JP2006090197A - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、スペーサ下部を通じて内側通路へ流入する外側通路の冷却水を抑えることが可能な内燃機関の冷却装置を提供する。
【解決手段】本発明は、シール部材16によって、外側通路13の冷却水が、スペーサ10の下部とウォータジャケット7の底面7aとの間を通じて、内側通路12へ流れ込むのを規制するようにした。これにより、スペーサ10下部を通じて内側通路12へ流入する無用な冷却水を抑えられ、内側通路12で行うシリンダライナ下部側(ピストン下死点側)における保温効果が高めることができる。
【選択図】 図4
【解決手段】本発明は、シール部材16によって、外側通路13の冷却水が、スペーサ10の下部とウォータジャケット7の底面7aとの間を通じて、内側通路12へ流れ込むのを規制するようにした。これにより、スペーサ10下部を通じて内側通路12へ流入する無用な冷却水を抑えられ、内側通路12で行うシリンダライナ下部側(ピストン下死点側)における保温効果が高めることができる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、内部がスペーサで区画されるウォータジャケットを用いてシリンダライナの冷却を行なう内燃機関の冷却装置に関する。
水冷のレシプロ式内燃機関の多くは、シリンダライナ(シリンダボアを形成するもの)が組み込まれたシリンダブロックに、シリンダライナを取り囲むようにウォータジャケットを形成しておき、このウォータジャケットの一端側に形成された冷却水入口部から冷却水をウォータジャケットへ流通させる冷却構造が採用されている。
ところで、シリンダライナは、ピストンの往復動でもたらす燃焼サイクルにより、燃焼室に近いピストン上死点側は、燃焼行程の燃焼熱を直接的に受けるために温度上昇しやすい。反面、燃焼室から離れるピストン下死点側は、温度上昇しにくい。
そこで、内燃機関の機種毎、こうした要求に応えられるよう、ウォータジャケット内に、シリンダライナを取り囲むようスペーサを挿入して、ウォータジャケット内を外側通路と内側通路とに区画したうえ、ウォータジャケットの上部から冷却水を流入させる構造を採用することが進められている(例えば特許文献1を参照)。この構造により、内燃機関の機種毎、シリンダライナと接する内側通路やスペーサで隔てた外側通路毎で冷却水の流量や流速を変えつつ、シリンダライナの冷却性が求められる内側通路のピストン上死点側で必要な冷却水の流量や流速を確保し、シリンダライナの保温効果が求められる内側通路のピストン下死点側で流量や流速を低下させるという、コントロールが可能となる。
特開2003−262155号公報
ところで、スペーサは、単純にウォータジャケット内に挿入して組付けられる構造のため、スペーサの上下部には隙間が生じやすい。特にスペーサをウォータジャケット内に置く構造(フローティング)は、スペーサの下部とウォータジャケットの底面との間のクリアランスが大きくなりやすい傾向にある。
このため、外側通路の下部を流れる冷却水が、スペーサ下部とウォータジャケットの底面との間に生じる隙間を通じて、内側通路の下部へ流れ込み、この外側通路の冷却水流(内側通路の冷却水より温度が低)の影響で、シリンダライナの下部側(ピストン下死点側)における保温効果を低下させるという問題を生じていた。保温効果の低下は、ピストンとシリンダライナとの間で無用なフリクションを生じさせる要因ともなる(燃費:悪化)。
そこで、本発明の目的は、スペーサ下部を通じて内側通路へ流入する外側通路の冷却水を抑えることが可能な内燃機関の冷却装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、外側通路の冷却水が、スペーサの下部とウォータジャケットの底面との間を通じて、内側通路へ流れ込むのを規制する規制手段を設ける構成を採用した。
請求項2に記載の発明は、規制手段として、簡単な構造ですむよう、スペーサの下部全周に、ウォータジャケットの底部と嵌まり、スペーサ下部とウォータジャケット底面間をシールするシール部材を採用した。
請求項3に記載の発明は、熱がこもりやすいシリンダライナ間部分の冷却性の確保を考慮する場合の対応として、シール部材には、シリンダライナ間に相当する部分に形成された、外側通路の冷却水が内側通路へ流れ込むのを許す許容部と、残るスペーサ下部とウォータジャケット底面間の部分を遮る遮断部とを有した構成を採用することとした。
請求項1に記載の発明によれば、スペーサ下部を通じて外側通路から内側通路へ流入する冷却水を抑えることができる。
したがって、内側通路で行われるシリンダライナ下部側(ピストン下死点側)における保温効果を高めることができ、内燃機関のフリクションを低減させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、簡単な構造で、内側通路への冷却水の流入を防ぐことができる。
請求項3に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、熱がこもりやすいシリンダライナ間部分の対策が必要な場合、シール部材を活用した簡単な構造で、同部分の冷却性が確保できる。
[第1の実施形態]
以下、本発明を図1〜図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
以下、本発明を図1〜図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1は、水冷のレシプロ式多気筒内燃機関、例えば4気筒のレシプロエンジンの一部を示し、図2はそのエンジンの一部を分解した斜視図、図3および図4は各部の詳細を示していて、同図中1は同エンジンのシリンダブロックを示している。このシリンダブロック1には、例えば4つのシリンダライナ2a〜2dを連続して並べて構成されるサイヤミーズタイプが用いられている。この各シリンダライナ2a〜2dにより、直列に並ぶシリンダボア3a〜3dを形成している。これら各シリンダボア3a〜3d内には、それぞれピストン4(図4のみに二点鎖線で図示)が往復動可能に収められる。またシリンダブロック1の上部には、例えばシリンダボア3a〜3d毎、燃焼室5a(図4のみに図示)、吸気・排気ポート、吸気・排気側の動弁機構、点火プラグ、インジェクタ(いずれも図示せず)などが組付いたシリンダヘッド5(図1および図3中に二点鎖線で図示)が搭載されている。そして、往復動するピストン4により、クランクシャフト(図示しない)から軸出力が出力されるようにしている。なお、6は、シリンダブロック1の頭部とシリンダヘッド5との間に介在されるガスケットを示す(図4のみに二点鎖線で図示)。
図1および図2に示されるようにシリンダブロック1には、エンジンの冷却装置を構成するウォータジャケット7が形成されている。ウォータジャケット7は、各シリンダライナ2a〜2dを取り囲む所定幅の溝部から形成されている。この溝部は、例えば図2に示されるようにシリンダライナ2a〜2dの長さのほぼ中間地点までの深さをもつ。このウォータジャケット7の一端側の最上段の壁面には、例えば角形の切欠き部よりなる冷却水入口部8が形成されている。この冷却水入口部8は、シリンダヘッド5の前部で縦方向に延びている冷却水供給通路9と連通している。またこの冷却水供給通路9は、シリンダヘッド5のウォータジャケット(図示しない)の一端側にも連通していて、ウォータポンプ(図示しない)からの冷却水が、冷却水供給通路9を通じて、シリンダブロック1のウォータジャケット7、シリンダヘッド5のウォータジャケット(図示しない)との双方へ流入される構造にしている。なお、ウォータジャケット7の他端部は、例えばシリンダヘッド5のウォータジャケット(図示しない)の他端部を通じて、同シリンダヘッド5の後部に形成されている冷却水出口部(図示しない)から流出される構造となっている。
このウォータジャケット7の内部には、図1および図4に示されるようにシリンダライナライナ2a〜2dを取り囲むようにウォータジャケットスペーサ10(本願のスペーサに相当)が収められている。このウォータジャケットスペーサ10には、例えば図1および図2に示されるようなウォータジャケット7の溝部の厚み方向中間部を占める外形をもつ合成樹脂製の枠形部品が用いられる。具体的にはウォータジャケットスペーサ10は、例えば図2に示されるようにウォータジャケット7の深さと同等の長さ寸法をもつ4つの薄肉の円筒状部11a〜11dを前後に連続的に連結させて、ウォータジャケット7の幅方向中間を占める外形とした筒形部品が用いられる。このウォータジャケット7内での区画(幅方向)により、シリンダライナ2a〜2dの外周面とウォータジャケットスペーサ10の内周面との間には内側通路12を形成し、反対側のウォータジャケットスペーサ10の外周面とウォータジャケット7の外側の壁面との間には外側通路13を形成している。
また図2および図3に示されるようにウォータジャケットスペーサ10の下部には、シール部材16(本願の規制手段に相当)が設けられている。具体的には、シール部材16は、例えばゴム部材よりなる、円筒状部11a〜11dの全周形状にならう枠形の部品で形成される。このシール部材16の上端部の厚み方向中央には、図4に示されるようにスペーサ形状にならって組付用の溝部17が形成されている。そして、この溝部17が各円筒状部11a〜11dの下端と嵌合して、ウォータジャケットスペーサ10の下部にシール部材16を組付けている。むろん、嵌合構造は、嵌合間を冷却水が流通するのを妨げる性能をもつ。またシール部材16の下部には、全周に渡り、図4に示されるように各円筒状部11a〜11dの下部と、ウォータジャケット7の底面7a間に嵌まり込むリップ部18が形成されている。リップ部18は、図2および図3に示されるように同間の形状にならう外形形状に形成されている。そして、このリップ部18の外面がウォータジャケット7の底面7aと密着してシールしている。つまり、シール部材16により、ウォータジェットスペーサ10の下部全周とウォータジャケット7の底面全周との間はシールされる。このシールより、外側通路13の冷却水が、ウォータジャケットスペーサ10の下部を通じて、内側通路12へ流入するのを規制している。
このように構成されたエンジンによると、冷却水入口部8からシリンダブロック1へ流入された冷却水うち、多くの流量は、ウォータジャケット7の一端側から、外側通路13へ流入される。そして、ピストン上死点側では、冷却水が速い流れで、またピストン下死点側冷却水では緩慢な流れで、ウォータジャケット7の他端側(出口側)へ向って流れる。また残る流量の冷却水は、ウォータジャケットスペーサ10の周囲の隙間、主に上部の隙間を通じて、内側通路12へ流入される。そして、ピストン上死点側では、冷却水が、冷却に必要な流量、流速で流れ、シリンダライナ2a〜2dのピストン上死点側を適切に冷却する。またピストン下死点側では、冷却水が滞留する挙動を伴いながら流れる。
このときの内側通路12のピストン下部側における冷却水の挙動(水量、流速:低下)により、シリンダライナ2a〜2dの下部における熱伝達率が抑えられる。これにより、シリンダライナ2a〜2dの下部の壁面温度、すなわちピストン下部側の壁面温度は上昇し、同部分を保温するような保温効果をもたらす。
このとき、ウォータジャケットスペーサ10の下部とウォータジャケット7の底面との間は、シール部材16により、内外方向に冷却水が流れないよう遮られているから、外側通路13の冷却水が、ウォータジャケットスペーサ10の下部を通じて、無用に内側通路12への流れ込むのが抑制される。これにより、シリンダライナ2a〜2dの保温効果が、外側通路13から流入する冷却水によって妨げられるのを防ぐことができる。
それ故、シリンダライナ下部の保温効果を高めることができ、それにより内燃機関のフリクションの低減を図ることができる。特に内側通路12への冷却水の流入を規制する構造は、ウォータジャケットスペーサ10の下部全周に、ウォータジャケット7の底面に嵌まる形状のシール部材16を設けるだけなので、簡単であり、またコスト的な負担も少ない。
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、熱のこもりやすいシリンダライナ2a〜2d間(気筒間)の冷却性を確保する場合のシール部材16を示す。
このときのシール部材16には、シリンダライナ間に相当する円筒状部11a〜11d間のくびれた連結部20a〜20cに、それぞれ冷却水の流れ込みを許す許容部21を形成し、残るウォータジャケットスペーサ下部とウォータジャケット底面との間の部分を遮る遮断部22を形成した構造を用いる。すなわち、本実施形態は、例えば第1の実施形態のシール部材16を、複数に分割、具体的には例えば許容部21を除いた4つのシール部材片16a〜16dに分割した構造が用いてある。つまり、シール部材16は、ウォータジャケットスペーサ10の下部に、これらシール部材片16a〜16dが、連結部20a〜20dに相当する部分で所定の大きさの空き部分が形成されるよう組付くことによって、シール部材片16a〜16dが有る部分を遮断部22とし、シール部材片16a〜16dの無い空き部分を許容部21としている。これにより、シリンダライナ2a〜2d間に相当する部分を除くウォータジャケットスペーサ下部とウォータジャケット底面との間を遮るようにして、熱がこもりやすい部位からだけ、外側通路13から内側通路12へ冷却水が流入させるようにしている。
これにより、シール部材16を活用して、熱がこもりやすい部位の対処と、シリンダライナ下部側における保温効果とを両立させることができる。
なお、本実施形態では、シール部材を複数に分割した構造で許容部を構成したが、これに限らず、例えばシール部材のシリンダライナ間に相当するリップ部分の外面から内面に、同区間を連続する通路(溝や孔などによる)を形成し、外側通路の冷却水を該通路を通じて内側通路へ局所的に流れ込むようにした構造を採用してもよく、その構造には限定されるものではない。
但し、図5において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略した。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。
1…シリンダブロック、2a〜2d…シリンダライナ、3a〜3d…シリンダボア、4ピストン、7…ウォータジャケット、8…冷却水入口部(入口部)、10…ウォータジャケットスペーサ(スペーサ)、11…内側通路、12…外側通路、16…シール部材、18…リップ部、21…許容部、22…遮断部。
Claims (3)
- シリンダボアを構成するシリンダライナと、
前記シリンダライナを取り囲むように形成されたウォータジャケットと、
前記ウォータジャケット内に前記シリンダライナを取り囲むように収められ、前記ウォータジャケット内を内側通路と外側通路とに区画するスペーサと有し、
前記ウォータジャケットの一端側から冷却水が流入可能な内燃機関の冷却装置において、
前記外側通路の冷却水が、前記スペーサの下部と前記ウォータジャケットの底面との間を通じて、前記内側通路へ流れ込むのを規制する規制手段を有する
ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。 - 前記規制手段は、前記スペーサの下部全周に設けられ、前記ウォータジャケットの底部と嵌まり、スペーサ下部とウォータジャケット底面間をシールするシール部材から構成されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の冷却装置。
- 前記ウォータジャケットは、並設した複数のシリンダライナを取り囲むように形成され、前記スペーサは、このウォータジャケット内に複数のシリンダライナを取り囲むように収められて前記ウォータジャケット内を内側通路と外側通路とに区画し、
前記シール部材は、前記シリンダライナ間に相当する部分に形成され前記外側通路の冷却水が前記内側通路へ流れ込むのを許す許容部と、残る前記スペーサ下部と前記ウォータジャケット底面間の部分を遮る遮断部とを有して構成されることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の冷却装置。
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