JP2008063875A - ずれ防止ボルトおよびずれ防止ボルトを有する縦リブ複合床版 - Google Patents

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Abstract

【課題】デッキプレートを橋梁の全長にわたって全ての死・活荷重に対する抵抗断面にすることができ、かつ、コンクリートとのずれ止めを確実にする簡便構造のずれ止め手段を得ることを目的としている。
【解決手段】ずれ防止ボルト9は、雄ネジが形成されたネジ部91と、該ネジ部に連続したテーパ部92と、該テーパ部に連続した円柱部93とを有している。縦リブ複合床版100は、主桁1と、主桁1に接合された横桁2と、下面側がこれらに接合されたデッキプレート4と、デッキプレート4の上面側に接合された縦リブ3と、デッキプレート4の上面に設置されたコンクリート7と、コンクリート7の上面に設置された舗装5とを有している。縦リブ3には複数の貫通孔31が形成され、貫通孔31にずれ防止ボルト9が挿入され、ずれ防止ボルト9はワッシャ98を介してナット99によって脱落不能に固定されている。
【選択図】図4

Description

本発明はずれ防止ボルトおよびずれ防止ボルトを有する縦リブ複合床版、特に、コンクリートとのずれを防止するずれ防止ボルト、および該ずれ防止ボルトを有する道路橋の縦リブ複合床版に関する。
図8および図9は従来の道路橋の合成床版の構造を模式的に示す、図8は斜視図、図9は部分正面図である。図8および図9において、道路橋の合成床版(以下「合成床版」と称す)900は下部構造と該下部構造に支持された上部工とから構成されている。下部構造は、矢印で示す橋軸に平行する主桁1と、主桁1に接合された横桁2(図中、接合部を溶接線W12にて示す)とからなっている。
上部工は、デッキプレート4と、デッキプレート4の上面に接合された上面横リブ20と、デッキプレート4の上面に設置されたコンクリート7と、コンクリート7の上面に設置された舗装5とからなり、コンクリート7内には橋軸に平行する方向に縦鉄筋81と橋軸に直交する方向に横鉄筋82とが配置されている。
そして、主桁1の上フランジ10にはずれ止め(スタッド)90が接合され、上フランジ10の上面にはハンチコンクリート70が設置され、ハンチコンクリート70上にデッキプレート4が載置されている。すなわち、ハンチコンクリート70は、ずれ止め90を介して主桁1の上フランジ10に接合されるものの、前記上部工はハンチコンクリート70に載置されるだけである(例えば、非特許文献1参照)。
土木学会発行「鋼構造物設計指針(平成9年度版)」、PART B、合成構造、73頁
しかしながら、非特許文献1に開示された発明は、前記上部工がハンチコンクリート70に載置されるだけであるため、合成床版全体で見た場合の各部材の役割としては、デッキプレート4は、橋梁の長手方向で部分的に一部の死荷重の抵抗断面に止まり、コンクリート7が活荷重に対する抵抗断面に算入されることになる。このため、主桁1の負担が増し、主桁1の鋼材量が増大するという問題があった。
そして、かかる問題を解決するために、本願の出願人は既に、デッキプレート及び該デッキプレートの上面側に接合された橋軸に平行する縦リブを橋梁の全長にわたって全ての死・活荷重に対する抵抗断面にすることができる合成床版の構造(「縦リブ複合床版」と称している)を開示している(特願2005−303587参照)。
本発明は、かかる問題を解決すると共に、前記縦リブ複合床において、コンクリートとのずれ止めを確実にする、簡便構造のずれ止め手段、および、該ずれ止め手段を有する縦リブ複合床版を得ることを目的としている。
(1)本発明に係るずれ防止ボルトは、コンクリートと該コンクリートに包囲された部材とのずれを防止するためのものであって、
雄ネジが形成されたネジ部と、該ネジ部に連続して除々に拡大するテーパ部と、該テーパ部に連続して形成された円柱部と、を有すことを特徴とする。
(2)本発明に係る縦リブ複合床版は、橋軸に平行する主桁と、
該主桁に接合された橋軸に直交する横桁と、
下面側が前記横桁に接合されたデッキプレートと、
該デッキプレートの上面側に接合された橋軸に平行する縦リブと、
前記デッキプレートの上面に設置されたコンクリートと、
該コンクリートの上面に設置された舗装と、を有し、
前記縦リブに貫通孔が形成され、
該貫通孔に前記(1)記載のずれ防止ボルトのテーパ部が係止していることを特徴とする。
(3)また、橋軸に平行する主桁と、
該主桁に接合された橋軸に直交する横桁と、
下面側が前記横桁に接合されたデッキプレートと、
該デッキプレートの上面側に接合された橋軸に平行する縦リブと、
前記デッキプレートの上面に設置されたコンクリートと、
該コンクリートの上面に設置された舗装と、を有し、
前記デッキプレートの上面にスタッドジベルが設置されていることを特徴とする。
(4)さらに、前記(2)または(3)において、前記デッキプレートが前記主桁に接合されることを特徴とする版。
(5)さらに、前記(2)乃至(4)の何れかにおいて、前記デッキプレートの側縁部に、橋軸に平行する耳縦桁が設置されていることを特徴とする。
(i)本発明に係るずれ防止ボルトは、ネジ部と除々に拡大するテーパ部と円柱部とを有すから、構造が単純かつ簡素であると共に、設置される部材に貫通孔を形成しておけば、該貫通孔にネジ部を挿入してテーパ部を係止させることができるから、施工が容易で、所望のずれ防止効果が得られる。
(ii)本発明に係る縦リブ複合床版は、デッキプレートの下面側に横桁が接合され、該横桁は主桁に接合されるから、デッキプレートと主桁とが力学的に連結されることになり、デッキプレートを橋梁の全長にわたって全ての死・活荷重に対する抵抗断面にすることができる。特に、デッキプレートの上面側に縦リブが接合され、かつ、縦リブに前記ずれ防止ボルトが設置されているから、上部工の剛性が増す共に、上部工の信頼性が向上する。
(iii)また、デッキプレートの上面側に縦リブが接合され、前記縦リブに設置されたずれ防止ボルトに替えて、デッキプレートの上面にスタッドジベルが設置されているから、上部工の剛性が増す共に、上部工の信頼性が向上する。
(iv)さらに、デッキプレートを主桁に直接接合したり、デッキプレートの側縁部に耳縦桁を設置したり、縦リブに突起を設置したりすれば、前記効果は顕著になる。
[実施の形態1]
(ずれ防止ボルト)
図1は本発明の実施の形態1に係るずれ防止ボルト示す側面図である。図1において、ずれ防止ボルト9は、雄ネジが形成されたネジ部91と、該ネジ部に連続して除々に拡大するテーパ部92と、該テーパ部に連続して形成された円柱部93と、を有している。
たとえば、長さ100mmのネジ部91にM22の雄ネジを形成し、外径22mmから25mmに長さ10mm程度の範囲で除々に拡大するテーパ部92を形成し、外径25mmで長さ100mmの円柱部93を形成する。そして、これが設置される部材に、たとえば、内径23.5mmの貫通孔を形成して、該貫通孔にずれ防止ボルト9のネジ部91を挿入すれば、該貫通孔にテーパ部92が係止する。ここで、ネジ部91にワッシャを介してナット(図示しない)を螺合すれば、ずれ防止ボルト9は該部材に容易かつ確実に設置されることになる。
なお、本発明は、ずれ防止ボルト9の寸法を前記値に限定するものではなく、外径および長さは適宜選定することができるものである。
また、ネジ部91はテーパ部92の近傍に限って雄ネジが形成され、テーパ部92から離れた範囲は円柱であってもよい。また、ネジ部91とテーパ部92との境部に径小部を設け、不完全ネジ形成されないようにしてもよい。
一方、円柱部93の外径は、テーパ部92の最大外径に等しいものに限定するものではなく、テーパ部92が形成される限りにおいて、テーパ部92の最大外径より小さく(あるいは大きく)てもよい。また、円柱部93にも雄ネジを形成してコンクリートとの付着性を増してもよい。
[実施の形態2]
(縦リブ複合床版)
図2〜図5は本発明の実施の形態2に係る縦リブ複合床版を模式的に示す、図2は斜視図、図3は部分正面図、図4は部分拡大図、図5はずれ防止ボルトの設置状態を示す部分正面図である。なお、背景技術(図4、5)と同じ部分または相当する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図2〜図5において、縦リブ複合床版100は、矢印で示す橋軸に平行する主桁1と、主桁1に直交して主桁1に接合された横桁2(接合部を溶接線W12にて示す)と、下面側が主桁1および横桁2に接合されたデッキプレート4(接合部を溶接線W14および溶接線W24にて示す)と、デッキプレート4の上面側に接合された縦リブ3(接合部を溶接線W34にて示す)と、デッキプレート4の上面に設置されたコンクリート7と、コンクリート7の上面に設置された舗装5とを有している。
また、デッキプレート4の側縁には、縦リブ3に平行(主桁1に平行に同じ)する耳縦桁6が設置されている。なお、デッキプレート4の下面は横桁2のみに接合され、主桁1とは当接するのみあるいは離隔するものであってもよい。
さらに、コンクリート7には縦鉄筋81と横鉄筋82(以下、これらをまとめて「鉄筋8」と称する場合がある)とが配置されている。縦リブ3には複数の貫通孔31が形成され、貫通孔31にずれ防止ボルト9が挿入され、ずれ防止ボルト9はワッシャ98を介してナット99によって脱落不能に固定されている(図5参照)。
たとえば、図5において、縦リブ3は厚さ8mm、幅90mm(図中、高さに同じ)であって、正面視で320mmピッチで配置されている。そして、デッキプレート4から52.5mmの位置に内径23.5mmの貫通孔31が形成されている。
そして、貫通孔31にネジ部91(長さ100mmのM22の雄ネジが形成されている)が挿入され、貫通孔31にテーパ部92(外径22mmから25mmに長さ10mm程度の範囲で除々に拡大している)が係止している。さらに、ネジ部91にはM22ワッシャ98を介して、M221種ナット99が螺合しているから、M221種ナット99の締め込みによって、ずれ防止ボルト9は縦リブ3に容易かつ確実に設置されている。
また、円柱部93は、外径25mmで長さ100mmであるから、縦リブ3の両側面からそれぞれ100mmの長さのネジ部91と円柱部93とが突出している。すなわち、縦リブ3同士は320mm離れているもの、一方の縦リブ3からは他方の縦リブ3に向かって100mm長のネジ部91が突出し、他方の縦リブ3からは一方の縦リブ3に向かって100mm長の円柱部93が突出している。
なお、縦鉄筋81は、縦リブ3から60mmの位置に配置されているから、縦鉄筋81は120mmおよび200mm間隔に配置されることになる。
縦リブ複合床版100は以上のような構成であるから、コンクリート7は、鉄筋8によって補強されると共に、ずれ防止ボルト9によって縦リブ3に力学的に連結される(力が受け渡され)。また、デッキプレート4は上面が橋軸に直交する縦リブ3に、下面が橋軸に平行する横桁2および主桁1にそれぞれ接合されている。そのため、コンクリート7とデッキプレート4と縦リブ3と横桁2と主桁1によって、剛性の高い複合構造が形成されている。
したがって、デッキプレート4を死・活荷重に対する抵抗断面に算入することが可能になる効果と共に、デッキプレート4に接合された縦リブ3の剛性増大効果によって、主桁1の負担が低減する。このため、上部工の軽量化が促進され、下部構造の負担も減少するから、道路ないし橋梁の製造コストが安価になる。
なお、横桁2に平行して横桁2より梁せいの高い横桁が設置されてもよい。また、主桁1の構造は図示するものに限定するものではない。さらに、主桁1は横桁2に接合されるのみであって、デッキプレート4と離隔してもよい。
さらに、ずれ防止ボルト9は、縦リブ3がデッキプレート4に接合された後に各貫通孔31に挿入されるものであるため、接合作業の支障にならないが、予め、ずれ防止ボルト9が設置されている縦リブ3をデッキプレート4に接合するようにしてもよい。また、鉄筋8の配置形態は図示するものに限定するものではない。
[実施の形態3]
(縦リブ複合床版)
図6および図7は本発明の実施の形態3に係る縦リブ複合床版を模式的に示す、図6は部分拡大図、図7はスタッドジベルの設置状態を示す部分正面図である。なお、背景技術(図4、5)および実施の形態2(図2〜図5)と同じ部分または相当する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図6および図7において、縦リブ複合床版200は、縦リブ複合床版100において縦リブ3に設置されたずれ防止ボルト9に替えて、デッキプレート4にスタッドジベル9bが設置されたものである。
スタッドジベル9bは円板状のジベル頭部91bと、ジベル頭部91bに接続された円柱状のジベル棒部92bと、から構成され、ジベル棒部92bの下端部がデッキプレート4に溶接固定(W94にて示す)されている。
したがって、縦リブ複合床版200は、コンクリート7は、鉄筋8によって補強されると共に、スタッドジベル9bによってデッキプレート4に力学的に連結される(力が受け渡され)。また、デッキプレート4は上面が橋軸に直交する縦リブ3に、下面が橋軸に平行する横桁2および主桁1にそれぞれ接合されている。そのため、コンクリート7とデッキプレート4と縦リブ3と横桁2と主桁1によって、剛性の高い複合構造が形成されている。
したがって、デッキプレート4を死・活荷重に対する抵抗断面に算入することが可能になる効果と共に、デッキプレート4に接合された縦リブ3の剛性増大効果によって、主桁1の負担が低減する。このため、上部工の軽量化が促進され、下部構造の負担も減少するから、道路ないし橋梁の製造コストが安価になる。
なお、本発明において、スタッドジベル9bの形状や数量は、図示するものに限定するものではなく、適宜選定されるものである。たとえば、ジベル頭部91bを円板状に替えてL字状に折り曲げて形成したり、ジベル棒部92bを、1本の円柱に替えて、棒材をV字状に折り曲げて形成したりしてもよい。
本発明によれば、簡素な部材による構成でありながら、死・活荷重に対する抵抗断面に算入される部位が増加するから、各種道路や各種橋梁に用いられる軽量かつ安価な複合床版の構造として広く利用することができる。
本発明の実施の形態1に係るずれ防止ボルト示す側面図。 本発明の実施の形態2に係る縦リブ複合床版を模式的に示す斜視図。 本発明の実施の形態2に係る縦リブ複合床版を模式的に示す部分正面図。 本発明の実施の形態2に係る縦リブ複合床版を模式的に示す部分拡大図。 図2に示す縦リブ複合床版のずれ防止ボルトの設置状態を示す部分正面図。 本発明の実施の形態3に係る縦リブ複合床版を模式的に示す部分拡大図。 図6に示す縦リブ複合床版のスタッドジベルの設置状態を示す部分正面図。 従来の道路橋の合成床版の構造を模式的に示す斜視図。 従来の道路橋の合成床版の構造を模式的に示す部分正面図。
符号の説明
1 主桁
2 横桁
3 縦リブ
4 デッキプレート
5 舗装
6 耳縦桁
7 コンクリート
8 鉄筋
9 ずれ防止ボルト
9b スタッドジベル
10 上フランジ
20 上面横リブ
31 貫通孔
70 ハンチコンクリート
81 縦鉄筋
82 横鉄筋
91 ネジ部
91b ジベル頭部
92 テーパ部
92b ジベル棒部
93 円柱部
98 ワッシャ
99 ナット
100 縦リブ複合床版(実施の形態2)
200 縦リブ複合床版(実施の形態3)

Claims (5)

  1. コンクリートと該コンクリートに包囲された部材とのずれを防止するためのずれ防止ボルトであって、
    雄ネジが形成されたネジ部と、該ネジ部に連続して除々に拡大するテーパ部と、該テーパ部に連続して形成された円柱部と、を有すことを特徴とするずれ防止ボルト。
  2. 橋軸に平行する主桁と、
    該主桁に接合された橋軸に直交する横桁と、
    下面側が前記横桁に接合されたデッキプレートと、
    該デッキプレートの上面側に接合された橋軸に平行する縦リブと、
    前記デッキプレートの上面に設置されたコンクリートと、
    該コンクリートの上面に設置された舗装と、を有し、
    前記縦リブに貫通孔が形成され、
    該貫通孔に請求項1記載のずれ防止ボルトのテーパ部が係止していることを特徴とする縦リブ複合床版。
  3. 橋軸に平行する主桁と、
    該主桁に接合された橋軸に直交する横桁と、
    下面側が前記横桁に接合されたデッキプレートと、
    該デッキプレートの上面側に接合された橋軸に平行する縦リブと、
    前記デッキプレートの上面に設置されたコンクリートと、
    該コンクリートの上面に設置された舗装と、を有し、
    前記デッキプレートの上面にスタッドジベルが設置されていることを特徴とする縦リブ複合床版。
  4. 前記デッキプレートが前記主桁に接合されることを特徴とする請求項2または3記載の縦リブ複合床版。
  5. 前記デッキプレートの側縁部に、橋軸に平行する耳縦桁が設置されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の縦リブ複合床版。
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