JP3546332B2 - 運搬装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪と電動機により駆動されかつ昇降脚を持つ階段昇降装置とを有する運搬装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
階段昇降装置を持つ運搬装置は種々の変形で公知である。例えばドイツ連邦共和国特許第３７１３５６４号明細書は、両側に１対の車輪を持つ車椅子を記載しており、その車輪は、一緒に駆動されかつ互いに離れた平行な別々の軸の周りに揺動可能であり、軸はそれぞれ偏心してボス円板に結合され、対応する車輪のリムがこのボス円板に同心的に回転可能に支持されている。
【０００３】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７４５１５３号明細書には、架台に設けられる車輪と電動機により駆動される階段昇降装置とを持つ別の運搬装置が記載されている。ここでは電動機が、それぞれ第２の偏心レバーを回転可能に支持する第１の偏心レバーを駆動し、第２の偏心レバーの端部が、運搬装置に直線的に案内される担体に回転可能に支持され、第１の偏心レバーと第２の偏心レバーとの間に歯車又は鎖が設けられている。これらの運搬装置に共通なことは、これらの運搬装置が鎖及び歯車を使用するので比較的費用のかかる構造を必要とすることである。更にこれらの運搬装置は階段昇降装置のために比較的大きい電動機を必要とする。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の基礎になっている課題は、構造が簡単で軽量の階段昇降装置を持つ運搬装置を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
最初にあげた種類の運搬装置において与えられた課題を解決するため本発明によれば、電動機が、運搬装置の中心縦軸線に対して対称なクランク軸として構成される駆動軸を駆動し、駆動軸の各半分において、一方のクランクに昇降脚が回転可能に支持され、他方のクランクに車輪が回転可能に支持されている。クランク軸として構成される駆動軸は昇降脚も車輪も上昇及び下降させるので、鎖及び歯車による費用のかかる動力伝達をなくすことができる。それにより階段昇降装置は一層安価に製造され、故障し難くなる。ドイツ連邦共和国特許第３７１３５６４号明細書の運搬装置に対する別の利点は、昇降脚が次の段の前に対して一層小さい間隔で荷重を引受けることである。それにより昇降脚の支持点と次の段上に乗る車輪との間の水平間隔が短くなる。それにより取っ手における負荷変化が著しく減少される。
【０００６】
車輪の上昇及び下降運動用のクランクと昇降脚の上昇及び下降運動用のクランクは、なるべく１８０°の角をとることができる。車輪クランクも昇降脚クランクも同じ長さであると、必要なトルク及び電動機出力が最小になる。ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７４５１５３号明細書による運搬装置と比較して、必要なトルク及び電動機出力は半分の大きさにすぎない。従って伝動装置及び蓄電池はそれに応じて小さく設計することができ、それにより運搬装置全体の重量が減少する。更に一層小さい出力の蓄電池で、一層短い充電サイクルも得られる。
【０００７】
装置において昇降脚を案内するため、昇降脚は案内レールに沿って有利に上昇及び下降運動可能である。昇降脚と案内レールとの間の摩擦を少なくするために、案内ローラにより昇降脚を案内レールに沿って有利に案内することができる。
【０００８】
レールにおける案内の代わりに、例えば架台に支持される案内クランクによっても、昇降脚を上昇及び下降運動の際案内することができる。クランク軸上には設けられないこの案内クランクは、昇降脚クランクに対して平行に回転する。
【０００９】
案内クランクと昇降脚の上昇及び下降運動用クランクは、鎖又は伝動ベルトにより互いに結合することができる。それにより、案内クランクと昇降脚クランクが一直線に並ぶ時、この案内クランクと昇降脚クランクが不安定な姿勢になるのを防止される。
【００１０】
添付図面に基いて実施例を以下に詳細に説明する。
【００１１】
図１は、階段１１を昇る際における階段昇降装置３１（図３）を持つ運搬装置１０を示している。運搬装置１０は、ここには示していない荷物を受入れる架台１２を持っている。更に運搬装置１０は２つの車輪１７及び２つの昇降脚１５を持ち、これらのうち側面図にはそれぞれ１つのみが示されている。電動機１３及び伝動装置により、車輪１７がクランク１４を介して、また昇降脚１５がクランク１６を介して、上昇及び下降運動せしめられる。昇降脚はその上端に案内ローラ１８を持ち、この案内ローラ１８が案内レール１９内に案内される。
【００１２】
図２は、昇降脚２１の案内の点で図１の運搬装置１０とは相違する運搬装置２０の別の構成を示している。電動機１３は、クランク１４を介して車輪１７を上昇及び下降運動させ、またクランク１６を介して昇降脚２１を上昇及び下降運動させる。昇降脚クランク１６に対して平行に回転する案内クランク２２は、昇降脚２１及び装置２０の架台２４に回転可能に支持され、昇降脚２１を常にほぼ垂直な位置に保つ。昇降脚クランク１６と案内クランク２２は、鎖２３を介して互いに連結されている。この連結により、クランク１６と２２が一直線上にある点にクランク１６及び２２が留まるのを防止される。
【００１３】
図３は、図１の運搬装置１０の階段昇降装置３１の背面図である。階段昇降装置３１は、伝動装置に一体化されかつクランク軸として構成される軸３０を駆動する電動機１３を持っている。クランク軸３０は装置１０の中心縦軸線に対して対称に構成され、かつ車輪１７の上昇及び下降運動用クランク１４と、昇降脚１５の昇降及び下降運動用クランク１６とを持っている。クランク１４と１６は互いに１８０°ずれて軸３０に設けられている。昇降脚１５の上端範囲は、案内ローラ１８により、ここには図示してない案内レール１９（図１）に案内されている。
【００１４】
運搬装置１０の動作態様が図４の（ａ）〜（ｈ）に示されている。図４の（ａ）は荷物４０を持つ運搬装置１０を下降位置で示している。車輪１７は階段の段４１の縁のすぐ前にある。図４の（ｂ）によれば、運搬装置１０は傾斜せしめられる。これにより図４の（ｃ）に示す状態が生じ、昇降脚１５が下方へ動かされ、運搬装置１０が上昇せしめられる。昇降脚１５の下方運動と同時に車輪１７が上方へ動かされる。図４の（ｄ）において今や昇降脚１５が最低点へ達し、車輪１７が最高点へ達している。それにより車輪１７の最も低い点は、階段４１の登るべき次の段の上縁の上方にある。図４の（ｅ）による位置において、車輪１７が再び少し下方へ動かされ、昇降脚１５が少し上方へ動かされ、それにより車輪１７が階段４１の段上へ載り、昇降脚１５はまだ階段の以前の段上に立っている。図４の（ｆ）〜（ｈ）は、電動機１３及びクランク軸３０の引続く回転により、昇降脚１５がどのようにして更に上方へ動かされ、車輪１７が更に下方へ動かされるかを示している。それにより運搬装置１０は、次第に階段４１の新しく登る段へ上昇せしめられる。昇降脚１５は引込められる。図４の（ｈ）は昇降脚１５を最高点で示し、車輪１７を最低点で示している。従って運搬装置１０及び荷物４０は、階段４１の新しく登る段の最高点に達している。次の段を登る際、図４の（ｂ）〜（ｈ）に示すサイクルが繰返される。運搬装置１０を下方へ動かそうとする場合、電動機の回転方向が切換えられ、図４の（ｂ）〜（ｈ）の運動が逆の順序で行われる。
【００１５】
所望の場合、装置１０に車輪１７用のブレーキを設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図１】階段昇降装置を持つ運搬装置の側面図を示す。
【図２】階段昇降装置を持つ運搬装置の第２実施例の側面図を示す。
【図３】図１の運搬装置の背面図を示す。
【図４】階段を登る際種々の位置における図１の運搬装置の側面図を示す。
【符号の説明】
１０，２０ 運搬装置
１３ 電動機
１４，１６ クランク
１５ 昇降脚
１７ 車輪
３０ 駆動軸
３１ 階段昇降装置

Claims (6)

1. 車輪（１７）と電動機（１３）により駆動されかつ昇降脚（１５）を持つ階段昇降装置（３１）とを有する運搬装置（１０）において、電動機（１３）が、運搬装置（１０）の中心縦軸線に対して対称なクランク軸として構成される駆動軸（３０）を駆動し、駆動軸（３０）の各半分において、一方のクランク（１６）に昇降脚（１５）が回転可能に支持され、他方のクランク（１４）に車輪（１７）が回転可能に支持されていることを特徴とする、運搬装置。
2. 車輪（１７）の上昇及び下降運動用のクランク（１４）が、昇降脚（１５）の上昇及び下降運動用のクランク（１６）と、約１８０°の角をなしていることを特徴とする、請求項１に記載の運搬装置。
3. 昇降脚（１５）が案内レール（１９）に沿って上昇及び下降運動可能であることを特徴とする、請求項１又は２に記載の運搬装置。
4. 昇降脚（１５）が案内ローラ（１８）により案内レール（１９）に沿って案内されていることを特徴とする、請求項３に記載の運搬装置。
5. 昇降脚（２１）が、上昇及び下降運動の際、架台（２４）に支持される案内クランク（２２）により案内されていることを特徴とする、請求項１又は２に記載の運搬装置。
6. 案内クランク（２２）と昇降脚（２１）の上昇及び下降運動用クランク（１６）が、鎖（２３）又は伝動ベルトにより互いに結合されていることを特徴とする、請求項５に記載の運搬装置。

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