JP2012132843A - 膜密着性の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチックレンズのコート膜の密着性をより厳密かつ正確に評価でき、また、短時間で容易に行うことのできる評価方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 プラスチックレンズ基材上に形成されたコート膜に対して、互いに交差する切れ込みを入れ、切れ込みを入れたコート膜に対し、紫外線への暴露及び結露状態への暴露を行う。そして暴露を行った後、切れ込みの交点から、隣接するコート膜までの距離を測定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材表面に形成された薄膜の密着性を評価する方法に関する。特に、プラスチックレンズ基材の表面に形成された膜の密着性を評価する方法に関する。
プラスチック眼鏡レンズ等のプラスチックレンズ表面には、例えばハードコート層や反射防止膜、撥水膜等のコート膜が付与されている。こうしたコート膜に対しては、例えばクロスハッチテストによりその密着性を検査することが従来より知られている。
例えば、下記特許文献1では、QUV試験機によってプラスチックレンズを紫外線と結露状態に暴露した後、コート膜をクロスカットし、粘着テープ貼り付けることが記載されている。そして、粘着テープを剥がした後の膜剥がれの有無を調べることにより、コート膜の密着性の評価を行う。
特に、下記特許文献1では、キセノン光照射への暴露前と暴露後におけるレンズ基材のYI値の変化ΔYI対して基準値を設け、レンズの暴露後におけるΔYIの値がこの基準値となるようにQUV試験の暴露条件を定める。
このように、暴露条件をΔYI値によって定めることにより、密着性の経時的な低下の評価に適した暴露環境を設定することができ、膜の密着性を的確に評価することが可能となるとされている。
特開2008−96300号公報
ところが、上述の評価方法による結果が合格であったとしても、屋外の自然環境にて長期間に渡り放置し、実環境に則した試験を行うと、コート膜の剥がれが生じてしまう場合がある。
また、上述の従来の評価方法では、暴露条件の設定を変えることで、より正確にコート膜の密着性評価を行おうとするものである。ところが、この場合には、より正確に評価を行おうとすればするほど暴露条件を厳密に設定する必要があり、試験が煩雑なものとなる。
また、従来の方法では、紫外線や高湿環境に暴露した後に粘着テープを貼り付け、剥がした後の膜剥がれ状態を調べる必要がある。この場合には、プラスチックレンズに対して一度このクロスハッチテストを行うと、粘着テープの張り/剥がしによりコート膜の状態が変化しているので、そのプラスチックレンズを用いて引き続き試験を行うことができない。
したがって、紫外線や高湿環境への暴露時間を変える場合には、その度に新たなプラスチックレンズを用意し、何度も繰り返し試験を行う必要があった。
また、暴露時間に応じた密着性の低下を経時的に調べるには、このように何度も試験を行う必要があるため時間もかかり、コストが高くなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、プラスチックレンズのコート膜の密着性をより厳密かつ正確に評価でき、また、短時間で容易に行うことのできる評価方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明による膜密着性の評価方法は、プラスチックレンズ基材上に形成されたコート膜に対して、互いに交差する切れ込みを入れるカット工程と、切れ込みを入れた前記コート膜に対し、紫外線への暴露及び結露状態への暴露を行う暴露工程と、を含む。そして、この暴露工程後において、切れ込みの交点から、隣接するコート膜までの距離を測定するものである。
本発明の膜密着性の評価方法によれば、プラスチックレンズのコート膜に予め切れ込みを入れておき、紫外線や結露への暴露を行う。そして、暴露後において、切れ込み交点から、切れ込み交点に隣接するコート膜までの距離の変化を調べることにより、コート膜の劣化度合いをより短時間に、より正確に評価することが可能となる。これは、切れ込みの交点においては、コート膜の剥がれが生じやすく、コート膜の劣化を早い段階で精度良く検出できるためである。
また、従来のように粘着テープを貼り付け、剥がすといった作業も必要としない。
また、本発明の膜評価方法において、例えば切れ込みの交点から隣接するコート膜までの距離は、切れ込みの交差角の等角二等分線上において測定することができる。
これにより、距離を測定する位置を明確に定めることが可能となり、より正確に膜の密着性を評価できる。
また、本発明の膜評価方法は、プラスチックレンズ基材上に形成される様々な膜の密着性評価に適用できる。評価対象とするコート膜は、例えばハードコート層やプライマー層を含んでいてよく、さらに反射防止膜やフォトクロミック膜等を含んでいてもよい。
本発明によれば、暴露後における切れ込みの交点から、隣接するコート膜までの距離を測定する。こうした微視量を用いることにより、粘着テープを剥がした際にコート膜が剥がれるか否かを調べる従来の巨視的な方法よりも正確かつ厳密に密着性を評価することができる。
また、切れ込みの交点においてはコート膜の劣化が顕著に表れるので、コート膜の劣化を短時間で精度良く検出することができる。
また、粘着テープを貼ったり剥がしたりといった作業も必要ないため容易に試験を行うことができ、さらに、切れ込み幅を測定した後に再び暴露工程へ連続して投入することができる。したがって、これを繰り返すことにより、一枚のプラスチックレンズに対し暴露時間に応じた経時的なコート膜の劣化を調べることが可能となる。
本発明による膜密着性の評価方法において、切れ込みの交点と、隣接するコート膜までの最短距離を測定する様子を示す説明図である。 図2Aは、第1の実施例においてQUV試験にかける前のコート膜の切れ込みを示す拡大写真図であり、図2Bは、QUV試験において48時間経過した時のコート膜の切れ込みを示す拡大写真図であり、図2Cは、96時間経過した時のコート膜の切れ込みを示す拡大写真図である。 図3Aは、第2の実施例においてQUV試験にかける前のコート膜の切れ込みを示す拡大写真図であり、図3Bは、QUV試験において48時間経過した時のコート膜の切れ込みを示す拡大写真図であり、図3Cは、96時間経過した時のコート膜の切れ込みを示す拡大写真図である。 図4Aは、第3の実施例においてQUV試験にかける前のコート膜の切れ込みを示す拡大写真図であり、図4Bは、QUV試験において48時間経過した時のコート膜の切れ込みを示す拡大写真図であり、図4Cは、96時間経過した時のコート膜の切れ込みを示す拡大写真図である。 QUV試験前後における切れ込みの幅の比を示す説明図である QUV試験の前後において、切れ込みの交点から隣接するコート膜までの最短距離の比を示す説明図である。
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.評価方法の実施の形態
(1)カット工程
(2)暴露工程
(3)評価
2.実施例
3.評価結果
1.評価方法の実施の形態
本発明による膜密着性の評価方法は、眼鏡用のプラスチックレンズに対して好ましく適用できるが、その他のプラスチックレンズにも適用可能である。また、プラスチックレンズに用いるレンズ基板の材料は特に限定されるものではない。
また、プラスチックレンズ基材上に形成された種々のコート膜に対して、本発明の評価方法によりその密着性の評価を行うことができる。そのコート膜は例えばプライマー層やハードコート層、反射防止膜、撥水膜等の膜を含んで構成されていてよく、またフォトクロミック膜を含んでいてもよい。
例えば、ハードコート層の密着性能を確認したい時には、レンズ基板上にハードコート層を形成した段階のコート膜に対して、本発明による評価方法を適用する。また、レンズ基板とハードコート層の間にはプライマー層を介在させていてもよい。
また、反射防止膜の密着性能を確認したいときには、例えばハードコート層上に反射防止膜を形成した段階において本発明による評価方法を適用する。
このように、レンズ上にコート膜を形成する各段階において適宜本発明による評価方法を適用することで、各種層や膜の密着性を個別に確認することも可能である。また、各種層や膜を単独で形成し、本発明による評価方法を適用してもよい。
また、本発明では、プラスチックレンズ基材に形成されたコート膜に切れ込みを入れるカット工程と、カット工程により切れ込みの入れられたコート膜に紫外線への暴露及び結露状態への暴露を交互に行う暴露工程を経ることにより、コート膜の密着性を評価する。
そして以下にその詳細を述べるように、本発明では、暴露工程後におけるコート膜の切れ込みの交点から、隣接するコート膜までの最短距離の変化を調べることで、コート膜の密着性を評価することができる。
(1)カット工程
カット工程では、レンズ基材上に形成された評価対象とするコート膜に対して、互いに交差する切れ込みを入れる。例えば、JIS規格K5600-5-6(ISO 2409:1992)に基づいてコート膜を1mm間隔でクロスカットし、直角の格子パターンを形成してもよい。切れ込みの数は、切れ込みを生じさせるために少なくとも二以上あればコート膜の密着性を評価することが可能であるが、多ければ切れ込みの劣化状態の評価を行うためのデータ数を増せる。
クロスカットのようにコート膜をそれぞれ複数の領域に区切ると、例えばコート膜の剥がれ等の劣化が切れ込みの交点位置において表出しやすく、コート膜の密着性をより厳密に評価できる。なお、切れ込みを交差させる角度は、必ずしも直角である必要はない。
(2)暴露工程
暴露工程では、カット工程により切れ込みの入れられたコート膜に対して、紫外線の照射と、結露状態への暴露を行い、コート膜の劣化を促進させる。
例えば、紫外線照射による暴露調整機能と、調温調湿機能とを備える促進耐候試験機(QUV装置)に上述のカット工程を経たプラスチックレンズを配置し、紫外線照射サイクルと結露サイクルを繰り返す。
このように、本発明では予めコート膜に切れ込みを入れた後に、紫外線、結露状態への暴露を行う。これにより、紫外線照射や結露への暴露時には、露出した切り込み断面から直接コート膜の密着面の劣化が促進される。したがって、暴露環境を変えなくとも、より大きい負荷を容易にコート膜に付与できる。このため、従来においては差別化のできなかったコート膜の密着性能も検出可能となり、さらなる品質の向上を図れる。
(3)評価
そして、暴露工程を終えたプラスチックレンズに対して、切れ込み状態の劣化を評価することにより、密着性の評価を行う。
切れ込み状態は、例えば交差する切れ込みの交点から、切れ込みによって分割された隣接するコート膜までの最短距離(以降切れ込み交点からの距離と呼ぶ)を測定することによって数値化される。
例えば、プラスチックレンズのコート膜に入れられた切れ込みの拡大写真図を図1に示す。二本の切れ込みC1,C2によって、コート膜がT1,T2,T3,T4の4つの領域に分割される。
本発明の膜密着性の評価方法においては、切れ込みC1,C2の交点O1から、領域T1,T2,T3,T4におけるコート膜までの最短距離を測定する。図1において、交点O1から各領域のコート膜までの最短距離は、交点O1から、各領域におけるコート膜の頂点P1,P2,P3,P4までの距離である。
したがって、矢印A1,A2,A3,A4に示すように、交点O1から頂点P1,P2,P3,P4までの距離をそれぞれ測定し、その平均値を求めることが好ましい。
また、QUV試験によりコート膜が劣化し、最短距離となる頂点が不明瞭となることが考えられる。したがって、切れ込み交点からの距離は、例えば、切れ込みC1,C2の交差角の等角二等分線において、交点O1からコート膜までの距離を測定することにより求めてもよい。
一つの交点において、例えば3本以上の切れ込みが交差している場合においても同様に、その交点から、切れ込みによって分割されたそれぞれの領域におけるコート膜までの最短距離を求め、平均値を算出する。
このように、切れ込み交点からの距離といった微視的な変化を判定する本発明の方法は、粘着テープによりコート膜が剥がれたか否かを判定する従来の方法よりも厳密にコート膜の劣化を検出できるため、コート膜の密着性を正確に評価することができる。
また、後述するように、切れ込み交点においては、その他の箇所に比べてコート膜の劣化が表出しやすい。このため、コート膜の微小な劣化を精度良く検出可能である。
また、紫外線や結露状態への暴露前における切れ込み交点からの距離と、暴露後における切れ込み交点からの距離とを比較して、切れ込みの劣化状態を評価することが望ましい。
また、暴露前の切れ込み交点からの距離に対する暴露後の切れ込み交点からの距離の比を求めることにより、コート膜の密着性を数値化して定量化することが可能となり、種類の異なるコート膜の密着性を容易に比較できる。
例えば、暴露前の切れ込み交点からの距離に対する暴露後の切れ込み交点からの距離の比(暴露後の切れ込み交点からの距離/暴露前の切れ込み交点からの距離)が、暴露時間100時間において2を超える場合には、プラスチックレンズ上に形成されるコート膜として密着性が足りず、不適合であると判断することができる。
従来においては、例えばクロスカットしたコート膜に対して粘着テープを貼り付け、粘着テープを引き剥がした時のコート膜の剥がれが調べられていた。しかし、こうした手法では、粘着テープの引き剥がし角度や、引き剥がし速さ、引き剥がす時の引っ張り強さ等にばらつきが生じやすく、正確なデータを得るのが困難である。
また、粘着テープを引き剥がした後のコート膜には、クロスカットされた各領域において、例えば全く剥がれの無い領域や、一部剥がれの生じた領域、全てコート膜の剥がれた領域等の様々な状態が存在し得る。
コート膜の密着性を厳密に評価するためには、これらの状態を細かく分類したり、また各領域において分類された状態の数をカウントする等の作業(例えばJIS規格K5600-5-6,8.3節参照)が必要であり、作業が煩雑なものとなる。
しかし、本発明では、暴露工程を経たコート膜において、切れ込み交点からの距離をそのまま測定するものであり、上述のようなテープの貼り付け、引き剥がし作業を必要としない。
また、切れ込み交点付近においては、その他の箇所に比べてコート膜の劣化が短時間で顕著に表れるため、僅かな密着性の差異であっても短時間で容易に検出することが可能である。
また、暴露前における切れ込み交点からの距離と、暴露後における切れ込み交点からの距離という2つの数値のみによって評価を行うことができ、簡潔かつ簡易にコート膜の密着性を調べることが可能である。
また、本発明の評価方法においては、紫外線や結露状態への暴露時間を長くする程、コート膜の種類による密着性の差を顕著に表すことが可能である。例えば、紫外線や結露状態への暴露時間の合計が48時間以上であると、コート膜の密着性をより確実に評価できるので望ましい。
2.実施例
<実施例1>
以下に、本発明による膜密着性の評価方法の実施例について説明する。
(1)プラスチックレンズ基材
プラスチックレンズ基材には、屈折率1.71、中心厚1.0mm、レンズ度数0.00、直径80mmのポリスルフィド結合を有するレンズ基材(EYRY:HOYA(株)製)を用いた。
(2)プライマー液の作成
プライマー層の原料としては、応力緩和能の高さからウレタン系のものを用いるのが好ましい。また、中でもポットライフ及び硬化の容易さの点からブロック型ポリイソシアネートとポリオールを主成分とする熱硬化性ウレタンプライマーを用いるのが好ましい。
ブロック型ポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート等の各種イソシアネートをベースとし、末端をフェノール、ε−カプロラクタム、活性メチレン、MEKオキシム、各種アミン類等でブロックしたものが挙げられる。
熱硬化性ウレタンプライマーに限定するものではなく、その他の原料を用いてもよい。他のウレタン樹脂(エマルジョン)の例としては、NeoRezR−960(ゼネカ製)、ハイドランAP−30(大日本インキ工業(株)製)、スーパーフレックス210(第一工業製薬(株)製)、アイゼラックスS−1020(保土ヶ谷化学(株)製)、ネオタンUE−5000(東亞合成(株)製)、RU−40シリーズ(スタール・ジャパン(株)製)、WF−41シリーズ(スタール・ジャパン製)、WPC−101(日本ウレタン工業(株)製)等が挙げられる。
ここでは、ステンレス製容器に三洋化成工業(株)製サンプレンIB−1700D 32重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル125重量部を加え、攪拌しながら日本ポリウレタン工業(株)製コロネートHL 1.9重量部と酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする微粒子ゾル(メタノール分散、全固形分濃度30質量%、日産化学工業(株)製、商品名サンコロイド53重量部を加え混合した。そして、シリコーン系界面活性剤(L−7604:東レ・ダウコーニング(株)製)0.1重量部を加え一昼夜撹拌した。その後、ろ過を行いプライマー層形成用塗工液(以下A液とする)を作成した。なお、このA液は、熱硬化性の塗工液である。
(3)ハードコート液の作成
ステンレス製容器にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1045重量部とγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン200重量部を加え、撹拌しながら0.01モル/リットル塩酸299重量部を添加した。そしてこの溶液を一昼夜撹拌することにより、シラン加水分解物を作成した。
また、別の容器内に酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル3998重量部を投入し、メチルセロソルブ4018重量部とイソプロパノール830重量部を加え撹拌混合した。そして、シリコーン系界面活性剤(L−7001:東レ・ダウコーニング(株)製)4重量部とアルミニウムアセチルアセトネート100重量部とを加え、一昼夜撹拌を続けた。
撹拌を終えると、上述のシラン加水分解物と混合し、さらに一昼夜撹拌した。その後、ろ過を行うことで、ハードコート膜形成用塗工液を形成した。
(4)プライマー層及びハードコート層の形成
上述のプラスチックレンズ基材に対して、Dip法により150mm/分で引き上げながら、上述のプライマー液を塗工した。そして100℃20分の加熱処理によって塗布したプライマー液を硬化させ、膜厚1.5μmのプライマー層を形成した。
また、プライマー層の形成されたプラスチックレンズ基材に対して、Dip法を用いて同様に上述のハードコート液を塗布し、その後、過熱することでハードコート層を形成した。
(5)反射防止膜の形成
プライマー層及びハードコート層を形成したプラスチックレンズを蒸着装置に入れ、排気しながら85℃に加熱し、イオン銃処理(キャリアガス:酸素、電圧:400eV、処理時間:30秒)を行った。次いで真空度2×10-5Torrまで排気を続けたのち、電子ビーム加熱法にて蒸着原料を蒸着させ、ハードコート層側から、Ta25(0.12λ)/SiO2(0.05λ)/Ta25(0.25λ)/SiO2(0.25λ)の4層で構成された反射防止膜を形成し、プラスチックレンズを作製した。
(6)カット工程
JIS規格K5600-5-6(ISO 2409:1992)に基づいて、上述のプラスチックレンズのプライマー層、ハードコート層、反射防止膜によるコート膜に、長さ10mmの切れ込みをクロスカットした。
なお、クロスカットしたコート膜を顕微鏡撮影し、撮影した写真をPC(パーソナルコンピュータ)に取り込んでコート膜の切れ込み交点から、隣接する4領域のコート膜まで4方向の距離を測定し、距離の平均値を求めた。
(7)暴露工程
コート膜をクロスカットしたレンズ基板をQUV装置に投入し、温度45℃にて紫外線照射(照度0.20)4時間、結露状態(99%RH)4時間を1サイクルとして、紫外線及び結露状態への暴露を21サイクル行った。
また、暴露工程を経たレンズ基板のコート膜を顕微鏡撮影し、撮影した写真をPCに取り込んだ。コート膜の切れ込み交点から、隣接する4領域のコート膜まで4方向の距離を測定し、距離の平均値を求めた。
<実施例2>
ステンレス製容器に三洋化成工業(株)製サンプレンIB−1700D 32重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル125重量部を加え、攪拌しながら 1.9重量部と酸化チタンと酸化ケイ素からなるアナターゼ型の結晶構造を有する複合酸化物の核粒子の表面を、酸化ケイ素と酸化ジルコニウムからなる複合酸化物の被覆層で被覆し、更にカップリング剤で表面修飾した平均粒径8nmの無機酸化物微粒子をメタノールに分散させた固形分濃度20wt%の複合酸化物ゾル(触媒化成工業(株)製、商品名「オプトレイク」)53重量部を加え混合した。
次いで、この混合溶液にシリコーン系界面活性剤(L―7604:東レ・ダウコーニング(株)製)0.1重量部を加え一昼夜撹拌し、その後、ろ過を行うことにより、熱硬化性のプライマー層形成用塗工液(以下B液とする)を形成した。
そして、このプライマー層形成用塗工液を用いてプライマー層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
<実施例3>
ステンレス製容器に三洋化成工業(株)製サンプレンIB−1700D 25重量部と水40重量部を加え、攪拌しながらメタノール32重量部とダイアセトンアルコール61重量部と酸化チタン、酸化スズ及び酸化ケイ素からなるルチル型の結晶構造を有する複合酸化物の核粒子の表面を、酸化ケイ素と酸化ジルコニウムからなる複合酸化物の被覆層で被覆し、更にカップリング剤で表面修飾した平均粒径10nmの無機酸化物微粒子をメタノールに分散させた固形分濃度20wt%の複合酸化物ゾル(触媒化成工業(株)製、商品名「オプトレイク」)41重量部を加え混合した。
次いで、この混合溶液にシリコーン系界面活性剤(L−7604:東レ・ダウコーニング(株)製)0.1重量部を加え一昼夜撹拌し、その後、ろ過を行うことで、プライマー層形成用塗工液(C液とする)を形成した。なお、このプライマー層形成用塗工液(C液)は、熱可塑性である。
そして、このプライマー層形成用塗工液を用いてプライマー層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
3.評価結果
実施例1における、QUV試験を行う前の切れ込み交点の拡大写真図と、QUV試験に96時間かけた後の切れ込み交点の拡大写真図と、CUV試験に168時間かけた後の切れ込み交点の拡大写真図を図2A〜図2Cにそれぞれ示す。
プライマー用のゾルとして、複合酸化ジルコニウムゾルを用いた実施例1では、QUV試験前の図2Aと168時間後の図2Cを比較してわかるように、コート膜の切れ込みにほとんど変化が生じていない。
2本の切れ込みC3,C4によって4つの領域に分けられたコート膜において、切れ込みの交点O2に対して最も近接する箇所は、点P5,P6,P7,P8に示す頂点の位置である。したがって、この場合には、点O2から点P5,P6,P7,P8までのそれぞれの距離を、4つの領域におけるコート膜までの最短距離として測定し、その平均値を求めた。
実施例2における、QUV試験を行う前の切れ込み交点の拡大写真図と、QUV試験に96時間かけた後の切れ込み交点の拡大写真図と、CUV試験に168時間かけた後の切れ込み交点の拡大写真図を図3A〜図3Cにそれぞれ示す。
図3Bからわかるように、QUV試験によって切れ込みC5,C6の交点O3の周囲においてコート膜の劣化が早く進み、その他の箇所に比べて膜剥がれの領域が大きくなっている。一方、168時間後の図3Cでは、交点O3から離れた箇所における膜剥がれも大きくなり、交点O3の周囲の膜剥がれの大きさは、その他の箇所における膜剥がれとあまり変わらなくなってきている。
図3B,Cのように、切れ込みC5,C6によって4つの領域に分けられたコート膜の頂点が不明瞭となった場合には、切れ込みC5,C6の交差角Θ1,Θ2の等角二等分線bs1,bs2上において、各領域のコート膜までの距離を測定し、その平均値を求めた。
このように、例えば最短距離の位置を定めるのが難しい場合には、例えば等角二等分線上における距離を測定することによっても、膜の密着性の評価を行うことが可能である。このように測定位置を定めることにより、測定する箇所の人為的ばらつきによる誤差が低減される。
図4A〜図4Cは、それぞれ実施例3におけるQUV試験を行う前の切れ込み交点の拡大写真図と、QUV試験に96時間かけた後の切れ込み交点の拡大写真図と、CUV試験に168時間かけた後の切れ込み交点の拡大写真図である。
図4Bに示すように、切れ込みC7,C8の交点O4の周囲においては、コート膜の劣化がその他の領域よりも早く進んでおり、膜剥がれの領域が大きくなっている。この場合においても、切れ込みC7,C8の交差角の等角二等分線bs3,bs4上において、交点O4から各領域のコート膜までの距離を測定し、平均値を求めた。
また、168時間後の図4Cでは、交点O4から離れた箇所においても膜剥がれが進み、交点O4の周囲との差が小さくなってきている。
初めに図5に、第1〜第3の実施例において、コート膜の最大切れ込み幅を、切れ込みに対して垂直な方向に測定したものを示す。横軸はQUV試験にかけた時間であり、縦軸は、(QVU試験後のコート膜の最大切れ込み幅)/(QUV試験にかける前におけるコート膜の最大切れ込み幅)である。したがって、この値が1に近いほど膜剥がれが小さく、コート膜の密着性が高いといえる。
実施例2の結果であるシンボルbでは、96時間後においてすでに上述の値が2を超えており、十分な密着性が得られていないといえる。
実施例1の結果であるシンボルcでは、168時間後においても試験前と試験後の最大切れ込み幅の比はほとんど変化しておらず、十分な密着性を有していると判断することができる。
一方、実施例3の結果であるシンボルaでは、96時間後の時点では試験前と試験後の最大切れ込み幅の比が1よりわずかに大きい程度であり、膜の密着性には問題が無いように思われる。しかし、168時間後においては試験前と試験後の最大切れ込み幅の比が急激に上昇し、2.5にまで値が増大している。このことから、実施例3におけるコート膜よりも実施例1におけるコート膜の方が格段に高い密着性を有していることが判断される。
しかし、これは逆に、切れ込みの方向に対して垂直に最大切れ込み幅を測定する場合は、QUV試験に168時間もの長時間をかけないと正確にコート膜の密着性を評価することができないともいえる。
これに対して、本発明により、切れ込みの交点から隣接するコート膜までの距離を測定したものを図6に示す。横軸はQUV試験にかけた時間であり、縦軸は、(QUV試験後における切れ込み交点から隣接するコート膜までの距離の平均値)/(QUV試験における切れ込み交点から隣接するコート膜までの距離の平均値)である。
実施例1の結果であるシンボルfでは、図5におけるシンボルcと同様に値が1からほとんど変化しておらず、高い密着性を有していることがわかる。また、実施例2の結果であるシンボルeでは、96時間後において値が2.5となっていることから、図5と同様にコート膜の密着性が低いと言える。
一方、実施例3の結果であるシンボルdでは、96時間後において既に2以上の高い値を示しており、コート膜の劣化を早い段階において検出できていることがわかる。
このように、本発明による評価方法を用い、切れ込みの交点からコート膜までの距離を測定する場合には、コート膜の劣化を短時間でより正確に検出することが可能であり、コート膜の密着性を精度良く評価することが可能である。このため、より高品質なプラスチックレンズを低コストで提供することができる。
例えば、切れ込み方向に対して垂直な方向に最大切れ込み幅を測定する場合には、切れ込み幅が最大となる箇所を探すこと自体にも手間がかかる。また、切れ込み幅が最大である箇所を探すにあたり、測定者の判断によってその測定箇所にばらつきが生じやすくなる。こうした場合には、評価精度に影響を及ぼすことになる。
これに対して、本発明による評価方法では、測定ポイントを切れ込みの交点と定めていることにより測定にかかる時間も短縮され、測定者によるばらつき低減することができる。
また、図3、図4から明らかなように、コート膜の剥がれは、QUV試験の初期段階において、切れ込みの交点から大きく広がっている。したがって、本願発明のように切れ込みの交点から、隣接するコート膜までの距離を測定することにより、短時間でより精密にコート膜の劣化を検出することができ、密着性の評価精度の向上が図られる。
また、暴露工程前後の切れ込み交点から隣接するコート膜までの距離を比較することのみによって評価可能であるため、従来のように基盤目に分割された各領域の剥がれ具合を分類する必要も無い。
また、クロスカットしたコート膜に粘着テープを貼り、剥がすという作業も不要であるので、人為的な作業のばらつきを原因とする誤差も低減される。
また、暴露工程前後における切れ込み交点から隣接するコート膜までの距離の比を求めることで、コート膜の密着性が数値によって定量化され、コート膜の密着性を一般化して簡易に評価できる。
例えば、暴露時間が100時間において、暴露工程前後における切れ込み交点から隣接するコート膜までの距離の平均値の比が2以上である時は、コート膜の密着性が不足していると判断可能である。
なお、ここではプライマー層の材料種が起因でコート膜の密着性に差が生じる例を挙げた。これは一例であり、コート膜を構成するその他の層や膜が原因となる場合も同様に差異を検出し評価することが可能である。
また、本発明による評価方法を用いることで、プライマー液、ハードコート液、反射防止膜やその他の機能性膜を開発するうえで、液の処方における原料の選別手段としても有効に利用することが可能である。
以上、本発明によるプラスチックレンズの実施の形態及び実施例について説明した。本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、なお考えられる種々の形態を含むものであることは言うまでもない。

Claims (3)

  1. プラスチックレンズ基材上に形成されたコート膜に対して、互いに交差する切れ込みを入れるカット工程と、
    切れ込みを入れた前記コート膜に対し、紫外線への暴露及び結露状態への暴露を行う暴露工程と、
    を含み、前記暴露工程後において、前記切れ込みの交点から、隣接する前記コート膜までの距離を測定する
    膜密着性の評価方法。
  2. 前記切れ込みの交点から、隣接する前記コート膜までの最短距離を測定する請求項1に記載の膜密着性の評価方法。
  3. 前記切れ込みの交差角の等角二等分線上において、前記切れ込みの交点から隣接する前記コート膜までの最短距離を測定する請求項1に記載の膜密着性の評価方法。


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