合で含有される。
低温定着性の観点から、結晶性ポリエステルを用いる場合は、結晶性ポリエステルの数平均分子量は、2,000〜100,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、2,000〜10,000が更に好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。
また、塩基性水性媒体の使用量は、均一な粒子を有する樹脂乳化液を効果的に調製し得る点から、結着樹脂100重量部に対して、5〜100重量部が好ましく、10〜90重量部がより好ましく、20〜80重量部がさらに好ましく、25〜70重量部がさらに好ましい。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用でき、適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、チアゾール系等の各種染料を1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
結着樹脂と着色剤との使用割合は、トナーの帯電性、耐久性、印字濃度などの観点から、重量比で70:30〜97:3が好ましく、80:20〜97:3がより好ましい。
離型剤の含有量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部である。
具体的には、界面活性剤を含む塩基性水性媒体中において、例えばポリエステルなどの樹脂粒子を着色剤などと共に、該樹脂粒子のガラス転移点以下、例えば10〜50℃程度の温度で攪拌して分散処理するなどの通常の方法により、均一な樹脂分散液を調製することができる。
この工程は、前記工程(1)で得られた樹脂分散液を、攪拌して実質的に中和させる工程である。樹脂を均一に中和する観点から、該攪拌時間は好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上である。
中和は、前記結着樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の温度で行うことが好ましい。前記範囲の温度で行うことにより、中和が十分に行われ、次工程の乳化処理で大きな乳化粒子の生成が抑制され、また、加熱に特別な装置を必要としない。この点で、中和温度は、該樹脂のガラス転移点+10℃以上の温度であることが好ましく、また軟化点−5℃(以下、「軟化点−5℃」と記す)以下の温度であることが好ましい。
具体的には、前記工程(1)で分散された樹脂分散液を、攪拌しながら好ましくは該樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の温度、例えばガラス転移点が60〜65℃程度で軟化点が110〜120℃程度のカルボキシル基をもつポリエステルを用いた場合には、90〜100℃程度の温度に昇温し、所定の中和度に達するまで、その温度で適当な時間保持することにより中和を行う。
すなわち、本発明においては、着色剤と樹脂からなる固形分濃度が高い状態で混合(混練)を行うため、混合(混練)状態に依存して混合(混練)物の粘度が広い範囲で変化する。特に当該工程(2)では高粘度状態となるため、攪拌が不十分あるいは不均一となることがあり、その結果、樹脂や着色剤の分散及び乳化が充分に行われない場合がある。上記の点から、混合機として、上記のものを用いることが好ましく、低粘度から高粘度まで広範囲に対応することができる点から、プラネタリーミキサーが好ましい。
本発明において使用しうるプラネタリーミキサーの一例を図1に、またその攪拌羽根を含む一部拡大図を図2に示す。
図中符号1は撹拌槽であって、撹拌槽1は上方部材2と下方部材3からなり、上方部材2の内側には、例えば枠型ブレードからなる撹拌羽根4、5が一つのローター6に保持されている。ローター6が回転(公転)すると、撹拌羽根4、5は同一方向に回転(自転)する。そして、ローター6の公転運動とともに2本の撹拌羽根4、5がそれぞれ自転運動する、いわゆる遊星運動(プラネタリー運動)を行う。
本発明に使用できるカイ型攪拌機としては特に制限はなく、一般に使用されるものがいずれも使用できる。その攪拌周速は、樹脂や着色剤の分散性の観点から、0.5m/sec以上であることが好ましく、0.5〜3m/secであることがより好ましい。
上記混合機を用いた攪拌は、工程(2)で行えば十分に上記本発明の効果を得ることができるが、上記の観点及び、製造時の原料の移送に伴う原料のロスやコンタミの防止の観点から、工程(2)と共に、工程(1)及び/又は後述の工程(3)においても行うことがより好ましく、工程(1)〜工程(3)の全ての工程の混合(混練)を上記混合機で行うことが更に好ましい。
この工程は、前記工程(2)で中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で乳化する工程であるが、該工程は、微細な樹脂乳化液を調製する観点から、工程(2)で中和された樹脂分散液を、該樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の温度に保持し、攪拌しながら、これに水性液を添加し、水性媒体中で乳化を行うことが好ましい。
乳化を前記範囲の温度で行うことにより、乳化がスムーズに行われ、又加熱に特別の装置を必要としない。このことから、乳化を行う際の温度は、ガラス転移点+10℃以上の温度であることが好ましく、また、軟化点−5℃以下の温度であることが好ましい。
乳化開始時点は、用いる樹脂の酸価や中和度などにより任意に調整することができる。例えば、樹脂の酸価を高くしたり、中和度を高くすると樹脂の親水性が高くなり、少量の水性媒体と接触させることで乳化を開始させることができる。
また、O/W型の乳化液を形成した後の乳化粒子の体積中位粒径(D50)は、凝集工程での均一な凝集を行うために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μmである。
ポリエステルを含有する結着樹脂及び着色剤については前述のとおりである。本発明において、樹脂乳化液中の乳化粒子の体積中位粒径(D50)は、画像濃度が高く耐久性の高いトナーを得る観点から0.5μm以下であるが、0.4μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることが更に好ましい。
変動係数=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径(D4))×100
乳化粒子の体積中位粒径(D50)及び粒度分布における変動係数を、上記特定の値とするためには、例えば、前述の混合機を使用する、攪拌を前述のような攪拌強度(攪拌周速等)で行う、分散液の中和度を上げる等の方法、あるいはこれらの方法を適宜組み合わせた方法が用いられる。
次に、(a)上記製造方法で樹脂乳化液を得る工程、及び(b)得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を凝集する工程(以下、凝集工程という)、合一する工程(以下、合一工程という)、を有する方法により、本発明の電子写真用トナーが得られる。着色剤は前述のように樹脂乳化液に含有されていてもよいし、着色剤の分散液を樹脂乳化液と混合して凝集、合一させてもよい。
凝集工程においては、混合液の分散安定性と、結着樹脂及び着色剤等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、系内のpH値は2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂のガラス転移点以下が好ましく、ガラス転移点−10℃以下がより好ましい。
アンモニウム塩としては、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等が、4級アンモニウム塩としては、テトラアルキルアンモニウムハライド等が挙げられるが、生産性の点から、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、テトラアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイドが好ましく挙げられる。これらの凝集剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー母粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー母粒子の乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
また、高画質化と生産性の観点から、トナー粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。粒度分布は、同様の観点から、変動係数(粒度分布の標準偏差/体積体積中位粒径(D50)×100)は25以下が好ましく、23以下がより好ましく、22以下がより好ましく、19以下が更に好ましい。
また、トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃あることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。また、示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度は、同様の観点から、60〜140℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070に規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
[樹脂及びトナーの軟化点、吸熱の最高ピーク温度及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差のときには該ピーク温度を融点とし、軟化点より20℃以上低いときには該ピークはガラス転移に起因するピークとする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結着樹脂をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、水に対する相対屈折率を1.2として、吸光度が適正範囲になる濃度で得られた粒径分布からメジアン径(すなわち、体積中位粒径(D50))、及び、体積平均粒径(D4)及び標準偏差を測定、算出する。また、変動係数は下記の式に従って算出する。
変動係数=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径(D4))×100
赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所:FD−230)を用いて、乳化液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分は下記の式に従って算出した。
固形分(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。また、トナーの変動係数は下記の式に従って算出する。
変動係数=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3760であった。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に準拠して測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Bを得た。ポリエステル樹脂Bの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は18.5mgKOH/g、数平均分子量は3394であった。
製造例1で得たポリエステル樹脂Aの微粉末70重量部及び大日精化製銅フタロシアニンのスラリー顔料(ECB−301:固形分46.2重量%)を顔料分30重量部になる様にヘンシェルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後更に加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して青色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチ1)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
プラネタリーミキサー(PRIMIX社製:5L容T.K.ハイビスミックス)の攪拌槽(図1の下方部材3)で、ポリエステル樹脂A 640g、ポリエステル樹脂B 420g、マスターバッチ1 200g(ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B及びマスターバッチ1に用いた樹脂を前記配合割合で混合溶融した混合樹脂の軟化点は114℃、ガラス転移点は64℃であった)、及び、アニオン性界面活性剤「ネオペレックス G−15(花王社製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:15重量%)80g、および、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製)」ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB:16.2)12g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液551gを、2軸の攪拌羽根が遊星運動を行う、上記プラネタリーミキサー(PRIMIX社製:5L容T.K.ハイビスミックス)にて、攪拌羽根が図3に示すような自転方向と逆向きに捻転した形状のブレード状の羽根を用い、攪拌周速1.2m/sec(自転周速:0.7m/sec、公転周速:0.5m/sec)の攪拌下、25℃で分散させた後、95℃まで昇温して2時間中和を行った。続いて、脱イオン水を12g/min(樹脂100gあたり1g/分)で2276g滴下し、乳化を行った。得られた乳化液を室温まで冷却し200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂乳化液(1)を得た。得られた樹脂乳化液(1)中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は0.13μm、体積基準における変動係数は25であり、金網上に樹脂成分は何も残らなかった。結果を表1に示す。
プラネタリーミキサーの攪拌羽根の攪拌周速を、0.4m/secとした以外は、実施例1と同様にして樹脂乳化液(2)を調製した。得られた樹脂乳化液(2)中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)、体積基準における変動係数を表1に示す。また、金網上に樹脂成分は何も残らなかった。
プラネタリーミキサーの攪拌羽根として、その形状を捻転していないフラットなブレード状の羽根とした以外は、実施例1同様にして樹脂乳化液(3)を調製した。得られた樹脂乳化液(3)中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)、体積基準における変動係数を表1に示す。また、金網上に樹脂成分は何も残らなかった。
実施例1において、乳化時の「5重量%水酸化カリウム水溶液」の量を370g、脱イオン水の滴下量を2,449gとした以外は、実施例1同様にして樹脂乳化液(4)を調製した。得られた樹脂乳化液(4)中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)、体積基準における変動係数を表1に示す。また、金網上に樹脂成分は何も残らなかった。
実施例1において、5リットル容のステンレス釜を有するカイ型の攪拌機に代えて、その周速を1.2m/secとした以外は、実施例1と同様にして樹脂乳化液(5)を調製した。得られた樹脂乳化液(5)中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)、体積基準における変動係数を表1に示す。また、金網上に樹脂成分は何も残らなかった。
実施例5において、乳化時の「5重量%水酸化カリウム水溶液」の量を275g、脱イオン水の滴下量を2,539gとした以外は、実施例5と同様にして樹脂乳化液(6)を調製した。得られた樹脂乳化液(6)中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)、体積基準における変動係数を表1に示す。また、金網上には樹脂成分が確認された。
実施例5において、カイ型の攪拌機の攪拌周速を0.4m/secに変更した以外は実施例5と同様にして樹脂乳化液(7)を調製した。得られた樹脂乳化液(7)中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)、体積基準における変動係数を表1に示す。また、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
[攪拌条件]
プラネタリーミキサー(T.K.ハイビスミックス)
公転:径=φ242mm 回転数=40r/min
自転:径=φ132mm 回転数=100r/min
(公転,自転は同一方向)
プラネタリーミキサーの周速は、公転の周速と自転の周速を足し合わせた値とする。
カイ型攪拌機
羽根:径=φ115mm,回転数=200r/min
なお、周速(m/s)は下記式で求めた。
周速(m/s)=径(m)×π×回転数(r/min)/60
[樹脂乳化液の反射濃度評価]
樹脂乳化液をアクリル板に設けたφ8mm、深さ8mmの穴に満たし、測色計(Gretag−Macbeth社製 SpectroEye)を用いて、光射条件を標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DIN NBにおいて絶対白基準で測色し、反射濃度を測定する。
樹脂乳化液(1)500gを、2リットル容の容器に入れ室温下攪拌した。次に、カイ型の攪拌機で100/minの攪拌下、凝集剤として硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)25gを1179gの脱イオン水に溶かし水溶液にしたものを室温で10分かけて滴下した。室温から80℃まで1時間で昇温し、80℃で3時間保持した。次に攪拌しながら室温まで冷却した。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂粒子を得た。着色樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は4.8μm、変動係数は19、軟化点は99.8℃、ガラス転移点は53.7℃であった。
この着色樹脂微子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R972、個数平均粒子径16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添しトナー(1)とした。
樹脂乳化液(2)〜(7)の各々を用いた以外は、実施例6と同様にして、それぞれに対応するトナー(2)〜(7)を調製した。各着色樹脂粒子の体積中位粒径(D50)、変動係数、軟化点、ガラス転移点は表2に示す通りであった。
[画像濃度]
非磁性一成分現像装置「MICROLINE 5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、付着量0.3mg/cm2でベタ画像を印字した。得られたベタ画像を測色計(Gretag−Macbeth社製、SpectroEye)を用いて、光射条件を標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DIN NBにおいて絶対白基準で測色し画像濃度を測定した。
非磁性一成分現像装置「MICROLINE 5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、印字率5%のチャートを10,000枚印刷した。印刷後、感光体ドラム表面への残留トナーの融着の発生状況とプリントアウトした画像への影響を目視で観察し、以下の評価基準に従って、耐久性(耐フィルミング性)を評価する。
◎:トナー融着は未発生
○:トナー融着が感光体上に1〜2箇所確認されるが、画像への影響は無い
△:トナー融着が感光体上に3〜5箇所確認されるが、画像への影響は無い
×:トナー融着が感光体上に6箇所以上確認され、画像に欠陥が生じている
2・・・・・撹拌槽の上部
3・・・・・撹拌槽の下部
4及び5・・撹拌羽根
6・・・・・ローター
Claims (9)
- ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを含む樹脂乳化液であって、該樹脂乳化液中の乳化粒子の体積中位粒径(D50)が0.5μm以下であり、且つ、体積基準の粒度分布における変動係数が30以下である、トナー用樹脂乳化液。
- (1)ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを含む原料を、塩基性水性媒体中において分散させる工程、(2)得られた分散液を攪拌して中和させる工程、及び(3)中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で乳化する工程、を有する方法により得られるトナー用樹脂乳化液であって、少なくとも前記工程(2)における攪拌を、公転軸に自転軸が2軸以上連結され、夫々の自転軸に設けられた攪拌羽根が遊星運動を行う混合機を用いて行う、トナー用樹脂乳化液。
- (1)ポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを含む原料を、塩基性水性媒体中において分散させる工程、(2)得られた分散液を攪拌して中和させる工程、及び(3)中和された分散液に水性液を添加して水性媒体中で乳化する工程、を有する樹脂乳化液の製造方法であって、少なくとも前記工程(2)における攪拌を、公転軸に自転軸が2軸以上連結され、夫々の自転軸に設けられた攪拌羽根が遊星運動を行う混合機を用いて行う、トナー用樹脂乳化液の製造方法。
- 前記工程(2)と工程(1)及び/又は(3)における攪拌を、公転軸に自転軸が2軸以上連結され、夫々の自転軸に設けられた攪拌羽根が遊星運動を行う混合機を用いて行う、請求項3記載のトナー用樹脂乳化液の製造方法。
- 塩基性水性媒体が有機溶剤を含有しない、請求項3又は4に記載のトナー用樹脂乳化液の製造方法。
- 混合機の自転軸に設けられた攪拌羽根の攪拌周速が0.5〜5m/secである、請求項3〜5のいずれかに記載のトナー用樹脂乳化液の製造方法。
- 混合機の自転軸に設けられた攪拌羽根の少なくとも一つが、自転の回転方向と逆方向に捻転した形状を有する、請求項3〜6のいずれかに記載のトナー用樹脂乳化液の製造方法。
- (a)請求項3〜7のいずれかに記載の製造方法で樹脂乳化液を得る工程、及び(b)得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を凝集、合一させる工程、を有する電子写真用トナーの製造方法。
- 請求項8に記載の製造方法で得られた電子写真用トナー。
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