JP2006306370A - 外周が渦巻き曲線の形状の車輪 - Google Patents

外周が渦巻き曲線の形状の車輪 Download PDF

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Abstract

【課題】
走行する機能だけでなく障害物を乗り越える機能を持つ車輪を提供する。
【解決手段】
外周が渦巻き曲線の形状の車輪で、回転に伴い車輪径が増大して渦巻き曲線の中心が上下する車輪で、平地では渦巻き曲線の中心を貫通する車軸に取り付けた車輪だけが回転して平地走行し、階段内では渦巻き曲線の形状の車輪全体が回転して昇段する車輪で、渦巻き曲線の外周に複数個の車輪を並べて配置することで渦巻き車輪全体が回転したとき前進せずにその場で車軸を上下させ階段を昇降する車輪。
【選択図】 図7

Description

本発明は外周が渦巻き曲線の形状の車輪に関する。
たとえば人が階段を上る時上段にかけた足のもう一方の足は下段にあって、体重を上段の足に移してから下段の足を上段に引き上げる。階段を上りきるまで下段の足は体重を支持しているので上段の足にいくら力を入れても下段の足を宙に浮かすことは出来ない。従来の階段を昇降する車輪には図8(a)に示すように回転軸1を中心に3方向に3本の枝が取り付き、その先端に車輪が取り付くものがあり、これは段差が低く1回転で車軸1が上段に移る場合を除いて階段を昇段することは出来ない。なぜなら車軸1が下段上空にある場合、車軸1に加わる荷重は下段に接地する車輪が支持しているので、車軸1に働く回転力だけで下段に接地する車輪を宙に浮かすことは出来ないからである。車軸1が下段の上空にある以上車軸1にいくら回転力を加えても下段に接地する車輪を宙に浮かすことは不可能である。この場合車軸1に回転力以外に車輪を引き上げる力か或いは押し上げる力がなければ昇段することは物理的に不可能である。車輪に下から押す力或いは上から引き上げる力が加われば宙に浮かすことが出来るが、この場合でも車輪を支持する部分を宙に浮かすには相当大きな回転力が必要となる。
通常の車輪が階段を昇るには車軸に働く回転力以外に車輪を下から押し上げる力が必要である。このような理由から車輪にジャッキアップ機能を持つクランクを組み合わせ、車輪の昇段後に車輪を下段で支えたクランクを引き上げる方法が発明された(特許文献4参照)。図8(b)は平地走行時に車軸を回転させるモーターが車軸の回転が止まると車軸の周りを公転し、クランクKが上下して車輪をジャッキアップするもので、昇段中下段に接地して車輪を押し上げる装置は車輪が昇段した後に引き上げられる。
図8(c)は外周が渦巻き曲線の形状の車輪で、回転に伴い車輪径が増大して渦巻き曲線の中心が上下する車輪を有する段差解消車椅子(特許文献1図17参照)で、車輪を下段で支持し上昇に押し上げる装置を持たないもので、昇段を終えるまで車輪自体が下段に接地し車軸が上段上空に移動する。昇段中つねに車輪の一部が下段に接地しているので、車軸に回転力を与えるだけで昇段し他からの力を必要としない。外周が渦巻き曲線の形状の車輪は、下段で支えて下から押し上げる装置を必要とせずに車輪が単独で階段を昇降することができるものである。
外周が渦巻き曲線の形状の車輪によって昇段する手法は、段差解消車椅子に既に用いられているが(特許文献1図17参照)、渦巻き車輪は前進しながら車輪の高さを上げるもので、昇段には1回転する必要があり1回転するには長い前進距離が必要である。階段を昇降する場合、渦巻き車輪は1回転するには階段の踏面の長さはあまりにも短い。そこで渦巻き車輪外周に複数個の車輪を並べて配置し渦巻き車輪を前進させずにその場で車軸を上下させるようにした(特許文献2図11参照)。また複数個の車輪を付けた渦巻き車輪をテコの先端に取り付けると、初めから終わりまで一定の力で荷物を引き上げることができた(特許文献3図7参照)。以上のように外周が渦巻き曲線の形状の車輪は、車輪自体が階段を昇降し小さく均一な回転力で有効に働き無駄なく効力を発揮するので、非常に円滑な昇降動作が可能になる。
特願2004−040587 特願2005−101197 特願2005−337170 特願2005−260614
外周が渦巻き曲線の形状の車輪には以下のように欠点があり、解決しなければならない課題がある。外周が渦巻き曲線の形状の車輪が1回転するとき長い距離を前進するので、階段の踏面の長さでは1回転することは出来ない。外周が渦巻き曲線の形状の車輪が階段を昇るには階段の踏面上で前進させずに1回転させその場で車軸を上下させるようにする必要がある。これが第1の課題である。階段の寸法及び形状が多種多様であり、どのような階段でも昇段できるようにするには、車輪が階段を感知して渦巻き車輪全体が回転し、平地走行では渦巻き曲線の中心を貫通する車軸に取り付けた車輪を回すようにすれば良いことになる。平地走行と昇段を自動的に切り換えることが第2の課題となる。
しかし一本の車軸の両端に上述の渦巻き車輪を取り付けた場合を考えると、平地走行で左右の両輪は別々に回転する必要があり、車軸の中間には差動装置を取り付ける必要がある。中間には差動装置を取り付けると階段内では左右両輪は同時に動くことはなく片方の渦巻き車輪だけが昇段し他方が落段するような状態になる。階段内で左右両方の渦巻き車輪は同時に動かなければ転倒することになるので、これを解決することが第3の課題となる。
第1の課題を解決するための手段について述べる。外周が渦巻き曲線の形状の車輪は、渦巻き曲線の中心を貫通する車軸に取り付けた車輪が回転して平地走行するが、階段内では渦巻き曲線の形状の車輪全体が回転して昇段する。渦巻き曲線の形状の車輪全体の回転に伴い車輪径が増大して渦巻き曲線の中心が上昇し、外周の形状が渦巻き曲線であることで昇段中初めから終わりまで一定の回転力で車輪を浮き上がらせることができる。1回転すると長い距離を前進し、階段の踏面の長さでは1回転することは出来ない。階段の踏面上で前進させずに1回転させその場で車軸を上下させるようにするには、渦巻き曲線の外周に複数個の車輪を並べて配置し、渦巻き車輪全体が回転したとき前進させないようにする。昇段直前の状態では渦巻き車輪の末端が下段にありながら車軸は上段の上にあって昇段時には車軸は上段に倒れ込むようにしなければならない。この部分で、渦巻き車輪が前進するようにすれば車軸は上段に乗り移り、渦巻き車輪全体は1回転して自力で昇段する。渦巻き曲線の末端に地面と摩擦があって滑らないタイヤ部分を設けて前進するようして上段に昇段させる。
第2の課題を解決するための手段について述べる。本発明の渦巻き車輪は平地では渦巻き曲線の中心を貫通する車軸に取り付けた車輪だけが回転し階段内では渦巻き曲線の形状の車輪全体が回転するもので、平地走行と昇段を自動的に切り換える必要がある。渦巻き曲線の中心の車軸には車軸に固定されない渦巻き形状の車輪枠と車軸に固定された車輪がとりつき、渦巻き形状の車輪枠に取り付けたブレーキが車輪の回転を止めることで渦巻き車輪全体が車軸と一体になって回転するようにする。この切換え装置は車軸に固定された車輪の回転を止めたり外したりするブレーキ装置が回転してもブレーキ装置を作動させたりさせなかったりするスイッチ装置を回転する渦巻き形状の車輪枠外部の回転しない車体に取り付けることを特徴とする切換え装置で、車軸を中心に回転するブレーキ装置が車体に固定されたスイッチ装置により出し入れされる当たりに当たることで渦巻き車輪全体を回転させたりしなかったりする切換え装置である。これとは別に、車軸を貫通し車体に固定された電磁石がスラスト軸受けを中間に介在させてクラッチ盤を押さえつけ渦巻き形状の車輪枠と車軸に固定された車輪とを密着させるようにすると渦巻き車輪の回転の任意の位置で平地走行と昇段を自動的に切り換えることが出来る。この切換え装置は車軸に固定された車輪とブレーキ装置が回転してもブレーキ装置を作動させる起動部分は回転しない車体に取り付けることができる。
第3の課題を解決するための手段について述べる。車輪回転軸の両端に請求項1〜3の渦巻き車輪を取り付けた階段を昇降する車を考えるとき、平地走行で方向を自由に変えて走行するには左右の両輪は別々に回転する必要があり、車輪回転軸の中間には差動装置を取り付ける必要がある。しかし階段を昇段する場合、左右両輪は同時に昇段を開始し終了しなければ、車体は左右に傾き片方だけが昇段し他方が落段するような状態になり車体は階段内で転倒することになる。このような事故を防ぐには別の車軸を車体に取り付け、この車軸の両端に歯車を固定して取り付け、これと左右両方の渦巻き車輪枠のそれぞれに取り付けた歯車を連動させて一体にし、階段内では左右請求項1〜3の渦巻き車輪が同時に動くようにして、また車体に取り付けた車軸にブレーキを取り付け渦巻き車輪枠にかけられたブレーキが解除される時にブレーキをかけるようにして渦巻き車輪の回転の任意の瞬間に静止させる。
渦巻き車輪外周に複数個の車輪を並べて配置し渦巻き車輪を前進させずにその場で車軸を上下させるようにすると、初めから終わりまで一定の力で階段を昇段することができ非常に円滑な昇降動作が可能となり、車体の上下動も少なく自然な動きで効率が良い。また初めから終わりまで一定の力で荷重が負荷された車軸を上下させることができるので手動で物を持ち上げることが出来、渦巻き曲線外周に複数個の車輪を並べたテコを用いて荷台を上下させる台車に利用したりすることができる。
本発明の階段を昇降する車輪を説明する前にスロープを駆け上がる車輪について説明し、本発明の階段を昇降する車輪の外周が渦巻き曲線の車輪が平地走行して車軸を上昇することと、車輪がスロープを駆け上がりながら車軸を上昇することとが同様のことであることを説明する。
図1(a)はスロープを駆け上がる車輪をしめし、車輪計が小さい場合で、図1(b)は車輪計が大きい場合である。図1(c)は車輪外周が渦巻き曲線の車輪が平地走行する状態をしめす。図1においてXXはスロープ、YYは車軸を通る鉛直線、ZZは接地点を通る鉛直線、WWは車軸と接地点を結ぶ直線、Sは直線YYと直線ZZの間の距離、Θはスロープの勾配をしめす。
図1(a)(b)において車軸に負荷される荷重の作用線は車軸を通る鉛直線YYで、鉛直線YYと接地点を通る鉛直線ZZとの距離Sと荷重の積は車輪が落下しようとする力のモーメントであり、スロープを登坂する車輪にはこれに相当する回転力が必要である。図1(a)(b)において直線YYと直線ZZの間の距離Sが同じであれば回転力が同じであり、車輪が大きくなればなるほど車軸を通る鉛直線YYと車軸と接地点を結ぶ直線WWとのなす角度は小さくなり、登坂できるスロープの勾配は小さくなる。
図1(c)にしめすように車輪外周が渦巻き曲線の車輪は回転に伴い車輪径が増加する。渦巻き曲線の外周に複数個車輪を取り付けた場合、接地点は1か所ではなく2か所になり、2つの接地点の距離Sが 図1(a)(b)に述べたSと同じ長さであれば、図1(a)(b)のスロープを登坂する回転力で図1(c)の渦巻き車輪は止まることなく回転し車軸を上昇させることができる。接地する2つの車輪と車軸の3点で形成される直角三角形において直角三角形の高さSが常に一定であれば、終始一定の回転力で渦巻き車輪は回転する。直角三角形の高さSが常に一定であるとき、車輪径が大きくなればなるほど直角三角形の底辺と斜辺の長さの差は少なくなり、渦巻き曲線は回転の始まりにおいて半径の増加は大きく、回転の終わりにおいては半径の増加は少なく、渦巻き曲線は限りなく円に近づく。同じ回転角で同じ回転角のアルキメデスの渦巻き曲線とは異なるものである。
図2は本発明の階段を昇降する車輪の構成を説明する図面である。図2(a)は車輪外周の渦巻き曲線の作図方法を説明し、図2(b)は請求項1の外周が渦巻き曲線の車輪の特性について説明する。図2(a)において直角三角形OPiPi+1(i=1,2,3・・・)の斜辺OPi+1に、底辺が同長(PiPi+1=Pi+1Pi+2)の直角三角形OPi+1Pi+2の高さの辺を順次重ね合わせると車輪の外周の渦巻き曲線が作図される。
渦巻き曲線の中心Oを車軸1が貫通し、車軸1に車軸車輪2がキーで固定されて取り付けられる。車軸車輪2の両側をはさむように外周が渦巻き曲線の渦巻き形状のプレート3が取り付けられ、渦巻き車輪の中心を車軸1が貫通する。車軸が回転すると車軸車輪も回転するが、車軸1が回転しても渦巻き形状のプレート3は回転しない。平地走行では車軸車輪も回転しても渦巻き形状のプレート3は回転しない。渦巻き形状のプレート3は階段を昇降するときにだけ回転する。したがって本発明の階段を昇降する車輪には渦巻き形状のプレート3を回転させたり回転させなかったりするスイッチが必要である。図3以下でこのスイッチについて説明する。
渦巻き曲線外周には複数個の車輪Wi(i=1,2,3・・・)が取り付けられ、渦巻き曲線の末端部にはタイヤWEが取り付けられる。渦巻き曲線外周に複数個の車輪Wiを取り付けることにより渦巻き車輪が回転しても前進せずに車軸1はそのままの位置で上昇することになる。車軸1が上段に移るには前進する必要があり渦巻き曲線の末端部にタイヤWEを取り付けて車軸1を前進させながら上段に移すことができる。図中→は回転方向を示し⇒は公転方向を示す。
ブレーキ4は渦巻き形状のプレート3に取り付けられ、車軸車輪2に接触すると車軸車輪2の回転によって回転し車軸車輪2に巻き込まれて制動力を増すブレーキで、一度車軸車輪2に噛み合うと勝手には外れない。車軸車輪2は車軸1と一体なので、ブレーキ4が車軸車輪2の回転を止めると、車軸1と渦巻き形状のプレート3は一体となり、車軸1の回転がそのまま渦巻き形状のプレート3の回転になる。ブレーキ4は渦巻き形状のプレート3に取り付けられ回転するので、図2に示すようにブレーキ4を作動させるスイッチも渦巻き形状のプレート3に取り付けて回転するが、ブレーキ4を作動させるスイッチを渦巻き形状のプレート3に付けずに車体に取り付け回転させない方法を図3以下に説明する。
図2(b)はプレート3が回転した任意の瞬間を示す。一点鎖線Y1は車軸1を通る鉛直線で、車軸に負荷される荷重の作用線である。一点鎖線Y2は車輪W3の接地点を通る鉛直線で、プレート3の渦巻き形状が図2(a)の方法で作図されたものならば、渦巻き形状のプレート3の回転した任意の瞬間において力の作用線Y1と支点間距離Sは一定である。したがって荷重による力のモーメントは一定に働き、車軸1に加わるトルクは終始一定でよいことになる。このことは車輪の昇段が勾配が一定の緩い坂道を登坂しているのと同じであることを意味していて、モーターには大きな回転力を必要としないことを意味する。
プレート3の回転で車輪Wiが順次接地するが、階段の踏面は勾配がなく水平なので車輪が坂を下るように下段に落ちることなく、渦巻き形状のプレート3の回転により車軸1はそのままの位置で上昇する。最後のタイヤ部分が接地すると、車軸1は前進しながら上段に移ることになる。
図3(a)は本発明の階段を昇降する車輪の平地走行状態を示し、昇段の時に⇒方向に前転して図3(b)の状態になる。渦巻き車輪は回転によって車輪径が増加し車軸1は上昇して上段に乗り移るが、車軸1を上段に移すまで車輪の一部は下段に接地し車軸車輪2に加わる荷重を支持する。渦巻き車輪の特徴は図2で説明したように回転によって徐々に半径を増加させる事で小さな回転力で車軸をジャッキアップすることと、昇段が完了するまで常に車輪の一部が下段に接地し車軸を下から支えていることである。
図3(b)の状態において車軸車輪2が上段のステップ上で宙に浮いた状態のときは荷重を支持する車軸が下降するので車軸1が上段に移る際まったく力は要らない。また車軸車輪2が上段のステップ角部に当たった状態のとき渦巻き車輪は車軸車輪2の回転で登坂する。本発明の渦巻き車輪が階段を下りるときは逆回転する。荷重を支持する車軸が下降するのでブレーキをかけながら降りる必要はあっても力はまったく要らない。ただし図3(b)のように渦巻き車輪の昇段時に車軸車輪2が上段のステップ上から宙に浮いた状態で、上段に移る際まったく力は要らない場合で、渦巻き車輪が下降する場合は渦巻き車輪を回転させる必要がある。
渦巻き車輪は車軸車輪だけが回転して走行する状態と、渦巻き車輪全体が回転して昇段する状態のいずれかであり、渦巻き車輪全体は回転しているかいないかのいずれかである。(渦巻き車輪全体は回転していないときは車体に取り付けた逆転防止装置のラチェット爪で図2(a)に示す平地走行状態で静止させる。)図3(a)に示す平地走行状態においてのみ車軸1と渦巻き車輪枠3が遊離しており車軸が回転しても渦巻き車輪全体は回転しない状態である。その他の状態では車軸1と渦巻き車輪枠3は合体しており、車軸の回転はそのまま渦巻き車輪の回転になる。即ち車軸と渦巻き車輪の遊離と合体のスイッチの入り切りの位置は図3(a)に示す平地走行状態で、そのときの渦巻き車輪の回転角は常に一定である。図3の例では、図3(a)に示すように渦巻き車輪が横になった位置でスイッチは入れられ、図3(b)に示すように渦巻き車輪が立ち上がった位置でスイッチは切られる。
図3の例では渦巻き車輪外周の1番目の車輪W1は車軸1を中心にして回転するプレート5の先端に取り付けられる。渦巻き車輪外周の1番目の車輪W1が階段の蹴込みに当たると、プレートは内側に回転してプレートに取り付けられたベアリング12がブレーキ4を回転させる。渦巻き車輪の裏側が蹴込みに当たると、ブレーキ4は外れる方向に回転する。
図3の例のようにブレーキから遠い場所での動きを、機械的にブレーキまで伝達するより、遠くから送られる電気信号でブレーキの入り切りを操作するほうが簡単で確実である。また電気信号は増幅してブレーキをかける力をいくらでも大きくすることが出来る。任意の位置で回転する車軸と回転する渦巻き車輪の車輪枠を合体或いは遊離させる切換え装置は、それらの回転と一緒に回転する必要があるが、切換え位置が図3(a)の平地走行状態に限ると、切換え装置は車体に固定でき回転体に取り付ける必要はなくなる。
図4(a)は渦巻き車輪が1回転してきて平地走行状態に戻る直前の状態で、ブレーキ4が外れる直前の状態を示す。図4(b)は渦巻き車輪がさらに回転して、ソレノイドC1で出し入れされる当たりC3が当たってブレーキ4が外れた状態で、図4(c)はソレノイドC1で出し入れされる当たりC2が押さえてブレーキ4を入れる状態を示す。図4に示すブレーキ4は、図4(c)に示すようにブレーキの中央が車輪に接触すると車輪の回転によって回転し、図4(a)に示すように回転すればするほどブレーキの半径の長い部分が接触するので制動力を増し、また接触部分の両側の半径は接触部分より半径が大きくなっているので、いったんブレーキが入ると外れることはない。但しブレーキ4の回転軸が動かないことが条件である。図4は渦巻き車輪が昇段方向に回転する場合であるが、降段方向に回転する場合でも同様にブレーキの入り切りは実行される。
Aは接続軸A1を中心にして回転するアームで接続軸A1は渦巻き車輪枠3に取り付く。アームの他端の接続軸A2にはブレーキ4が取り付けられ、Aが接続軸A1を中心にして回転してブレーキ4を上下させる。Bは接続軸B1を中心にして回転するT型のプレートで接続軸B1は渦巻き車輪枠3に取り付く。接続軸B1を中心にして3方向に枝が取り付き、2つの枝にはベアリングB2が取り付き、残りの枝B3はアームAを上から押さえてブレーキ4の接続軸A2の位置を固定するものである。図4(a)(c)のように枝B3がアームAに直角に当たるとき、アームAを下に押さえブレーキ4を車軸車輪2に接触させる。車軸車輪2の回転によってブレーキ4が回転し、ブレーキ4の半径が長い部分が車軸車輪に接するようになる。このとき接続軸A2には上に押し上げる力が作用するが、枝B3がアームAに直角に当たっているので動くことはなく、ブレーキ4が車輪2を押さえる力は増加する。T型のプレートBが4分の1回転すると、押しバネA3でAは上に押し上げられ、ブレーキ4は車軸車輪2から離れる。Cは当たりでプッシュ型ソレノイドC1によって上下する。プッシュ型ソレノイドが作動して当たりが下がると当たりの上部C2はベアリングB1を抑えてブレーキを入れた状態になる。プッシュ型ソレノイドの通電がなくなると、図4 (a)に示すように当たりCは上に上がり、当たりCの下端C3が枝B3の下端に当たる位置で待機する。渦巻き車輪枠3の回転に伴い枝B3の下端は車軸1を中心に円運動し、当たりの下端C3は固定した位置にあってその軌道内に入れば、図4(b)に示すようにT型のプレートBを回転させる。
図5 (a)はブレーキの入り切り操作を電磁クラッチで行うもので、中間にスラストベアリングを介してクラッチ板をおえることで、電磁石を固定した状態でも回転体同志の合体が可能となる。D1は電磁石、D2は押しバネ、D3は鉄芯で、これらは車軸を貫通し車体13に取り付けられ回転しない。D5は押さえで、D6はクラッチ板で車軸を貫通する円板で、鉄芯D3と押しバネD2によって押さえられ、スラストベアリングD4を介して押さえられるので車軸の周りを回転することが出来る。D5が押さえられると押さえD5とクラッチ板D6と渦巻き車輪枠3と車軸車輪2は密着して一体になって回転する。車軸車輪2が車軸1と一体なので車軸1の回転がそのまま渦巻き車輪枠3の回転になる。図5(a)の電磁クラッチを用いると、渦巻き車輪全体の回転の始動と解除は任意の位置で行うことが出来、ブレーキつきのモーターを用いてブレーキつきのモーターの回転を停止させると、渦巻き車輪は車軸1と渦巻き車輪枠3を合体させたままの状態で回転の途中で回転を停止し待機するようになる。
図5(b)は4駆の渦巻き車輪を持つ台車の昇段中の状態図で、片方の渦巻き車輪が蹴込みに当たって台車の前進を拒み他方の渦巻き車輪が前進して昇段しようとする状態図である。この状態で昇段しようとする渦巻き車輪が回転すれば前進できないので渦巻き車輪の車軸が上段に乗らないようになる。このような事態を避けるため、昇段しようとする渦巻き車輪は蹴込みに当たった渦巻き車輪が前進するまで回転を止めて待っている必要がある。このように渦巻き車輪は平地走行と、渦巻き車輪全体の回転と、渦巻き車輪の回転途中で停止する3つのモードが必要である。この3つのモードは電気的に処理される。
渦巻き車輪が踏面に接して回転するとき前進しながら車軸が上昇するが、渦巻き車輪が蹴込みに接して回転すると、回転のはじめにおいて後退しながら車軸を上げることとなるので、前後の4輪で駆動する階段昇降車を考えると、昇段中に後退する車輪はその他の車輪の昇段を阻止し或いは昇段して上段に乗った車輪を引きずり下ろす事になる。したがって渦巻き車輪は蹴込みにあたらない場所で回転するようにして後退を防止しなければならない。渦巻き車輪は蹴込みに当たらない位置では回転しても後退しない。むしろ前進しながら車軸を上昇させる。渦巻き車輪は蹴込みより遠く離れた位置で回転し始め、車体を上昇させた後は前進しながら上段に倒れこむようにして車軸を上段に乗り移すようにする。渦巻き車輪は渦巻き曲線の外周に並べた複数個の車輪が踏面に接して回転しているとき前進しないが、他の渦巻き車輪が昇段直前で前進しているとき前進してしまい蹴込みに当ることになる。他の渦巻き車輪は前進できず昇段できない。このため渦巻き車輪の回転途中で停止するモードが必要となる。
図6は車体重量を支持する車軸にモーター歯車をとりつけ、モーター歯車の回転を車輪歯車に伝えて平地走行する階段昇降車で、車輪歯車の回転を止めるとモーター歯車が車輪歯車の周りを公転し階段を昇段する車である(特開2004−182217参照)。車輪回転軸を中心にして回転するプレートにはモーター歯車とその反対側にジャッキアップ機能が取り付く。モーター歯車の上昇時にジャッキアップ機能は下降する。ジャッキアップ装置にクランクを取り付けたものがあるが、(特願2005−260614参照)図6は本発明の渦巻き車輪を取り付ける。
車輪回転軸Lには車輪L1と合体し車輪回転軸Lと固定されない車輪歯車L2と、車輪L1と遊離し車輪回転軸Lに固定されないブレーキ歯車Nの2枚の歯車が貫通し、車輪歯車L2はモーター歯車M1と噛み合いブレーキ歯車Nはモーター歯車M1と噛み合わない。モーター歯車M1が回転すると車輪歯車L2は回転するがブレーキ歯車Nは回転しない。ブレーキ歯車NにはアームN1が取り付きアームN1には車輪歯車L2を抑える爪プレートN2を取り付けられる。車輪回転軸Lを中心にして回転するプレートMにはモーター歯車M1とその反対側に渦巻き車輪M2が取り付き、渦巻き車輪の車軸に固定される渦巻き歯車M3がブレーキ歯車Nに噛み合う。爪プレートN2が車輪歯車L2を抑えて回転を止めるとモーター歯車M1が車輪歯車L2の周りを公転し渦巻き歯車M3がブレーキ歯車Nに噛み合って前進するので渦巻き車輪M2は自転しながら公転する。渦巻き車輪M2が公転すると図6(b)に示すように爪プレートN2に近づいていくが、渦巻き車輪とブレーキ歯車とは捩りバネ11でつながり、捩りバネ11によって引き戻される時自転と公転が逆回転になり、渦巻き車輪は爪プレートとは遠ざかり図6(a)に示す平地走行時に戻る。車輪回転軸を中心にして渦巻き車輪と爪プレートが取り付くアームの間の角度は図6(a)に示す平地走行時に最大で渦巻き車輪と爪プレートとは一定の位置にあることになる。
モーター歯車が車輪歯車の周りを公転する動きは、階段の蹴込みを感知して爪プレートが車輪歯車を押さえることにより開始する。爪プレートが車輪歯車を押さえると爪プレートと車輪歯車が合体して回転し、爪プレートの爪と反対側の端部がステップ角部に当たる。爪プレートはテコの作用で車輪歯車に強力にブレーキをかけて車輪歯車の回転を止める。車輪歯車の回転が止まりモーター歯車が回転し続けると、モーター歯車は止まった車輪歯車上を前進し、モータープレートは車輪回転軸の周りを回転する。渦巻き車輪歯車は止まったブレーキ歯車の上を前進し自転しながら公転する。
図6(b)に示すように渦巻き車輪が公転しながら自転するので、車輪の下へもぐりこみながら車輪を自転させるので上へ押し上げる。爪プレートによって車輪とステップ角部とは滑りが生じないので車輪回転軸はステップ角部を中心に円運動し、図6(c)に示すように車輪回転軸は上段上空に移る。爪プレートはブレーキ歯車に踏みつけられるようになり半回転するので、ブレーキ歯車とステップ角部の間の空間をくぐり抜けることが出来る。渦巻き車輪がブレーキ歯車と捩りバネ11でつながっているため、捩りバネ11によって渦巻き車輪歯車はブレーキ歯車の周りを自転しながら公転する。この動きで渦巻き車輪歯車と爪プレートとの間の角度は増大し、またモーター歯車が最下点に下がるので図6(a)の状態に復帰する。
車輪回転軸の両端に図6の車輪が取り付く2輪車を考えるとき、平地走行で方向を自由に変えて走行するには左右の両輪は別々に回転する必要があり、車輪回転軸の中間には差動装置を取り付ける必要がある。しかし階段を昇段する場合、左右両輪は同時に昇段を開始し終了しなければ、車体は左右に傾き片方だけが昇段し他方が落段するような状態になり車体は階段内で転倒することになる。このような事故を防ぐには階段の昇段に際して左右両輪が同時に動く必要があり、差動装置が働かないようにしなければならない。爪プレートが左右のブレーキ歯車を同時におさえ同時に解放するようにして、左右両輪が同時に動くようにするには、左右の爪プレートを一体にしなければならない。左右の爪プレートを一体にすれば、昇段中に左右の両輪が別々の動きをすることはなく、上述の事故は避けられる。左右一体の爪プレートは平地走行と昇段という違ったモードの切換え装置にもなっている。
図6の場合爪プレートN2と渦巻き車輪M2とモーター歯車M1は車輪回転軸Lを中心に回転するのではなく振り子運動をするので、左右の爪プレートN2と左右の渦巻き車輪M2と左右のモーター歯車M1のそれぞれについて一本の車軸の両端に取り付けて左右両輪が同時に動くようにしても何かに当たって支障をきたすことはない。しかし一本の車軸の両端に図2〜図4に説明した渦巻き車輪を取り付けた場合を考えると、平地走行で左右の両輪は別々に回転する必要があり、車軸の中間には差動装置を取り付ける必要がある。中間には差動装置を取り付けると階段内では左右両輪は同時に動くことはなく片方の渦巻き車輪だけが昇段し他方が落段するような状態になる。階段内で左右両方の渦巻き車輪は同時に動かなければ転倒することになるので、図5(b)に示すように左右両方の渦巻き車輪枠のそれぞれに歯車を取り付け、両端に歯車を固定して取り付けた別の車軸を回すようにする。この車軸は車体に取り付けられ渦巻き車輪が一回転しても何かに当たって支障をきたすことはない。またこの車軸にブレーキを取り付けて、渦巻き車輪枠にかけられたブレーキが解除される時、ブレーキをかければ渦巻き車輪の回転の任意の瞬間に静止させることができ、たとえば平地走行時に渦巻き車輪は一定の姿勢で静止する。図5(b)に示す例では車体に取り付けた車軸の両端に取り付く歯車19と左右両方の渦巻き車輪枠3に取り付けた歯車18はそれぞれチェイン20で連結される。
図7は渦巻き曲線の外周に複数の車輪を取り付けた渦巻き車輪を、電動車椅子に取り付けた介助者付の階段を昇降する電動車椅子で、駆動輪に接近して渦巻き車輪を取り付け、渦巻き車輪は階段の蹴込みに当たらない位置で回転し、車体を垂直に上昇させることを特徴としている。また先行の駆動輪には、車輪と噛み合い上段のステップを抑えて昇段中の車体の姿勢を安定させる装置が取り付く。図7(a)は平地走行状態で渦巻き車輪は横になった状態で接地せずに静止している。駆動輪と渦巻き車輪はそれぞれ別々のモーターで駆動し、先行の駆動輪は運転中停止することなく、昇段中も回転している。後続の渦巻き車輪は前方のa接点のリミットスイッチSW1が階段の蹴込みに当たれば起動し、渦巻き車輪が1回転するとb接点のリミットスイッチが当たり23に当たって停止する。図7(b)は昇段直前の状態を示し、上段のステップ面を抑える装置が外れる瞬間を図示している。
車体側の接続軸を中心に回転するアームN1には爪プレートN2が取り付き、昇段の開始時に爪プレート先端の爪21が駆動輪に接触すると、爪21は車輪に巻き込まれて、アームN2は下へ回転し爪プレートの他端のガイドローラー22は上段のステップ面を押さえつけることになる。アームN1は車体側車体側接続軸Nが車軸1より下に位置するため、アームN1の他端の接続軸はアームの回転に伴い車輪から離れ、爪21も車輪から離れる。駆動輪が昇段直前には引きバネ9によって装置は初期状態に戻る。
図7(c)は、図7(a)(b)の駆動輪と渦巻き車輪の組み合わせを車体下に取り付け、車体が壁に取り付けたレールをつかんで姿勢を制御する階段昇降車で、レールには横転方向の力しかかからず鉛直方向の負荷は渦巻き車輪が負担するため、通常の階段昇降車のようにレールに全体重をかけるようなことはなく、あるいは階段上にレールを取り付ける必要もない。
図8(a)は従来の階段昇降車輪で、車軸を中心に3方の枝が取り付き枝の先端に車輪が取り付くものであるが、昇段は上段の車輪を中心に車軸が円運動することで、車軸を通る鉛直線YYと回転の中心との距離Sが大きく、力のモーメントが大きすぎるので車軸にいくら大きな回転力を加えても、車輪全体が回転して下段の車輪を宙に浮かすことは出来ない。
図8(b)は図6の渦巻き車輪のジャッキアップ機能をクランクとするもので、これを実際の階段に適用すると、車輪がステップに乗って落ちないためには、車輪半径がステップ踏面寸法より小さい必要があり車輪歯車を出来るだけ大きくして昇段する力を大きくするため、車輪歯車が内歯車でない限りモーター歯車が車輪外周外側に飛びだすことになり、平地走行状態においてモーター歯車を最下位の位置に設定できない。車輪から飛び出したモーター歯車は上段のステップ上空の位置に設定しなければならない。昇段中モーターの公転は平地走行状態への復帰のための復元力を蓄えるもので、重心が上昇する方向に回転する必要があり、また上昇終了状態にクランクの荷重がかからないようにするためモーターはクランクと反対側に取り付けなければならない。平地走行状態において、クランクと反対側の位置でしかも上段のステップより高い位置でモーター歯車を取り付けると、これらの条件を満足することになる。車輪歯車半径が限りなく車輪半径に近づくと爪プレートN1を仕込む空間がなくなるため、車輪歯車L2とは別にブレーキ歯車Nを車輪の回転軸Lにキーで固定し取り付け、これに爪をかみ合わせて昇段時車輪とステップ角部との滑りをなくすようにする。爪21はブレーキ歯車にはまりやすく、外れやすくするには爪プレートの方向XXをブレーキ歯車の接線方向にし、反対側の脚の部分の方向YYが鉛直になったとき、爪はブレーキ歯車から離れる方向に回転する。またクランクの接地位置は、車輪の乗ったステップより1段下のステップになるので、クランクKの下にはステップ2段にまたがる脚を取り付ける。クランクKの長さを一段下のステップまで届くようにすると、平地走行から1段目の昇段が出来なくなるのでクランクの長さを伸ばさず、2段にまたがる脚が回転するようにする。
図8(c)は段差解消車椅子で、車体を上下する渦巻き車輪にはその外周に複数の車輪を取り付けないので、前進しながら車体を持ち上げる。昇段中座席は水平に保たれる。
渦巻き車輪は回転に伴い車軸の高さを上げるので、回転の始めから終わりまで力のモーメントが一定に働くようにすれば、電動でなくても手動で車軸にかかる荷重を上下することが出来る。これは人を載せた車椅子を運ぶ車椅子運搬車に利用でき、車椅子を乗せたまま床を上下でき、高さの違う場所から場所へ車椅子を移動させることが出来る。
テコで荷物を引き上げるときテコが水平の場合大きな力が必要で、テコが立ち上がるほど必要な力は小さくなる。図9はテコで荷物を持ち上げるときの説明図で、テコが水平に近い場合実線で示しテコが鉛直に近い場合破線で示す。図9(a)は先端が棒状のテコ、図9(b)は先端が渦巻き曲線のテコ、図9(c)は図9(b)の渦巻き曲線上に複数個の車輪を取り付けたテコで、先端の形状を渦巻き曲線にして複数の車輪を取り付けたテコである。
図9(a)に示すようにテコの同じ回転角Θに対して、テコが水平のとき荷物Wの上下動H1は大きく、テコが鉛直に近いとき荷物Wの上下動H2は小さい。すなわちテコで荷物Wを引き上げるときはじめは大きく荷物Wを上げるが、最後になるに従い荷物Wを引き上げずテコだけ動く状態で殆ど力が要らない。これは荷物Wが持ち上がるに従い支点と荷重の作用線との距離が減少し(例えばテコが水平のときこの距離L1は大きくテコが鉛直に近いときこの距離L2は小さい)力のモーメントが減少するからである。この理由でテコで物を持ち上げるとき持ち上がれば持ち上げるほど軽くなることになる。
図9(b)に示すようにテコの先端を渦巻き曲線にすれば、テコの回転によって支点の位置が荷物に近い位置から次第に離れて先頭へ移動するので、アームの回転によって荷物の持ち上がる高さははじめから終わりまで一定で、しかも荷重の作用線と支点までの距離が一定で力のモーメントに変化がなく、初めから終わりまで一定の力で引き上げることができ初めに大きな力が必要ではなくなる。図9(b)に示す1点鎖線X1−X1は水平線でテコは水平線X1−X1から約30度傾いた位置にあり、1点鎖線Y1−Y1は支点を通る鉛直線で荷重の作用線と支点までの距離はL1である。1点鎖線X2−X2と1点鎖線Y2−Y2はそれぞれテコをさらに回転させて地面から約60度傾いた位置にあるときの水平線であり支点を通る鉛直線である。荷重の作用線と支点までの距離はL2で、テコが地面から約30度傾いた位置にあるときの荷重の作用線と支点までの距離L1と同じである。
図9(a)では荷物Wは支点を中心に円運動し、図9(b)では渦巻き車輪が回転した結果と同じになるので、荷物Wも持ち上がりながら前進する。図9(c)は図9(b)の渦巻き曲線上に複数個の車輪を取り付けたもので、図9(b)のような地面との摩擦がなくなるのでテコの支点の位置が図9(b)のように前進せず、荷物Wはそのままの位置で上下動する。
図10はスロープの端部に図9(c)のテコを取り付けたもので、スロープの片方の端部は地面に他方の端部は段差の上に預けられ、スロープの上の荷物の荷重の一部は段差部が支持するので図9(c)のテコで荷物を持ち上げる力はその分軽減される。図10(a)はスロープ端部の図9(c)のテコの部分詳細図で、スロープの地面側の高さは地面の高さの他に2つの高さにして固定することができる。スロープ端部の高さは図10(a)では地面の高さで、図10(c)では例えば本発明の車椅子運搬車の荷台の高さH2である。図10(b)では図10(a)での高さと図10(c)での高さとの中間の高さで例えば電車の昇降口の高さH1である。このスロープは車椅子を水平にしてプラットホームから電車に或いは地面から車椅子運搬車の荷台の上に移動することができる。
図10はスロープのテコで昇降できる側の端部を電車の昇降口に預け、他方の端部を車椅子運搬車の荷台に乗せると、電車からプラットホームへの降ろすことなく、電車から直接車椅子運搬車の荷台に乗せることができる。電車からは地面から荷台まで高さの半分だけ登坂することになるので、その分端部をテコで昇降する手間が省け、また車椅子運搬車の荷台の高さは地面から高い位置にあるので駅から出て乗用車に乗せるならば車椅子を地面に下ろすことなく乗用車の荷台と同じ高さのステージの上に降ろしておくのが親切である。
テコKは接続軸K1でスロープ端部に接続され、接続軸K1の片方には取手35が付き他方にはテコの回転軸K1からの距離の異なる位置で車輪k1k2が取り付く。k3はテコK 1に取り付くラチェット爪で、荷台の高さが図10(a)の地面の高さから、図10(b)の中間位置の高さに持ち上げられたとき荷台に引っかかる。接続軸K1を通る鉛直線Y−Yは荷重Wの力の作用線で、図10(b)において2つの車輪k1k2の接地点の間にあって、ラチェット爪が荷台に引っかからなくても荷台は安定する。図10(c)において荷台は最高の高さを通り過ぎて下降状態にあり、荷台の下降を当たり20で止めると荷台はそれ以上下がらない。
図10(a)に示す荷重Wの作用線と支点Y1−Y1までの距離L1を、図10(b)に示す荷重Wの作用線と支点Y2−Y2までの距離L2と同じにすれば、荷台を図10(a)の地面から図10(b)の中間の高さに引き上げる力と、図10(b)の中間の高さから図10(c)の高さに引き上げる力は等しいようになる。
図11は図10のテコを荷台の両側に取り付けたもので、両側のテコはテコの表面と裏面に別々に2本の連結棒15で連結される。連結棒は荷台と常に平行で、荷台と2つのテコの接続軸T1と連結棒の両端のテコとの接続軸T2の4点で構成される四辺形は常に平行四辺形である。片方のテコには取手が取りつき片方のテコの回転を他方に伝えるとき、チェインによって伝達できるが、連結棒によって伝達するとき4本のリンクがかたどる平行四辺形を長方形に近い場合は片方のテコの回転を他方によく伝えるが直線状にたたまれるとき他方に伝えることが出来ない。このためテコの表面と裏面に別々に位相の異なる2本の連結棒15が必要になる。図面を簡単にするため表面の連結棒の記入を省略する。
図11(a)は荷台の高さがプラットホームの地面の高さ、図11(b)は荷台の高さが電車の床の高さ、図11(c)は荷台の高さが本発明の車椅子運搬車までの高さで、図11(a)は荷台両端の脚24が接地して動かない状態で、図11(b)は車椅子が電車から荷台に乗り移ったとき前後にだけ動く状態である。従って車椅子を電車から台車に載せて後退することができ電車から素早く離れることができる。また従来のスロープで電車から降ろす場合に比べて同じ高さの水平の荷台への移動であるので、車椅子の座席が傾くことなく前向きにでも後ろ向きにでも電車から降ろすことができる。図11(c)はテコに取り付く車輪k2が自在輪であるので自由に方向を変えて走行できる。
各自在輪の車輪枠に車輪と直角に案内車輪或いはベアリング12を取り付ける。各自在輪は図11(a)に示すように空中にあって上向きであるが図11(b)に示すように接地の際各自在輪は下向きに反転する必要があり、各自在輪の車輪枠に車輪と直角に取り付けたベアリングを先に接地させることで自在輪は容易に反転する。
この荷台の高さは車椅子運搬車の荷台の高さなので車椅子を台車から車椅子運搬車の荷台に乗り移すことができ、あるいは台車の荷台下に車椅子運搬車をもぐりこませて、荷台ごとそのままの状態で車椅子運搬車の荷台に乗せることができる。車椅子運搬車の荷台の4隅に図8のテコを取り付けて、且つ又車椅子運搬車の荷台と車体とを接続軸PQにて分離あるいは合体できるようにすれば、車椅子運搬車は荷台部分に昇降装置と自在輪が取り付き、車体部分と荷台部分が分離され自由に走行できるようになる。車椅子運搬車は車椅子運搬車と台車の合体において台車の向きは前後どちらでもよく、車椅子を前向き後ろ向きの別を問わず乗せることができる。
取手の回転は荷台の外で行われるため、取手を地面から90度持ち上げた後は図11(b)に示すように取手内に仕込まれた2番目の取手が飛び出すようにして、図11(c)に示すように2番目の取手を持ち上げることで1番目の取手の90度以上の回転を荷台の外で行うことが出来る。図11(b)において1番目の取手を引き上げて床の高さを途中で止めたいとき、仕込まれた2番目の取手を1番目の取手の逆戻りを防止する方杖にすることが出来、方杖(2番目の取手)の回転を止める当たりの位置によって途中で止める床の高さを調整できる。また2番目の取手の先端に車輪を取り付け接続軸にバネを仕込むと、1番目の取手を引き上げるだけで2番目の取手が自動的に飛びだすようにすることが出来る。
図11のテコはk1とk2の間に複数の車輪を取り付けると荷物を上げる力は少なくてすむが、テコを90度以上に180度程度は回転させる必要がある。取手が荷台の上を円運動するとき90度以上に回転すると荷物と交差するので両側のテコの先端を横架材でつなぐことができない。横架材は水平の取手で両側のテコを同時に動かすことができるが、テコを90度以上に回転するには荷台とテコの接続軸に逆転防止のラチェット爪を仕込んで取手を荷台の外で地面の水平位置から鉛直位置までの90度の回転を往復させるようにしなければならない。これとは別に、図12に示すように複数のテコを地面から90度回転させることでテコの回転を複数の段階に分けるほう方法もある。
図12は図10のテコKの先端のk2の回転軸を新たに追加するテコJの接続軸にして、複数個のテコを連鎖して数珠つなぎにつなぐものである。図12の方法は荷台が地面にあるとき複数個の車輪をほぼ直線状に並べることが出来、図10の方法で1つの渦巻き車輪外周に取り付ける場合のように荷台の上に車輪が飛び出すようなことはなく、図12(a)に示すように平板状に収納できる。また複数個のテコにはそれぞれ取手がつき、複数個の取手の90度の回転を複数回行うことで、図10の方法のように取手を90度以上に回すとき荷台に交差する問題は解消される。
図13は図12のテコが荷台の4隅に取り付く台車で、図13(a)は図12のテコが図12(b)の状態で、図13(b)は図12のテコが図12(c)の状態である。
車輪と渦巻き車輪との比較説明図 階段を昇降する渦巻き車輪の機能説明図。 階段を昇降する渦巻き車輪の動作説明図。 階段を昇降する渦巻き車輪の制御装置の動作説明図。 階段を昇降する渦巻き車輪の制御装置の動作説明図。 実施例を示す動作説明図。 階段を昇降する渦巻き車輪の実施例を示す動作説明図。 従来の階段を昇降する車輪の説明図 テコで荷物を持ち上げるときの説明図 端部に図6(c)のテコを取り付けたスロープの説明図 図9は図8のテコを荷台の両側に取り付けた台車の説明図 複数個の図8のテコを連鎖してつなぐものテコの説明図 図10のテコが荷台の4隅に取り付く台車の説明図
符号の説明
1 車軸
2 車軸車輪
3 渦巻き形状のプレート
4 ブレーキ
5 複数の接続軸を有するプレート
6 両端に接続軸をもつ連結棒
7 接続軸を中心に回転するアーム
8 回転軸
9 引きバネ
10押しバネ
11捩りバネ
12ベアリング
13車体
14階段のステップ角部
15階段の蹴込み部分
16階段の踏面部分
17地面
18左右の渦巻き車輪枠に取り付けた歯車
19一本の車軸の両端に取り付けた歯車
20チェイン
21爪
22ガイドローラー
23当り
24脚
25荷台
26ゴム当の緩衝材

Claims (7)

  1. 外周が渦巻き曲線の形状の車輪で、平地走行で回転に伴い車輪径が増大して渦巻き曲線の中心が上下する車輪で、渦巻き曲線の外周に複数個の車輪を並べて配置することで渦巻き車輪全体が回転したとき前進せずにその場で車軸を上下させ、外周の形状が渦巻き曲線であることで昇段中初めから終わりまで一定の回転力で車輪を浮き上がらせることができることを特徴とする外周が渦巻き曲線の形状の車輪。
  2. 請求項1の車輪で、平地では渦巻き曲線の中心を貫通する車軸に取り付けた車輪だけが回転して平地走行し、階段内では渦巻き曲線の形状の車輪全体が回転して昇段する車輪で、渦巻き曲線の外周に複数個の車輪を並べて配置することで渦巻き車輪全体が回転したとき前進せずにその場で車軸を上下させ、外周の形状が渦巻き曲線であることで昇段中初めから終わりまで一定の回転力で車輪を浮き上がらせることができ、さらに渦巻き曲線の末端に地面と摩擦があって滑らないタイヤ部分を設けて上段に昇段する際前進するようにした階段を昇降する車輪で、このように渦巻き曲線の外周に複数個の車輪を並べて配置し末端にタイヤ部分を設けたことを特徴とする外周が渦巻き曲線の形状の階段を昇降する車輪。
  3. テコの先端の形状を渦巻き曲線にして渦巻き曲線の外周に複数の車輪を取り付けたテコで、荷台端部とテコの接続軸を渦巻き曲線の回転中心にして渦巻き曲線を外周とする渦巻車輪を回転させることで渦巻車輪の接地点と渦巻き曲線の回転中心を通る鉛直線との距離を一定にし、初めから終わりまで一定の力で荷物を引き上げることができるテコで、荷物をそのままの位置で上下動させるテコ。
  4. 請求項3のテコを荷台の4隅に取り付けた台車で渦巻き曲線の外周に取り付けた複数の車輪の末端の車輪を自在輪にして方向転換が自由に出来て走行する台車で、自在輪の車輪枠に自在輪と直角の平面内に案内車輪を取り付け自在輪の接地時に自在輪を反転させるようにして大きなテコ反力を受けないようにした自在輪を有する台車。
  5. 請求項2の車輪が平地では渦巻き曲線の中心を貫通する車軸に取り付けた車輪だけが回転し階段内では渦巻き曲線の形状の車輪全体が回転するようにする切換え装置で、渦巻き曲線の中心の車軸を貫通し車軸に固定されない渦巻き形状の車輪枠が渦巻き曲線の中心の車軸に固定された車輪の回転を止めることで渦巻き車輪全体が車軸と一体になって回転するようにする切換え装置で、車軸に固定された車輪の回転を止めたり外したりするブレーキ装置が回転してもブレーキ装置を作動させたりさせなかったりするスイッチ装置を回転する渦巻き形状の車輪枠外部の回転しない車体に取り付けることを特徴とする切換え装置で、車軸を中心に回転するブレーキ装置が車体に固定されたスイッチ装置により出し入れされる当たりに当たることで渦巻き車輪全体を回転させたりしなかったりする切換え装置
  6. 請求項2の渦巻き形状の車輪枠が渦巻き曲線の中心の車軸に固定された車輪の回転を止めることで渦巻き車輪全体が車軸と一体になって回転するようにする切換え装置で、車軸を貫通し車体に固定された電磁石がスラスト軸受けを中間に介在させてクラッチ盤を押さえつけ渦巻き形状の車輪枠と車軸に固定された車輪とを密着させたりさせなかったりする切換え装置で、スラスト軸受けを中間に介在させることを特徴とする電磁クラッチ。
  7. 車軸の中間に差動装置を取り付けた1本の車軸の両端に請求項2の渦巻き車輪を取り付けた階段を昇降する車において、車体に取り付けた車軸の両端に取り付く歯車と左右両方の渦巻き車輪枠のそれぞれに取り付けた歯車を連動させることで階段内では左右請求項2の渦巻き車輪が同時に動くようにし、車体に取り付けた車軸にブレーキを取り付け渦巻き車輪枠にかけられたブレーキが解除される時、ブレーキをかけて渦巻き車輪の回転の任意の瞬間に静止させる一連の装置。
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