JP2008081506A - 1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンおよび1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの製造 - Google Patents
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Abstract
【課題】フッ素化により1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンがもたらされる1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンを、高い収率および選択性でもって製造する。
【解決手段】銅塩およびアミンの存在下で四塩化炭素を2−クロロプロペンに付加する。
【選択図】なし
【解決手段】銅塩およびアミンの存在下で四塩化炭素を2−クロロプロペンに付加する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ハロゲン含有炭化水素の分野、一層特に1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンの製造および1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンへのそれのフッ素化に関する。
40℃の沸点を有するので、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(名称F365mfc下で知られている。)は、モントリオールプロトコルにより禁止されている液状クロロフルオロアルカン特にフルオロトリクロロメタン(F11,b.p.=27℃)およびトリクロロトリフルオロエタン(F113,b.p.=47℃)のための潜在的代替品である。
F365mfcが製造されるのを可能にする方法は数的にわずかしかなく、そして一般に2,2−ジフルオロ−4,4,4−トリクロロブタン、2−ブロモ−2,4,4,4−テトラクロロブタンまたは1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンのようなクロロ前駆体のフッ素化を伴う。
ヘンネ等(「ジェイ・アム・ケム・ソク(J. Am. Chem. Soc.),67,第1194〜1197頁および第1197〜1199頁,1945」)は2,2−ジフルオロブタンを塩素化して52.5%の選択性でもって2,2−ジフルオロ−4,4,4−トリクロロブタン(F362jfc)を得、そしてこのものは次いでF365mfcへフッ素化される。マクビーおよびハウシュ(「インド・イング・ケム(Ind. Eng. Chem.),39,第418〜420頁,1947」)はF362jfcをHF/HgOでまたは混合物SbF3/SbCl5でフッ素化するが、しかしそのフッ素化の収率は15%を越えない。これらの方法はすべて、クロロ前駆体を導く塩素化反応の選択性の欠如に本質的に因る低収率により特徴づけられる。
ターラント等(「ジェイ・アム・ケム・ソク(J. Am. Chem. Soc.),80,第1711〜1713頁,1958」)に記載されている、F365mfcの製造のための別の方法は、2−クロロプロペンへのCCl3Brのラジカル付加および得られた1:1付加生成物(CCl3CH2CBrClCH)の触媒の不存在下でのHFでのフッ素化(34%の収率)から成る。この方法は全体的収率を向上せず、何故ならこの場合ベンゾイルペルオキシドでのラジカル開始により促進されるテロマーの形成に因り選択性の欠如が観察されるからである。
F365mfcの別のクロロ前駆体は1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンであり、しかしてこのものは、フリードリナ等(「イズヴ・アカド・ナウク・SSSR(Izv Akad. Nauk SSSR),(6),第1333〜1336頁(1980)並びに(8),第1903〜5頁(1979)」)によれば、鉄ペンタカルボニルの存在下で1,1,1−トリクロロエタンでのビニリデンクロライドのテロメル化またはCCl4での2−クロロプロペンのテロメル化により得られ得る。両方の場合共、3種のテロマーの混合物が得られそして1,1,1,3,3−ペンタクロロブタン(1:1付加生成物)への選択性は何らかの確実な経済的価値があるためには不十分である。
ジケテンへのフッ化水素酸および四フッ化硫黄の作用による、ブロシュチッツァ等(「ズル・オルグ・キム(Zhur. Org. Khim),24(7),第1558頁,1988」)によるF365mfcの直接的製造は、事実上、許容され得る収率(70%)でもってF365mfcを導く唯一の方法を成す。残念なことに、この方法は、2種の比較的一般的でない出発物質即ちジケテンおよび四フッ化硫黄を用いる。
F365mfcはまた1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(F141b)の製造における副生成物であるが、しかしそれらの沸点の類似性(F141b:b.p.=32℃,F365mfc:b.p.=40℃)および最小沸点共沸混合物の存在は、それらの2種の生成物の容易な分離を可能にしない。しかしながら、過剰のHFの存在下での蒸留の原理に基づく分離方法が特許EP395,793に記載されている。
アミン/第1銅塩の錯体はオレフィンへのポリハロ化合物の付加のための公知の触媒である(「コトラ等,ジェイ・オヴ・モレキュラー・カタリシス(J. of Molecular Catalysis),77,第51〜61頁,1992」)が、しかしこれらの著者は、1:1付加生成物の収率はビニルクロライドにとっての97%から1,2−ジクロロエチレンにとっての11%であり得ることを示している。
F365mfcが高い収率および選択性にて製造され得ることを可能にする方法を研究しているうち、2−クロロプロペンが、四塩化炭素に対して反応性であるオレフィンの中に分類されそして或る条件下で優秀な収率でかつ優秀な選択性でもって期待の1:1付加生成物即ち1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンに変転し得、しかして副生成物即ちテロマーまたは脱離生成物の形成は無視され得る、ということが今般見出された。更に、これらの副生成物の中で、1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンの脱塩化水素により形成され得るC4H4Cl4オレフィンは、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンへ容易にフッ素化される。
かくして、本発明の第1の主題は、2−クロロプロペンへの四塩化炭素の付加による1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンの製造方法において、銅塩およびアミンの存在下で遂行することを特徴とする上記方法である。
本発明の主題はまた、F365mfcの製造方法であって、2−クロロプロペンへの四塩化炭素の付加の第1の工程およびかくして得られた1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンのフッ化水素酸でのフッ素化の工程からなる上記方法である。
第1銅塩好ましくはハロゲン化物一層特に塩化第1銅が、銅塩として有利に用いられる。
用いられるべきアミンはモノ、ジまたはトリアルキルアミンであり得、しかしてそれらの線状または分枝状アルキル基は1〜8個(好ましくは2〜4個)の炭素原子を含有し得る。シクラン系アミン例えばシクロヘキシルアミンもまた、用いられ得る。第1級アミン一層特にイソプロピルアミンが、有利に用いられる。
2−クロロプロペンは、それ自体公知であるやり方で、1,2−ジクロロプロパンまたは2,2−ジクロロプロパンの脱塩化水素により(熱的にもしくはグリコール性水酸化カリウムの作用により)もしくは好ましくは塩化亜鉛または塩化第2鉄のようなルイス酸の存在下でアセトンへのフェニルクロロホルムの作用により(特許FR2,213,257)得られ得、しかしてこの場合2−クロロプロペンの収率は77%に達しそして反応の主たる副生成物即ち2,2−ジクロロプロパンは米国特許第2,543,648号に記載されているグリコール性の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムでの方法によるHClの脱離により2−クロロプロペンに容易に転化され得る。
CCl4/CH3CCl=CH2のモル比は2〜6の範囲にあり得るが、しかし好ましくは2.5と4.5の間にある。
銅塩特に塩化第1銅は、トリクロロメチルラジカルの形成を開始しかつ2−クロロプロペンへのCCl3ラジカルの付加から生じるCCl3CH2CClCH3ラジカルへの塩素の移動を確実にする役割を有する。それは、一般に、銅塩/2−クロロプロペンのモル比が0.001と0.05の間好ましくは0.005と0.02の間にあるような量にて用いられる。
アミンの濃度は、1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンの収率に対して最も有力な影響力を有する。初期の反応混合物のモル数の総数(CCl4+CH3CCl=CH2+CuCl+アミン)に関して、それは0.5〜10%の範囲にあり得るが、しかし好ましくは1%と8%の間一層特に2.5%と6%の間にある。
反応は80℃と130℃の間の温度にて行われ得るが、しかし好ましくは90℃と110℃の間にて行われる。
それ自体公知である方法により特に濾過、酸洗浄、水での洗浄、乾燥および蒸留により反応混合物から分離され得る、形成された1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンは、本発明の第2の側面に従ってフッ化水素酸を用いるフッ素化による1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの合成のために用いられる。
この操作は、触媒の存在または不存在下で液相にて遂行され得る。それは、一般に、80℃と120℃の間の温度にて好ましくは約100℃にて自然発生圧下で行われる。HF/CCl3CH2CCl2CH3のモル比は15〜30の範囲にあり得るが、しかし有利には20と25の間にある。いかなる液相フッ素化触媒も触媒として用いられ得、特にアンチモンベース触媒が用いられ得る。しかしながら、最良の結果が、触媒なしで得られた。
次の例は、本発明を制限することなく本発明を例示する。
例1
8mgの塩化第1銅、117mgのn−ブチルアミン、370mgの2−クロロプロペン(前もって蒸留により不安定化された。)そして最後に3.2gの四塩化炭素を、0℃に維持された肉厚のパイレックス(登録商標)管中に順次導入した。該管を次いで封鎖し、均質化し、そして撹拌しながら4時間一定の温度(100℃)にて加熱した。
8mgの塩化第1銅、117mgのn−ブチルアミン、370mgの2−クロロプロペン(前もって蒸留により不安定化された。)そして最後に3.2gの四塩化炭素を、0℃に維持された肉厚のパイレックス(登録商標)管中に順次導入した。該管を次いで封鎖し、均質化し、そして撹拌しながら4時間一定の温度(100℃)にて加熱した。
冷却後該管をガスマニホールドに関して開放して気相を定量的に回収せしめ、そして液相を別個の分析のためのフラスコ中に移した。これらの2つの相をガスクロマトグラフィーにより分析し、そして反応残余をこれらの分析から再構成した。
この試験(試験1−a)の結果並びに操作条件および他のアミン(試験1−bないし1−g)でもって得られた結果が表I中に要約されており、しかしてこの表において略記は次の意味を有する。即ち、
DC: 転化度
360jfa: 1,1,1,3,3−ペンタクロロブタン
DC: 転化度
360jfa: 1,1,1,3,3−ペンタクロロブタン
例2
この方法は、例1においてようにして、イソプロピルアミンでもってしかし反応混合物中のその濃度を変えて行われた。
この方法は、例1においてようにして、イソプロピルアミンでもってしかし反応混合物中のその濃度を変えて行われた。
それらの結果は、下記の表II中にまとめられている。
例3
−25℃における凝縮器および滴下漏斗を備えた500ml三つ口丸底フラスコ中に1g(0.01モル)の塩化第1銅および4.60g(0.077モル)のイソプロピルアミンを順次導入し、次いで撹拌後180.5gのCCl4(1.17モル)を導入した。次いでこの鮮青色溶液中に29.6g(0.38モル)の2−クロロプロペンを導入し、そしてこの反応媒質を2時間30分100℃にて加熱した。
−25℃における凝縮器および滴下漏斗を備えた500ml三つ口丸底フラスコ中に1g(0.01モル)の塩化第1銅および4.60g(0.077モル)のイソプロピルアミンを順次導入し、次いで撹拌後180.5gのCCl4(1.17モル)を導入した。次いでこの鮮青色溶液中に29.6g(0.38モル)の2−クロロプロペンを導入し、そしてこの反応媒質を2時間30分100℃にて加熱した。
加熱を止めそして6時間冷却した後、青緑色が消失するまで反応混合物を“デカライト(Decalite)”を通じて濾過し、次いで1N−塩酸で2回洗浄して微量の未反応アミンを除去した。次いで、有機相を水で中性になるまで洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥した。次いで、1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンを、室温と50℃の間で真空蒸留により過剰のCCl4から分離した。
1.4gの未反応2−クロロプロペン(DC=95.3%)と共に、79gの1,1,1,3,3−ペンタクロロブタン、1.7gのC4Cl4H4オレフィンおよび2.7gの重質テロマー(90%の二量体を含む。)が得られた。蒸留によりかくして得られた360jfaの純度は98%に達し、そして360jfaへの2−クロロプロペンの転化度は88.6%である。該オレフィンが360jfaと同じ具合にF365mfcへフッ素化されるようになると考えられるならば、全体的収率はこれらの条件下で90.8%に達する。
例4
圧力計、温度計プローブ、クラッキングディスク(cracking disc)および磁気撹拌棒を有する撹拌装置を備えた800mlの316Lステンレス鋼製オートクレーブ中に、41.1gの1,1,1,3,3−ペンタクロロブタン(0.178モル)および82.2gの無水フッ化水素酸(4.108モル)を順次導入した。
圧力計、温度計プローブ、クラッキングディスク(cracking disc)および磁気撹拌棒を有する撹拌装置を備えた800mlの316Lステンレス鋼製オートクレーブ中に、41.1gの1,1,1,3,3−ペンタクロロブタン(0.178モル)および82.2gの無水フッ化水素酸(4.108モル)を順次導入した。
反応器を100℃に加熱すると、圧力は徐々に上昇して30.4バールに達した。8時間後、反応系を室温に冷却しそして12.8バールの残留圧が観察された。
脱気しそして次いでヘリウムでフラッシングすることにより、軽質有機化合物(23.2g)および水素酸(hydracids 、96.8g)を除去した。オートクレーブを開放した後、重質生成物(2g)を採取した。
採取された種々の相の分析により1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンの転化度および1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンへの選択性が計算されて、これらはそれぞれ98.1%および61%に達した。
他の反応生成物は、主に不十分にフッ素化された化合物即ちC4H5ClF4(選択性=14.8%)、C4H5Cl2F3(2種の異性体: 選択性=17.8%)およびC4H5Cl3F2(選択性=1%)であった。これらの化合物は、有利には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンに転化されるようにするために反応器中に再循環され得る。
Claims (11)
- 2−クロロプロペンへの四塩化炭素の付加による1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンの製造方法において、銅塩およびアミンの存在下で遂行することを特徴とする上記方法。
- 銅塩が塩化第1銅である、請求項1に記載の方法。
- アミンが、1〜8個の炭素原子を含有する第1級アミン好ましくは2〜4個の炭素原子を含有する第1級アルキルアミンである、請求項1または2に記載の方法。
- アミンがイソプロピルアミンである、請求項3に記載の方法。
- CCl4/CH3CCl=CH2のモル比が2と6の間好ましくは2.5と4.5の間にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 銅塩/2−クロロプロペンのモル比が0.001と0.05の間好ましくは0.005と0.02の間にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- アミンのモル濃度が0.5%と10%の間好ましくは1%と8%の間一層特に2.5%と6%の間にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 80℃と130℃の間好ましくは90℃と110℃の間の温度にて遂行する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンを請求項1から8のいずれか1項に記載の方法により製造し、次に当該1,1,1,3,3−ペンタクロロブタンをフッ化水素酸でのフッ素化に付すことを特徴とする1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの製造方法。
- フッ素化をおおよそ80〜120℃の範囲の温度にて好ましくはおおよそ100℃にて液相にて行う、請求項9に記載の方法。
- HF/CCl3CH2CCl2CH3のモル比が15と30の間好ましくは20と25の間にある、請求項9または10に記載の方法。
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