JP2008068867A - 階段を昇降する車 - Google Patents

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Abstract

【課題】 途中クラッチ操作などの切り換え操作や種々の制御を必要とせずに如何なる階段をも連続的でスムーズに昇降し、椅子や荷台の水平維持を動力に頼らず自動的にする階段昇降車で、その構造をシンプルかつ堅牢にすることを目標に、人や荷物を安全かつスムーズに上階にあげたり下階に下ろしたりするために安全装置を付加し、確実な階段昇降車を完成させること。
【解決手段】切り換え操作や種々の制御を必要としない階段昇降車の歯車機構と、動力に頼らない椅子や荷台の自動水平維持機構と、階段昇降車以外にも適用される車輪や安全装置を備える。
【選択図】 図1

Description

発明の詳細な説明
車が階段を昇降するには、平坦な地面と異なり、階段の形状、蹴上げ、踏面、等の寸法を測定しそれに対応する動きが求められるため、従来多種多様のセンサーを駆使し、複雑で高価な制御装置を多用してきた。本発明の階段昇降車はモード変換やクラッチ等の切り換え操作を駆使せず、上述のセンサーや制御装置を全く必要としないことを特徴とする
ものである。
すなわち、平坦走行時には原動機付きで駆動側の歯車が車輪の被駆動側の歯車を回転させるが、車輪が階段の蹴込みにあたって車輪の回転が停止し、被駆動側の歯車の回転が停止すると、駆動側の歯車が被駆動側の歯車の廻りを公転する(或いは被駆動側の歯車の回転速度が遅くなった分だけ駆動側の歯車が被駆動側の歯車の廻りを公転する)。
本発明の階段昇降車はこのピニオンの公転を階段昇降車の昇降動作に利用するもので、クラッチ等の切替装置を使わず平坦走行と昇降動作の2つのモード変換を交互に繰り返させるものである。
車輪の回転と停止した車輪の廻りの公転とを繰り返す本発明の階段昇降車は、複数の車輪が絡み合うものと、1つの車輪内部で車輪外周内側を車軸に取り付いたピニオンが移動するものとがあり、前者には車輪を鎖状に連ねるものと車輪を放射状に配置するものとがある。後者には車輪の形状が円形から三角形などの多角形が考えられる。
ここで車の昇段時と降段時とのそれぞれにおいて車輪の回転方向とピニオンあるいは車輪の公転方向がともに昇段方向あるいは降段方向に合致しておれば車は階段を昇降することになる。
本発明の階段昇降車は車輪の回転の停止によりピニオンの公転を誘発させることが絶対条件で、そのためには車輪とノンスリップとの間でスリップしないことが不可避でタイヤには色々の工夫が施される。
また昇段時にピニオンの公転が継続せず車輪後部がノンスリップから離れて持ち上げられ公転が終了し車輪が回転し始め平坦走行に復帰させるためには補助車輪などの介助が必要になる. この補助車輪の介助は同時に車軸の(ピニオンの中心の)軌跡を上にあるいは下に凹の円の一部をより直線に近くする効果がある。
この車輪後部を押し上げる補助車輪の動きはピニオンの公転に連動して車輪の下に潜り込み踏面上を滑走するもので、より車輪後部を押し上げるためと昇段前に補助車輪が蹴込みにあたってピニオンの公転を阻止しないように渦巻き補助車輪などが考案される。
まず平坦走行する本発明の階段を昇降する車輪が蹴込みに当たるとクラッチなどの切り替え操作なしに階段の昇段に移るかについて説明する。電動機等によって回転されるモー
ター歯車が車輪歯車を回転させる方式として歯車を噛み合わせて回転を伝えるものと、チェインを介在させて回転を伝えるものとがあり、被駆動側の回転を止めると駆動側の歯車は被駆動側の歯車のまわりを公転し、被駆動側の回転が止まることにより被駆動側の回転から駆動側の公転に切り替わる現象が認められる。
[図1](a),(b),(c)はそれぞれ、車輪円周の内歯車を、車輪中心に位置する外歯車を、車輪中心に位置するチェイン歯車を車輪円周に位置するピニオンが電動機等により車輪に回転を与えて平坦走行するもので、車輪が蹴込みに当たり回転が止まると、回転が停止した内歯車(a)、外歯車(b)、あるいはチェイン歯車あるいはプーリー(c)のまわりをピニオンが公転する。 ( a )( b ) ( c )はともに、ピニオンが平坦走行の初期状態から昇段へ移行した状態をしめすものである。以下、図中→印は階段上昇時の歯車の回転方向、⇒印は歯車の公転方向を示す。
[図2] (a),(b),(c)はそれぞれ、内側をチェイン(或いはvベルト或いは内歯車或いはラック)を貼り付けた円形、正方形、正三角形、菱形の車輪を示し、内部のチェイン歯車のピニオンは車体を支持する車軸歯車である。(a)では内部のチェイン歯車は円形車輪に回転を与えるが車輪の停止に伴いその外周内側をチェイン歯車が移動する。(b),(c)では内部のチェイン歯車はそれぞれの辺上を移動するが、その頂点の内側を通過する時その頂点を中心に車輪全体を回転させる。
[図3] [図4] [図5]はモーター歯車の周りにそれと咬みあう複数個の歯車を放射状に配置し正三角形の盤に取り付けた階段昇降車で、(a)(b)はともに階段昇降車の昇段開始状態図をしめす。走行動作は車輪の回転であり、昇降動作は盤の公転である。
車輪の回転と連結板の公転は互いに他方が停止すれば一方が開始し自動的に切り替わるモーターの回転を継続したままで車輪の回転と連結板の公転を交互に繰り返せば走行動作と上昇動作とが繰り返される。
昇降動作において太陽車軸を中心に車輪あるいは盤が公転することは見方を変えれば停止した接地輪を中心に太陽車軸が公転することでもある。
[図3] ( a )ではモーター歯車の周りの複数個の歯車と同軸の車輪の前進が阻まれることで[図3]、(b)では遊星歯車の公転が阻まれることで、接地輪が停止する。
[図4]は図3( a )でモーター歯車の廻りに放射状に配置した歯車に取り付いた車輪を取り外したもので、車輪の前進が阻まれることで車軸歯車が車輪歯車との中間に介在する歯車の廻りを公転する。(a)は、昇段開始時の状態図(b)は、昇段直前の状態図(c)は、上段走行の状態図
[図5]は、車軸歯車部分に遊星歯車と太陽歯車を内蔵する内歯車を組み込んだ請求項1の車輪で、各車輪(7)は車軸歯車(4)に噛合う歯車(6)に取り付き、全部で車輪が6個の場合、3個の車輪が表面で車軸(2)から放射状に配置され盤(46)に取り付けられる。
残り3個の車輪は裏面で車軸(2)と遊星歯車(13)を取り付ける盤(47)に取り付けられる。
(a)は、構造図を表面から見た正面図(b)は、構造図の裏面図(a)(b)に於いて点線で書いた車輪(7)と歯車(6)は反対側の面にあることを示す。
裏面の盤(47)の公転の停止時、太陽歯車(3)の回転は遊星歯車(13)を介して内歯車(10)および車軸歯車(4)に伝達され、これに噛合う車輪歯車(6)が回転する。
(b)に示すように車輪(7)が蹴込みに当たって回転が停止すると、内歯車(10)および車軸歯車(4)の回転が停止し盤(47)の公転が起こる。
盤(47)に取り付く裏面の各車輪歯車(6)は車軸歯車(4)に沿って回転しながら公転する。
(a)は、構造図(b)は、階段上昇開始時の状態図(c)は、部品配置図である。
[図6](a)(b)は接地側の下辺とその対面の上辺の2辺と2個の頂点からなる二辺車輪で、図2(b)(c)に示す多角形車輪を最も簡略化したものである。
[図6](a)に示すように車輪が接地状態にあってピニオンが下辺に噛合う時、ピニオンは下辺上を走行し車輪内部を移動する。また図6(b)に示すように車輪が接地状態でなく空中に浮いた状態でピニオンが上辺に噛合う時、ピニオンは車輪を前方に送り出す。
図6(c)(d)(e)(f)は車軸(2)を中心に回転する盤(13)の両端にピニオンを取り付けて、2個の二辺車輪が上下入れ替わりながら地面(33)を走行する一連の動きを説明するものである。下方のピニオンは接地側車輪の下辺上を走行し、上方のピニオンは空中に浮いた車輪を前方に送り出すようになる。
[図2](a)の階段を昇降する車輪はその直径を大きくするほどピニオンが上段ノンスリップを通過した緩い勾配を登坂することになり上段ノンスリップを中心に公転しやすくなるが、車輪の大部分が車輪の乗ったノンスリップより外にあって下の段に落下しやすい
つぎにピニオンが外周内側を移動する円形車輪の昇段に際して車輪後部を押し上げ円形車輪が上段ノンスリップを中心に公転し平坦走行の初期状態に戻ることを可能にする補助装置について説明する。
図2の外周内側を移動するピニオンは昇段開始直後に緩く昇段終了直前には急な勾配を登坂する。ピニオンの通過した後方を押し上げれば常時緩い勾配を登坂することになり、ピニオンが上段ノンスリップを通過した後、上段ノンスリップを中心に円形車輪が公転し、容易に平坦走行の初期状態に戻ることが出来る。
[図7]は[請求項2]の補助装置を[図2] (a)の階段昇降車に適用した例で説明するもので、(a),(b)はそれぞれの補助装置の介助によって、円形車輪が上段に乗り上げて平坦走行の初期状態に戻ろうとする状態を示す。階段を昇降する車輪は車軸を中心に回転するように観えるがノンスリップを中心とする車軸の公転を繰り返しているだけで、1回の車軸の公転で車輪は1回の自転をする。
そのため(a)では、ピニオンの外周内側の移動は車輪のノンスリップを中心とする公転を意味し、ピニオンに後続し外周内側を移動する補助車輪の回転角は補助車輪の公転角でピニオンと直径が同じであれば、補助車輪の公転角は車輪の公転角より大きく同軸の補助車輪は加速され先行のピニオンを押しながら車輪後部を押し上げるようになる。
またピニオンがモーター歯車でモーターが盤(13)にとりつけばモーターはピニオンの回転と逆方向に自転し補助車輪を押さえつける。(b)では、ピニオンを回転させるモーター歯車がピニオンのまわりを公転しながら後続の補助車輪を押さえつけ円形車輪を引き上げる。
補助車輪の踏面への進入角度は最初のノンスリップへの進入時に最大で以後踏面内部へ進入するに従いその進入方向は踏面と平行に近づき後輪後部を押し上げる効果を減少する
[図8](a)はスロープを置いた踏面に補助車輪が進入する状態図で、補助車輪の後輪後部を押し上げる効果の減少をおさえた状態を示す。(b),(c) のそれぞれは(a)と同様の効果をもたらす補助車輪で、(c)は (b) の複数の補助車輪を1つにするだけでなく補助車輪の前半分を省略することで補助車輪の蹴込みに当たるまでの滑走距離を倍増し蹴込みに当たっても車輪のようにピニオンの公転を止めてしまうことはない補助車輪である。
(b)の複数個の補助車輪の半径のそれぞれは (a)の スロープを駆け上がる補助車輪が対応するそれぞれの位置での中心と踏面までの距離に一致する。 (c)は補助車輪の形状を渦巻き状にするもので、渦線は等進渦線で、その長さは踏面に接地した長さに同じでその半径は (b)と同様に(a)の スロープを駆け上がる補助車輪が対応するそれぞれの位置での中心と踏面までの距離に一致する。
[図9]は車輪に牽引されるソリにこれらの補助車輪を取りつけ車輪の公転時に補助車輪を引き上げることなく車輪本体から切り離し車輪後部の重量を軽減するものである。 (a)に示すソリ(41)は盤後部がガイドローラーを介して乗り上げるとき階段上に停留し公転時に盤後部が離れるとき移動するものである。
[図10](a)に示すラチェット刃形状の突起爪(32)には円周の接線方向の底面と半径方向の引掛り面があり、この突起爪を有する車輪が階段のノンスリップに当たる時爪の底面に半径方向の力が作用すると突起爪は車輪内に収納され、爪の引掛り面に円周方向の力が作用するとこれに抵抗し、車輪と階段のノンスリップとが噛合い車輪は滑ることなく登坂する。また接地面ではもっぱら爪の底面に半径方向の荷重が作用するだけなので突起爪は車輪内に収納され引掛り面が地面を引っ掛けることなく、車輪は突起爪を付さない車輪と同様に平坦走行する。(a)は円周を8等分して突起爪を1列にして付した車輪を例
示するものであるが、複数列の突起爪を位相をずらして重ね合わすと、ノンスリップと大きく噛合いながら滑ることなく登坂する車輪が可能となる。
[図11]は車が階段の途中で停留するための安全装置で、車体の傾斜時に降りる方向の回転をロックし水平時に解除するブレーキである。(a)は車体の水平時の状態を示し(b)は車体の傾斜時の状態を示す。このブレーキ(65)は車体に回転自由のヒンジ(15)で吊り下げられ、車体の水平時にだけでなく車体の傾斜時にも鉛直が保たれるため、車体の水平時には車輪に触れることはなく、車体の傾斜時には車輪に接触し車輪の回転とともに当り(45)が車輪に食い込み更に突起(32)が車輪を押さえて車輪の降りる方向の回転をロックする。この車体に鉛直に吊り下げられたブレーキ(65)は当り(45)の他に突起(32)を有し、突起(32)はタイヤの空気圧が少ないときなど当りがヒンジを挟んで反対側まで回転し通り過ぎてしまうことを防ぐものである
階段を昇降する車の車輪 円形、正方形、正三角形、菱形の車輪 モーター歯車の廻りに放射状に配置した歯車に取り付いた車輪 モーター歯車の廻りに放射状に配置した歯車に取り付いた車輪 モーター歯車の廻りに放射状に配置した歯車に取り付いた車輪 二辺車輪 車軸の公転で車輪は1回の自転をする階段を昇降する車の車輪 車軸の公転で車輪は1回の自転をする階段を昇降する車の車輪 車軸の公転で車輪は1回の自転をする階段を昇降する車の車輪 車輪は突起爪を付す車輪 車が階段の途中で停留するための安全装置
符号の説明
(1) 車体
(2) 車体重量を支持する車軸
(3) 電動機等により駆動する歯車
(4) 歯車或いは車輪の回転軸
(5) (4)にベアリングを介して取り付けた歯車
(6) (4)にキーで固定して取り付けた歯車
(7) (4)にベアリングを介して取り付けた車輪
(8) (4)にキーで固定して取り付けた車輪
(9) 車輪のフレーム
(10)(9)の内側に取り付けたチェイン
(11)(9)の外側に取り付けたタイヤ、ゴム等の緩衝材
(12) 回転軸と回転軸とを連結するリンクプレート
(13) 複数の回転軸を取り付ける盤
(19) モーター
(20) 軸受
(25) (4)に取り付けた盤
(26) 階段の蹴込み部分
(27) 階段の踏面部分
(28) 階段のノンスリップ部分
(41)ソリ
(42)スロープ
(43)渦巻き補助車輪
(r1)スロープを駆け上がる直前位置での補助車輪の中心と踏面までの距離
(r2)スロープ昇段中の位置での補助車輪の中心と踏面までの距離

Claims (3)

  1. 車輪と、該車輪に固着される車輪歯車と、該車輪歯車と噛合しそれに回転を与えるピニオンと、該ピニオンがとりつき上記車輪の回転軸を中心に回転し片方の端部に車体を支持する車軸が他方の端部に補助車輪が取り付く盤とを備え、
    上記ピニオンが上記車輪歯車を回転させて平地走行し、上記車輪歯車の回転停止時に上記ピニオンが上記車輪歯車の周りを自転しながら公転し上記補助車輪が上記車輪後方、上記車輪を押し上げて、上記ピニオンが上段ノンスリップを通過した後、上記車輪が上段ノンスリップを中心に公転して階段を昇降する車。
  2. 請求項1記載の車輪外周に沿って等分に配され回転可能に取付けられたラチェット刃形状の突起爪を備えた階段を昇降する車であり、
    該車輪外周の接線方向に地面と接地する底面と該車輪外周の半径方向にノンスリップと噛合う引掛り面を有し、該底面に地面と接地するとき或いは階段のノンスリップと接触するとき半径方向の力が作用して車輪内に収納され、該引掛り面に階段のノンスリップと接触するとき円周方向の力が作用するとこれに抵抗し、車輪と階段のノンスリップとが噛合い車輪は滑ることなく登坂するようにして階段を昇降する車の車輪の回転を停止させる突起爪を備えた階段を昇降する車。
  3. 頂点に車体に接続する回転可能な接続軸を有し、左右対称のほぼ3角形の形状の回転体で、上記回転体が鉛直に吊り下げられたとき、平地走行時にタイヤ外周と接触しない非接触部分が上記3角形の底辺部分の中央にあって、上記非接触部分の両側に車体傾斜時に車輪に接触する接触部を有し、車輪の回転に巻き込まれる上記接触部の外側には更に車輪の回転に巻き込まれたときタイヤ外周と接触して回転を止める突起を有し、
    車体の傾斜時に鉛直が保たれることで車輪に接触するようにして車輪の回転とともに回転する回転体で、車輪に接触した上記接触部が上記回転可能な接続軸を中心に回転しながら車輪に食い込み、更に上記接触部の外側の突起が車輪を押さえて、階段を昇降する車の落下を阻止するブレーキを備えた階段を昇降する車。
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