JP5880471B2 - 多気筒エンジンの冷却装置 - Google Patents
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Description
本発明は、自動車等の多気筒エンジンの冷却装置に関し、特にシリンダヘッド及びシリンダブロックを冷却液により冷却するエンジンの技術分野に属する。
従来、自動車等において、燃費性能や排気浄化性能の向上のため、エンジンの冷間時にエンジンを早期に暖機する技術が採用されている。
例えば、特許文献1には、エンジン冷間時に、シリンダブロックへの冷却液の流れを遮断する一方、シリンダヘッドへは気筒列の一端側から他端側へ少量の冷却液を流し、冷却液の温度上昇に伴って、シリンダブロックへ気筒列の一端側から他端側へ冷却液を流し、シリンダヘッドへの循環させる冷却液の流量を増やすことで、暖機の早期完了を図る技術が開示されている。
ところで、エンジン実働時は排気ガスによって、シリンダブロックのシリンダヘッド側の方がその反対側よりも、また、シリンダブロックの排気側の方が吸気側よりも温度が上がり、各シリンダの上下方向及び吸気側と排気側で温度差が生じやすい。また、シリンダブロックの気筒列の一端側から他端側へ冷却液を流す場合、流路の上流側から下流側へ流れるに従って冷却液の温度が上昇するため、一端側のシリンダよりも他端側のシリンダの方が高温になり、各シリンダ間で温度差が生じやすい。
ここで、各シリンダの上下方向及び吸気側と排気側での温度差によって、各シリンダ内で温度分布が不均一になると、熱変形によってシリンダボアの真円度が悪くなるため、シリンダボアにおけるピストンリングの摺動に伴う摺動抵抗が大きくなることにより、エンジンの燃費性能が悪くなる。さらには、広がったピストンとシリンダの間隙から、混合気がクランクケース等に大量に漏れ出してエンジンオイルの劣化や金属の腐食を進めたり、潤滑オイルが燃焼室内に流れ込んでオイル消費量が増大する等の不具合を招くおそれもある。
また、各シリンダ間での温度差によって、エンジン全体として熱歪みが生じて、前述のように各シリンダボアの真円度が悪くなり、または、吸気系による吸気充填の均一性が低くなることで、燃費性能が悪化するおそれがある。
これら温度差がさらに大きくなると、アルミニウム合金製のシリンダブロックの場合、200℃を超える部分では材料強度が劣化することが懸念される。また、シリンダの高温領域でノッキングが発生するおそれもある。したがって、各シリンダ内及び各シリンダ間で温度差ができるだけ小さい方が望ましい。
しかし、この従来技術では、シリンダブロックの冷却に関しては、ウォータジャケットの気筒列の一端側から他端側へ冷却液を流すことしか開示されておらず、各シリンダの上下方向及び排気側と吸気側の温度差と、各シリンダ間での温度差を十分に抑制できないという問題があった。
また、特許文献2には、シリンダブロックのウォータジャケット内にスペーサを配置し、冷却液を上部流路と下部流路に分けて流し、ウォータジャケットの上部流路における冷却液の流量及び流速を増加させて、気筒列の一端側から他端側に流れた後、一端側に戻るようにUターン状に流すことで、シリンダの上下方向の温度差を抑制する技術が開示されている。
しかし、この従来技術では、各シリンダの排気側と吸気側の温度差及び各シリンダ間の温度差を十分に抑制できないため、シリンダ全体としての温度分布は不均一になるという問題があった。
そこで、本発明は、多気筒エンジンを構成するシリンダブロックにおける各シリンダの上下方向の温度差、各シリンダの排気側と吸気側の温度差及び各シリンダ間の温度差を抑制して、シリンダ全体を均一な温度分布にすることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る多気筒エンジンの冷却装置は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に係る発明は、
直列に配置された複数の気筒のシリンダボアを囲むようにシリンダブロックに設けられたウォータジャケットと、シリンダヘッドに設けられたウォータジャケットとを有し、ウォータポンプにより、これらウォータジャケットとラジエータとを経由させて冷却液を循環させる冷却液経路が備えられた多気筒エンジンの冷却装置であって、
前記シリンダブロックは、
気筒列の一端側に設けられ、前記シリンダブロックのウォータジャケットへ冷却液を導入する導入部と、
前記導入部の近傍に設けられ、前記導入部から導入された冷却液が前記シリンダブロックのウォータジャケットの吸気側部分へ流れるのを制限する絞り部と、
吸気側における気筒列の中央部に設けられ、前記シリンダブロックのウォータジャケットから冷却液を排出する排出部と
有し、
前記シリンダブロックのウォータジャケットの排気側部分は、シリンダ軸方向の上側の方が下側よりも流路断面積が大きくなるように形成されている
ことを特徴とする。
直列に配置された複数の気筒のシリンダボアを囲むようにシリンダブロックに設けられたウォータジャケットと、シリンダヘッドに設けられたウォータジャケットとを有し、ウォータポンプにより、これらウォータジャケットとラジエータとを経由させて冷却液を循環させる冷却液経路が備えられた多気筒エンジンの冷却装置であって、
前記シリンダブロックは、
気筒列の一端側に設けられ、前記シリンダブロックのウォータジャケットへ冷却液を導入する導入部と、
前記導入部の近傍に設けられ、前記導入部から導入された冷却液が前記シリンダブロックのウォータジャケットの吸気側部分へ流れるのを制限する絞り部と、
吸気側における気筒列の中央部に設けられ、前記シリンダブロックのウォータジャケットから冷却液を排出する排出部と
有し、
前記シリンダブロックのウォータジャケットの排気側部分は、シリンダ軸方向の上側の方が下側よりも流路断面積が大きくなるように形成されている
ことを特徴とする。
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、
前記シリンダブロックのウォータジャケット内に、その内壁部及び外壁部との間に間隔を設けてスペーサが配設され、
前記絞り部は、前記スペーサの外周に形成され、
前記スペーサの排気側部分は、シリンダ軸方向の上側の方が下側よりも前記スペーサと前記外壁部の間隔が広くなるように形成されている
ことを特徴とする。
前記シリンダブロックのウォータジャケット内に、その内壁部及び外壁部との間に間隔を設けてスペーサが配設され、
前記絞り部は、前記スペーサの外周に形成され、
前記スペーサの排気側部分は、シリンダ軸方向の上側の方が下側よりも前記スペーサと前記外壁部の間隔が広くなるように形成されている
ことを特徴とする。
なお、一般にシリンダブロックのウォータジャケットはシリンダブロック上面に環状に形成された凹溝として構成されているが、この凹溝を形成する壁面のうち、外側にある側壁を外壁部、内側にある側壁を内壁部とする。
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明において、
前記シリンダヘッドは、
気筒列の他端側に設けられ、前記シリンダヘッドのウォータジャケットから冷却液を排出する排出部を有し、
前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドのウォータジャケットは互いに連通路を介して接続され、
前記冷却液経路は、
前記ラジエータを迂回し、前記シリンダヘッドに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第1経路と、
前記ラジエータを迂回し、冷却液の流量を制御する第1制御弁を介して前記シリンダヘッドに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第2経路と、
前記ラジエータを迂回し、冷却液の流量を制御する第2制御弁を介して前記シリンダブロックに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第3経路と、
冷却液の流量を制御する第3制御弁と前記ラジエータを介して前記シリンダヘッドに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第4経路と
を有し、
暖機運転時は前記第1乃至第3制御弁を閉弁し、エンジン温度の上昇に伴って前記第1乃至第3制御弁を順次開弁する冷却回路制御部を備える
ことを特徴とする。
前記シリンダヘッドは、
気筒列の他端側に設けられ、前記シリンダヘッドのウォータジャケットから冷却液を排出する排出部を有し、
前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドのウォータジャケットは互いに連通路を介して接続され、
前記冷却液経路は、
前記ラジエータを迂回し、前記シリンダヘッドに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第1経路と、
前記ラジエータを迂回し、冷却液の流量を制御する第1制御弁を介して前記シリンダヘッドに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第2経路と、
前記ラジエータを迂回し、冷却液の流量を制御する第2制御弁を介して前記シリンダブロックに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第3経路と、
冷却液の流量を制御する第3制御弁と前記ラジエータを介して前記シリンダヘッドに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第4経路と
を有し、
暖機運転時は前記第1乃至第3制御弁を閉弁し、エンジン温度の上昇に伴って前記第1乃至第3制御弁を順次開弁する冷却回路制御部を備える
ことを特徴とする。
さらに、本願の請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、
前記第2経路は、空調用ヒータコアまたはEGRクーラの少なくとも一方を経由している
ことを特徴とする。
前記第2経路は、空調用ヒータコアまたはEGRクーラの少なくとも一方を経由している
ことを特徴とする。
さらに、本願の請求項5に係る発明は、請求項3に係る発明において、
前記第3経路は、エンジンオイルクーラまたは自動変速機のオイル熱交換器の少なくとも一方を経由している
ことを特徴とする。
前記第3経路は、エンジンオイルクーラまたは自動変速機のオイル熱交換器の少なくとも一方を経由している
ことを特徴とする。
以上の構成により、本願の各請求項に係る発明によれば、次の効果が得られる。
請求項1に係る発明によれば、シリンダブロックのウォータジャケットの排気側部分におけるシリンダ軸方向の上側(シリンダヘッド側)は下側よりも流路断面積が大きくなるように形成されているため、エンジン実働時に排気ガスによって特に温度が上がりやすいシリンダブロックの排気側上部について、排気側下部よりさらに冷却することができる。そのため、各シリンダの上下方向の温度差が抑制される。
また、導入部の近傍に設けられた絞り部によって、導入部から導入された冷却液がシリンダブロックのウォータジャケットの吸気側部分へ流れるのを制限しているため、排気側部分に冷却水をより多く流すことで吸気側よりも温度が上がりやすい排気側のシリンダブロックをより冷却でき、各シリンダの吸気側と排気側の温度差が抑制される。
さらに、シリンダブロックのウォータジャケットへ冷却液を導入する導入部が気筒列の一端側に設けられ、導入部から導入された冷却液がシリンダブロックのウォータジャケットの吸気側部分へ流れるのを制限する絞り部が導入部の近傍に設けられ、シリンダブロックのウォータジャケットから冷却液を排出する排出部が吸気側における気筒列の中央部に設けられているため、気筒列の一端側から導入された冷却液は、排気側から気筒列の他端側を介して吸気側へ流れ、吸気側の気筒列の中央から排出されることとなる。
ここで、冷却液はシリンダの熱を吸収しながら徐々にその温度が上がるため、気筒列の一端側のシリンダは、比較的低温の冷却液によって排気側が冷却されるのに対して、吸気側は絞り部によって冷却液がほとんど流れず冷却されないが、気筒列の他端側のシリンダは、比較的高温の冷却液によって排気側及び吸気側が冷却される。したがって、各シリンダの排気側と吸気側の冷却を平均して比較すれば、気筒列の一端側のシリンダと他端側のシリンダはおおよそ同等に冷却されるため、各シリンダ間の温度差が抑制されることとなる。
以上により、請求項1に係る発明によれば、各シリンダの上下方向の温度差、各シリンダの排気側と吸気側の温度差及び各シリンダ間の温度差を抑制して、シリンダ全体の温度分布を均一にできる。
請求項2に係る発明によれば、シリンダブロックのウォータジャケット内には、その内壁部及び外壁部との間に間隔を設けてスペーサが配設されているため、導入部より導入される冷却液によりシリンダが直接冷却されて局所的に低温になるのを抑制することができる。
また、スペーサの排気側部分は、シリンダ軸方向の上側の方が下側よりもスペーサと外壁部の間隔が広くなるように形成されているため、当該構成でも、請求項1に係る発明の効果で述べたような、各シリンダの上下方向の温度差を低減する効果を実現できる。
さらに、絞り部はスペーサの外周に設けられているため、スペーサと共に絞り部を容易に一体形成できる。
請求項3に係る発明によれば、シリンダヘッドは、気筒列の他端側に設けられ、シリンダヘッドのウォータジャケットから冷却液を排出する排出部を有し、シリンダブロックとシリンダヘッドのウォータジャケットは互いに連通路を介して接続されているため、暖機運転時に冷却回路制御部によって第1乃至第3制御弁を閉弁すると、ヘッド側排出部と導入部とを連結する第1経路のみに冷却液が循環するが、このとき冷却液はシリンダブロックのウォータジャケットにはほとんど流れないため、シリンダブロックの温度が徐々に上昇する。したがって、エンジンの暖機を促進できる。
また、冷却回路制御部によってエンジン温度の上昇に伴って第1乃至第3制御弁を順次開弁している。この際に、第1制御弁を開弁すると第2経路にも冷却液が循環するが、この第2経路はラジエータ及びシリンダブロックを経由していないため、引き続きエンジンの暖機が促進される。次に、第2制御弁を開弁すると第3経路にも冷却液が循環し、この第3経路はシリンダブロックに接続されているため、シリンダブロックもある程度冷却されるが、ラジエータを迂回しているため、エンジンの暖機が進む。さらに、第3制御弁を開弁すると、第4経路にも冷却液が循環し、この第4経路はラジエータに接続されているため、このラジエータによって冷却液の温度が下がり、暖機後のエンジンを所定温度に保つことができる。したがって、エンジン温度に応じて各シリンダ及びシリンダヘッドを適正に冷却できる。
請求項4に係る発明によれば、暖機途中で第1制御弁を開弁して空調用ヒータコアまたはEGRクーラを経由している第2経路にも冷却液を循環させるため、暖機途中から暖房性能を確保でき、また、EGRクーラを適正に冷却できる。
請求項5に係る発明によれば、暖機途中で第3制御弁を開弁してエンジンオイルクーラまたは自動変速機のオイル熱交換器を経由している第3経路にも冷却液を循環させるため、エンジンオイルを冷却でき、また、変速機オイルを適正に加熱して、粘度の早期低下により、摺動抵抗が早期に低減して燃費が向上する。
以下、本発明に係る多気筒エンジンの冷却装置の実施形態について、図1から図15を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る多気筒エンジンの冷却装置1の概略構成を示している。多気筒エンジン2(以下、単に「エンジン」という)は、4つのシリンダがクランク軸方向に直列に配設され、吸気系と排気系とが互いにシリンダヘッド4の反対側に配置された所謂クロスフロー型の直列4気筒ディーゼルエンジンである。当該エンジン2は、車両前部に設けられたエンジンルーム(図示しない)内に、気筒列が車幅方向を向き、その排気系が車両前後方向における後方側に位置し、各気筒のシリンダ軸が上下方向を向くように搭載されている。
エンジン2は、シリンダブロック3と、このシリンダブロック3の上側に設けられたシリンダヘッド4で主に構成されている。
なお、図1では、シリンダブロック3は上方から見たもの、シリンダヘッド4は下方から見たものとして記載しているため、シリンダブロック3とシリンダヘッド4の吸気側(「IN」と図示)及び排気側(「EX」と図示)の位置関係が逆になっている。
シリンダブロック3には、後述するブロック側ウォータジャケット33、導入孔36及びブロック側排出孔37が設けられ、シリンダヘッド4には、後述するヘッド側ウォータジャケット61及びヘッド側排出孔62が設けられている。そして、導入孔36からブロック側ウォータジャケット33内に導入された冷却水Wはブロック側排出孔37から排出され、導入孔36からヘッド側ウォータジャケット61内に導入された冷却水Wはヘッド側排出孔62から排出される。
また、この導入孔36には、これらブロック側ウォータジャケット33、61内に冷却水Wを供給するためのウォータポンプ5が設けられている。なお、このウォータポンプ5は、エンジン2の回転によって受動的に駆動されるポンプである。
当該冷却装置1は、これらブロック側ウォータジャケット33、61に適宜ラジエータ7等を経由して冷却水Wを循環させるための冷却液経路を備えており、該冷却液経路は第1〜4経路11〜14から構成され、これら第1〜4経路11〜14のいずれかに冷却水Wを循環させるための経路の切換は、冷却回路制御部101によってサーモスタット弁6a及び第1〜第3制御弁6b〜6dで構成された冷却回路切換部6を制御することで行われる。次に、これら第1〜4経路11〜14について詳細に説明する。
図1に示すように、第1経路11は、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを連結している。この第1経路11は、ラジエータ7を迂回する一方、冷却水Wの温度を測定する水温センサ102とサーモスタット弁6aを順に経由している。なお、サーモスタット弁6aは制御弁6b〜6dが故障して冷却水Wの水温が所定値以上になると開く弁であり、このサーモスタット弁6aによれば、正常時は第1経路11のみに冷却水Wが循環し、異常時は後述する第2経路12も冷却水Wが循環する状態になり、エンジン2を保護することができる。また、水温センサ102はヘッド側排出孔62の近傍に設けられている。
第2経路12は、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを連結している。この第2経路12は、ラジエータ7を迂回する一方、アイドリングストップ用ウォータポンプ21、空調用ヒータコア22、EGRクーラ23及びEGRバルブ24、第1制御弁6bを順に経由している。なお、アイドリングストップ用ウォータポンプ21は、アイドリング時にエンジン2を一時停止している際に空調用ヒータコア22へ冷却水Wを流すためのポンプである。また、EGRクーラ23とEGRバルブ24は互いに並列になるように第2経路12を経由している。
第3経路13は、排出孔37と導入孔36とを連結している。この第3経路13は、ラジエータ7を迂回する一方、エンジンオイルクーラ25、自動変速機のオイル熱交換器26、第2制御弁6cを順に経由している。なお、エンジンオイルクーラ25は、ブロック側排出孔37に設けられている。
第4経路14は、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを連結している。この第4経路14は、温度センサ102、ラジエータ7、第3制御弁6dを順に経由している。
冷却回路制御部101は、ECU100内に設けられた制御部の一つである。この冷却回路制御部101は、冷却水Wの温度を検知する水温センサ102、エンジン回転数センサ103及び燃料噴射量センサ104、エンジン回転数と燃料噴射量とにより判定されるエンジン2の負荷状態に基づいてエンジン2のヘッド燃焼室壁面温度Tを予測し、予測されたヘッド燃焼室壁面温度Tに応じて第1乃至第3制御弁6b〜6dを制御する。
図2と図3はそれぞれ、シリンダブロック3の分解斜視図と平面図である。シリンダブロック3は、シリンダブロック本体30とスペーサ40から主に構成されている。なお、ガスケット50はシリンダブロック3の構成ではないが、説明の便宜上、図2に記載している。
シリンダブロック本体30は、直列に配置された第1〜第4気筒#1〜#4のシリンダボア32が、そのシリンダ軸が上下方向を向くように設けられている。図2及び図3に示すように、シリンダブロック本体30の上面31には、これら4つのシリンダボア32を囲むような環状の凹溝であるブロック側ウォータジャケット33が設けられている。このブロック側ウォータジャケット33は、シリンダブロック3の排気側を通る排気側流路34とシリンダブロック3の吸気側を通る吸気側流路35とから構成されている。
なお、本実施形態の説明では、シリンダブロック3を吸気側から見て左から右に第1気筒#1から第4気筒#4が順に並んでおり、これら気筒#1〜#4が並ぶ気筒列において、第1気筒#1がある側を「一端側」、第4気筒のある側を「他端側」と呼ぶこととする。
また、凹溝であるブロック側ウォータジャケット33の排気側流路34と吸気側流路35を形成する壁面のうち、内側にある側壁をそれぞれ内壁部34a、35a、外側にある側壁をそれぞれ外壁部34b、35bとする。
また、シリンダブロック本体30は、気筒列の一端側に設けられ、ブロック側ウォータジャケット33へ冷却水Wを導入する導入孔36と、吸気側における気筒列の中央部に設けられ、ブロック側ウォータジャケット33から冷却水Wを排出する排出孔37が設けられている。
さらに、シリンダブロック本体30には、シリンダブロック3とシリンダヘッド4をガスケット50を介して互いに結合するための複数のヘッドボルトが螺合可能なねじ穴38…38が設けられている。
ガスケット50は、複数の金属板を重ね合わせて複数箇所をカシメにより一体化した金属シートガスケットであり、その全体の形状がシリンダブロック本体30の上面31に対応する形状とされている。
このガスケット50には、図2に示すように、シリンダブロック本体30のシリンダボア32に対応する位置に円孔51…51と、ねじ穴38…38に対応する位置に上述のヘッドボルトの挿通穴54…54が設けられている。
また、ガスケット50には、ブロック側ウォータジャケット33とヘッド側ウォータジャケット61(図示しない)とを互いに連通させる複数の第1連通孔52…52と第2連通孔53…53が設けられている。この第1連通孔52…52は、ガスケット50の気筒列の一端側に設けられ、第2連通孔53…53は、排気側と吸気側にそれぞれ設けられている。
シリンダブロック3とシリンダヘッド4を結合した際に、このガスケット50の有する弾性反発力によって、円孔51…51の周囲と挿通穴54…54の周囲をシールし、各気筒#1〜#4の燃焼室からの燃焼ガスの漏出や、ブロック側ウォータジャケット33、61からの冷却水Wの漏出等を防止する。
なお、図示していないが、シリンダヘッド4は、その気筒列の他端側に、ヘッド側ウォータジャケット61から冷却水Wを排出するヘッド側排出孔62が設けられている。
図4と図5はそれぞれ、シリンダブロック3の第2気筒#2と第4気筒#4における垂直断面図である。
図4、図5に示すように、ブロック側ウォータジャケット33の内部に配設されたスペーサ40は、その底部がブロック側ウォータジャケット33の底面に接するように載置されると共に、ブロック側ウォータジャケット33の内壁部34a、35a及び外壁部34b、35bとの間に間隔を設けて配設されている。
ここで、スペーサ40の内周面とブロック側ウォータジャケット33の内壁部34a、35aとの間の隙間は比較的狭く、スペーサ40の外周面と外壁部34b、35bとの間の隙間は比較的広くなっており、このスペーサ40の外側の隙間が冷却水Wの流れる主な流路となっている。なお、単に「排気側流路34」または「吸気側流路35」という場合には、このスペーサ40の外側の隙間を指すものとする。
また、図4、図5の左側に示すように、スペーサ40に設けられた後述する段部44より上側の方が下側よりも外壁部34bとの隙間が広いため、排気側流路34はシリンダ軸方向の上側の方が下側よりも流路断面積が大きくなっている。
図7から図13を参照しながら、スペーサ40の構造について説明する。なお、図7、図8はスペーサ40単体を吸気側と排気側から見た斜視図であり、図9は上方から見た平面図であり、図10、図11は排気側と吸気側から見た正面図と背面図であり、図12、図13は導入部側とその反対側から見た側面図である。なお、これら図面には、スペーサ40がブロック側ウォータジャケット33の内部に配設される際の向きを示すIN(吸気側)とEX(排気側)の記号を付している。
スペーサ40は、ブロック側ウォータジャケット33の内部に間隔を設けて収納されるような板厚と、シリンダブロック3の上面31から突出しないような高さを有し、シリンダ軸方向にほぼ平行に延在する平面視で環状の縦壁部4
1によって主に構成されている。
1によって主に構成されている。
例えば図7、図9、図12に示すように、一端側かつ吸気側の縦壁部41には、その外周から外側へ突出するリブ状の絞り部42が設けられている。この絞り部42は、上側絞り部42aと下側絞り部42bとから構成されており、上側絞り部42aは下側絞り部42bよりも突出量が大きくなるように形成されている
また、例えば図7、図12に示すように、一端側の縦壁部41には、吸気側から排気側に向かって縦壁部41の下端からシリンダ軸方向の中央まで登るように滑らかに傾斜したリブ状の傾斜部43が設けられている。
例えば図8、図11〜図13に示すように、排気側の縦壁部41におけるシリンダ軸方向の中央には、上述の傾斜部43の上端部に連設する段部44が形成されている。これによれば、スペーサ40がブロック側ウォータジャケット33の内部に配設された際に、段部44の上側の方が下側よりもスペーサ40と外壁部34bの間隔が広くなる。
なお、例えば図7、図10、図13に示すように、縦壁部41の他端側において排気側から吸気側まで回り込むように設けられ、上述の段部44と連設され、排気側から吸気側に向かってシリンダヘッド側に更に登るように滑らかに傾斜したリブ状の案内部45を設けても良い。
また、例えば図7、図12に示すように、吸気側の縦壁部41の下端に、その外周から外側へ突出するつば部46を形成しても良い。
さらに、例えば図7、図13に示すように、他端側の縦壁部41の下端に、寒冷地用ヒータを挿入するための切り欠きである寒冷地用ヒータ挿入部47を設けても良い。
スペーサ40は、ブロック側ウォータジャケット33の内部に配設されるため、シリンダブロック3内の高温に耐え得る耐熱性と、冷却水Wの水圧によって変形や破損が生じない程度の剛性を備えた樹脂で形成されている。この樹脂として、例えば、ポリアミド系熱可塑性樹脂(PA66、PPA等)、オレフィン系熱可塑性樹脂(PP)、ポリフェニレンサルファイド系熱可塑性樹脂(PPS)等の樹脂を1つまたは複数を組合せて選択可能であり、必要に応じてガラス繊維等を前述の樹脂に配合してもよい。この樹脂製のスペーサ40は、射出成形機によって一体的に成形される。
次に、図6から図13を参照しながら、スペーサ40の作用について説明する。なお、これら図面には、スペーサ40がブロック側ウォータジャケット33の内部に配設された際の冷却水Wの流れを示す矢印を付している。
(1)まず、ウォータポンプ5によってシリンダブロック3の導入孔36から冷却水Wがブロック側ウォータジャケット33内に導入される。
この際に、図3〜図5に示すように、スペーサ40はブロック側ウォータジャケット33内に内壁部34a、35a及び外壁部34b、35bとの間に間隔を設けて配設されているため、導入孔36から導入された冷却水Wがブロック側ウォータジャケット33の内壁部35aに直接当たって、その部分でシリンダが局所的に低温になるのを抑制することができる。
また、図7に示すように、導入孔36から導入された冷却水Wは、導入孔36の近傍の吸気側に設けられた絞り部42によって吸気側流路35への流れが制限されるため、大部分が排気側流路34へ流れる。一方で、下側絞り部42bは上側絞り部42aよりも突出量が小さいため、より広い下側絞り部42bと外壁部35bとの隙間を通った比較的少量の冷却水Wが吸気側流路35に流れる。
したがって、吸気側流路35よりも排気側流路34により多くの冷却水Wが流れるため、吸気側よりも温度が上がりやすい排気側のシリンダブロック3をより冷却でき、各シリンダの吸気側と排気側の温度差を抑制することができる。
(2)次に、排気側流路34へ流れた冷却水Wは、図6、図7、図12に示すように、導入孔36の近傍の排気側に設けられた傾斜部43によって、シリンダヘッド4側へ指向されて流れる。
ここで、ブロック側ウォータジャケット33とヘッド側ウォータジャケット61は、ガスケット50の一端側にある第1連通孔52を介して互いに接続されているため、後述する冷却回路制御部101によって、エンジン冷間時に第1経路11のみに冷却水Wが循環するように制御すると、シリンダヘッド4側へ指向された冷却水Wは、ブロック側ウォータジャケット33の排気側流路34には流れずに、第1連通孔52を介してヘッド側ウォータジャケット61内に流れる。
したがって、シリンダブロック3が冷却されずに温度が徐々に上昇してエンジン2の暖機が促進される。
(3)次に、傾斜部43から排気側流路34へ流れた冷却水Wは、図8、図11に示すように、傾斜部43の上端部に連設する段部44によって、スペーサ40と外壁部34bとの間隔が広く、流路断面積がより大きい段部44の上側の方に下側よりも多く流れる。
したがって、エンジン実働時に排気ガスによって特に温度が上がりやすいシリンダブロック3の排気側上部について、排気側下部よりさらに冷却することができるため、各シリンダの上下方向の温度差を抑制することができる。
(4)次に、排気側流路34を流れた冷却水Wは、段部44と連設され、縦壁部41の他端側に設けられた案内部45によって、排気側流路34から吸気側流路35に向かって流れるにつれて、シリンダヘッド側に指向される。
したがって、シリンダヘッド側に指向された冷却水Wは、ガスケット50の吸気側に設けられた第2連通孔53を介してヘッド側ウォータジャケット61に流れやすいため、シリンダヘッド4をより積極的に冷却することができる。
(5)次に、第2連通孔53を介してヘッド側ウォータジャケット61に流れなかった冷却水Wは、吸気側流路35を通って、シリンダブロック3の吸気側の気筒列の中央に設けられたブロック側排出孔37から排出される。
導入孔36からブロック側排出孔37まで上述のように流れる間に、冷却水Wは各シリンダの熱を吸収しながら徐々に水温が上昇するので、第1気筒#1は比較的低温の冷却水Wによって排気側が冷却されるのに対して、吸気側は絞り部42によって冷却水Wがほとんど流れず冷却されないが、第4気筒#4は、比較的高温になった冷却水Wによって排気側及び吸気側が冷却される。
したがって、各シリンダの排気側と吸気側の冷却を平均して比較すると、気筒列の両端にある第1気筒#1と第4気筒#4であっても、おおよそ同等に冷却されると言い得るため、各シリンダ間の温度差が抑制されることとなる。
以上により、各シリンダの上下方向の温度差、各シリンダの排気側と吸気側の温度差及び各シリンダ間の温度差を抑制することで、シリンダ全体の温度分布を均一にすることができる。
(6)一方で、下側絞り部42bと外壁部35bとの隙間を通って吸気側流路35に流れた冷却水Wは、スペーサ40の外周から外側へ突出するつば部46が縦壁部41の吸気側部分の下端に設けられているため、このつば部46によってスペーサ40の下端からスペーサ40の内側に回り込むのが抑止され、シリンダの上下方向の温度差が拡大するのを防止できる。
(7)さらに、スペーサ40に寒冷地用ヒータ挿入部47が設けられている場合、縦壁部41の寒冷地用ヒータ挿入部47に寒冷地用ヒータを挿入することで、ブロック側ウォータジャケット33内の冷却水Wの凍結を防止することができる。
(8)最後に、絞り部42、傾斜部43、段部44、案内部45及びつば部46は、スペーサ40の縦壁部41の外周に設けられているため、スペーサ40と共に容易に一体形成できる。
図14は、冷却回路制御部101の制御方法を示すフローチャートであり、図15は、エンジン温度に応じた冷却方法を示すブロック図である。図14のフローチャートに従って、冷却回路制御部101による冷却装置1の制御方法について、図15を参照しながら以下に説明する。
まず、エンジン冷間時は、全ての制御弁6b〜6dが閉弁されている(ステップS1)。このとき、図15(a)に示すように、第1経路11に冷却水Wが循環される。なお、このときのシリンダヘッド4には、局所的な加熱を防止しながらエンジン2を暖機するため、比較的少量の冷却水Wが流される。
次に、ヘッド燃焼室壁温Tが所定の温度T1(例えば150℃)以上であるか判定する(ステップS2)。
ステップS2で、ヘッド燃焼室壁温Tが所定の温度T1以上であると判定されると、第1制御弁6bを開弁する(ステップS3)。このとき、図15(b)に示すように、第1経路11と第2経路12に冷却水Wが循環される。
次に、ヘッド燃焼室壁温Tが所定の温度T2(T2>T1)以上であるか判定する(ステップS4)。
ステップS4で、ヘッド燃焼室壁温Tが所定の温度T2以上であると判定されると、第2制御弁6cを開弁する(ステップS5)。このとき、図15(c)に示すように、第1経路から第3経路11〜13に冷却水Wが循環される。
次に、エンジン2の暖機が完了したか判定する(ステップS6)。なお、この判定は、ヘッド燃焼室壁温Tが所定の温度T3(T3>T2)以上であるか否かで行ってもよい。
最後に、ステップS6で、エンジン2の暖機が完了したと判定されると、第3制御弁6dを開弁する(ステップS7)。このとき、図15(d)に示すように、第1経路から第4経路11〜14の全てに冷却水Wが循環される。
以上により、暖機運転時に冷却回路制御部101によって第1乃至第3制御弁6b〜6dを閉弁すると、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを連結する第1経路11のみに冷却水Wが循環するが、このとき冷却水Wはブロック側ウォータジャケット33にはほとんど流れないため、シリンダブロック3の温度が徐々に上昇する。したがって、エンジン2の暖機を促進できる。
また、冷却回路制御部101によってエンジン温度の上昇に伴って第1乃至第3制御弁6b〜6dを順次開弁している。この際に、第1制御弁6bを開弁すると第2経路12にも冷却水Wが循環するが、この第2経路12はラジエータ7を経由しないと共に、冷却水Wはブロック側ウォータジャケット33にはほとんど流れないため、引き続きエンジン2の暖機が促進される。
次に、第2制御弁6cを開弁すると第3経路13にも冷却水Wが循環し、この第3経路13はシリンダブロック3に接続されているため、シリンダブロック3もある程度冷却されるが、ラジエータ7を迂回しているため、エンジン2の暖機が進む。
さらに、第3制御弁6dを開弁すると、第4経路14にも冷却水Wが循環し、この第4経路14はラジエータ7に接続されているため、このラジエータ7によって冷却水Wの温度を下げられ、暖機後のエンジン2を所定温度に保つことができる。
したがって、冷却回路制御部101によれば、暖機運転時は第1乃至第3制御弁6b〜6dを閉弁し、エンジン温度の上昇に伴って第1乃至第3制御弁6b〜6dを順次開弁することで、エンジン2の温度に応じて各シリンダ及びシリンダヘッド4を適正に冷却できる。
また、暖機途中で第1制御弁6bを開弁して空調用ヒータコア22またはEGRクーラ23を経由している第2経路12にも冷却水Wを循環させるため、暖機途中から暖房性能を確保でき、また、EGRクーラ23を適正に冷却できる。
さらに、暖機途中で第3制御弁6dを開弁してエンジンオイルクーラ25または自動変速機のオイル熱交換器26を経由している第3経路13にも冷却水Wを循環させるため、エンジンオイルを冷却できると共に、変速機オイルを適正に加熱して、粘度の早期低下により、摺動抵抗が早期に低減して燃費を向上させることができる。
なお、本発明は例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、絞り部42、傾斜部43及び段部44をスペーサ40と一体に形成したが、スペーサ40を設けずに、ブロック側ウォータジャケット33の内部形状を工夫してこれらの機能を持たせることで、シリンダブロック3自体でこれらを形成しても良い。
また、本実施形態では、直列4気筒ディーゼルエンジンに適用したが、気筒数は複数あれば何気筒であっても良く、また、本発明は、ディーゼルエンジンに限るものでないため、ガソリンエンジンに適用しても良い。
以上のように、本発明によれば、自動車等の多気筒エンジンにおいて、シリンダ全体を均一に冷却できるので、この種のエンジンの製造産業分野において好適に利用される。
1 冷却装置
2 多気筒エンジン
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 ウォータポンプ
6b 第1制御弁
6c 第2制御弁
6d 第3制御弁
7 ラジエータ
11 第1経路
12 第2経路
13 第3経路
14 第4経路
22 空調用ヒータコア
23 EGRクーラ
25 エンジンオイルクーラ
26 自動変速機のオイル熱交換器
30 シリンダブロック本体(シリンダブロック)
32 シリンダボア
33 ブロック側ウォータジャケット(シリンダブロックのウォータジャケット)
34 排気側流路(ウォータジャケットの排気側部分)
35 吸気側流路(ウォータジャケットの吸気側部分)
34a、35a 内壁部
34b、35b 外壁部
36 導入孔(導入部)
37 ブロック側排出孔(シリンダブロックの排出部)
40 スペーサ
42 絞り部
42a 上側絞り部
42b 下側絞り部
52 第1連通孔(連通路)
61 ヘッド側ウォータジャケット(シリンダヘッドのウォータジャケット)
62 ヘッド側排出孔(シリンダヘッドの排出部)
101 冷却回路制御部
W 冷却水(冷却液)
#1〜#4 気筒
2 多気筒エンジン
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 ウォータポンプ
6b 第1制御弁
6c 第2制御弁
6d 第3制御弁
7 ラジエータ
11 第1経路
12 第2経路
13 第3経路
14 第4経路
22 空調用ヒータコア
23 EGRクーラ
25 エンジンオイルクーラ
26 自動変速機のオイル熱交換器
30 シリンダブロック本体(シリンダブロック)
32 シリンダボア
33 ブロック側ウォータジャケット(シリンダブロックのウォータジャケット)
34 排気側流路(ウォータジャケットの排気側部分)
35 吸気側流路(ウォータジャケットの吸気側部分)
34a、35a 内壁部
34b、35b 外壁部
36 導入孔(導入部)
37 ブロック側排出孔(シリンダブロックの排出部)
40 スペーサ
42 絞り部
42a 上側絞り部
42b 下側絞り部
52 第1連通孔(連通路)
61 ヘッド側ウォータジャケット(シリンダヘッドのウォータジャケット)
62 ヘッド側排出孔(シリンダヘッドの排出部)
101 冷却回路制御部
W 冷却水(冷却液)
#1〜#4 気筒
Claims (5)
- 直列に配置された複数の気筒のシリンダボアを囲むようにシリンダブロックに設けられたウォータジャケットと、シリンダヘッドに設けられたウォータジャケットとを有し、ウォータポンプにより、これらウォータジャケットとラジエータとを経由させて冷却液を循環させる冷却液経路が備えられた多気筒エンジンの冷却装置であって、
前記シリンダブロックは、
気筒列の一端側に設けられて、前記シリンダブロックのウォータジャケットへ冷却液を導入する導入部と、
前記導入部の近傍に設けられ、前記導入部から導入された冷却液が前記シリンダブロックのウォータジャケットの吸気側部分へ流れるのを制限する絞り部と、
吸気側における気筒列の中央部に設けられ、前記シリンダブロックのウォータジャケットから冷却液を排出する排出部と
有し、
前記シリンダブロックのウォータジャケットの排気側部分は、シリンダ軸方向の上側の方が下側よりも流路断面積が大きくなるように形成されている
ことを特徴とする多気筒エンジンの冷却装置。 - 前記シリンダブロックのウォータジャケット内に、その内壁部及び外壁部との間に間隔を設けてスペーサが配設され、
前記絞り部は、前記スペーサの外周に形成され、
前記スペーサの排気側部分は、シリンダ軸方向の上側の方が下側よりも前記スペーサと前記外壁部の間隔が広くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の多気筒エンジンの冷却装置。 - 前記シリンダヘッドは、
気筒列の他端側に設けられ、前記シリンダヘッドのウォータジャケットから冷却液を排出する排出部を有し、
前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドのウォータジャケットは互いに連通路を介して接続され、
前記冷却液経路は、
前記ラジエータを迂回し、前記シリンダヘッドに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第1経路と、
前記ラジエータを迂回し、冷却液の流量を制御する第1制御弁を介して前記シリンダヘッドに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第2経路と、
前記ラジエータを迂回し、冷却液の流量を制御する第2制御弁を介して前記シリンダブロックに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第3経路と、
冷却液の流量を制御する第3制御弁と前記ラジエータを介して前記シリンダヘッドに設けられた排出部と前記導入部とを連結する第4経路と
を有し、
暖機運転時は前記第1乃至第3制御弁を閉弁し、エンジン温度の上昇に伴って前記第1乃至第3制御弁を順次開弁する冷却回路制御部を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の多気筒エンジンの冷却装置。 - 前記第2経路は、空調用ヒータコアまたはEGRクーラの少なくとも一方を経由している
ことを特徴とする請求項3に記載の多気筒エンジンの冷却装置。 - 前記第3経路は、エンジンオイルクーラまたは自動変速機のオイル熱交換器の少なくとも一方を経由している
ことを特徴とする請求項3に記載の多気筒エンジンの冷却装置。
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