JP2008096300A - チタン系ハードコ−トのレンズ基材との密着性能の試験条件決定方法及び試験方法 - Google Patents

チタン系ハードコ−トのレンズ基材との密着性能の試験条件決定方法及び試験方法 Download PDF

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Abstract

【課題】チタン系ハードハードコート膜のプラスチックレンズ基材への密着性の経時的な低下を評価できる方法を提供。
【解決手段】紫外線照射への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う暴露処理を施した被検レンズを試験することにより、プラスチックレンズ基材に設けられたチタン系ハードコート膜のレンズ基材への密着性を試験する方法における、暴露処理の条件の決定方法。(1)被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズを、キセノン光照射に曝露し、得られる黄色に変化したレンズのキセノン光照射曝露前と後の基準ΔYI値を求め、(2)暴露処理の条件は、暴露処理に供した被検レンズが基準ΔYI値を示す条件に設定する。この方法で決定された条件の暴露処理に被検レンズを施し、暴露処理した被検レンズのレンズ表面に対して、クロスハッチテストを行い、ハードコート膜のレンズ基材への密着性能を評価する。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチックレンズ基材に設けられたチタン系ハードコートの前記レンズ基材への密着性を試験する方法における試験条件の設定方法及びチタン系ハードコ−トのレンズ基材との密着性能の試験方法に関する。
近年、眼鏡レンズの高屈折率化により、それに対応した高屈折率の有機ハードコート膜が求められている。高屈折率の有機ハードコート膜としては、有機珪素系の基質成分に高屈折率の透明のコロイド状の微粒子状無機酸化物を含有したハードコート膜が知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)
眼鏡レンズは日常の装用環境、例えば、整髪料、化粧品、手垢などの化学物質からの汚染、ティッシュペーパーなどでの清掃行為でのレンズ面への接触、或いは、屋外での太陽光による暴露など、化学的、物理的諸要因によりダメージを受ける。そのため、レンズ基材に被覆されるハードコート膜にも耐久性が求められる。ハードコート膜の耐久性評価方法としては、特許文献1及び3などの実施例に開示されているような、耐磨耗性を兼ねたスチールウオールテストやクロスハッチテストが知られている。
特開平11-311702号公報 特開昭60-221702号公報 特開昭60-88901号公報 特開昭62-283817号公報
市販されている高屈折レンズのハードコート膜に使用されているコロイド状の微粒子状無機酸化物は複合酸化物であり、スズ系、チタン系、アンチモン系が主流である。特に、チタン系ハードコート膜は、屋外の暴露での経時変化が大きく、耐候性も経時的に変化し易いことがわかってきた。
チタン系ハードコート膜は、耐候性が低下すると、膜の着色、膜はげの現象が見られる。例えば、チタン系ハードコート膜を設けた眼鏡レンズの場合、実験室レベルでの試験では良好な膜物性を示すレンズであっても、販売後、特に密着性が経時的に低下する現象が見られる場合がある。
しかし、そのような密着性の経時的な低下を示すレンズを的確に識別できる、信頼性のある試験方法はこれまでに知られていない。前述のようにレンズ基材に被覆されたハードコート膜の機械的耐久性を試験する方法はあるが、使用環境の影響を考慮した密着性の経時的な低下の程度を評価できる方法は知られていない。
眼鏡レンズの開発過程や製造されたレンズを評価する場合、その装用環境により近い状態での、ハードコート膜の密着性の経時的低下を評価できる方法が求められていた。しかし、上述のように、使用環境の影響を考慮した密着性の経時的な低下の程度を評価できる方法は知られていない。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、チタン系ハードコート膜を設けたプラスチックレンズにおける、使用環境の影響を考慮した、前記ハードコート膜のプラスチックレンズ基材への密着性の経時的な低下を評価できる方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく本発明者らは、種々の検討を行い、自然暴露と相関関係のある劣化促進試験方法として、自動車用塗料の試験として広く用いられている、QUV装置(促進耐候試験機)を用いた試験方法に着目した。QUV装置は、紫外線照射への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う暴露処理が可能であり、一部のプラスチックレンズの試験にも用いられている。
しかし従来のプラスチックレンズに対するQUV装置を用いた促進耐候試験は、プラスチックレンズに設けられた反射防止膜の付着性全般における評価に用いられているものであり、この方法でチタン系ハードコートレンズ(反射防止膜付レンズも含む)の評価を行った場合、密着性試験では差異が見られなかったり、さらには、より長時間の実験を行うとレンズ表面にクラックが発生して試験不能になったりしていた。これはこの試験方法と実際のレンズ基板、ハードコート膜、反射防止膜間の密着性の経時的な低下とは生じる使用環境条件が大幅に相違しているためと推察される。
そこで本発明者らは、QUV装置を用いた促進耐候試験を、レンズ基板、ハードコート膜及び/又は反射防止膜間の密着性の経時的な低下の評価に適応すべく種々検討を重ねた。その結果、QUV装置を用いた耐候試験において、レンズ基板、ハードコート膜及び/又は反射防止膜間の密着性の経時的な低下の評価に適した条件を決定できる方法を見い出し、さらに、この方法で決定した条件を用いた試験方法で、レンズ基板、ハードコート膜及び/又は反射防止膜間の密着性の経時的な低下の評価を的確にできることを見い出して、本発明を完成させた。
上記課題を解決するための本発明は、以下のとおりである。
[1]紫外線照射(但し、紫外線照射は、照度0.01〜0.5の範囲とする)への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う暴露処理を施した被検レンズを試験することにより、プラスチックレンズ基材に設けられたチタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性を試験する方法(但し、前記被検レンズは、プラスチックレンズ基材にチタン系ハードコート膜を設けたプラスチックレンズである)における、前記暴露処理の条件の決定方法であって、
(1)被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズを、キセノン光照射に曝露し、得られる黄色に変化したレンズのキセノン光照射曝露前と後のYI値の差であるΔYI値を求め、このΔYI値を基準ΔYI値と定め、
(2)前記暴露処理の条件は、前記暴露処理に供した被検レンズが前記基準ΔYI値を示す条件に設定する
ことを含む、前記方法。
[2]キセノン光照射は、キセノン光強度が320W/m2±10であり、かつ照射時間が100時間〜500時間の範囲である[1]に記載の方法。
[3]キセノン光照射時間は、ΔYI値の経時変化が、実質的になくなる時間範囲から選ばれる[2]に記載の方法。
[4]ΔYI値は、2.0以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記暴露処理において、
紫外線照射への暴露と結露状態への暴露を1サイクルとし、
サイクル数は9以上とし、
結露状態は、温度40〜60℃の範囲とし、
紫外線照射への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とし、
結露状態への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とする、
[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]紫外線照射は、照度0.1〜0.3の範囲とする[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記被検レンズ及び被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材は、いずれもポリチオウレタン系レンズ又はスルフィド系レンズである[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記チタン系ハードコート膜は、複合酸化チタン粒子及び有機珪素樹脂を含むものである[1] 〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記プラスチックレンズが前記チタン系ハードコート膜の上に反射防止膜を有する[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]チタン系ハードコート膜をプラスチックレンズ基材の少なくとも一方の面に有するプラスチックレンズの前記チタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性の試験方法であって、
[1]〜[9]のいずれかに記載の方法で決定された条件の暴露処理に被検レンズを施し、次いで
暴露処理した被検レンズのレンズ表面に対して、クロスハッチテストを行い、ハードコート膜のレンズ基材への密着性能を評価することを含む、
前記試験方法。
本発明によれば、使用環境の影響を考慮した、チタン系ハードコート膜のプラスチックレンズ基材への密着性の経時的な低下の評価が可能になった。その結果、開発したチタン系ハードコート膜を設けたプラスチックレンズ製品が、装用環境において、どのような密着性の経時的な低下を生じるかを適切に評価できするようになり、より信頼性の高いプラスチックレンズ製品の提供が可能になった。
(暴露処理条件の決定方法)
本発明の第1の態様は、紫外線照射への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う暴露処理を施した被検レンズを試験することにより、プラスチックレンズ基材に設けられたチタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性を試験する方法における、前記暴露処理の条件の決定方法である。
チタン系ハードコート膜のレンズ基材への密着性試験方法については、本発明の第2の態様の説明において詳述するが、この密着性試験方法における紫外線照射は、照度0.01〜0.5の範囲とする。この照度を選択する理由等についても詳述する。
また、上記密着性試験方法に供される被検レンズは、プラスチックレンズ基材にチタン系ハードコート膜を設けたものである。前述のように、チタン系ハードコート膜は、耐候性が低下すると、膜の着色、膜はげの現象が見られ、チタン系ハードコート膜を設けた眼鏡レンズの場合、実験室レベルでの試験では良好な膜物性を示すレンズであっても、販売後、特に密着性が経時的に低下する現象が見られる場合がある。しかし、そのような密着性の経時的な低下を示すレンズを的確に識別できる、信頼性のある試験方法はこれまでに知られていない。本発明は、そのようなチタン系ハードコート膜を設けたプラスチックレンズ基材について、使用環境の影響を考慮した密着性の経時的な低下の程度を評価できる方法を提供するものである。プラスチックレンズ基材及びチタン系ハードコート膜については後述する。
本発明の暴露処理条件の決定方法は、
(1)被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズを、キセノン光照射に曝露し、得られる黄色に変化したレンズのキセノン光照射曝露前と後のYI値の差であるΔYI値を求め、このΔYI値を基準ΔYI値と定め、
(2)前記暴露処理の条件は、前記暴露処理に供した被検レンズが前記基準ΔYI値を示す条件に設定する
ことを含む。
被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズをキセノン光照射に曝露する。本発明の、プラスチックレンズ基材に設けられたチタン系ハードコート膜のレンズ基材への密着性を試験する方法における暴露処理を施す対象である被検レンズは、プラスチックレンズ基材にチタン系ハードコート膜が設けられたものである。それに対して、キセノン光照射に曝露するレンズは、被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズであればよい。ここで、「同質」とは、組成として「同質」であることを意味する。より具体的には、「同質」とは、共通する成分を含むことを意味し、共通する成分は、好ましくは50%以上含む。被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズを用いるのは、近似する組成系であれば、類似の物性を示す傾向があるためである。
本発明の密着性試験方法における被検レンズは、プラスチックレンズであるが、プラスチックレンズの中でもポリチオウレタン系レンズ又はスルフィド系レンズが好適である。ポリチオウレタン系レンズは、例えば、少なくとも一種のポリイソシアナート化合物と少なくとも一種のポリチオール化合物を含むレンズであり、スルフィド系レンズはエピチオ基を有するレンズである。
さらに、被検レンズが、ポリチオウレタン系レンズである場合、この被検レンズと同質のキセノン光照射に曝露されるレンズも、ポリチオウレタン系レンズであることが好ましいが、スルフィド系レンズも使用することができる。
即ち、ポリチオウレタン系レンズとスルフィド系レンズとは組成系において、一部重複する成分を備えており、物性としてもこれらは高屈折率レンズであり、近似する組成系として本発明では同質とみなすことができる。
本実施例では試験方法を決定するに際し、ポリチオウレタン系レンズを基材とするレンズをキセノン光照射に曝露し、得られる黄色に変化したレンズのキセノン光照射曝露前と後のYI値の差であるΔYI値を求め、このΔYI値を基準ΔYI値と定めそこから、ポリチオウレタン系レンズと同質であるスルフィド系レンズ又はポリチオウレタン系レンズの試験条件を決定した。
ポリチオウレタン系レンズ又はスルフィド系レンズのキセノン光照射曝露による黄色への変色は、レンズの材質によっては、各レンズによってばらつきが大きい場合がある。それに対して、実施例においてΔYI値を求めるために用いたポリチオウレタンレンズは、上記ΔYI値のばらつきが比較的小さく、このレンズを用いて得られたΔYI値は、信頼性が高く、他のポリチオウレタン系レンズやスルフィド系レンズ等の密着性試験方法におけるΔYI値として用いることもできる。
また、キセノン光照射曝露に用いられるレンズは、被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズであればよく、ハードコート膜は、チタン系ハードコート膜であっても、他のハードコート膜、例えば、スズ系、アンチモン系、シリカ系ハードコート膜であってもよい。
キセノン光照射は太陽の光に似た連続スペクトルを放射させることができるので、この特性を利用するもので、被検レンズのキセノン光照射への曝露は、「サンシャインウェザーメーター」または「キセノンウェザーメーター」等を使用して行うことができ、具体的には、例えば、スガ試験機のWEL-45AX-HCやFAL-25AX-HCなどの装置を用いて行うことができる。
キセノン光照射は、例えば、キセノン光強度を320W/m2±10とし、かつ照射時間を100時間〜500時間の範囲とすることが適当である。キセノン光強度を320W/m2±10とするのは、「JISD0205の自動車部品の耐候性試験通則」による規定に基づくものである。尚、キセノン光強度の決定は、キセノンアークランプ(2.5kW定格)放射電力2kWにおいて、320W/m2±10%、at254mm、300-700nmという規格に基づいて行われる。
キセノン光照射時間を100時間〜500時間の範囲とするのは、上記強度のキセノン光を用いる場合、キセノン光照射時間100時間〜500時間の範囲が、1.5年から3年の眼鏡装用期間に相当し、かつ通常のプラスチックレンズ基材の場合、レンズが相当に黄色に変化する条件だからである。キセノン光照射時間100時間未満では、ΔYI値の変化過程の途中でありばらつきが大きいとともに客観的に見てこの照度時間では装用の基準使用期間が2〜3ヶ月程度の環境に相当するようになってしまうため信頼性に乏しくなり、500時間を超えると保証使用期間としては過度に長すぎるので適当ではない。
本発明の試験においては、被検レンズを上記強度のキセノン光照射に暴露すると、YI値が経時的に上昇し、ある程度の時間が経過するとYI値の変化率(上昇率)は徐々に低下していき、ある所まで進むと、ほとんど変化しない状態になる。そこで、キセノン光照射時間は、YI値の経時的な変化率が、実質的にゼロ近傍に近くなる時間範囲から選ばれることが適当である。黄色に変化した状態についての変色限界の設定は、YI値の経時的な変化率のみではなく、黄色変色に対する顧客からの苦情(クレーム)が提起される黄変レンズのYI値の状態、及び/または社会生活下での通常の眼鏡装用者のレンズの黄変の限界状態(そこまで黄色いレンズの眼鏡をかけている人は見られない)のYI値の状態も考慮して行うことが、本発明の試験方法を実状にあった方法とするという観点から適当である。例えば、ポリチオウレタン系レンズやスルフィド系レンズでは、レンズの黄変の限界状態のYI値は、約3.0以下の状態と設定される。
通常は、キセノン光照射時間を150時間〜300時間の範囲とすることが、この範囲でYI値の経時的な変化率が、実質的にゼロ近傍になることが多いことから適当である。YI値の経時的な変化率が実質的にゼロであるとは、YI値の変化量が約100時間当たり約0.5以下であることを意味する。
キセノン光照射暴露により得られる黄色に変化したレンズのキセノン光照射曝露前と後のYI値を求める。レンズのYI値は染料 JISK7103に示す方法にて求めることができる。
次いで、キセノン光照射曝露前後のYI値の差であるΔYI値を求める。キセノン光照射曝露前のレンズのYI値は、レンズの種類よって異なり、また、同種のレンズであってもロットによって異なる場合がある。しかし、特に、ロットによるYI値のばらつきがあっても、曝露前後のYI値差であるΔYI値は、比較的安定しており、このΔYI値を基準ΔYI値と定め、この基準ΔYI値から、後述するように暴露処理の条件を決定できる。好ましくは、複数(例えば、2〜10個)の被検レンズについて、同一条件でキセノン光照射暴露を行い、その結果得られた複数のΔYI値の平均値を基準ΔYI値と定めることが、本発明の試験方法をより再現性の高い方法とするという観点から適当である。
ΔYI値は、プラスチックレンズ基材の種類によって異なるが、本発明においては、通常のプラスチックレンズ(反射防止膜付き)の場合、ΔYI値は、2.0以下である。より適当には、0.5〜1.5の範囲である。
密着性試験方法における暴露処理の条件は、暴露処理に供した被検レンズが基準ΔYI値を示す条件に設定する。光に対する暴露によるレンズの黄色とハードコート膜の経時的な変質及び剥がれについて、直接的な関係があるか否かについては必ずしも明らかではない。しかし、一般に、チタン系ハードコートはチタンの光活性の作用により紫外線を浴びるとハードコート膜が変質し、密着性が低下すると考えられる。眼鏡の買い換えサイクルの間にハードコート膜の膜はげが起こると困るという事情もある。一方、レンズと紫外線の関係については、レンズが黄色するのは紫外線の影響であることはわかっている。このような状況下、本発明者らは、種々の検討を行った結果、本発明においては、密着性試験方法における暴露処理の条件を、暴露処理に供した被検レンズが所定の黄変を示す条件に設定すること、特に、暴露処理に供した被検レンズが上記で求めた基準ΔYI値を示す条件に設定する。
暴露処理について説明する。
本発明における暴露処理は、被検レンズを紫外線照射への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う処理である。
暴露処理は、UV照射による暴露調整機能と調温調湿機能とを備える促進耐候試験機(QUV装置)でもって、UV照射サイクルと結露サイクルとを繰り返し行う。これにより高温での紫外線と結露によりプラスチックレンズの劣化を促進させる。但し、UV照射による暴露調整機能と調温調湿機能の両方の機能を同時に備えるQUV装置ではなく、UV照射による暴露調整機能を有する装置と調温調湿機能を有する装置とを組み合わせて用いることもできる。
QUV装置において、UV照射の光源としては、蛍光紫外線ランプを用いることができる。照射時に使用する蛍光紫外線ランプは、QUV装置では、4種類のタイプの波長の異なるランプが備えられており、選択可能となっており、例えば、UV340を使用することができる。UVA340は、太陽光の下限である295〜365nmをかなり忠実に再現でき、この波長域は自然暴露と相関のある結果が得られ易い。さらに、紫外線センサーとソーラ・アイ・コントローラーにより、紫外線を常時モニターし、紫外線エネルギーが常に一定になるようコントロールすることが適当である。ソーラ・アイ・コントローラーは紫外線の照射エネルギーの設定を可能にする。自然曝露との相関を保ちながらより促進させたテストを行うためにランプの照射エネルギーを通常より高く使用することができる。尚、照度については後述する。
また、QUV装置の調温調湿機能については、結露に関する温度、水量、湿度の種々ファクターを制御して、コンロールできるコントローラーを備えることが適当である。具体的には、調温調湿方法としては平衡調温調湿方法(BATHCシステム)を採用し、温湿範囲は−20〜+100℃/20〜98%RH、温度上昇時間は−20→+100℃まで35分、温度降下時間は+20→−10℃まで25分以内をとすることができる。
暴露処理においては、
紫外線照射は、照度0.01〜0.5の範囲とする。さらに、
紫外線照射への暴露と結露状態への暴露を1サイクルとし、
サイクル数は9以上とし、
結露状態は、温度40〜60℃の範囲とし、
紫外線照射への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とし、
結露状態への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とする、
ことが、使用環境の影響を考慮した、チタン系ハードコート膜のプラスチックレンズ基材への密着性の経時的な低下の評価が可能になるという観点から適当である。
紫外線照射は、照度0.01〜0.5の範囲とする。好ましくは、紫外線照射は、照度0.1〜0.3の範囲とする。照度0.01〜0.5の範囲とするのは、クラックや外観不良が発生し、レンズ表面の適正な評価を阻害せず、促進実験状態を維持することができる条件だからである。さらに上記範囲は、屋外暴露のみでなく、室内での装用環境も考慮し、可能な限り使用環境を日常の実装条件に沿わせる等のバランスを考慮した範囲でもある。但し、照度は、上記範囲内で、他の促進試験条件も勘案して、全体のバランスを取りながら決定することが適当である。
サイクル数は、9以上とし、好ましくは、15〜21の範囲とする。この範囲は、サイクル数としては多い程好ましいが、1サイクルにおける最低の必要時間と全体の眼鏡の使用基準期間の約2年に相当する条件との時間バランスという観点から好ましい。
結露状態は、温度40〜60℃の範囲とする。この温度範囲は、風呂など実生活で装用したときに考えられる環境下の温度であるという観点から好ましい。
UVサイクル中での温度範囲は、例えば、40〜85℃の範囲とすることが好ましい。この温度範囲は、クラック等レンズ表面の外観に異常が出ない実験状態を保ち、また、実生活で高温が想定される場所(例えば、車の中等で眼鏡を置き忘れた状態)での温度を想定して設定した範囲である。
紫外線照射への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とし、結露状態への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とする。これらの1サイクル当たりの時間は、環境変化を限られた時間の中でなるべく多く繰り返し再現することができ、かつ、十分な暴露状態で最短の時間という観点から好ましい。紫外線照射への暴露時間は、好ましくは、1サイクル当たり5〜8時間の範囲とし、結露状態への暴露時間は、1サイクル当たり5〜8時間の範囲とする。
UV照射と結露とのサイクルタイムの設定は、それぞれ同一でも異なってもよい。但し、データ比較と装置管理上からと、一方に多くの負荷をかけすぎる条件設定は、実際の装用状態とは遊離する場合があるので、同一であることが好ましい。さらに、サイクルタイムは、条件の繰り返しの回数が多いように設定することが好ましい。
本発明の被検レンズはプラスチックレンズであるが、プラスチックレンズの中でもポリチオウレタン系レンズ又はスルフィド系レンズであることが適当である。ポリチオウレタン系レンズとしては、少なくとも一種のポリイソシアナート化合物と少なくとも一種のポリチオール化合物を含むレンズであり、スルフィド系レンズはエピチオ基を有するレンズである。
チタン系ハードコート膜は、チタンが含有されているものはすべて含む。但し、チタン系ハードコートは、より具体的には、酸化チタン粒子及び有機珪素樹脂を含むものであることができる。酸化チタン粒子(酸化チタン微粒子)はルチル型、アナターゼ型等種々知られているが、いずれの粒子を含有するチタン系ハードコート膜も本発明の方法で評価することができる。
ハードコートの基質成分も特に限定されないが、通常は有機珪素樹脂を主成分とするものが好ましい。
ハードコート膜は、より具体的には、例えば、(イ)酸化チタンと酸化ジルコニウムと酸化ケイ素からなるアナターゼ型の結晶構造を有する複合酸化物微粒子および(ロ)有機ケイ素化合物を主成分として含有するものであることができる。
上記(イ)成分としては、酸化チタンにケイ素化合物をドープした核微粒子と、その周囲に被覆された、酸化ジルコニウムと酸化ケイ素との混合微粒子とからなるものを好ましく挙げることができる。なお、この「酸化ジルコニウムと酸化ケイ素との混合微粒子」は、酸化ジルコニウム微粒子と酸化ケイ素微粒子との混合物以外に、酸化ジルコニウムを核にし、これに酸化ケイ素が被覆されているものも包含する。
該アナターゼ型結晶構造を有する複合酸化物微粒子を構成する核微粒子は、酸化チタンにケイ素化合物をドープしたものである。ここで、「ドープ」とは、酸化チタンにケイ素化合物を添加することを意味する。この添加されたケイ素化合物は、酸化チタンと物理的に混合されている状態でもよく、また、原子置換などの化学的反応によって、ケイ素原子が酸化チタン分子鎖内に入り込んだ状態でもよい。このケイ素化合物としては、例えば酸化ケイ素、水酸化ケイ素などが挙げられる。
該アナターゼ型の結晶構造を有する複合酸化物微粒子を構成する他の成分は、上記核微粒子の周囲に被覆された、酸化ジルコニウムと酸化ケイ素との混合微粒子である。この(イ)成分のアナターゼ型の結晶構造を有する複合酸化物微粒子の平均粒子径は1〜200mμの範囲となっている。このアナターゼ型の結晶構造を有する複合酸化物微粒子は、粉砕法、気相法、イオン交換法、加水分解法などの公知の方法により、製造することができる。
また、この(イ)成分のアナターゼ型の結晶構造を有する複合酸化物微粒子は、その分散状態を安定に維持するために、また耐水性を向上するために、その表面を各種有機酸、アルカリ、有機ケイ素化合物、酸化ケイ素などで処理されている。
(ロ)有機ケイ素化合物としては、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、あるいはメチルトリクロロシランやテトラメトキシシランなどの有機シランなどが挙げられる。
前記(ロ)成分の有機ケイ素化合物としては、例えば以下の一般式(II)で示される化合物を挙げることができる。
(R1)a(R2)bSi(OR3)4-(a+b) ・・・(II)
[ここで、R1、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、アルケニル、またはエポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、メルカプト基、もしくはシアノ基を有する有機基でSi−C結合によりケイ素と結合されるものであり、R3は、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基またはアシル基であり、aおよびbは0、1または2であり、a+bが1または2である。]
一般式(II)で示される化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、λ−クロロプロピルトリメトキシシラン、λ−クロロプロピルトリエトキシシラン、λ−クロロプロピルトリプロポキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、λ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、λ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、λ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−メチクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシまたはトリアシルオキシシラン類、およびジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン等のジアルコキシシランまたはジアシルオキシシラン類が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物は、単独または2種以上組合わせることも可能である。
さらに、上記の有機ケイ素化合物と併用できるものとして、各種のテトラアルコキシシラン類がある。このようなテトラアルコキシシラン類の例としては、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケートおよびt−ブチルシリケート等が挙げられる。
また、加水分解物は、有機ケイ素化合物やテトラアルコキシシランを、塩酸や硫酸などの無機酸、酢酸などの有機酸の存在下、部分または完全加水分解することにより、得られる。この際、加水分解を均一に行うために、適当な有機溶媒を用いてもよい。
有機ケイ素化合物として、化合物を1種用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいし、これらの化合物1種以上の加水分解物を用いてもよく、あるいは化合物1種以上とその加水分解物1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
本発明の被検レンズであるプラスチックレンズにおけるハードコート膜においては、前記(イ)成分と(ロ)成分の含有割合は、使用するプラスチックレンズ基材の種類やハードコート膜の所望屈折率などに応じて適宜選定される。
このハードコート膜には、種々の添加成分、例えばハードコート膜形成時の硬化反応を促進するための硬化剤、基材との屈折率を合わせるための微粒子状無機物、ハードコート膜形成用塗工液を基材上に塗布する際の濡れ性やハードコート膜の平滑性を向上させるための界面活性剤、染色性や可とう性などを向上させるためのエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂類、さらには紫外線吸収剤、酸化防止剤などを、所望により含有させることができる。
ここで、硬化剤の例としては、アリルアミン、エチルアミンなどのアミン類、ルイス酸やルイス塩基などの各種酸や塩基、具体的には有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、過塩素酸、臭素酸、亜セレン酸、アルミン酸、炭酸などの酸およびその塩、さらにはアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、マグネシウムなどの金属アルコキシド、アルミニウムアセチルアセトナートなどの金属キレート化合物などが挙げられる。また、粒子状無機物の例としては、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化スズと酸化タングステンの複合体微粒子、酸化スズと酸化ジルコニウムと酸化タングステンの複合体微粒子などが挙げられる。
ハードコート膜の形成は、ハードコート膜形成用塗工液を、プラスチックレンズ基材の表面に、硬化後の厚さが所望の値になるように塗布する。塗布法としては、例えばディッピング法、スピンコート法、スプレー法など、通常行われている方法を用いることができるが、面精度などの点から、ディッピング法およびスピンコート法が好適である。塗工液を塗布するプラスチックレンズ基材の表面は、表面処理された物であってもよい。
本発明におけるプラスチックレンズは、上記チタン系ハードコート膜の上に反射防止膜を有するものであることができる。反射防止膜としては有機、無機、単層、多層には限定されないが、一般的な無機の多層反射防止膜の例として、例えば以下の方法により作成されたものを例示できる。
(タイプ1)
真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により二酸化ケイ素膜からなる第1層を形成する。次にこの第1層の上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により酸化ジルコニウムと二酸化ケイ素からなる2層等価膜からなる第2層を形成する。次にこの第2層の上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により酸化チタンからなる第3層を形成する。次に、上で得られた第3層上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により二酸化ケイ素からなる第4層を形成して、酸化物被覆層である反射防止膜を有するプラスチックレンズを得ることができる。
(タイプ2)
真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)によりSiO2からなる下地層を形成する。次にTa2O5 粉末、Y2O3粉末、およびAl2O3粉末を混合し、プレス加圧し、焼結温度1300℃で焼結して得られた蒸着組成物を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される混合層と、SiO2層よりなる第一の低屈折率層を形成する。この第一の低屈折率層の上に前記蒸着組成物と同じ蒸着組成物にて4成分高屈折率層を形成し、さらにその層の上にSiO2からなる第2の低屈折率層を形成して酸化物被覆層である反射防止膜を作製する。
(タイプ3)
下地層膜厚、上記蒸着組成物の混合層膜厚、次のSiO2層膜厚、次の4成分高屈折率層膜厚、最終の(第2の)低屈折率層膜厚を変更した以外は、タイプ2と同様の方法で酸化物被覆層である反射防止膜を作製する。
(タイプ4)
真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により二酸化ケイ素膜からなる第1層を形成する。次にこの第1層の上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により酸化ジルコニウムと二酸化ケイ素からなる2層等価膜からなる第2層を形成する。次にこの第2層の上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により酸化ジルコニウムからなる第3層を形成する。次に、上で得られた第3層上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により二酸化ケイ素からなる第4層を形成して、酸化物被覆層からなる反射防止膜を作製する。
(タイプ5)
有機ケイ素系被覆層を施したプラスチックレンズ基材レンズを75℃に加熱し、酸素イオンビーム照射処理を施した後、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)によりSiO2からなる層を形成する。次にタイプ2、3で用いた蒸着組成物を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される第2層を形成する。第2層の上に再び第3層のSiO2を蒸着した。次に第3層の上に前期蒸着組成物蒸着層と、SiO2層よりなる二層等価膜を形成する。この二層等価膜の上に前記蒸着組成物と同じ蒸着組成物にて4成分高屈折率層を形成し、さらにその層の上にSiO2からなる低屈折率層を形成して酸化物被覆層である反射防止膜を作製する。なお、前記各層は、第1層を形成したのと同様の真空蒸着法により形成することができる。
[密着性の試験方法]
本発明の第2の態様は、チタン系ハードコート膜をプラスチックレンズ基材の少なくとも一方の面に有するプラスチックレンズの前記チタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性の試験方法である。この方法は、上記本発明の方法で決定された条件の暴露処理に被検レンズを施し、次いで暴露処理した被検レンズのレンズ表面に対して、クロスハッチテストを行い、ハードコート膜のレンズ基材への密着性能を評価することを含む。
クロスハッチテストは、塗料一般試験方法 K 5600-5-6 (ISO 2409:1992)に基づき、例えば、表面を約1mm間隔で基盤目に100目クロスカットし、このクロスカットした部分に粘着テープ[商品名「セロテープ」ニチバン(株)製品]を強く貼り付けたのち、急速に粘着テープを剥がし、粘着テープを剥がした後の基盤目の膜剥がれの有無を調べることが行うことができる。
更に、クロスハッチテストは、実際の日常の眼鏡の装用条件と近づける為、クロスハッチ処理を行い、物理的にレンズ表面をキズつけて、実施することもできる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
(1)キセノンウェザーメータでの評価
レンズの製造方法、ハードコート、多層反射防止膜の形成は以下の通りである。
(レンズ製造)
キシリレンジイソシアネート94重量部に15℃の室温で触媒ジメチルチンジクロリド0.01重量部を混合撹拌した。そして、この混合液にペンタエリスリトールテトラキス−(メルカプトアセテート)54重量部およびジメルカプトメチルジチアン53重量部、ジブトキシエチルアシッドフォスフェート及びブトキシエチルアシッドフォスフェートの混合物0.10重量部を添加して十分混合した。次に混合物を5mmHg下で脱気した後、ガラス型とポリウレタン系のガスケットよりなる成形型中に注入し、しばらく放置して、120℃まで12時間かけて昇温し、120℃にて3時間加熱した後、成形型からレンズを取り出した。なお、鋳型(成形型)は、上型曲率600mm、下型曲率120mmのガラス型を用い、レンズの中心厚が5mm、径が75mmになるように鋳型を組んだ。得られたポリチオウレタンレンズは、屈折率(nD)は1.60、アッベ数(νD)40であった。
(ハードコート調製及びハードコート層の形成)
ガラス製容器に、有機ケイ素化合物のγ−グリシドキシプロピルメトキシシラン142重量部を加え、撹拌しながら、0.01N塩酸1.4重量部、水32重量部を滴下した。滴下終了後、24時間撹拌を行いγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解溶液を得た。この溶液に、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル(メタノール分散、全金属酸化物31.5重量%、平均粒子径10〜15ミリミクロン)460重量部、エチルセロソルブ300重量部、さらに滑剤としてシリコーン系界面活性剤0.7重量部、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート8重量部を加え、充分に撹拌した後、濾過を行ってコーティング液を得た。
アルカリ水溶液で前処理した前記眼鏡用プラスチックレンズを、前記コーティング液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度20cm/分で引き上げたプラスチックレンズを120℃で2時間加熱してハードコート層を形成した。
(多層反射防止膜の成膜)
前記ハードコート層を有するプラスチックレンズを80℃に加熱し、前記ハードコート層の上に真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)によりSiO2からなる下地層〔屈折率1.46、膜厚0.4875λ(λは500nmである)〕を形成した。次にNb25粉末、ZrO2 粉末、Y23粉末を混合し、300kg/cm2でプレス加圧し、焼結温度1300℃で焼結して得られた3成分系蒸着組成物(重量%、Nb25:ZrO2:Y23=76%:16.6%:7.4%)を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される層(屈折率2.12、膜厚0.0502λ)と、SiO2層(屈折率1.46、膜厚0.0764λ)よりなる第1の低屈折率層を形成した。この第1の低屈折率層の上に前記蒸着組成物にて高屈折率層(屈折率2.12、膜厚0.4952λ)を形成し、さらにその層の上にSiO2からなる第2の低屈折率層(屈折率1.46、膜厚0.2372λ)を形成して、高屈折率層、低屈折率層の成膜を繰り返し計5層構造の反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。なお、前記低屈折率層および高屈折率層は前記下地層を形成した同様の真空蒸着法によるものである。
(ΔYI値測定)
上記の条件で作成された8枚のレンズについて、320W/m2±10で100-500時間連続照射したときのΔYI値を測定した。測定には、スガ試験機のFAL-25AX-HCを使用した。測定の結果、ΔYIを各レンズについて求め、結果を以下の表1に示す。さらに表1には、8枚のレンズのΔYI値の平均値を示す。
Figure 2008096300
求まったΔYIから暴露処理条件を決定した。即ち、表1に示すように320W/m2±10で100,200,300時間と促進した結果、200-300時間でΔYIの変化量がほぼ飽和したので、本実施例では、1.44〜1.54を含む約1.4〜1.6を基準ΔYI値とした。
(密着性試験)
上記で得られた基準ΔYI値を用いて、種々の被検レンズについて密着性試験を行った。
(1)被検レンズ作製
プラスチックレンズ基材はレンズモノマーを注型重合して得られたもの。
(スルフィド系レンズ−1)
プラスチックレンズ基材の作製1,2:6,7−ジエピチオ−4−チアヘプタン約500gを−15℃に冷却したのち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製0.5μmメンブランカプセルカートリッジフィルター(アドバンテック社製、型番:CCF−050−C1B)を取り付けた加圧タンクに入れ、窒素圧約2.5kgf/cm2程度の圧力で加圧ろ過を行った。このろ過したモノマーを用い、室温で下記のように原料混合物を調製した。
1,2:6,7−ジエピチオ−4−チアヘプタン(DETH)450.0g
ジメルカプトエチルスルフィド(DMES)25.0g
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(HPPA)25.0g
ジエチルアミノエタノール 1.50g (DETH+DMES+HPPAに対して0.3重量%)
2(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール 0.25g
これらの原料混合物を室温で約20分間撹拌し、溶解を確認したのち、10mmHg下で1分間程度軽く泡抜きを行ったものを、加圧タンクに入れPTFE製1.0μmメンブランカプセルカートリッジフィルター(アドバンテック東洋社製、型番:CCF−100−C1B)で異物をろ過しながら、ポリオレフィン系ガスケットと強化されたガラス型からなる成形型中に泡を含まないように注入した。重合は空気炉を使用して20℃で10時間保持したのち、3時間かけて30℃まで昇温後、4時間かけて45℃まで昇温し、さらに4時間かけて100℃まで昇温してから、100℃で1時間保持することで行った。放冷後、型から樹脂を取り外し、屈折率(nd)=1.70、アッベ数36のスルフィド系レンズであるプラスチックレンズ基材を得た。
(スルフィド系レンズ−2)
エチピオ基を有する化合物としてビス(β−エピチオプロピル)スルフィド80.0重量部、ポリチオ−ル化合物としてビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン15.65重量部及びポリイソシアネ−ト化合物としてジ(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタン 4.35重量部、内部離型剤として、ジブトキシエチルアシッドフォスフェ−トとブトキシエチルアシッドフォスフェ−トの混合物を50ppmを配合し攪拌混合後、触媒としてテトラ−n−ブチル−1,3−ジアセトキシ−ジスタノキサン0.01重量部及びテトラブチルホスホニウムブロミド0.05重量部を添加し10mHgの減圧下で約3分間攪拌混合しレンズ用モノマー組成物を得た。
次に、このレンズ用モノマー組成物を予め準備したガラスモールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成型用鋳型(0.00D、レンズ径80mm、肉厚1.8mmに設定)の中に注入し、電気炉中で20℃〜100℃まで20時間かけて徐々に昇温したのち、100℃で30分間保持し重合を行った。
重合終了後、モールドを取り外し、110℃で1時間熱処理して屈折率(nd)=1.70、アッベ数36のエピチオ系レンズであるプラスチックレンズ基材を得た。
(ポリチオウレタン系レンズ)
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート化合物としては、キシレンジイソシアネート、ポリチオール化合物としては、メルカプトメチル−ジチア−オクタンジチオール及びビス(メルカプトメチル)−トリチア−ウンデカンジチオールを成分とするレンズモノマーを、前記スルフィド系レンズ−2の成形方法と同様なキャスト成形方法にて屈折率(ne)1.67、アッベ数36のポリチオウレタン系レンズであるプラスチックレンズ基材を得た。
(1)チタン系ハードコート膜の調製
ハードコート膜は、酸化チタンを有する複合酸化物微粒子および有機ケイ素化合物を主成分として含有するものである。
(チタン系複合ゾル含有のハードコートA)
ハードコート膜の形成ステンレス製容器にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1045重量部とγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン200重量部を加え、撹拌しながら0.01モル/リットル塩酸299重量部を添加し、10℃のクリーンルーム内で一昼夜撹拌を続け、シラン加水分解物を得た。別の容器内で酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(メタノール分散、全固形分30重量%、平均粒子径5〜8mμ、核微粒子中の構成比:Ti/Siの重量比=84/16であるので、Ti/Si原子比=3.07である。核微粒子への酸化ジルコニウム−酸化ケイ素の被覆率:7重量%、表面改質剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)3998重量部にメチルセロソルブ4018重量部とイソプロパノール830重量部を加え撹拌混合し、さらにシリコーン系界面活性剤[日本ユニカー(株)製「L−7001」]4重量部とアルミニウムアセチルアセトネート100重量部とを加え上記と同様に10℃のクリーンルーム内で一昼夜撹拌を続けたのち、上記加水分解物と合わせ、さらに一昼夜撹拌した。その後3μmのフィルターでろ過を行いハードコート膜形成用塗工液Aを得た。
次に、上記(1)で得られたプラスチックレンズ基材をプラズマ処理(グロー放電、使用ガス:アルゴン、ガス流量:15cc/min.、初期真空度:8Pa、出力:400W、処理時間:30秒)し、純水洗浄及び乾燥、放冷を行ったのち、前記ハードコート膜形成用塗工液Aに浸漬させ、20秒後に引き上げ速度20cm/min.で引き上げ、さらに110℃に設定したオーブン内で1時間加熱してハードコート膜を形成した。形成されたハードコート膜は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、および酸化ケイ素からなるアナターゼ型結晶構造を有する複合酸化物微粒子と有機ケイ素化合物とを含有している。
(チタン系複合ゾル含有のハードコートB)
チタン系複合ゾルとして、前記のハードコートAに使用したチタン系複合ゾルに更にコロイダルシリカゾルを加えてチタン系複合ゾルBを調製し、前記ハードコートAと同様な方法で、ハードコートBを得た。
(2)反射防止膜の形成
反射防止膜は、多層無機酸化物膜からなる。
(反射防止膜Aの形成)
上記で得られたハードコート膜を有するプラスチックレンズを蒸着装置に入れ、排気しながら85℃に加熱し、イオン銃処理(キャリアガス:酸素、電圧:400eV、処理時間:30秒)を行い、次いで真空度2×10-5Torrまで排気を続けたのち、電子ビーム加熱法にて蒸着原料を蒸着させ、ハードコート膜側より、Ta25(0.12λ)/SiO2(0.05λ)/Ta25(0.25λ)/SiO2(0.25λ)の4層で構成された反射防止膜を形成することにより、ハードコート膜と反射防止膜が設けられたプラスチックレンズを作製した。
(反射防止膜Bの形成)
真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)によりSiO2からなる下地層を形成する。
次にTa2O5粉末、Y2O3粉末、およびAl2O3粉末を混合し、プレス加圧し、焼結温度1300℃で焼結して得られた蒸着組成物を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される混合層と、SiO2層よりなる第一の低屈折率層を形成する。この第一の低屈折率層の上に前記蒸着組成物と同じ蒸着組成物にて4成分高屈折率層を形成し、さらにその層の上にSiO2からなる第2の低屈折率層を形成して酸化物被覆層である反射防止膜を作製した。
(4)密着試験方法
上記(1)〜(3)で得られたハードコート膜と反射防止膜が設けられたプラスチックレンズについて、QUV試験機を用いて、前記で得られた基準ΔYI値を示す条件で密着試験を行った。以下の密着試験方法では、暴露処理の条件は、照度 0.20×45℃×4時間 結露 45℃×4時間 1サイクルで21サイクル トータル 168時間とした。評価方法は以下の通りである。
(評価方法)
表面を約1mm間隔で基盤目に100目クロスカットし、このクロスカットした部分に粘着テープ[商品名「セロテープ」ニチバン(株)製品]を強く貼り付けたのち、急速に粘着テープを剥がし、粘着テープを剥がした後の基盤目の膜剥がれの有無を調べる。
密着−1は、何もしないままQUV装置に入れた後にクロスを書きテープで剥がした結果である。QUV-1は、クロスを書いた後にQUV装置に入れて、その後その部分をテープで剥がした結果である。QUV-2は、こすりキズをつけた後にQUV装置に入れて、その後こすった部分にクロスを書き、テープではがした結果である。
結果を以下に示す。
Figure 2008096300
(チタン系複合ゾル含有のハードコートAの評価)
上記表2の評価テスト1〜4に示すように、高屈折率レンズのスルフィド系レンズ−1、スルフィド系レンズ−2、ポリチオウレタン系レンズに、既存の反射防止膜A、反射防止膜Bの技術を使用して、チタン系複合ゾル含有のハードコートAの適合性について評価した。その結果、チタン系複合ゾル含有のハードコートAは、スルフィド系レンズ−1、スルフィド系レンズ−2については適合性があり、問題ないと評価されたが、基材が実施例のポリチオウレタン系レンズでは問題ありとの評価がなされた。即ち、ポリチオウレタン系レンズとハードコートAとの組み合わせではで密着不良が見られた為、改良にいたった。
そこで、新たに、チタン系複合ゾル含有のハードコートBを開発し、反射防止膜Bと組み合わせ評価した結果、良好な評価結果が得られた(評価テスト5)。即ち、ハードコートBに改良した結果、密着性は良好となった。
(他社製品の評価)
チタン系ハードコートを有するレンズの評価をした(評価テスト6〜10)。通常の装用状態レベルでは問題ない評価となったが、過酷なレベルの評価(QUV-1,QUV-2)では適合のものと不適合のものに区別され、精度の高い密着性テストの評価ができることがわかった。他社製品についても同様な評価を行った結果、色々な結果(QUV-1,QUV-2の結果)が得られ、この評価方法に有効性が見られた。
特に、この試験方法の信頼度について、他社の市販の製品の評価に現れている。
上市するレベルということは顧客からクレームが来ない品質レベルが維持されており、それぞれ独自の社内評価基準が設けてそれをクリアし、市場に存在している。サンプル6〜9は実際に市販されている他社のチタン系ハードコート付ポリウレタンレンズであるが、通常の装用状態およびやや過酷な状態を想定した密着−1,QUV-1 レベルでは大差ない。従って、市場の要求に適応した製品であることが確認できる。しかし、実際ではあり得ないだろうと想定されるさらに厳しいレベルでの試験(QUV-2)では密着性に変化が生じている。従って、この試験方法をベースとして更に他の条件を加えることにより、種々の密着性のレベルの評価が可能である。
本発明は、プラスチックレンズ製造の分野に有用である。

Claims (10)

  1. 紫外線照射(但し、紫外線照射は、照度0.01〜0.5の範囲とする)への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う暴露処理を施した被検レンズを試験することにより、プラスチックレンズ基材に設けられたチタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性を試験する方法(但し、前記被検レンズは、プラスチックレンズ基材にチタン系ハードコート膜を設けたプラスチックレンズである)における、前記暴露処理の条件の決定方法であって、
    (1)被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズを、キセノン光照射に曝露し、得られる黄色に変化したレンズのキセノン光照射曝露前と後のYI値の差であるΔYI値を求め、このΔYI値を基準ΔYI値と定め、
    (2)前記暴露処理の条件は、前記暴露処理に供した被検レンズが前記基準ΔYI値を示す条件に設定する
    ことを含む、前記方法。
  2. キセノン光照射は、キセノン光強度が320W/m2±10であり、かつ照射時間が100時間〜500時間の範囲である請求項1に記載の方法。
  3. キセノン光照射時間は、ΔYI値の経時変化が、実質的になくなる時間範囲から選ばれる請求項2に記載の方法。
  4. ΔYI値は、2.0以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記暴露処理において、
    紫外線照射への暴露と結露状態への暴露を1サイクルとし、
    サイクル数は9以上とし、
    結露状態は、温度40〜60℃の範囲とし、
    紫外線照射への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とし、
    結露状態への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とする、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 紫外線照射は、照度0.1〜0.3の範囲とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記被検レンズ及び被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材は、いずれもポリチオウレタン系レンズ又はスルフィド系レンズである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記チタン系ハードコート膜は、複合酸化チタン粒子及び有機珪素樹脂を含むものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記プラスチックレンズが前記チタン系ハードコート膜の上に反射防止膜を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. チタン系ハードコート膜をプラスチックレンズ基材の少なくとも一方の面に有するプラスチックレンズの前記チタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性の試験方法であって、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法で決定された条件の暴露処理に被検レンズを施し、次いで
    暴露処理した被検レンズのレンズ表面に対して、クロスハッチテストを行い、ハードコート膜のレンズ基材への密着性能を評価することを含む、
    前記試験方法。
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