JP2008032865A - ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、感光性ポリイミド前駆体組成物は、その現像工程においては、現像液としてN−メチル−2−ピロリドンなどの大量の有機溶剤を用いる必要があり、近年の環境問題の高まりなどから、脱有機溶剤対策が求められてきている。これを受け、最近になって、フォトレジストと同様に、アルカリ性水溶液で現像可能な耐熱性感光性樹脂材料の提案が各種なされている。
このポジ型感光性樹脂の現像メカニズムは、未露光部の感光性ジアゾキノン化合物がアルカリ性水溶液に不溶であるのに対し、露光することにより該感光性ジアゾキノン化合物が化学変化を起こしインデンカルボン酸化合物となってアルカリ性水溶液に可溶となることを利用したものである。この露光部と未露光部の間の現像液に対する溶解速度の差を利用し、未露光部のみのレリーフパターンの作成が可能となる。
上述のPBO前駆体組成物は、露光およびアルカリ性水溶液による現像でポジ型レリーフパターンの形成が可能である。さらに熱により、オキサゾール環が生成し、硬化後のPBO膜はポリイミド膜と同等の熱硬化膜特性を有するようになるため、有機溶剤現像型ポリイミド前駆体の有望な代替材料として注目されている。
半導体装置のプリント配線基板への実装方法も、旧来の金属ピンと鉛−スズ共晶はんだを用いる実装方法から、究極としてチップサイズパッケージを目指す高密度BGA(ボールグリッドアレイ)など、ポリイミド被膜やPBO被膜が直接はんだバンプに接触する構造へと変遷してきている。また、用いられるはんだも環境負荷低減の目的で鉛フリーの高融点はんだに置き換わりつつある。このように、リフロー工程において用いられるポリイミド被膜やPBO被膜には、より優れた耐熱性・耐薬品性・リフロー耐性が要求される技術的背景がある。
また、アミン官能基から誘導される置換基を有する化合物として、アミド結合を含む有機基を有する化合物を添加して、物性をあげる技術が例えば特許文献3で提案されている。これにより、伸度等の機械物性の向上が期待できるが、得られる耐リフロー特性としては十分ではなく、上述のような工程に実用的な材料とは言いがたい(後述の比較例2参照)。このように、上述したような工程に用いるに必要十分な優れたリソグラフィー特性と耐熱性・耐リフロー性を併せ持ち、実用上問題のないポジ型感光性樹脂は未だ得られていないのが現状であった。
さらに、本発明の第三は、本発明の製造方法により得られる硬化レリーフパターン層を有してなる半導体装置である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を構成する各成分について、以下に具体的に説明する。
(A)ヒドロキシポリアミド
本発明のポジ型感光性樹脂組成物のベースポリマーであるヒドロキシポリアミドは、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位を有する。
該ヒドロキシポリアミドには、必要に応じて、前記一般式(1)のジアミド単位n個を縮合させてもよい。該ジアミド単位は、X2(NH2)2の構造を有するジアミンおよびY2(COOH)2の構造を有するジカルボンが重縮合した構造を有する。nは0〜500の範囲が好ましく、0〜10の範囲がより好ましい。ヒドロキシポリアミド中におけるヒドロキシポリアミド単位の割合が高いほど、現像液として使用するアルカリ性水溶液への溶解性が高く、現像に要する時間をより短くできるので、m/(m+n)の値は0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが最も好ましい。
このうち芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
該誘導体を得るために5−アミノイソフタル酸に対して反応させる具体的な化合物としては、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3−エチニル−1,2−フタル酸無水物、4−エチニル−1,2−フタル酸無水物、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、マレイン酸無水物、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、アリルスクシン酸無水物、イソシアナートエチルメタクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸クロライド、
Y1(COOH)2の構造を有するジカルボン酸とX1(NH2)2(OH)2の構造を有するビスアミノフェノールの重縮合させてジヒドロキシジアミド単位を生成するための方法としては、ジカルボン酸から塩化チオニルを使用して、ジ酸クロリドを生成したのちにビスアミノフェノールを作用させる方法、ジカルボン酸とビスアミノフェノールをジシクロヘキシルカルボジイミドにより重縮合させる方法等が挙げられる。ジシクロヘキシルカルボジイミドを使用する方法においては同時にヒドロキシベンズトリアゾールを作用させることもできる。
ヒドロキシポリアミドの重縮合において、ジカルボン酸成分をビスアミノフェノール成分とジアミン成分の和に比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としては、アミノ基、または水酸基を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、アニリン、エチニルアニリン、ノルボルネンアミン、ブチルアミン、プロパルギルアミン、エタノール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
逆にビスアミノフェノール成分とジアミン成分の和をジカルボン酸成分に比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としては、酸無水物、カルボン酸、酸クロリド、イソシアネート基等を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、ベンゾイルクロリド、ノルボルネンジカルボン酸無水物、ノルボルネンカルボン酸、エチニルフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロへキセンジカルボン酸無水物、メタクロイルオキシエチルメタクリレート、フェニルイソシアネート、メシルクロリド、及びトシル酸クロリド等が挙げられる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、ウレタン基含有化合物を含み、より好ましくは下記一般式(2)で表されるウレタン基含有化合物を含む。
本発明者は、該ウレタン基含有化合物をヒドロキシポリアミドを含むポジ型感光性樹脂組成物に添加することにより、保存時の粘度上昇を防ぎ、リソグラフィー性能を損なうことがなく、硬化膜の耐リフロー性を高める効果を奏することを見出した。この理由は、ウレタン結合自体は常温では反応性が低く構造的に安定である一方、熱処理を行うことにより効率的に分解しイソシアネート基やアミノ基といった反応性の高い基を生成しヒドロキシポリアミドの分子鎖間架橋を起こすことが可能となるためと考えられる。
前記のアミン化合物と反応させるクロロギ酸エステルとしては、、クロロぎ酸メチルエステル、クロロぎ酸エチルエステル、クロロぎ酸n−プロピルエステル、クロロぎ酸イソプロピルエステル、クロロぎ酸イソブチルエステル、クロロぎ酸2−エトキシエステル、クロロぎ酸−sec−ブチルエステル、クロロぎ酸ベンジルエステル、クロロぎ酸2−エチルヘキシルエステル、クロロぎ酸アリルエステル、クロロぎ酸フェニルエステル、クロロぎ酸2,2,2−トリクロロエチルエステル、クロロぎ酸−2−ブトキシエチルエステル、クロロぎ酸−p−ニトロベンジルエステル、クロロぎ酸−p−メトキシベンジルエステル、クロロぎ酸イソボルニルベンジルエステル、クロロぎ酸−p−ビフェニルイソプロピルベンジルエステルが挙げられ、ジカーボナートエステルとしては、ジ−t−ブチル−ジカーボナートが挙げられる。これらの中でも、クロロぎ酸メチルエステル、クロロぎ酸エチルエステル、クロロぎ酸n−プロピルエステル、クロロぎ酸イソプロピルエステル、クロロぎ酸イソブチルエステル、クロロぎ酸2−エトキシエステル、クロロぎ酸アリルエステル、クロロぎ酸フェニルエステル、ジ−t−ブチル−ジカーボナートが好ましいものとして挙げられる。これらのクロロぎ酸エステル、ジカーボナートエステルは単独で使用しても2つ混合して使用してもよい。これらのウレタン基含有化合物は単独で使用しても2つ以上混合して使用してもよい。
ウレタン基含有化合物のヒドロキシポリアミドに対する配合量は、該ヒドロキシポリアミド100質量部に対し、0.01〜30質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましい。ウレタン基含有化合物の配合量が0.1質量部以上だと耐薬品性、耐リフロー性が良好になり、15質量部以下だと硬化後の膜の引張り伸び率が良好である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物で用いる感光性ジアゾキノン化合物は、1,2−ベンゾキノンジアジド構造あるいは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許明細書の第2,772,972号、第2,797,213号、第3,669,658号等により公知の物質である。好ましいものの例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に対して熱ラジカル発生剤を加えても良い。ここで用いるラジカル発生剤としては、熱処理条件においてラジカルを発生するものが好ましく、好ましいものの例として、有機過酸化物、例えばジクミルパーオキサイド、有機非過酸化物、例えばジメチルジフェニルブタンが挙げられる。
熱ラジカル発生剤を加える場合の添加量は、ヒドロキシポリアミド100質量部に対し、0〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。添加量が20質量部以内であれば保存安定性が良好である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、必要に応じて、従来感光性樹脂組成物の添加剤として用いられているフェノール化合物、染料、界面活性剤、基板との密着性を高めるための接着助剤、安定剤等を添加することも可能である。
フェノール化合物を加える場合の添加量は、ヒドロキシポリアミド100質量部に対し、0〜50質量部が好ましく、1〜30質量部が好ましい。添加量が50質量部以内であれば、熱硬化後の膜の引張り伸び率が良好である。
界面活性剤を加える場合の添加量は、ヒドロキシポリアミド100質量部に対し、0〜10質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。添加量が10質量部以内であれば、熱硬化後の膜の引張り伸び率が良好である。該界面活性剤の添加により、塗布時のウエハーエッジでの塗膜のハジキをより発生しにくくすることができる。
また、接着助剤としては、例えば、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t−ブチルノボラック、エポキシシラン、エポキシポリマー等、および各種シランカップリング剤が挙げられる。
接着助剤を加える場合の添加量は、ヒドロキシポリアミド100質量部に対し、0〜30質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。添加量が30質量部以内であれば、熱硬化後の膜の引張り伸び率が良好である。
このような溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン(以下、「GBL」ともいう。)、イソホロン、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう。)、ジメチルイミダゾリノン、テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル(以下、「DMDG」ともいう。)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等を単独または混合して使用できる。これらの溶媒のうち、非アミド系溶媒がフォトレジストなどへの影響が少ない点から好ましく、具体的にはγ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。
溶媒の添加量は、ヒドロキシポリアミド100質量部に対し、50〜1000質量部が好ましい。溶媒の添加量は、上記の範囲内で塗布装置、及び塗布厚みに適した粘度に設定することが、硬化レリーフパターンの製造を容易にすることができるので好ましい。
次に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を基板に塗布して硬化レリーフパターンを製造する方法について、以下具体的に説明する。
第一に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を、例えばシリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等の基板に、スピナーを用いた回転塗布やロールコーターにより塗布する。これをオーブンやホットプレートを用いて50〜140℃で乾燥して溶媒を除去する。
第二に、マスクを介して、コンタクトアライナーやステッパーを用いて化学線による露光を行うか、光線、電子線またはイオン線を直接照射する。
第三に、露光部または照射部を現像液で溶解して溶出除去し、引き続きリンス液によるリンスを行うことで所望のレリーフパターンを得る。現像方法としてはスプレー、パドル、ディップ、超音波等の方式が可能である。リンス液は蒸留水、脱イオン水等が使用できる。
該無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、上記アルカリ性水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。
最後に、得られたレリーフパターンを加熱処理して、ポリベンゾオキサゾール構造を有する耐熱性硬化レリーフパターンを形成することができる。
上述の製造方法によって作成した硬化レリーフパターンは、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、あるいはバンプ構造を有する装置の保護膜として、公知の半導体装置の製造方法と組み合わせることで、半導体装置を製造することができる。また、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。
<ヒドロキシポリアミドの合成>
〔参考例1〕
1リットル3つ口フラスコに5−アミノイソフタル酸18.12g(0.1mol)をN−メチル−2−ピロリドン200g、ピリジン15.8g(0.2mol)に溶解し、γ−ブチロラクトン36gに溶解したクロロギ酸エチル11.94g(0.105mol)を滴下した。これを、0℃まで氷冷し、γ−ブチロラクトン105gに溶解した塩化チオニル(0.3mol)35.69gを30分かけて10℃を超えないように滴下した。10℃を超えないように氷冷しながら1時間攪拌した後、室温に戻し、真空ポンプを用いて、未反応の塩化チオニルと副生物の亜硫酸ガスを留去した。この溶液を反応液1とする。
次に、0.5リットル三角フラスコに4,4’−オキシビス安息香酸ジクロライド29.512g(0.1mol)にγ−ブチロラクトン90gを加えて溶解した。この溶液を反応液2とする。
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex 805/804/803直列
容離液:テトラヒドロフラン 40℃
流速 :1.0ml/分
検出器:昭和電工製 商標名 Shodex RI SE−61
参考例1において、クロロぎ酸エチル11.94g(0.105mol)の代わりに、5−ノルボルネン2,3−ジカルボン酸無水物17.24g(0.105mol)用いた以外は、全て参考例1と同様にして、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た(P−2)。ただし、5−アミノイソフタル酸と5−ノルボルネン2,3−ジカルボン酸無水物の反応には、滴下終了後室温で15時間を要した。この樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は17000(Mw)であった。
容量1リットルのセパラブルフラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン109.9g(0.3mol)、テトラヒドロフラン(THF)330g、ピリジン47.5g(0.6mol)を入れ、これに室温下で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物98.5g(0.6mol)を粉体のまま加えた。そのまま室温で3日間撹拌反応を行ったあと、HPLCにて反応を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物が単一ピークとして純度99%で検出された。この反応液をそのまま1リットルのイオン交換水中に撹拌下で滴下し、析出物を濾別した後、これにTHF500mlを加え撹拌溶解し、この均一溶液を、陽イオン交換樹脂が充填されたガラスカラムを通し残存するピリジンを除去した。次にこの溶液を3リットルのイオン交換水中に高速撹拌下で滴下することにより生成物を析出させ、これを濾別した後、真空乾燥した。
次に、該生成物65.9g(0.1mol)、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドを53.7g(0.2mol)、アセトン560g加え、20℃で撹拌溶解した。これに、トリエチルアミン21.2g(0.21mol)をアセトン106.2gで希釈したものを、30分かけて一定速度で滴下した。この際、反応液は氷水浴などを用いて20〜30℃の範囲で温度制御した。
滴下終了後、更に30分間、20℃で撹拌放置した後、36重量%濃度の塩酸水溶液5.6gを一気に投入し、次いで反応液を氷水浴で冷却し、析出した固形分を吸引濾別した。この際得られた濾液を、0.5重量%濃度の塩酸水溶液5リットルに、その撹拌下で1時間かけて滴下し、目的物を析出させ、吸引濾別して回収した。得られたケーク状回収物を、再度イオン交換水5リットルに分散させ、撹拌、洗浄、濾別回収し、この水洗操作を3回繰り返した。最後に得られたケーク状物を、40℃で24時間真空乾燥し、感光性ジアゾキノン化合物(Q−1)を得た。
レゾルシノール102.4g(0.92mol)、ヘキサナール92.0g(0.92mol)をエタノール920ml中に溶解した。これを0℃に冷やし12N塩酸を148ml滴下、攪拌した。次にこの混合物を窒素雰囲気下70℃で10時間攪拌した。室温にしたのち濾過によって沈殿物を除去した。濾液を80℃の水で洗浄後乾燥し得られた固体をメタノール及びヘキサン、アセトン混合溶媒で再結晶を行った。その後真空乾燥を行い、レゾルシン環状4量体を収率50%で得た。
次に先に合成したレゾルシン環状4量体を76.9g(0.1mol)、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドを134.3g(0.5mol、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化率62.5%相当)、テトラヒドロフラン1057gを加え、20℃で撹拌溶解した。これに、トリエチルアミン53.1g(0.525mol)をテトラヒドロフラン266gで希釈したものを、30分かけて一定速度で滴下した。この際、反応液は氷水浴を用いて20〜30℃の範囲で温度制御した。滴下終了後、更に30分間、20℃で撹拌放置した後、36重量%濃度の塩酸水溶液6.8gを一気に投入し、次いで反応液を氷水浴で冷却し、析出した固形分を吸引濾別した。
この際得られた濾液を、0.5重量%濃度の塩酸水溶液10リットルに、その撹拌下で1時間かけて滴下し、目的物を析出させ、吸引濾別して回収した。得られたケーク状回収物を、再度イオン交換水5リットルに分散させ、撹拌、洗浄、濾別回収し、この水洗操作を3回繰り返した。最後に得られたケーク状物を、40℃で24時間真空乾燥し、目的の感光性ジアゾキノン化合物(Q−2)を得た。
容量500mlのセパラブルフラスコに2,2−ビス(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロプロパン33.4g(0.1mol)、GBL110g、ピリジン15.8g(0.2mol)を入れ、GBL86.8gに溶解したクロロぎ酸エチル21.7g(0.2mol)を滴下した。この際、反応液は氷水浴を用いて10〜30℃の範囲で温度制御し、2時間撹拌し反応させたあと、HPLCにて反応を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物が単一ピークとして純度99%で検出された。この反応液をそのまま1リットルのイオン交換水中に撹拌下で滴下し、析出物を濾別した後、これにGBL500mlを加え撹拌溶解し、この均一溶液を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが充填されたガラスカラムを通し、残存する塩素イオンとピリジンを除去した。次にこの溶液を3リットルのイオン交換水中に高速撹拌下で滴下することにより生成物を析出させ、これを濾別、真空乾燥し、ウレタン基含有化合物を得た(C−1)。
参考例5において、クロロぎ酸エチル21.7g(0.2mol)の代わりに、ジ−t−ブチル−ジカーボナート43.7g(0.2mol)を用いた以外は、全て参考例5と同様にして、ウレタン基含有化合物を得た(C−2)。ただし、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロプロパンとジ−t−ブチル−ジカーボナートの反応には、滴下終了後室温で10時間を要した。HPLCにて反応を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物が単一ピークとして純度99%で検出された。
参考例5において、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロプロパン33.4g(0.1mol)の代わりに、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)を用いた以外は、全て参考例5と同様にして、ウレタン基含有化合物を得た(C−3)。HPLCにて反応を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物が単一ピークとして純度99%で検出された。
上記参考例1または2にて得られたヒドロキシポリアミド(P−1またはP−2)100質量部に対して、上記参考例3または4にて得られた感光性ジアゾキノン化合物(Q−1またはQ−2)の20質量部、上記参考例5〜7にて得られたC−1からC−3のウレタン基含有化合物または下記C−4の熱架橋性化合物(総称して「架橋剤」という。)の10質量部を、溶媒170質量部に溶解した後、0.2μmのフィルターで濾過して、表1に記載した実施例1〜4、及び比較例1〜3のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
(C−4)エポライト3002(共栄社化学製)
(1)パターニング特性評価
上記ポジ型感光性樹脂組成物を大日本スクリーン製造社製スピンコーター(Dspin636)にて、5インチシリコンウエハーにスピン塗布し、ホットプレートにて130℃、180秒間プリベークを行い、膜厚7.5μmの塗膜を形成した。膜厚は大日本スクリーン製造社製膜厚測定装置(ラムダエース)にて測定した。
この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通してi−線(365nm)の露光波長を有するニコン社製ステッパー(NSR2005i8A)を用いて露光量を段階的に変化させて露光した。これをAZエレクトリックマテリアルズ社製アルカリ現像液(AZ300MIFデベロッパー、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)を用い、23℃の条件下で現像後膜厚が6.5μmとなるように現像時間を調整して現像し、純水にてリンスを行い、ポジ型のレリーフパターンを形成した。ポジ型感光性樹脂組成物の感度、解像度を表2に示した。
なお、ポジ型感光性樹脂組成物の感度、解像度は、次のようにして評価した。
[感度(mJ/cm2 )]
上記現像時間において、塗膜の露光部を完全に溶解除去しうる最小露光量。
[解像度(μm)]
上記露光量での最小解像パターン寸法。
上記(1)の方法で得られたレリーフパターンを、縦型キュア炉(光陽リンドバーグ社製)にて、窒素雰囲気中、350℃で1時間のキュア(加熱硬化処理)を施し、硬化レリーフパターンとした。次に、該硬化レリーフパターンを形成したシリコンウェハーを約10cm角に割断し、耐リフロー特性試験用のサンプルを作製した。該硬化レリーフパターンの上にフラックス(タムラ化研製、商標名:SOLDERITE、品番BF−30)をスピンコート(500回転毎分で20秒間)した。これをメッシュベルト式連続焼成炉(光洋サーモシステム社製、型式名6841−20AMC−36)を用いた、模擬的な半田リフロー条件で、窒素雰囲気下、ピーク温度360℃まで加熱した。これは、半導体装置の評価方法に関する、米国半導体業界団体の標準規格であるIPC/JEDEC:J−STD−020Aの7.6項記載の半田リフロー条件に準拠する形で、半田融点を高温の310℃と仮定し、規格化した試験条件である。
上記リフロー処理後のサンプルをキシレンに10分間、次いで2−プロパノ−ルに10分間浸漬静置してフラックスを除去し、乾燥させた後、光学顕微鏡下で観察して硬化レリーフパターンが受けたダメージを、クラックの発生の有無を評価した。
クラックの評価指標
○:クラックなし
×:クラック発生
また、リフロー処理前後の膜厚を測定し、その変化率(膨潤率)を算出した。
上記ポジ型感光性樹脂組成物を、E型粘度計を用いて23℃で粘度を測定した後、室温で2週間放置した後、再度粘度を測定し、その変化率(増粘率)を算出した。
保存安定性の評価指標
良好:±5%以内
不良:±5%以上
表2から、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いることにより、保存安定性が良好で、高感度、高解像度のレリーフパターンを形成することができるばかりでなく、さらに、リフロー耐性も良好な熱硬化膜が得られたことがわかる。これに対し、本発明の要件を満たすウレタン基含有化合物を含まない比較例1〜3の組成物は良好なリフロー耐性が得られない、または組成物の安定性に劣るという不具合があることがわかる。
Claims (3)
- (A)下記の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するヒドロキシポリアミド100質量部、(B)下記の一般式(2)で表されるウレタン基含有化合物0.01〜30質量部、及び(C)感光性ジアゾキノン化合物1〜100質量部を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
- (1)請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物を層またはフィルムの形で基板上に形成し、(2)マスクを介して化学線で露光するか、光線、電子線またはイオン線を直接照射し、(3)露光部または照射部を現像液で溶出除去し、(4)得られたレリーフパターンを加熱処理することを特徴とする硬化レリーフパターンの製造方法。
- 請求項2に記載の硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターン層を有してなる半導体装置。
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