JP2008029710A - マイクロニードル型パッチ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】針の先端が真皮に到達することなく穿刺させることができ、そこからワクチン素材などの薬物を投与し得るマイクロニードル型パッチ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シート状のパッチ部1の裏面に複数の微小突起状の針2が一体的に形成され、当該パッチ部1裏面を患者の皮膚に密着させつつ針2を皮膚に穿刺させ得るマイクロニードル型パッチにおいて、針2は、その基端から先端までの長さ寸法tが略50〜100μmとされたものである。
【選択図】図1
【解決手段】シート状のパッチ部1の裏面に複数の微小突起状の針2が一体的に形成され、当該パッチ部1裏面を患者の皮膚に密着させつつ針2を皮膚に穿刺させ得るマイクロニードル型パッチにおいて、針2は、その基端から先端までの長さ寸法tが略50〜100μmとされたものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、シート状のパッチ部の裏面に複数の微小突起状の針が一体的に形成され、当該パッチ部裏面を患者の皮膚に接触させつつ針を皮膚に穿刺させ得るマイクロニードル型パッチ及びその製造方法に関するものである。
人の皮膚は、その表面から表皮、真皮及び皮下脂肪の3層に大きく分けられ、このうち表皮は、外界と接触する最外層としての角層、顆粒層、有棘層及び真皮と接触する基底層から構成されている。表皮は、掌や踵を除くと、その厚さが平均100μm前後であり、1平方ミリあたり500〜600個のランゲルハンス細胞を有している。かかるランゲルハンス細胞は、皮膚に存在する或いは侵入した抗原を取り込んで活性化するとともに、所属リンパ節に移動し、T細胞を刺激して細胞障害性T細胞に分化させ、T細胞を介してB細胞を刺激することにより抗体を産出させる。この作用から、ランゲルハンス細胞は、生体を感染や癌等から防御するものとして知られている。
上記の如く感染や癌を防御するワクチンを表皮のランゲルハンス細胞に到達させるための手段として、注射針によるワクチン素材の投与が広く行われているが、かかる注射針による投与では、ワクチン素材が表皮を超えて真皮内に到達してしまい、ランゲルハンス細胞による取り込みが確実に行われないという不具合があった。また、注射針による投与は、患者にとって痛みが伴うとともに、出血や2次感染の危険性があり問題がある。
一方、ワクチン素材などの薬物を生体内に投与し得る針状構造体を備えたデバイスが従来より提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかるデバイス(マイクロニードル型パッチ)によれば、針部を有する針状構造体と生体との間に当該針部が貫通可能な薄膜フィルムを介在させ、針部を皮膚に穿刺させつつ薄膜フィルム内の薬物を投与することができる。この針部は、長さ寸法が230μmとされ、支持部に50本配列したシリコン製針状構造体とされている。
特開2004−65775号公報
しかしながら、上記従来のマイクロニードル型パッチにおいては、針部の長さが230μmとされているため、患者の皮膚に穿刺させた場合、注射針と同様、先端が真皮に到達してしまい、そこからワクチン素材などの薬物を投与しても、ランゲルハンス細胞による取り込みが確実に行われないという不具合があった。また、針部が真皮に到達してしまうことから、患者にとって痛みが伴うとともに、出血や2次感染の危険性があるという問題もあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、針の先端が真皮に到達することなく穿刺させることができ、そこからワクチン素材などの薬物を投与し得るマイクロニードル型パッチ及びその製造方法を提供することにある。
請求項1記載の発明は、シート状のパッチ部の裏面に複数の微小突起状の針が一体的に形成され、当該パッチ部裏面を患者の皮膚に密着させつつ前記針を皮膚に穿刺させ得るマイクロニードル型パッチにおいて、前記針は、その基端から先端までの長さ寸法が略50〜100μmとされたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のマイクロニードル型パッチにおいて、前記針の長さ寸法を異ならせ、前記パッチ部裏面からの当該針の高さを不均一としたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のマイクロニードル型パッチにおいて、前記針は、生体内で分解され得る生分解性樹脂から成ることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のマイクロニードル型パッチにおいて、前記針は、基端側の直径が略100μm以下の円錐形状とされたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載のマイクロニードル型パッチにおいて、前記針の表面には、微細な凹凸形状が付与されたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載のマイクロニードル型パッチにおいて、前記パッチ部は、可撓性部材から成り、その裏面全域が患者の皮膚の形状に倣って密着し得ることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、深さが略50〜100μmとされた円錐形状の孔を複数有した型内に熱可塑性の特性を有した所定の樹脂材を溶融状態にて流し込み、当該樹脂材の冷却硬化後、離型することにより、シート状のパッチ部の裏面に、前記孔形状に倣った複数の微小突起状の針が一体的に形成されたマイクロニードル型パッチを得ることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項7記載のマイクロニードル型パッチの製造方法において、前記型は、切削加工等の機械加工にて高さ寸法が略50〜100μmとされた円錐形状の微小突起状の針形状を複数並設させたマスターを形成し、電気めっきにより当該針形状を含むマスター上にNi金属層を成長させることにより得られることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載のマイクロニードル型パッチの製造方法において、前記マスターは、バイトによる旋盤加工により単一の前記針形状を有したブロックを形成し、当該ブロックを複数並設させて得られることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、パッチ部の裏面に形成された針が、その基端から先端までの長さ寸法が略50〜100μmとされているので、その先端が真皮に到達することなく穿刺させることができ、そこからワクチン素材などの薬物を投与することができる。
請求項2の発明によれば、針の長さ寸法を異ならせ、パッチ部裏面からの当該針の高さを不均一としたので、パッチ部裏面を患者の皮膚に密着させつつ押圧した際、その押圧力を分散させて穿刺することにより、針が患者の皮膚にスムーズに入り込み、穿刺を良好に行わせることができる。
請求項3の発明によれば、針が生体内で分解され得る生分解性樹脂から成るので、例えば針を穿刺した際に折損して患者の体内に残存してしまった場合であっても、影響がなく安全であるとともに、マイクロニードル型パッチを廃棄しても容易に分解されるため、環境破壊等の不具合が防止される。
請求項4の発明によれば、針は基端側の直径が略100μm以下の円錐形状とされているので、患者へ痛みが付与されるのを抑制するとともに、より良好な穿刺を可能とすることができる。
請求項5の発明によれば、前記針の表面には、微細な凹凸形状が付与されているので、当該針の表面に薬剤を塗布した際、凹凸形状に薬剤が保持され続け、その薬剤を良好に穿刺箇所から投与することができる。
請求項6の発明によれば、パッチ部が可撓性部材から成り、その裏面全域が患者の皮膚の形状に倣って密着し得るので、穿刺作業をより確実且つ良好に行わせることができる。
請求項7の発明によれば、深さが略50〜100μmとされた円錐形状の孔を複数有した型内に熱可塑性の特性を有した所定の樹脂材を溶融状態にて流し込み、当該孔の形状を樹脂材に転写させることにより、容易且つ簡易にマイクロニードル型パッチを得ることができる。
請求項8の発明によれば、電気めっきにより針形状を含むマスター上にNi金属層を成長させることにより型を得るので、針の長さ寸法等の変更を容易に行うことができるとともに、より安価にマイクロニードル型パッチを得ることができる。
請求項9の発明によれば、マスターは、バイトによる旋盤加工により単一の前記針形状を有したブロックを形成し、当該ブロックを複数並設させて得られるので、より安価にマイクロニードル型パッチを得ることができるとともに、バイトによる切削跡によりマスター表面に凹凸形状が付与されることから、針の表面に微細な凹凸形状が付与されたマイクロニードル型パッチを容易に得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るマイクロニードル型パッチは、微小突起状の針を患者の皮膚に穿刺し、そこから薬剤(癌ペプチド等)を投与することにより、ランゲルハンス細胞を活性化させ、生体を感染や癌等から防御するための抗体や細胞傷害性T細胞を産出させるもので、図1に示すように、シート状のパッチ部1と、該パッチ部1と一体成形されて当該パッチ部1の裏面に複数形成された微小突起状の針2とから主に構成されている。
本実施形態に係るマイクロニードル型パッチは、微小突起状の針を患者の皮膚に穿刺し、そこから薬剤(癌ペプチド等)を投与することにより、ランゲルハンス細胞を活性化させ、生体を感染や癌等から防御するための抗体や細胞傷害性T細胞を産出させるもので、図1に示すように、シート状のパッチ部1と、該パッチ部1と一体成形されて当該パッチ部1の裏面に複数形成された微小突起状の針2とから主に構成されている。
本マイクロニードル型パッチは、生体内で分解され得る生分解性樹脂を成形してパッチ部1と針2とを一体として得られたもので、適用可能な生分解性樹脂として、ポリ乳酸(PLA)、脂肪族共重合ポリエステル、ポリヒドロキシブチレート(PHB)等が挙げられる。これにより、例えば針2を穿刺した際に折損して患者の体内に残存してしまった場合であっても、当該針2が生分解性樹脂から成ることから、生体に影響がなく安全であるとともに、マイクロニードル型パッチを廃棄しても容易に分解されるため、環境破壊等の不具合が防止される。
尚、上記生分解性樹脂に代えて、熱可塑性の特性を有した他の樹脂材としてもよく、例えばポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)、ポリスルフォン等の高分子プラスチック、或いはチタン、チタン合金、ステンレス鋼、シリコン等の樹脂材以外の金属等としてもよい。
また、パッチ部1は、上記生分解性樹脂を薄膜状に形成して成ることにより、可撓性部材とされており、その裏面(針2が形成された面)全域が患者の皮膚の形状に倣って密着し得るよう構成されている。これにより、針2を患者に穿刺すべくパッチ部1を患者の皮膚に押圧させれば、その部位に倣って撓むことから良好に密着し、穿刺作業をより確実且つ良好に行わせることができる。
針2は、基端(パッチ部1側の端部)側の直径が略100μm以下の円錐形状とされており、当該針2を皮膚に穿刺した際の患者へ痛みが付与されるのを抑制するとともに、より良好な穿刺を可能とすることができる。尚、患者の皮膚への穿刺が良好に行えれば、針2を他の形状(四角錐や円筒状等)としてもよい。
また、針2の表面には、図2に示すように、微細な凹凸形状(本実施形態においては、螺旋形状)が付与されており、当該針2の表面に薬剤を塗布した際、凹凸形状(螺旋形状)に薬剤が保持され続け、その薬剤を良好に穿刺箇所から投与することができる。針2表面の凹凸形状は、螺旋形状に限定されず、任意部位に凹部又は溝が複数形成されたもの、或いは先端から基端に沿ったスジ状の縦縞で、円錐表面の円周方向に波形の凹凸の溝を形成させたもの等としてもよい。
ここで、本実施形態に係る針2は、その基端から先端までの長さ寸法tが略50〜100μmとされている。これにより、図3で示すように、皮膚の表面にパッチ部1の裏面を密着させれば、針2が体内に穿刺されるとともに、その先端が真皮まで到達せず、そこから薬物を投与することができる。また、マイクロニードル型パッチを密着させる前に、予め角層を剥離させて取り除いておけば、針2の穿刺をより良好且つ確実に行わせることができる。
更に、それぞれの針2は、その長さ寸法が異なっており、パッチ部1裏面からの当該針2の高さが不均一とされている。但し、各針2の長さ寸法は、略50〜100μmの範囲内で異ならせている。例えば、長さ寸法が大きい針と小さい針とを交互に形成させたり、或いは等間隔又は不規則に混合して形成してもよい。このように、針2の長さ寸法を異ならせて高さを不均一とすることにより、パッチ部1裏面を患者の皮膚に密着させつつ押圧した際、その押圧力を分散させて穿刺することにより、針2が患者の皮膚にスムーズに入り込み、穿刺を良好に行わせることができる。
次に、上記の如きマイクロニードル型パッチの製造方法について説明する。
まず、金属製円柱状部材(丸棒)を旋盤加工機にセットし、その端面をバイトにより切削加工することにより、図4に示すように、端面の略中央に、高さ寸法tが略50〜100μmである単一の微小突起状(針形状3a)が形成された円柱状のブロック3を得る。かかる針形状3aは、旋盤加工機のバイトで切削加工して形成されるため、当該バイトによる切削跡(送りマーク)が螺旋状に形成されている。
まず、金属製円柱状部材(丸棒)を旋盤加工機にセットし、その端面をバイトにより切削加工することにより、図4に示すように、端面の略中央に、高さ寸法tが略50〜100μmである単一の微小突起状(針形状3a)が形成された円柱状のブロック3を得る。かかる針形状3aは、旋盤加工機のバイトで切削加工して形成されるため、当該バイトによる切削跡(送りマーク)が螺旋状に形成されている。
上記の如きブロック3であって針形状3aの高さ寸法が異なるものを複数用意するとともに、図5に示すように、それらブロック3を構造体4の孔4aに挿通させる。孔4aは、ブロック3の外径と略等しい内径を有しており、各孔4aの開口から針形状3aを臨ませている。これにより、針形状3aを複数並設させることができ、針形状3aを臨ませた構造体4から成るマスターを得ることができる。
然るに、図6で示すように、電気めっきにより針形状3aを含むマスター上にNi金属層を成長させ、当該Ni金属層をマスターから取り除けば、図7に示すような針形状3aとは逆形状の孔5aを複数有した型5を得ることができる(電鋳法による型の製造)。かかる型5の孔5aは、針形状3aの表面形状が転写して形成されたものであるため、当該針形状3aと同様、深さ(高さ)寸法tが略50〜100μmとされつつ、当該寸法tを異ならせて不均一なものとされている。
その後、図8に示すように、型5と別の型6とを対向して配置させ、内部にキャビティCを形成するとともに、そのキャビティC内に熱可塑性の特性を有した樹脂材(本実施形態においては生分解性樹脂)を溶融状態にて流し込み、当該樹脂材の冷却効果後、離型すれば、図1で示すようなパッチ部1及び針2を有したマイクロニードル型パッチを得ることができる。勿論、針2は、孔5の形状が転写して倣った形状とされるため、その長さ寸法tが略50〜100μmとされる。
本実施形態によれば、深さが略50〜100μmとされた円錐形状の孔5aを複数有した型5(キャビティC)内に熱可塑性の特性を有した所定の樹脂材を所定の圧力を付与しつつ溶融状態にて流し込み、当該孔5aの形状を樹脂材に転写させることにより、容易且つ簡易にマイクロニードル型パッチを得ることができる(射出成形法による成形)。しかして、孔5aには、マスターの針形状3a表面における螺旋状の切削跡が転写されており、かかる切削跡が針2に転写されるため、当該針2の表面には螺旋状の凹凸形状が付与されているとともに、長さ寸法を異ならせた不均一な高さの針2とされている。
また、電気めっき(電鋳法)により針形状を含むマスター上にNi金属層を成長させることにより型(電鋳型)を得るので、針2の長さ寸法等の変更を容易に行うことができるとともに、より安価にマイクロニードル型パッチを得ることができる。即ち、例えば端面に任意高さ寸法の針形状3aが形成されたブロック3を種々用意しておき、構造体4の孔4a内に挿通するブロック3を任意選択して変更すれば、針2の長さ寸法が所望のものに容易に変更することができるのである。
更に、マスターは、バイトによる旋盤加工により単一の針形状3aを有したブロック3を形成し、当該ブロック3を構造体4に複数並設させて得られるので、より安価にマイクロニードル型パッチを得ることができるとともに、バイトによる切削跡によりマスター表面に凹凸形状(螺旋形状)が付与されることから、針2の表面に微細な凹凸形状が付与されたマイクロニードル型パッチを容易に得ることができる。尚、ブロック3及び構造体4を非鉄系ステンレス等とすれば、マスターを錆難くすることができる。
ところで、上記の如き電鋳法による型の製造に代えて、以下の方法とすることができる。上記マスターを利用し、金属粉末射出成形にて例えばチタン合金焼結体から成る型を得ることができる。かかる型によれば、チタンが樹脂との剥離性が良好なことから、マイクロニードル型パッチの成形時において剥離剤等を不要とすることができる。また、金属粉末射出成形の過程で生じる微細気孔により、型表面に凹凸形状が形成されることとなり、マイクロニードル型パッチの成形時、その凹凸形状が針の表面に転写される。
また、チタン合金材料をレーザ(フェムト秒レーザ)加工することにより、型を製造するようにしてもよい。具体的には、チタン合金材の表面にレーザを照射して、深さが略50〜100μmとされた円錐形状の孔を複数形成することにより型を得るようにする。この場合、レーザ加工跡(孔周縁から頂部まで略直線状に延びる複数のスジ状縦縞で、円錐孔表面の円周方向に波形状の凹凸の溝形状)が孔内に形成されることとなるため、マイクロニードル型パッチの成形時、そのスジ状跡が針の表面に転写されて凹凸形状が付与されることとなる。
一方、上記の如き型を用いて本マイクロニードル型パッチを成形するには、射出成形法に代えて、例えばナノインプリント(ホットプレス)の如き半溶融樹脂を型のキャビティに押し当てて成形する方法、或いはコーター(遠心力を用いて型のキャビティ内に溶融樹脂を流し込む手段)を用いた成形方法としてもよい。
上記の如き製造方法にて得られたマイクロニードル型パッチによれば、針2の表面に薬剤を塗布した後、パッチ部1の裏面を患者の皮膚(例えば、腕の皮膚や胸、背中、腹などの皮膚)に密着させることにより、針2が皮膚を穿刺して、当該針2に塗布された薬剤が体内に投与されることとなる。また、針2の表面に薬剤を塗布せず、パッチ部1の裏面を皮膚に密着させて針2を穿刺させた後、マイクロニードル型パッチを皮膚から取り除き、穿刺跡から薬剤を投与させるようにしてもよい。
何れの場合であっても、本実施形態の如きマイクロニードル型パッチによれば、穿刺時、針2の先端が患者の真皮に到達してしまうのを回避できるので、患者にとって痛みが伴わず、出血や2次感染の危険性を回避しつつ薬剤を投与することができる。また、ワクチン素材を薬剤として投与すれば、ランゲルハンス細胞による取り込みが確実に行われることとなり、生体を感染や癌等から防御するための抗体や細胞傷害性T細胞を産出させることができる。
以上、本実施形態に係るマイクロニードル型パッチついて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特に、針で穿刺した後、その穿刺跡から薬剤を投与するものにおいては、当該針の表面に凹凸形状(螺旋形状等)が付与されていなくてもよい。また、針を樹脂材等で成形する際に塩等の異物(ニガリの主成分である塩化マグネシウム等)を含有させておき、成形後に当該異物を除去(塩の場合は温水等で溶解)することにより、針の表面に凹凸形状を付与するようにしてもよい。
更に、マイクロニードル型パッチの製造方法は、本実施形態のものに限定されず、板状部材(金属板等)の表面に直接機械加工やレーザ加工を施し、本実施形態の如き針を有したマイクロニードル型パッチを形成するようにしてもよい。また、パッチ部1の裏面に粘着剤を塗布しておき、当該粘着剤で皮膚に粘着させることにより、長時間に亘ってマイクロニードル型パッチを密着させておくことができる。
基端から先端までの長さ寸法が略50〜100μmの針を有したマイクロニードル型パッチ及びその製造方法であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
1 パッチ部
2 針
3 ブロック
3a 針形状(マスター)
4 構造体(マスター)
5 型
5a 孔
6 別の型
C キャビティ
2 針
3 ブロック
3a 針形状(マスター)
4 構造体(マスター)
5 型
5a 孔
6 別の型
C キャビティ
Claims (9)
- シート状のパッチ部の裏面に複数の微小突起状の針が一体的に形成され、当該パッチ部裏面を患者の皮膚に密着させつつ前記針を皮膚に穿刺させ得るマイクロニードル型パッチにおいて、
前記針は、その基端から先端までの長さ寸法が略50〜100μmとされたことを特徴とするマイクロニードル型パッチ。 - 前記針の長さ寸法を異ならせ、前記パッチ部裏面からの当該針の高さを不均一としたことを特徴とする請求項1記載のマイクロニードル型パッチ。
- 前記針は、生体内で分解され得る生分解性樹脂から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のマイクロニードル型パッチ。
- 前記針は、基端側の直径が略100μm以下の円錐形状とされたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のマイクロニードル型パッチ。
- 前記針の表面には、微細な凹凸形状が付与されたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1つに記載のマイクロニードル型パッチ。
- 前記パッチ部は、可撓性部材から成り、その裏面全域が患者の皮膚の形状に倣って密着し得ることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1つに記載のマイクロニードル型パッチ。
- 深さが略50〜100μmとされた円錐形状の孔を複数有した型内に熱可塑性の特性を有した所定の樹脂材を溶融状態にて流し込み、当該樹脂材の冷却硬化後、離型することにより、シート状のパッチ部の裏面に、前記孔形状に倣った複数の微小突起状の針が一体的に形成されたマイクロニードル型パッチを得ることを特徴とするマイクロニードル型パッチの製造方法。
- 前記型は、切削加工等の機械加工にて高さ寸法が略50〜100μmとされた円錐形状の微小突起状の針形状を複数並設させたマスターを形成し、電気めっきにより当該針形状を含むマスター上にNi金属層を成長させることにより得られることを特徴とする請求項7記載のマイクロニードル型パッチの製造方法。
- 前記マスターは、バイトによる旋盤加工により単一の前記針形状を有したブロックを形成し、当該ブロックを複数並設させて得られることを特徴とする請求項8記載のマイクロニードル型パッチの製造方法。
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Cited By (13)
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