JP4700587B2 - チタン系ハードコ−トのレンズ基材との密着性能の試験条件決定方法及び試験方法 - Google Patents
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Description
[1]紫外線照射(但し、紫外線照射は、照度0.01〜0.5の範囲とする)への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う暴露処理を施した被検レンズを試験することにより、プラスチックレンズ基材に設けられたチタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性を試験する方法(但し、前記被検レンズは、プラスチックレンズ基材にチタン系ハードコート膜を設けたプラスチックレンズである)における、前記暴露処理の条件の決定方法であって、
(1)被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズを、キセノン光照射に曝露し、得られる黄色に変化したレンズのキセノン光照射曝露前と後のYI値の差であるΔYI値を求め、このΔYI値を基準ΔYI値と定め、
(2)前記暴露処理の条件は、前記暴露処理に供した被検レンズが前記基準ΔYI値を示す条件に設定する
ことを含む、前記方法。
[2]キセノン光照射は、キセノン光強度が320W/m2±10であり、かつ照射時間が100時間〜500時間の範囲である[1]に記載の方法。
[3]キセノン光照射時間は、ΔYI値の経時変化が、実質的になくなる時間範囲から選ばれる[2]に記載の方法。
[4]ΔYI値は、2.0以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記暴露処理において、
紫外線照射への暴露と結露状態への暴露を1サイクルとし、
サイクル数は9以上とし、
結露状態は、温度40〜60℃の範囲とし、
紫外線照射への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とし、
結露状態への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とする、
[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]紫外線照射は、照度0.1〜0.3の範囲とする[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記被検レンズ及び被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材は、いずれもポリチオウレタン系レンズ又はスルフィド系レンズである[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記チタン系ハードコート膜は、複合酸化チタン粒子及び有機珪素樹脂を含むものである[1] 〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記プラスチックレンズが前記チタン系ハードコート膜の上に反射防止膜を有する[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]チタン系ハードコート膜をプラスチックレンズ基材の少なくとも一方の面に有するプラスチックレンズの前記チタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性の試験方法であって、
[1]〜[9]のいずれかに記載の方法で決定された条件の暴露処理に被検レンズを施し、次いで
暴露処理した被検レンズのレンズ表面に対して、クロスハッチテストを行い、ハードコート膜のレンズ基材への密着性能を評価することを含む、
前記試験方法。
本発明の第1の態様は、紫外線照射への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う暴露処理を施した被検レンズを試験することにより、プラスチックレンズ基材に設けられたチタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性を試験する方法における、前記暴露処理の条件の決定方法である。
(1)被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズを、キセノン光照射に曝露し、得られる黄色に変化したレンズのキセノン光照射曝露前と後のYI値の差であるΔYI値を求め、このΔYI値を基準ΔYI値と定め、
(2)前記暴露処理の条件は、前記暴露処理に供した被検レンズが前記基準ΔYI値を示す条件に設定する
ことを含む。
即ち、ポリチオウレタン系レンズとスルフィド系レンズとは組成系において、一部重複する成分を備えており、物性としてもこれらは高屈折率レンズであり、近似する組成系として本発明では同質とみなすことができる。
本発明における暴露処理は、被検レンズを紫外線照射への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う処理である。
紫外線照射は、照度0.01〜0.5の範囲とする。さらに、
紫外線照射への暴露と結露状態への暴露を1サイクルとし、
サイクル数は9以上とし、
結露状態は、温度40〜60℃の範囲とし、
紫外線照射への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とし、
結露状態への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とする、
ことが、使用環境の影響を考慮した、チタン系ハードコート膜のプラスチックレンズ基材への密着性の経時的な低下の評価が可能になるという観点から適当である。
(R1)a(R2)bSi(OR3)4-(a+b) ・・・(II)
[ここで、R1、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、アルケニル、またはエポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、メルカプト基、もしくはシアノ基を有する有機基でSi−C結合によりケイ素と結合されるものであり、R3は、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基またはアシル基であり、aおよびbは0、1または2であり、a+bが1または2である。]
真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により二酸化ケイ素膜からなる第1層を形成する。次にこの第1層の上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により酸化ジルコニウムと二酸化ケイ素からなる2層等価膜からなる第2層を形成する。次にこの第2層の上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により酸化チタンからなる第3層を形成する。次に、上で得られた第3層上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により二酸化ケイ素からなる第4層を形成して、酸化物被覆層である反射防止膜を有するプラスチックレンズを得ることができる。
真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)によりSiO2からなる下地層を形成する。次にTa2O5 粉末、Y2O3粉末、およびAl2O3粉末を混合し、プレス加圧し、焼結温度1300℃で焼結して得られた蒸着組成物を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される混合層と、SiO2層よりなる第一の低屈折率層を形成する。この第一の低屈折率層の上に前記蒸着組成物と同じ蒸着組成物にて4成分高屈折率層を形成し、さらにその層の上にSiO2からなる第2の低屈折率層を形成して酸化物被覆層である反射防止膜を作製する。
下地層膜厚、上記蒸着組成物の混合層膜厚、次のSiO2層膜厚、次の4成分高屈折率層膜厚、最終の(第2の)低屈折率層膜厚を変更した以外は、タイプ2と同様の方法で酸化物被覆層である反射防止膜を作製する。
真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により二酸化ケイ素膜からなる第1層を形成する。次にこの第1層の上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により酸化ジルコニウムと二酸化ケイ素からなる2層等価膜からなる第2層を形成する。次にこの第2層の上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により酸化ジルコニウムからなる第3層を形成する。次に、上で得られた第3層上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により二酸化ケイ素からなる第4層を形成して、酸化物被覆層からなる反射防止膜を作製する。
有機ケイ素系被覆層を施したプラスチックレンズ基材レンズを75℃に加熱し、酸素イオンビーム照射処理を施した後、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)によりSiO2からなる層を形成する。次にタイプ2、3で用いた蒸着組成物を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される第2層を形成する。第2層の上に再び第3層のSiO2を蒸着した。次に第3層の上に前期蒸着組成物蒸着層と、SiO2層よりなる二層等価膜を形成する。この二層等価膜の上に前記蒸着組成物と同じ蒸着組成物にて4成分高屈折率層を形成し、さらにその層の上にSiO2からなる低屈折率層を形成して酸化物被覆層である反射防止膜を作製する。なお、前記各層は、第1層を形成したのと同様の真空蒸着法により形成することができる。
本発明の第2の態様は、チタン系ハードコート膜をプラスチックレンズ基材の少なくとも一方の面に有するプラスチックレンズの前記チタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性の試験方法である。この方法は、上記本発明の方法で決定された条件の暴露処理に被検レンズを施し、次いで暴露処理した被検レンズのレンズ表面に対して、クロスハッチテストを行い、ハードコート膜のレンズ基材への密着性能を評価することを含む。
レンズの製造方法、ハードコート、多層反射防止膜の形成は以下の通りである。
キシリレンジイソシアネート94重量部に15℃の室温で触媒ジメチルチンジクロリド0.01重量部を混合撹拌した。そして、この混合液にペンタエリスリトールテトラキス−(メルカプトアセテート)54重量部およびジメルカプトメチルジチアン53重量部、ジブトキシエチルアシッドフォスフェート及びブトキシエチルアシッドフォスフェートの混合物0.10重量部を添加して十分混合した。次に混合物を5mmHg下で脱気した後、ガラス型とポリウレタン系のガスケットよりなる成形型中に注入し、しばらく放置して、120℃まで12時間かけて昇温し、120℃にて3時間加熱した後、成形型からレンズを取り出した。なお、鋳型(成形型)は、上型曲率600mm、下型曲率120mmのガラス型を用い、レンズの中心厚が5mm、径が75mmになるように鋳型を組んだ。得られたポリチオウレタンレンズは、屈折率(nD)は1.60、アッベ数(νD)40であった。
ガラス製容器に、有機ケイ素化合物のγ−グリシドキシプロピルメトキシシラン142重量部を加え、撹拌しながら、0.01N塩酸1.4重量部、水32重量部を滴下した。滴下終了後、24時間撹拌を行いγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解溶液を得た。この溶液に、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル(メタノール分散、全金属酸化物31.5重量%、平均粒子径10〜15ミリミクロン)460重量部、エチルセロソルブ300重量部、さらに滑剤としてシリコーン系界面活性剤0.7重量部、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート8重量部を加え、充分に撹拌した後、濾過を行ってコーティング液を得た。
前記ハードコート層を有するプラスチックレンズを80℃に加熱し、前記ハードコート層の上に真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)によりSiO2からなる下地層〔屈折率1.46、膜厚0.4875λ(λは500nmである)〕を形成した。次にNb2O5粉末、ZrO2 粉末、Y2O3粉末を混合し、300kg/cm2でプレス加圧し、焼結温度1300℃で焼結して得られた3成分系蒸着組成物(重量%、Nb2O5:ZrO2:Y2O3=76%:16.6%:7.4%)を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される層(屈折率2.12、膜厚0.0502λ)と、SiO2層(屈折率1.46、膜厚0.0764λ)よりなる第1の低屈折率層を形成した。この第1の低屈折率層の上に前記蒸着組成物にて高屈折率層(屈折率2.12、膜厚0.4952λ)を形成し、さらにその層の上にSiO2からなる第2の低屈折率層(屈折率1.46、膜厚0.2372λ)を形成して、高屈折率層、低屈折率層の成膜を繰り返し計5層構造の反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。なお、前記低屈折率層および高屈折率層は前記下地層を形成した同様の真空蒸着法によるものである。
上記の条件で作成された8枚のレンズについて、320W/m2±10で100-500時間連続照射したときのΔYI値を測定した。測定には、スガ試験機のFAL-25AX-HCを使用した。測定の結果、ΔYIを各レンズについて求め、結果を以下の表1に示す。さらに表1には、8枚のレンズのΔYI値の平均値を示す。
上記で得られた基準ΔYI値を用いて、種々の被検レンズについて密着性試験を行った。
プラスチックレンズ基材はレンズモノマーを注型重合して得られたもの。
プラスチックレンズ基材の作製1,2:6,7−ジエピチオ−4−チアヘプタン約500gを−15℃に冷却したのち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製0.5μmメンブランカプセルカートリッジフィルター(アドバンテック社製、型番:CCF−050−C1B)を取り付けた加圧タンクに入れ、窒素圧約2.5kgf/cm2程度の圧力で加圧ろ過を行った。このろ過したモノマーを用い、室温で下記のように原料混合物を調製した。
ジメルカプトエチルスルフィド(DMES)25.0g
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(HPPA)25.0g
ジエチルアミノエタノール 1.50g (DETH+DMES+HPPAに対して0.3重量%)
2(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール 0.25g
エチピオ基を有する化合物としてビス(β−エピチオプロピル)スルフィド80.0重量部、ポリチオ−ル化合物としてビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン15.65重量部及びポリイソシアネ−ト化合物としてジ(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタン 4.35重量部、内部離型剤として、ジブトキシエチルアシッドフォスフェ−トとブトキシエチルアシッドフォスフェ−トの混合物を50ppmを配合し攪拌混合後、触媒としてテトラ−n−ブチル−1,3−ジアセトキシ−ジスタノキサン0.01重量部及びテトラブチルホスホニウムブロミド0.05重量部を添加し10mHgの減圧下で約3分間攪拌混合しレンズ用モノマー組成物を得た。
重合終了後、モールドを取り外し、110℃で1時間熱処理して屈折率(nd)=1.70、アッベ数36のエピチオ系レンズであるプラスチックレンズ基材を得た。
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート化合物としては、キシレンジイソシアネート、ポリチオール化合物としては、メルカプトメチル−ジチア−オクタンジチオール及びビス(メルカプトメチル)−トリチア−ウンデカンジチオールを成分とするレンズモノマーを、前記スルフィド系レンズ−2の成形方法と同様なキャスト成形方法にて屈折率(ne)1.67、アッベ数36のポリチオウレタン系レンズであるプラスチックレンズ基材を得た。
ハードコート膜は、酸化チタンを有する複合酸化物微粒子および有機ケイ素化合物を主成分として含有するものである。
ハードコート膜の形成ステンレス製容器にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1045重量部とγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン200重量部を加え、撹拌しながら0.01モル/リットル塩酸299重量部を添加し、10℃のクリーンルーム内で一昼夜撹拌を続け、シラン加水分解物を得た。別の容器内で酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(メタノール分散、全固形分30重量%、平均粒子径5〜8mμ、核微粒子中の構成比:Ti/Siの重量比=84/16であるので、Ti/Si原子比=3.07である。核微粒子への酸化ジルコニウム−酸化ケイ素の被覆率:7重量%、表面改質剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)3998重量部にメチルセロソルブ4018重量部とイソプロパノール830重量部を加え撹拌混合し、さらにシリコーン系界面活性剤[日本ユニカー(株)製「L−7001」]4重量部とアルミニウムアセチルアセトネート100重量部とを加え上記と同様に10℃のクリーンルーム内で一昼夜撹拌を続けたのち、上記加水分解物と合わせ、さらに一昼夜撹拌した。その後3μmのフィルターでろ過を行いハードコート膜形成用塗工液Aを得た。
チタン系複合ゾルとして、前記のハードコートAに使用したチタン系複合ゾルに更にコロイダルシリカゾルを加えてチタン系複合ゾルBを調製し、前記ハードコートAと同様な方法で、ハードコートBを得た。
反射防止膜は、多層無機酸化物膜からなる。
(反射防止膜Aの形成)
上記で得られたハードコート膜を有するプラスチックレンズを蒸着装置に入れ、排気しながら85℃に加熱し、イオン銃処理(キャリアガス:酸素、電圧:400eV、処理時間:30秒)を行い、次いで真空度2×10-5Torrまで排気を続けたのち、電子ビーム加熱法にて蒸着原料を蒸着させ、ハードコート膜側より、Ta2O5(0.12λ)/SiO2(0.05λ)/Ta2O5(0.25λ)/SiO2(0.25λ)の4層で構成された反射防止膜を形成することにより、ハードコート膜と反射防止膜が設けられたプラスチックレンズを作製した。
真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)によりSiO2からなる下地層を形成する。
次にTa2O5粉末、Y2O3粉末、およびAl2O3粉末を混合し、プレス加圧し、焼結温度1300℃で焼結して得られた蒸着組成物を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される混合層と、SiO2層よりなる第一の低屈折率層を形成する。この第一の低屈折率層の上に前記蒸着組成物と同じ蒸着組成物にて4成分高屈折率層を形成し、さらにその層の上にSiO2からなる第2の低屈折率層を形成して酸化物被覆層である反射防止膜を作製した。
上記(1)〜(3)で得られたハードコート膜と反射防止膜が設けられたプラスチックレンズについて、QUV試験機を用いて、前記で得られた基準ΔYI値を示す条件で密着試験を行った。以下の密着試験方法では、暴露処理の条件は、照度 0.20×45℃×4時間 結露 45℃×4時間 1サイクルで21サイクル トータル 168時間とした。評価方法は以下の通りである。
表面を約1mm間隔で基盤目に100目クロスカットし、このクロスカットした部分に粘着テープ[商品名「セロテープ」ニチバン(株)製品]を強く貼り付けたのち、急速に粘着テープを剥がし、粘着テープを剥がした後の基盤目の膜剥がれの有無を調べる。
上記表2の評価テスト1〜4に示すように、高屈折率レンズのスルフィド系レンズ−1、スルフィド系レンズ−2、ポリチオウレタン系レンズに、既存の反射防止膜A、反射防止膜Bの技術を使用して、チタン系複合ゾル含有のハードコートAの適合性について評価した。その結果、チタン系複合ゾル含有のハードコートAは、スルフィド系レンズ−1、スルフィド系レンズ−2については適合性があり、問題ないと評価されたが、基材が実施例のポリチオウレタン系レンズでは問題ありとの評価がなされた。即ち、ポリチオウレタン系レンズとハードコートAとの組み合わせではで密着不良が見られた為、改良にいたった。
チタン系ハードコートを有するレンズの評価をした(評価テスト6〜10)。通常の装用状態レベルでは問題ない評価となったが、過酷なレベルの評価(QUV-1,QUV-2)では適合のものと不適合のものに区別され、精度の高い密着性テストの評価ができることがわかった。他社製品についても同様な評価を行った結果、色々な結果(QUV-1,QUV-2の結果)が得られ、この評価方法に有効性が見られた。
上市するレベルということは顧客からクレームが来ない品質レベルが維持されており、それぞれ独自の社内評価基準が設けてそれをクリアし、市場に存在している。サンプル6〜9は実際に市販されている他社のチタン系ハードコート付ポリウレタンレンズであるが、通常の装用状態およびやや過酷な状態を想定した密着−1,QUV-1 レベルでは大差ない。従って、市場の要求に適応した製品であることが確認できる。しかし、実際ではあり得ないだろうと想定されるさらに厳しいレベルでの試験(QUV-2)では密着性に変化が生じている。従って、この試験方法をベースとして更に他の条件を加えることにより、種々の密着性のレベルの評価が可能である。
Claims (10)
- 紫外線照射(但し、紫外線照射は、照度0.01〜0.5の範囲とする)への暴露と結露状態への暴露とを繰り返し行う暴露処理を施した被検レンズを試験することにより、プラスチックレンズ基材に設けられたチタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性を試験する方法(但し、前記被検レンズは、プラスチックレンズ基材にチタン系ハードコート膜を設けたプラスチックレンズである)における、前記暴露処理の条件の決定方法であって、
(1)被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材を用いたレンズを、キセノン光照射に曝露し、得られる黄色に変化したレンズのキセノン光照射曝露前と後のYI値の差であるΔYI値を求め、このΔYI値を基準ΔYI値と定め、
(2)前記暴露処理の条件は、前記暴露処理に供した被検レンズが前記基準ΔYI値を示す条件に設定する
ことを含む、前記方法。 - キセノン光照射は、キセノン光強度が320W/m2±10であり、かつ照射時間が100時間〜500時間の範囲である請求項1に記載の方法。
- キセノン光照射時間は、ΔYI値の経時変化が、実質的になくなる時間範囲から選ばれる請求項2に記載の方法。
- ΔYI値は、2.0以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記暴露処理において、
紫外線照射への暴露と結露状態への暴露を1サイクルとし、
サイクル数は9以上とし、
結露状態は、温度40〜60℃の範囲とし、
紫外線照射への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とし、
結露状態への暴露時間は、1サイクル当たり2〜10時間の範囲とする、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 - 紫外線照射は、照度0.1〜0.3の範囲とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記被検レンズ及び被検レンズと同質のプラスチックレンズ基材は、いずれもポリチオウレタン系レンズ又はスルフィド系レンズである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記チタン系ハードコート膜は、複合酸化チタン粒子及び有機珪素樹脂を含むものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記プラスチックレンズが前記チタン系ハードコート膜の上に反射防止膜を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- チタン系ハードコート膜をプラスチックレンズ基材の少なくとも一方の面に有するプラスチックレンズの前記チタン系ハードコート膜の前記レンズ基材への密着性の試験方法であって、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法で決定された条件の暴露処理に被検レンズを施し、次いで
暴露処理した被検レンズのレンズ表面に対して、クロスハッチテストを行い、ハードコート膜のレンズ基材への密着性能を評価することを含む、
前記試験方法。
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