JP2008036772A - 動力式ラチェットレンチ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の軸受け、クランクシャフトを用いることができ、クランクピンが折損するような力をクランクシャフトに掛けることなくボルトやナットを人力によって締め付けあるいは緩めを行なうことができる動力式ラチェットレンチを提供する。
【解決手段】ラチェットヨークが、前記出力軸に加えられるトルクによって動力駆動による最大振れ位置、あるいは、最大振れ位置より1回過回転しただけでクランクピンが折損する過回転角度未満の位置まで回転したときにラチェットヨークの一部に当接し、ラチェットヨークのそれ以上の過回転を抑止するラチェットヨークの過回転抑止手段を備えていることを特徴としている。
【選択図】 図3
【解決手段】ラチェットヨークが、前記出力軸に加えられるトルクによって動力駆動による最大振れ位置、あるいは、最大振れ位置より1回過回転しただけでクランクピンが折損する過回転角度未満の位置まで回転したときにラチェットヨークの一部に当接し、ラチェットヨークのそれ以上の過回転を抑止するラチェットヨークの過回転抑止手段を備えていることを特徴としている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、動力式ラチェットレンチに関する。
ボルトやナットの締め付け、あるいは、緩めを容易に行なえる装置としてエアーや電気で駆動する動力式ラチェットレンチ(たとえば、特許文献1,2参照)がある。
たとえば、図14に示すように、動力式ラチェットレンチ100は、クランクシャフト110と、ラチェットヨーク120と、ラチェットポール130と、ラチェットシャンク140とを備えている。
たとえば、図14に示すように、動力式ラチェットレンチ100は、クランクシャフト110と、ラチェットヨーク120と、ラチェットポール130と、ラチェットシャンク140とを備えている。
クランクシャフト110は、エアーモータや電動モータ(図示せず)の駆動により回転するクランク軸111に対して偏芯した位置にクランクピン112を備えている。
ラチェットヨーク120は、後述するラチェットシャンク140の回転中心軸と同じ中心軸回りに回転可能にラチェットハウジング150内に支持されているとともに、クランクピン112がドライブブッシング115を介して連結されていて、クランクピン112が偏芯回転するのに伴って所定の回転角度内で往復揺動するようになっている。
ラチェットヨーク120は、後述するラチェットシャンク140の回転中心軸と同じ中心軸回りに回転可能にラチェットハウジング150内に支持されているとともに、クランクピン112がドライブブッシング115を介して連結されていて、クランクピン112が偏芯回転するのに伴って所定の回転角度内で往復揺動するようになっている。
ラチェットポール130は、軸ピン131を介してラチェットシャンク140の切欠溝141内で揺動自在に支持されているとともに、ラチェットヨーク120の内歯車121にかみ合う歯132が両側に設けられている。
また、ラチェットポール130は、図14の場合、ラチェットヨーク120が矢印A方向に回転するときには、一方の歯132がラチッェトヨーク120の内歯車121にかみ合ってラチェットヨーク120と一体となってラチェットシャンク140をラチェットヨーク120の回転方向に回転させ、ラチェットヨーク120が矢印B方向に回転する場合には、歯132が滑ってラチッェトヨーク120の内歯車121にかみ合わず、ラチェットシャンク140にラチェットヨーク120の回転力を伝達できないようになっている。
一方、回転方向切り替えレバー160を切り替えれば、ラチェットポール130は、ラチェットヨーク120が矢印B方向に回転するときに、ラチェットポール130の他方の歯132がラチッェトヨーク120の内歯車121にかみ合ってラチェットヨーク120と一体となってラチェットシャンク140をラチェットヨーク120の回転方向に回転させ、ラチェットヨーク120が矢印A方向に回転する場合には、歯132が滑ってラチッェトヨーク120の内歯車121にかみ合わず、ラチェットシャンク140にラチェットヨーク120の回転力を伝達できないようになっている。
すなわち、ラチェットシャンク140は、回転方向切り替えレバー160を切り替えることによって、エアーモータや電動モータを駆動させれば、矢印A方向あるいは、矢印B方向のいずれか1方向にのみ回転し、ラチェットシャンク140に取り付けられたソケット(図示せず)等によってボルトやナットを締め込んだり、緩めたりすることができるようになっている。
すなわち、ラチェットシャンク140は、回転方向切り替えレバー160を切り替えることによって、エアーモータや電動モータを駆動させれば、矢印A方向あるいは、矢印B方向のいずれか1方向にのみ回転し、ラチェットシャンク140に取り付けられたソケット(図示せず)等によってボルトやナットを締め込んだり、緩めたりすることができるようになっている。
ところで、上記のような動力式ラチェットレンチ100の場合、ラチェットシャンク140のモータ駆動による回転トルクがそれほど大きくないため、ボルトやナットの締め付けにおいては、ある程度エアーモータや電動モータの駆動力を用いて締め込んだのち、最後は動力式ラチェットレンチ100のハンドル部分を持って人力でさらに締め込まなければならない場合がある。
すなわち、動力式ラチェットレンチを使ってねじ締めを行なう場合、ラチェットレンチ100の操作レバーを操作してモータを駆動させると、動力によってラチェットシャンク140の出力軸が回転しねじが締め付けられていく。そして、ねじ側を回転させるのに必要なトルクが次第に大きくなり、ある時点でねじ側のトルクがモータ駆動力による出力軸のトルクを上回り、出力軸の回転が停止する。そのときの出力軸のトルクをストールトルクと呼び、動力駆動ではこれ以上ねじを締め付けることができない。出力軸の角ドライブ四角部の大きさが9.5mmで全長が170mm程度のエアー駆動式ラチェットレンチでは、エアー圧力0.6MPa(Pe)の場合、個々のラチェットレンチの設計仕様によっても異なるがストールトルクは概略15N・m程度である。一方、通常このエアー駆動式ラチェットレンチを用いてM10で強度区分5.8のボルトを締め付ける場合の所定締め付けトルクは、設計によっても異なるが、30〜40N・mである。したがって、エアー駆動式ラチェットレンチを用いて動力によってストールトルクまで締めた後に、さらに人力で所定締め付けトルクまで締め付ける必要がある。
また、ボルトやナットを緩める場合、まず、固く締まっていたボルトやナットを動力式ラチェットレンチ100のハンドル部分を持って人力で少し緩めたのち、エアーモータや電動モータの駆動力を用いてさらに緩める場合もある。
すなわち、動力式ラチェットレンチ100を用いて人力で最後の締め付けや最初の緩めを行なう場合、いずれにしてもストールトルクより大きなトルクを出力軸に加える必要がある。そして、ストールトルクより大きなトルクを出力軸に加えると、ラチェットヨーク120が動力駆動時の所定の最大振れ位置よりも更に外側に振れた過回転状態となり、クランクシャフト110のクランクピン112には、ラチェトシャンク140の出力軸が受けるトルクに応じた力のすべてが掛かる。このため、クランクシャフト110は、所定の締め付けトルクで締め込むときや最初の緩めに必要なトルクを出力軸に加えただけでは、クランクピン112が折損したりしないように設計されている。
しかしながら、作業者によっては、過剰なトルクをかけて締め込み、ラチェットヨーク120が過回転し過ぎてクランクピン112に非常に大きな力が掛かって折損する場合や、緩め時にはねじの焼き付き、さび付きによってねじを緩めるのに非常に大きなトルクが必要となり、ラチェットヨーク120が過回転し過ぎてクランクピン112に非常に大きな力が掛かって折損する場合がある。
しかしながら、作業者によっては、過剰なトルクをかけて締め込み、ラチェットヨーク120が過回転し過ぎてクランクピン112に非常に大きな力が掛かって折損する場合や、緩め時にはねじの焼き付き、さび付きによってねじを緩めるのに非常に大きなトルクが必要となり、ラチェットヨーク120が過回転し過ぎてクランクピン112に非常に大きな力が掛かって折損する場合がある。
そこで、軸受けを大きくし、かつ、クランクピンも太いものとすれば、上記のような問題は解決できるのであるが、動力式ラチェットレンチの先端部が幅、厚さともに大きくなり、重くなって扱いにくくなるとともに、狭い場所での作業性が悪くなるという問題が生じる。
一方、従来の動力式ラチェットレンチ100が損傷しないように、スパナやめがねレンチ等の手動工具に持ち替えて最後の締め付け作業や最初の緩め作業を行なえばよいが、作業性が悪いという問題があるとともに、工具の点数が増えるという問題がある。
一方、従来の動力式ラチェットレンチ100が損傷しないように、スパナやめがねレンチ等の手動工具に持ち替えて最後の締め付け作業や最初の緩め作業を行なえばよいが、作業性が悪いという問題があるとともに、工具の点数が増えるという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みて、従来の軸受け、クランクシャフトを用いることができ、クランクピンが折損するような力をクランクシャフトに掛けることなくボルトやナットの人力による締め付けあるいは緩めを行なうことができる動力式ラチェットレンチを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明にかかる動力式ラチェットレンチは、クランクピンを有するクランクシャフトの回転によって、前記クランクピンがかみ合うラチェットヨークが、所定の回転角度でラチェットヨークの回転軸を中心に往復揺動してラチェットシャンクの出力軸が回転する動力式ラチェットレンチにおいて、前記ラチェットヨークが、前記出力軸に加えられるトルクによって動力駆動による最大振れ位置、あるいは、最大振れ位置より1回過回転しただけでクランクピンが折損する過回転角度未満の位置まで回転したときにラチェットヨークの一部に当接し、ラチェットヨークのそれ以上の過回転を抑止するラチェットヨークの過回転抑止手段を備えていることを特徴としている。
過回転抑止手段は、1回の過回転でクランクピンが折損する過回転角度未満の過回転位置でラチェットヨークの一部が当接し、それ以上の過回転を抑止できればよいが、1回の過回転でクランクピンが折損するトルクの40%以下のトルクを出力軸に加えた場合の過回転状態で、ラチェットヨークの一部に当接する位置に設けることが好ましく、動力駆動による最大振れ位置のときに当接することが最も好ましいが、実際上は部品ごとの公差内での寸法のバラツキ、組み立てたときの遊びを考慮して動力駆動による最大振れ位置より少し過回転した位置でラチェットヨークの一部に当接し、それ以上の過回転を抑止できるように設けることが好ましい。
また、本発明の動力式ラチェットレンチは、締め付けトルク調整機構を備えていてもよい。
また、本発明の動力式ラチェットレンチは、締め付けトルク調整機構を備えていてもよい。
本発明にかかる動力式ラチェットレンチは、以上のように構成されているので、軸受けを大きくしたり、クランクシャフトのクランクピンを太くしたりしなくても、クランクシャフトのクランクピンを折損させることなく、動力式ラチェットレンチを用いて人力でボルトやナットの最後の締め付けや、最初の緩めなどの作業を行なうことができる。
したがって、スパナやめがねレンチなどの手動工具を別途用意しなくても良くなり、作業性が向上する。そして、動力式ラチェットレンチの先端部をコンパクトにすることができ、軽量化が図れて操作性が向上するとともに、狭い場所での作業が可能になる。
したがって、スパナやめがねレンチなどの手動工具を別途用意しなくても良くなり、作業性が向上する。そして、動力式ラチェットレンチの先端部をコンパクトにすることができ、軽量化が図れて操作性が向上するとともに、狭い場所での作業が可能になる。
また、過回転抑止手段を、1回の過回転でクランクピンが折損するトルクの40%以下のトルクを出力軸に加えた場合の過回転状態で、ラチェットヨークの一部に当接する位置に設けるようにすれば、繰り返し使用による金属疲労等によりクランクピンが折損するという事故も軽減できる。また、動力式ラチェットレンチのクランクシャフトやそれを保持している軸受けの損傷が減るため長期間使用することができる。
さらに、締め付けトルク調整機構を備えた構成とすれば、適正な締め付けトルクで確実にボルトやナットを締め付けることができ、締め付け過ぎによるねじの損傷を防ぐことができる。
さらに、締め付けトルク調整機構を備えた構成とすれば、適正な締め付けトルクで確実にボルトやナットを締め付けることができ、締め付け過ぎによるねじの損傷を防ぐことができる。
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図5は、本発明にかかる動力式ラチェットレンチの第1の実施の形態をあらわしている。
図1〜図5は、本発明にかかる動力式ラチェットレンチの第1の実施の形態をあらわしている。
図1および図2に示すように、この動力式ラチェットレンチ1aは、エアー駆動式であって、ハンドル部2と、ラチェット部3aとを備えている。
ハンドル部2は、図2に示すように、筒状ハウジング21内に、操作レバー22の操作によりエアーコンプレッサ等のエアー源(図示せず)から供給される圧縮空気によって回転駆動するエアーモータ23を備えている。
ハンドル部2は、図2に示すように、筒状ハウジング21内に、操作レバー22の操作によりエアーコンプレッサ等のエアー源(図示せず)から供給される圧縮空気によって回転駆動するエアーモータ23を備えている。
ラチェット部3aは、図1〜図3に示すように、ラチェットハウジング4と、クランクシャフト5と、ラチェットヨーク6aと、ラチェットシャンク7と、ラチェットポール8と、回転方向切り替えレバー9とを備えている。
ラチェットハウジング4は、一端にハウジング本体部41を有し、他端に対面する上部保持板42および下部保持板43を備えている。
ラチェットハウジング4は、一端にハウジング本体部41を有し、他端に対面する上部保持板42および下部保持板43を備えている。
ハウジング本体部41は、筒状になっていて、筒状ハウジング21に連結されているとともに、内部にクランクシャフト5が内蔵されている。
上部保持板42は、後述する回転方向切り替えレバー9のつまみ91を外部に臨ませる孔42aが穿設されている。
上部保持板42は、後述する回転方向切り替えレバー9のつまみ91を外部に臨ませる孔42aが穿設されている。
下部保持板43は、後述するラチェットシャンク7の出力軸72を外部に臨ませる孔43aが穿設されている。
また、上部保持板42と下部保持板43とは、ハウジング本体部41側の端部において、端縁同士が過回転抑止手段となるストッパー壁44を介して連結されている。
また、上部保持板42と下部保持板43とは、ハウジング本体部41側の端部において、端縁同士が過回転抑止手段となるストッパー壁44を介して連結されている。
クランクシャフト5は、クランク軸51と、クランク軸51に対して偏芯して設けられたクランクピン52とを備えている。
クランク軸51は、図2に示すように、軸受け53を介してハウジング本体部41内で回転自在に支持されているとともに、エアーモータ23の回転駆動力が遊星ギア24および歯車枠25を介して伝達されるようになっている。
クランク軸51は、図2に示すように、軸受け53を介してハウジング本体部41内で回転自在に支持されているとともに、エアーモータ23の回転駆動力が遊星ギア24および歯車枠25を介して伝達されるようになっている。
クランクピン52は、上部保持板42と下部保持板43との間に臨み、ドライブブッシング54を介してラチェットヨーク6aと連結されている。
ラチェットヨーク6aは、外形が略馬蹄形をしていて、図3に示すように、内面に内歯車61aが設けられたギア孔61と、ドライブブッシング54が嵌まり込む略半円筒形溝62を備えている。
ラチェットヨーク6aは、外形が略馬蹄形をしていて、図3に示すように、内面に内歯車61aが設けられたギア孔61と、ドライブブッシング54が嵌まり込む略半円筒形溝62を備えている。
ドライブブッシング54は、略半円筒形溝62の軸方向にスライド自在に略半円筒形溝62に嵌まり込むとともに、クランクピン52を回転自在に支持している。
ラチェットシャンク7は、シャンク本体71と、出力軸72とを備えている。
シャンク本体71は、ラチェットヨーク6aのギア孔61の内径より少し小さな円柱形をしていて、切欠溝73が側壁面に形成され、上面中央には、下端部が切欠溝73に開口する軸孔74が穿設されている。
シャンク本体71は、ラチェットヨーク6aのギア孔61の内径より少し小さな円柱形をしていて、切欠溝73が側壁面に形成され、上面中央には、下端部が切欠溝73に開口する軸孔74が穿設されている。
回転方向切り替えレバー9は、つまみ91と回転軸92とを備え、回転軸92が軸孔74に回転自在に嵌合している。
また、回転軸92の切欠溝73を臨む位置には、図3に示すように、ばね93によって付勢されたレバー止め94が装着されている。
また、回転軸92の切欠溝73を臨む位置には、図3に示すように、ばね93によって付勢されたレバー止め94が装着されている。
切欠溝73には、ラチェットポール8が図3に示すように軸ピン81を中心にして揺動自在に支持されている。
ラチェットポール8は、図3に示すように、ラチェットヨーク6aの内歯車61aにかみ合う形状の歯82が揺動方向の両側に設けられているとともに、回転軸92に対面する壁面に円弧状をした凹部83が設けられている。
ラチェットポール8は、図3に示すように、ラチェットヨーク6aの内歯車61aにかみ合う形状の歯82が揺動方向の両側に設けられているとともに、回転軸92に対面する壁面に円弧状をした凹部83が設けられている。
凹部83の内壁面には、レバー止め94の先端部がばね93の付勢力によって常に付勢された状態になっている。
ストッパー壁44は、エアー駆動運転時のラチェットヨーク6aの最大振れ位置のとき、ラチェットヨーク6aとストッパー壁44との間に隙間Sが生じるように設けられている。
なお、図3にラチェットヨーク6aのエアー駆動運転時の最大振れ位置を2点鎖線で示してあるが、このエアー駆動運転時の最大振れ位置は、ラチェットヨーク6aのギア孔61の中心と略半円筒形溝62の中心との距離と、クランクシャフト5のクランクピン52のクランク軸51からの偏芯距離と、略馬蹄形をしたラチェットヨーク6aの後端部から先端側の略半円部にいたる両側面形状とによって決定される。
ストッパー壁44は、エアー駆動運転時のラチェットヨーク6aの最大振れ位置のとき、ラチェットヨーク6aとストッパー壁44との間に隙間Sが生じるように設けられている。
なお、図3にラチェットヨーク6aのエアー駆動運転時の最大振れ位置を2点鎖線で示してあるが、このエアー駆動運転時の最大振れ位置は、ラチェットヨーク6aのギア孔61の中心と略半円筒形溝62の中心との距離と、クランクシャフト5のクランクピン52のクランク軸51からの偏芯距離と、略馬蹄形をしたラチェットヨーク6aの後端部から先端側の略半円部にいたる両側面形状とによって決定される。
また、隙間Sは、1回の過回転でクランクピン52が折損する過回転角度未満の位置において、過回転したラチェットヨーク6aの一部がストッパー壁44に当接するとともに、部品ごとの公差内での寸法のバラツキ、組み立てたときの遊びを許容できればできるだけ小さい方が好ましい。
つぎに、この動力式ラチェットレンチ1aのエアー駆動時の動作について詳しく説明する。
この動力式ラチェットレンチ1aは、操作レバー22を操作してエアーモータ23を駆動させれば、クランクシャフト5がクランク軸51を中心にして回転する。したがって、クランクシャフト5のクランクピン52が、クランク軸51の回転軸周りに偏芯回転する。
この動力式ラチェットレンチ1aは、操作レバー22を操作してエアーモータ23を駆動させれば、クランクシャフト5がクランク軸51を中心にして回転する。したがって、クランクシャフト5のクランクピン52が、クランク軸51の回転軸周りに偏芯回転する。
クランクピン52が偏芯回転すると、ラチェットヨーク6aが所定の回転角度内でラチェットヨーク6aのギア孔61の中心軸を中心にして往復回転する。そして、前述した隙間Sが設けてあるので、ラチェットヨーク6aは、最大振れ位置においてもストッパー壁44に接触することはない。
また、このとき、図3に示す位置にレバー止め94があると、ラチェットヨーク6aが矢印X方向に回転するときに、内歯車61aにラチェットポール8の一端の歯82がかみ合い、ラチェットポール8の他端面でシャンク本体71の切欠溝73の底を押圧するため、ラチェットシャンク7が矢印X方向に回転する。一方、ラチェットヨーク6aが矢印Y方向に回転するときには、内歯車61aとラチェットポール8の一端の歯82とのかみ合いがはずれ、ラチェットシャンク7は回転しない。すなわち、ラチェットシャンク7は、X方向にのみ回転する。したがって、出力軸72にセットしたソケット等の治具(図示せず)を用いて、ボルトやナットの締め付け(逆ねじの場合は緩め)を行なうことができる。
また、このとき、図3に示す位置にレバー止め94があると、ラチェットヨーク6aが矢印X方向に回転するときに、内歯車61aにラチェットポール8の一端の歯82がかみ合い、ラチェットポール8の他端面でシャンク本体71の切欠溝73の底を押圧するため、ラチェットシャンク7が矢印X方向に回転する。一方、ラチェットヨーク6aが矢印Y方向に回転するときには、内歯車61aとラチェットポール8の一端の歯82とのかみ合いがはずれ、ラチェットシャンク7は回転しない。すなわち、ラチェットシャンク7は、X方向にのみ回転する。したがって、出力軸72にセットしたソケット等の治具(図示せず)を用いて、ボルトやナットの締め付け(逆ねじの場合は緩め)を行なうことができる。
一方、図示していないが、回転方向切り替えレバー9を操作し、他端の歯82が内歯車61aにかみ合うように、ラチェットポール8を、軸ピン81を中心にして回転させれば、逆にラチェットシャンク7は、矢印Y方向にのみ回転する。したがって、出力軸72にセットしたソケット等の治具(図示せず)を用いて、ボルトやナットの緩め(逆ねじの場合は締め付け)を行なうことができる。
つぎに、このラチェットレンチ1aを用いてボルトやナットを人力で所定締め付けトルクまで締め付ける場合および最初の緩めを行なう場合を説明する。
(人力による締め付け)
動力によってボルトやナットをストールトルクまで締め付けた後、操作レバー22を解除してエアーモータ23を停止させる。その次に、ボルトやナットに嵌合した治具が出力軸72にセットされた状態で、ハンドル部2を手で持って矢印X方向に回転させようとすると、まず、ハンドル部2が先に回転し、ラチェットポール8を介してラチェットシャンク7と一体となったラチェットヨーク6aは、出力軸72がねじ側を回すのに必要なトルクに至っていないので、そのままの位置を維持する。そのため、ラチェットヨーク6aが動力駆動による所定最大振れ位置より隙間Sの分だけ相対的に回転する。このときラチェットヨーク6aは、過回転状態になるが、ストッパー壁44が設けられているので、図4に示すように、ラチェットヨーク6aの一部である後部側縁がストッパー壁44に当接し、それ以上過回転することがない。その後、ハンドル部2をさらに回転させると、ハンドル部2と一体となってラチェットヨーク6aも回転し、締め付けを行なうことができる。すなわち、人力による締め付け時には、ねじを回転させるのに必要なトルクに応じた力のほとんどがストッパー壁44によって受けもたれるので、クランクシャフト部には、クランクピン52が折損するような大きな力が掛かることがない(なお、図4では、クランクピン52が大きく外側にひずんでいるが、動作を分かりやすくするために誇張したもので、実際のひずみはもっと小さい)。
したがって、この動力式ラチェットレンチ1aを用いれば、エアー駆動によってストールトルクまでボルトやナットを締め付けたのち、スパナやめがねレンチ等の手動工具に持ち替えなくても、クランクシャフト部分を損傷することなく人力で所定トルクまでの締め付けまで行なうことができる。
動力によってボルトやナットをストールトルクまで締め付けた後、操作レバー22を解除してエアーモータ23を停止させる。その次に、ボルトやナットに嵌合した治具が出力軸72にセットされた状態で、ハンドル部2を手で持って矢印X方向に回転させようとすると、まず、ハンドル部2が先に回転し、ラチェットポール8を介してラチェットシャンク7と一体となったラチェットヨーク6aは、出力軸72がねじ側を回すのに必要なトルクに至っていないので、そのままの位置を維持する。そのため、ラチェットヨーク6aが動力駆動による所定最大振れ位置より隙間Sの分だけ相対的に回転する。このときラチェットヨーク6aは、過回転状態になるが、ストッパー壁44が設けられているので、図4に示すように、ラチェットヨーク6aの一部である後部側縁がストッパー壁44に当接し、それ以上過回転することがない。その後、ハンドル部2をさらに回転させると、ハンドル部2と一体となってラチェットヨーク6aも回転し、締め付けを行なうことができる。すなわち、人力による締め付け時には、ねじを回転させるのに必要なトルクに応じた力のほとんどがストッパー壁44によって受けもたれるので、クランクシャフト部には、クランクピン52が折損するような大きな力が掛かることがない(なお、図4では、クランクピン52が大きく外側にひずんでいるが、動作を分かりやすくするために誇張したもので、実際のひずみはもっと小さい)。
したがって、この動力式ラチェットレンチ1aを用いれば、エアー駆動によってストールトルクまでボルトやナットを締め付けたのち、スパナやめがねレンチ等の手動工具に持ち替えなくても、クランクシャフト部分を損傷することなく人力で所定トルクまでの締め付けまで行なうことができる。
(人力による緩め)
回転方向切り替えレバー9を操作し、図5に示すように、他端の歯82が内歯車61aにかみ合って、ラチェットシャンク7が矢印Y方向にのみ回転する状態、および、エアーモータ23を停止状態にして、出力軸72にセットした治具をボルトやナットに嵌合し、ハンドル部2を手で持って矢印Y方向に回転させる。このとき、まず、ハンドル部2が先に回転し、ラチェットヨーク6aは、そのままの位置を維持するため、ラチェットヨーク6aが動力駆動による最大振れ位置より隙間Sの分だけ相対的に回転することになるので、過回転状態になる。しかし、ストッパー壁44が設けられているので、図5に示すように、ラチェットヨーク6aの後部側縁がストッパー壁44に当接し、それ以上過回転することがない。その後ハンドル部2をさらに回転させると、ハンドル部2と一体となってラチェットヨーク6aも回転し、ボルトやナットの最初の緩めを行なうことができる。すなわち、人力による緩め時には、ねじを回転させるトルクに応じた力のほとんどがストッパー壁44によって受けもたれるので、クランクピン52が折損するような大きな力が掛かることがない。
したがって、この動力式ラチェットレンチ1aを用いれば、人力によりボルトやナットの最初の緩めとそれに続くエアー駆動によるボルトやナットの緩めを、クランクピン52を折損することなく連続して行なうことができる。
回転方向切り替えレバー9を操作し、図5に示すように、他端の歯82が内歯車61aにかみ合って、ラチェットシャンク7が矢印Y方向にのみ回転する状態、および、エアーモータ23を停止状態にして、出力軸72にセットした治具をボルトやナットに嵌合し、ハンドル部2を手で持って矢印Y方向に回転させる。このとき、まず、ハンドル部2が先に回転し、ラチェットヨーク6aは、そのままの位置を維持するため、ラチェットヨーク6aが動力駆動による最大振れ位置より隙間Sの分だけ相対的に回転することになるので、過回転状態になる。しかし、ストッパー壁44が設けられているので、図5に示すように、ラチェットヨーク6aの後部側縁がストッパー壁44に当接し、それ以上過回転することがない。その後ハンドル部2をさらに回転させると、ハンドル部2と一体となってラチェットヨーク6aも回転し、ボルトやナットの最初の緩めを行なうことができる。すなわち、人力による緩め時には、ねじを回転させるトルクに応じた力のほとんどがストッパー壁44によって受けもたれるので、クランクピン52が折損するような大きな力が掛かることがない。
したがって、この動力式ラチェットレンチ1aを用いれば、人力によりボルトやナットの最初の緩めとそれに続くエアー駆動によるボルトやナットの緩めを、クランクピン52を折損することなく連続して行なうことができる。
図6は、本発明にかかる動力式ラチェットレンチの第2の実施の形態をあらわしている。
図6に示すように、この動力式ラチェットレンチ1bは、ストッパー壁44を設けず、ラチェットヨーク6bの先端側に長孔63が穿設されるとともに、この長孔63に両端が上部保持板42および下部保持板43に固定された過回転抑止手段としてのピン45が挿通されている以外は、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様になっている。
図6に示すように、この動力式ラチェットレンチ1bは、ストッパー壁44を設けず、ラチェットヨーク6bの先端側に長孔63が穿設されるとともに、この長孔63に両端が上部保持板42および下部保持板43に固定された過回転抑止手段としてのピン45が挿通されている以外は、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様になっている。
すなわち、この動力式ラチェットレンチ1bは、ピン45に長孔63の側壁面が受けられてクランクピン52が折損したり、軸受け53が早期に損傷するようなラチェットヨーク6bの過回転が抑止される。
図7は、本発明にかかる動力式ラチェットレンチの第3の実施の形態をあらわしている。
図7に示すように、この動力式ラチェットレンチ1cは、ストッパー壁44を設けず、ラチェットヨーク6cの先端面に切欠溝64を設けるとともに、上部保持板42および下部保持板43の先端部で上部保持板42および下部保持板43の端縁に沿って壁46を設けるとともに、この壁46に切欠溝64内に臨む過回転抑止手段としての突起46aを設けるようにした以外は、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様になっている。
図7に示すように、この動力式ラチェットレンチ1cは、ストッパー壁44を設けず、ラチェットヨーク6cの先端面に切欠溝64を設けるとともに、上部保持板42および下部保持板43の先端部で上部保持板42および下部保持板43の端縁に沿って壁46を設けるとともに、この壁46に切欠溝64内に臨む過回転抑止手段としての突起46aを設けるようにした以外は、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様になっている。
すなわち、この動力式ラチェットレンチ1cは、ラチェットヨーク6cがクランクピン52が折損したり、軸受け53が早期に損傷するような過回転をしようとしても、突起46aに切欠溝64の側壁面が受けられて過回転が抑止されるようになっている。
図8〜図11は、本発明にかかる動力式ラチェットレンチの第4の実施の形態をあらわしている。
図8〜図11に示すように、この動力式ラチェットレンチ1dは、ラチェット部3dと、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様のハンドル部2とを備えている。
図8〜図11に示すように、この動力式ラチェットレンチ1dは、ラチェット部3dと、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様のハンドル部2とを備えている。
ラチェット部3dは、一端がハンドル部2のケーシングに固定されている保護管部47を有している。
保護管部47は、クランクシャフト5のクランク軸51と、このクランク軸51にエアーモータ(図示せず)の駆動力を伝達する伝達軸57とを囲繞している。
保護管部47は、クランクシャフト5のクランク軸51と、このクランク軸51にエアーモータ(図示せず)の駆動力を伝達する伝達軸57とを囲繞している。
ラチェットヨーク6aおよび保護管部47のラチェットヨーク6a側は、ハウジング部4dによって囲繞されている。
ハウジング部4dは、ラチェットハウジング部48と、鞘状部49とを備えている。
ラチェットハウジング部48は、上部保護板(図示せず)および下部保護板48aを備えている。
上部保護板と下部保護板48aとは、鞘状部49側の端部において、端縁同士が過回転抑止手段としてのストッパー壁48bを介して連結されている。
ハウジング部4dは、ラチェットハウジング部48と、鞘状部49とを備えている。
ラチェットハウジング部48は、上部保護板(図示せず)および下部保護板48aを備えている。
上部保護板と下部保護板48aとは、鞘状部49側の端部において、端縁同士が過回転抑止手段としてのストッパー壁48bを介して連結されている。
鞘状部49は、ハンドル部2側の端部の管状部49a以外は、両側に保護管部47が出没自在なスリット49bを備えている。
管状部49aは、管端に切欠凹部49cを上下に備え(図では上側しかあらわれていない)、各切欠凹部49cのねじ締め付け方向に円盤状の突起49dが設けられている。
鞘状部49の管状部49aの内壁面49eは、後述するトルク調整機構が作動しない状態において、保護管部47のねじ緩め方向側の外壁面47bと当接するように構成されている。
管状部49aは、管端に切欠凹部49cを上下に備え(図では上側しかあらわれていない)、各切欠凹部49cのねじ締め付け方向に円盤状の突起49dが設けられている。
鞘状部49の管状部49aの内壁面49eは、後述するトルク調整機構が作動しない状態において、保護管部47のねじ緩め方向側の外壁面47bと当接するように構成されている。
鞘状部49とハンドル部2との間には、締め付けトルク調整機構10が設けられている。
締め付けトルク調整機構10は、摺動体11と、調節コイルスプリング12と、つば付き管13と、調節ナット14とを備えている。
締め付けトルク調整機構10は、摺動体11と、調節コイルスプリング12と、つば付き管13と、調節ナット14とを備えている。
摺動体11は、フランジ部11aを管状体11bの一端に備え、保護管部47に摺動自在に外嵌され、フランジ部11aの鞘状部49側端部に切欠凹部49cに嵌まり込むコロ11cが回転自在に設けられている。
調節コイルスプリング12は、摺動体11の管状体11bより大きな内径で、フランジ部11aとほぼ同じか少し小さい外径をしていて、一端部が管状体11bに外嵌されている。
調節コイルスプリング12は、摺動体11の管状体11bより大きな内径で、フランジ部11aとほぼ同じか少し小さい外径をしていて、一端部が管状体11bに外嵌されている。
つば付き管13は、調節コイルスプリング12の内径より小さな外径の管部13bの一端に、調節コイルスプリング12の外径とほぼ同じか少し大きい径のつば13aを備え、管部13bが調節コイルスプリング12内に入り込んだ状態で保護管部47に摺動自在に外嵌されている。
調節ナット14は、保護管部47のハンドル部2側端部に設けられた雄ねじ部47aに螺合していて、解締によって、調節コイルスプリング12のフランジ部11aに対する付勢力を調整できるようになっている。
調節ナット14は、保護管部47のハンドル部2側端部に設けられた雄ねじ部47aに螺合していて、解締によって、調節コイルスプリング12のフランジ部11aに対する付勢力を調整できるようになっている。
なお、この動力式ラチェットレンチ1dの上記以外の構成は、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様になっている。
この動力式ラチェットレンチ1dは、以上ようになっており、エアー駆動による運転時には、図8に示すように、ラチェットヨーク6aが所定回転角度で回転し動力駆動による最大振れ位置において、ストッパー壁48bとの間に上記動力式ラチェットレンチ1aと同様の隙間Sが形成されるようになっていて、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様に、回転方向切り替えレバー9を切り替えることによってエアー駆動によってボルトやナットの締め付けおよび緩めを行なうことができる。
また、人力による締め付けの際には、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様に、エアーモータの停止状態で、ボルトやナットに嵌合した治具が出力軸にセットされた状態で、ハンドル部2を手で持って矢印X方向に回転させようとすると、まず、ハンドル部2が先に回転し、ラチェットヨーク6aはそのままの位置を維持するため、ラチェットヨーク6aが動力駆動による所定最大振れ位置より隙間Sの分だけ相対的に回転することになるので過回転状態になる。しかし、ストッパー壁48bが設けられているので、図9に示すように、ラチェットヨーク6aの後部側縁がストッパー壁48bに当接し、それ以上過回転することがない。その後ハンドル部2をさらに回転させると、ハンドル部2と一体になってラチェットヨーク6aも回転し、締め付けを行なうことができる。そして、締め付けトルクが所定値になると、図10に示すように、締め付けトルク調整機構10が作動する。つまり、切欠凹部49cに嵌まり込んだコロ11cが調節コイルスプリング12の付勢力に抗して摺動体11をハンドル部2側に後退させながら突起49dを乗り越え、切欠凹部49cへの係合が解除される。すなわち、所定の締め付けトルクでの締め付けが完了したことがわかる。
一方、人力での緩めの際には、上記動力式ラチェットレンチ1aと同様に、エアーモータの停止状態で、出力軸にセットした治具をボルトやナットに嵌合し、ハンドル部2を手で持って矢印Y方向に回転させる。このとき、まず、ハンドル部2が先に回転し、ラチェットヨーク6aはそのままの位置を維持するため、ラチェットヨーク6aが動力駆動の最大振れ位置より隙間Sの分だけ相対的に回転することになるので、過回転状態になる。しかし、ストッパー壁48bが設けられているので、図11に示すように、ラチェットヨーク6aの後部側縁がストッパー壁48bに当接し、それ以上過回転することがない。その後ハンドル部2をさらに回転させると、ハンドル部2と一体になってラチェットヨーク6aも回転し、ボルトやナットの最初の緩めを行なうことができる。
なお、動力式ラチェットレンチ1dを、ねじを緩める方向に回す場合は、保護管部47の外壁面47bが管状部49aの内壁面49eに対して直接力を及ぼすため、締め付けトルク調整機構10は作動しない。
つまり、動力式ラチェットレンチ1dは、ねじの締め付けについては締め付けトルク調整機構10の作動により所定の締め付けトルクにてねじ締めを行なうことができる。一方、ねじの緩めについては、締め付けトルク調整機構10で設定されたトルクとは関係しないため、固く締まっているねじについても緩めることができ、その緩めるのに必要なトルクに応じた力のほとんどをストッパー壁48bに受け持たせることができるため、クランクピン52を折損することなくねじの緩め作業を行なうことができる。
なお、動力式ラチェットレンチ1dを、ねじを緩める方向に回す場合は、保護管部47の外壁面47bが管状部49aの内壁面49eに対して直接力を及ぼすため、締め付けトルク調整機構10は作動しない。
つまり、動力式ラチェットレンチ1dは、ねじの締め付けについては締め付けトルク調整機構10の作動により所定の締め付けトルクにてねじ締めを行なうことができる。一方、ねじの緩めについては、締め付けトルク調整機構10で設定されたトルクとは関係しないため、固く締まっているねじについても緩めることができ、その緩めるのに必要なトルクに応じた力のほとんどをストッパー壁48bに受け持たせることができるため、クランクピン52を折損することなくねじの緩め作業を行なうことができる。
以上のように、この動力式ラチェットレンチ1dにおいては、クランクシャフト5を囲繞する保護管部47があり、この保護管部47がさらにラチェットハウジング部48によって囲繞されているため、上記動力式ラチェットレンチ1a〜1cに比べ、ラチェットハウジング部48が厚くなる傾向がある。しかし、本発明を適用すれば、大きなトルクでねじの締め・緩めを行なうときにもストッパー壁48bにそのトルクに応じた力のほとんどを受け持たせることができるため、クランクピン52を通常よりも細くすることが可能となる。そして、クランクピン52を通常よりも細くすることによって、ドライブブッシング54も小型化でき、それに応じて保護管部47およびラチェットハウジング部48をラチェットシャンク7の軸方向に薄くすることができる。したがって、軽量化が図れて操作性が向上するとともに、ボルト頭の上方に障害物があるような場合でも薄型のラチェットハウジング部48をその隙間に挿入してボルトの締め・緩めを行なうことが可能となる。
また、この動力式ラチェットレンチ1dは、調節ナット14の解締によって調節コイルスプリング12の付勢力を調整し、締め付けるボルトやナットを適正なトルクで確実に締め付けることができ、締め付け過ぎによるねじの損傷を防ぐことができる。
また、この動力式ラチェットレンチ1dは、調節ナット14の解締によって調節コイルスプリング12の付勢力を調整し、締め付けるボルトやナットを適正なトルクで確実に締め付けることができ、締め付け過ぎによるねじの損傷を防ぐことができる。
以下に、本発明の具体的な実施例を詳しく説明する。
(実施例1)
株式会社空研製のラチェットレンチ(モデル番号KR−183、クランクピン太さφ7.5mm、動力駆動時の最大トルク30N・m)を用い、ボルトをストールトルクまで締め付けたのち、ラチェットヨークを動力駆動時の最大振れ位置にした状態からラチェットシャンクの出力軸にトルクを徐々に加えていき、クランクピンの折損するトルクを求めたところ、380N・mのトルクでクランクピンが折損した。
また、ラチェットヨークの後端側縁が、トルクの増加に伴ってラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置からハンドル部の軸方向と直角方向にどれだけ移動したかを調べ、その結果を、計測された移動距離から換算したラチェットヨークの過回転角度の換算値と対比させて、図12に示した。
なお、図12に示すように、クランクピン折損時のラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置からのラチェットヨークの後端側縁の移動距離は0.7mm(ラチェットヨークの過回転角度約1.44°)であった。
株式会社空研製のラチェットレンチ(モデル番号KR−183、クランクピン太さφ7.5mm、動力駆動時の最大トルク30N・m)を用い、ボルトをストールトルクまで締め付けたのち、ラチェットヨークを動力駆動時の最大振れ位置にした状態からラチェットシャンクの出力軸にトルクを徐々に加えていき、クランクピンの折損するトルクを求めたところ、380N・mのトルクでクランクピンが折損した。
また、ラチェットヨークの後端側縁が、トルクの増加に伴ってラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置からハンドル部の軸方向と直角方向にどれだけ移動したかを調べ、その結果を、計測された移動距離から換算したラチェットヨークの過回転角度の換算値と対比させて、図12に示した。
なお、図12に示すように、クランクピン折損時のラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置からのラチェットヨークの後端側縁の移動距離は0.7mm(ラチェットヨークの過回転角度約1.44°)であった。
(実施例2)
実施例1で用いたラチェットレンチのラチェットヨークを動力駆動時の最大振れ位置にした状態からラチェットシャンクの出力軸に150N・m(1回の過回転でクランクピンが折損したトルク380N・mの40%)のトルクを繰り返し加えたところ、3000回でクランクピンが折損した。なお、このときのラチェットヨークの後端側縁の移動距離は0.42mm(ラチェットヨークの過回転角度約0.86°)であった。
一方、実施例1で用いたラチェットレンチの場合、部品ごとの公差内での寸法のバラツキ、組み立てたときの遊びを考慮すれば、設計上、ラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置と、ストッパー壁との隙間が0.3mm程度必要であった。
実施例1で用いたラチェットレンチのラチェットヨークを動力駆動時の最大振れ位置にした状態からラチェットシャンクの出力軸に150N・m(1回の過回転でクランクピンが折損したトルク380N・mの40%)のトルクを繰り返し加えたところ、3000回でクランクピンが折損した。なお、このときのラチェットヨークの後端側縁の移動距離は0.42mm(ラチェットヨークの過回転角度約0.86°)であった。
一方、実施例1で用いたラチェットレンチの場合、部品ごとの公差内での寸法のバラツキ、組み立てたときの遊びを考慮すれば、設計上、ラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置と、ストッパー壁との隙間が0.3mm程度必要であった。
そこで、実施例1で用いたラチェットレンチにおいて、隙間が0.3mmとなるように、ストッパー壁を設けると、ラチェットヨークは、図12に示すように、105N・mのトルクをラチェットシャンクの出力軸に加えた場合と同じだけ最大振れ位置より過回転したときに、ラチェットヨークの後端側縁がストッパー壁に受けられる。
すなわち、105N・mをよりも大きなトルクをラチェットシャンクの出力軸に加えた場合、105N・mを超えるトルクに応じた力がストッパー壁44によって受けもたれ、クランクピンには、105N・mのトルクに応じた力だけが加わることになる。
したがって、105N・mのトルクに応じた力は、150N・mのトルクに応じた力の2/3であるため、クランクピンの寿命は、S−N曲線の関係から150N・mのトルクに応じた力を繰り返し加えた場合の3000回に比べ格段に向上することは容易に推測される。
すなわち、105N・mをよりも大きなトルクをラチェットシャンクの出力軸に加えた場合、105N・mを超えるトルクに応じた力がストッパー壁44によって受けもたれ、クランクピンには、105N・mのトルクに応じた力だけが加わることになる。
したがって、105N・mのトルクに応じた力は、150N・mのトルクに応じた力の2/3であるため、クランクピンの寿命は、S−N曲線の関係から150N・mのトルクに応じた力を繰り返し加えた場合の3000回に比べ格段に向上することは容易に推測される。
(実施例3)
株式会社空研製のラチェットレンチ(モデル番号KR−133A、クランクピン太さφ5.5mm、動力駆動時の最大トルク20N・m)を用い、ボルトをストールトルクまで締め付けたのち、ラチェットヨークを動力駆動時の最大振れ位置にした状態からラチェットシャンクの出力軸にトルクを徐々に加えていき、クランクピンの折損するトルクを求めたところ、140N・mのトルクでクランクピンが折損した。
また、ラチェットヨークの後端側縁が、トルクの増加に伴ってラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置からハンドル部の軸方向と直角方向にどれだけ移動したかを調べ、その結果を、計測された移動距離から換算したラチェットヨークの過回転角度の換算値と対比させて、図13に示した。
株式会社空研製のラチェットレンチ(モデル番号KR−133A、クランクピン太さφ5.5mm、動力駆動時の最大トルク20N・m)を用い、ボルトをストールトルクまで締め付けたのち、ラチェットヨークを動力駆動時の最大振れ位置にした状態からラチェットシャンクの出力軸にトルクを徐々に加えていき、クランクピンの折損するトルクを求めたところ、140N・mのトルクでクランクピンが折損した。
また、ラチェットヨークの後端側縁が、トルクの増加に伴ってラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置からハンドル部の軸方向と直角方向にどれだけ移動したかを調べ、その結果を、計測された移動距離から換算したラチェットヨークの過回転角度の換算値と対比させて、図13に示した。
なお、図13に示すように、クランクピン折損時のラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置からのラチェットヨークの後端側縁の移動距離は0.28mm(ラチェットヨークの過回転角度約0.77°)であった。
また、実施例3で用いたラチェットレンチの場合、部品ごとの公差内での寸法のバラツキ、組み立てたときの遊びを考慮すれば、設計上、ラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置と、ストッパー壁との隙間が0.2mm程度必要であった。
また、実施例3で用いたラチェットレンチの場合、部品ごとの公差内での寸法のバラツキ、組み立てたときの遊びを考慮すれば、設計上、ラチェットヨークの動力駆動時の最大振れ位置と、ストッパー壁との隙間が0.2mm程度必要であった。
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、駆動がエアーモータにより行なわれるようになっていたが、電動モータで駆動するようにしても構わない。
1a,1b,1c,1d 動力式ラチェットレンチ
52 クランクピン
5 クランクシャフト
6a,6b,6c ラチェットヨーク
44,48b ストッパー壁(過回転抑止手段)
45 ピン(過回転抑止手段)
46a 突起(過回転抑止手段)
72 出力軸
52 クランクピン
5 クランクシャフト
6a,6b,6c ラチェットヨーク
44,48b ストッパー壁(過回転抑止手段)
45 ピン(過回転抑止手段)
46a 突起(過回転抑止手段)
72 出力軸
Claims (2)
- クランクピンを有するクランクシャフトの回転によって、前記クランクピンがかみ合うラチェットヨークが、所定の回転角度でラチェットヨークの回転軸を中心に往復揺動してラチェットシャンクの出力軸が回転する動力式ラチェットレンチにおいて、
前記ラチェットヨークが、前記出力軸に加えられるトルクによって動力駆動による最大振れ位置、あるいは、最大振れ位置より1回過回転しただけでクランクピンが折損する過回転角度未満の位置まで回転したときにラチェットヨークの一部に当接し、ラチェットヨークのそれ以上の過回転を抑止するラチェットヨークの過回転抑止手段を備えていることを特徴とする動力式ラチェットレンチ。 - 締め付けトルク調整機構を備えている請求項1に記載の動力式ラチェットレンチ。
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