JP2019092846A - 経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスの使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】突起部を、容易に皮膚に深く刺すことができる経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスの使用方法を提供する。【解決手段】経皮投与デバイスは、第1面21Sを有する基体と、第1面21Sから突き出た突起部22と、を有する投与部を備える。突起部22は、第1面21Sに沿った方向である第1方向に延びる形状を有し、第1方向に延びる基部25と、基部25に繋がる3以上の頂部23とを備える。上記3以上の頂部は、第1方向に沿って並び、頂部23ごとに1つの頂点Ptに向けて尖る形状を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、薬剤の投与に用いられる経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスの使用方法に関する。
皮内は、体内で免疫応答が高いとされる部位である。皮内に薬剤を投与する場合、皮下へ薬剤を投与する場合よりも、投与効果を得るために必要な薬剤の投与量を低減できる可能性があるため、皮内へ薬剤を投与するための技術開発が進められている。
例えば、微小な針状の突起部を有するマイクロニードルデバイスを用い、針状の突起部によって皮膚を穿孔することにより皮内に薬剤を送達することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、マイクロニードルデバイスが有する針状の突起部は、板状の基体の表面から細長く伸びる形状を有しているため、基体の表面と平行な方向である横方向からの力に対する強度が低い。皮膚の表面は平坦ではないため、突起部による皮膚の穿孔時には、突起部に対して上記横方向からの力がかかることは避けられず、横方向からの力が突起部に対して過大に作用する場合には、突起部が曲がったり潰れたりして、突起部の穿孔機能が低下してしまう。
これに対し、マイクロニードルデバイスとは異なる皮内投与のためのデバイスとして、基体の表面に沿った方向に延びる形状を有し、線状に延びる先端を有する突起部を備えたデバイスが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第2008/020632号 国際公開第2016/072493号
ところで、薬剤の的確な投与のためには、突起部によって所望の深さの孔が皮膚に形成されること、すなわち、突起部が基部まで深く皮膚に刺さることが望ましい。皮膚に深く刺さりやすい構造という観点においては、上記特許文献2に記載のデバイスが有する突起部は、未だ改善の余地を残している。
本発明は、突起部を、容易に皮膚に深く刺すことができる経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスの使用方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する経皮投与デバイスは、第1面を有する基体と、前記第1面から突き出た突起部と、を有する投与部を備え、前記突起部は、前記第1面に沿った方向である第1方向に延びる形状を有し、前記第1方向に延びる基部と、前記基部に繋がる3以上の頂部とを備える。
上記構成によれば、指等の押圧体を用いて、押圧体を第1方向に沿って往復動させつつ基体を穿孔対象の皮膚に押し付けることにより、複数の頂部が、頂部ごとに皮膚を切り裂きながら皮膚の内部へ進入する。したがって、突起部が1つの頂部を有する形態と比較して、突起部の先端領域によって皮膚が切り開かれやすくなるため、突起部の全体が皮膚に深く刺さりやすくなる。すなわち、突起部を、容易に皮膚に深く刺すことができる。
上記構成において、前記3以上の頂部は、前記第1方向に沿って並んでもよい。
上記構成によれば、皮膚において頂部ごとに切り裂かれた部分が第1方向に繋がるため、これらの頂部による皮膚の切り裂きによって、突起部の全体が挿入される孔の形成が効率よく進められる。
上記構成において、前記頂部は、頂部ごとに1つの頂点に向けて尖る形状を有してもよい。
上記構成によれば、頂部が線状の先端を有する形態と比較して、頂部が鋭利になるため、頂部が皮膚に刺さりやすくなる。
上記構成において、前記第1面に沿った方向であって前記第1方向に直交する方向が第2方向であり、前記第2方向から見て、各頂部の頂角の二等分線は、前記第1方向における前記突起部の両端部のうちの共通する一方の端部に向けて傾いていてもよい。
上記構成によれば、突起部の先端領域が鋸刃状の形状となる。そのため、第1方向に沿って往復動しながら基体を押圧する押圧体からの力を受けて複数の頂部が動くとき、各頂部が皮膚を切り裂きやすくなる。したがって、これらの頂部による皮膚の切り裂きによって、突起部の全体が挿入される孔の形成が効率よく進められ、突起部の全体が皮膚により深く刺さりやすくなる。
上記構成において、前記第1面に沿った方向であって前記第1方向に直交する方向が第2方向であり、前記第1方向および前記第2方向と直交する方向が第3方向であって、互いに隣り合う前記頂部の間で窪む部分が谷部であり、前記第1面から前記谷部の底までの前記第3方向に沿った長さは、前記突起部の第3方向に沿った最大の長さの4分の1以上であってもよい。
上記構成によれば、突起部における基部の割合が十分に確保され、突起部の基端領域の強度が高められる。その結果、皮膚の穿孔に際して突起部が受ける力のうち、特に、第1面に沿った方向の力に対して突起部が変形しにくくなる。したがって、突起部の変形による穿孔機能の低下が抑えられる。
上記課題を解決する経皮投与デバイスの使用方法は、第1面および前記第1面とは反対側の面である第2面を有する基体と、前記第1面から突き出た突起部と、を有する投与部を備える経皮投与デバイスの使用方法であって、前記突起部は、前記第1面に沿った方向である第1方向に延びる形状を有し、前記第1方向に延びる基部と、前記基部に繋がる3以上の頂部とを備え、前記突起部の先端領域を穿孔対象の皮膚に向けて配置し、前記第2面から前記基体を押圧する押圧体を用いて、前記押圧体を前記第1方向に往復動させながら前記押圧体によって前記基体を押圧することを含む。
上記方法によれば、複数の頂部が、頂部ごとに皮膚を切り裂きながら皮膚の内部へ進入する。したがって、突起部が1つの頂部を有する形態と比較して、突起部の先端領域によって皮膚が切り開かれやすくなるため、突起部の全体が皮膚に深く刺さりやすくなる。すなわち、突起部を、容易に皮膚に深く刺すことができる。
上記使用方法において、前記第1面に沿った方向であって前記第1方向に直交する方向が第2方向であり、前記第2方向から見て、各頂部の頂角の二等分線は、前記第1方向における前記突起部の両端部のうちの共通する一方の端部に向けて傾いており、複数の前記頂部のうち、前記一方の端部に最も近い前記頂部から、前記突起部を前記皮膚に押し付けることを含んでもよい。
上記方法によれば、皮膚に対して頂部がその傾きに合わせて配置され、頂部の先端と皮膚の表面とが対向しやすくなるため、頂部が皮膚に刺さりやすい。また、突起部の先端領域が鋸刃状の形状となるため、各頂部が皮膚を切り裂きやすくなる。
本発明によれば、突起部を、容易に皮膚に深く刺すことができる。
経皮投与デバイスの一実施形態について、経皮投与デバイスの斜視構造を示す図。 一実施形態の経皮投与デバイスが備える突起部の斜視構造を示す図。 一実施形態の経皮投与デバイスが備える突起部の斜視構造を示す図。 一実施形態の経皮投与デバイスが備える突起部の側面構造を示す図。 一実施形態の経皮投与デバイスが備える突起部の側面構造を示す図。 一実施形態の経皮投与デバイスの平面構造を示す図。 一実施形態の経皮投与デバイスの使用方法を示す図であって、突起部の先端領域が皮膚に刺さっている状態を示す図。 一実施形態の経皮投与デバイスの使用方法を示す図であって、突起部が皮膚に刺さっていく途中の状態を示す図。 一実施形態の経皮投与デバイスの使用方法を示す図であって、突起部の全体が皮膚に刺さっている状態を示す図。
図1〜図9を参照して、経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスの使用方法について説明する。
[経皮投与デバイスの全体構成]
図1を参照して、経皮投与デバイスの全体構成について説明する。
図1が示すように、経皮投与デバイス10は、投与部20を備えている。投与部20は、板状を有する基体21と、基体21から突き出た1以上の突起部22とを備えている。基体21は、突起部22が配置された面である第1面21Sと、第1面21Sとは反対側の面である第2面21Tとを有し、第1面21Sは突起部22の基端を支持している。
経皮投与デバイス10は、さらに、粘着シート30を備えてもよい。粘着シート30は、基材シート31と、基材シート31の有する2つの面のうちの一方の面を覆う粘着層32とを備えている。粘着層32における基材シート31とは反対側の粘着面の一部には、基体21の第2面21Tが貼り付けられている。
[突起部の構成]
図2〜図5を参照して、突起部22の詳細な構成について説明する。
図2および図3に示されるように、突起部22は、第1面21Sに沿った1つの方向である第1方向に延びる。第1面21Sに沿った方向であって第1方向と直交する方向が第2方向であり、第1方向および第2方向と直交する方向が第3方向である。第3方向は、すなわち、基体21の厚さ方向である。
突起部22は、第1方向に延びる基部25と、基部25に繋がる3以上の頂部23とを有している。一例として、図面においては、突起部22が、3つの頂部23を有する形態を示している。頂部23は、突起部22の先端領域が有する凹凸の凸部であり、複数の頂部23は、第1方向に沿って並んでいる。
突起部22は、第1方向に延びる底辺を有して基体21から延びる2つの主側面27Aと、第2方向に延びる底辺を有して基体21から延びる2つの副側面27Bとを有する。主側面27Aは、突起部22における第2方向の端部を構成し、副側面27Bは、突起部22における第1方向の端部を構成し、主側面27Aおよび副側面27Bの各々は、第3方向に対して、突起部22の中心部に向かって傾斜している。主側面27Aは、台形の上底が屈曲を繰り返す折れ線となった形状を有し、2つの主側面27Aの形状は同一である。副側面27Bは、三角形状を有し、2つの副側面27Bの形状は互いに異なる。
第1方向の両端部の各々において、副側面27Bは、2つの主側面27Aに挟まれて、これらの主側面27Aの各々と側辺を1つずつ共有している。2つの主側面27Aの底辺と2つの副側面27Bの底辺とによって、突起部22の底面として、第1方向に延びる矩形状の底面が第1面21S内に区画されている。
突起部22は、さらに、2つの主側面27Aの間に位置して頂部23を構成する複数の頂面27Cを有している。頂面27Cは、三角形状を有し、2つの主側面27Aの各々と側辺を1つずつ共有している。複数の頂面27Cは第1方向に沿って並び、互いに隣り合う2つの頂面27Cは、底辺を共有し、互いに隣り合う各別の頂部23を構成している。
頂部23は、主側面27A、副側面27B、頂面27Cのうちの複数の面の先端部分が集まる部分である。頂部23は先端に1つの頂点Ptを有し、頂点Ptに向かって尖る形状を有する。第1方向の一端の頂部23は、2つの主側面27Aの先端部分と1つの副側面27Bの先端部分と1つの頂面27Cの先端部分とから構成される。すなわち、2つの副側面27Bの一方の先端部分は、第1方向の一端の頂部23の頂点Ptまで延びてこの頂部23を構成する。第1方向の他端の頂部23は、2つの主側面27Aの先端部分と1つの頂面27Cの先端部分とから構成される。すなわち、2つの副側面27Bの他方の先端部分は、第1方向の他端の頂部23の頂点Ptよりも下方に位置し、この頂部23を構成しない。第1方向の中央の頂部23は、2つの主側面27Aの先端部分と2つの頂面27Cの先端部分とから構成される。
互いに隣り合う頂部23の間には、谷部24が形成されている。谷部24は、突起部22の先端領域が有する凹凸の凹部である。頂部23は谷部24に対して突き出ており、谷部24は頂部23に対して窪んでいる。谷部24の底は、2つの頂面27Cが共有する底辺によって構成される。この底辺は、第2方向に沿って延びている。
谷部24は、第1面21Sの上方に位置し、第1面21Sからは離れている。言い換えれば、突起部22は、先端領域では複数の頂部23に分離し、基端領域では、第1方向に連続した1つの構造体である基部25を構成している。
第3方向から見て、複数の頂点Ptは、第1方向に延びる直線上に並んでいることが好ましい。こうした構成によれば、後述の使用方法によって経皮投与デバイス10を使用したときに、複数の頂部23による皮膚への孔の形成が効率よく進む。
突起部22の第1幅D1は、突起部22における第1方向に沿った最大の長さであり、すなわち、主側面27Aの底辺の長さである。突起部22の第2幅D2は、突起部22における第2方向に沿った最大の長さであり、すなわち、副側面27Bの底辺の長さである。第1幅D1は、第2幅D2よりも大きい。第1幅D1は、200μm以上2000μm以下であることが好ましく、第2幅D2は、1μm以上1000μm以下であることが好ましい。
突起部高さHpは、突起部22における第3方向に沿った最大の長さであり、すなわち、基体21に対して最も突き出ている頂部23の先端から第1面21Sまでの、第3方向に沿った長さである。突起部高さHpは、第1幅D1よりも小さい。突起部高さHpは、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、この範囲のなかで、突起部22が穿孔対象に形成する孔、すなわち、薬剤を皮内に投与するための通路に必要な深さに応じて決定される。
穿孔対象が人体の皮膚であって、孔の底が角質層内に設定される場合、突起部高さHpは10μm以上300μm以下であることが好ましく、30μm以上200μm以下であることがより好ましい。孔の底が角質層を貫通し、かつ、神経層へ到達しない深さに設定される場合、突起部高さHpは200μm以上700μm以下であることが好ましく、200μm以上500μm以下であることがより好ましく、200μm以上300μm以下であることがさらに好ましい。孔の底が真皮に到達する深さに設定される場合、突起部高さHpは200μm以上500μm以下であることが好ましい。孔の底が表皮に到達する深さに設定される場合、突起部高さHpは200μm以上300μm以下であることが好ましい。
第1幅D1に対する突起部高さHpの比であるアスペクト比A1は、1よりも小さく、0.05以上0.8以下であることが好ましい。第2幅D2に対する突起部高さHpの比であるアスペクト比A2は、1よりも大きいことが好ましく、1.2以上4.6以下であることがより好ましい。
図4は、第2方向から見た突起部22の側面図である。頂部高さHtは、頂部23の先端から第1面21Sまでの、第3方向に沿った長さである。複数の頂部23において、頂部高さHtは一定であってもよいし、一定でなくてもよい。ただし、複数の頂部23による孔の形成を円滑に進めるためには、複数の頂部23のなかで、第1方向の一方の端の頂部23の頂部高さHtが最も大きいことが好ましい。
複数の頂部23の頂部高さHtが一定であるとき、第2方向から見て、複数の頂部23の頂点Ptは、第1方向に沿って延びる直線上に並ぶ。複数の頂部23の頂部高さHtが一定ではないとき、第2方向から見て、複数の頂部23の頂点Ptは、第1方向に対して傾斜した直線上に並んでもよいし、直線上には並んでいなくてもよい。
また、第2方向から見て、複数の頂点Ptは、第1方向において均等に配置されていてもよいし、不均一に配置されていてもよい。例えば、第1方向に沿った頂点Pt間の間隔は一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
谷部高さHvは、谷部24の底、すなわち、谷部24において最も窪んでいる部分である最低点Pvから第1面21Sまでの、第3方向に沿った長さである。複数の谷部24において、谷部高さHvは一定であってもよいし、一定でなくてもよい。複数の谷部24の谷部高さHvが一定であるとき、第2方向から見て、複数の谷部24の最低点Pvは、第1方向に沿って延びる直線上に並ぶ。複数の谷部24の谷部高さHvが一定ではないとき、第2方向から見て、複数の谷部24の最低点Pvは、第1方向に対して傾斜した直線上に並んでもよいし、直線上には並んでいなくてもよい。
また、複数の頂部23の頂点Ptが直線上に並ぶとき、複数の谷部24の最低点Pvは、頂点Ptの並ぶ直線と平行な直線上に並んでもよいし、頂点Ptの並ぶ直線と交差する直線上に並んでもよいし、直線上には並ばなくてもよい。また、頂点Ptが直線上に並ばない一方で、最低点Pvは直線上に並んでもよい。また、第2方向から見て、複数の最低点Pvは、第1方向において均等に配置されていてもよいし、不均一に配置されていてもよい。
複数の谷部24の各々において、谷部高さHvは、突起部高さHpの4分の1以上であることが好ましく、また、2.5μm以上250μm以下であることが好ましい。谷部高さHvがこうした範囲であれば、突起部22における基部25の割合が十分に確保され、突起部22の基端領域の強度が高められる。その結果、皮膚の穿孔に際して突起部22が受ける力のうち、特に、第1面21Sに沿った方向の力に対して突起部22が変形しにくくなる。したがって、突起部22における穿孔機能の低下が抑えられる。
頂部角度θtは、第2方向から見た場合に、頂部23において頂点Ptの周囲に形成される角度である。換言すれば、頂部角度θtは、第2方向から見た頂部23の頂角の大きさである。複数の頂部23において、頂部角度θtは一定であってもよいし、一定でなくてもよい。頂部角度θtは、鈍角、直角、鋭角のいずれを示す角度であってもよいが、例えば、30度以上150度以下であることが好ましい。
第2方向から見て、複数の頂部23において、頂部角度θtを有する頂角の二等分線Apは、第3方向に対して同じ向きに傾斜している。言い換えれば、複数の頂部23において、二等分線Apは、突起部22における第1方向の両端部のうちの、共通した一方の端部に向けて傾いている。例えば、図4においては、各頂部23の二等分線Apの先端は、第1方向の両端部のうち図中右側の端部に向けて傾いている。複数の頂部23において、二等分線Apの傾きの大きさは、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
上記構成を換言すれば、第2方向から見て、複数の頂部23は、第3方向に対して同一の側に傾いており、これによって、突起部22は、鋸刃状の先端形状を有している。
複数の頂部23のうち、二等分線Apが傾く方の上記一方の端部に最も近い頂部23が、側端頂部23Fである。上記一方の端部は、頂点Ptまで延びる副側面27Bが位置する端部であり、側端頂部23Fは、副側面27Bの先端部分を含む頂部23である。また、側端頂部23Fは、頂部高さHtが最も大きい頂部23であることが好ましい。
各頂部23の二等分線Apが同じ向きに傾く形態において、上記一方の端部において副側面27Bが頂点Ptまで延び、他方の端部において副側面27Bが頂点Ptの下方に位置して突起部22の側辺が折れ線となる構成であれば、側端頂部23Fと、第1方向において側端頂部23Fとは反対側の端部に位置する頂部23とで、頂部角度θtが大きく異なることを抑えやすい。したがって、複数の頂部23の頂部角度θtのいずれもを、頂部角度θtとして好ましい範囲に設定することが容易である。
なお、第2方向から見て基部25の側辺が第1方向に対して形成する角度、すなわち、2つの副側面の傾斜角度は、一致していてもよいし、互いに異なっていてもよい。
谷部角度θvは、第2方向から見た場合に、谷部24において最低点Pvの周囲に形成される角度である。複数の谷部24において、谷部角度θvは一定であってもよいし、一定でなくてもよい。谷部角度θvは、鈍角、直角、鋭角のいずれを示す角度であってもよいが、例えば、30度以上150度以下であることが好ましい。
斜辺角度θhは、第2方向から見て、頂部23の側辺、すなわち、頂点Ptから延びる辺が頂部23の内側で第1方向に対して形成する角度である。斜辺角度θhは、特に限定されないが、90°以下であることが好ましい。斜辺角度θhが90°以下であると、凹版の凹部に突起部22の材料を充填して充填物を剥離することにより突起部22を形成する製造方法において、突起部22の形成が容易である。
図5は、第1方向から見た突起部22の側面図であって、頂点Ptまで延びる副側面27Bが位置する側から見た突起部22の側面図である。
先端角度θpは、第1方向から見て、突起部22の先端付近に形成される最大の角度であり、すなわち、第1方向から見た場合における突起部22の頂角の角度である。先端角度θpは、鈍角、直角、鋭角のいずれを示す角度であってもよいが、上記頂角が鋭角であると、頂部23が皮膚に刺さりやすくなるため好ましい。例えば、先端角度θpは、10度以上60度以下であることが好ましい。
[突起部の配列]
図6を参照して、突起部の配列を中心に、経皮投与デバイスの詳細構成について説明する。
図6が示すように、投与部20が、複数の突起部22を備えるとき、複数の突起部22は、突起部22の延びる方向が一致するように配列される。すなわち、各突起部22の第1方向は、これらの突起部22に共通した1つの方向である。第1方向が揃っていれば、複数の突起部22の各々は、基体21の第1面21Sに規則的に並んでいてもよいし、不規則に並んでいてもよい。例えば、図6に示される例では、複数の突起部22が第1方向と第2方向とに沿って並ぶ格子状に配置されている。
ここで、第1面21Sに沿ったいずれかの方向、例えば、第2方向に沿って並ぶ複数の突起部22において、谷部24の位置が揃っていること、すなわち、谷部24が直線上に並んでいることが好ましい。換言すれば、第2方向に沿って並ぶ複数の突起部22において、谷部24内の空間が第2方向に連続して延びるように、突起部22が配置されていることが好ましい。こうした構成であれば、例えば切削等の機械加工によって、投与部20や、投与部20の形成のための凹版の製造に用いられる原版を形成する場合に、複数の突起部22に対して一括して、あるいは、連続して、谷部24を形成することができる。したがって、投与部20の製造の効率が高められる。
第3方向から見て、基体21は、突起部22の延びる方向に延びる外形を有することが好ましい。例えば、基体21は、第2方向よりも第1方向に長い長方形形状や楕円形形状を有している。
第3方向から見て、粘着シート30は、基体21よりも大きく、基体21の外周の全域にわたって、基体21の外側にはみ出している。粘着シート30において基体21からはみ出している部分には、粘着層32の粘着面が露出している。
第3方向から見て、粘着シート30も、突起部22の延びる方向に延びる外形を有することが好ましい。例えば、粘着シート30は、基体21と相似形の長方形形状や楕円形形状を有している。
[経皮投与デバイスの製造方法]
経皮投与デバイス10の製造方法について説明する。
投与部20は、シリコン、金属、セラミック、樹脂、もしくは、皮膚の有する水分によって溶解する材料等から形成することができる。投与部20の形成材料としては、生体適合性を有する材料が用いられることが好ましい。投与部20の形成に用いられる金属材料としては、ステンレス鋼、チタン、あるいは、マンガン等が挙げられ、投与部20の形成に用いられるセラミック材料としては、ガラス、アルミナ等が挙げられる。投与部20の形成に用いられる樹脂としては、医療用シリコーン樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカプロラクトン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、あるいは、環状オレフィンコポリマー等の樹脂等が挙げられる。ただし、投与部20の形成材料は上記にて例示した材料に限定されない。
投与部20が、皮膚の有する水分によって溶解する材料から形成される構成では、突起部22は、皮膚に刺された後に皮膚の内部で溶解する。皮膚の有する水分によって溶解する材料、すなわち、水溶性材料としては、水溶性高分子や二糖類が挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルラン、アルギン酸塩、ペクチン、キトサン、キトサンサクシナミド、オリゴキトサンが挙げられる。上述の材料のなかでも、キトサン、オリゴキトサン、キトサンサクシナミド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、生物学的に安全性が高いため、突起部22の材料として特に好ましい。ただし、投与部20の形成材料はこれらに限定されない。
二糖類としては、トレハロースやマルトースを用いることが好ましい。特に、トレハロースは、二糖類のなかでも結晶構造が水に近いため、突起部22が薬剤としてタンパク質を含む場合、このタンパク質を保護し、安定化する機能を有する。ただし、投与部20の形成材料はこれらに限定されない。また、突起部22は、水溶性高分子や二糖類の他に、安定化剤等の添加剤を含んでいてもよい。
投与部20によって投与される薬剤は、皮内に投与されることにより機能する物質であれば、その種類は特に限定されない。薬剤は、突起部22の表面に塗布され、突起部22による孔の形成とともに皮内に送り込まれてもよいし、突起部22が上述のように水溶性材料から形成されている場合には、突起部22の内部に含まれて、突起部22の溶解とともに皮内に送り込まれてもよい。また、突起部22が皮膚に刺される前あるいは後に、液状の薬剤が皮膚に塗布され、突起部22によって形成された孔から、薬剤が皮内に送り込まれてもよい。さらには、これらの方式が組み合わされた形態によって、薬剤が投与されてもよい。なお、突起部22が水溶性材料から形成されている場合には、突起部22を構成する水溶性材料が薬剤として機能してもよい。
薬剤としては、例えば、各種のタンパク質や、各種の薬理活性物質や、化粧品あるいは美容品として用いられる組成物等が挙げられ、目的に応じて選択される。
基体21と突起部22とは、互いに同一の組成を有する材料から形成されてもよいし、互いに異なる組成を有する材料から形成されてもよい。基体21と突起部22とが互いに同一の組成を有する材料から形成される構成では、基体21と突起部22とを一体形成によって容易に形成することができる。また、基体21が水溶性材料から形成されている場合には、基体21にも薬剤が含まれていてもよい。基体21に含まれる薬剤は、基体21が皮膚表層で溶解することによって、皮膚表層に導入される。
投与部20は、投与部20の形成材料に応じて、各種の公知技術を用いて製造することが可能である。例えば、投与部20が樹脂から形成される場合には、射出成形、押出成形、インプリント、ホットエンボス、または、キャスティング等の成形技術によって、投与部20を形成することができる。また例えば、リソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法、精密機械加工法等の微細加工技術を用いて投与部20を形成することもできる。
また、上述の方法によって投与部20の原版を形成し、原版の凹凸を反転させた凹版を作製して、凹版を用いて投与部20を複製してもよい。凹版は、公知の形状転写法によって形成される。形状転写法としては、例えば、Ni電鋳法によってNi製の凹版を形成する方法や、溶融した樹脂を用いて転写成形を行う方法等が挙げられる。これにより、突起部22に対応する形状の凹部を有する凹版が形成される。
そして、形成された凹版に、投与部20の形成材料が充填される。例えば、投与部20が水溶性高分子から形成される場合には、水溶性高分子と薬剤とを含有する材料溶液が調整される。材料溶液の流動性は、溶質の量等を適宜調節することによって、材料溶液を凹版に円滑に充填できる程度に調整されることが好ましい。材料溶液の凹版への供給方法は、凹版の形状や大きさ等を考慮して公知の方法から適宜選択されればよい。例えば、材料溶液の供給方法としては、スピンコート法、ディスペンサを用いる方法、キャスティング法、インクジェット法等を用いることができる。
凹版に充填された材料溶液が乾燥固化されることによって、投与部20となる成形物が形成され、成形物が凹版から離型されることによって、投与部20が得られる。離型は、物理的に成形物が凹版から剥離されることによって行われてもよいし、化学的に凹版が溶解されることによって行われてもよい。また、成形物がトムソン刃などの抜き刃を用いて打ち抜かれることによって、投与部20の外形が整えられてもよいし、成形物を凹版から離型する前に、凹版ごと成形物が打ち抜かれることによって、投与部20の外形が整えられてもよい。
なお、凹版を用いて形成される投与部20は、水溶性高分子から形成される投与部20に限らない。例えば、熱プレス等によって凹版に熱可塑性樹脂を充填することによって、熱可塑性樹脂からなる投与部20が形成されてもよい。また、凹版に突起部22の形成材料が充填された後、充填物に基体21の形成材料からなるシートを重ねて加圧することによって、投与部20となる成形物を形成してもよい。
形成された投与部20における基体21の第2面21Tに粘着シート30の粘着層32が貼り付けられることによって、経皮投与デバイス10が形成される。
粘着シート30の材料は特に限定されないが、基材シート31としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート等からなる樹脂フィルムが用いられ、粘着層32は、例えば、エポキシ系やアクリル系の粘着剤から形成される。粘着剤としては、皮膚貼付に適した性質の材料を用いることが好ましく、滅菌工程に耐えられる材料を用いることがさらに好ましい。
[経皮投与デバイスの使用方法]
図7〜図9を参照して、経皮投与デバイス10の使用方法を説明しつつ、経皮投与デバイス10の作用について説明する。なお、図7〜図9においては、皮膚に対する突起部22の配置を明瞭にするため、粘着シート30を割愛して示すとともに、指に対する突起部22の大きさを誇張して示している。
経皮投与デバイス10の使用時には、突起部22の先端領域が、穿孔対象、すなわち、薬剤の投与対象の皮膚に向けられて、基体21が皮膚に押し付けられ、基体21の外側に露出する粘着シート30が皮膚に貼り付けられる。このとき、基体21や粘着シート30はある程度の面積を有するものであり、また、投与対象の皮膚の表面は完全な平坦面ではないため、基体21を皮膚の表面に対して平行に配置して第1面21Sの全面を一度に皮膚に押し付けることは困難であり、通常は、粘着シート30と基体21とは、その端の方から皮膚に押し付けられる。
ここで、本実施形態の経皮投与デバイス10の使用方法では、図7が示すように、第1方向における側端頂部23Fに近い端部から、突起部22が皮膚Skに押し付けられることが好ましい。すなわち、複数の頂部23は、側端頂部23Fから第1方向に沿って順に、皮膚Skに押し付けられることが好ましい。これにより、側端頂部23Fに近い上記端部に向けて傾く頂部23の先端と皮膚Skの表面とが対向しやすくなるため、頂部23が皮膚Skに刺さりやすくなる。
なお、複数の頂部23が、側端頂部23Fから皮膚Skに刺さる場合、側端頂部23Fは他の頂部23と比較して、皮膚Skからの抵抗を受けやすい。すなわち、側端頂部23Fには、他の頂部23と比較して、側端頂部23Fを皮膚Skの表面から離れる方向に押す力がかかりやすく、特に側端頂部23Fを構成する副側面27Bには、側端頂部23Fを第1方向に沿って押す力がかかりやすい。そこで、側端頂部23Fの頂部角度θtが、他の頂部23の頂部角度θtよりも大きい構成であれば、皮膚Skからの力を受けやすい側端頂部23Fの強度を、他の頂部23と比較して高めることができる。したがって、側端頂部23Fの変形が抑えられる。さらに、先端角度θpが90度よりも小さい構成であれば、側端頂部23Fを構成する副側面27Bの頂角が鋭角であるため、この頂角が直角や鈍角である場合と比較して、側端頂部23Fは鋭利になる。したがって、側端頂部23F全体としての鋭利さが過度に低下することが抑えられる。
一方、側端頂部23Fの頂部角度θtが、他の頂部23の頂部角度θtよりも小さい構成であれば、最初に皮膚Skを切り開く側端頂部23Fが他の頂部23よりも鋭利になるため、側端頂部23Fが皮膚Skに刺さりやすくなる。結果として、側端頂部23Fが皮膚Skから受ける抵抗を削減することができる。
また、複数の頂部23のなかで、側端頂部23Fの頂部高さHtが最も大きい構成であれば、皮膚Skに対して経皮投与デバイス10を配置した場合に、側端頂部23Fが皮膚Skに当たりやすい。したがって、側端頂部23Fからの皮膚Skの切り裂きが円滑に進行しやすい。特に、側端頂部23Fから第1方向に沿って順に、複数の頂部23の頂部高さHtが徐々に低くなる構成、例えば、第1方向に対して傾斜した直線上に複数の頂部23の頂点Ptが並ぶとともに側端頂部23Fの頂部高さHtが最も大きい構成であることが好ましい。こうした構成であれば、複数の頂部23が、側端頂部23Fから第1方向に沿って順に、皮膚Skを刺さっていきやすいため、複数の頂部23による皮膚Skの切り裂きが円滑に進行しやすい。
本実施形態の経皮投与デバイス10の使用方法では、図8が示すように、指等の押圧体50を、突起部22の延びる方向である第1方向に沿って往復動させつつ、基体21を皮膚Skに向けて押圧する。具体的には、基体21の第2面21Tおよび粘着シート30の裏面に押圧体50を沿わせて第1方向に往復動させながら、押圧体50によって基体21を押圧する。
こうした使用方法によれば、各頂部23が第1方向に沿って動かされることにより、複数の頂部23が、頂部23ごとに皮膚Skを切り裂きながら皮膚Skの内部へ進入する。したがって、突起部が1つの点状あるいは線状の先端を有する頂部を備える形態と比較して、突起部の先端領域によって皮膚Skが切り開かれやすくなるため、図9が示すように、突起部22の全体が皮膚Skに深く刺さりやすくなる。
特に、複数の頂部23が第1方向に沿って並ぶことにより、皮膚Skにおいて頂部23ごとに切り裂かれた部分が第1方向に繋がる。したがって、これらの頂部23による皮膚Skの切り裂きによって、突起部22の全体が挿入される孔の形成が効率よく進められる。また、突起部22の先端領域が鋸刃状の形状を有しているため、第1方向に沿って往復動する押圧体50からの力を受けて複数の頂部23が動くとき、各頂部23が皮膚Skを切り裂きやすくなる。これによっても、複数の頂部23による皮膚Skの切り裂きによって、突起部22の全体が挿入される孔の形成が効率よく進められ、突起部22の全体が皮膚Skにより深く刺さりやすくなる。
また、経皮投与デバイス10の使用者にとって、粘着シート30を介して、粘着シート30および基体21の長軸方向に沿って基体21を皮膚Skに押し付けることは、その他の方向に沿って基体21を皮膚Skに押し付けることよりも容易である。突起部22の延びる方向と、基体21の長軸方向と、粘着シート30の長軸方向とが揃っている構成であれば、経皮投与デバイス10の使用者にとって、粘着シート30を皮膚Skに押し付けやすい方向、および、基体21を皮膚Skに押し付け易い方向が、突起部22を皮膚Skに押し付けるべき方向と一致している。したがって、使用者は、突起部22を皮膚Skに刺す操作を容易に行うことができる。なお、経皮投与デバイス10に対する押圧の方向や押圧の開始位置等を示す案内が、経皮投与デバイス10に直接に付されていてもよいし、経皮投与デバイス10を収容するケース等とともに間接的に示されてもよい。
さらに、本実施形態の突起部22は、第1方向に延びる形状を有するため、マイクロニードルデバイスが有する突起部のように第3方向に針状に延びる突起部と比較して、基体21の第1面21Sに沿った方向の力に対する強度が高い。したがって、皮膚Skの穿孔に際して、第1面21Sに沿った方向の力を受けて突起部22が変形することが抑えられるため、こうした変形に起因した穿孔機能の低下が抑えられる。
また、本実施形態の突起部22は、上記針状に延びる突起部と比較して、容積や表面積を大きく確保しやすいため、突起部22に含有可能な薬剤の量や、突起部22の表面に塗布可能な薬剤の量を大きく確保しやすい。また、上記針状に延びる突起部と比較して、本実施形態の突起部22は、基体21の第1面21S内に区画される底面の面積を大きく確保しやすいため、投与部の製造工程において、凹版に投与部の材料を充填する際に、突起部に対応する凹部に材料を充填しやすい。
さらに、第3方向に針状に延びる突起部に複数の頂部を設けようとすれば、各頂部が微小になりすぎて突起部の強度が低くなるとともに突起部の形成も困難である。これに対し、本実施形態では、突起部22を、第1面21Sに沿った方向に延びる突起部に複数の頂部を設けた形状とすることにより、複数の頂部23を有する突起部22が好適に実現される。その結果、第1面21Sに沿った方向の力に対して変形しにくく、かつ、皮膚Skに深く刺さりやすい突起部22の実現が可能である。
なお、上述の使用方法で用いられる押圧体50は指に限らず、経皮投与デバイス10を皮膚Skに押し当てるための器具等であってもよい。
以上説明したように、本実施形態の経皮投与デバイスおよびその使用方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)経皮投与デバイス10において、突起部22が、第1方向に延びる基部25と、基部25に繋がる3以上の頂部23とを有している。そのため、経皮投与デバイス10の使用に際しては、第1方向に沿って往復動する押圧体50による押圧力を受けて、複数の頂部23が、頂部23ごとに皮膚を切り裂きながら皮膚の内部へ進入する。したがって、突起部22が1つの頂部を有する形態と比較して、突起部22の先端領域によって皮膚が切り開かれやすくなるため、突起部22の全体が皮膚に深く刺さりやすくなる。すなわち、突起部22を、容易に皮膚に深く刺すことができる。
(2)複数の頂部23が第1方向に沿って並ぶため、皮膚において頂部23ごとに切り裂かれた部分が第1方向に繋がる。それゆえ、これらの頂部23による皮膚の切り裂きによって、突起部22の全体が挿入される孔の形成が効率よく進められる。
(3)第2方向から見て、各頂部23の頂角の二等分線Apは、第1方向における突起部22の両端部のうちの共通する一方の端部に向けて傾いている。こうした構成によれば、突起部22の先端領域が鋸刃状の形状となる。そのため、第1方向に沿って往復動する押圧体50からの押圧力を受けて複数の頂部23が動くとき、各頂部23が皮膚を切り裂きやすくなる。それゆえ、これらの頂部23による皮膚の切り裂きによって、突起部22の全体が挿入される孔の形成が効率よく進められる。
(4)谷部高さHvが突起部高さHpの4分の1以上であることにより、突起部22における基部25の割合が十分に確保され、突起部22の基端領域の強度が高められる。その結果、第1面21Sに沿った方向の力に対して突起部22が変形しにくくなる。したがって、突起部22の変形による穿孔機能の低下が抑えられる。
(5)各頂部23が、頂部23ごとに1つの頂点に向けて尖る形状を有するため、頂部が線状の先端を有する形態と比較して、頂部23が鋭利になる。そのため、頂部23が皮膚に刺さりやすくなる。
(6)経皮投与デバイス10の使用方法は、突起部22の先端領域を穿孔対象の皮膚に向けて配置し、第2面21Tから基体21を押圧する押圧体50を用いて、押圧体50を第1方向に往復動させながら押圧体50によって基体21を押圧することを含む。こうした使用方法によれば、突起部22における複数の頂部23が、頂部23ごとに皮膚を切り裂きながら皮膚の内部へ進入するため、突起部22の全体が皮膚に深く刺さりやすくなる。
(7)経皮投与デバイス10の使用方法は、第1方向における突起部22の両端部のうち、各頂部23の頂角の二等分線Apが傾く方に位置する端部に最も近い側端頂部23Fから、突起部22を皮膚に押し付けることを含む。こうした使用方法によれば、皮膚に対して頂部23がその傾きに合わせて配置され、頂部23の先端と皮膚の表面とが対向しやすくなるため、頂部23が皮膚に刺さりやすくなる。
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・突起部22が、全体として第1方向に延びる形状を有し、第1方向に延びる基部25と、基部25に繋がる3以上の頂部23とを備える形態であれば、各面27A,27B,27Cの形状や配置、頂部23の形状や配置、谷部24の形状や配置は、上記実施形態と異なっていてもよい。突起部22が複数の頂部23を備えていれば、上記(1)および(6)の効果は得られる。
例えば、頂部23の数は3以上であればよく、突起部22の第1幅D1は、頂部23の数に応じて拡張されればよい。具体的には、例えば、図6にて第1方向に並ぶ複数の突起部22が互いに繋がって1つの突起部を構成するように、突起部22が第1方向に延び、多数の頂部23を有していてもよい。
また例えば、複数の頂部23が全体として第1方向に並んでいれば、複数の頂点Ptは、第1方向とは異なる方向に延びる直線上に並んでいてもよいし、直線上には並んでいなくてもよい。さらには、複数の頂部23が、例えば折れ線上に並ぶ等のように配置され、第1方向に延びる直線上には並んでいなくてもよい。
また例えば、頂部23の先端は線状に延びていてもよいし、谷部24の底は面状の広がりを有していてもよい。
また例えば、頂部23の二等分線Apは、同一の向きに傾斜していなくてもよい。複数の頂部23の二等分線Apには、第3方向に沿って延びる二等分線Apが含まれてもよいし、突起部22における第1方向の一方の端部に向けて傾く二等分線Apと他方の端部に向けて傾く二等分線Apとが含まれてもよい。例えば、第1方向に並ぶ複数の頂部23のうち、一方の端部に近い方から中央までの頂部23の二等分線Apは、当該一方の端部に向けて傾き、他方の端部に近い方から中央までの頂部23の二等分線Apは、当該他方の端部に向けて傾いてもよい。こうした構成によれば、第1方向の両端部のうちのいずれの端部から突起部22を皮膚に押し付けた場合でも、突起部22が皮膚に刺さりやすいため、押圧を開始する端部の位置によって穿孔の進行の状況に差異が生じることが抑えられる。また例えば、基体21の第1面21S上において、基体21における第1方向の一方の端部に近い方から中央までの突起部22の頂部23の二等分線Apは、当該一方の端部に向けて傾き、他方の端部に近い方から中央までの突起部22の頂部23の二等分線Apは、当該他方の端部に向けて傾いてもよい。すなわち、第1面21S上の位置によって、突起部22における頂部23の傾きの方向が変化してもよい。こうした構成によれば、経皮投与デバイス10における押圧を開始する端部の位置によって穿孔の進行の状況に差異が生じることが抑えられる。
また例えば、2つの副側面27Bの各々が頂点Ptまで延びて頂部23を構成していてもよいし、第1方向において側端頂部23Fと反対側の端部には、副側面27Bが位置せず、頂点Ptから延びる稜線状の部分が第1面21Sまで延びていてもよい。
また例えば、2つの主側面27Aの形状は互いに異なっていてもよいし、主側面27Aの底辺は第1方向とは異なる方向に延びていてもよいし、副側面27Bの底辺は第2方向とは異なる方向に延びていてもよい。例えば、突起部22の底面は矩形とは異なる形状であってもよい。
また例えば、各面27A,27B,27Cの傾斜の向きは、上記実施形態と異なっていてもよいし、各面27A,27B,27Cには曲面が含まれてもよいし、各面27A,27B,27Cは、傾斜の異なる複数の部分から構成されてもよい。
・経皮投与デバイス10の穿孔対象、すなわち、薬剤の投与対象は、生体であればよく、人体でなくてもよい。投与される薬剤は、医薬品とは異なる薬剤を含み得る。
Pt…頂点、10…経皮投与デバイス、20…投与部、21…基体、21S…第1面、21T…第2面、22…突起部、23…頂部、24…谷部、25…基部、27A…主側面、27B…副側面、27C…頂面、30…粘着シート、31…基材シート、32…粘着層、50…押圧体。

Claims (7)

  1. 第1面を有する基体と、前記第1面から突き出た突起部と、を有する投与部を備え、
    前記突起部は、前記第1面に沿った方向である第1方向に延びる形状を有し、前記第1方向に延びる基部と、前記基部に繋がる3以上の頂部とを備える
    経皮投与デバイス。
  2. 前記3以上の頂部は、前記第1方向に沿って並ぶ
    請求項1に記載の経皮投与デバイス。
  3. 前記頂部は、頂部ごとに1つの頂点に向けて尖る形状を有する
    請求項1または2に記載の経皮投与デバイス。
  4. 前記第1面に沿った方向であって前記第1方向に直交する方向が第2方向であり、
    前記第2方向から見て、各頂部の頂角の二等分線は、前記第1方向における前記突起部の両端部のうちの共通する一方の端部に向けて傾いている
    請求項3に記載の経皮投与デバイス。
  5. 前記第1面に沿った方向であって前記第1方向に直交する方向が第2方向であり、前記第1方向および前記第2方向と直交する方向が第3方向であって、
    互いに隣り合う前記頂部の間で窪む部分が谷部であり、
    前記第1面から前記谷部の底までの前記第3方向に沿った長さは、前記突起部の第3方向に沿った最大の長さの4分の1以上である
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の経皮投与デバイス。
  6. 第1面および前記第1面とは反対側の面である第2面を有する基体と、前記第1面から突き出た突起部と、を有する投与部を備える経皮投与デバイスの使用方法であって、
    前記突起部は、前記第1面に沿った方向である第1方向に延びる形状を有し、前記第1方向に延びる基部と、前記基部に繋がる3以上の頂部とを備え、
    前記突起部の先端領域を穿孔対象の皮膚に向けて配置し、前記第2面から前記基体を押圧する押圧体を用いて、前記押圧体を前記第1方向に往復動させながら前記押圧体によって前記基体を押圧することを含む
    経皮投与デバイスの使用方法。
  7. 前記第1面に沿った方向であって前記第1方向に直交する方向が第2方向であり、
    前記第2方向から見て、各頂部の頂角の二等分線は、前記第1方向における前記突起部の両端部のうちの共通する一方の端部に向けて傾いており、
    複数の前記頂部のうち、前記一方の端部に最も近い前記頂部から、前記突起部を前記皮膚に押し付けることを含む
    請求項6に記載の経皮投与デバイスの使用方法。
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