JP3950748B2 - 橋桁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、道路橋、鉄道橋等の橋桁に係り、特に、コンクリートからなる上床版又は下床版と構造用鋼板からなるウェブとを有する橋桁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、橋桁をコンクリート、特にプレストレストコンクリートで形成することが一般に行なわれている。そして、支間の長いコンクリート橋では桁の断面形状は、通常箱形となり、上床版と下床版とこれらを連結するウェブとで構成される。このようなコンクリートで構築された橋桁では、桁自重の10〜30%程度をウェブが占めており、鋼からなる橋桁に比べて桁自重がかなり大きくなる。このため、コンクリートのウェブを鋼ウェブに置き換えることによって桁自重を軽減することが提案されており、特開平7−189425号公報には、上床版及び下床版をコンクリートで形成し、ウェブを鋼板材で形成する橋桁が記載されている。また、この公報には、図17に示すように、鋼板材を上下方向の折り曲げ線で波形に折り曲げた鋼ウェブを用いる橋桁が開示されている。
【0003】
この橋桁は、コンクリートからなる上床版111及び下床版112と、鋼板材を波形に曲折した鋼ウェブ113とで主要部が構成されており、二つの鋼ウェブ113,113によって上床版111と下床版112とを連結し、断面が箱状となっている。上床版111には橋桁の軸線方向及び軸線と直角の方向にプレストレスが導入され、上床版上の荷重を支持し得るものとなっている。また、下床版112にも橋桁の軸線方向に適宜プレストレスが導入される。
【0004】
一方、鋼ウェブ113の上縁および下縁は、それぞれ鋼からなるフランジに溶接されており、図18に示すように、上フランジ114の上面及び下フランジ115の下面にはずれ止めのための凸状片116が多数立設されている。そして、上床版111及び下床版112のコンクリートは、この凸状片116を埋め込みフランジ114,115と密接するように打設され、鋼ウェブ113と上下のコンクリート床版とを一体に接合している。
【0005】
このような鋼ウェブ113を有する橋桁では、桁重量を低減して橋の基礎・下部構造への負担を軽減することができるとともに、上床版111及び下床版112に導入するプレストレスの効率が向上するという利点がある。また、鋼ウェブ113が波形の断面を有するものでは、ウェブが高い剪断座屈耐力を有し、横方向の補強材を省略して工費を低減させる効果をも有する。このほか、ウェブの鉄筋組立、コンクリート打設等の作業がなくなり、施工の省力化と工期の短縮を図ることも可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような橋桁には、なお次のような課題が残されている。鋼ウェブは、上縁及び下縁が、フランジに溶接され、このフランジを介してコンクリート床版と接合されている。このため、溶接長が大きくなり溶接のための費用が多大となっている。特に、鋼ウェブとして波形に加工した鋼材を用いる場合には、波形となった縁辺に沿って溶接することになり、溶接長はさらに長くなっている。
【0007】
一方、上記のような従来の橋桁で、軸線方向に導入されるプレストレスは、支点上断面で生じる大きな負の曲げモーメント又は支間中央部で生じる大きな正の曲げモーメントに抵抗するもので、コンクリートに過大な引張応力が発生するのを防止している。ところが、軸線方向のプレストレスの導入に多くの費用を要することから、プレストレス量を低減し、コンクリートに引張応力度が発生するのを許容する設計も行われている。このとき、上床版又は下床版に生じる引張応力度は、コンクリート中に配置された鉄筋又は鉄筋と鋼フランジとで抵抗できるように鉄筋を配置しなければならない。
しかし、プレストレス量を低減すると、きわめて多くの鉄筋を床版のコンクリート中に配置する必要が生じることがあり、コンクリートの打設に支障が生じる。
【0008】
本願発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶接長を低減して橋桁の製作コストを低減すること、もしくはこれに加えて、コンクリート床版のプレストレスを低減したときにも適切な鉄筋の配置を可能とすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 コンクリートからなる床版と、 前記床版に接合される複数の鋼ウェブとを有する橋桁であって、 前記鋼ウェブの上縁付近又は下縁付近が前記床版のコンクリート中に埋め込んで接合され、 該橋桁の軸線方向に長辺を有する帯状の鋼板材が、前記コンクリート中に埋め込まれており、 該鋼板材は、前記鋼ウェブと離隔され、該鋼ウェブの前記コンクリート中に埋め込まれた部分の側面と所定間隔をおいて対向するように配置されている橋桁を提供する。
【0010】
上記橋桁のコンクリートからなる床版は、上床版であってもよいし、下床版であってもよい。 また、上床版のみがコンクリート床版となっているときは、ウェブの下縁に鋼フランジを溶接で接合したものとすることができる。
一方、橋桁は上下の床版と鋼ウェブとで箱型の断面を形成するものでもよいし、複数の鋼ウェブの下縁はそれぞれ独立した鋼フランジ又はコンクリート部材に接合されるものであってもよい。
【0011】
上記橋桁では、鋼ウェブの上縁又は下縁が床版を形成するコンクリート中に埋め込まれて一体となっているので、鋼フランジの溶接が不要となり、溶接長が低減される。また、鋼ウェブから伝達される力によって生じる床版の引張力は、鋼ウェブと対向して配置された帯状の鋼板材に伝達され、この鋼板材が上記引張力に抵抗する。したがって、コンクリートの床版中に配置される鉄筋が過密になるのを回避することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の橋桁において、 前記鋼ウェブのコンクリート中に埋め込まれる部分及び前記鋼板材には、それぞれの対応する位置に複数の小孔が設けられ、 前記床版のコンクリート中に埋め込むように配置された鉄筋が、前記鋼ウェブの小孔及び前記鋼板材の小孔の双方に挿通されているものとする
【0013】
この橋桁では、床版のコンクリート中に埋め込んだ鋼ウェブの上縁付近又は下縁付近に小孔が設けられ、床版のコンクリート中に配置される鉄筋が挿通されているので、鋼ウェブにずれ止めのための凸状片を溶接で取り付けたり、スタッドジベルを植設しなくても、コンクリートと強固に一体化され、上床版とウェブとの間での力の伝達も円滑に行われる。また、上記鉄筋によって鋼ウェブと帯状の鋼板材との間隔及びコンクリートのひずみが拘束され、コンクリートと帯状の鋼部材との高い一体性が保持される。
【0014】
なお、上床版又は下床版のコンクリート内には、プレストレスを導入するか否かにかかわらず橋桁の軸線方向及び軸線と直角方向に多数の鉄筋を配置する必要がある。これらの鉄筋を鋼ウェブの上縁付近又は下縁付近に設けられた小孔に挿通し、コンクリート内に埋め込むことにより、床版に配置された鉄筋を有効に利用して鋼ウェブと床版のコンクリートとが強固に一体化される。したがって、コストの低減が可能となる。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の橋桁において、 前記鋼ウェブのコンクリート中に埋め込まれる部分及び前記鋼板材には、それぞれの対応する位置に複数の小孔が設けられ、 前記鋼ウェブの小孔及び前記鋼板材の小孔の双方に連続する鋼ロッド又は鋼ボルトが挿通されているものとする。
【0016】
この橋桁では、鋼ロッド又は鋼ボルトが鋼ウェブ及び帯状の鋼板材を貫通するように配置されているので、鋼ロッド又は鋼ボルトが鋼ウェブと帯状の鋼板材との間隔を強固に保持するとともに、鋼ウェブとコンクリートとの間及び鋼板材とコンクリートとの間でずれが生じるのが抑止される。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の発明において、 前記鋼ウェブは、上下方向に設定された複数の折り曲げ線によって鋼板を折り曲げて形成され、水平方向の断面が波形となったものとする。
【0018】
この橋桁では、鋼ウェブの水平方向の断面形状が波形となっているので、上下方向の曲げ剛性が大きくなっており、上床版に大きな曲げモーメントが作用した場合等においても橋桁の断面の変形を小さく抑えることができ、鋼ウェブの断面内方向の曲げ破壊を防止することができる。また、断面内方向の曲げに体する補強、例えば横構や対傾構を簡略化することができ、経済性が向上する。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の橋桁において、 前記鋼板材は、前記鋼ウェブの両側にそれぞれ複数枚が相互間に間隔をおいて配置されているものとする。
【0020】
この橋桁では、鋼板材が鋼ウェブの両側に配置されているので、鋼ウェブから床版に伝達される力は、橋桁の幅方向にバランスよく伝達され、局部的なひびわれの発生を防止することができる。また、鋼板材の枚数を橋桁の軸方向の位置によって増減することができ、軸方向に変化する曲げモーメントの値に対応して配置する枚数を決定することができる。したがって、経済的な設計が可能となる。
【0021】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の橋桁において、 前記鋼ウェブと前記鋼板材との間又は複数の鋼板材間の離隔距離は、前記上床版を形成するコンクリートの粗骨材の最大寸法より大きく設定されているものとする。
【0022】
鋼ウェブと鋼板材との間又は複数が配置された鋼板材間は、上床版又は下床版のコンクリートの粗骨材が入り込む間隔が保持されていることにより、床版のコンクリートが不均質になるのが防止され、コンクリートの充分な強度と高い信頼性が得られる。
【0023】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の橋桁において、 前記鋼ウェブと前記鋼板材との間又は複数の鋼板材の間には、無収縮モルタル又は高強度モルタルが充填され、硬化しているものとする。
【0024】
この橋桁では、鋼ウェブと帯状の鋼板材との間又は複数の鋼板材の間を確実にモルタルで充填することができ、モルタルに大きな強度及び鋼部材との付着力を期待することができる。したがって、鋼ウェブとコンクリート床版との接合部の強度が増加し、信頼性が向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願発明の一実施形態である橋桁の側面図及び断面図である。また、図2は同じ橋桁の概略斜視図である。
この橋桁1は、図1(a)に示すように橋脚2及び橋台(図示しない)に、沓6を介して支持され、複数の径間に連続して架け渡されており、コンクリートからなる上床版3及び下床版5と、鋼板材を折り曲げて断面が波形となった2つの鋼ウェブ4,4とで主要部が構成されている。そして、上記2つの鋼ウェブ4,4が上床版3と下床版5とを連結して箱型断面の橋桁を形成している。
【0026】
上記上床版3は、現場でコンクリートを打設して形成されたものであり、橋桁1の軸線方向及び軸線と直角方向に鉄筋が配置されている。また、プレストレスは橋桁の軸線方向及び軸線と直角方向に導入されているが、コンクリートに発生するひびわれが過大とならないように抑制する程度に導入されている。
【0027】
上記下床版5も、橋桁の軸線方向及び軸線と直角方向に鉄筋が配置されたコンクリート部材であり、支間中央部の曲げモーメントが大きくなる部分では、橋桁の軸線方向にプレストレスが導入されている。
【0028】
上記鋼ウェブ4は、構造用鋼板を鉛直方向の折り曲げ線によって折り曲げ、平断面の形状が波形となるように加工したものである。この鋼ウェブ4は橋桁1の軸線方向に連続し、左右2列の上縁部がコンクリートの上床版3中に埋め込まれ、下縁部は下床版5中に埋め込まれて、これらが一体となって橋桁1の断面力に抵抗するものとなっている。
【0029】
この鋼ウェブ4の上縁付近のコンクリート中に埋め込まれた部分には、図3に示すように所定の間隔で小孔10が設けられている。そして、上床版3内で橋桁1の軸線と直角方向に配置された鉄筋9がこれらの小孔10を貫通している。これらの鉄筋9及び鋼ウェブ4の上縁付近は、コンクリート中に埋め込まれることによって固着され、相対変化が生じないように一体化されている。
【0030】
また、橋桁1に絶対値が大きな負の曲げモーメントが作用する範囲では、上床版3に引張応力が作用し、上床版3のコンクリート内に配置された鉄筋のみではコンクリートにひびわれが発生するおそれが生じる場合もある。このような範囲には、図4及び図5に示すように、上床版3内で鋼ウェブ4の上縁部と所定間隔をおいて対向する位置に鋼板材11が埋め込まれている。
【0031】
上記鋼板材11は、橋桁の軸線方向に長い帯状の部材であり、軸線方向に所定の間隔で小孔11aが設けられている。そして、鋼ウェブ4の小孔10に挿通された鉄筋9が連続して上記鋼板材11の小孔11aにも挿通される。このように配置された鋼板材11と鉄筋9とは上床版3のコンクリート内に埋め込まれることによって一体となり、橋桁1の軸線方向に配置された鉄筋12とともに引張力を負担し、上床版コンクリートのひびわれの発生又はひびわれの拡大を防止する。
【0032】
上記鋼板材11は、負の曲げモーメントの絶対値に応じて断面積を変化させることもできるし、図6に示すように、複数枚を所定間隔で平行に配置することもできる。そして、それぞれに鉄筋9が挿通される。
なお、上記鋼板材11は鋼ウェブ4の上縁部と対向するように配置し、鉄筋が挿通されないものでもよいが、コンクリートとの一体性を高めるため、及びコンクリートを補強し円滑に力を伝達するためには、鋼ウェブ4の小孔に挿通された鉄筋9を鋼板材11に設けた小孔11aに挿通するのが望ましい。
【0033】
一方、鋼ウェブ4の下縁付近には、上縁付近とほぼ同様に、複数の小孔が設けられており、下床版5のコンクリート中に橋桁の軸線と直角の方向に配置された鉄筋13が挿通されている。また、コンクリート中で鋼ウェブ4と対向する位置には、図7に示すように帯状の鋼板材14が橋桁の軸線方向に沿って配置され、この帯状の鋼板材14に設けられた小孔にも上記鉄筋13が挿通されている。
【0034】
このような橋桁では、橋桁1上に作用する荷重及び桁自重によって曲げモーメントが生じ、支間中央付近では正の曲げモーメントとなり、下縁付近で引張応力度、上縁付近で圧縮応力度が発生する。一方、橋脚2付近では負の曲げモーメントとなり、下縁付近で圧縮応力度、上縁付近で引張応力度が発生する。
したがって、正の曲げモーメントに対しては、下床版5に引張応力度が作用し、上床版3に圧縮応力度が作用する。一方、負の曲げモーメントに対しては、下床版5に圧縮応力度が発生し上床版3に大きな引張応力度が発生する。この引張応力度に対しては、橋桁1の軸線方向に配置された鉄筋12が抵抗するとともに、鋼ウェブ4と対向するするように配置された鋼板材11が引張応力度に抵抗し、ひびわれの発生又はひびわれ幅の拡大が抑制される。また、プレストレスを付加的に導入することによって有効にひびわれ幅を抑制することができる。したがって、橋桁の軸線方向に配置する鉄筋が過密になるのを回避することができ、適切な間隔で配置することが可能となる。
【0035】
なお、橋桁1の軸線方向のプレストレスは、上床版3又は下床版5のコンクリート内に配置した緊張材によって導入してもよいし、上床版3又は下床版5のコンクリートの外側、つまり上床版3の下側で下床版5の上側に配置した緊張材を緊張することによって導入してもよい。
【0036】
一方、上記橋桁の橋脚2付近では、橋桁1に大きなせん断力が発生し、上床版3又は下床版5と鋼ウェブ4との間に、軸線方向にずれようとする力が作用する。しかし、上床版3又は下床版5のコンクリート内に配置された多数の鉄筋9,13が鋼ウェブ4を貫通しており、鋼ウェブ4から上記鉄筋9を介して力が伝達され、局部的に応力が集中することも回避される。
【0037】
また、鋼ウェブ4及び帯状の鋼板材11,14の双方を貫通するように鉄筋9,13が配置されているので、鋼ウェブ4と帯状の鋼板材11,14との間隔及び複数の鋼板材間の間隔がしっかり保持され、床版のコンクリートと鋼ウェブ4と帯状の鋼板材11,14との一体性が保持される。
さらに、橋桁の軸線と直角方向にプレストレスが導入されることにより、鋼ウェブ4又は帯状の鋼板材11,14とコンクリートとの接触面に圧縮応力が作用し、より強固に一体化することができる。
【0038】
図8は、請求項1、請求項2、請求項5又は請求項6に係る発明の他の実施形態である橋桁を示す概略斜視図である。また、図9は、この橋桁21の鋼ウェブ24の上縁付近及びこの鋼ウェブ24と対向して配置される帯状の鋼板材を示す概略斜視図である。
この橋桁21は、図1から図7までに示す橋桁とほぼ同じ構成の上床版23及び下床版25を備えるものであるが、鋼ウェブ24が波形の断面を有するものに代えて平板で形成されている。
【0039】
上記鋼ウェブ24の上縁付近及び下縁付近は上床版23及び下床版25のコンクリート中に埋め込まれており、コンクリート中には、この鋼ウェブ24の上縁付近及び下縁付近と対向するように、両側に帯状の鋼板材22が配置されている。
上記鋼ウェブ24及び上記帯状の鋼板材22には対応する位置に多数の小孔22a,24aが設けられており、上床版23及び下床版25のコンクリート中に配置された鉄筋29がこれらの小孔に挿通されている。
【0040】
このような橋桁では、図1から図7までに示す橋桁と同様に鋼ウェブ24とコンクリートからなる上床版23及び下床版25とが強固に接合されるとともに、上床版23及び下床版25に作用する引張力に対して帯状の鋼板材22が有効に抵抗する。
なお、このように鋼ウェブ24を平板で形成した場合には、鋼ウェブ24を上下方向のリブ等によって補強することや、横桁又は横構等によって鋼ウェブの断面内方向の変形に対して補強を要する場合がある。
【0041】
図10は、請求項1、請求項2、請求項4、請求項5又は請求項6に係る発明の他の実施形態である橋桁を示す概略斜視図である。
この橋桁31では、コンクリートからなる下床版に代えて、2つの鋼ウェブ34,34の双方に一枚の鋼フランジ35を接合して箱型の断面形状としたものである。
【0042】
上記鋼ウェブ34と鋼フランジ35とは溶接で接合される。一方、鋼ウェブ34とコンクリートからなる上床版33は、図1から図7までに示す橋桁と同様の構造によって接合され、上床版33のコンクリート中に鋼ウェブ34と対向して帯状の鋼板材(図示しない)が配置されている。
【0043】
この橋桁31では、鋼フランジ35が正の曲げモーメントによって生じる引張応力に抵抗する。そして、負の曲げモーメントに対して上床版33に生じる引張力に対しては、橋桁31の軸線方向の鉄筋、帯状の鋼板材及び軸線方向のプレストレスによって抵抗する。
【0044】
また、図10に示す橋桁における鋼フランジ35に代えて、図11に示すように、2つの鋼ウェブ44,44の下縁に、それぞれ独立した鋼フランジ45,45を溶接で接合してもよい。このような橋桁41でも、鋼ウェブ44,44とコンクリートの上床版43とは、図10に示す橋桁と同様に接合することができる。
【0045】
以上に説明した実施形態では、上床版又は下床版のコンクリート中で鋼ウェブと対向するように帯状の鋼板材を配置したが、図12に示すように、上記帯状の鋼材51にフランジ51aを設けてもよい。また、チャンネル材を用いてもよい。ただし、フランジ51a又はチャンネル材の水平部分が、コンクリート打設時に未硬化のコンクリートが隅々までに充填されるのを阻害しないように寸法等を選択する必要がある。
【0046】
また、上記の実施形態では、鋼ウェブと帯状の鋼板材とには、多数の鉄筋を貫通させるものとしたが、鉄筋を貫通させるのに代えて、又は鉄筋を貫通させるとともに、図13に示すように鋼ロッド69を鋼ウェブ64及び帯状の鋼板材61に設けた貫通孔に挿通してもよい。又、鋼ロッド69に代えて、図14に示すように鋼ボルト79を挿通し、螺合されたナット78によって鋼ウェブ74と帯状の鋼板材71の間隔又は複数の鋼板材71の間隔を保持してもよい。
【0047】
さらに、図15に示すように鋼ウェブ84と帯状の鋼板材81とに鋼部材88を架け渡し、これらを溶接接合して鋼ウェブ84と帯状の鋼板材81との間の一体性を高めることもできる。ただし、架け渡す鋼部材88は、鋼ウェブ84と帯状の鋼板材81との間及び複数の帯状の鋼板材81間にコンクリートを打ち込むのを阻害しないように寸法又は配置間隔を設定する。
【0048】
一方、上記の実施形態では、鋼ウェブと鋼板材との間及び複数の帯状の鋼板材間には、床版のコンクリートを打設するときに、コンクリートを充填するものであるが、コンクリート打設に先立って、図16に示すようにこの部分のみに高強度モルタル97を充填することもできる。これにより、これらの部材間隔が狭く設定されていても完全にモルタルを充填することができるとともに鋼ウェブ94と帯状の鋼板材91との間及び複数の帯状の鋼板材91,91間の高い一体性が期待できる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る橋桁では、鋼ウェブの上縁又は下縁が床版を形成するコンクリート中に埋め込まれて一体となっているので、鋼ウェブから床版コンクリートに力が伝達される。そして、床版に作用する引張力は、鋼ウェブと対向して配置された帯状の鋼板材に伝達され、この鋼板材が上記引張力に抵抗する。したがって、橋桁の軸線方向に導入されるプレストレス量が少ない場合にも、コンクリートの床版中に配置される鉄筋が負担する引張力が低減され、鉄筋の配置が過密になるのを回避することができる。
【0050】
そして、この橋桁では、鋼ウェブに鋼フランジやずれ止めの突起を溶接する必要がなく、溶接長が低減され、橋桁の製作費用が低減される。
【0051】
また、床版のコンクリート中に埋め込んだ鋼ウェブ及びこれと対向する鋼板材に小孔を設け、床版のコンクリート中に配置される鉄筋、鋼ロッド又は鋼ボルトを挿通することによって、鋼ウェブと鋼板材とコンクリートとを強固に一体化することができる。そして、鋼ウェブと床版との間で力を円滑に伝達するともに、鋼板材によって床版が引張力に対して有効に補強される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態である橋桁の側面図及び断面図である。
【図2】図1に示す橋桁の概略斜視図である。
【図3】図1及び図2に示す橋桁の鋼ウェブの上縁付近における鉄筋との係合を示す概略斜視図である。
【図4】上床版コンクリートに埋め込まれる帯状の鋼板材の配置状態を示す概略斜視図である。
【図5】鋼ウェブと上床版コンクリートとの接合部を示す概略断面図である。
【図6】帯状の鋼板材を鋼ウェブの両側にそれぞれ複数枚を配置した状態を示す概略斜視図である。
【図7】鋼ウェブと下床版コンクリートとの接合部を示す概略断面図である。
【図8】本願に係る発明の他の実施形態である橋桁を示す概略斜視図である。
【図9】図8に示す橋桁の鋼ウェブの上縁付近及びこの鋼ウェブと対向して配置される帯状の鋼部材を示す概略斜視図である。
【図10】本願に係る発明の他の実施形態である橋桁を示す概略斜視図である。
【図11】本願に係る発明の他の実施形態である橋桁を示す概略斜視図である。
【図12】本願に係る発明の他の実施形態である橋桁において鋼ウェブと対向して配置される帯状の鋼板材を示す概略斜視図である。
【図13】本願に係る発明の他の実施形態である橋桁における鋼ウェブ、帯状の鋼板材及びこれらに係合される鋼ロッドを示す概略斜視図である。
【図14】本願に係る発明の他の実施形態である橋桁における鋼ウェブ、帯状の鋼板材及びこれらに係合される鋼ボルトを示す概略斜視図である。
【図15】本願に係る発明の他の実施形態である橋桁における鋼ウェブとこれと対向する帯状の鋼部材との接合状態を示す概略斜視図である。
【図16】本願に係る発明の他の実施形態である橋桁における鋼ウェブと上床版コンクリートとの接合部を示す概略断面図である。
【図17】従来から知られている橋桁の概略斜視図である。
【図18】従来から知られている橋桁の上床版と鋼ウェブとの接合部及び下床版と鋼ウェブとの接合部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1,21,31,41 橋桁
2 橋脚
3,23,33,43,93 上床版
4,24,34,44,54,64,74,84,94 鋼ウェブ
5,25 下床版
6 沓
9,13,29,59,89,99 鉄筋
10 小孔
11,14,22,51,61,71,81,91 帯状の鋼板材
12,92 橋桁の軸線方向の鉄筋
35,45 鋼フランジ
69 鋼ロッド
78 ナット
79 鋼ボルト
88 鋼部材
97 高強度モルタル
Claims (7)
- コンクリートからなる床版と、
前記床版に接合される複数の鋼ウェブとを有する橋桁であって、
前記鋼ウェブの上縁付近又は下縁付近が前記床版のコンクリート中に埋め込んで接合され、
該橋桁の軸線方向に長辺を有する帯状の鋼板材が、前記コンクリート中に埋め込まれており、
該鋼板材は、前記鋼ウェブと離隔され、該鋼ウェブの前記コンクリート中に埋め込まれた部分の側面と所定間隔をおいて対向するように配置されていることを特徴とする橋桁。 - 前記鋼ウェブのコンクリート中に埋め込まれる部分及び前記鋼板材には、それぞれの対応する位置に複数の小孔が設けられ、
前記床版のコンクリート中に埋め込むように配置された鉄筋が、前記鋼ウェブの小孔及び前記鋼板材の小孔の双方に挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の橋桁。 - 前記鋼ウェブのコンクリート中に埋め込まれる部分及び前記鋼板材には、それぞれの対応する位置に複数の小孔が設けられ、
前記鋼ウェブの小孔及び前記鋼板材の小孔の双方に連続する鋼ロッド又は鋼ボルトが挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の橋桁。 - 前記鋼ウェブは、上下方向に設定された複数の折り曲げ線によって鋼板を折り曲げて形成され、水平方向の断面が波形となったものであることを特徴とする請求項1に記載の橋桁。
- 前記鋼板材は、前記鋼ウェブの両側にそれぞれ複数枚が相互間に間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の橋桁。
- 前記鋼ウェブと前記鋼板材との間又は複数の鋼板材間の離隔距離は、前記上床版を形成するコンクリートの粗骨材の最大寸法より大きく設定されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の橋桁。
- 前記鋼ウェブと前記鋼板材との間又は複数の鋼板材の間には、無収縮モルタル又は高強度モルタルが充填され、硬化していることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の橋桁。
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