[第1の実施の形態]
<第1の実施の形態の構成>
図2には、本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置10の全体的な構成の概略が分解斜視図により示されている。
この図に示されるように、ウエビング巻取装置10はフレーム12を備えている。フレーム12は、例えば、略車両左右方向に沿って厚さ方向とされた板状の背板14を備えており、背板14がボルト等の締結手段により、例えば、センターピラーの下端部近傍にて車体に固定されることで、本ウエビング巻取装置10が車体に取り付けられる構造になっている。略車両前後方向に沿った背板14の幅方向一端からは、脚板16が車幅方向(略車両左右方向)内方側へ向けて屈曲形成されている。また、背板14の幅方向他端からは、脚板18が脚板16と同方向に屈曲形成されている。
脚板16と脚板18との間には、スプール20が設けられている。スプール20は、脚板16と脚板18との対向方向に沿って軸方向の略円筒形状に形成されている。スプール20には挿通孔22が形成されている。挿通孔22は、両端がスプール20の外周部にて開口しており、その開口形状はスプール20の軸方向に沿って長手のスリット状とされている。挿通孔22は、スプール20の軸心部分を貫通する貫通孔24を回避するように形成されており、挿通孔22の一方の開口端からは長尺帯状のウエビングベルト26の長手方向基端側が挿通される。
ウエビングベルト26の長手方向基端部には、幅方向に貫通した筒状部28が形成されており、挿通孔22を通過した筒状部28の内側には抜け止めシャフト30が配置されることでウエビングベルト26をその先端側へ引っ張った際にウエビングベルト26の基端側が挿通孔22から抜け出ることを防止している。このように挿通孔22からの抜け止めがなされたウエビングベルト26は、スプール20が自らの軸周り方向一方の巻取方向に回転することでスプール20の外周部に基端側から層状に巻き取られて収納される。
一方、貫通孔24の内側には、スプール20の軸方向に沿って長手方向とされた棒状のトーションシャフト32が配置されている。トーションシャフト32は、脚板18側でスプール20の内側に軸周り方向の回り止めされた状態でスプール20に連結されている。さらに、トーションシャフト32の脚板18側の端部は、脚板18を貫通してフレーム12の外方へ突出している。
また、脚板18の外側にはスプリングカバー34が配置されている。スプリングカバー34は、脚板18側へ向けて開口した箱状で、ねじ等の締結手段やスプリングカバー34又は脚板18に形成された嵌合爪等の嵌合により、スプリングカバー34が脚板18に固定されている。スプリングカバー34の内側には渦巻きばね36が収容されている。渦巻きばね36は、渦巻き方向内側端が渦巻き方向外側端に対して上記の巻取方向とは反対の引出方向に回転変位することで付勢力が漸次増加する構造のばねで、その渦巻き方向外側端は渦巻きばね36よりもスプリングカバー34の開口側に設けられたスプリングシート38に係止されている。
スプリングシート38はスプリングカバー34に固定されており、渦巻きばね36の渦巻き方向外側端は、スプリングシート38及びスプリングカバー34を介して脚板18(フレーム12)に連結されている。また、渦巻きばね36の渦巻き方向内側端の近傍にはアダプタ40が設けられている。アダプタ40の外周一部には渦巻きばね36の渦巻き方向内側端が固定されている。さらに、アダプタ40の軸心部分にはスプリングシート38を貫通したトーションシャフト32の脚板18側の端部が嵌合固定されている。
一方、脚板16の外側にはプリテンショナ42が設けられている。プリテンショナ42はシリンダ44を備えている。シリンダ44の底部側にはガスジェネレータ46が装着されており、車両が急減速状態になったことを図示しない加速度センサが検知すると、ガスジェネレータ46の内部に設けられたガス発生剤が着火され、ガス発生剤は極短時間で燃焼されて瞬間的にガスを発生させる。このようにして発生したガスは、シリンダ44内に供給されてシリンダ44の内圧を急上昇させる。シリンダ44の内圧が急上昇することでシリンダ44内に収容されたピストン48がシリンダ44内を摺動する。ピストン48にはラックバー50が形成されており、シリンダ44の内圧上昇に伴うピストン48の移動で、ラックバー50がスライドする。
また、シリンダ44の開口端近傍の脚板16側にはギヤケース52が設けられており、シリンダ44を介してギヤケース52とは反対側にはカバープレート54がシリンダ44から突出したラックバー50を被覆可能でかつシリンダ44を保持した状態でねじにより脚板16に締結固定されている。さらに、カバープレート54とギヤケース52との間にはピニオン56が配置されている。ピニオン56は、ラックバー50の先端側でラック歯に噛み合っていると共に、脚板16及びギヤケース52を貫通したトーションシャフト32の他端に回転自在に軸支されており、ラックバー50の上昇によりピニオン56が巻取方向に回転する構造になっている。
また、ピニオン56の脚板16側にはクラッチ58が設けられている。クラッチ58は、トーションシャフト32に回転自在に軸支されているため、トーションシャフト32が回転してもクラッチ58が回転することはない。しかしながら、クラッチ58はピニオン56に係合しており、ピニオン56が巻取方向に回転すると、この回転力によりクラッチ58の一部が変形してトーションシャフト32に連結させられる。
また、脚板16の側方にはロック機構60が設けられている。ロック機構60はセンサホルダ62を備えている。センサホルダ62は部分的に脚板16側へ向けて開口した凹形状に形成されており、センサホルダ62は脚板16に固定されている。さらに、センサホルダ62の脚板16側へ向けて開口した部分の内側には上記のカバープレート54の一部が位置している。センサホルダ62の脚板16とは反対側にはセンサカバー64が設けられている。センサカバー64には、外周部等に嵌合爪等が形成されており、センサホルダ62の所定部位に嵌合してセンサホルダ62に機械的に連結されている。
センサカバー64には、図示しない筒状の軸受部が形成されており、センサホルダ62を貫通したトーションシャフト32の他端部を回転自在に軸支している。センサホルダ62とセンサカバー64との間には回転体としてのVギヤ66が設けられている。Vギヤ66はセンサカバー64側へ向けて開口した浅底の円筒形状(もしくは、盆状)に形成されており、その外周部には外周部にラチェット歯が形成されている。Vギヤ66にはトーションシャフト32が貫通しており、トーションシャフト32に対して同軸的且つ一体的に回転可能にトーションシャフト32に取り付けられている。
ここで、図2におけるVギヤ66とセンサカバー64との間の構成が図1に示されている。この図1に示されるように、Vギヤ66の内側には回転検出機構68が設けられている。回転検出機構68はギヤリング70を備えている。ギヤリング70は正面視円形の底壁72を備えている。底壁72には、外周部に対して同軸的に円孔74が形成されている。円孔74にはVギヤ66に形成された軸部76が貫通しており、ギヤリング70が軸部76に回転自在に軸支されている。また、底壁72の脚板16側の面には、内周部に内歯のラチェット歯が形成されたリング状のギヤ部78が底壁72に対して同軸的且つ一体的に形成されている。
このギヤ部78のラチェット歯に対応してギヤリング70の内側にはWパウル80が設けられている。Wパウル80は、トーションシャフト32の軸心に対して変位した位置でVギヤ66に形成されたピン82に、トーションシャフト32と平行な軸周りに揺動可能に軸支されている。Wパウル80は揺動することで一端がギヤ部78の内周部に対して接離する構造となっており、ギヤ部78の内周部に一端が接近移動することによりギヤリング70の内周部に形成されたラチェット歯にWパウル80が噛み合う。この噛合状態でVギヤ66が引出方向に回転しているのであれば、Vギヤ66の引出方向への回転力がWパウル80を介してギヤリング70に伝えられ、ギヤリング70を引出方向に回転させる。
また、ギヤリング70の半径方向に沿ったWパウル80の側方には回転検出部材としてのイナーシャマス84が設けられている。イナーシャマス84はVギヤ66に形成された一対の支持部86によって概ねVギヤ66の周方向へ所定範囲揺動可能に支持されており、Vギヤ66の周方向の一方であるロック起動方向へ揺動したイナーシャマス84はWパウル80を押圧してWパウル80を揺動させ、ギヤ部78の内周部にWパウル80を噛み合わせる構造になっている。
さらに、イナーシャマス84にはリターンスプリング88の一端が係止されている。リターンスプリング88はコイル状に形成された取付部90を備えている。取付部90はVギヤ66に形成された取付ピン92に係止されている。リターンスプリング88は取付部90よりも一端側が適宜に屈曲した捩じりコイルばねで、Wパウル80を押圧してWパウル80を揺動させる際のイナーシャマス84の揺動方向(すなわち、ロック起動方向)とは反対方向にイナーシャマス84を付勢している。
また、イナーシャマス84のWパウル80とは反対側には規制手段としての規制ウエイト94が設けられている。規制ウエイト94はその重心位置がスプール20の軸心(回転中心)に対して回転半径方向外方にずれるように設けられている(更に言えば、規制ウエイト94の重心位置はスプール20の軸心からできる限り遠く設定されることが好ましい)。規制ウエイト94には長孔96が形成されている。長孔96には、Vギヤ66に形成された円柱形状の支持ピン98が入り込んでいる。長孔96の内幅寸法は支持ピン98の外径寸法よりも僅かに大きく、このため、規制ウエイト94は支持ピン98周りに回動可能であると共に、長孔96の長手方向端部に支持ピン98が接するまでVギヤ66の半径方向にスライド可能とされている。
また、規制ウエイト94には当接面100が形成されている。この当接面100に対応してVギヤ66には禁止手段としての係合ブロック102が形成されている。係合ブロック102の外周一部は係合面104とされており、上記の支持ピン98が長孔96の長手方向一端側に位置した状態での支持ピン98周りの規制ウエイト94の所定の回動位置であるイナーシャマス84に非当接位置で、当接面100が係合面104に当接する。この係合面104に対する当接面100の当接状態では、支持ピン98周り一方への規制ウエイト94の回動を禁止する。
但し、この状態から支持ピン98が長孔96の長手方向他端側に位置するまで規制ウエイト94がスライドすると、当接面100と係合面104との対向状態が解消され、係合面104よりもVギヤ66の半径方向外側で係合ブロック102に形成された係合面106の近傍に当接面100が位置した当接位置に規制ウエイト94が到達するまで規制ウエイト94は支持ピン98周りの一方へ回動できる。
また、規制ウエイト94には干渉部108が形成されている。上記の当接位置に規制ウエイト94が到達した状態では、干渉部108がイナーシャマス84の規制ウエイト94側に形成された当接部110に当接可能となる。この状態でロック起動方向へイナーシャマス84が揺動しようとすると、当接部110に干渉部108が当接して干渉し、ロック起動方向へのイナーシャマス84の揺動を規制する。さらに、規制ウエイト94には上述したリターンスプリング88の取付部90よりも他端側が係止されており、規制ウエイト94を支持ピン98周り他方の側で且つ長孔96の長手方向一端側へ支持ピン98が位置する方向へ規制ウエイト94を付勢している。
一方、ギヤリング70には係合部材としてのフリクションスプリング112が設けられている。フリクションスプリング112は本体114を備えている。本体114は基本的にはリング状であるものの、その周方向に沿った1箇所が連続しない一部が連続しない略C字形状とされている。本体114の内径寸法はギヤリング70の外径寸法と略同じか、極僅かに小さく形成されており、本体114のばね力に抗して本体114はギヤリング70の外周部に嵌め込まれている。本体114はギヤリング70に対して同軸的に相対回転可能であるが、自らのばね力でギヤリング70の外周部に圧接しており、ギヤリング70との一体的な回転を妨げるような外力がフリクションスプリング112に作用しない限りは、本体114(フリクションスプリング112)がギヤリング70と一体的に回転する。また、この本体114の周方向一端からは本体114の半径方向外方へ向けて押圧部116が延出されている。
また、ギヤリング70の外周部には略リング状のフリクションリング118が装着されている。フリクションリング118は内径寸法がギヤリング70の外径寸法よりも大きく形成されている。また、フリクションリング118には1つ又はその周方向に沿った所定間隔毎に複数(本実施の形態では3つ)の係合爪120が形成されている。この係合爪120に対応して上記の底壁72には環状の係合溝122が底壁72の外周部に沿って少なくとも所定範囲連続して形成されている。係合爪120は係合溝122に嵌合しており、底壁72の外周部に沿った係合溝122の形成範囲内で係合爪120、ひいては、フリクションリング118がギヤリング70に対して同軸的に相対回転可能とされている。
また、ギヤリング70の底壁72の外周部にフリクションリング118を装着した状態では、ギヤリング70の外周部とフリクションリング118の内周部との間にフリクションスプリング112の太さ以上の間隔を有する空間が形成され、この空間内にフリクションスプリング112の本体114が収容されている。
一方、Vギヤ66のセンサカバー64側には、センサギヤ124が設けられている。センサギヤ124は本体126を備えている。本体126にはトーションシャフト32が同軸的に貫通しており、本体126はトーションシャフト32に回転自在に軸支されている。センサギヤ124の一部にはリターンスプリング128の一端が係止されている。リターンスプリング128は引っ張りコイルスプリングとされており、その他端はセンサカバー64に係止され、センサギヤ124がトーションシャフト32周りに引出方向に回動した際には巻取方向にセンサギヤ124を付勢する。
また、センサギヤ124の本体126には窓部130が形成されている。窓部130は本体126の一部でスプール20の軸方向及び半径方向に本体126を貫通している。窓部130の内側にはばね座132が設けられている。ばね座132は本体126のセンサカバー64側の端面よりもVギヤ66側に変位した状態でセンサギヤ124に一体的に設けられている。ばね座132からはセンサカバー64側へ向けて円柱形状のボス134が突出形成されており、捩じりコイルばね136のコイル部分がボス134に嵌め込まれている。捩じりコイルばね136の一端はばね座132に設けられた係止部138に係止されている。
これに対して、捩じりコイルばね136の他端はばね座132の側方へ延びている。捩じりコイルばね136の他端に対応して、上記のフリクションリング118の本体部分はその周方向一部で途切れている。この途切れた部分には収容部140が設けられている。収容部140はフリクションリング118の周方向に沿って互いに対向した一対の側壁142、144を備えている。これらの側壁142、144はフリクションリング118の半径方向内側で周壁146によって連結されており、このため、収容部140はフリクションリング118の半径方向外方へ向けて開口する凹形状に形成されている。この収容部140には、周壁146のVギヤ66側から捩じりコイルばね136の他端と押圧部116とが入り込んでいる。
一方、センサギヤ124の本体126にはVギヤ66側へ向けて長手の押圧部148が形成されている。この押圧部148のVギヤ66とは反対側の端部にはシャフト150が突出形成されており、連結爪152がトーションシャフト32の軸方向と平行(同方向)な軸周りに回動可能に押圧部148に軸支されている。連結爪152は回動することで上記のVギヤ66の外周部に対して接離し、Vギヤ66の外周部に連結爪152が接近して係合した状態でVギヤ66が引出方向に回転しているのであれば、引出方向へのVギヤ66の回転が連結爪152を介してセンサギヤ124に伝わり、センサギヤ124がVギヤ66と共に引出方向に回転する。
また、連結爪152のセンサカバー64側の面からは係合ピン154が突出形成されている。この係合ピン154に対応して上記のフリクションリング118の外周一部からは、その半径方向外方へ向けて押圧部156が延出されている。押圧部156はその長手方向中間部でVギヤ66側へ屈曲されている。この押圧部156の長手方向中間部における屈曲部分よりも押圧部156の先端側は、ギヤリング70の回転周方向に沿って係合ピン154と対向しており、引出方向にフリクションリング118が回転して押圧部156が係合ピン154に係合すると、押圧部156が係合ピン154を介して連結爪152を押し上げ、Vギヤ66に連結爪152を噛み合わせる。
さらに、連結爪152の下方には、図2に示される加速度センサ158が設けられている。加速度センサ158に対応してセンサホルダ62にはセンサカバー64側へ開口した箱状の収容部160が形成されており、加速度センサ158は少なくともその一部が収容部160に収容されている。加速度センサ158は基台162を備えている。基台162は全体的に上下方向に厚さ方向の平板状に形成されている。基台162の上側の端面には上方へ向けて開口した湾曲面が形成されており、この湾曲面上に慣性体としての硬球164が配置されている。硬球164の上側にはセンサ爪166が設けられている。
センサ爪166は、基台162の外周一部から上方へ向けて立設された縦壁168の上端に回動可能に軸支されており、硬球164が基台162の湾曲面上を転動して昇ることでセンサ爪166が押し上げられる。センサ爪166は硬球164に押し上げられることで図1に示される連結爪152に当接して連結爪152を押し上げるように回動させる。センサ爪166の係合により回動した連結爪152の回動方向側には、上記のVギヤ66が位置しており、これにより、連結爪152がVギヤ66に噛み合う。
一方、図2に示されるように、ロック機構60は、ロック部材としてのロックパウル170を備えている。ロックパウル170は一対のシャフト172を備えている。シャフト172はスプール20の軸方向に対して平行な方向(同方向)に軸方向とされ、その一方は脚板18に形成された軸受孔(図示省略)に回動自在に軸支されており、他方のシャフト172はギヤケース52に形成された軸受孔174に回動自在に軸支されている。シャフト172にはパウル部176が形成されている。
パウル部176はシャフト172の軸方向に沿って厚さ方向の板状部材で、その外周一部には外歯のラチェット歯が形成されている。シャフト172の回動半径方向に沿ったパウル部176の側方にはロックベース178が設けられている。ロックベース178は嵌挿部180を備えている。嵌挿部180は円柱形状に形成されており、スプール20の貫通孔24の他端部にスプール20に対して同軸的に回転自在に嵌挿されている。
嵌挿部180ひいてはロックベース178には、トーションシャフト32が回り止めされた状態で同軸的に貫通しており、トーションシャフト32に対して同軸的且つ一体的に回転する。嵌挿部180の脚板16側にはラチェット部182が一体形成されている。ラチェット部182は、嵌挿部180に対して同軸的に形成されており、その外周部にはラチェット歯が断続的に形成されている。
上記のロックパウル170は、シャフト172が巻取方向に回動することで、パウル部176のラチェット歯がラチェット部182のラチェット歯に噛み合う。このパウル部176とラチェット部182との噛合状態では、ラチェット部182、ひいてはロックベース178の引出方向への回転が規制される。また、パウル部176には図1に示されるセンサギヤ124の押圧部148が対応しており、センサギヤ124の本体126が引出方向に回動すると、押圧部148がパウル部176を押圧し、ロックパウル170を巻取方向に回動させる構造になっている。
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本ウエビング巻取装置10の作用並びに効果について説明する。
本ウエビング巻取装置10では、スプール20に巻き取られた状態のウエビングベルト26を渦巻きばね36の付勢力に抗して先端側へ引っ張ると、ウエビングベルト26が引き出されつつスプール20が引き出し方向に回転する。
このようにして引き出されたウエビングベルト26を乗員の身体に掛け回し、例えば、ウエビングベルト26の長手方向中間部に設けられたタングプレートを車両の座席の側方に設けられたバックル装置に保持させることで乗員の身体に対するウエビングベルト26の装着状態となり、乗員の身体がウエビングベルト26により拘束される。このようなウエビングベルト26の装着状態で、車両が急減速状態になり、これによって硬球164が転動すると、硬球164によってセンサ爪166が押し上げられる。このようにして押し上げられたセンサ爪166は、センサギヤ124の連結爪152に係合して連結爪152を押し上げるように回動させる。これにより、連結爪152がVギヤ66に噛み合う。
一方、車両が減速した際の慣性で、乗員の身体が略車両前方側へ移動すると、乗員の身体によりウエビングベルト26が急激に引っ張られる。このように、ウエビングベルト26が急激に引っ張られることで、スプール20に引出方向への回転力が急激に付与される。基本的には、スプール20が引出方向に回転することで、トーションシャフト32、ひいては、Vギヤ66が引出方向に回転すると、Wパウル80及びイナーシャマス84がVギヤ66と共に引出方向に回転する。
但し、上記のようにスプール20が急激に引出方向に回転した場合にイナーシャマス84は、慣性によって回転せずにその位置で留まろうとし、これにより、イナーシャマス84はリターンスプリング88の付勢力に抗してVギヤ66に対して相対的に揺動する。このように、イナーシャマス84がVギヤ66に対して相対的に揺動すると、図3に示される状態から、イナーシャマス84がWパウル80を押圧してWパウル80を揺動させ、これにより、図4に示されるように、Wパウル80の一端がギヤリング70の内周部に接近し、ギヤリング70の内周部に形成されたラチェット歯に噛み合う。
Wパウル80がギヤリング70に噛み合うことで、トーションシャフト32、Vギヤ66、及びWパウル80を介して引出方向へのスプール20の回転力がギヤリング70に伝えられ、ギヤリング70がVギヤ66と共に引出方向に回転する。ギヤリング70が引出方向に回転することで、ギヤリング70の外周部に付勢力で圧接しているフリクションスプリング112がギヤリング70と共に引出方向に回転する。
このように、フリクションスプリング112が引出方向へ所定角度回転すると、押圧部116が側壁142を押圧してフリクションリング118を引出方向へ回転させる。フリクションリング118が引出方向へ回転することで、フリクションリング118の押圧部156が係合ピン154へ接近し、係合ピン154を押圧して連結爪152を押し上げる。これにより、Vギヤ66に連結爪152が噛み合う。
以上のように、連結爪152がVギヤ66に噛み合うと、トーションシャフト32、Vギヤ66、連結爪152を介してセンサギヤ124にスプール20の引出方向への回転力が伝えられ、これにより、センサギヤ124が引出方向に回転する。
センサギヤ124がリターンスプリング88の付勢力に抗して一定角度引出方向に回転すると、センサギヤ124に設けられた押圧部148がロックパウル170のパウル部176を押圧して、シャフト172周りにパウル部176を回動させる。このようにシャフト172周りにパウル部176が回動すると、パウル部176がロックベース178のラチェット部182に噛み合い、ロックベース178、ひいてはスプール20の引出方向への回転を規制する。これにより、略車両前方側へ慣性移動しようとする乗員の身体をウエビングベルト26によって確実に拘束して保持できる。
一方、ウエビングベルト26が引き出された状態の挿通孔22を、渦巻きばね36の付勢力で巻取方向へ回転させると、ウエビングベルト26がその長手方向基端側から挿通孔22の外周部に巻き取られて収納される。ここで、このように、挿通孔22が巻取方向への回転を開始すると、挿通孔22に追従してVギヤ66が巻取方向へ回転を開始する。所定以上の加速度(回転角速度)で巻取方向にVギヤ66が回転すると、規制ウエイト94は慣性によりVギヤ66に対する巻取方向への回転遅れが生じ、リターンスプリング88の付勢力に抗して規制ウエイト94はVギヤ66に対して引出方向に回転しようとする。これにより、支持ピン98が長孔96の長手方向一端側から他端側にその位置を変えるまで規制ウエイト94はスライドする。このように、規制ウエイト94がスライドすることで、当接面100と係合面104との対向状態が解消される。
さらに、規制ウエイト94は、その重心位置がスプール20の軸心、ひいては、Vギヤ66の軸心(回転中心)から遠く離れているため、Vギヤ66の回転に敏感に反応してVギヤ66の回転半径方向外方へ飛び出そうとする。したがって、当接面100と係合面104との対向状態が解消された状態で、更に、Vギヤ66が巻取方向に回転すると、その遠心力で規制ウエイト94は支持ピン98よりも巻取方向側の部分がVギヤ66の回転半径方向外方側へ移動する。これにより、図5に示されるように、規制ウエイト94は、当接面100が係合面106の近傍に位置するまでが支持ピン98周りに回動して当接位置に到達する。このように、規制ウエイト94が回動することで、干渉部108はイナーシャマス84の当接部110に接近する。
挿通孔22が巻取方向へ回転している状態では、Vギヤ66の遠心力で規制ウエイト94は当接位置で保持される。挿通孔22がウエビングベルト26の巻き取りを終了した際に、仮に、その反動で挿通孔22が急激で且つ僅かに引出方向に回転することがある。この場合には、Vギヤ66も挿通孔22と同様に急激で且つ僅かに引出方向に回転する可能性がある。
この場合には、これまでとは反対にVギヤ66に引出方向への加速度が生じ、これに伴い、規制ウエイト94はVギヤ66に対して相対的に巻取方向に移動しようとするが、到達位置に規制ウエイト94が位置する状態では、当接面100よりも巻取方向側での規制ウエイト94の側端部が係合ブロック102に当接することで、規制ウエイト94は巻取方向又はこの方向を含む移動が禁止され、規制ウエイト94は到達位置にある状態が維持される。
また、上記のように、Vギヤ66に引出方向への大きな加速度が生じると、慣性でその場に留まろうとするイナーシャマス84に回転遅れが生じ、Vギヤ66に対してイナーシャマス84が相対的に巻取方向に揺動しようとする。ここで、イナーシャマス84が揺動すると、上述したように、イナーシャマス84がWパウル80を押し上げてWパウル80をギヤ部78の内周部のラチェット歯に噛み合わせる。
しかしながら、この状態では、イナーシャマス84が揺動しようとすると、干渉部108が当接部110に当接してイナーシャマス84の揺動を規制する。したがって、この場合には、イナーシャマス84がWパウル80を押し上げることはなく、Wパウル80がギヤ部78の内周部のラチェット歯に噛み合うこともない。
このように、本ウエビング巻取装置10では、挿通孔22がウエビングベルト26の巻き取りを終了した際にWパウル80がギヤ部78のラチェット歯に噛み合い、その結果、ウエビング巻取装置10が所謂「エンドロック状態」になることを効果的に防止できる。
また、以上のように、イナーシャマス84の揺動を規制した後に規制ウエイト94はリターンスプリング88の付勢力によって支持ピン98周りに巻取方向へ回動しつつ、支持ピン98が長孔96の長手方向一端側に位置するまでスライドし、これにより、規制ウエイト94はイナーシャマス84と非当接位置に戻る。このように、規制ウエイト94が非当接位置に戻ることで、イナーシャマス84の揺動規制が解除される。
このように、規制ウエイト94が非当接位置にある状態で、Vギヤ66が急激に引出方向に回転した場合にも、規制ウエイト94には遠心力が作用する。しかしながら、Vギヤ66が急激に引出方向に回転しても、長孔96の長手方向一端側から他端側へ支持ピン98の位置が変化するように規制ウエイト94がスライドすることはできない。このため、この場合には、当接面100と係合面104との対向状態が解消されず、規制ウエイト94が支持ピン98周りに回動しようとすると、係合面104が当接面100に当接して規制ウエイト94の回動を禁止する。このように、Vギヤ66の急激な回転であっても、その回転方向が引出方向である場合に規制ウエイト94は非当接位置から到達位置に移動することができない。このため、この状態では、干渉部108が当接部110に当接してイナーシャマス84の揺動を規制することがない。
すなわち、本ウエビング巻取装置10では、車両急減速時に挿通孔22をロックする機能を損なうことなく、上記のようにウエビング巻取装置10が「エンドロック状態」になることを防止できる。
また、本ウエビング巻取装置10では、エンドロック状態になることを防止するための機構をVギヤ66の回転力と遠心力で作動させる構成としたため、エンドロック状態になることを防止するための機構をコンパクトにできる。
さらに、本ウエビング巻取装置10では、エンドロック状態になることを防止するための機能を有する各部材が全てギヤ部78の内側でVギヤ66に組み付けられている。このため、上記のような優れた効果を得ることができるにも関わらず、ウエビング巻取装置10が大型化することを防止又は極めて効果的に抑制できる。
また、上記のように、本ウエビング巻取装置10では、Wパウル80と規制ウエイト94の双方をリターンスプリング88が付勢する構成であるため、Wパウル80及び規制ウエイト94の各々に別の付勢手段を設ける構成に比べて部品点数を削減でき、これに伴い、部材の組付工数も低減できる。これにより、コストの低減を図ることができると共に、本ウエビング巻取装置10の大型化の防止又は抑制に大いに寄与する。
[第2の実施の形態]
<第2の実施の形態の構成>
図6には、本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置200の要部の構成が分解斜視図により示されており、図7には、ウエビング巻取装置200の要部の構成が正面図により示されている。
本実施の形態に係るウエビング巻取装置200は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
ウエビング巻取装置200では、回転検出機構68において、Wパウル80の他端に、円柱状の係止ピン80Aが一体に形成されており、係止ピン80AはWパウル80からVギヤ66とは反対側へ突出されている。
イナーシャマス84の外周部には、巻取方向側において、係止孔84Aが貫通形成されており、係止孔84Aは、イナーシャマス84の外周から開放されると共に、イナーシャマス84の外周に沿った長孔にされている。係止孔84A内には、Wパウル80の係止ピン80Aが挿入されており、イナーシャマス84がロック起動方向へ揺動されてWパウル80が揺動された際に係止ピン80Aが係止孔84Aの一端に当接されると共に、イナーシャマス84がロック起動方向とは反対方向へ揺動されてWパウル80が揺動された際に係止ピン80Aが係止孔84Aの他端に当接されることで、Wパウル80の揺動範囲及びイナーシャマス84の揺動範囲が適切な範囲にされている。
イナーシャマス84には、上記第1の実施の形態におけるリターンスプリング88に代えて、追加付勢手段としての圧縮コイルスプリング202の一端が係止されており、圧縮コイルスプリング202の他端はVギヤ66に係止されている。圧縮コイルスプリング202は、イナーシャマス84をロック起動方向とは反対方向へ付勢している。
イナーシャマス84の外周部には、引出方向側において、被規制部としての断面三角形状のロック溝204が貫通形成されており、ロック溝204は、イナーシャマス84の外周から開放されている。
規制ウエイト94は、規制手段を構成する移動部材として機能する。規制ウエイト94には、上記第1の実施の形態における長孔96及び当接面100が設けられておらず、Vギヤ66には、上記第1の実施の形態における支持ピン98が設けられていない。
規制ウエイト94には、係合部としての断面略三角形状の係合溝206が貫通形成されており、係合溝206のスプール20軸心側端には、係合溝206を規制ウエイト94の外周から開放させる開放部206Aと、開放部206Aの巻取方向側の第1対向面206Bと、第1対向面206Bの巻取方向側で第1対向面206Bよりスプール20外周側の第2対向面206Cと、が形成されている。
Vギヤ66の係合ブロック102は、略三角柱状にされており、係合ブロック102のスプール20軸心側端には、引出方向側の第1係合面102Aと、第1係合面102Aの巻取方向側で第1係合面102Aよりスプール20外周側の第2係合面102Bと、が形成されている。係合ブロック102は、係合溝206内に挿入されており、規制ウエイト94は、係合溝206の巻取方向側の側面が係合ブロック102の巻取方向側の側面に当接してスプール20軸心側に配置される非当接位置(非当接位置では第1対向面206Bが第1係合面102Aに対向(係合)されると共に第2対向面206Cが第2係合面102Bに対向(係合)される)と、図9に示すように係合溝206の引出方向側の側面が係合ブロック102の引出方向側の側面に当接してスプール20外周側に配置される当接位置(当接位置では開放部206Aに第1係合面102Aが対向(挿入)されると共に第1対向面206Bが第2係合面102Bに対向(係合)される)と、に配置可能にされている。
規制ウエイト94には、付勢手段としてのリターンスプリング208の一端が係止されており、リターンスプリング208は、捩じりコイルスプリングにされて、コイル状の取付部208Aが形成されている。取付部208AはVギヤ66に形成された取付ピン210に係止されており、リターンスプリング208の他端はVギヤ66に係止されている。これにより、リターンスプリング208が規制ウエイト94を当接位置から非当接位置へ向かう方向へ付勢して、規制ウエイト94が非当接位置に配置されている。
規制ウエイト94の巻取方向側端部には、円軸状の回動軸212が設けられており、回動軸212は規制ウエイト94からVギヤ66側へ突出している。
Vギヤ66には、イナーシャマス84の引出方向側端部と規制ウエイト94の巻取方向側端部との間において、規制手段を構成する規制部材としての略円環板状のレバー214が回転自在に支持されており、レバー214には、規制ウエイト94側部分において、回転孔216が貫通形成されている。回転孔216は、長孔にされて、係合ブロック102の回動軸212が貫通されており、規制ウエイト94が非当接位置に配置されることで、回動軸212が回転孔216のイナーシャマス84側端に配置されて、レバー214が非当接位置に配置されている。また、規制ウエイト94が非当接位置から当接位置に移動された際には、回動軸212が回転孔216の規制ウエイト94側端に移動されて、レバー214が回転されることで、レバー214が当接位置に配置される(図9参照)。
レバー214には、イナーシャマス84側部分において、規制部としての矩形板状のフック218が一体に形成されており、フック218はレバー214からVギヤ66とは反対側へ突出している。フック218は、レバー214が非当接位置に配置されることで、イナーシャマス84のロック溝204から離間されており、レバー214が当接位置に配置されることで、フック218がロック溝204に挿入されて、イナーシャマス84のロック起動方向への揺動をフック218のロック溝204への係合(当接)によって規制可能にされている(図9参照)。
ここで、車両が減速した際の慣性で、乗員の身体が略車両前方側へ移動してウエビングベルト26を急激に引っ張ると、スプール20が急激に引出方向に回転して、Vギヤ66がWパウル80、イナーシャマス84及びレバー214と共に引出方向に急激に回転する。但し、イナーシャマス84は、慣性によってVギヤ66に対し回転せずにその位置で留まろうとし、イナーシャマス84は圧縮コイルスプリング202の付勢力に抗してVギヤ66に対して相対的に揺動する。このように、イナーシャマス84がVギヤ66に対して相対的に揺動すると、図7に示される状態から、イナーシャマス84がWパウル80を押圧してWパウル80を揺動させ、これにより、図8に示されるように、Wパウル80の一端がギヤリング70の内周部に接近し、ギヤリング70の内周部に形成されたラチェット歯に噛み合う。
一方、ウエビングベルト26がスプール20の外周部に巻き取られる際に、スプール20が渦巻きばね36の付勢力で巻取方向へ回転すると、Vギヤ66がWパウル80、イナーシャマス84及びレバー214と共に巻取方向へ回転する。所定以上の加速度(回転角速度)で巻取方向にVギヤ66が回転すると、規制ウエイト94は慣性によりVギヤ66に対する回転遅れが生じ、リターンスプリング208の付勢力に抗して、規制ウエイト94はVギヤ66に対して相対的に揺動すると共に遠心力によってVギヤ66の外周側へ移動する。これにより、図9に示されるように、規制ウエイト94が非当接位置から当接位置に移動されて、レバー214が非当接位置から当接位置に回転されることで、レバー214のフック218がイナーシャマス84のロック溝204に挿入されて、イナーシャマス84のロック起動方向への揺動が規制される。さらに、スプール20が巻取方向へ回転している状態では、規制ウエイト94は遠心力で当接位置に保持される。
スプール20がウエビングベルト26の巻き取りを終了した際に、反動でスプール20及びVギヤ66が急激で且つ僅かに引出方向に回転すると、Vギヤ66に引出方向への加速度が生じ、規制ウエイト94がVギヤ66に対して相対的に巻取方向に移動しようとする。この際、上述の如く規制ウエイト94が当接位置に配置される(規制ウエイト94の係合溝206の引出方向側の側面が係合ブロック102の引出方向側の側面に当接される)ことで、規制ウエイト94のVギヤ66に対する巻取方向への移動が禁止され、規制ウエイト94及びレバー214は当接位置にある状態が維持されて、レバー214のフック218がイナーシャマス84のロック溝204に挿入された状態が維持される。
このため、上記のように、Vギヤ66に引出方向への大きな加速度が生じて、慣性でVギヤ66に対してイナーシャマス84が相対的にロック起動方向に揺動しようとしても、上記フック218のロック溝204への挿入によってイナーシャマス84のロック起動方向への揺動が規制される。したがって、イナーシャマス84がWパウル80を押し上げることはなく、Wパウル80がギヤ部78の内周部のラチェット歯に噛み合うこともないため、ウエビング巻取装置200が所謂「エンドロック状態」になることを効果的に防止できる。
また、規制ウエイト94がイナーシャマス84の揺動を規制した後には、リターンスプリング208の付勢力によって規制ウエイト94及びレバー214が当接位置から非当接位置に戻ることで、イナーシャマス84の揺動規制が解除される。
このように、規制ウエイト94及びレバー214が非当接位置にある状態で、Vギヤ66が急激に引出方向に回転した場合にも、規制ウエイト94には遠心力が作用する。しかしながら、Vギヤ66が急激に引出方向に回転しても、規制ウエイト94が非当接位置に配置される(規制ウエイト94の第1対向面206Bが係合ブロック102の第1係合面102Aに係合されると共に規制ウエイト94の第2対向面206Cが係合ブロック102の第2係合面102Bに係合される)ことで、規制ウエイト94の遠心力によるVギヤ66に対するVギヤ66外周側への移動が禁止されて、規制ウエイト94及びレバー214が非当接位置に配置される。このため、イナーシャマス84のロック起動方向への揺動が規制されることを防止できる。
以上により、本実施の形態でも、リターンスプリング88がWパウル80と規制ウエイト94の双方を付勢することによる効果を除き、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、圧縮コイルスプリング202がイナーシャマス84を付勢すると共に、リターンスプリング88が規制ウエイト94を付勢する。このため、イナーシャマス84及び規制ウエイト94をそれぞれ適切に付勢することができる。
また、規制ウエイト94が非当接位置から当接位置に移動されることで、レバー214が非当接位置から当接位置に移動されて、レバー214によってイナーシャマス84のロック起動方向への揺動が規制される。このため、Vギヤ66の巻取方向への回転によって適切に規制ウエイト94を非当接位置から当接位置に移動させることができると共に、レバー214によってイナーシャマス84のロック起動方向への揺動を適切に規制することができる。
[第3の実施の形態]
<第3の実施の形態の構成>
図10には、本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置300の要部の構成が分解斜視図により示されており、図11には、ウエビング巻取装置300の要部の構成が正面図により示されている。
本実施の形態に係るウエビング巻取装置300は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
ウエビング巻取装置300では、回転検出機構68において、上記第2の実施の形態と同様に、Wパウル80の係止ピン80A、イナーシャマス84の係止孔84A及びロック溝204が設けられると共に、イナーシャマス84とVギヤ66との間に圧縮コイルスプリング202が架け渡されている。
また、上記第1の実施の形態におけるリターンスプリング88、規制ウエイト94、Vギヤ66の取付ピン92、支持ピン98及び係合ブロック102が設けられていない。
Vギヤ66には、イナーシャマス84の引出方向側端部近傍において、円柱状の支持ピン302が一体に設けられており、支持ピン302はVギヤ66から突出している。
支持ピン302の外周には、変位規制部材としてのレバー304が所定範囲で回転自在に支持されており、レバー304は、アームタイプにされて、長尺略矩形板状にされている。
レバー304には、イナーシャマス84側部分において、規制部としての湾曲矩形板状のフック306が一体に形成されており、フック306はレバー304からVギヤ66とは反対側へ突出している。ここで、レバー304が非当接位置であるイナーシャマス84側とは反対側の回転位置に配置されることで、フック306がイナーシャマス84のロック溝204から離間されると共に、図13に示す如く、レバー304が当接位置であるイナーシャマス84側の回転位置に配置されることで、フック306がロック溝204に挿入されて、イナーシャマス84のロック起動方向への揺動をフック306のロック溝204への係合(当接)によって規制可能にされている。
レバー304には、イナーシャマス84とは反対側部分において、連結部としての矩形板状の連結板308が一対一体に形成されており、一対の連結板308はレバー304からVギヤ66とは反対側へ突出している。一方の連結板308はVギヤ66の中心側に配置されると共に、他方の連結板308はVギヤ66の外周側に配置されており、一対の連結板308は互いに平行に配置されている。
支持ピン302の中心には、摩擦力発生部材を構成する摩擦付勢手段としての略U字形棒状のフリクションスプリング310の一端が回転自在に支持されており、フリクションスプリング310の他端はU字状に湾曲されている。フリクションスプリング310は、一端側から他端側へ向かうに従いVギヤ66とは反対側へ向かう方向へ徐々に延伸されており(図14参照)、フリクションスプリング310は回転軸方向への付勢力を有している。フリクションスプリング310の一端側部分は、レバー304の一方の連結板308のVギヤ66外周側及び他方の連結板308のVギヤ66中心側に挿入されて、レバー304に組み付けられており、これにより、フリクションスプリング310とレバー304とが一体に回転可能にされている。
フリクションスプリング310の他端側部分には、摩擦力発生部材を構成する被覆部材としての略矩形柱状のカバー312(キャップ)が取り付けられており、カバー312の先端部分は、Vギヤ66中心側へ半円柱状に突出されている。図15に詳細に示す如く、カバー312の内部には、挿入溝314が形成されており、挿入溝314はVギヤ66側へ開口されている。カバー312の挿入溝314には、フリクションスプリング310の他端側部分が挿入嵌合されており、これにより、カバー312がフリクションスプリング310に取り付けられている。カバー312には、挿入溝314の開口両側部分において、所定数(本実施の形態では合計4つ)の突出部316が形成されており、突出部316が挿入溝314の開口側へ突出されて、突出部316にフリクションスプリング310が係止されることで、カバー312のフリクションスプリング310からの脱落が防止されている。
図14に示す如く、カバー312の先端部分は、フリクションスプリング310の付勢力によって、ギヤリング70のVギヤ66側面(平面)に接触されており、Vギヤ66が回転される際には、カバー312の先端部分とギヤリング70のVギヤ66側面との間に摩擦力が発生して、カバー312、フリクションスプリング310及びレバー304が一体に回転される。これにより、図12に示す如く、Vギヤ66が引出方向へ回転される際には、レバー304が非当接位置に配置されることで、レバー304のフック306がイナーシャマス84のロック溝204から離間される一方、図13に示す如く、Vギヤ66が巻取方向へ回転される際には、レバー304が当接位置に配置されることで、レバー304のフック306がロック溝204に挿入される。
また、上述の如く、フリクションスプリング310の一端側部分が、レバー304の一方の連結板308のVギヤ66外周側及び他方の連結板308のVギヤ66中心側に挿入されて、レバー304に組み付けられることで、レバー304とフリクションスプリング310とは、Vギヤ66側及びVギヤ66とは反対側の方向において、接触されていない。これにより、フリクションスプリング310及びレバー304の回転軸方向において、フリクションスプリング310の付勢力がレバー304へ伝達されずに、フリクションスプリング310とレバー304との間に摩擦力が発生することが抑制されることで、フリクションスプリング310及びレバー304の回転がフリクションスプリング310の付勢力によって阻害されることが抑制されている。
ここで、車両が減速した際の慣性で、乗員の身体が略車両前方側へ移動してウエビングベルト26を急激に引っ張ると、スプール20が急激に引出方向に回転して、Vギヤ66がWパウル80、イナーシャマス84、レバー304及びフリクションスプリング310(カバー312を含む)と共に引出方向に急激に回転する。このため、イナーシャマス84は、慣性によってVギヤ66に対し回転せずにその位置で留まろうとし、イナーシャマス84は圧縮コイルスプリング202の付勢力に抗してVギヤ66に対して相対的に揺動しようとする。さらに、図12に示すように、カバー312の先端部分とギヤリング70のVギヤ66側面との間に摩擦力が発生して、フリクションスプリング310(カバー312を含む)及びレバー304が一体に回転されることで、レバー304が非当接位置に配置されて、レバー304のフック306がイナーシャマス84のロック溝204から離間される。これにより、イナーシャマス84のVギヤ66に対する相対的な揺動が許可され、イナーシャマス84がVギヤ66に対して相対的に揺動すると、イナーシャマス84がWパウル80を押圧してWパウル80を揺動させ、Wパウル80の一端がギヤリング70の内周部に接近して、ギヤリング70の内周部に形成されたラチェット歯に噛み合う。
一方、ウエビングベルト26がスプール20の外周部に巻き取られる際に、スプール20が渦巻きばね36の付勢力で巻取方向へ回転すると、Vギヤ66がWパウル80、イナーシャマス84、レバー304及びフリクションスプリング310(カバー312を含む)と共に巻取方向へ回転する。このため、イナーシャマス84は、慣性によってVギヤ66に対し回転せずにその位置で留まろうとし、イナーシャマス84は圧縮コイルスプリング202の付勢力に抗してVギヤ66に対して相対的に揺動しようとする。さらに、図13に示すように、カバー312の先端部分とギヤリング70のVギヤ66側面との間に摩擦力が発生して、フリクションスプリング310(カバー312を含む)及びレバー304が一体に回転されることで、レバー304が当接位置に配置されて、レバー304のフック306がイナーシャマス84のロック溝204に挿入される。これにより、イナーシャマス84のVギヤ66に対する相対的な揺動が規制される。
スプール20がウエビングベルト26の巻き取りを終了した際に、反動でスプール20及びVギヤ66が急激で且つ僅かに引出方向に回転しても、レバー304は当接位置にある状態が維持されて、レバー304のフック306がイナーシャマス84のロック溝204に挿入された状態が維持される。
このため、上記のように、Vギヤ66に引出方向への大きな加速度が生じて、慣性でVギヤ66に対してイナーシャマス84が相対的にロック起動方向に揺動しようとしても、上記フック306のロック溝204への挿入によってイナーシャマス84のロック起動方向への揺動が規制される。したがって、イナーシャマス84がWパウル80を押し上げることはなく、Wパウル80がギヤ部78の内周部のラチェット歯に噛み合うこともないため、ウエビング巻取装置300が所謂「エンドロック状態」になることを効果的に防止できる。
以上により、本実施の形態でも、エンドロック状態になることを防止するための機構をVギヤ66の回転力と遠心力で作動させる構成としたことによる効果、及び、リターンスプリング88がWパウル80と規制ウエイト94の双方を付勢することによる効果を除き、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、本ウエビング巻取装置300では、エンドロック状態になることを防止するための機構をVギヤ66の回転力及びカバー312とギヤリング70との摩擦力で作動させる構成としたため、エンドロック状態になることを防止するための機構をコンパクトにできる。
また、カバー312とギヤリング70との摩擦力によってレバー304が非当接位置から当接位置に移動されて、レバー304によってイナーシャマス84のロック起動方向への揺動が規制される。このため、Vギヤ66の巻取方向への回転によって適切にレバー304を非当接位置から当接位置に移動させることができると共に、レバー304によってイナーシャマス84のロック起動方向への揺動を適切に規制することができる。
さらに、カバー312の先端部分がギヤリング70に接触して、カバー312とギヤリング70との間に摩擦力が発生する。このため、カバー312とギヤリング70とが面接触することができ、カバー312とギヤリング70との相対移動を滑らかにして安定させることができると共に、カバー312とギヤリング70との相対移動による音の発生を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、フリクションスプリング310の他端側部分に取り付けられたカバー312とギヤリング70とを接触させた構成としたが、フリクションスプリング310の他端側部分にカバー312を取り付けずにフリクションスプリング310の他端とギヤリング70とを接触させた構成としてもよい。
[第4の実施の形態]
<第4の実施の形態の構成>
図16には、本発明の第4の実施の形態に係るウエビング巻取装置400の要部の構成が分解斜視図により示されており、図17には、ウエビング巻取装置400の要部の構成が正面図により示されている。
本実施の形態に係るウエビング巻取装置400は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
ウエビング巻取装置400では、回転検出機構68において、上記第2の実施の形態と同様に、Wパウル80の係止ピン80A、イナーシャマス84の係止孔84A及びロック溝204が設けられると共に、イナーシャマス84とVギヤ66との間に圧縮コイルスプリング202が架け渡されている。
また、上記第1の実施の形態におけるリターンスプリング88、規制ウエイト94、Vギヤ66の取付ピン92、支持ピン98及び係合ブロック102が設けられていない。
Vギヤ66には、イナーシャマス84の引出方向側端部近傍において、円柱状の支持ピン402が一体に設けられており、支持ピン402はVギヤ66から突出している。
支持ピン402の外周には、変位規制部材としてのレバー404が所定範囲で回転自在に支持されており、レバー404は、スライダタイプにされて、長尺略矩形板状にされている。
レバー404には、イナーシャマス84側部分において、規制部としての湾曲矩形板状のフック406が一体に形成されており、フック406はレバー404からVギヤ66とは反対側へ突出している。ここで、レバー404が非当接位置であるイナーシャマス84側とは反対側の回転位置に配置されることで、フック406がイナーシャマス84のロック溝204から離間されると共に、図18に示す如く、レバー404が当接位置であるイナーシャマス84側の回転位置に配置されることで、フック406がロック溝204に挿入されて、イナーシャマス84のロック起動方向への揺動をフック406のロック溝204への係合(当接)によって規制可能にされている。
レバー404には、イナーシャマス84とは反対側部分において、駆動部を構成する矩形板状の駆動板408が一体に形成されており、駆動板408はレバー404からVギヤ66とは反対側へ突出している。
Vギヤ66には、レバー404の引出方向側において、摩擦力発生部材を構成する連絡部材としての板状のスライダ410が設けられている。スライダ410のVギヤ66側の面には、案内手段を構成する湾曲矩形柱状の案内突起412が突出されており、案内突起412は、Vギヤ66の周方向に沿って湾曲されている。Vギヤ66には、案内突起412に対応して、案内手段を構成する湾曲矩形状の案内孔414が貫通形成されており、案内孔414は、Vギヤ66の周方向に沿って湾曲されている。案内突起412は案内孔414に挿入されてセンサホルダ62に接触されており(図2、図20及び図21参照)、案内突起412が案内孔414に沿ってスライド(移動)されることで、スライダ410がVギヤ66の周方向へスライド(移動)可能にされている。
スライダ410には、レバー404側部分において、駆動部を構成する駆動穴416が貫通形成されており、駆動穴416にレバー404の駆動板408が回転可能かつ移動可能に挿入されることで、スライダ410とレバー404とが連絡されて、スライダ410のVギヤ66周方向へのスライドによってレバー404が回転可能にされている。
スライダ410のVギヤ66とは反対側の面には、摩擦力発生部材を構成する摩擦付勢手段としての略U字形棒状のフリクションスプリング418の一端が回転自在に支持されており、フリクションスプリング418の他端は略U字状に湾曲されている。フリクションスプリング418は、一端側部分に比し他端側部分がVギヤ66とは反対側に配置されており、フリクションスプリング418は回転軸方向への付勢力を有している。スライダ410のVギヤ66とは反対側の面には、波形板状の挿入溝420が形成されており、挿入溝420にフリクションスプリング418の一端側部分が挿入されることで、スライダ410に対するフリクションスプリング418の回転が阻止されている。挿入溝420の底面には、矩形柱状の支持突起422が形成されており、支持突起422にはフリクションスプリング418の一端側部分が面支持されている。
図20及び図21に示す如く、フリクションスプリング418の他端は、フリクションスプリング418の付勢力によって、ギヤリング70のVギヤ66側面(平面)に接触されており、Vギヤ66が回転される際には、フリクションスプリング418の他端とギヤリング70のVギヤ66側面との間に摩擦力が発生することで、Vギヤ66に対しフリクションスプリング418及びスライダ410が一体にVギヤ66の周方向へスライドされて、レバー404が回転される。これにより、図18に示す如く、Vギヤ66が引出方向へ回転される際には、レバー404が非当接位置に配置されることで、レバー404のフック406がイナーシャマス84のロック溝204から離間される一方、図19に示す如く、Vギヤ66が巻取方向へ回転される際には、レバー404が当接位置に配置されることで、レバー404のフック406がロック溝204に挿入される。
ここで、車両が減速した際の慣性で、乗員の身体が略車両前方側へ移動してウエビングベルト26を急激に引っ張ると、スプール20が急激に引出方向に回転して、Vギヤ66がWパウル80、イナーシャマス84、レバー404、スライダ410及びフリクションスプリング418と共に引出方向に急激に回転する。このため、イナーシャマス84は、慣性によってVギヤ66に対し回転せずにその位置で留まろうとし、イナーシャマス84は圧縮コイルスプリング202の付勢力に抗してVギヤ66に対して相対的に揺動しようとする。さらに、図18に示すように、フリクションスプリング418の他端とギヤリング70のVギヤ66側面との間に摩擦力が発生して、Vギヤ66に対しフリクションスプリング418及びスライダ410がVギヤ66の周方向へスライドされることで、レバー404が回転されて、レバー404が非当接位置に配置され、レバー404のフック406がイナーシャマス84のロック溝204から離間される。これにより、イナーシャマス84のVギヤ66に対する相対的な揺動が許可され、イナーシャマス84がVギヤ66に対して相対的に揺動すると、イナーシャマス84がWパウル80を押圧してWパウル80を揺動させ、Wパウル80の一端がギヤリング70の内周部に接近して、ギヤリング70の内周部に形成されたラチェット歯に噛み合う。
一方、ウエビングベルト26がスプール20の外周部に巻き取られる際に、スプール20が渦巻きばね36の付勢力で巻取方向へ回転すると、Vギヤ66がWパウル80、イナーシャマス84、レバー404、スライダ410及びフリクションスプリング418と共に巻取方向へ回転する。このため、イナーシャマス84は、慣性によってVギヤ66に対し回転せずにその位置で留まろうとし、イナーシャマス84は圧縮コイルスプリング202の付勢力に抗してVギヤ66に対して相対的に揺動しようとする。さらに、図19に示すように、フリクションスプリング418の他端とギヤリング70のVギヤ66側面との間に摩擦力が発生して、Vギヤ66に対しフリクションスプリング418及びスライダ410がVギヤ66の周方向へスライドされることで、レバー404が回転されて、レバー404が当接位置に配置され、レバー404のフック406がイナーシャマス84のロック溝204に挿入される。これにより、イナーシャマス84のVギヤ66に対する相対的な揺動が規制される。
スプール20がウエビングベルト26の巻き取りを終了した際に、反動でスプール20及びVギヤ66が急激で且つ僅かに引出方向に回転しても、レバー404は当接位置にある状態が維持されて、レバー404のフック406がイナーシャマス84のロック溝204に挿入された状態が維持される。
このため、上記のように、Vギヤ66に引出方向への大きな加速度が生じて、慣性でVギヤ66に対してイナーシャマス84が相対的にロック起動方向に揺動しようとしても、上記フック406のロック溝204への挿入によってイナーシャマス84のロック起動方向への揺動が規制される。したがって、イナーシャマス84がWパウル80を押し上げることはなく、Wパウル80がギヤ部78の内周部のラチェット歯に噛み合うこともないため、ウエビング巻取装置400が所謂「エンドロック状態」になることを効果的に防止できる。
以上により、本実施の形態でも、エンドロック状態になることを防止するための機構をVギヤ66の回転力と遠心力で作動させる構成としたことによる効果、及び、リターンスプリング88がWパウル80と規制ウエイト94の双方を付勢することによる効果を除き、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、本ウエビング巻取装置400では、エンドロック状態になることを防止するための機構をVギヤ66の回転力及びフリクションスプリング418とギヤリング70との摩擦力で作動させる構成としたため、エンドロック状態になることを防止するための機構をコンパクトにできる。
また、フリクションスプリング418とギヤリング70との摩擦力によってレバー404が非当接位置から当接位置に移動されて、レバー404によってイナーシャマス84のロック起動方向への揺動が規制される。このため、Vギヤ66の巻取方向への回転によって適切にレバー404を非当接位置から当接位置に移動させることができると共に、レバー404によってイナーシャマス84のロック起動方向への揺動を適切に規制することができる。
さらに、レバー404及びスライダ410の形状が単純であるため、組付性及び加工性を向上させることができて、コストを低減することができる。
なお、本実施の形態では、フリクションスプリング418の他端とギヤリング70とを接触させた構成としたが、フリクションスプリング418の他端側部分に上記第3の実施の形態と同様のカバー312を取り付けてカバー312とギヤリング70とを接触させた構成としてもよい。