JP2008031939A - 内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材、内燃機関冷却機構及び内燃機関冷却機構形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】区画部材2の可撓性リップ部材6はエラストマーであるため、ウォータジャケット12への挿入時に撓むことで、大きな抵抗力をシリンダボア部14の外周面14aから受けることなく、しかも区画部材2全体を好適な位置に誘導しつつウォータジャケット12内に挿入でき、容易に内燃機関冷却機構が形成できる。挿入完了後においても可撓性リップ部材6は自身の撓み復元力により先端縁部6cがシリンダボア部14の外周面14aに接触し、ボア側流路12aと反ボア側流路12bとの冷却水流の独立性が十分に確保される。このため各流路12a,12bでの冷却水の流量管理をすることでシリンダボア14b側に対する高精度な温度管理が容易なものとなる。
【選択図】図4
Description
請求項1に記載の内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材は、内燃機関のシリンダブロックに形成された溝状冷却用熱媒体流路内に配置されることで該溝状冷却用熱媒体流路内を複数の流路に区画する流路区画部材であって、前記溝状冷却用熱媒体流路の深さに満たない高さに形成され、前記溝状冷却用熱媒体流路内をボア側流路と反ボア側流路とに分割する壁部となる流路分割部材と、前記流路分割部材から前記溝状冷却用熱媒体流路の開口部方向に向けて形成され、かつ先端縁部が前記溝状冷却用熱媒体流路の一方の内面を越えた形に可撓性材料で形成されていることにより、前記溝状冷却用熱媒体流路内への挿入完了後は自身の撓み復元力により前記先端縁部が前記内面に対して前記溝状冷却用熱媒体流路の深さ方向の中間位置にて接触することで前記ボア側流路と前記反ボア側流路とを分離する可撓性リップ部材とを備えたことを特徴とする。
請求項4に記載の内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材では、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記可撓性リップ部材は、前記溝状冷却用熱媒体流路の開口部側における前記流路分割部材の縁部に設けられ、前記先端縁部が前記溝状冷却用熱媒体流路のボア側内面を越えた形に形成され、前記流路分割部材は、前記溝状冷却用熱媒体流路の開口部とは反対側の縁部が前記溝状冷却用熱媒体流路の底面への当接部とされていることを特徴とする。
特に流路分割部材において可撓性リップ部材が設けられていない方の縁部である当接部を可撓性材料とすることにより、ボア側流路と反ボア側流路との分離がより十分なものとなる。このように可撓性材料で当接部を形成しても、当接部は溝状冷却用熱媒体流路の底面に当接する機能を果たせば良いので、形状も簡易で済み、製造コストアップを抑制できる。
ダイロータリー成形(2色成形)により材質の異なる樹脂を一体化して形成することが可能であり、内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材自体の製造も容易となる。
請求項9に記載の内燃機関冷却機構形成方法は、請求項4〜6のいずれかに記載の内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材を、シリンダブロックの溝状冷却用熱媒体流路のデッキ面開口部から、前記当接部を前記溝状冷却用熱媒体流路の底面に当接するまで挿入することを特徴とする。
図1に上述した発明が適用された内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材(以下「区画部材」と略す)2の構成を示す。図1の(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は斜視図、(E)は左側面図、(F)は右側面図である。図2の斜視図は区画部材2の構成を分解して示している。図3の斜視図及び図4,5の縦断面図は区画部材2を内燃機関に適用した状態を示している。
流路分割部材基部4は、区画部材2全体の形状を維持している部分であり、可撓性リップ部材6よりも高剛性の材質ここではオレフィン系樹脂にて形成されている。そして流路分割部材基部4の形状は、車両搭載用内燃機関のオープンデッキ型シリンダブロック10に設けられているウォータジャケット(溝状冷却用熱媒体流路に相当)12内に挿入して配置できるように形成されている。すなわちウォータジャケット12の幅より薄い板状であり、ウォータジャケット12に適合させて円筒を気筒数(ここでは#1〜#4からなる4気筒)分、接続した環状形状に形成されている。尚、ウォータジャケット12の幅とはシリンダボア部14の外周面14aとシリンダブロック10の外周壁16の内周面16aとの間の距離である。これら外周面14aと内周面16aとが請求項における溝状冷却用熱媒体流路の内面に相当する。
(イ).前述したごとく流路分割部材基部4については、区画部材2全体の形状を維持するために可撓性リップ部材6よりも剛性の高い材質としているが、前述した形状によりウォータジャケット12内に挿入して配置することは容易である。当接用可撓性部材8の部分についても、流路分割部材基部4の下端面4fにてウォータジャケット12の底面12dに当接する当接部としての役割を果たせばよいので、流路分割部材基部4の下端面4fの幅より狭く、ウォータジャケット12内に配置することは容易である。可撓性リップ部材6については可撓性材料であり、前述したごとくの形状であるため、ウォータジャケット12への挿入時に大きな抵抗力をシリンダボア部14の外周面14aから受けることはない。したがって本実施の形態の区画部材2は小さい摺動抵抗力のみでウォータジャケット12内に挿入でき、ボア側流路12aと反ボア側流路12bとを分離して独立させることができる。しかも挿入時に区画部材2全体をウォータジャケット12内の好適な位置に誘導する役目も果たす。更に挿入後に区画部材2を抜けにくくする効果もある。
図8に本実施の形態の区画部材102の構成を示し、図9にシリンダブロック110のウォータジャケット112内への区画部材102の配置状態を示している。本実施の形態の区画部材102は、流路分割部材基部104の構成が異なり、可撓性リップ部材106及び当接用可撓性部材108の構成は前記実施の形態1と同一形状及び材質である。シリンダブロック110側の構成については前記実施の形態1と同一である。
(イ).前記実施の形態1にて説明した効果が生じると共に、流路分割部材基部104が薄肉化されているので、内燃機関としても重量増加を抑制できる。更に誘導スロープ104iの形成により、円滑に冷却水を誘導できるので、シリンダボア114b側の上下方向の温度差も更に減少させやすくなる。
(a).前記実施の形態1(図1)において、誘導壁4aは冷却水の誘導と共に、区画部材2全体の位置固定を確実にするために設けられていた。更に強固な固定とするために、図11に示すごとく#1気筒側の誘導壁204aと共に、#4気筒側にも流路分割部材基部204に、誘導壁204aと同一高さの突出部204f,204gを形成して、#4気筒側でも区画部材202全体を位置固定するようにしても良い。このことは前記実施の形態2においても同じである。
図13の(B)では、可撓性リップ部材と当接用可撓性部材とを一体化した可撓性部材606としている。すなわち可撓性部材606は流路分割部材基部604の側面に一体成形されており、流路分割部材基部604よりも上下に飛び出た状態に形成されることにより、リップ部606aと当接部606bとが形成されている。このことにより前記実施の形態1に準じる効果を生じさせることができる。
Claims (9)
- 内燃機関のシリンダブロックに形成された溝状冷却用熱媒体流路内に配置されることで該溝状冷却用熱媒体流路内を複数の流路に区画する流路区画部材であって、
前記溝状冷却用熱媒体流路の深さに満たない高さに形成され、前記溝状冷却用熱媒体流路内をボア側流路と反ボア側流路とに分割する壁部となる流路分割部材と、
前記流路分割部材から前記溝状冷却用熱媒体流路の開口部方向に向けて形成され、かつ先端縁部が前記溝状冷却用熱媒体流路の一方の内面を越えた形に可撓性材料で形成されていることにより、前記溝状冷却用熱媒体流路内への挿入完了後は自身の撓み復元力により前記先端縁部が前記内面に対して前記溝状冷却用熱媒体流路の深さ方向の中間位置にて接触することで前記ボア側流路と前記反ボア側流路とを分離する可撓性リップ部材と、
を備えたことを特徴とする内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材。 - 請求項1において、前記可撓性リップ部材はエラストマーにて形成され、前記流路分割部材は前記可撓性リップ部材よりも剛性の高い材質であることを特徴とする内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材。
- 請求項2において、前記可撓性リップ部材はオレフィン系エラストマーにて形成され、前記流路分割部材はオレフィン系樹脂にて形成されていることを特徴とする内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記可撓性リップ部材は、前記溝状冷却用熱媒体流路の開口部側における前記流路分割部材の縁部に設けられ、前記先端縁部が前記溝状冷却用熱媒体流路のボア側内面を越えた形に形成され、前記流路分割部材は、前記溝状冷却用熱媒体流路の開口部とは反対側の縁部が前記溝状冷却用熱媒体流路の底面への当接部とされていることを特徴とする内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材。
- 請求項4において、前記当接部は、可撓性材料で形成されていることを特徴とする内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材。
- 請求項4又は5において、全構成が樹脂によるダイロータリー成形により一体成形されていることを特徴とする内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材が内燃機関のシリンダブロックに形成された溝状冷却用熱媒体流路内に配置され、冷却用熱媒体の供給口は前記反ボア側流路に開口していることを特徴とする内燃機関冷却機構。
- 請求項7において、予備昇温時に予備昇温用熱媒体が前記溝状冷却用熱媒体流路内に導入されると共に、該予備昇温用熱媒体の供給口は前記ボア側流路に開口していることを特徴とする内燃機関冷却機構。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材を、シリンダブロックの溝状冷却用熱媒体流路のデッキ面開口部から、前記当接部を前記溝状冷却用熱媒体流路の底面に当接するまで挿入することを特徴とする内燃機関冷却機構形成方法。
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