WO2005084965A1

WO2005084965A1 - 車輪の支持構造

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Publication number: WO2005084965A1
Application number: PCT/JP2004/015401
Authority: WO
Inventors: Xuanzhuang Yang
Original assignee: Xuanzhuang Yang
Priority date: 2004-03-09
Filing date: 2004-10-19
Publication date: 2005-09-15
Also published as: US20060267295A1; EP1645440A4; EP1645440A1

Abstract

　車体を支持しながら回転する車輪と，車体の進行に伴う車輪の回転方向に対して反対方向にのみ回転可能な回転体を備え，前記車輪の回転軸と前記回転体の回転軸を略平行に配置し，前記回転体の回転軸は，車輪の進行方向に対して車輪の回転軸よりも後方かつ上方に配置し，前記車輪の回転軸は，車輪の周面と回転体の周面とが離れるまで前方に移動した基準位置から，車輪の周面と回転体の周面とが接触する接触位置までの間を移動自在で，かつ，車輪の周面と回転体の周面とを接触させながら回転体の回転軸を中心として円弧状に移動自在であることとした。

Description

明細書

車輪の支持構造

技術分野

[0001] 本発明は，各種産業における運搬又は移動用器具，装置 (例えば台車，車椅子，ベビーカー，ストレッチヤー，自動車，工作機器等）に取り付け，車輪が段差を容易に乗り上げることを可能とするための支持構造に関する。

背景技術

[0002] 車椅子の前車輪や，ベビーカー，ストレッチヤー等に取り付けられる車輪は，車輪の半径が小さく，道路や建築物内に存在する段差等の障害物を乗り越えさせるときに大きな力を必要とし，困難な作業を伴う。小さな段差や小石等であっても大きな抵抗となり，走行が中断する。また，車輪全体を持ち上げなければならないことも多い。このため，小型の車輪を障害物の上に容易に乗り越えさせることができる機構の開発力極めて重要な課題となっている。

[0003] 従来，車輪を段差の上に乗り上げさせるための種々の工夫がなされている。例えば ,車輪を支持する支持部材に，小車輪が付いたアームを取り付け，車輪より先に小車輪が段差に突き当たり，車輪が段差の上に持ち上げられるようにした構成が提案されている (例えば，特許文献 1参照。 ) oまた，車輪を支持する支持部材に，略円弧状の補助部材を取り付け，段差が所定の高さより高い場合に車輪より先に補助部材が段差に突き当たり，車輪が段差の上に持ち上げられるようにした構成が提案されている (例えば，特許文献 2参照。）。

[0004] 特許文献 1：日本国特許公開公報 2002— 35039号

特許文献 2 :日本国特許公開公報 2002— 2206号

[0005] し力しながら，上記の構成にあっては，車輪より先に小車輪が付いたアームや補助部材等が段差に突き当たることで，アームや補助部材が破損するおそれや，円滑な走行が妨げられる懸念がある。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題 [0006] 本発明の目的は，道路等に存在する段差等の障害物の上に，車輪を円滑に乗り上げさせることが可能な車輪の支持構造を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007] 上記課題を解決するために，本発明によれば，車体を支持しながら接地して回転する車輪と，車体の進行に伴う車輪の回転方向に対して反対方向にのみ回転可能な回転体を備え，前記車輪の回転軸と前記回転体の回転軸を略平行に配置し，前記回転体の回転軸は，車体の進行方向に対して車輪の回転軸よりも後方かつ上方に配置し，前記車輪の回転軸は，車輪と回転体を連動させながら，車体の進行方向に対して後方に向かって回転体の回転軸を中心として円弧状の軌道に沿って移動自在であることを特徴とする，車輪の支持構造が提供される。

[0008] 力かる車輪の支持構造によれば，障害物が車輪に当接したときに，車輪と回転体が連動して，車輪が回転体によって進行方向に押されながら，障害物との接触部分を中心として，障害物の上方に向かって回転移動する。即ち，車輪の回転軸が移動しない通常の車輪の支持構造では，車輪の回転軸に加えられる力により，車輪を障害物の上方に向力つて移動させるが，本発明においては，回転体が車輪と連動して車輪を押す力により，車輪を障害物の上方に向かって移動させる。回転体は車輪の回転軸より高い位置にあるので，通常の場合よりも力点と支点との間の距離が大きくなり，通常の場合よりも少ない力で車輪を押し上げることができる。従って，車輪を障害物の上に円滑に乗り上げさせることができる。なお，車輪を障害物の上方に移動させるときに回転体は回転せず，車輪の自転は抑止され，回転体によって車輪を確実に押し上げることができる。そして，車輪が障害物の上方に移動すると，回転体は車輪が進行方向に進行するときの回転方向と反対方向に回転しながら下降する。車輪は，回転体に押されながら回転して進行方向に移動する。従って，車輪を障害物の上に乗り上げさせた後，車輪の進行を円滑かつ迅速に開始させることができる。また ,本発明は構造が簡素であり，アームや補助部材等が障害物に突き当たって破損するといったおそれが無く，安全である。

[0009] この車輪の支持構造にあっては，前記車輪の回転軸は，車輪と回転体が連動しない位置まで車体の進行方向に向力つて前方に移動した基準位置から，車輪と回転体が連動する連動位置までの間を移動自在であることが好まし、。

[0010] さらに，前記車輪の両側に板状部材を備え，前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，前記車輪の回転軸をガイド溝内で移動させることが好ましい。前記ガイド溝は，車輪の回転軸を基準位置と連動位置との間でガイドする第 1のガイド部と，車輪の回転軸を連動位置力後方に円弧状の軌道でガイドする第 2のガイド部とを有することが好ましい。さらに，前記第 1のガイド部の上面を，基準位置力連動位置に向かうに従!、下がるように傾斜させることとしても良!、。

[0011] また，前記第 1のガイド部の下面に突起を形成し，車輪の回転軸は，前記突起を越えて基準位置と連動位置との間を移動するようにしても良い。車輪の回転軸を連動位置力基準位置に戻すように付勢する弾性体を設けても良い。

[0012] 前記板状部材を車体の進行方向に移動可能に支持する支持部材を備え，前記回転体は前記支持部材に固定され，前記車輪の回転軸は，前記板状部材が車体の進行方向に対して後方に移動することにより基準位置力連動位置に移動し，前記板状部材が車体の進行方向に向力つて前方に移動することにより連動位置力基準位置に移動するようにしても良、。

[0013] また，前記車輪と回転体を連動させた状態で配置し，前記回転体に当接することにより，前記回転体を車体の進行に伴う車輪の回転方向に対して反対方向にのみ回転可能な状態にし，前記回転体から離隔することにより，前記回転体を車輪の回転に伴って自在に回転可能な状態にする係止部材を備えても良、。

[0014] 前記車輪と回転体を保持する保持体を備え，前記保持体を車体の進行方向に沿つてスライド可能に支持する保持体支持部材を備え，前記係止部材は前記保持体支持部材に固定され，前記保持体を車体の進行方向に対して後方に移動させることにより，前記回転体に前記係止部材を当接させ，前記保持体を車体の進行方向に対して前方に移動させることにより，前記回転体を前記係止部材から離隔させる構成としても良い。

[0015] また，前記係止部材を後方から押すことにより，前記係止部材を前記回転体に当接させ，前記係止部材から離隔することにより，前記係止部材を前記回転体から離隔させる係止部材移動体を備えても良い。 [0016] 前記車輪，回転体，及び係止部材を保持する保持体を備え，前記保持体を車体の進行方向に沿って移動可能に支持する保持体支持部材を備え，前記係止部材移動体は前記保持体支持部材に固定され，前記保持体を車体の進行方向に対して後方に移動させることにより，前記係止部材移動体によって前記係止部材が後方から押され，前記保持体を車体の進行方向に対して前方に移動させることにより，前記係止部材移動体が前記係止部材カゝら離隔する構成としても良い。

[0017] また，回転体に対して当接及び離隔させるように前記係止部材を移動させる係止部材移動装置を備えても良い。車輪に対して当接及び離隔させるように前記回転体を移動させる回転体移動装置を備えても良い。

[0018] 前記車輪の両側に板状部材を備え，前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，前記車輪の回転軸をガイド溝内で移動させることが好ましい。前記保持体は，前記車輪の両側に備えた板状部材を有し，前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，前記車輪の回転軸をガイド溝内で移動させることが好ましい。さらに，前記ガイド溝の後端は ,車輪の進行方向に対して前記回転体より前方に位置することが好ましい。

[0019] 車輪と回転体は，車輪の周面と回転体の周面とが接触することにより連動することとしても良い。また，車輪の側面に，車輪と回転軸が同じである小輪を設け，車輪と回転体は，前記小輪の周面と回転体の周面とが接触することにより連動することとしても良い。前記車輪は，双輪キャスターであっても良い。

[0020] また，前記回転体と反対方向にのみ回転可能な第 2の回転体を備え，前記車輪の回転軸と前記第 2の回転体の回転軸を互、に略平行に配置し，前記第 2の回転体の回転軸は，車体の進行方向に対して車輪の回転軸よりも前方かつ上方に配置し，前記車輪の回転軸は，車輪と第 2の回転体を連動させながら，前方に向かって第 2の回転体の回転軸を中心として円弧状の軌道に沿って移動自在であることとしても良い。

[0021] また，上記課題を解決するために，本発明によれば，車体を支持しながら接地して回転する車輪と，前記車輪の外径より小さい外径を有する回転体を備え，前記車輪と前記回転体は，同一の回転軸を中心として回転し，前記回転体の回転を前記車輪に対して相対的に車体の進行に伴う車輪の回転方向に対して反対方向にのみ許容する回転規制機構を備え，車体の進行方向に対して前記回転軸よりも後方かつ上方に，ストッパーを備え，前記回転体は，前記ストッパーに接触しながら車体の進行方向に対して後方かつ下方に転動自在であり，前記回転軸は，車体の進行方向に対して後方かつ下方に移動自在であることを特徴とする，車輪の支持構造が提供される

[0022] 力かる車輪の支持構造によれば，車輪，回転体，回転軸を移動自在にしたことにより，障害物が車輪に当接したときに回転体力 Sストッパーに接触して，回転体力 Sストツバ一によつて進行方向に押されながら，車輪と回転体が障害物の上方に向力つて移動する。これにより，車輪を障害物の上に円滑に乗り上げさせることができる。車輪を障害物上に乗り上げさせた後も，車輪の前進を円滑に開始させることができる。また，本発明は構造が簡素であり，アームや補助部材等が障害物に突き当たって破損するといったおそれが無く，安全である。

[0023] この車輪の支持構造にあっては，前記車輪を前記回転体の外周に備え，前記車輪の内周面と前記回転体の外周面との間に，前記回転規制機構を設け，前記回転体を前記車輪の側方に突出させ，前記車輪の側方に突出した部分に，前記ストッパーを接触させることとしても良い。また，前記回転体を前記車輪の側方に配置し，前記車輪の側面と前記回転体の側面との間に，前記回転規制機構を設けても良い。

[0024] 前記回転軸は，回転体とストッパーが接触しない位置まで車体の進行方向に向かつて前方に移動した基準位置から，回転体とストッパーが接触する接触位置までの間を移動自在であることとしても良い。

[0025] さらに，前記車輪の両側に板状部材を備え，前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，前記回転軸をガイド溝内で移動させることとしても良い。この場合，前記ストッパーは，車体の進行方向に対して反対方向に向かうほど下方に傾斜する傾斜面を備え，前記回転体は，前記傾斜面に沿って移動する構成とし，前記ガイド溝は，前記回転軸を基準位置と接触位置との間でガイドする第 1のガイド部と，前記回転軸を前記傾斜面と略平行な直線状の軌道でガイドする第 2のガイド部とを有することとしても良い。また，前記ストッパーは，円弧状に湾曲させた湾曲面を備え，前記回転体は，前記湾曲面に沿って移動する構成とし，前記ガイド溝は，前記回転軸を基準位置と接触位置との間でガイドする第 1のガイド部と，前記回転軸を円弧状に湾曲した軌道でガイドする第 2のガイド部とを有することとしても良い。

[0026] また，前記第 1のガイド部の上面を，基準位置力も接触位置に向かうに従い下がるように傾斜させても良い。さらに，前記第 1のガイド部の下面に突起を形成し，前記回転軸は，前記突起を越えて基準位置と接触位置との間を移動するようにしても良い。前記回転軸を接触位置カゝら基準位置に戻すように付勢する弾性体を設けても良い。

[0027] また，前記板状部材を車体の進行方向に移動可能に支持する支持部材を備え，前記回転軸は，前記板状部材が車体の進行方向に対して後方に移動することにより基準位置から接触位置に移動し，前記板状部材が車体の進行方向に向力つて前方に移動することにより接触位置力基準位置に移動するようにしても良い。

[0028] 車輪に対して接触及び離隔させるように前記ストッパーを移動させるストッパー移動装置を備えても良い。また，前記回転体の周面にガイド溝を設け，前記ストッパーに，前記ガイド溝をガイドするレールを備えても良い。前記車輪は，双輪キャスターの車輪であっても良い。

発明の効果

[0029] 本発明によれば，車輪を段差等の障害物上に円滑に乗り上げさせることができる。

車輪を障害物上に乗り上げさせた後も，車輪の前進を円滑に開始させることができる。障害物が連続する場合であっても，車輪を円滑に乗り上げさせ，前進を迅速に開始させることができるので，円滑な走行が可能である。また，構造が簡素であり，ァームゃ補助部材等が障害物に突き当たって破損するといつたおそれが無く，安全である。

図面の簡単な説明

[0030] [図 1]本発明の第 1の実施の形態に力かる車輪支持構造の側面図である。

[図 2]本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造の背面図である。

[図 3]ガイド溝を拡大して示す説明図である。

[図 4]車輪が平坦面を前進する状態を示す説明図である。

[図 5]車輪が段差に当たった状態を示す説明図である。

[図 6]車輪が段差の上に向力つて移動する途中の状態を示す説明図である。圆 7]車輪が段差の上に乗り上げた直後の状態を示す説明図である。

圆 8]車輪が段差の上で歯車に押される状態を示す説明図である。

圆 9]車輪が段差の上で前進し，歯車から離れた状態を示す説明図である。

圆 10]ガイド溝の後端を歯車の回転軸より後方にした実施形態を示す説明図である

[図 11]車体の傾斜角度を調整して段差の上に乗り上げさせる実施形態を示す説明図である。

圆 12]車輪が歯車の後側に移動してしまった状態を示す説明図である。

圆 13]ガイド溝に突起を形成した実施形態を示す説明図である。

圆 14]弾性体を備えた本発明の第 1の実施の形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 15]弾性体を備えた本発明の第 1の実施の形態にかかる，車輪支持構造の背面図である。

圆 16]回転体が小輪の周囲に当接するように構成した本発明の第 1の実施の形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 17]回転体が小輪の周囲に当接するように構成した本発明の第 1の実施の形態にかかる，車輪支持構造の背面図である。

圆 18]双輪キャスターを支持するように構成した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる ,車輪支持構造の側面図である。

圆 19]双輪キャスターを支持するように構成した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる ,車輪支持構造の背面図である。

圆 20]歯車と係止部材の別の形態を説明する説明図である。

圆 21]車輪を保持した保持体をスライドさせるように構成した本発明の第 1の実施の形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 22]車輪を保持した保持体をスライドさせるように構成した本発明の第 1の実施の形態にかかる，車輪支持構造の背面図である。

圆 23]保持体上部と保持体支持部材を拡大して示した断面図である。

圆 24]保持体が後方にスライドした状態を示した概略断面図である。圆 25]回転体回転軸支持体と回転体回転軸ガイド溝を備えた本発明の第 1の実施の形態実施形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 26]回転体回転軸支持体と回転体回転軸ガイド溝を備えた本発明の第 1の実施の形態実施形態にかかる，車輪支持構造の背面図である。

[図 27]保持体支持部材の内側に回転部材を設けた本発明の第 1の実施の形態実施形態を説明する説明図である。

圆 28]保持体を前方に戻すように付勢する弾性体を備えた本発明の第 1の実施の形態実施形態にかかる，車輪支持構造の断面図である。

[図 29]車輪と歯車を保持体に保持させ，係止板を保持体保持部材に固定した本発明の第 1の実施の形態実施形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

[図 30]車輪と歯車を保持体に保持させ，係止板を保持体保持部材に固定した本発明の第 1の実施の形態実施形態にかかる，車輪支持構造の背面図である。

圆 31]車輪，歯車，及び係止板を保持体に保持させ，係止部材移動体を保持体保持部材に固定した本発明の第 1の実施の形態実施形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 32]車輪，歯車，及び係止板を保持体に保持させ，係止部材移動体を保持体保持部材に固定した本発明の第 1の実施の形態実施形態にかかる，車輪支持構造の側面図であって，保持体が保持体支持部材に対して相対的に後方に移動した状態を拡大して示している。である。

圆 33]係止部材移動装置によって係止板を移動させ歯車に接触させるように構成した本発明の第 1の実施の形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

[図 34]係止部材移動装置によって係止板を移動させ歯車に接触させた状態を説明する説明図である。

圆 35]回転体移動装置によって歯車を移動させ車輪に接触させるように構成した本発明の第 1の実施の形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 36]第 2の回転体を備えた本発明の第 1の実施の形態実施形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 37]第 2の回転体を備えた本発明の第 1の実施の形態車輪支持構造のガイド溝を拡大して示す説明図である。

圆 38]第 2の回転体を備えた車輪支持構造に，車輪の回転軸を基準位置に戻すように付勢する弾性体を備えた本発明の第 1の実施の形態実施形態を説明する説明図である。

圆 39]本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造の側面図である。

圆 40]本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造の背面図である。

圆 41]ガイド溝を拡大して示す説明図である。

圆 42]車輪が平坦面を前進する状態を示す説明図である。

圆 43]車輪が段差に当たった状態を示す説明図である。

[図 44]車輪，回転体及び回転軸が段差の上に向力つて移動する途中の状態を示す説明図である。

圆 45]車輪，回転体及び回転軸が段差の上に乗り上げた直後の状態を示す説明図である。

圆 46]回転体が段差の上でストッパーに押される状態を示す説明図である。

圆 47]車輪，回転体及び回転軸が段差の上で前進し，回転体力ストッパーから離れた状態を示す説明図である。

圆 48]ストッパーにレールを形成した本発明の第 2の実施の形態を示す断面図である。

圆 49]本発明の第 2の実施の形態の別の形態にカゝかるガイド溝の形状を示す説明図である。

圆 50]本発明の第 2の実施の形態の別の形態にカゝかるガイド溝の形状を示す説明図である。

圆 51]本発明の第 2の実施の形態の別の形態に力かるストッパー及びガイド溝の形状を示す側面図である。

圆 52]本発明の第 2の実施の形態の別の形態に力かる車輪支持構造において，車輪，回転体及び回転軸が段差の上に向力つて移動する途中の状態を示す説明図である。

圆 53]回転軸に弾性体を備えた本発明の第 2の実施の形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 54]回転軸に弾性体を備えた本発明の第 2の実施の形態にかかる，車輪支持構造の背面図である。

圆 55]ガイド溝に突起を形成した本発明の第 2の実施の形態を示す説明図である。圆 56]車輪の側方に回転体を備えた本発明の第 2の実施の形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 57]車輪の側方に回転体を備えた本発明の第 2の実施の形態にかかる，車輪支持構造の背面図である。

圆 58]車輪の側方に回転体を備えた本発明の第 2の実施の形態における回転規制機構の一例を説明する車輪支持構造の背面図である。

圆 59]車輪の側方に回転体のフランジを備えた本発明の第 2の実施の形態に力かる ,車輪支持構造の側面図である。

圆 60]車輪の側方に回転体のフランジを備えた本発明の第 2の実施の形態に力かる ,車輪支持構造の背面図である。

圆 61]双輪キャスターを支持するように構成した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる ,車輪支持構造の側面図である。

圆 62]双輪キャスターを支持するように構成した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる ,車輪支持構造の背面図である。

圆 63]車輪を保持した保持体をスライドさせるように構成した本発明の第 2の実施の形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

圆 64]車輪を保持した保持体をスライドさせるように構成した本発明の第 2の実施の形態にかかる，車輪支持構造の背面図である。

圆 65]保持体上部と保持体支持部材を拡大して示した断面図である。

圆 66]車輪を保持した保持体をスライドさせるように構成した本発明の第 2の実施の形態にかかる，車輪支持構造の概略断面図である。

圆 67]保持体支持部材の内側に回転部材を設けた本発明の第 2の実施の形態を説明する説明図である。

圆 68]保持体を前方に戻すように付勢する弾性体を備えた本発明の第 2の実施の形態にかかる，車輪支持構造の断面図である。

[図 69]ストッパー移動装置によってストッパーを移動させるように構成した本発明の第 2の実施の形態にかかる，車輪支持構造の側面図である。

符合の説明

P1 ¾準位直

P2 連動位置

R 軌道

1 車輪支持構造

2 車輪

3 フレーム

5 困車

8 回転軸

17 回転軸

25 ガイド溝

P1 ' 基準位置

P2' 接触位置

R，軌道

201 車輪支持構造

202 車輪

203 車椅子本体

204 フレーム

205 回転体

207 回転規制機構

208 回転軸

212A, 212B ス卜ッノー

213 傾斜面

225 ガイド溝

発明を実施するための最良の形態 [0032] 以下，本発明の好ましい実施の形態を説明する。図 1及び図 2に示す本発明の第 1 の実施の形態に力かる車輪支持構造 1は，略円盤形状の車輪 2を支持している。車輪 2は，車体の一例としての車椅子の前輪であり，車椅子本体 3の前部を支持しながら接地して回転する。図 1に示すように，車輪支持構造 1は，車椅子本体 3に固定支持されたフレーム 4と，回転体としての歯車 5を備えている。車輪 2は，車輪 2の中心部に位置する回転軸 8を中心として，車椅子本体 3の前方（図 1において左方)への進行 (前進）に伴う回転方向 W1 (図 1において反時計方向），及び，車椅子本体 3の後方（図 1にお、て右方)への退行 (後退）に伴う回転方向 W2 (図 1にお、て時計方向）に回転可能に取り付けられている。歯車 5は，車椅子本体 3の前進方向に対して ,車輪 2の後方かつ上方（図 1において右方かつ上方）に配置され，フレーム 4によつて支持されている。

[0033] 歯車 5の後方には，歯車 5を一方向にのみ回転させるための係止部材としての係止板 16が設けられている。歯車 5は，歯車 5の中心部に位置する回転軸 17を中心として回転可能である。回転軸 17は，車輪 2の回転軸 8に対して略平行になるように，また，車輪 2の前進方向に対して，車輪 2の回転軸 8よりも後方かつ上方に配置されており，フレーム 4によって支持されている。係止板 16も，フレーム 4によって支持されている。係止板 16の下部は，前方に向力ほど下方に傾斜するように形成されており，回転軸 17より下方において，歯車 5の歯同士の間に，係止板 16の下端部が当接するように配置されている。即ち，歯車 5は，係止板 16の下部表面に沿って，車輪 2の後退時の回転方向と同じ回転方向 W2に回転することは可能であるが，歯車 5が車輪 2の前進時の回転方向と同じ回転方向 W1に回転しょうとしても，係止板 16の下端部によって歯が押さえられるため，回転できないようになっている。従って，歯車 5は，回転方向 W1に対して反対方向である回転方向 W2にのみ回転可能になっている。

[0034] 図 3に示すように，回転軸 8は，車輪 2と歯車 5が連動しない位置まで車椅子本体 3 の前進方向に向かって前方に移動した基準位置 P1から，車輪 2の周面と歯車 5の周面とが接触して連動する連動位置 P2までの間を移動自在である。さらに，回転軸 8 は，車輪 2と歯車 5とを連動させた状態で，連動位置 P2より後方かつ下方に向力つて ,歯車 5の回転軸 17を中心として円弧状の軌道 Rに沿って移動自在である。軌道 R は，歯車 5の回転軸 17を中心として歯車 5の半径と車輪 2の半径を加算した長さを半径とした円弧に沿った軌道である。

[0035] 図 3において実線で示すように，回転軸 8が基準位置 P1にあるときは，図 4に示すように，車輪 2の周面と歯車 5の周面に形成された歯とが離れており，車輪 2と歯車 5 が連動していない状態になっている。図 3において一点鎖線で示すように，回転軸 8' が連動位置 P2にあるときは，図 5に示すように，車輪 2の周面と歯車 5の歯とが接触して，車輪 2と歯車 5が連動して回転可能になる。図 3において一点鎖線で示すように，回転軸 8"が軌道 Rに沿って移動するときは，図 6に示すように，車輪 2の周面と歯車 5 の歯とが接触して，車輪 2と歯車 5が連動して回転可能な状態のまま，車輪 2が歯車 5 を中心として回転するようになって!/、る。

[0036] 図 2に示すように，フレーム 4は，互いに略平行に配置された板状部材 20A, 20B を有する。板状部材 20A, 20Bは，車椅子本体 3が走行する平坦面 (地面）に対し垂直に，かつ，車椅子本体 3の進行方向に向力方向に沿って配置されており，車輪 2 の左右両側にそれぞれ配置される。前述の歯車 5の回転軸 17は，左右両端部をそれぞれ板状部材 20A, 20Bによって支持されて、る。

[0037] 各板状部材 20A, 20Bには，車輪 2の回転軸 8を基準位置 P1,連動位置 P2,軌道 Rに沿って移動させるようにガイドするためのガイド溝 25が形成されている。図 2に示すように，板状部材 20Aのガイド溝 25は回転軸 8の左端部をガイドし，板状部材 20B のガイド溝 25は回転軸 8の右端部をガイドするようになって、る。図 3に示すように，各ガイド溝 25は，回転軸 8の左端部又は右端部を基準位置 P1と連動位置 P2との間でガイドする第 1のガイド部 25aと，回転軸 8の左端部又は右端部を連動位置 P2から後方に円弧状の軌道 Rでガイドする第 2のガイド部 25bとによって構成されている。

[0038] 第 2のガイド部 25bは，軌道 Rに沿って，後方に行くに従って下方に湾曲する円弧状に形成されている。第 1のガイド部 25aの後端と第 2のガイド部 25bの上端は連続しており，回転軸 8は，第 1のガイド部 25aから第 2のガイド部 25bに，また，第 2のガイド部 25bから第 1のガイド部 25aに移動自在になっている。なお，第 1のガイド部 25aの上面は，基準位置 P1から連動位置 P2に向かうに従い下がるように傾斜させて設けられている。このようにすると，車椅子本体 3が平坦面上にある状態において，第 1のガイド部 25aの上斜面から回転軸 8の上面に対して，車椅子本体 3の自重による力が加えられるため，回転軸 8は第 1のガイド部 25aの上斜面によって前方に押し出され，第 1のガイド部 25aの上端部に押さえられる。従って，車椅子本体 3が平坦面上で前進しているときに，回転軸 8が基準位置 P1から連動位置 P2に向力つて後方に移動することを防止できる。また，回転軸 8を基準位置 P1から軌道 Rに向力つて円滑に移動させることができる。なお，第 2のガイド部 25bの後端は，歯車 5の回転軸 17の直下より前方に位置していることが好ましい。このようにすると，車輪 2が歯車 5の後側に移動することを確実に防止できる。もし，第 2のガイド部 25bの後端が歯車 5の回転軸 17の直下より後方に位置していると，回転軸 8が歯車 5の回転軸 17より後方に移動して車輪 2が歯車 5の後側に移動したときに，第 2のガイド部 25bの上面から回転軸 8の上面に対して，車椅子本体 3の自重による力が加えられるため，回転軸 8は第 2のガイド部 25bの後部の上面によって後方に押し出され，第 2のガイド部 25bの後端部に押さえられてしまい，車輪 2を歯車 5の前側に戻すことが困難となるが，第 2のガイド部 25b の後端を回転軸 17の直下より前方に配置しておけば，そのような事態を防ぐことができる。また，各第 1のガイド部 25a及び第 2のガイド部 25bの幅を，回転軸 8の直径より僅かに大きく形成して，回転軸 8が各第 1のガイド部 25a及び第 2のガイド部 25bの内側で余裕を持って円滑に移動及び自転できるようにすることが好ましい。各板状部材 20A, 20Bの第 1のガイド部 25a及び第 2のガイド部 25bは，互いに面対称な形状及び位置に形成されており，回転軸 8は，板状部材 20A, 20Bに対して垂直な姿勢で支持されるようになっている。

図 1及び図 2に示すように，車輪 2の回転軸 8の左右両側には，各板状部材 20A, 2 OBの外側にそれぞれ備えるフランジ部 28A, 28Bが形成されている。フレーム 4に車輪 2を取り付けた状態において，車輪 2は，回転軸 8を各板状部材 20A, 20Bに対して垂直な向きにした状態で，板状部材 20A, 20Bの間に配置され，回転軸 8は，左右両端部が各板状部材 20A, 20Bの第 1のガイド部 25a及び第 2のガイド部 25bの内側を貫通するように備えられる。フランジ部 28A, 28Bは，それぞれ各板状部材 20 A, 20Bの第 1のガイド部 25a及び第 2のガイド部 25bの外側に配置される。従って，回転軸 8が各板状部材 20A, 20Bの第 1のガイド部 25a及び第 2のガイド部 25bの内側から外れることを防止でき，回転軸 8が各板状部材 20A, 20Bの第 1のガイド部 25 a及び第 2のガイド部 25bの内側に確実に保持される。

[0040] 次に，以上のように構成された本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1 の作用について説明する。図 4に示すように，車椅子本体 3が略水平な平坦面 30上を前進しているときは，回転軸 8は基準位置 P1に位置し，回転軸 8の左右両端部が，各板状部材 20A, 20Bの第 1のガイド部 25a内に位置し，車輪 2の外周面と歯車 5の歯は離隔している。車輪 2は，回転軸 8を中心として回転方向 W1に回転しながら前進する。また，回転軸 8の左右両端部の上部に，各板状部材 20A, 20Bの第 1のガイド部 25aの上縁が接触しており，車椅子本体 3は，フレーム 4と回転軸 8を介して車輪 2に支持されている。回転軸 8は第 1のガイド部 25aの上斜面によって前方に押し出され，第 1のガイド部 25aの上端部に確実に固定されており，基準位置 P1から外れることはない。従って，車輪 2がフレーム 4に安定して保持され，車椅子本体 3を円滑に走行させることができる。

[0041] 車輪 2の前方において，平坦面 30から障害物としての段差 31が突出していると，車輪 2の外周面の前下部が段差 31の角部に突き当たる。段差 31の高さが車輪 2の大きさと比較して十分に低い場合は，車輪 2は段差 31に当たって止められることなく ,回転軸 8の左右両端部が第 1のガイド部 25a内に位置した状態のまま，段差 31を乗り越えて前進することができる。

[0042] 一方，段差 31の高さが車輪 2の大きさと比較して高く，車輪 2の前進が止められた場合は，図 5に示すように，車輪 2が段差 31に当接したまま，車椅子本体 3及びフレーム 4が前進する。車輪 2は車椅子本体 3及びフレーム 4に対して相対的に後退し，回転軸 8が基準位置 P1から連動位置 P2に移動する。回転軸 8の左右両端部は，第 1のガイド部 25aと第 2のガイド部 25bの連続部分に移動する。回転軸 8の左右両端部は，各板状部材 20A, 20Bの第 1のガイド部 25aにガイドされて第 2のガイド部 25b に向力つてスムーズに移動することができる。回転軸 8が連動位置 P2に移動すると，車輪 2の外周面が歯車 5の前下部の歯に当接する。車輪 2は，歯車 5を中心として回転可能な状態になり，また，段差 31の角部と歯車 5との間に挟まれた状態となる。

[0043] その後，車椅子本体 3及びフレーム 4がさらに前進しょうとすると，歯車 5が車輪 2の外周面を前進方向に押す。すると，図 6に示すように，車輪 2は，歯車 5が車輪 2の外周面を押す力により，段差 31の角部を中心として，段差 31の上面に上がる方向に回転移動を開始する。ここで，歯車 5は，一方向の回転方向 W2にのみ回転するようになっているので，歯車 5の前下部によって車輪 2を押しても，歯車 5が車輪 2からの反力によって回転することはなく，車輪 2の自転が抑止され，車椅子本体 3の前進方向の推進力が，歯車 5を介して車輪 2の外周面に確実に伝達される。従って，歯車 5〖こよって車輪 2を確実に押し上げることができる。

[0044] 車輪 2は，段差 31の上面に上がる方向に回転移動する一方で，歯車 5からみて相対的に，歯車 5を中心として回転方向 W1に回転移動する。車輪 2の回転軸 8は，左右両端部を各板状部材 20A, 20Bの第 2のガイド部 25bによってガイドされながら，第 2のガイド部 25b内で軌道 Rに沿って円滑に移動することができ，歯車 5の回転軸 1 7を中心として回転方向 W1に回転移動する。回転軸 8の左右両端部が第 2のガイド部 25b内を移動する間も，回転軸 8の左右両端部は，第 2のガイド部 25bの縁から離れており，第 2のガイド部 25bの内側で浮いた状態になっている。車椅子本体 3はフレーム 4と歯車 5を介して車輪 2に支持されながら前進，上昇移動する。

[0045] こうして，車輪 2は，歯車 5が車輪 2の外周面を押す力により，段差 31の角部を中心として，図 7に示すように，段差 31の上面に乗り上がることができる。ここで，通常の車輪 2の支持構造，即ち，回転軸 8をフレーム 4に対して固定した場合と比較して，本発明の第 1の実施の形態に力かる車輪支持構造 1の効果を述べる。通常は車椅子本体 3の前進方向の推進力が，フレーム 4及び回転軸 8を介して車輪 2の中心部に伝達され，回転軸 8によって加えられる力により，段差 31の角部を支点として車輪 2が上昇移動することとなる。これに対し，本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1においては，歯車 5が車輪 2の外周面を押す力により，段差 31の角部を支点として車輪 2が上昇移動する。歯車 5は回転軸 8より高い位置にあるので，通常の場合よりも力点の位置が高くなる。即ち，通常の場合よりも力点と支点との距離が離れているので，車輪 2を少ない力で段差 31の上方に移動させることができる。従って，車輪 2を円滑に段差 31の上に乗り上げさせることができる。また，巨視的には，回転軸 17と段差 31の角部との間の距離を半径とし歯車 5を回転中心とした仮想の車輪が，段差 31 の上面に向かって移動する状態になると考えられる。この仮想車輪は，段差 31の高さに対して十分に大きく，段差 31を容易に乗り越えることができる大きさである。こうした作用によって，車輪支持構造 1全体を段差 31の上に容易に乗り上げさせることができる。

[0046] 車輪 2が段差 31の上方に移動すると，図 7に示すように，車輪 2は回転軸 8を中心として回転方向 W1に回転して前進し，歯車 5,フレーム 4及び車椅子本体 3は，自重によって下降する。歯車 5は，回転軸 17を中心として回転方向 W2に回転しながら，車輪 2の外周面を滑り降りるように下降する。車輪 2は，歯車 5に押されて，回転方向 W1に円滑に回転して前進する。こうして，車輪 2を段差 31の上に乗り上げさせた後，車輪 2の前進を円滑に開始させることができる。

[0047] 車輪 2が前進し，歯車 5,フレーム 4及び車椅子本体 3が下降する間，車輪 2は，歯車 5からみて相対的に，歯車 5を中心として回転方向 W2に回転移動する。車輪 2の回転軸 8は，第 2のガイド部 25bによってガイドされながら，第 2のガイド部 25b内で軌道 Rに沿って円滑に移動することができ，歯車 5の回転軸 17を中心として回転方向 W2に回転移動する。回転軸 8の左右両端部が第 2のガイド部 25b内を移動する間も ,回転軸 8の左右両端部は，第 2のガイド部 25bの縁から離れており，第 2のガイド部 25bの内側で浮いた状態になっている。車椅子本体 3はフレーム 4及び歯車 5を介して車輪 2に支持されながら前進，下降移動する。

[0048] その後，図 8に示すように，回転軸 8が連動位置 P2に達し，さらに，図 9に示すように，車輪 2がフレーム 4及び車椅子本体 3に対して相対的に前進して，回転軸 8が連動位置 P2から基準位置 P1に移動し，第 2のガイド部 25b内から第 1のガイド部 25a内に回転軸 8の左右両端部が移動し，車輪 2の外周面が歯車 5から離隔する。こうして，段差 31に突き当たる前と同様に，車輪 2は回転軸 8を中心として回転方向 Wl, W2 に回転可能な状態になり，また，回転軸 8の左右両端部の上部に，各板状部材 20A , 20Bの第 1のガイド部 25aの上縁が接触し，車椅子本体 3はフレーム 4及び回転軸 8を介して車輪 2に支持された状態になる。

[0049] なお，回転軸 8の左右両端部が，第 2のガイド部 25bの後端に当接することがあるが ,第 2のガイド部 25bの後端は歯車 5より前方に位置しているので，回転軸 8が歯車 5 より後方に移動することはない。従って，歯車 5が車輪 2の前方に相対的に移動してしまうことはなく，歯車 5によって車輪 2を前進方向に確実に押すことができる。また，回転軸 8の左右両端部が第 2のガイド部 25bの後端に当接した状態では，歯車 5によつて車輪 2を外周面の後上部から押し，かつ，第 2のガイド部 25bの後端によって回転軸 8の左右両端部を持ち上げる状態になるので，車輪 2を段差 31の上方に移動させやすくなる。

[0050] 力かる本発明の第 1の実施の形態に力かる車輪支持構造 1によれば，歯車 5によつて車輪 2を後上方力前方に向かって押すことにより，通常の場合より少ない力で，車輪 2を段差 31の上に円滑に乗り上げさせることができる。また，歯車 5が回転方向 W2にのみ回転する構成としたことにより，車輪 2を段差 31の上に乗り上げさせた後，歯車 5を迅速に下降させ，車輪 2を確実かつ迅速に前進させることができる。従って，段差 31があっても，円滑な走行が可能である。さらに，段差 31のような障害物が連続する場合であっても，車輪 2を円滑に乗り上げさせ，前進を迅速に開始させることができるので，円滑な走行が可能である。また，構造が簡素であり，アームや補助部材等が障害物に突き当たつて破損する、つたおそれが無く，安全である。

[0051] 以上，本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1の好適な実施の形態の一例を示したが，本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば，図 1一 9にぉ、ては，車輪支持構造 1は車椅子本体 3の前輪を車輪 2として支持して、ることとしたが，本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1を車椅子の後輪に適用して，車椅子本体 3が後退するときに，車椅子本体 3の後方の段差を円滑に乗り越えさせるよう〖こすることもできる。さらに，本発明は，車椅子以外の各種の運搬器具や移動用器具，運搬装置や移動装置，例えば台車，車椅子，ベビーカー，ストレッチヤー , 自動車，工作機器等の車輪を支持するものに適用できる。

[0052] 図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では，回転体は歯車 5としたが，かかるものに限定されず，一方向に回転可能な構成であればよい。回転体の形状は，例えば，円板，リング，円柱体，円筒体，球体，適当数の多角形の板，リング，柱体若しくは筒体，適当数の多面体，又は，外周面に多数の凸部ゃ凹部を有する円板，リング，円柱体，円筒体若しくは球体等であってもよい。 [0053] また，この回転体の回転速度を制御する制御機構を設けても良い。この場合，制御機構として摩擦抵抗などを用い，回転体の回転速度が過剰に高回転数とならないように制御することが考えられる。そのような制御機構を設けることにより，車輪 2が段差 31の上に乗り上げさせた後，図 7に示すように，車輪 2が回転軸 8を中心として回転方向 W1に回転する際に，回転体 (歯車 5)の回転が制御されるので，フレーム 4及び車椅子本体 3が自重によって勢いよく下降してしまうことを抑制できる。これにより，段差 31を乗り上げた後に車椅子本体 3が自重によって下降する際に生ずる衝撃や振動を吸収することが可能となる。また，乗りごごちを改善するために，車椅子本体 3と車輪 2との間にスプリングやゴムなどの弾性手段を介在させることも有効である。また ,衝撃吸収手段と共に，あるいは，それら衝撃吸収手段の代りにエアーサスペンション，油圧シリンダなどと!/ヽつた減衰手段を設けることも考えられる。

[0054] 図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では，フレーム 4を車椅子本体 3に固定した構成としたが，フレーム 4を車椅子本体 3に対して可動にしても良い。この場合，平坦面に対して略垂直な向きの軸を中心として旋回可能なキャスターに，本発明を適用することもできる。即ち，例えば，平坦面に対して略垂直に配置した縦軸を車椅子本体 3に取り付け，さらに，縦軸を中心として回転可能な回転部材を設け，この回転部材にフレーム 4を固定すれば良い。これにより，車輪 2, 回転体 5及び回転軸 8が，前記縦軸を中心として回転可能になり，車椅子本体 3の進行方向を円滑に変えることができるようになる。

[0055] 図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では，回転軸 8の左右両端部は，第 2のガイド部 25bの縁から離れて第 2のガイド部 25bの内側で浮いた状態で移動することとしたが，勿論，第 2のガイド部 25bの縁に接触しながら移動することとしても良い。この場合，回転軸 8の左右両端部を確実に誘導でき，安全である。

[0056] 図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では，第 2 のガイド部 25bの後端を歯車 5の回転軸 17の直下より前方に配置することとしたが，力かる構成は必ずしも必要なものではない。図 10に示すように，第 2のガイド部 25b の後端は，歯車 5の回転軸 17の直下より後方に配置されていても良い。この場合は，図 11に示すように，段差 31を乗り越えるときに，車体 3'を前進方向に向かうに従い上がるように大きく傾斜させれば良い。図 11においては，車体 3'からみると，回転軸 8は回転軸 17の後側に移動し，車輪 2が歯車 5の後側に移動しているが，鉛直方向を基準としてみると，回転軸 8は回転軸 17の前側に，車輪 2は歯車 5の前側にある。このように，車体 3'の傾斜角度を調整することで，車輪 2が常に歯車 5の前側になるように調整することができ，歯車 5によって車輪 2を前進方向に押すことができる。しかし，車体 3'が十分に大きく傾斜させることができない構成である場合や，大きく傾斜させることが望ましくない場合や，傾斜角度をスムーズに調整することが困難である場合などは，図 12に示すように，車体 3'の傾斜角度が小さいときに車輪 2が歯車 5の後に移動して，回転軸 8が第 2のガイド部 25bの上面によって後方に押し出され，第 2のガイド部 25bの後端部に押さえられてしまい，車輪 2を歯車 5の前側に戻すことが困難となり，また，車輪 2を歯車 5によって前方に押すことができなくなる事態も考えられる。そのような場合は，第 2のガイド部 25bの後端を歯車 5の回転軸 17の直下より前方に配置することで，車輪 2が歯車 5の後側に移動することを確実に防止でき，車体 3'を円滑に走行させることができる。

[0057] 図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では，第 2 のガイド部 25bは円弧状としたが，かかるものに限定されず，例えば，円弧状の軌道 Rに沿う形状の縁を有する扇形状等であっても良い。また，図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態に力かる車輪支持構造 1では，第 2のガイド部 25bの後端は歯車 5より前方に位置していることとしたが，力かる構成に代えて，歯車 5が車輪 2の前方に相対的に移動してしまうことを防止できる他の構成を備えても良い。例えば，第 2のガイド部 25bの途中に，歯車 5より前方の位置で回転軸 8の左右両端部に当接して止める突起物を設けても良い。また，車輪 2に当接して，車輪 2が歯車 5の後方に移動することを防止するストッパーを，フレーム 4に設けても良い。

[0058] 図 13に示すように，第 1のガイド部 25aの下面に突起 40を形成しても良い。図 13において，突起 40は，第 1のガイド部 25aの後部に，下縁から上方に向力つて突出するように設けられている。車輪 2の回転軸 8の左右両端部は，突起 40を越えて第 1のガイド部 25a内の基準位置 P1から連動位置 P2に移動するようになっている。突起 40の材質は，例えばゴム等であることが好ましい。力かる構成によれば，小さな段差を乗り越えるときや，車椅子本体 3が後退するとき等に，回転軸 8が連動位置 P2に移動して車輪 2が歯車 5に接触することを防止できる。従って，車椅子本体 3の前進及び後退を安定した状態で行うことができる。

[0059] また，車輪 2の回転軸 8を連動位置 P2から基準位置 P1に戻すように付勢する弾性体を接続しても良い。例えば，図 14及び図 15に示すように，各板状部材 20A, 20B の外側に，弾性体としてのパネ 42をそれぞれ備える。図 14及び図 15において，各パネ 42の上端は，基準位置 P1に位置する回転軸 8より前方かつ上方において，板状部材 20A, 20Bに対してそれぞれ固定接続されている。各パネ 42の下端は，回転軸 8の左右両端部に固定接続されている。回転軸 8の左右両端部が，第 1のガイド部 25aから第 2のガイド部 25bに向かって移動すると，パネ 42が伸びて，回転軸 8の左右両端部に対し，第 1のガイド部 25a側に戻そうとする力が働くようになつている。か力る構成によれば，小さな段差を乗り越えるときや，車輪 2が後退するとき等に，回転軸 8が連動位置 P2に移動して車輪 2が歯車 5に接触することを防止できる。従って，車輪 2の前進及び後退を安定した状態で行うことができる。また，車輪 2が段差 31の上方に移動した後，回転軸 8を連動位置 P2から基準位置 P1に戻し易くなる。なお，パネ 42の一端を回転軸 8より前方かつ上方ではなく，回転軸 8の後下方に固定して，回転軸 8の左右両端部が第 1のガイド部 25aから第 2のガイド部 25bに向力つて移動するときにパネ 42が圧縮され，回転軸 8の左右両端部に対し，第 1のガイド部 25a側に戻そうとする力が働くようにしても良い。また，弾性体としては，パネの他，ゴム等の伸縮性を有するものを使用しても良、。

[0060] なお，図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では ,第 1のガイド部 25aの上面を，基準位置 P1から連動位置 P2に向力に従い下がるように傾斜させることとしたが，回転軸 8を連動位置 P2から基準位置 P1に戻すように付勢する弾性体を設ける場合は，第 1のガイド部 25aの上面は，水平，あるいは，基準位置 P1から連動位置 P2に向力に従、上がるように傾斜させても良、。このような場合も，弾性体により加えられる力によって，車輪 2が平坦面を走行しているときに回転軸 8が基準位置 P1から連動位置 P2に向力つて移動することを防止できる。 [0061] 図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では，車輪 2の外周面と歯車 5の歯を接触させることで車輪 2と歯車 5を連動させることとしたが，車輪 2と歯車 5を連動させる構成は，カゝかる形態に限定されない。例えば，車輪 2の側面に形成した小輪の周面に，回転体の周面を接触させることで，車輪 2と歯車 5を連動させるようにしても良い。また，車輪と連動させる回転体の個数は， 2個以上であつても良い。

[0062] 例えば，図 16及び図 17に示すように，車輪 2の左右両側に，円板状に形成された小輪 45A, 45Bをそれぞれ形成する。小輪 45A, 45Bは，車輪 2の左右両面から外側に向力つて突出しており，車輪 2の直径より小さい直径で形成されている。また，小輪 45A, 45Bの回転軸は，車輪 2と同じ回転軸 8である。一方，板状部材 20A, 20B の内側には，それぞれ実施の形態に示したものと同様の，回転体としての歯車 5と係止板 16が備えられている。各歯車 5は，それぞれ小輪 45A, 45Bの外周面の後上方に配置されている。各歯車 5の回転軸 17は，車輪 2の回転軸 8に対して略平行になるように，また，車輪 2の前進方向に対して，車輪 2の回転軸 8よりも後方かつ上方に配置されており，フレーム 4の板状部材 20A, 20Bによってそれぞれ支持されている。

[0063] 回転軸 8が基準位置にある状態では，小輪 45A, 45Bの外周面と歯車 5の歯はそれぞれ離れており，車輪 2と歯車 5が連動していない状態になっている。回転軸 8の左右両端部は，第 1のガイド部 25a内にある。回転軸 8が連動位置に移動した状態では，小輪 45A, 45Bの外周面と歯車 5の歯がそれぞれ接触することで，車輪 2と歯車 5が連動して回転可能になる。回転軸 8の左右両端部は，第 1のガイド部 25aと第 2のガイド部 25bの連続部分に移動する。回転軸 8を円弧状の軌道に沿って移動させるときは，小輪 45A, 45Bの外周面を歯車 5の歯にそれぞれ接触させたまま，即ち，車輪 2と歯車 5を連動させた状態のまま，各歯車 5を中心として車輪 2を回転させることができる。回転軸 8の左右両端部は，第 2のガイド部 25b内で移動する。力かる構成によれば，各歯車 5によって，小輪 45A, 45Bを後上方力も前方に向力つてそれぞれ押すことにより，通常の場合より少ない力で，車輪 2を段差の上に円滑に乗り上げさせることができる。

[0064] なお，車輪 2の左右いずれかの片側のみに小輪と歯車 5を備え，あるいは，いずれか片方の小輪 45A, 45Bのみ歯車 5によって押すようにしても，通常の場合より少ない力で車輪 2を段差の上に乗り上げさせることができるが，車輪 2の左右両側の小輪 45A, 45Bを同時に押すことにより，車輪 2をさらに安定した状態で押し上げることができる。

[0065] また，車輪 2の側面に形成される小輪としては，円板状の他，円筒体，適当数の多角形等であっても良い。さらに，小輪の周面に，回転体である歯車 5と嚙み合って回転する歯車を形成し，回転体の歯車 5と小輪の歯車とを互いに嚙み合わせながら押すことができるようにしても良!、。

[0066] 車輪は，図 18及び図 19に示すような双輪キャスター 50であっても良い。図 18及び図 19において，双輪キャスター 50用の車輪支持構造 51は，フレーム 52を備えている。双輪キャスター 50は，直径が同じ 2個の車輪 55 A, 55Bの間に，各車輪 55A, 5 5Bの中心部を連結する回転軸 57を備え，車輪 55A, 55Bが回転軸 57を中心として回転するようになっている。また，車輪 55A, 55Bの内面には，円板状の小輪 60がそれぞれ形成されている。小輪 60は，車輪 55A, 55Bの内側の面，即ち車輪 55A, 55 Bが互いに向かい合う側の面から突出して形成されており，車輪 55A, 55Bの直径より小さい直径で形成されている。また，各小輪 60の回転軸は，車輪 55A, 55Bと同じ回転軸 57である。フレーム 52は，平坦面に対して垂直な向きになるように配置された板状部材 62を備えており，実施の形態に示したガイド溝 25と同様のガイド溝 65が形成されている。即ち，第 1のガイド部 25aと第 2のガイド部 25bと同様の，第 1のガイド部 65aと第 2のガイド部 65bが形成されている。車輪 55A, 55Bは，それぞれ板状部材 62の左右両側に配置される。回転軸 57は，ガイド溝 65の内側を貫通するように備えられる。

[0067] 一方，板状部材 62の左右両側には，それぞれ実施の形態に示したものと同様の歯車 5と係止板 16が備えられている。各歯車 5は，各車輪 55A, 55Bに形成された小輪 60の外周面の後上方にそれぞれ配置されている。各歯車 5の回転軸 17は，回転軸 57に対して略平行になるように，また，双輪キャスター 50の前進方向に対して，回転軸 57よりも後方かつ上方に配置されており，板状部材 62の左右両面によってそれぞれ支持されている。 [0068] 回転軸 57が基準位置にある状態では，各車輪 55A, 55Bに形成された小輪 60の外周面と各歯車 5の歯はそれぞれ離隔している。回転軸 57の中央部分は，第 1のガイド部 65a内にある。回転軸 57が連動位置に移動した状態では，各小輪 60の外周面と各歯車 5の歯がそれぞれ接触することにより，双輪キャスター 50と各歯車 5とが連動する状態になる。回転軸 57の中央部分は，第 1のガイド部 65aと第 2のガイド部 65 bの連続部分に移動する。回転軸 8を円弧状の軌道に沿って移動させるときは，各小輪 60の外周面を各歯車 5の歯にそれぞれ接触させたまま，即ち，双輪キャスター 50 と各歯車 5を連動させた状態のまま，各歯車 5を中心として双輪キャスター 50を回転させることができる。回転軸 57の中央部分は，第 2のガイド部 65b内で移動する。この場合も，各歯車 5によって各小輪 60を後上方力も前方に向力つてそれぞれ押すことにより，通常の場合より少ない力で，双輪キャスター 50を段差の上に円滑に乗り上げさせることがでさる。

[0069] なお，各歯車 5は，車輪 55A, 55Bに形成された小輪 60にではなく，車輪 55A, 5 5Bの外周面に接触させるようにしても良い。また， 2枚の板状部材の間に双輪キャスター 50を備え，各車輪 55A, 55Bの外側に回転軸 57をそれぞれ突出させ，回転軸 57の左右両端部を，各板状部材の支持溝及びガイド溝の内側に配置するようにし，各板状部材の内側で，各歯車 5を支持しても良い。

[0070] 車輪 55A, 55Bの側方に形成される小輪としては，円板状の他，円筒体，適当数の多角形等であっても良い。さらに，小輪の周面に，回転体である歯車と嚙み合って回転する歯車を形成し，回転体である歯車と小輪の歯車とを互いに嚙み合わせながら押すことができるようにしても良、。

[0071] 図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では，係止板 16を歯車 5の歯同士の間に当接させることで歯車 5を一方向にのみ回転可能にする構成を説明したが，例えば，歯車 5の左側面又は右側面に，周面に歯車を設けた小輪を形成し，この小輪の歯車における歯同士の間に，係止板 16を当接させるようにしても良い。

[0072] また，図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態に力かる車輪支持構造 1では ,係止部材として歯車 5の歯同士の間に下端部を当接させる係止板 16を説明したが ,係止部材の形状は力かるものに限定されず，例えば図 20に示すように，突起を複数備えた形状にしても良い。図 20において，係止部材 71は，上下方向に一列に並ベた複数の爪 72を備えている。各爪 72は，係止部材 71の前縁部力も前方に突出しており，各爪 72の上面が前方に向力ほど下方に傾斜した形状になっている。歯車 5 の右側面には，周面に複数の爪 73を歯車状に設けた小輪 75が形成されている。各爪 73は，回転方向 W2と反対方向に向かうに従い外側に向力ように湾曲した形状になっている。即ち，歯車 5の回転に伴い爪 73が小輪 75の後部に移動したとき，爪 7 3の先端が上方に向力ように形成されている。爪 73の回転方向 W2に対して前側の面は，小輪 75の周囲に向力つて凸状に湾曲した円滑な曲面になっている。係止部材 71は小輪 75の後方に配置されており，後方に移動した爪 73同士の間に爪 72の先端が配置されるようになって、る。

[0073] 力かる構成において，歯車 5を回転方向 W2に回転させようとすると，小輪 75の後部において，爪 73の回転方向 W2に対して前側の面が爪 72の上面に沿って円滑に下降移動する。そして，爪 72同士の間に爪 73の先端が入り込み，さらに，爪 72の間力も円滑に退出して下降移動する。従って，歯車 5を回転方向 W2に円滑に回転させることができる。一方，歯車 5を回転方向 W1に回転させようとすると，小輪 75の後部において，爪 73の先端が爪 72の間に挟まり，爪 73の上方に位置する爪 72の下面によって押さえられる。そのため，爪 73は爪 72の間から退出できず，上昇移動することができない。従って，歯車 5を回転方向 W1に回転させることができないようになっている。

[0074] 図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では，車輪 2の回転軸 8が第 1のガイド溝 25a内で基準位置 P1から連動位置 Ρ2まで移動するように車輪 2が移動して，車輪 2に歯車 5が接触することにより，車輪 2と歯車 5が連動する状態になるように構成したが，車輪と回転体が連動する状態と連動しない状態とを切り替える構成は，力かるものに限定されない。例えば，図 21に示すように，板状部材 20A, 20Bを前後に移動可能な構成とし，車輪 2の回転軸 8をガイド溝 85に対して静止させたまま，車輪 2を板状部材 20A, 20Bと共に歯車 5に向かって後方に移動させることにより，車輪 2と歯車 5を接触させ，連動する状態になるように構成しても良い [0075] 図 21及び図 22に示す車輪支持構造 80において，車輪 2,歯車 5,係止板 16は，実施の形態に示したものと同様の構成を有するので説明を省略する。フレーム 4は，車輪 2を保持する保持体 81と，保持体 81を車椅子本体 3の進行方向に沿つて前後にスライドさせる保持体支持部材 82を備えて、る。

[0076] 保持体 81には，実施の形態に示した板状部材 20A, 20Bが形成されている。板状部材 20A, 20Bには，ガイド溝 85が形成されている。このガイド溝 85は，実施の形態に示したガイド溝 25の第 2のガイド部 25bと同様に，軌道 Rに沿って形成されており，後方に行くに従、下方に湾曲する円弧状の形状をなす。

[0077] 保持体 81の上部は，保持体支持部材 82の内側に配設されている。図 23に示すように，保持体支持部材 82の内面の左右両側には，内側に向力つて凸状に形成されたレール 87A, 87Bが設けられている。レール 87A, 87Bは，車椅子本体 3の進行方向に沿って前後に延びるように形成されている。また，保持体 81の上部の左右両側には，レール 87A, 87Bにそれぞれ嚙み合う凹部 88A, 88Bが形成されている。凹部 88A, 88Bは，車椅子本体 3の進行方向に沿って前後に延びるように形成されている。保持体 81は，凹部 88A, 88Bをレール 87A, 87Bにそれぞれ嚙み合わせた状態で，保持体支持部材 82に支持されている。凹部 88A, 88Bは，レール 87A, 87 Bに沿って前後に移動させることができ，これにより，保持体 81を前後にスライドさせることができる。即ち，板状部材 20A, 20Bを車椅子本体 3の進行方向に沿ってスライドさせることができる構成になっている。

[0078] 保持体支持部材 82は，車椅子本体 3に固定支持されている。図 21に示すように，保持体支持部材 82の後部には，歯車 5と係止板 16を支持する回転体支持体 91が形成されている。歯車 5と係止板 16は，回転体支持体 91を介して保持体支持部材 8 2に固定支持されている。

[0079] 図 24に示すように，車輪 2は，板状部材 20A, 20Bと共に前後に移動させることができる。また，車輪 2の回転軸 8をガイド溝 85の上端部に配置した状態で板状部材 2 OA, 20Bを前後に移動させることにより，車輪 2と歯車 5が連動しない位置まで前方に移動した基準位置 P3から，車輪 2と歯車 5が連動する位置まで後方に移動した連動位置 P4までの間で回転軸 8を移動させることができる。即ち，回転軸 8は，板状部材 20A, 20Bが後方に移動することにより，基準位置 P3から連動位置 P4に移動し，また，板状部材 20A, 20Bが前方に移動することにより，連動位置 P4から基準位置 P 3に移動する。

[0080] このような構成を有する車輪支持構造 80において，車椅子本体 3が前進しているとき，保持体 81は，保持体支持部材 82の前部に位置しており，車輪 2と歯車 5は離隔して連動してヽな、。回転軸 8は基準位置 P3に位置して、る。

[0081] 車輪 2が段差 31に当接すると，図 24に示すように，車輪 2が段差 31に当接したまま ,車椅子本体 3及び保持体支持部材 82が前進する。車輪 2及び保持体 81は，車椅子本体 3及び保持体支持部材 82に対して相対的に後退する。保持体 81は，保持体支持部材 82のレール 87A, 87Bに沿って保持体支持部材 82に対して相対的に後退する。車輪 2は，回転軸 8をガイド溝 85の上端部に配置させたまま，保持体 81と共に保持体支持部材 82に対して相対的に後退する。これにより，車輪 2の外周面が歯車 5に当接する。回転軸 8は基準位置 P3から連動位置 P4に移動する。こうして，車輪 2は，歯車 5を中心として回転可能な状態となり，回転軸 8は，車輪 2と歯車 5を連動させながら，円弧状の軌道 Rに沿って移動自在な状態となる。そして，実施の形態に説明した動作と同様にして，段差 31を乗り越えることができる。

[0082] なお，図 21及び図 22に示した車輪支持構造 80においては，保持体 81の後方に配置した回転体支持体 91によって歯車 5と係止板 16を固定する構成としたが，歯車 5と係止板 16を固定する構成は，力かるものに限定されない。例えば図 25及び図 26 に示す車輪支持構造 80のように，歯車 5の回転軸 17の左右両端部を支持する回転体回転軸支持体 92A, 92Bを，保持体 81の左右両側に配置し，また，回転軸 17の左右両端部をガイドする回転体回転軸ガイド溝 93を，板状部材 20A, 20Bにそれぞれ形成する。歯車 5は，回転体回転軸支持体 92A, 92Bを介して保持体支持部材 8 2に固定支持されている。係止板 16は，保持体支持部材 82の後部に固定支持されている。即ち，回転軸 17の左右両端部を回転体回転軸ガイド溝 93内で相対的に移動させながら，保持体 81をスライドさせるようになつている。

[0083] 保持体 81と保持体支持部材 82をスライドさせる構成は，図 23に示したレール 87A , 87Bと凹部 88A, 88Βによってスライドさせるものに限定されない。また，保持体 81 をスライドさせ易くするために，保持体 81と保持体支持部材 82の間で回転する回転部材を設けても良い。例えば図 27に示すように，保持体支持部材 82の内側の上面に複数の回転部材 95を備えるようにする。図 27において，各回転部材 95は球状に形成されている。回転部材 95は，保持体支持部材 82の内側の上面に形成された穴 96の内側に保持されており，穴 96内で自在に回転可能になっている。回転部材 95 の下端部は，保持体支持部材 82の内側の上面より下方に突出しており，回転部材 9 5の下端と保持体 81の上面が接触する高さに配置されている。保持体 81の上面は，保持体 81がスライドする方向に沿った平面になっている。この構成において，保持体 81をスライドさせると，各回転部材 95が保持体 81のスライド方向に沿ってそれぞれ回転するので，保持体 81を保持体支持部材 82に対して円滑にスライドさせることができる。

[0084] なお，回転部材は上述した球状の他，例えば，保持体 81がスライドする方向に沿つて回転するように回転軸を保持した円板状にしても良い。また，回転部材を設ける場所は，保持体支持部材 82の内側の上面に限定されず，例えば，保持体 81の上面などに設けても良い。

[0085] さらに，保持体 81を保持体支持部材 82の前部に戻すように付勢する弾性体を接続しても良い。例えば，図 28に示すように，保持体支持部材 82の内側の左右両側面に，弾性体としてのパネ 98をそれぞれ備える。図 28において，パネ 98は保持体 8 1の前方に配置され，パネ 98の前端は保持体支持部材 82の内側の左右両側面に接続されており，パネ 98の後端は保持体 81の前縁部に接続されている。保持体 81 が保持体支持部材 82に対して後方に移動すると，パネ 98が伸びて，保持体 81を前方に戻そうとする力が働くようになつている。力かる構成によれば，平坦面を走行しているときや，小さな段差を乗り越えるとき等に，保持体 81が後退して車輪 2と歯車 5が連動することを防止できる。従って，車輪 2の走行を安定させることができる。また，車輪 2が段差 31の上方に移動した後，保持体 81が前方に戻るように付勢され，車輪 2 と歯車 5が連動しない状態に戻し易くなる。なお，パネ 98を保持体 81の後方に配置し，パネ 98の前端を保持体 81の後縁部に接続し，パネ 98の後端を保持体支持部材 82の内側の左右両側面に接続するようにして，保持体 81が保持体支持部材 82に対して後方に移動するときにパネ 98が圧縮され，保持体 81を前方に戻そうとする力が働くようにしても良い。また，パネ 98を保持体 81の前方と後方にそれぞれ配置して， 2個のパネ 98によって保持体 81を前方に戻すように付勢しても良い。弾性体としては，パネの他，ゴム等の伸縮性を有するものを使用しても良い。

[0086] また，以上に示した本発明の第 1の実施の各形態に力かる車輪支持構造 1では，車輪と回転体を接触させる状態と離隔させる状態とを切り替える構成を示したが，回転体を一方向にのみ回転可能な状態と自由に回転可能な状態とに切り替える構成を備えても良い。例えば，係止部材と回転体とを互いに移動可能な構成にすれば，係止部材と回転体を当接させることで回転体を一方向にのみ回転可能な状態にし，係止部材と回転体を離隔させることで回転体を自在に回転可能な状態にすることができる。

[0087] 図 29及び図 30に示す車輪支持構造 100では，保持体 81に保持された車輪 2と歯車 5が，保持体支持部材 82に支持された係止板 16に対して前後に移動可能に支持されている。車輪 2と歯車 5は連動させた状態，即ち，車輪 2の外周面と歯車 5の歯が接触した状態で配置され，保持体 81によって保持されている。係止板 16は，保持体支持部材 82に固定支持されている。

[0088] この車輪支持構造 100においては，保持体 81を保持体支持部材 82に対して相対的に後方に移動させると，車輪 2と歯車 5が保持体 81と共に移動し，歯車 5に係止板 16が当接して，歯車 5が回転方向 W2にのみ回転可能な状態になる。保持体 81を保持体支持部材 82に対して相対的に前方に移動させると，車輪 2と歯車 5が保持体 81 と共に移動し，歯車 5から係止板 16が離隔して，歯車 5が車輪 2の回転方向に伴って回転方向 Wl, W2に自在に回転可能な状態になる。

[0089] また，係止部材と回転体が当接した状態と，係止部材と回転体が離隔した状態とを切り替える構成として，例えば図 31に示す車輪支持構造 105のように，係止板 16を後方から押して移動させる係止部材移動体 106を備え，係止板 16を係止部材移動体 106に対して相対的に移動させるようにしても良い。図 31及び図 32において，車輪 2と歯車 5は連動させた状態，即ち，車輪 2の外周面と歯車 5の歯が接触した状態で配置され，保持体 81によって保持されている。係止板 16は，上縁部を中心として前後方向に揺動自在な状態で，保持体 81によって保持されている。係止部材移動体 106は，保持体支持部材 82に固定支持されており，係止板 16の後方に配置されている。

[0090] この車輪支持構造 105においては，車輪 2,歯車 5,係止板 16及び保持体 81を保持体支持部材 82及び係止部材移動体 106に対して相対的に後方に移動させると，係止板 16が係止部材移動体 106に前方から当接する。即ち，係止板 16が係止部材移動体 106によって後方力も押されて回動し，係止板 16の下縁部が前方に向かって移動する。すると，図 32に示すように，係止板 16の下縁部が歯車 5に当接し，歯車 5 が回転方向 W2にのみ回転可能な状態になる。車輪 2,歯車 5,係止板 16及び保持体 81が車椅子本体 3,保持体支持部材 82及び係止部材移動体 106に対して相対的に前方に移動すると，係止板 16が係止部材移動体 106から離隔して，係止板 16 の下縁部が後方に戻る。即ち，係止板 16が歯車 5から離隔して，歯車 5が車輪 2の回転方向に伴つて回転方向 Wl, W2に自在に回転可能な状態になる。

[0091] また，係止部材と回転体が当接した状態と，係止部材と回転体が離隔した状態とを切り替える構成として，例えば図 33に示した車輪支持構造 110のように，歯車 5に対して当接及び離隔させるように係止板 16を移動させることができる係止部材移動装置 111を設けた構成としても良い。図 33の車輪支持構造 110において，板状部材 2 OA, 20B,係止部材移動装置 111は，車椅子本体 3に対して固定支持されている。車輪 2と歯車 5は連動させた状態，即ち，車輪 2の外周面と歯車 5の歯が接触した状態で配置され，板状部材 20A, 20Bによって保持されている。係止板 16は，上縁部を中心として前後方向に揺動自在な状態で，板状部材 20A, 20Bによって保持されている。また，係止部材移動装置 111の駆動を制御する制御部 112が備えられている。この制御部 112の制御信号によって，係止部材移動装置 111を駆動させ，係止部材移動体 113を前後方向に移動させる構成となって、る。車椅子の操作を行う者は，制御部 112を操作することにより，係止部材移動体 113を前後方向に任意に移動させる操作を行うことができる。

[0092] この車輪支持構造 110においては，制御部 112の制御信号によって係止部材移動装置 111を駆動させ，係止部材移動体 113を前方に突出させると，図 34に示すように係止板 16が係止部材移動体 113によって後方力も押されて回動し，係止板 16 の下縁部が前方に向力つて移動する。すると，係止板 16の下縁部が歯車 5に当接し ,歯車 5が回転方向 W2にのみ回転可能な状態になる。また，制御部 112の制御信号によって係止部材移動機構 97を駆動させ，係止部材移動体 113を後退させると，図 33に示すように係止板 16から係止部材移動体 113が離隔して，係止板 16の下縁部が後方に戻る。即ち，係止板 16が歯車 5から離隔して，歯車 5が車輪 2の回転方向に伴って回転方向 Wl, W2に自在に回転可能な状態になる。従って，車椅子の操作を行う者は，制御部 112を操作することにより係止部材移動装置 111を駆動させ，係止板 16を前後に移動させ，歯車 5を回転方向 W2にのみ回転可能な回転体とした状態と，歯車 5を回転方向 Wl, W2に自在に回転可能にした状態とに切り替える操作を行うことができる。このようにすると，車椅子の操作を行う者の任意で，歯車 5を回転方向 W2にのみ回転可能な状態に切り替えて，実施の形態に示した車輪 2を段差に円滑に乗り上げさせる動作を行うことができる。例えば段差を乗り越えるときのみ，歯車 5を回転方向 W2にのみ回転可能な状態にし，平坦面においては，歯車 5を回転方向 Wl, W2に自在に回転可能な状態にすれば，平坦面において車輪 2の前進及び後退を安定した状態で円滑に行うことができる。

[0093] なお，係止部材移動装置は，係止部材移動体 113を前後に移動させる係止部材移動装置 111に限定されず，例えば，係止板 16を係止部材移動装置に支持させて ,係止板 16を係止部材移動装置の駆動により前後に移動させるようにしても良い。また，係止部材移動装置は，例えば，自転車の前輪用のブレーキ装置として一般的に使用されているキヤリパーブレーキ等のように，レバーとワイヤーロープを備えた構成によって係止板 16を移動させる構成としても良い。即ち，レバーと係止板 16をワイヤ一ロープを介して接続し，レバーを操作することによりワイヤーロープを引っ張ると，係止板 16が歯車 5に向力つて前方に移動し，レバーを戻すと係止板 16が後方に戻り，歯車 5から離隔する構成としても良い。

[0094] また，レバーとワイヤーロープを備えた構成によって係止部材移動体 113を移動させるようにしても良い。即ち，レバーと係止部材移動体 113をワイヤーロープを介して接続し，レバーを操作することによりワイヤーロープを引っ張ると，係止部材移動体 1 13が前方に移動し，係止板 16が係止部材移動体 113によって押されて歯車 5に向力つて前方に移動し，レバーを戻すと係止部材移動体 113が後方に移動し，係止板 16が後方に戻り歯車 5から離隔する構成としても良い。

[0095] 車輪 2と歯車 5が連動する状態と連動しない状態との切り替えは，例えば図 35に示した車輪支持構造 115のように，歯車 5と係止板 16を移動させることができる回転体移動装置 116によって行っても良い。図 35に示した車輪支持構造 115において，板状部材 20A, 20B,回転体移動装置 116は，車椅子本体 3に対して固定支持されている。車輪 2の回転軸 8は板状部材 20A, 20Bのガイド溝 85に保持されている。回転体移動装置 116は，板状部材 20A, 20Bの後方に支持されており，歯車 5と係止板 1 6を支持する回転体支持体 120を支持している。歯車 5と係止板 16は接触させた状態，即ち，歯車 5が回転方向 W2にのみ回転可能な状態で，回転体支持体 120に支持されている。また，回転体移動装置 116の駆動を制御する制御部 121が備えられている。この制御部 121の制御信号によって，回転体移動装置 116を駆動させ，回転体支持体 120を前後方向に移動させることにより，歯車 5を車輪 2と接触しない位置まで車体の進行方向に対して後方に移動させ，また，車輪 2と接触して連動する位置まで車体の進行方向に対して前方に移動させる構成となってヽる。車椅子の操作を行う者は，制御部 121を操作することにより，歯車 5を任意に移動させる操作を行うことができる。

[0096] この車輪支持構造 115においては，制御部 121の制御信号によって回転体移動装置 116を駆動させ，回転体支持体 120を前方に移動させ，歯車 5を車輪 2に接触させると，車輪 2と歯車 5が連動する状態となる。また，制御部 121の制御信号によつて回転体移動装置 116を駆動させ，回転体支持体 120を後方に移動させ，歯車 5を車輪 2から離隔させると，車輪 2と歯車 5が連動しない状態となる。従って，車椅子の操作を行う者は，制御部 121の操作により回転体移動装置 116を駆動させ，歯車 5を前後に移動させることで，車輪 2と歯車 5が連動する状態と連動しない状態とを切り替える操作を行うことができる。このようにすると，車椅子の操作を行う者の任意で，車輪 2と歯車 5を接触させる状態に切り替えて，車輪 2を段差に円滑に乗り上げさせる動作を行うことができる。例えば段差を乗り越えるときのみ，歯車 5を車輪 2に接触させて連動する状態にし，平坦面においては，歯車 5を車輪 2から離隔させて連動しない状態にすれば，平坦面において車輪 2の前進及び後退を安定した状態で円滑に行うことができる。

[0097] なお，回転体移動装置は，例えば，自転車の前輪用のブレーキ装置として一般的に使用されているキヤリパーブレーキ等のように，レバーとワイヤーロープを備えた構成によって回転体支持体 120を移動させる構成としても良い。即ち，レバーと係止板 16をワイヤーロープを介して接続し，レバーを操作することによりワイヤーロープを引つ張ると，回転体支持体 120が車輪 2に向かって前方に移動して歯車 5が車輪 2に接触し，レバーを戻すと回転体支持体 120が後方に戻り，歯車 5が車輪 2から離隔する構成としても良い。

[0098] 図 1一 9で説明した本発明の第 1の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 1では，車輪の後方に回転体を備え，車輪が前進するとき段差を容易に乗り越えるための構成を説明したが，例えば図 36に示すように，車輪 2の前方にも第 2の回転体を備え，車輪と第 2の回転体を連動させながら，車輪の回転軸を前方に向かって第 2の回転体の回転軸を中心として円弧状の軌道に沿って移動自在に構成することにより，車輪 2が前進するときも後退するときも，車輪の前方又は後方に位置する段差を容易に乗り越えさせることができる。図 36に示す車輪支持構造 130において，車輪 2の前進方向に対して後方には，実施の形態において説明したものと同様の構成を有する歯車 5, 係止板 16が備えられている。また，車椅子本体 3の前進方向に対して車輪 2の前方（車椅子本体 3の後退方向に対しては，車輪 2の後方)かつ上方に，第 2の回転体としての歯車 135が配置されている。また，歯車 5の前方に，歯車 135を一方向にのみ回転させるための係止部材としての係止板 136を設ける。

[0099] 歯車 135,係止板 136は，歯車 5,係止板 16とそれぞれほぼ同様の構成を有する。

即ち，歯車 135は，歯車 135の中心部に位置する回転軸 137を中心として回転可能である。回転軸 137は，車輪 2の回転軸 8に対して略平行になるように，また，車輪 2 の前進方向に対して，車輪 2の回転軸 8よりも前方かつ上方に配置されており，フレーム 4によって支持されている。係止板 136も，フレーム 4によって支持されている。係止板 136の下部は，後方に向力うほど下方に傾斜するように形成されており，回転軸 137より下方において，歯車 135の歯同士の間に，係止板 136の下端部が当接するように配置されている。即ち，歯車 135は，係止板 136の下部表面に沿って，車輪 2の前進時の回転方向と同じ回転方向 W1に回転することは可能であるが，歯車 135 が車輪 2の後退時の回転方向と同じ回転方向 W2に回転しょうとしても，係止板 136 の下端部によって歯が押さえられるため，回転できないようになっている。従って，歯車 135は，回転方向 W2に対して反対方向である回転方向 W1にのみ回転可能になつている。

[0100] 図 37に示すように，回転軸 8は，車輪 2と歯車 5が連動せず，かつ，車輪 2と歯車 13 5が連動しな、基準位置 P1から，車輪 2の周面と歯車 5の周面とが接触して連動する連動位置 P2までの間を移動自在である。基準位置 P1は，歯車 5と歯車 135の中間に位置する。さらに，回転軸 8は，車輪 2と歯車 5とを連動させた状態で，連動位置 P2 より後方かつ下方に向かって，歯車 5の回転軸 17を中心として円弧状の軌道 Rに沿つて移動自在である。

[0101] また，回転軸 8は，基準位置 P1から，車輪 2の周面と歯車 135の周面とが接触して連動する連動位置 P5までの間を移動自在である。さらに，回転軸 8は，車輪 2と歯車 135とを連動させた状態で，連動位置 P2より前方かつ下方に向力つて，歯車 135の回転軸 137を中心として円弧状の軌道 R2に沿って移動自在である。軌道 R2は，歯車 135の回転軸 137を中心として歯車 135の半径と車輪 2の半径を加算した長さを半径とした円弧に沿った軌道である。回転軸 8が連動位置 P5にあるときは，車輪 2の周面と歯車 135の歯とが接触して，車輪 2と歯車 135が連動して回転可能になる。回転軸 8が軌道 R2に沿って移動するときは，車輪 2の周面と歯車 135の歯とが接触して ,車輪 2と歯車 135が連動して回転可能な状態のまま，車輪 2が歯車 135を中心として回転するようになって!/ヽる。

[0102] 板状部材 20A, 20Bには，車輪 2の回転軸 8を基準位置 P1,連動位置 P2,軌道 R に沿って，また，基準位置 P1,連動位置 P5,軌道 R2に沿って移動させるようにガイドするためのガイド溝 145がそれぞれ形成されている。各ガイド溝 145は，回転軸 8の左端部又は右端部を基準位置 P 1と連動位置 P2との間でガイドする第 1のガイド部 1 45aと，回転軸 8の左端部又は右端部を連動位置 P2から後方に円弧状の軌道 i e ガイドする第 2のガイド部 145bと，回転軸 8の左端部又は右端部を基準位置 P1と連動位置 P5との間でガイドする第 3のガイド部 145cと，回転軸 8の左端部又は右端部を連動位置 P5から後方に円弧状の軌道 R2でガイドする第 4のガイド部 145dとによつて構成されている。

[0103] 第 1のガイド部 145a,第 2のガイド部 145bは，それぞれ実施の形態に示した第 1のガイド部 25a,第 2のガイド部 25bと同様の形状に形成されている。第 4のガイド部 14 5dは，軌道 R2に沿って，前方に行くに従って下方に湾曲する円弧状に形成されている。第 3のガイド部 145cの前端と第 4のガイド部 145dの上端は連続しており，回転軸 8は，第 3のガイド部 145cから第 4のガイド部 145dに，また，第 4のガイド部 145d 力も第 3のガイド部 145cに移動自在になっている。さらに，第 1のガイド部 145aの前端と第 3のガイド部 145cの後端は連続しており，回転軸 8は，第 1のガイド部 145aから第 3のガイド部 145cに，また，第 3のガイド部 145cから第 1のガイド部 145aに移動自在になっている。

[0104] なお，第 3のガイド部 145cの上面は，基準位置 P1から連動位置 P5に向力うに従い下がるように傾斜させて設けられて、る。車椅子本体 3が平坦面上にある状態にぉヽては，回転軸 8は第 1のガイド部 145aの上斜面と第 3のガイド部 145cの上斜面の間に押さえられる。従って，車椅子本体 3が平坦面上で前進又は後退しているときに，回転軸 8が基準位置 P1から連動位置 P2, P5に向かって移動することを防止できる。また，段差を乗り越えるときは，回転軸 8を基準位置 P1から軌道 R又は R2側に向かつて円滑に移動させることができる。なお，第 4のガイド部 145dの前端は，歯車 135 の回転軸 137の直下より後方に位置していることが好ましい。このようにすると，車輪 2が歯車 135の前側に移動することを確実に防止できる。もし，第 4のガイド部 145d の前端が歯車 135の回転軸 137の直下より前方に位置していると，回転軸 8が歯車 1 35の回転軸 137より前方に移動して車輪 2が歯車 135の前側に移動したときに，第 4 のガイド部 145dの上面から回転軸 8の上面に対して，車椅子本体 3の自重による力が加えられるため，回転軸 8は第 4のガイド部 145dの前部の上面によって前方に押し出され，第 4のガイド部 145dの前端部に押さえられてしまい，車輪 2を歯車 135の後側に戻すことが困難となるが，第 4のガイド部 145dの前端を回転軸 137の直下より後方に配置しておけば，そのような事態を防ぐことができる。また，各第 3のガイド部 1 45c及び第 4のガイド部 145dの幅を，回転軸 8の直径より僅かに大きく形成して，回転軸 8が各第 3のガイド部 145c及び第 4のガイド部 145dの内側で余裕を持って円滑に移動及び自転できるようにすることが好まし、。

[0105] 各板状部材 20A, 20Bの第 1のガイド部 145a,第 2のガイド部 145b,第 3のガイド部 145c及び第 4のガイド部 145dは，互いに面対称な形状及び位置に形成されており，回転軸 8は，板状部材 20A, 20Bに対して垂直な姿勢で支持されるようになっている。回転軸 8の左右両側のフランジ部 28A, 28Bは，それぞれ各板状部材 20A, 2 OBの第 1のガイド部 145a,第 2のガイド部 145b,第 3のガイド部 145c及び第 4のガイド部 145dの外側に配置される。

[0106] この車輪支持構造 130においては，車椅子本体 3が前進しているときに，車輪 2の前方にお!、て突出して!/、る段差 31に車輪 2の前下部が突き当たった場合は，実施の形態に示した動作と同様の動作を行うことにより，段差 31を乗り越えることができる。先ず，回転軸 8が第 1のガイド部 145aにガイドされながら基準位置 P1から連動位置 P2に移動し，車輪 2が歯車 5に当接する。さらに，歯車 5によって車輪 2が段差 31 の上面に向力つて押し上げられる。これにより，車輪 2を段差 31の上に容易に乗り上げさせることができる。歯車 5によって車輪 2が押し上げられる間，回転軸 8は，第 2のガイド部 145bにガイドされながら軌道 Rに沿って移動する。また，車輪 2が段差 31の上方に移動した後，回転方向 W2にのみ回転する歯車 5によって車輪 2が押されて，回転方向 W1に回転しながら前進する。回転軸 8は，第 2のガイド部 145bにガイドされながら軌道 Rに沿って移動し，連動位置 P2に移動する。そして，車輪 2が歯車 5から離隔し，回転軸 8が第 1のガイド部 145aにガイドされながら連動位置 P2から基準位置 P1に戻る。

[0107] 一方，車椅子本体 3が後退しているときに，車輪 2の後方において突出している段差に車輪 2の後下部が突き当たった場合も，実施の形態に示した動作と同様の動作を行うことにより，段差を乗り越えることができる。先ず，回転軸 8が第 3のガイド部 145 cにガイドされながら基準位置 P 1から連動位置 P5に移動し，車輪 2が歯車 135に当接する。さらに，歯車 135によって車輪 2が段差の上面に向力つて押し上げられる。これにより，車輪 2を段差の上に容易に乗り上げさせることができる。歯車 135によって車輪 2が押し上げられる間，回転軸 8は，第 4のガイド部 145dにガイドされながら軌道 R2に沿って移動する。また，車輪 2が段差の上方に移動した後，回転方向 W1にのみ回転する歯車 135によって車輪 2が押されて，回転方向 W2に回転しながら後退する。回転軸 8は，第 4のガイド部 145dにガイドされながら軌道 R2に沿って移動し，連動位置 P5に移動する。そして，車輪 2が歯車 135から離隔し，回転軸 8が第 3のガイド部 145cにガイドされながら連動位置 P5から基準位置 P1に戻る。このように，車椅子本体 3が後退するときも，車輪 2を段差の上に容易に乗り上げさせることができる。なお，車輪 2と一方向にのみ回転する回転体としての歯車 5とが連動する状態に切り替える構成は，上記の構成，即ち，車輪 2の回転軸 8を第 1のガイド部 145a内で基準位置 P1から連動位置 P2まで移動させるようにして車輪 2を歯車 5に接触させ連動させるものに限定されない。また，車輪 2と一方向にのみ回転する第 2の回転体としての歯車 135とが連動する状態に切り替える構成も，上記の構成，即ち，車輪 2の回転軸 8を第 3のガイド部 145c内で基準位置 P1から連動位置 P5まで移動させるようにして車輪 2を歯車 135に接触させ連動させるものに限定されない。車輪 2と一方向にのみ回転するようにした歯車 5又は歯車 135とが連動する状態に切り替える構成としては，別の実施の形態として前述した種々のものを適用できる。即ち，例えば，図 21及び図 22に示した車輪支持構造 80,又は，図 25及び図 26に示した車輪支持構造 80 のように，車輪 2を保持した保持体 81をスライドさせることにより車輪 2と歯車 5を接触させ連動させるもの，図 29及び図 30に示した車輪支持構造 100のように，車輪 2及び歯車 5を保持した保持体 81をスライドさせることにより，歯車 5に係止板 16を接触させ，歯車 5を回転方向 W2にのみ回転可能な回転体にするもの，図 31に示した車輪支持構造 105のように，車輪 2,歯車 5及び揺動可能な係止板 16を保持した保持体 81をスライドさせることにより，係止部材移動体 106によって係止板 16を押すようにして，係止板 16を歯車 5に接触させ，歯車 5を回転方向 W2にのみ回転可能な回転体にするもの，図 33に示した車輪支持構造 110のように，係止部材移動装置 111によつて係止板 16を移動させ，係止板 16を歯車 5に接触させ，歯車 5を回転方向 W2にのみ回転可能な回転体にするもの，図 35に示した車輪支持構造 115のように，回転体移動装置 116によって歯車 5を車輪 2に向カゝつて移動させ，車輪 2と歯車 5を接触させ連動させるもの，等を適用することができる。なお，車輪 2と歯車 135が連動する状態と連動しない状態とを切り替える構成は，歯車 5を歯車 135,係止板 16を係止板 136と置き換えて，車椅子本体 3が前進するときに前方の段差を乗り越えるための構成として説明した上記の各構成に対して，鉛直面を中心としてほぼ対称な構成とすれば良い。また，車輪 2と一方向にのみ回転するようにした歯車 5が連動する状態に切り替える構成と，車輪 2と一方向にのみ回転するようにした歯車 135が連動する状態に切り替える構成は，互いに別の構成であっても良い。

[0109] また，車輪支持構造 130において，車輪 2の回転軸 8を連動位置 PI, P5から基準位置 P1に戻すように付勢する弾性体を備える場合は，図 38に示すように，弾性体を回転軸 8の真上に備えるようにすると良い。即ち，例えば各板状部材 20A, 20Bの外側に，弾性体としてのパネ 147をそれぞれ備え，各パネ 147の上端は，基準位置 P1 に位置する回転軸 8の上方において，板状部材 20A, 20Bに対してそれぞれ固定する。各パネ 147の下端は，回転軸 8の左右両端部に固定する。回転軸 8の左右両端部が，第 1のガイド部 145aから第 2のガイド部 145bに向力つて移動すると，パネ 147 が伸びて，回転軸 8の左右両端部に対し，前上方に引っ張り第 1のガイド部 145a側に戻そうとする力が働く。また，回転軸 8の左右両端部が，第 3のガイド部 145cから第 4のガイド部 145dに向かって移動すると，パネ 147が伸びて，回転軸 8の左右両端部に対し，後上方に引っ張り第 3のガイド部 145c側に戻そうとする力が働く。これにより，小さな段差を乗り越えるときや，車輪 2が後退するとき等に，回転軸 8が基準位置 P1から連動位置 P2, P5に移動して車輪 2が歯車 5, 135に接触することを防止でき ,車輪 2の前進及び後退を安定した状態で行うことができる。また，車輪 2が段差の上方に移動した後，回転軸 8を連動位置 P2又は P5から基準位置 P1に戻し易くなる。

[0110] 次に，本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造を説明する。図 39及び図 40に示す本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201は，車体の一例としての車椅子の前部に備えられており，車椅子の前輪である車輪 202を支持している。この車輪支持構造 201は，車椅子本体 203に固定支持されたフレーム 204と，車輪 202の外径より小さ、外径を有する回転体 205とを備えて、る。

[0111] 車輪 202は，回転体 205の外周に備えられている。車輪 202の内周面と回転体 20 5の外周面との間には，車輪 202を回転体 205に対して相対的に一方向にのみ回転を許容する回転規制機構 207が備えられている。回転体 205には，回転軸 208が取り付けられている。力かる構成により，車輪 202は，回転体 205に対して相対的に，回転軸 208を中心として，一方向の回転方向 W1 ' (図 39において反時計方向）にのみ ,回転体 205の外周面に沿って回転可能になっている。一方，回転体 205は，車輪 202に対して相対的に，回転軸 208を中心として，回転方向 W1 'の反対に向力回転方向 W2' (図 39において時計方向）にのみ回転可能になっている。また，車輪 20 2及び回転体 205は，車椅子本体 203が前方（図 39において左方)へ進行 (前進）するときは，回転軸 208を中心として，回転方向 W1 'に一体的に回転し，車椅子本体 203が後方（図 39にお、て右方)へ退行 (後退)するときは，回転軸 208を中心として，回転方向 W2'に一体的に回転するようになっている。なお，回転規制機構 20 7としては，例えばラチエツト機構や，ワンウェイクラッチ機構などを使用することができる。

[0112] 図 40に示すように，回転体 205の幅は，車輪 202の幅より大きく形成されており，車輪 202の左右両側方に回転体 205の左端部 205a,右端部 205bがそれぞれ突出した状態になっている。回転体 205の左端部 205aの後方かつ上方には，ストッパー 2 12Aが備えられ，回転体 205の右端部 205bの後方かつ上方には，ストッパー 212B が備えられている。ストッパー 212A, 212Bは，車椅子本体 203に対して固定されている。各ストッパー 212A, 212Bには，図 39に示すように，後方に向かうほど下方に傾斜する傾斜面 213がそれぞれ形成されて、る。

[0113] 図 41に示すように，回転軸 208は，回転体 205とストッパー 212A, 212Bとが接触しな、位置まで前方に移動した基準位置 P1 ' (図 41にお、て実線で示す回転軸 20 8)力ら，回転体 205の左端咅 205a,右端咅 205bと各ストッノ一 212A, 212Bの傾斜面 13とがそれぞれ接触する接触位置 P2 ' (図 41におヽて一点鎖線で示す回転軸 208)までの間で移動自在になっている。さらに，回転軸 208は，接触位置 P2'より車椅子本体 203の進行方向に対して後方かつ下方に向力つて移動自在になって、る。従って，車輪 202と回転体 205は，回転軸 208を移動させつつ，車椅子本体 203 の進行方向に対して後方かつ下方に移動自在になっており，回転体 205が後方に移動したとき，回転体 205の左端部 205aの外周面と右端部 205bの外周面に，各ストッパー 212A, 212Bの傾斜面 213がそれぞれ接触するようになっている。また，回転体 205は，ストッパー 212A, 212Bの各傾斜面 213に接触しながら，回転軸 208 を接触位置 P2'より後方かつ下方に移動させつつ，車椅子本体 203の進行方向に対して後方かつ下方に向かって転動自在になって!/、る。回転体 205がストッパー 21 2A, 212Bに沿って転動するとき，回転軸 208は，接触位置 P2'より後方において，傾斜面 213と略平行で回転体 205の半径にほぼ等しい距離だけ傾斜面 213から離れた直線状の軌道 R'に沿って移動するようになって!/、る。

[0114] 図 40に示すように，フレーム 204は，互いに略平行に配置された板状部材 220A, 220Bを有する。板状部材 220A, 220Bは，車椅子本体 203が走行する平坦面 (地面）に対し垂直に，かつ，車椅子本体 203の進行方向に向力方向に沿って配置されており，回転体 205の左右両側にそれぞれ配置されて!、る。

[0115] 各板状部材 220A, 220Bには，回転軸 208を基準位置 P1 ' ,接触位置 P2' ,軌道 R'に沿って移動させるようにガイドするためのガイド溝 225が形成されている。図 40 に示すように，板状部材 220Αのガイド溝 225は回転軸 208の左端部をガイドし，板状部材 220Βのガイド溝 225は回転軸 208の右端部をガイドするようになっている。各板状部材 220Α, 220Βのガイド溝 225は，互いに面対称な形状及び位置に形成されている。

[0116] 各ガイド溝 225は，傾斜面 213と略平行な直線状に形成されている。各ガイド溝 22 5の幅は，回転軸 208の直径より僅かに大きく形成して，回転軸 208が各ガイド溝 22 5の内側で余裕を持って円滑に移動及び自転できるようにすることが好ま、。図 41 に示すように，各ガイド溝 225は，上部が回転軸 208を基準位置 P1 'と接触位置 P2' との間でガイドする第 1のガイド部 225aになっており，第 1のガイド部 225aより下方は ,回転軸 208を軌道 R'に沿ってガイドする第 2のガイド部 225bとなっている。

[0117] 図 39及び図 40に示すように，車輪 202及び回転体 205は，板状部材 220A, 220 Bの間に配置され，回転軸 208は，左右両端部が各板状部材 220A, 220Bの各ガイド溝 225の内側を貫通するように，また，各板状部材 220A, 220Bに対して垂直な向きにした状態で配置される。そして，車椅子本体 203が平坦面上にある状態においては，各ガイド溝 225の上斜面から回転軸 208の上面に対して，車椅子本体 203 の自重による力が加えられ，これにより，回転軸 208は各ガイド溝 225の上斜面によつて前方に押し出され，各ガイド溝 225の上端部に配置されるようになっている。

[0118] 回転軸 208の左右両側には，フランジ部 228A, 228Bが形成されている。フランジ部 228A, 228Bは，それぞれ各板状部材 220A, 220Bのガイド溝 225の外側に配置される。従って，回転軸 208が各板状部材 220A, 220Bのガイド溝 225から外れることを防止でき，回転軸 208がガイド溝 225内に確実に保持される。

[0119] 次に，以上のように構成された本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 2 01の作用について説明する。図 42に示すように，車椅子本体 203が略水平な平坦面 230上で走行するときは，回転軸 208は基準位置 P1 'に位置している。回転軸 20 8の左右両端部は，各板状部材 220A, 220Bのガイド溝 225内において，第 1のガイド部 225aの上縁に接触している。即ち，回転軸 208によって各板状部材 220A, 2 20B力支持されており，車椅子本体 203は，フレーム 204,回転軸 208,回転体 205 及び回転規制機構 207を介して，車輪 202に支持されている。また，回転体 205の左端咅 205a,右端咅 205bは，ストッノ一 212A, 212Bの傾斜面 213力も離隔している。車椅子本体 203が前進するとき，車輪 202は，回転体 205と一体的に，回転軸 208を中心として回転方向 W1 'に回転しながら前進する。また，車椅子本体 203が後退するときは，車輪 202は，回転体 205と一体的に，回転軸 208を中心として回転方向 W2'に回転しながら後退する。

[0120] 車輪 202の前方において，平坦面 230から障害物としての段差 231が上方に突出していると，車輪 202の外周面の前下部が段差 231の角部に突き当たる。段差 231 の高さが車輪 202の大きさと比較して十分に低い場合は，車輪 202は段差 231に当たって止められることなく，回転軸 208の左右両端部が第 1のガイド部 225a内に位置した状態のまま，段差 231を乗り越えて前進することができる。

[0121] 一方，段差 231の高さが車輪 202の大きさと比較して高く，車輪 202の前進が止められた場合は，図 43に示すように，車輪 202が段差 231に当接したまま，車椅子本体 203,フレーム 204及びストッノ一 212A, 212B力 ^前進する。車輪 202,回転体 2 05及び回転軸 208は，車椅子本体 203,フレーム 204及びストッノ一 212A, 212B に対して相対的に後退する。回転軸 208は，各板状部材 220A, 220Bの第 1のガイド部 225a内において，基準位置 P1 'から後方かつ下方に相対的に移動する。回転軸 208が接触位置 P2'に移動すると，回転軸 208よりも後方かつ上方において，回転体 205の左端部 205aにストッパー 212Aの傾斜面 213の上端部が当接し，右端部 205bにストッパー 212Bの傾斜面 213の上端部が当接した状態になる。

[0122] その後，車椅子本体 203,フレーム 204及びストッパー 212A, 212Bがさらに前進しょうとすると，ストッパー 212A, 212Bの傾斜面 213によって回転体 205の左端部 2 05a,右端部 205bの外周面がそれぞれ前進方向に押される。ここで，回転体 205は ,車輪 202との間に設けられた回転規制機構 207の作用により，車輪 202に対して一方向の回転方向 W2，にのみ回転可能になっているので，ストッパー 212A, 212B によって回転軸 208よりも後方かつ上方力も押されても，段差 231によって止められた車輪 202に対して相対的に回転方向 W1 'に回転することはできない。そのため，回転体 205は，車輪 202とともに，ストッパー 212A, 212Bによって前方かつ上方に向かって押し上げられる。こうして，車椅子本体 203の前進方向の推進力が，ストッパ一 212A, 212Bを介して回転体 205に伝達される。そして，図 44に示すように，回転体 205及び車輪 202が，段差 231の角部を中心として，段差 231の上面に上がる方向に回転移動を開始する。

[0123] 回転体 205は，段差 231の上面に上がる方向に回転移動する一方で，各ストツバ一 212A, 212Bの傾斜面 213に沿って，ストッパー 212A, 212Bからみて相対的に回転方向 W1 'に転動しながら，各ストッパー 212A, 212Bの傾斜面 213の後部に向力つて移動する。回転軸 208は，左右両端部を各板状部材 220A, 220Bのガイド溝 225において第 2のガイド部 225b内で移動しながら，各板状部材 220A, 220Bに対して相対的に，軌道 R'に沿って後方に向力つて移動する。なお，軌道 R'に沿って移動する間，回転軸 208の左右両端部は，第 2のガイド部 225bの縁から離れており，第 2のガイド部 225bの内側で浮いた状態になっている。従って，第 2のガイド部 225 b内で回転軸 208を円滑に移動させることができる。 [0124] こうして，車輪 202及び回転体 205は，ストッパー 212A, 212Bが回転体 205の外周面を押す力により，段差 231の角部を中心として移動し，図 45に示すように，段差 231の上面に乗り上がることができる。そして，車椅子本体 203は，ストッパー 212A, 212B,回転体 205及び回転規制機構 207を介して車輪 202に支持されながら，前進，上昇移動する。

[0125] ここで，通常の車輪 202の支持構造，即ち，回転軸 208をフレーム 204に対して固定した場合と比較して，本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201の効果を説明する。通常は車椅子本体 203の前進方向の推進力が，フレーム 204及び回転軸 208を介して伝達され，回転軸 208に加えられる力により，段差 231の角部を支点として車輪 202が上昇移動することとなる。これに対し，本発明の第 2の実施の形態に力かる車輪支持構造 201においては，ストッパー 212A, 212Bが回転体 205 の外周面を押す力により，段差 231の角部を支点として車輪 202及び回転体 205が上昇移動する。ストッパー 212A, 212Bと回転体 205との接触位置は回転軸 208より高い位置にあるので，通常の場合よりも力点の位置が高くなる。即ち，通常の場合よりも力点と支点との距離が離れているので，車輪 202を少ない力で段差 231の上方に移動させることができる。従って，車輪 202を円滑に段差 231の上に乗り上げさせることがでさる。

[0126] 車輪 202が段差 231の上方に移動すると，図 45に示すように，車輪 202及び回転体 205は前進し，ストッパー 212A, 212B,フレーム 204及び車椅子本体 203は，自重によって下降する。ストッパー 212A, 212Bの傾斜面 213は，回転体 205を前方に押しながら，回転体 205の外周面に沿って滑り降りるように下降する。ここで，回転体 205は回転規制機構 207の作用により，回転軸 208を中心として回転方向 W2'に回転できる構造になっているため，ストッパー 212A, 212Bの後方かつ下方に向かう移動によって，回転体 205が回転軸 208を中心として回転方向 W2'に回転させられる。従って，ストッパー 212A, 212Bは，回転体 205を回転させながら円滑に滑り降りることができる。また，回転体 205は，回転方向 W2'に回転することにより，各ストッパ一 212A, 212Bの傾斜面 213に沿って相対的に，円滑に前進することができる。一方，車輪 202は，回転規制機構 207の作用により，回転体 205が回転方向 W2'に回転しているときも，回転軸 208を中心として地面力みて回転方向 W1 'に回転することができる。従って，ストッパー 212A, 212B,回転体 205,回転規制機構 207を介して前方に押された車輪 202は，回転方向 W1 'に回転して前進する。こうして，車輪 202及び回転体 205を段差 231の上に乗り上げさせた後，車輪 202及び回転体 20 5の前進を円滑に開始させることができる。

[0127] 段差 231の上で車輪 202及び回転体 205が前進し，ストッパー 212A, 212B,フレーム 204及び車椅子本体 203が下降する間，回転軸 208は，各ガイド溝 225の第 2 のガイド部 225bによってガイドされながら，軌道 R，に沿って移動する。車椅子本体 2 03は，ストッパー 212A, 212B,回転体 205及び回転規制機構 207を介して車輪 2 02に支持されながら前進，下降移動する。その後，図 46に示すように，回転軸 208 が接触位置 P2'に達し，さらに，図 47に示すように，車輪 202,回転体 205及び回転軸 208がストッパー 212A, 212B,フレーム 204及び車椅子本体 203に対して相対的に前進して，回転軸 208が接触位置 P2'力も基準位置 P1 'に相対的に移動し，回転体 205がストッパー 212A, 212B力離隔する。こうして，段差 231に突き当たる前と同様に，各板状部材 220A, 220Bのガイド溝 225内において，回転軸 208の左右両端部の上部に第 1のガイド部 225aの上縁が接触し，車椅子本体 203は，フレーム 204,回転軸 208,回転体 205及び回転規制機構 207を介して車輪 202に支持された状態になる。

[0128] 力かる本発明の第 2の実施の形態に力かる車輪支持構造 201によれば，ストッパー 212A, 212Bによって回転体 205を後方かつ上方から前方に向力つて押すことにより，通常の場合より少ない力で，車輪 202を段差 231の上に円滑に乗り上げさせることができる。また，回転体 205が車輪 202に対して相対的に回転方向 W2'にのみ回転する構成としたことにより，車輪 202を段差 231の上に乗り上げさせた後，ストツバ一 212A, 212Bを迅速に下降させ，車輪 202及び回転体 205を確実かつ迅速に前進させることができる。従って，段差 231があっても，円滑な走行が可能になる。さらに，段差 231のような障害物が連続する場合であっても，車輪 202を円滑に乗り上げさせ，前進を迅速に開始させることができるので，円滑な走行が可能である。また，構造が簡素であり，アームや補助部材等が障害物に突き当たって破損するといつたおそれが無く，安全である。

[0129] 以上，本発明の第 2の実施の形態に力かる車輪支持構造 201の一例を示したが，本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば，図 39— 47で説明した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201においては，車輪支持構造 1は車椅子本体 203の前輪を車輪 202として支持して、ることとしたが，本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201を車椅子の後輪に適用して，車椅子本体 20 3が後退するときに，車椅子本体 203の後方の段差を円滑に乗り越えさせるようにすることもできる。さらに，本発明の第 2の実施の形態に力かる車輪支持構造 201は，車椅子以外の各種の運搬器具や移動用器具，例えば，台車，ベビーカー，ストレツチヤ一等の車輪支持機構や，各種の運搬機械や移動機械，例えば，自動車，工作機械などの車輪支持機構に適用することもできる。

[0130] また，回転体 205の回転速度を制御する制御機構を設けても良い。この場合，制御機構として摩擦抵抗などを用い，回転体 205の回転速度が過剰に高回転数とならないように制御することが考えられる。そのような制御機構を設けることにより，車輪 202 が段差 231の上に乗り上げさせた後，図 45に示すように，車輪 202が回転軸 208を中心として回転方向 W1 'に回転する際に，回転体 (歯車 205)の回転が制御されるので，フレーム 204及び車椅子本体 203が自重によって勢いよく下降してしまうことを抑制できる。これにより，段差 231を乗り上げた後に車椅子本体 203が自重によって下降する際に生ずる衝撃や振動を吸収することが可能となる。また，乗りごごちを改善するために，車椅子本体 203と車輪 202との間にスプリングやゴムなどの弾性手段を介在させることも有効である。また，衝撃吸収手段と共に，あるいは，それら衝撃吸収手段の代りにエアーサスペンション，油圧シリンダなどといった減衰手段を設けることも考免られる。

[0131] 図 39— 47で説明した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201では ,フレーム 204とストッパー 212A, 212Bは車椅子本体 203に固定されているとした力フレーム 204とストッパー 212A, 212Bを車椅子本体 203に対して可動にしても良い。この場合，平坦面に対して略垂直な向きの軸を中心として旋回可能なキャスタ一に，本発明を適用することもできる。即ち，例えば，平坦面に対して略垂直に配置した縦軸を車椅子本体 203に取り付け，さらに，縦軸を中心として回転可能な回転部材を設け，この回転部材にフレーム 204とストッパー 212A, 212Bを固定すれば良い。これにより，車輪 202,回転体 205及び回転軸 208が，前記縦軸を中心として回転可能になり，車椅子本体 203の進行方向を円滑に変えることができるようになる。

[0132] 図 48【こ示すよう【こ，ストッノ一 212A, 212Bの傾斜面 213【こ，回転体 205をガイドするレール 235をそれぞれ設けても良い。図 48に示す例では，回転体 205の左端部 205aの外周面，及び，右端部 205bの外周面に沿って，それぞれガイド溝 236が形成されている。各ガイド溝 236は，各ストッパー 212A, 212Bのレール 235によってガイドされながら，レール 235に沿って移動するようになっている。この場合，回転体 205をストッノ一 212A, 212Bの傾斜面 213に沿って，確実に転動させることができる。

[0133] 図 39— 47で説明した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201では ,回転軸 208の左右両端部は，第 2のガイド部 225bの縁から離れて第 2のガイド部 2 25bの内側で浮いた状態で移動することとしたが，勿論，第 2のガイド部 225bの縁に接触しながら移動することとしても良い。この場合，回転軸 208の左右両端部を確実に誘導でき，安全である。

[0134] 図 39— 47で説明した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201では ,ストッパー 212A, 212Bに傾斜面 213が形成され，ガイド溝 225は傾斜面 213に沿つて傾斜させた直線状としたが，ストッパー 212A, 212Bとガイド溝 225の形状は，か力るものに限定されない。例えば，図 49に示すように，ガイド溝 225の第 1のガイド部 225aを，第 2のガイド部 225bに対して下方に傾斜させても良い。この場合，第 1のガイド部 225aにおいて，回転軸 208を基準位置 P1 'から接触位置 P2'に円滑に移動させやすくなる。また，図 50に示すように，ガイド溝 225の第 1のガイド部 225aを，第 2のガイド部 225bに対して上方に傾斜させても良い。この場合，第 1のガイド部 225a において，回転軸 208が第 1のガイド部 225aの上斜面に押され，回転軸 208を基準位置 P1 'に確実に保持できる。

[0135] 図 51【こ示すよう【こ，ス卜ッノー 212A, 212B【こ，傾斜面 213【こ替免て，車輪 202の進行方向において下方に凸状に湾曲させた湾曲面 238を備え，回転軸 208を，湾曲面 238に沿って湾曲した軌道 R"に沿って移動自在にしても良い。この場合，板状咅材 220A, 220Bのガイド溝 225における第 2のガイド咅 225b'は，下方に向力つて凸状に湾曲させた形状にして，回転軸 208を接触位置 P1 'から後方に軌道 R"に沿ってガイドできるように形成すると良い。図 51に示す例では，第 1のガイド部 225a において，湾曲面 238,軌道 R",第 2のガイド部 225b 'は，それぞれ円弧状になってヽる。力力る構成により，図 52に示すように，回転体 205ίま，ス卜ッノー 212A, 212B の湾曲面 238に沿って転動し，回転軸 208は，第 2のガイド部 225b'内で湾曲した軌道 R"に沿って移動することができる。この場合も，ストッパー 212A, 212Bによって回転体 205を押し，車輪 202及び回転体 205を段差 231の上に乗り上げさせることができる。

[0136] なお，第 1のガイド部 225aの上面は，基準位置 P1 'から接触位置 P2'に向力に従い下がるように傾斜させることが好ましい。このようにすると，車椅子本体 203が平坦面上にあるとき，第 1のガイド部 225aの上斜面から回転軸 208の上面に対して，車椅子本体 203の自重による力が加えられるため，回転軸 208は第 1のガイド部 225aの上斜面によって前方に押し出され，第 1のガイド部 225aの上端部に押さえられる。従つて，車椅子本体 203が平坦面上で前進しているときに，回転軸 208が基準位置 P1 'から外れて接触位置 P2'に向力つて後方に移動することを防止できる。また，回転軸 208を基準位置 P1 'から軌道 R' (R")に向力つて円滑に移動させることができる。

[0137] また，回転軸 208を接触位置 P2'から基準位置 P1 'に戻すように付勢する弾性体を接続しても良い。例えば，図 53及び図 54に示すように，各板状部材 220A, 220B の外側に，弾性体としてのパネ 242をそれぞれ備える。図 53及び図 54において，各パネ 242の上端は，基準位置 P1 'に位置する回転軸 208より前方かつ上方において ,板状部材 220A, 220Bに対してそれぞれ固定接続されている。各パネ 242の下端は，回転軸 208の左右両端部に接続されている。回転軸 208の左右両端部が，第 1 のガイド部 225aから第 2のガイド部 225bに向かって移動すると，パネ 242が伸びて ,回転軸 208の左右両端部に対し，第 1のガイド部 225a側に戻そうとする力が働くようになつている。力かる構成によれば，小さな段差を乗り越えるときや，車椅子本体 20 3の前部を地面力も持ち上げたとき等に，回転軸 208が第 2のガイド部 225bに移動して回転体 205がストッパー 212A, 212Bに接触することを防止できる。従って，車輪 202の走行を安定した状態で行うことができる。また，車輪 202が段差 231の上方に移動した後，回転軸 208を接触位置 P2'力も基準位置 P1 'に戻し易くなる。なお，パネ 242の一端を回転軸 208より前方かつ上方ではなく，回転軸 208の後方かつ下方に固定して，回転軸 208の左右両端部が第 1のガイド部 225aから第 2のガイド部 2 25bに向力つて移動するときにパネ 242が圧縮され，回転軸 208の左右両端部に対し，第 1のガイド部 225a側に戻そうとする力が働くようにしても良い。また，弾性体としては，パネの他，ゴム等の伸縮性を有するものや，エアサスペンションや，油圧シリンダゃ，その他各種のダンバ機構などを使用しても良い。

[0138] 図 55に示すように，第 1のガイド部 225aの下面に突起 243を形成しても良い。図 5 5において，突起 243は，第 1のガイド部 225aの後部に，下縁から上方に向かって突出するように設けられている。車輪 202の回転軸 208の左右両端部は，突起 243を越えて第 1のガイド部 225a内の基準位置 P1 'から接触位置 P2'に移動するようになつている。突起 243の材質は，例えばゴム等であることが好ましい。力かる構成によれば，小さな段差を乗り越えるときや，車椅子本体 203の前部を地面力も持ち上げたとき等に，回転軸 208が第 2のガイド部 225bに移動して回転体 205がストッパー 212A , 212Bに接触することを防止できる。従って，車輪 202の走行を安定した状態で行うことができる。

[0139] 図 39— 47で説明した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201では ,車輪 202は回転体 205の外周に備えられ，車輪 202の内周面と回転体 205の外周面との間に回転規制機構 207が設けられたこととしたが，車輪 202,回転体 205及び回転規制機構の配置は，力かるものに限定されない。例えば，図 56及び図 57に示すように，車輪 250の左右両側に，回転体 251 A, 251Bをそれぞれ配置して，車輪 250の左側面と回転体 251Aとの間に回転規制機構 252Aを備え，車輪 250の右側面と回転体 251Bとの間に回転規制機構 252Bを備えるようにしても良い。図 56及び図 57において，回転軸 253は，車輪 250,回転体 251A, 251Bを貫通するように備えられている。車輪 250は，回転規制機構 252A, 252Bの作用により，回転体 251 A, 251Bに対して相対的に，回転軸 253を中心として，一方向の回転方向 W1 ' (図 56において反時計方向）にのみ回転可能になっている。回転体 251A, 251Bは，回転規制機構 252A, 252Bの作用により，車輪 250に対して相対的に，回転軸 253 を中心として，一方向の回転方向 W2' (図 56において時計方向）にのみ回転可能になっている。ストッパー 212A, 212Bの傾斜面 213は，それぞれ回転体 251A, 251 Bの外周面に接触するようになっている。この場合も，ストッパー 212A, 212Bによつて回転体 251A, 251Bを押し，回転体 251A, 251Bをストッパー 212A, 212Bに沿つてそれぞれ転動させることにより，車輪 250及び回転体 251A, 251Bを段差の上に乗り上げさせることができる。

なお，回転規制機構 252A, 252Bとしては，例えばラチヱット機構や，ワンウェイクラッチ機構などを使用することができる。また，例えば図 58に示すように，車輪 250の側面と回転体 251A, 251Bの側面にそれぞれ歯形を設けることにより，一方向にのみ回転可能な構成とすることもできる。図 58において，回転規制機構 252Aは，車輪 250の左側面の周縁部に沿って設けられた複数の歯形 255と，回転体 251 Aの右側面に設けられた複数の歯形 256によって構成されている。車輪 250において，各歯形 255は，回転方向 W2'に向力ほど側方に突出するように形成されている。回転体 251Aの左側には，弾性体としてのパネ 257が設けられている。このパネ 257の弹性力により回転体 251Aを車輪 250に向力つて押すように付勢することにより，歯形 2 55Aと歯形 256Aを確実に嚙み合わせながら，回転体 251Aを車輪 250に対して相対的に回転させることができる。なお，弾性体としては，パネの他，ゴム等の伸縮性を有するものを使用しても良い。回転規制機構 252Bも，回転規制機構 252Aと対称な同様の構造を有し，回転体 251Bの右側にパネ 257が設けられている。かかる回転規制機構 252A, 252Bにおいては，各歯形 256Aを各歯形 255Aに沿って回転方向 W2'に移動させることができるので，回転体 251A, 251Bを車輪 250に対して回転方向 W2'に回転させることができる。一方，各歯形 256Aを各歯形 255Aに沿って回転方向 W1 'に移動させようとすると，各歯形 256Aが各歯形 255Aの端部に引つ掛かるので，回転体 251A, 251Bを車輪 250に対して回転方向 W1 'に回転させることができないようになっている。このように，簡素な構成により，回転体の回転方向の規制を実現することができる。 [0141] 図 59及び図 60に示すように，回転体 261を筒部 261aと，筒部 261aの両端部から外周に向力つて延びるフランジ 26 lb, 261cとを有する構成とし，車輪 262を回転体 261の筒部 261aの外周面によって支持し，車輪 262の左右両側〖こフランジ 261b, 2 61cをそれぞれ配置するようにして，車輪 262の左側面とフランジ 261bとの間に回転規制機構 263Aを備え，車輪 262の右側面とフランジ 261cとの間に回転規制機構 2 63Bを備えるようにしても良い。図 59において，回転軸 264は，回転体 261の筒部 2 61aを貫通するように備えられている。回転規制機構 263A, 263Bの作用により，回転体 261は，車輪 262に対して相対的に，回転軸 264を中心として，一方向の回転方向 W2' (図 59において時計方向）にのみ回転可能になっている。ストッパー 212A , 212Bの傾斜面 213は，それぞれフランジ 261b, 261cの外周面に接触するようになっている。この場合も，ストッパー 212A, 212Bによってフランジ 261b, 261cを押し，車輪 262及び回転体 261を段差の上に乗り上げさせることができる。

[0142] 図 39— 47で説明した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201は，例えば図 61及び図 62に示すような双輪キャスター 270用の車輪支持構造 271に適用することもできる。図 61及び図 62において，双輪キャスター 270は，外径が等しい 2個の車輪 272A, 272Bによって構成されている。各車輪 272A, 272Bは，車輪 27 2A, 272Bの外径より小さい外径で形成された回転体 275A, 275Bの外周面にそれぞれ備えられている。車輪 272Aの内周面と回転体 275Aの外周面との間，及び，車輪 272Bの内周面と回転体 275Bの外周面との間には，それぞれ回転規制機構 2 77が備えられている。回転体 275Aは，回転軸 278の左側に支持され，他方の回転体 275Bは，回転軸 278の右側に支持されている。

[0143] かかる構成により，各車輪 272A, 272Bは，回転体 275A, 275Bに対して相対的に，回転軸 278を中心として，一方向の回転方向 W1 ' (図 61において反時計方向）にのみ，回転体 275A又は 275Bの外周面に沿って回転可能になっている。一方，各回転体 275A, 275Β»,車輪 272A, 272B【こ対してネ目対的【こ，回転軸 278を中心として，回転方向 W1 'の反対に向力う回転方向 W2' (図 61において時計方向）にのみ回転可能になっている。また，車輪 272A, 272B及び回転体 275A又は 275B は，車椅子本体 203が前方（図 61において左方)へ進行 (前進)するときは，回転軸 278を中心として，回転方向 Wl 'に一体的に回転し，車椅子本体 203が後方（図 61 において右方)へ退行 (後退)するときは，回転軸 278を中心として，回転方向 W2' に一体的に回転するようになって!/、る。

[0144] 車輪支持構造 271において車椅子本体 203に支持されたフレーム 280は，平坦面に対して垂直な向きになるように配置された板状部材 282を備えており，実施の形態に示したガイド溝 225と同様のガイド溝 285が形成されている。即ち，第 1のガイド部 225aおよび第 2のガイド咅 225bと同様の，第 1のガイド咅 285aと第 2のガイド咅 285 bが形成されている。図 62に示すように，回転軸 278は，ガイド溝 285の内側を貫通するように備えられ，車輪 272A及び回転体 275Aは，板状部材 282の左側に配置され，車輪 272B及び回転体 275Bは，板状部材 282の右側に配置されている。回転軸 278の中央部分は，ガイド溝 285に沿って移動自在になっている。

[0145] また，図 62に示すように，車輪 272Aの右側からは回転体 275Aの右端部が突出し ,車輪 272Bの左側からは回転体 275Bの左端部が突出した状態になっている。回転体 275Aの右端部の後方かつ上方，及び，回転体 275Bの左端部の後方かつ上方には，それぞれ先に説明したものと同様のストッパー 212A, 212Bが備えられている。

[0146] 回転軸 278が基準位置にあるときは，回転体 275Aの右端部とストッパー 212Aの傾斜面 213,及び，回転体 275Bの左端部とストッパー 212Bの傾斜面 213とが，それぞれ離隔した状態になっている。回転軸 278の中央部分は，第 1のガイド部 285a 内にある。回転軸 278が接触位置にあるときは，回転体 275Aの右端部とストッパー 2 12Aの傾斜面 213が接触し，また，回転体 275Bの左端部とストッパー 212Bの傾斜面 213が接触する。回転軸 278が直線状の軌道に沿って移動するときは，回転体 27 5Aの右端部がストッパー 212Aの傾斜面 213に沿って転動し，また，回転体 275B の左端部がストッパー 212Bの傾斜面 213に沿って転動するようになっている。回転軸 278の中央部分は，第 2のガイド部 285b内で移動する。この場合も，各ストッパー 212A, 212Bによって各回転体 275A, 275Bを後上方から前方に向力つてそれぞれ押すことにより，通常の場合より少ない力で，車輪 272A, 272Bを段差の上に円滑に乗り上げさせることができる。 [0147] なお，図 61, 62に示した車輪支持構造 271にあっては，図 39— 47で説明した本発明の第 2の実施の形態に力かる車輪支持構造 201と同様に 2枚の板状部材を備え ,板状部材の間に車輪 272A, 272B及び回転体 275A, 275Bを備え，各回転体 2 75A, 275Bの外側に回転軸 278をそれぞれ突出させ，回転軸 278の左右両端部を ,各板状部材のガイド溝の内側に配置するようにしても良、。

[0148] 図 39— 47で説明した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201では ,回転軸 208がガイド溝 225内で基準位置 P1 'から接触位置 P2'まで移動し，車輪 2 02及び回転体 205が板状部材 220A, 220Bに対して相対的に後退して，回転体 2 05にストッパー 212A, 212Bが接触するようにした力回転体 205とストッパー 212A , 212Bが接触する状態と接触しない状態とを切り替える構成は，かかるものに限定されない。例えば，図 63に示すように，板状部材を前後に移動可能な構成とし，回転軸 208をガイド溝に対して静止させたまま，車輪 202,回転体 205及び回転軸 208を板状部材と共にストッパー 212A, 212Bに向力つて後方に移動させることにより，回転体 205とストッパー 212A, 212Bを接触させるように構成しても良い。

[0149] 図 63及び図 64に示す車輪支持構造 290において，車輪 202,回転体 205,回転規制機構 207,回転軸 208,ストッパー 212A, 212Bは，図 39— 47で説明した本発明の第 2の実施の形態にカゝかる車輪支持構造 201と同様の構成を有するので説明を省略する。フレーム 204は，車輪 202を保持する保持体 291と，保持体 291を車椅子本体 203の進行方向に沿って前後にスライド可能に保持した保持体支持部材 29 2を備えている。保持体 291には，実施の形態に示した板状部材 220A, 220Bが形成されている。板状部材 220A, 220Bには，ガイド溝 295が形成されている。このガイド溝 295は，実施の形態に示したガイド溝 225の第 2のガイド部 225bと同様に，回転軸 208の軌道 R'に沿って形成されている。

[0150] 保持体支持部材 292は，車椅子本体 203に固定支持されている。保持体支持部材 292の後部には，ストッパー 212A, 212Bが支持されている。図 65に示すように，保持体支持部材 292の内面の左右両側には，レール 297A, 297Bが設けられている。レール 297A, 297Bは，車椅子本体 203の進行方向に沿って前後に延びるように形成されている。また，保持体 291の上部の左右両側には，レール 297A, 297B にそれぞれ嚙み合う凹部 298A, 298Bが形成されている。保持体 291は，凹部 298 A, 298Bをレール 297A, 297Bにそれぞれ嚙み合わせた状態で，保持体支持部材 292【こ支持されて!ヽる。咅 298A, 298Β», レーノレ 297A, 297B【こ ί¾つて前後【こ移動させることができ，これにより，保持体 291を前後にスライドさせることができる。即ち，板状部材 220Α, 220Βを車椅子本体 203の進行方向に沿ってスライドさせることができる構成になっている。力かる構成により，車輪 202,回転体 205及び回転軸 208は，板状部材 220Α, 220Βと共に前後に移動させることができる。また，図 66 に示すように，回転軸 208をガイド溝 295の上端部に配置した状態で板状部材 220 A, 220Βを前後に移動させることにより，回転体 205とストッパー 212A, 212Bが接触しない位置まで前方に移動した基準位置 P3'から，回転体 205とストッパー 212A , 212Bが接触する位置まで後方に移動した接触位置 P4'までの間で，回転軸 208 を移動させることができる。

[0151] 車輪支持構造 290において，車椅子本体 203が前進しているとき，保持体 291は，保持体支持部材 292の前部に位置しており，回転体 205とストッパー 212A, 212B は離隔している。回転軸 208は基準位置 P3'に位置している。車輪 202が段差 231 に当接すると，車輪 202が段差 231に当接したまま，車椅子本体 203及び保持体支持部材 292が前進する。車輪 202,回転体 205,回転軸 208及び保持体 291は，車椅子本体 203及び保持体支持部材 292に対して相対的に後退する。これにより，回転体 205とストッパー 212A, 212Bが接触する。回転軸 208は基準位置 P3'力も接触位置 P4'に移動する。こうして，回転体 205は，ストッパー 212A, 212Bに沿って移動可能な状態となり，回転軸 208は，軌道 R'に沿って移動自在な状態となる。そして，実施の形態に説明した動作と同様にして，段差 231を乗り越えることができる。

[0152] なお，保持体 291と保持体支持部材 292をスライドさせる構成は，図 65に示したレール 297Α, 297Βと凹部 298Α, 298Βによってスライドさせるものに限定されない。また，保持体 291をスライドさせ易くするために，保持体 291と保持体支持部材 292 の間で回転する回転部材を設けても良い。例えば図 67に示すように，保持体支持部材 292の内側の上面に複数の回転部材 305を備えるようにする。図 67において，各回転部材 305は球状に形成されている。回転部材 305は，保持体支持部材 292の内側の上面に形成された穴 306の内側に保持されており，穴 306内で自在に回転可能になっている。回転部材 305の下端部は，保持体支持部材 292の内側の上面より下方に突出しており，回転部材 295の下端と保持体 291の上面が接触する高さに配置されている。保持体 291の上面は，保持体 291がスライドする方向に沿った平面になっている。この構成において，保持体 291をスライドさせると，各回転部材 305 が保持体 291のスライド方向に沿ってそれぞれ回転するので，保持体 291を保持体支持部材 292に対して円滑にスライドさせることができる。

[0153] また，保持体 291を保持体支持部材 292の前部に戻すように付勢する弾性体を接続しても良い。例えば，図 68に示すように，保持体支持部材 292の内側の左右両側面に，弾性体としてのパネ 308をそれぞれ備える。図 68において，パネ 308は保持体 291の前方に配置され，パネ 308の前端は保持体支持部材 292の内側の左右両側面に接続されており，パネ 308の後端は保持体 291の前縁部に接続されている。保持体 291が保持体支持部材 292に対して後方に移動すると，パネ 308が伸びて，保持体 291を前方に戻そうとする力が働くようになつている。力かる構成によれば，平坦面を走行しているときや，小さな段差を乗り越えるとき等に，保持体 291が後退して回転体 205とストッパー 212A, 212Bが接触することを防止できる。従って，車輪 20 2の走行を安定させることができる。また，車輪 202が段差 231の上方に移動した後，保持体 291が前方に戻るように付勢され，回転体 205とストッパー 212A, 212Bが接触しない状態に戻し易くなる。なお，パネ 308を保持体 291の後方に配置し，パネ 30 8の前端を保持体 291の後縁部に接続し，パネ 308の後端を保持体支持部材 292 の内側の左右両側面に接続するようにして，保持体 291が保持体支持部材 292に対して後方に移動するときにパネ 308が圧縮され，保持体 291を前方に戻そうとする力が働くようにしても良い。弾性体としては，パネの他，ゴム等の伸縮性を有するものを使用しても良い。

[0154] 回転体 205とストッパー 212A, 212Bが接触する状態と接触しない状態との切り替えは，例えば図 69に示した車輪支持構造 315のように，ストッパー 212A, 212Bを前後に移動させることができるストッパー移動装置 316によって行っても良い。図 69 に示した車輪支持構造 315において，板状部材 220A, 220Bは，車椅子本体 203 に対して固定支持されている。回転軸 208は板状部材 220A, 220Bのガイド溝 295 に保持されている。ストッパー移動装置 316は，板状部材 220A, 220Bの後方において，車椅子本体 203に対して固定支持されており，ストッパー 212A, 212Bを支持している。また，ストッパー移動装置 316の駆動を制御する制御部 321が備えられている。この制御部 321の制御信号によって，ストッパー移動装置 316を駆動させることにより，ストッパー 212A, 212Bを回転体 205と接触しない位置まで車体の進行方向に対して後方に移動させ，また，回転体 205と接触する位置まで車体の進行方向に対して前方に移動させる構成となって、る。

[0155] 車椅子の操作を行う者は，制御部 321を操作することにより，ストッパー 212A, 21 2Bを任意に移動させ，回転体 205とストッパー 212A, 212Bを接触させる状態に切り替えることができる。例えば，平坦面を走行するときは，回転体 205とストッパー 212 A, 212Bを離隔させるように操作すれば，平坦面において車輪 2の前進及び後退を安定した状態で円滑に行うことができる。そして，段差を乗り越えるときは，車椅子の操作を行う者の任意で，回転体 205とストッパー 212A, 212Bを接触させる状態に切り替えて，車輪 202を段差に円滑に乗り上げさせる動作を行うことができる。

[0156] なお，ストッパー移動装置は，例えば，自転車の前輪用のブレーキ装置として一般的に使用されているキヤリパーブレーキ等のように，レバーとワイヤーロープを備えた構成によってストッパー 212A, 212Bを移動させる構成としても良い。即ち，レバーとストッパー 212A, 212Bをワイヤーロープを介して接続し，レバーを操作することによりワイヤーロープを引っ張ると，ストッパー 212A, 212B力 S回転体 205に向力つて前方に移動して接触し，レバーを戻すとストッパー 212A, 212Bが後方に戻り，回転体 205から離隔する構成としても良い。

産業上の利用可能性

[0157] 本発明は，例えば台車，車椅子，ベビーカー，ストレッチヤー等といった各種産業，サービス業などで利用される運搬又は移動用の器具，自動車，工作機器等の各種運搬装置や移動装置等の車輪の支持構造に適用できる。

Claims

請求の範囲

[1] 車体を支持しながら接地して回転する車輪と，

車体の進行に伴う車輪の回転方向に対して反対方向にのみ回転可能な回転体を備え，

前記車輪の回転軸と前記回転体の回転軸を略平行に配置し，

前記回転体の回転軸は，車体の進行方向に対して車輪の回転軸よりも後方かつ上方に配置し，

前記車輪の回転軸は，車輪と回転体を連動させながら，車体の進行方向に対して後方に向力つて回転体の回転軸を中心として円弧状の軌道に沿って移動自在であることを特徴とする，車輪の支持構造。

[2] 前記車輪の回転軸は，車輪と回転体が連動しない位置まで車体の進行方向に向力つて前方に移動した基準位置から，車輪と回転体が連動する連動位置までの間を移動自在であることを特徴とする，請求項 1に記載の車輪の支持構造。

[3] 前記車輪の両側に板状部材を備え，

前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，

前記車輪の回転軸をガイド溝内で移動させることを特徴とする，請求項 2に記載の車輪の支持構造。

[4] 前記ガイド溝は，車輪の回転軸を基準位置と連動位置との間でガイドする第 1のガイド部と，車輪の回転軸を連動位置力後方に円弧状の軌道でガイドする第 2のガイド部とを有することを特徴とする，請求項 3に記載の車輪の支持構造。

[5] 前記第 1のガイド部の上面を，基準位置力連動位置に向かうに従い下がるように傾斜させたことを特徴とする，請求項 4に記載の車輪の支持構造。

[6] 前記第 1のガイド部の下面に突起を形成し，

車輪の回転軸は，前記突起を越えて基準位置と連動位置との間を移動するようにしたことを特徴とする，請求項 4に記載の車輪の支持構造。

[7] 車輪の回転軸を連動位置力基準位置に戻すように付勢する弾性体を設けたことを特徴とする，請求項 2に記載の車輪の支持構造。

[8] 前記板状部材を車体の進行方向に移動可能に支持する支持部材を備え，前記回転体は前記支持部材に固定され，

前記車輪の回転軸は，前記板状部材が車体の進行方向に対して後方に移動することにより基準位置力連動位置に移動し，前記板状部材が車体の進行方向に向かつて前方に移動することにより連動位置力基準位置に移動することを特徴とする，請求項 3に記載の車輪の支持構造。

[9] 前記車輪と回転体を連動させた状態で配置し，

前記回転体に当接することにより，前記回転体を車体の進行に伴う車輪の回転方向に対して反対方向にのみ回転可能な状態にし，前記回転体から離隔することにより，前記回転体を車輪の回転に伴って自在に回転可能な状態にする係止部材を備えたことを特徴とする，請求項 1に記載の車輪の支持構造。

[10] 前記車輪と回転体を保持する保持体を備え，

前記保持体を車体の進行方向に沿って移動可能に支持する保持体支持部材を備え，

前記係止部材は前記保持体支持部材に固定され，

前記保持体を車体の進行方向に対して後方に移動させることにより，前記回転体に前記係止部材を当接させ，前記保持体を車体の進行方向に対して前方に移動させることにより，前記回転体を前記係止部材から離隔させる構成としたことを特徴とする，請求項 9に記載の車輪の支持構造。

[11] 前記係止部材を後方から押すことにより，前記係止部材を前記回転体に当接させ，前記係止部材から離隔することにより，前記係止部材を前記回転体から離隔させる係止部材移動体を備えたことを特徴とする，請求項 9に記載の車輪の支持構造。

[12] 前記車輪，回転体，及び係止部材を保持する保持体を備え，

前記保持体を車体の進行方向に沿ってスライド可能に支持する保持体支持部材を備え，

前記係止部材移動体は前記保持体支持部材に固定され，

前記保持体を車体の進行方向に対して後方に移動させることにより，前記係止部材移動体によって前記係止部材が後方力押され，前記保持体を車体の進行方向に対して前方に移動させることにより，前記係止部材移動体が前記係止部材から離隔する構成としたことを特徴とする，請求項 11に記載の車輪の支持構造。

[13] 回転体に対して当接及び離隔させるように前記係止部材を移動させる係止部材移動装置を備えたことを特徴とする，請求項 9に記載の車輪の支持構造。

[14] 車輪に対して当接及び離隔させるように前記回転体を移動させる回転体移動装置を備えたことを特徴とする，請求項 1に記載の車輪の支持構造。

[15] 前記車輪の両側に板状部材を備え，

前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，

前記車輪の回転軸をガイド溝内で移動させることを特徴とする，請求項 9に記載の車輪の支持構造。

[16] 前記車輪の両側に板状部材を備え，

前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，

前記車輪の回転軸をガイド溝内で移動させることを特徴とする，請求項 14に記載の車輪の支持構造。

[17] 前記保持体は，前記車輪の両側に備えた板状部材を有し，

前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，

前記車輪の回転軸をガイド溝内で移動させることを特徴とする，請求項 10に記載の車輪の支持構造。

[18] 前記保持体は，前記車輪の両側に備えた板状部材を有し，

前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，

前記車輪の回転軸をガイド溝内で移動させることを特徴とする，請求項 12に記載の車輪の支持構造。

[19] 前記ガイド溝の後端は，車輪の進行方向に対して前記回転体より前方に位置することを特徴とする，請求項 3に記載の車輪の支持構造。

[20] 車輪と回転体は，車輪の周面と回転体の周面とが接触することにより連動することを特徴とする，請求項 1に記載の車輪の支持構造。

[21] 車輪の側面に，車輪と回転軸が同じである小輪を設け，

車輪と回転体は，前記小輪の周面と回転体の周面とが接触することにより連動することを特徴とする，請求項 1に記載の車輪の支持構造。

[22] 前記車輪は，双輪キャスターであることを特徴とする，請求項 1に記載の車輪の支持構造。

[23] 前記回転体と反対方向にのみ回転可能な第 2の回転体を備え，

前記車輪の回転軸と前記第 2の回転体の回転軸を互いに略平行に配置し，前記第 2の回転体の回転軸は，車体の進行方向に対して車輪の回転軸よりも前方かつ上方に配置し，

前記車輪の回転軸は，車輪と第 2の回転体を連動させながら，前方に向かって第 2 の回転体の回転軸を中心として円弧状の軌道に沿つて移動自在であることを特徴とする，請求項 1に記載の車輪の支持構造。

[24] 車体を支持しながら接地して回転する車輪と，前記車輪の外径より小さい外径を有する回転体を備え，

前記車輪と前記回転体は，同一の回転軸を中心として回転し，

前記回転体の回転を前記車輪に対して相対的に車体の進行に伴う車輪の回転方向に対して反対方向にのみ許容する回転規制機構を備え，

車体の進行方向に対して前記回転軸よりも後方かつ上方に，ストッパーを備え，前記回転体は，前記ストッパーに接触しながら車体の進行方向に対して後方かつ下方に転動自在であり，

前記回転軸は，車体の進行方向に対して後方かつ下方に移動自在であることを特徴とする，車輪の支持構造。

[25] 前記車輪を前記回転体の外周に備え，

前記車輪の内周面と前記回転体の外周面との間に，前記回転規制機構を設け，前記回転体を前記車輪の側方に突出させ，

前記車輪の側方に突出した部分に，前記ストッパーを接触させることを特徴とする，請求項 24に記載の車輪の支持構造。

[26] 前記回転体を前記車輪の側方に配置し，

前記車輪の側面と前記回転体の側面との間に，前記回転規制機構を設けたことを特徴とする，請求項 24に記載の車輪の支持構造。

[27] 前記回転軸は，回転体とストッパーが接触しない位置まで車体の進行方向に向かつて前方に移動した基準位置から，回転体とストッパーが接触する接触位置までの間を移動自在であることを特徴とする，請求項 24に記載の車輪の支持構造。

[28] 前記車輪の両側に板状部材を備え，

前記板状部材にガイド溝をそれぞれ備え，

前記回転軸をガイド溝内で移動させることを特徴とする，請求項 27に記載の車輪の支持構造。

[29] 前記ストッパーは，車体の進行方向に対して反対方向に向力うほど下方に傾斜する傾斜面を備え，

前記回転体は，前記傾斜面に沿って移動する構成とし，

前記ガイド溝は，前記回転軸を基準位置と接触位置との間でガイドする第 1のガイド部と，前記回転軸を前記傾斜面と略平行な直線状の軌道でガイドする第 2のガイド部とを有することを特徴とする，請求項 28に記載の車輪の支持構造。

[30] 前記ストッパーは，円弧状に湾曲させた湾曲面を備え，

前記回転体は，前記湾曲面に沿って移動する構成とし，

前記ガイド溝は，前記回転軸を基準位置と接触位置との間でガイドする第 1のガイド部と，前記回転軸を円弧状に湾曲した軌道でガイドする第 2のガイド部とを有することを特徴とする，請求項 28に記載の車輪の支持構造。

[31] 前記第 1のガイド部の上面を，基準位置力接触位置に向かうに従い下がるように傾斜させたことを特徴とする，請求項 29に記載の車輪の支持構造。

[32] 前記第 1のガイド部の下面に突起を形成し，

前記回転軸は，前記突起を越えて基準位置と接触位置との間を移動するようにしたことを特徴とする，請求項 29に記載の車輪の支持構造。

[33] 前記回転軸を接触位置力基準位置に戻すように付勢する弾性体を設けたことを特徴とする，請求項 27に記載の車輪の支持構造。

[34] 前記板状部材を車体の進行方向に移動可能に支持する支持部材を備え，

前記回転軸は，前記板状部材が車体の進行方向に対して後方に移動することにより基準位置から接触位置に移動し，前記板状部材が車体の進行方向に向力つて前方に移動することにより接触位置力基準位置に移動することを特徴とする，請求項 28に記載の車輪の支持構造。

[35] 車輪に対して接触及び離隔させるように前記ストッパーを移動させるストッパー移動装置を備えたことを特徴とする，請求項 24に記載の車輪の支持構造。

[36] 前記回転体の周面にガイド溝を設け，

前記ストッパーに，前記ガイド溝をガイドするレールを備えたことを特徴とする，請求項 24に記載の車輪の支持構造。

[37] 前記車輪は，双輪キャスターの車輪であることを特徴とする，請求項 24に記載の車輪の支持構造。