JP2018135286A - 凹凸構造体、経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスセット - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融の制御が容易な凹凸構造体、経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスセットを提供する。
【解決手段】凹凸構造体は、第1面21Sを有する基体21と、第1面21Sから突き出た突起部22とを備える。凹凸構造体は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、突起部22のみに含んでいてもよいし、基体部21のみに含んでいてもよいし、突起部22と基体部21の両方に含んでいてもよい。上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、炭化水素又は脂肪酸から選択される材料を含む。
【選択図】図8
【解決手段】凹凸構造体は、第1面21Sを有する基体21と、第1面21Sから突き出た突起部22とを備える。凹凸構造体は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、突起部22のみに含んでいてもよいし、基体部21のみに含んでいてもよいし、突起部22と基体部21の両方に含んでいてもよい。上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、炭化水素又は脂肪酸から選択される材料を含む。
【選択図】図8
Description
本発明は、微小な突起部を有する凹凸構造体、凹凸構造体を投与部として備える経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスセットに関する。
薬剤の投与対象に対して薬剤を皮膚から投与する方法として、経皮投与デバイスを用いる方法が知られている。経皮投与デバイスは、皮膚を穿孔するための微小な突起部と、突起部を支持する部分である基体とを有する凹凸構造体である投与部を備えている。例えば、投与部の一例であるマイクロニードルは、先端に向けて尖る針形状を有した突起部を有している。経皮投与デバイスを用いた薬剤の投与方法では、突起部が皮膚に押し付けられることによって皮膚に孔が形成され、この孔から投与対象の体内に薬剤が送り込まれる。
こうした投与部の一例では、投与部は、水への溶解性を有する材料から構成され、薬剤は、突起部に含有される。そして、皮膚に刺さった突起部が、皮膚の表面や内部の水分に起因して溶解することによって、薬剤が体内に入る(例えば、特許文献1参照)。
上述のように投与部が水への溶解性を有する場合、投与部は、皮膚に突起部が刺された直後から溶解を開始し、その溶解の速さは皮膚の水分量によって変わり得る。そして、皮膚の水分量は、投与対象の個体ごとに異なり、また、同一の個体であっても、湿度等の周囲の環境によって皮膚の水分量は変わる。したがって、投与部の溶解の態様、すなわち、投与部が溶解を始めるタイミングや溶解の速さを人為的に制御することは困難である。
また、投与部の一部の溶解性を他の部分と異ならせ、例えば、突起部と基体との溶解性を異ならせ、この溶解性の差を効果的な薬剤の投与に利用することも提案されている。しかしながら、こうした場合にも、突起部と基体とで、溶解の開始のタイミングを独立に制御することは困難であり、また、突起部と基体との溶解の速さの差は、皮膚の水分量によって変わり得る。したがって、投与部の溶解の制御には限界がある。
本発明は、溶解の制御が容易な凹凸構造体、経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスセットを提供することを目的とする。
本発明は、溶解の制御が容易な凹凸構造体、経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスセットを提供することを目的とする。
上記課題を解決する凹凸構造体は、第1面を有する基体と、前記第1面から突き出た突起部とを備える凹凸構造体であって、前記凹凸構造体は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する。
上記構成によれば、上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、加熱によって溶融を開始する。したがって、上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分については、加熱のタイミングを制御することによって、溶融の開始のタイミングを制御することができる。
上記凹凸構造体において、前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、炭化水素及び脂肪酸から選択される1以上の材料を含むことが好ましい。
上記構成によれば、上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分において、常温よりも高い温度にて溶融する構成が好適に実現される。
上記構成によれば、上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分において、常温よりも高い温度にて溶融する構成が好適に実現される。
上記課題を解決する経皮投与デバイスは、上記凹凸構造体を投与部として備え、前記突起部が薬剤を含む。
上記構成によれば、投与部の溶融の制御が容易な経皮投与デバイスが実現される。
上記経皮投与デバイスにおいて、前記基体および前記突起部の双方が、前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含んでもよい。
上記構成によれば、投与部の溶融の制御が容易な経皮投与デバイスが実現される。
上記経皮投与デバイスにおいて、前記基体および前記突起部の双方が、前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含んでもよい。
上記構成によれば、経皮投与デバイスの加熱のタイミングを制御することによって、投与部全体の溶融の開始のタイミングを制御することが可能であり、薬剤の体内への拡散が開始されるタイミングの調整も可能である。
上記経皮投与デバイスにおいて、前記基体および前記突起部のうち、前記突起部のみが、前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含んでもよい。
上記経皮投与デバイスにおいて、前記基体および前記突起部のうち、前記突起部のみが、前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含んでもよい。
上記構成によれば、経皮投与デバイスの加熱のタイミングを制御することによって、突起部の加熱の開始のタイミングを制御することが可能であり、薬剤の体内への拡散が開始されるタイミングの調整も可能である。また、基体についての材料選択の自由度が高められる。
上記経皮投与デバイスにおいて、前記基体が、前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含み、前記突起部は、常温で水への溶解性を有する高分子材料を主成分として含んでもよい。
上記構成によれば、経皮投与デバイスの加熱のタイミングの制御によって、突起部よりも先に基体のみを溶融させ、突起部を皮内に残すことが可能である。したがって、突起部に含有されている薬剤を長時間にわたって体内に拡散させることを投与の目的とする場合に適した構成が実現される。
上記課題を解決する経皮投与デバイスセットは、第1面を有する基体、および、前記第1面から突き出た突起部であって薬剤を含む前記突起部を備える投与部であって、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する前記投与部を備える経皮投与デバイスと、前記投与部を加熱するための加熱部材と、を備える。
上記構成の経皮投与デバイスセットを用いることによって、加熱部材による投与部の加熱により投与部の溶融を的確に制御しつつ、投与対象に薬剤を投与することができる。
上記課題を解決する経皮投与デバイスセットは、第1面を有する基体、および、前記第1面から突き出た突起部であって薬剤を含む前記突起部を備える投与部であって、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する前記投与部を備える経皮投与デバイスと、前記投与部を加熱するための加熱部材と、を備える。
上記構成の経皮投与デバイスセットを用いることによって、加熱部材による投与部の加熱により投与部の溶融を的確に制御しつつ、投与対象に薬剤を投与することができる。
本発明によれば、凹凸構造体および経皮投与デバイスにおける溶融の制御を容易とすることができる。
図1〜図8を参照して、凹凸構造体、経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスセットの一実施形態について説明する。
[経皮投与デバイスの構成]
図1および図2を参照して、経皮投与デバイスの形状について説明する。
図1が示すように、経皮投与デバイス10は、マイクロニードル20と、粘着シート30とを備えている。マイクロニードル20は、凹凸構造体である投与部の一例である。
図1および図2を参照して、経皮投与デバイスの形状について説明する。
図1が示すように、経皮投与デバイス10は、マイクロニードル20と、粘着シート30とを備えている。マイクロニードル20は、凹凸構造体である投与部の一例である。
マイクロニードル20は、板状を有する基体21と、基体21から突き出た突起部22とを備えている。基体21は、突起部22の配置された面である第1面21Sと、第1面21Sとは反対側の面である第2面21Tとを有し、第1面21Sは突起部22の基端を支持している。すなわち、突起部22は、基体21の第1面21Sから突き出ている。第1面21Sと対向する方向から見た基体21の外形は特に限定されず、基体21の外形は、円形や楕円形であってもよいし、矩形であってもよい。
突起部22の形状は、角錐形状であってもよいし、円錐形状であってもよい。また、突起部22は、例えば、円柱形状や角柱形状のように、先端が尖っていない形状であってもよい。また、突起部22は、例えば、円柱に円錐が積層された形状のように、2以上の立体が結合した形状であってもよい。要は、突起部22は皮膚を刺すことが可能な形状であればよい。また、突起部22の側壁には、括れや段差が形成されていてもよいし、溝や孔が形成されていてもよい。
突起部22の数は1以上であれば特に限定されない。マイクロニードル20が複数の突起部22を有する場合、複数の突起部22は、基体21の第1面21Sに規則的に並んでいてもよいし、不規則に並んでいてもよい。例えば、複数の突起部22は、格子状や同心円状に配列される。
粘着シート30は、基材シート31と、基材シート31が有する2つの面のうちの一方を覆う粘着層32とを備えている。粘着層32における基材シート31と接する面とは反対側の面が、粘着シート30の粘着面であり、この粘着面に基体21の第2面21Tが貼り付けられている。
第1面21Sと対向する方向から見て、粘着シート30の外形は基体21よりも大きく、基体21の外周の全域にわたって、基体21の外側に粘着層32がはみ出し、上記粘着面が露出している。第1面21Sと対向する方向から見た粘着シート30の外形は特に限定されず、粘着シート30の外形は、円形や楕円形であってもよいし、矩形であってもよい。
なお、経皮投与デバイス10は、凹凸構造体を備えていればよく、粘着シート30を備えず、凹凸構造体単体であってもよい。また、経皮投与デバイス10は、投与部と粘着シート30に加えて、あるいは、粘着シート30に代えて、他の部材を備えていてもよい。例えば、経皮投与デバイス10は、粘着シート30の粘着面を覆う保護シートを備えていてもよい。
なお、経皮投与デバイス10は、凹凸構造体を備えていればよく、粘着シート30を備えず、凹凸構造体単体であってもよい。また、経皮投与デバイス10は、投与部と粘着シート30に加えて、あるいは、粘着シート30に代えて、他の部材を備えていてもよい。例えば、経皮投与デバイス10は、粘着シート30の粘着面を覆う保護シートを備えていてもよい。
図2が示すように、突起部22の長さHは、基体21の厚さ方向、すなわち、基体21の第1面21Sと直交する方向における、第1面21Sから突起部22の先端までの長さである。突起部22の長さHは、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、突起部22の長さHは、この範囲のなかで、突起部22によって穿孔の対象に形成される孔に必要な深さに応じて決定される。穿孔の対象が人体の皮膚であって、孔の底が角質層内に設定される場合、長さHは10μm以上300μm以下であることが好ましく、30μm以上200μm以下であることがより好ましい。孔の底が角質層を貫通し、かつ、神経層へ到達しない深さに設定される場合、長さHは200μm以上700μm以下であることが好ましく、200μm以上500μm以下であることがより好ましく、200μm以上300μm以下であることがさらに好ましい。孔の底が真皮に到達する深さに設定される場合、長さHは200μm以上500μm以下であることが好ましい。孔の底が表皮に到達する深さに設定される場合、長さHは200μm以上300μm以下であることが好ましい。
突起部22の幅Dは、基体21の第1面21Sに沿った方向、すなわち、第1面21Sと平行な方向における突起部22の長さの最大値である。例えば、突起部22が正四角錐形状や正四角柱形状を有するとき、基体21の第1面21Sにて、突起部22の底部によって区画された正方形における対角線の長さが、突起部22の幅Dである。また、例えば、突起部22が円錐形状や円柱形状を有するとき、突起部22の底部によって区画された円の直径が、突起部22の幅Dである。突起部22の幅Dは、1μm以上300μm以下であることが好ましい。
突起部22の幅Dに対する長さHの比であるアスペクト比A(A=H/D)は、1以上10以下であることが好ましい。
突起部22の幅Dに対する長さHの比であるアスペクト比A(A=H/D)は、1以上10以下であることが好ましい。
突起部22の先端が尖った形状に形成され、突起部22によって角質層を貫通する深さの孔を形成する場合、突起部22の先端角θは5°以上30°以下であることが好ましく、10°以上20°以下であることがより好ましい。先端角θは、基体21の厚さ方向に沿った断面において、突起部22の先端が形成する角度の最大値である。例えば、突起部22が正四角錐形状を有するとき、突起部22の先端角θは、突起部22の底部が区画する正方形の対角線を底辺とし、正四角錐の頂点を頂点とする三角形の頂角である。
突起部22の幅D、アスペクト比A、および、先端角θは、突起部22によって形成される孔が必要とする容積等に応じて決定される。長さH、幅D、アスペクト比A、および、先端角θが上記の範囲内であれば、突起部22の形状が、皮膚に対する孔の形成に適した形状となる。なお、基体21の厚さ、すなわち、第1面21Sから第2面21Tまでの最短の長さは、特に限定されない。
続いて、経皮投与デバイス10を構成する各部の材料について説明する。
マイクロニードル20は生体適合性を有する材料から構成されることが好ましい。そして、基体21および突起部22は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含んでいる。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する材料により形成されている。さらには、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、35℃以上60℃以下の範囲内で溶融する部分であることが好ましい。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を形成する材料としては、炭化水素や脂肪酸を例示することができる。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、炭化水素及び脂肪酸から選択される1以上の材料を含むことが好ましい。
マイクロニードル20は生体適合性を有する材料から構成されることが好ましい。そして、基体21および突起部22は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含んでいる。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する材料により形成されている。さらには、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、35℃以上60℃以下の範囲内で溶融する部分であることが好ましい。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を形成する材料としては、炭化水素や脂肪酸を例示することができる。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、炭化水素及び脂肪酸から選択される1以上の材料を含むことが好ましい。
融点が20℃以上65℃以下の範囲内の炭化水素としては、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ペンタコサン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
融点が20℃以上65℃以下の範囲内の脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸やリノール酸、ココアバター、バター、アーモンド油、ヒマシ油、ツェーデル油、アボカド油、チョウジ油、綿実油、ローズヒップ油、ベユーカリ油、ウイキョウ油、オリガヌム油、ブドウ種子油、ホホバ油、ククイナッツ油、ラベンダー油、レモン油、マカデミアナッツ油、コーン油、メドウフォーム油、ベルガモット油、オリーブ油、オレンジ油、ヤシ油、パーム油、パーシック油、ナタネ油、ニバナ油、ゴマ油、アマニ油、大豆油、ヒマワリ油、テレビン油が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、本発明においては、脂肪酸として、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムといった脂肪酸塩も用いることができる。
なお、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、混合物により形成されていてもかまわない。
また、突起部22は、薬剤を含有している。薬剤は、皮内に投与されることにより機能する物質であれば、その種類は特に限定されない。薬剤としては、例えば、各種タンパク質や、薬理活性物質や、化粧品組成物等が挙げられ、目的に応じて選択される。
薬理活性物質としては、例えば、インフルエンザ等のワクチン、癌患者等のための鎮痛薬、インスリン、生物製剤、遺伝子治療薬、注射剤、経口剤、または、皮膚適用製剤等が挙げられる。経皮投与デバイス10を用いた投与方法では、皮膚に形成された孔に薬剤が投与される。そのため、経皮投与デバイス10を用いた投与方法は、従来の経皮投与に用いられる薬理活性物質以外に、皮下注射が必要な薬理活性物質の投与にも利用できる。特に、経皮投与デバイス10を用いた投与方法は、投与の際に患者に痛みを与えないため、小児に対するワクチン等の注射剤の投与に適している。また、経皮投与デバイス10を用いた投与方法は、投与の際に患者が薬剤を飲むことを要しないため、経口剤を飲むことが困難な小児に対する経口剤の投与に適している。
化粧品組成物は、化粧品あるいは美容品として用いられる組成物である。化粧品組成物としては、例えば、保湿剤、色料、香料、または、シワやニキビや妊娠線等に対する改善効果や脱毛に対する改善効果等の美容効果を示す生理活性物質等が挙げられる。化粧品組成物として芳香を有する材料を用いると、経皮投与デバイス10に匂いを付与することができるため、美容品に適した経皮投与デバイス10が得られる。
なお、薬剤は基体21にも含有されていてもよい。基体21および突起部22の各々が薬剤を含み、基体21と突起部22との組成が同一であれば、基体21と突起部22とを一体に形成できるため、マイクロニードル20の製造が容易である。一方、突起部22のみが薬剤を含む構成であれば、マイクロニードル20のなかで皮内に挿入される部位に集中的に薬剤が位置することとなるため、薬剤の効率的な利用が可能であり、マイクロニードル20の形成に要する薬剤量の削減が可能である。
粘着シート30の材料は特に限定されないが、基材シート31としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート等からなる樹脂フィルムが用いられ、粘着層32は、例えば、エポキシ系やアクリル系の粘着剤から形成される。粘着シート30は、投与対象の皮膚の形状に沿って変形することが可能な柔軟性を有するように構成されることが好ましい。また、粘着シート30は、外部とマイクロニードル20との間での熱伝導を阻害し難いように構成されることが好ましい。
[経皮投与デバイスの製造方法]
図3〜図5を参照して、経皮投与デバイス10の製造方法について説明する。
まず、所望のマイクロニードル20の形状と同一の形状を有する原版が形成される。原版は、原版が有する形状に応じた公知の方法で形成されればよく、例えば、微細加工技術を用いて形成される。微細加工技術としては、例えば、リソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法、または、精密機械加工法等が挙げられる。
図3〜図5を参照して、経皮投与デバイス10の製造方法について説明する。
まず、所望のマイクロニードル20の形状と同一の形状を有する原版が形成される。原版は、原版が有する形状に応じた公知の方法で形成されればよく、例えば、微細加工技術を用いて形成される。微細加工技術としては、例えば、リソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法、または、精密機械加工法等が挙げられる。
図3が示すように、次に、原版から、原版の凹凸を反転させた形状の凹部51を有する凹版50が形成される。凹版50は、公知の形状転写法によって形成される。形状転写法としては、例えば、Ni電鋳法によってNi製の凹版を形成する方法や、溶融した樹脂を用いて転写成形を行う方法等が挙げられる。これにより、製造対象の突起部22に追従する形状の窪みを含む凹部51を有する凹版50が形成される。
図4が示すように、続いて、形成された凹版50の凹部51に、マイクロニードル20の形成材料が充填される。形成材料が加熱により溶融する材料であれば、加熱により形成された凹版50にマイクロニードル20の形成材料が供給され、固化される。また、形成材料が水等の溶媒に溶解する材料であれば、溶液を形成された凹版50の凹部51に供給し乾燥により溶媒を除去することにより、マイクロニードル20の形成材料が固化される。基体21の組成と突起部22の組成とが異なる場合、例えば、突起部22のみが薬剤を含む場合や、基体21に含まれる材料と突起部22に含まれる材料とが異なる場合には、基体21と突起部22との組成に応じて、基体21の形成のための材料と突起部22の形成のための材料とを各別に調整すればよい。
基体21の組成と突起部22の組成とが異なる場合、まず、突起部22の形成のための材料が凹部51のなかで突起部22の形状に対応する部分に供給され、この材料が固化された後、この乾燥された充填物の上から、基体21の形成のための材料がさらに供給され、固化される。
図5が示すように、材料の固化によって形成された成形物が凹版50から離型されることによって、マイクロニードル20が得られる。成形物が機械加工により打ち抜かれることによって、マイクロニードル20の外形が整えられてもよい。
こうして形成されたマイクロニードル20に粘着シート30が貼り付けられることによって、経皮投与デバイス10が形成される。
こうして形成されたマイクロニードル20に粘着シート30が貼り付けられることによって、経皮投与デバイス10が形成される。
[経皮投与デバイスの使用方法]
図6〜図8を参照して、経皮投与デバイスセットの構成とともに、経皮投与デバイス10の使用方法、および、その作用について説明する。
経皮投与デバイスセットは、経皮投与デバイス10と、マイクロニードル20を加熱するための加熱部材とから構成される。
経皮投与デバイス10を用いて投与対象に薬剤を投与するとき、まず、マイクロニードル20の基体21の第1面21Sが、薬剤を投与する部位に向けられ、すなわち、突起部22の先端が皮膚に向けられて、マイクロニードル20が皮膚に押し付けられる。そして、基体21の外側にはみ出ている粘着シート30の粘着面が皮膚に貼り付けられる。
これにより、図6が示すように、突起部22が投与対象の皮膚Skに刺さった状態で、経皮投与デバイス10が投与対象に固定される。
続いて、図7が示すように、所定の温度に加熱された加熱部材40が、粘着シート30の基材シート31上から、経皮投与デバイス10に押し当てられる。
図6〜図8を参照して、経皮投与デバイスセットの構成とともに、経皮投与デバイス10の使用方法、および、その作用について説明する。
経皮投与デバイスセットは、経皮投与デバイス10と、マイクロニードル20を加熱するための加熱部材とから構成される。
経皮投与デバイス10を用いて投与対象に薬剤を投与するとき、まず、マイクロニードル20の基体21の第1面21Sが、薬剤を投与する部位に向けられ、すなわち、突起部22の先端が皮膚に向けられて、マイクロニードル20が皮膚に押し付けられる。そして、基体21の外側にはみ出ている粘着シート30の粘着面が皮膚に貼り付けられる。
これにより、図6が示すように、突起部22が投与対象の皮膚Skに刺さった状態で、経皮投与デバイス10が投与対象に固定される。
続いて、図7が示すように、所定の温度に加熱された加熱部材40が、粘着シート30の基材シート31上から、経皮投与デバイス10に押し当てられる。
加熱部材40の材料は特に限定されないが、20℃以上60℃以下の温度を範囲を持続しやすい材料であることが好ましく、加熱部材40としては、例えば、金属製のブロックやペルチェ素子が用いられる。あるいは、加熱部材40としてカイロ等が用いられてもよい。また、加熱部材40の温度は、マイクロニードル20を構成する材料に応じて、マイクロニードル20が溶融する温度に設定されればよい。
加熱部材40によって、粘着シート30を介してマイクロニードル20が加熱され、その結果、図8が示すように、基体21および突起部22が溶融する。これにより、突起部22、もしくは、突起部22および基体21に含まれる薬剤が、突起部22によって皮膚Skに形成された孔から、投与対象の体内に入る。
なお、経皮投与デバイス10の加熱の方法は、加熱部材40の使用に限られない。加熱部材40に代えて、粘着シート30の基材シート31上から、指等で激しく擦ることにより溶融されることも可能である。すなわち、経皮投与デバイスセットとして用いられる場合に限らず、経皮投与デバイス10の使用は可能である。
上記構成においては、マイクロニードル20は、常温よりも高い温度への加熱によって溶融するため、経皮投与デバイス10の加熱が開始される前においては、マイクロニードル20は溶融していない。そして、経皮投与デバイス10の加熱によって、マイクロニードル20が所定の温度まで加熱されると、マイクロニードル20は溶融を開始する。したがって、経皮投与デバイス10の加熱のタイミングを制御することによって、マイクロニードル20の溶融の開始のタイミングを制御することが可能であり、薬剤の体内への拡散が開始されるタイミングの調整も可能である。
[変形例]
マイクロニードル20は、少なくとも一部に、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有していればよい。すなわち、マイクロニードル20は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分とそれ以外の部分として20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分を備えていればよい。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分は、例えば融点が65℃を超える材料で形成することができる。
例えば、図9が示すように、突起部22のみが、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、基体21は、上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
反対に、図10が示すように、基体21のみが、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、突起部22は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
また、図11が示すように、突起部22における先端部が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、マイクロニードル20のなかで上記先端部を除く部分、すなわち、突起部22の基端部および基体21が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
反対に、図12が示すように、突起部22の基端部および基体21が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、突起部22における先端部が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
また、図13が示すように、突起部22および基体21のなかで厚さ方向の第1面21S側に位置する部分が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、基体21のなかで厚さ方向の第2面21T側に位置する部分が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
反対に、図14が示すように、基体21のなかで厚さ方向の第2面21T側に位置する部分が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、突起部22および基体21のなかで厚さ方向の第1面21S側に位置する部分が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
マイクロニードル20は、少なくとも一部に、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有していればよい。すなわち、マイクロニードル20は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分とそれ以外の部分として20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分を備えていればよい。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分は、例えば融点が65℃を超える材料で形成することができる。
例えば、図9が示すように、突起部22のみが、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、基体21は、上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
反対に、図10が示すように、基体21のみが、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、突起部22は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
また、図11が示すように、突起部22における先端部が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、マイクロニードル20のなかで上記先端部を除く部分、すなわち、突起部22の基端部および基体21が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
反対に、図12が示すように、突起部22の基端部および基体21が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、突起部22における先端部が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
また、図13が示すように、突起部22および基体21のなかで厚さ方向の第1面21S側に位置する部分が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、基体21のなかで厚さ方向の第2面21T側に位置する部分が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
反対に、図14が示すように、基体21のなかで厚さ方向の第2面21T側に位置する部分が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであり、突起部22および基体21のなかで厚さ方向の第1面21S側に位置する部分が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBであってもよい。
さらに、マイクロニードル20の有する20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAと20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBとの境界は、上記図9〜図14に示した構成とは異なっていてもよく、要は、マイクロニードル20の少なくとも一部が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAであればよい。なお、上述の図1〜図8を用いて説明した形態は、すなわち、マイクロニードル20の全体が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである形態である。
20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAは、上述のマイクロニードル20の全体が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである形態にてマイクロニードル20を構成する材料として挙げた材料から構成される。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBは、例えば、常温で水への溶解性を有する材料や、温度に関わらず水への溶解性を有さない材料から構成され、具体的には、例えば、水溶性高分子や熱可塑性樹脂から構成される。常温で水への溶解性を有する高分子材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルラン、アルギン酸塩、ペクチン、キトサン、キトサンサクシナミド、オリゴキトサン、トレハロース、マルトース等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリカプロラクトン、アクリル、ウレタン樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、および、エポキシ樹脂等が挙げられる。ただし、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBを構成する材料はこれらの材料に限定されない。
20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAは、上述のマイクロニードル20の全体が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである形態にてマイクロニードル20を構成する材料として挙げた材料から構成される。20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBは、例えば、常温で水への溶解性を有する材料や、温度に関わらず水への溶解性を有さない材料から構成され、具体的には、例えば、水溶性高分子や熱可塑性樹脂から構成される。常温で水への溶解性を有する高分子材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルラン、アルギン酸塩、ペクチン、キトサン、キトサンサクシナミド、オリゴキトサン、トレハロース、マルトース等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリカプロラクトン、アクリル、ウレタン樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、および、エポキシ樹脂等が挙げられる。ただし、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBを構成する材料はこれらの材料に限定されない。
マイクロニードル20の製造に際して、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAを構成する材料と、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBを構成する材料との凹版50への充填の順序や充填割合を調整することによって、マイクロニードル20において20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAと20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBとが位置する部位を調整することができる。
図9、図11、図13に示したように、マイクロニードル20が、第1面21Sと直交する方向に沿って20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAと20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBとに分けられ、突起部22の先端を含む部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである構成においては、以下の効果が得られる。すなわち、薬剤の投与に際して経皮投与デバイス10が加熱されると、突起部22の先端を含む部分が溶融するため、経皮投与デバイス10の加熱のタイミングを制御することによって、薬剤を含有する突起部22の溶融の開始のタイミングを制御することができる。したがって、薬剤の体内への拡散が開始されるタイミングの調整も可能である。
図9、図11、図13に示したように、マイクロニードル20が、第1面21Sと直交する方向に沿って20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAと20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBとに分けられ、突起部22の先端を含む部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである構成においては、以下の効果が得られる。すなわち、薬剤の投与に際して経皮投与デバイス10が加熱されると、突起部22の先端を含む部分が溶融するため、経皮投与デバイス10の加熱のタイミングを制御することによって、薬剤を含有する突起部22の溶融の開始のタイミングを制御することができる。したがって、薬剤の体内への拡散が開始されるタイミングの調整も可能である。
突起部22の先端を含む部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである構成では、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RB、すなわち、マイクロニードル20のなかで少なくとも基体21の第2面22Tを含む部分についての材料選択の自由度が高くなるため、基体21の全体が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである場合には実現が困難な剛性や強度等の特性をマイクロニードル20に付与することができる。
一方、図10、図12、図14に示したように、マイクロニードル20が、第1面21Sと直交する方向に沿って20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAと20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBとに分けられ、基体21の第2面22Tを含む部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである構成においては、以下の効果が得られる。すなわち、経皮投与デバイス10の加熱のタイミングの制御によって、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBよりも20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAを先に溶融させて、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBである突起部22の先端部を皮内に残存させ、突起部22に含まれる薬剤を長時間にわたって体内に拡散させることができる。
具体的には、例えば、基体21のみが20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである場合、薬剤の投与に際して経皮投与デバイス10が加熱されると、図15が示すように、基体21が溶融する。この場合、例えば、突起部22の主成分として、常温で水への溶解性を有し、かつ、溶解の速度が緩やかである高分子材料を用い、薬剤として、長時間にわたって徐々に体内に拡散されることで高い効果を発揮する薬剤を用いることができる。
具体的には、例えば、基体21のみが20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである場合、薬剤の投与に際して経皮投与デバイス10が加熱されると、図15が示すように、基体21が溶融する。この場合、例えば、突起部22の主成分として、常温で水への溶解性を有し、かつ、溶解の速度が緩やかである高分子材料を用い、薬剤として、長時間にわたって徐々に体内に拡散されることで高い効果を発揮する薬剤を用いることができる。
一般的に、常温で水への溶解性を有する材料は、低温では溶解しにくいため、基体21のみが20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである経皮投与デバイス10が加熱されて基体21が溶融したときには、突起部22は、完全には溶解していない状態で皮内に残っている。そして、基体21が溶融した後であれば、図16が示すように、粘着シート30を皮膚Skから剥離したとしても、突起部22は皮内に残り、その後、徐々に溶解する。
このように、基体21の第2面22Tを含む部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである構成においては、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBとして、突起部22の少なくとも先端部が皮内に残されるため、突起部22に含有されている薬剤を長時間にわたって体内に拡散させることができる。薬剤の機能に応じて突起部22が溶解の速度が緩やかであるように構成されているとき、突起部22の溶解が完了するまで粘着シート30を皮膚に貼り付けた状態で経皮投与デバイス10を皮膚に固定しておくことは、経皮投与デバイス10の使用者にとって負担や不快さが大きい場合がある。例えば、薬剤の投与される部位が顔面等のように目立つ部位である場合には特に、こうした負担や不快さが大きくなりやすい。これに対し、上述のように加熱によって20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAが溶融し、突起部22の少なくとも先端部を皮内に残して粘着シート30の剥離が可能である構成であれば、粘着シート30を貼り続けなくとも、薬剤の拡散効果を長時間にわたって得ることができる。
なお、図14に示したように、突起部22および基体21のなかで第1面21S側の部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBである構成では、基体21の一部も皮膚上に残存する。マイクロニードル20の製造方法においては、基体21が薄いほど凹版50からの成形物の剥離が困難になるため、基体21を薄くすることには限界があるが、図14の構成であれば、製造時における基体21の厚さを確保しつつ、基体21のなかで薬剤の投与に際して皮膚上に残される部分の厚みを小さくすることにより使用者の負担や不快さを軽減することも可能である。また、粘着シート30によってマイクロニードル20が皮膚に一旦固定されるため、薬剤の投与部位の設定、すなわち、皮膚に対するマイクロニードル20の位置の設定も容易である。
なお、図14に示したように、突起部22および基体21のなかで第1面21S側の部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分RBである構成では、基体21の一部も皮膚上に残存する。マイクロニードル20の製造方法においては、基体21が薄いほど凹版50からの成形物の剥離が困難になるため、基体21を薄くすることには限界があるが、図14の構成であれば、製造時における基体21の厚さを確保しつつ、基体21のなかで薬剤の投与に際して皮膚上に残される部分の厚みを小さくすることにより使用者の負担や不快さを軽減することも可能である。また、粘着シート30によってマイクロニードル20が皮膚に一旦固定されるため、薬剤の投与部位の設定、すなわち、皮膚に対するマイクロニードル20の位置の設定も容易である。
以上のように、基体21の第2面22Tを含む部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである構成においても、経皮投与デバイス10の加熱のタイミングを制御することによって、基体21の少なくとも第2面22Tを含む部分の溶融の開始のタイミングを制御することができる。したがって、粘着シート30の剥離が可能となるタイミングの調整も可能である。
このように、マイクロニードル20が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RA、すなわち、上記温度応答性の多糖類を主成分とする部分を有している構成であれば、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAについては、加熱のタイミングを制御することによって、溶融の開始のタイミングを制御することができる。そして、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAの溶融の開始のタイミングの制御によって、突起部22の先端を含む部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである構成では、薬剤の体内への拡散が開始されるタイミングの調整が可能であり、基体21の第2面22Tを含む部分が20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分RAである構成では、粘着シート30の剥離が可能となるタイミングの調整が可能である。
上記実施形態および変形例において、投与部が有する突起部22の形状は、針状、すなわち、基体21の厚さ方向の長さが基体21の第1面21Sに沿った方向の長さよりも長い形状に限られない。突起部22の形状は、ブレード状、すなわち、基体21の第1面21Sに沿った方向である1つの延在方向の長さが基体21の厚さ方向の長さよりも長く、突起部22の先端が、基体21の第1面21Sと直交する方向とは異なる方向、例えば延在方向に沿った方向に延びる線状に形成された形状であってもよい。例えば、突起部22は、延在方向に沿って延びる三角柱形状であって、三角柱が有する3つの矩形の側面のなかの1つが基体21に接し、かつ、他の2つの側面を区画する辺が突起部22の先端として機能する形状を有していてもよい。
さらに、基体21と突起部22とを備える凹凸構造体は、経皮投与デバイス10の投与部として用いられることに限らず、構造体の形状が溶融により崩れることを利用する種々の用途に用いられてもよい。こうした用途の1つとしては、例えば、細胞を培養するための支持体として突起部22を利用する細胞培養シートが挙げられる。具体的には、細胞の培養のためのシートを凹凸構造体の突起部で固定し、細胞の培養後に加熱により凹凸構造体を溶融させて上記シートを脱離させる使用方法が例示される。また、凹凸構造体上で細胞を培養し、凹凸構造体を加熱による溶融させて、培養された細胞を脱離させる使用方法が例示される。こうした場合、基体21および突起部22は薬剤を含有していなくてよく、また、突起部22は、用途に応じた形状や配列を有していればよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)凹凸構造体が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有するため、上記部分は、加熱によって溶融を開始する。したがって、加熱のタイミングを制御することによって、溶融の開始のタイミングを制御することができる。それゆえ、溶融の制御が容易である。そして、こうした基体21と突起部22とを備える凹凸構造体が経皮投与デバイス10における薬剤の投与のための投与部として用いられることにより、投与部の溶融の制御が容易な経皮投与デバイス10が実現される。また、経皮投与デバイス10と加熱部材40とから構成された経皮投与デバイスセットを用いることによって、加熱部材40による投与部の加熱により投与部の溶融を的確に制御しつつ、投与対象に薬剤を投与することができる。
(1)凹凸構造体が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有するため、上記部分は、加熱によって溶融を開始する。したがって、加熱のタイミングを制御することによって、溶融の開始のタイミングを制御することができる。それゆえ、溶融の制御が容易である。そして、こうした基体21と突起部22とを備える凹凸構造体が経皮投与デバイス10における薬剤の投与のための投与部として用いられることにより、投与部の溶融の制御が容易な経皮投与デバイス10が実現される。また、経皮投与デバイス10と加熱部材40とから構成された経皮投与デバイスセットを用いることによって、加熱部材40による投与部の加熱により投与部の溶融を的確に制御しつつ、投与対象に薬剤を投与することができる。
(2)上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する部分が、炭化水素及び脂肪酸から選択される1以上の材料を用いることにより、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する構成が好適に実現される。
(3)基体21および突起部22の双方が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する部分である構成では、経皮投与デバイス10の加熱のタイミングを制御することによって、投与部全体の溶融の開始のタイミングを制御することが可能であり、薬剤の体内への拡散が開始されるタイミングの調整も可能である。
(4)基体21および突起部22のうち、突起部22のみが、上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する部分である構成では、経皮投与デバイス10の加熱のタイミングを制御することによって、突起部22の溶融の開始のタイミングを制御することが可能であり、薬剤の体内への拡散が開始されるタイミングの調整も可能である。また、基体21についての材料選択の自由度が高められる。
(5)基体21が、上記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する部分を含み、突起部22が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない構成では、経皮投与デバイス10の加熱によって、突起部22よりも先に基体21のみを溶融させ、突起部22を皮内に残すことができる。したがって、突起部22に含有されている薬剤を長時間にわたって体内に拡散させることを投与の目的とする場合に適した構成が実現される。
[実施例]
上述した凹凸構造体および経皮投与デバイスについて、具体的な実施例を用いて説明する。
上述した凹凸構造体および経皮投与デバイスについて、具体的な実施例を用いて説明する。
(実施例1)
<凹版の形成>
精密機械加工によって、シリコン基板から、投与部であるマイクロニードルの原版を形成した。突起部の形状は、正四角錐(高さ:150μm、底面:60μm×60μm)であり、基板上に、1mm間隔で6列6行の格子状に36本の突起部を配列した。
次に、メッキ法によって、上記原版に500μmの厚さのニッケル膜を形成した。そして、90℃に加熱した、重量パーセント濃度が30%の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコンからなる原版をウェットエッチングにより除去し、ニッケル製の凹版を形成した。
<凹版の形成>
精密機械加工によって、シリコン基板から、投与部であるマイクロニードルの原版を形成した。突起部の形状は、正四角錐(高さ:150μm、底面:60μm×60μm)であり、基板上に、1mm間隔で6列6行の格子状に36本の突起部を配列した。
次に、メッキ法によって、上記原版に500μmの厚さのニッケル膜を形成した。そして、90℃に加熱した、重量パーセント濃度が30%の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコンからなる原版をウェットエッチングにより除去し、ニッケル製の凹版を形成した。
<材料液の調整>
ミリスチン酸を加熱して、薬剤としてローダミンBを加えて混合し、マイクロニードルの形成のための材料液を調整した。
ミリスチン酸を加熱して、薬剤としてローダミンBを加えて混合し、マイクロニードルの形成のための材料液を調整した。
<経皮投与デバイスの作製>
上記凹版に上記材料を加熱した材料液を充填した後、凹版を冷却し、材料液を固化させた。固化した成形物を凹版から剥離したのち、成形物を12mmφの円形に打抜いて、実施例1の凹凸構造体であるマイクロニードルを得た。実施例1のマイクロニードルにおいては、基体および突起部の双方が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する材料で形成される。
得られたマイクロニードルの基体に粘着シートを貼り付けて、実施例1の経皮投与デバイスを得た。
上記凹版に上記材料を加熱した材料液を充填した後、凹版を冷却し、材料液を固化させた。固化した成形物を凹版から剥離したのち、成形物を12mmφの円形に打抜いて、実施例1の凹凸構造体であるマイクロニードルを得た。実施例1のマイクロニードルにおいては、基体および突起部の双方が、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する材料で形成される。
得られたマイクロニードルの基体に粘着シートを貼り付けて、実施例1の経皮投与デバイスを得た。
<確認試験>
実施例1の経皮投与デバイスを、突起部をブタ皮膚に穿刺して、粘着シートをブタ皮膚に貼り付けることによって、ブタ皮膚に固定した。その後、市販のカイロを粘着シート上から経皮投与デバイスに10分間押し当て、経皮投与デバイスを52℃で加熱した。
実施例1の経皮投与デバイスを、突起部をブタ皮膚に穿刺して、粘着シートをブタ皮膚に貼り付けることによって、ブタ皮膚に固定した。その後、市販のカイロを粘着シート上から経皮投与デバイスに10分間押し当て、経皮投与デバイスを52℃で加熱した。
その後、経皮投与デバイスをブタ皮膚から剥がし、ブタ皮膚を共焦点顕微鏡で観察した。その結果、ブタ皮膚の皮内にローダミンBの蛍光発色が確認された。このことから、経皮投与デバイスの加熱によってマイクロニードルが溶融し、ローダミンBがブタ皮膚の皮内に拡散されたことが示唆される。
(実施例2)
<凹版の形成>
実施例1と同様の方法で、凹版を作製した。
<凹版の形成>
実施例1と同様の方法で、凹版を作製した。
<基体の材料の用意>
ペンタコサンを用意した。
ペンタコサンを用意した。
<突起部の材料溶液の調整>
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解して、重量パーセント濃度が10%であるヒドロキシプロピルセルロース水溶液を調整した。そして、このヒドロキプロピルセルロース水溶液に、薬剤としてエバンスブルーを加えて、突起部の形成のための材料溶液を調整した。
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解して、重量パーセント濃度が10%であるヒドロキシプロピルセルロース水溶液を調整した。そして、このヒドロキプロピルセルロース水溶液に、薬剤としてエバンスブルーを加えて、突起部の形成のための材料溶液を調整した。
<経皮投与デバイスの作製>
上記凹版の凹部における突起部の形状に対応する部分に突起部の材料溶液を充填した後、材料溶液の充填された凹版を40℃に設定したホットプレート上に配置することにより、材料溶液を乾燥固化させた。固化した充填物の上から、加熱した基体の材料液を凹版に充填して、基体の材料液を固化させた。固化した成形物を凹版から剥離したのち、成形物を12mmφの円形に打抜くことにより、実施例2の凹凸構造体であるマイクロニードルを得た。実施例2のマイクロニードルにおいては、基体のみが、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含む。
得られたマイクロニードルの基体に粘着シートを貼り付けて、実施例2の経皮投与デバイスを得た。
上記凹版の凹部における突起部の形状に対応する部分に突起部の材料溶液を充填した後、材料溶液の充填された凹版を40℃に設定したホットプレート上に配置することにより、材料溶液を乾燥固化させた。固化した充填物の上から、加熱した基体の材料液を凹版に充填して、基体の材料液を固化させた。固化した成形物を凹版から剥離したのち、成形物を12mmφの円形に打抜くことにより、実施例2の凹凸構造体であるマイクロニードルを得た。実施例2のマイクロニードルにおいては、基体のみが、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含む。
得られたマイクロニードルの基体に粘着シートを貼り付けて、実施例2の経皮投与デバイスを得た。
<確認試験>
実施例2の経皮投与デバイスを、突起部をブタ皮膚に穿刺して、粘着シートをブタ皮膚に貼り付けることによって、ブタ皮膚に固定した。その後、カイロを粘着シート上から経皮投与デバイスに10分間押し当て、経皮投与デバイスを52℃で加熱した。
実施例2の経皮投与デバイスを、突起部をブタ皮膚に穿刺して、粘着シートをブタ皮膚に貼り付けることによって、ブタ皮膚に固定した。その後、カイロを粘着シート上から経皮投与デバイスに10分間押し当て、経皮投与デバイスを52℃で加熱した。
その後、経皮投与デバイスをブタ皮膚から剥がし、ブタ皮膚を実体顕微鏡で観察した。その結果、ブタ皮膚の皮内に青色の突起部が埋まっていることが確認された。また、ブタ皮膚から剥がした粘着シートには、溶融した基体の一部が付着していた。このことから、経皮投与デバイスの加熱によって基体が溶融し、突起部がブタ皮膚の皮内に残されたことが示唆される。
10…経皮投与デバイス、20…マイクロニードル、21…基体、21S…第1面、21T…第2面、22…突起部、30…粘着シート、31…基材シート、32…粘着層、40…加熱部材、RA…20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分、RB…20℃以上65℃以下の範囲内で溶融しない部分
Claims (7)
- 第1面を有する基体と、前記第1面から突き出た突起部とを備える凹凸構造体であって、
前記凹凸構造体は、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する
凹凸構造体。 - 前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分は、炭化水素及び脂肪酸から選択される1以上の材料を含む
請求項1に記載の凹凸構造体。 - 請求項1または2に記載の凹凸構造体を投与部として備え、
前記突起部が薬剤を含む
経皮投与デバイス。 - 前記基体および前記突起部の双方が、前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含む
請求項3に記載の経皮投与デバイス。 - 前記基体および前記突起部のうち、前記突起部のみが、前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含む
請求項3に記載の経皮投与デバイス。 - 前記基体が、前記20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を含み、
前記突起部は、常温で水への溶解性を有する高分子材料を主成分として含む
請求項3に記載の経皮投与デバイス。 - 第1面を有する基体、および、前記第1面から突き出た突起部であって薬剤を含む前記突起部を備える投与部であって、20℃以上65℃以下の範囲内で溶融する部分を有する前記投与部を備える経皮投与デバイスと、
前記投与部を加熱するための加熱部材と、
を備える経皮投与デバイスセット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017029957A JP2018135286A (ja) | 2017-02-21 | 2017-02-21 | 凹凸構造体、経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスセット |
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JP2017029957A JP2018135286A (ja) | 2017-02-21 | 2017-02-21 | 凹凸構造体、経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスセット |
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JP2018135286A true JP2018135286A (ja) | 2018-08-30 |
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ID=63366538
Family Applications (1)
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JP2017029957A Pending JP2018135286A (ja) | 2017-02-21 | 2017-02-21 | 凹凸構造体、経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスセット |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2018135286A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113543835A (zh) * | 2019-03-06 | 2021-10-22 | Lts勒曼治疗系统股份公司 | 具有发热元件的微针阵列 |
WO2023058760A1 (ja) * | 2021-10-07 | 2023-04-13 | 凸版印刷株式会社 | 収容デバイス |
-
2017
- 2017-02-21 JP JP2017029957A patent/JP2018135286A/ja active Pending
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WO2023058760A1 (ja) * | 2021-10-07 | 2023-04-13 | 凸版印刷株式会社 | 収容デバイス |
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