JP3192198B2 - シートベルトリトラクタ - Google Patents

シートベルトリトラクタ

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JP3192198B2
JP3192198B2 JP06632692A JP6632692A JP3192198B2 JP 3192198 B2 JP3192198 B2 JP 3192198B2 JP 06632692 A JP06632692 A JP 06632692A JP 6632692 A JP6632692 A JP 6632692A JP 3192198 B2 JP3192198 B2 JP 3192198B2
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pawl
teeth
reel shaft
webbing
lock
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好市 藤村
静孝 松浦
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Takata Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車両に装備
され、乗員を保護するためのシートベルト装置に関し、
特に、緊急時に、ウェビングを巻き取るリールシャフト
の回転をロックしてウェビングの伸び出しを防止するシ
ートベルトリトラクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両に装備されるシートベル
トリトラクタにおいては、車両に大きな減速度が作用し
た場合のような緊急時に、乗員の慣性移動によるウェビ
ングの伸び出しを防止するために、従来のシートベルト
リトラクタにはウェビングを巻き取るリールシャフトの
回転をロックするロック手段が設けられている。
【0003】このようなリールシャフトのロック手段の
一つとして、例えば米国特許第4,796,918号明細
書および図面に開示されているような、リールシャフト
およびこのリールシャフトを支持しているフレームに歯
を形成するとともに、車両に所定値以上の減速度が作用
したとき、リールシャフトが移動せしめられてその歯が
フレームの歯に係合することにより、リールシャフトの
回転を阻止するフレームロックタイプのロック手段があ
る。このフレームロックタイプのロック手段は、歯がフ
レームに形成されることからこのような歯を有する特別
の部材が不要となるので、比較的軽量に形成することが
できる。したがって、このロック手段によれば、現在自
動車等の車両に求められている軽量化に十分対応するこ
とができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
ロック手段を備えたリトラクタにおいては、リールシャ
フトに設けられた歯がフレームの歯に噛み合い、リール
シャフトの回転がロックされるとき、リールシャフトの
歯およびフレームの歯にはそれぞれ比較的大きな力が加
えられる。このため、それらの歯の幅を大きく形成し
て、歯に生じる応力を緩和する必要がある。そこで、従
来は歯に生じる応力を緩和する対策として、リールシャ
フトの歯の厚さおよびフレームの板厚を厚くして歯の噛
み合い幅を大きくするか、またはフレームとは別体に形
成した歯をフレームに取り付けて補強するかしていた。
しかしながら、前者の対策では重量が増大するという問
題があり、また後者の対策では補強材が必要となるので
部品点数が多くなるばかりでなく、補強材の取付工程が
必要となって作業工数が増大し、コストが高くなるとい
う問題がある。
【0005】また、前述のフレームロックタイプのロッ
ク手段では、リールシャフトの両端に設けられた歯がフ
レームの左右両側に設けられた歯に同時に噛み合うよう
にしなければならないが、実際には左右両側で同時に噛
み合うようにすることは難しく、片側のみで噛み合うこ
とが多い。特に、リールシャフトが移動することによ
り、リールシャフト側の歯とフレーム側の歯とが噛み合
うようになっているので、左右両側で同時に噛み合うよ
うにすることはきわめて難しい。そして、歯が片側のみ
で噛み合った場合には、その噛み合った歯に応力が集中
してしまい、更に一層強度を上げる必要があり、必然的
にリトラクタのサイズが大型となって重量が増大してし
まう。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、フレームに確実に係合し
てリールシャフトの回転を確実にロックすることができ
るようにして信頼性を向上することのできるシートベル
トリトラクタを提供することである。本発明の他の目的
は、機構を簡単にすると共に組付を容易にしてコストを
低減することのできる小型軽量のシートベルトリトラク
タを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の歯は、ウェビングを巻取るリールシャ
フトと、該リールシャフトの両端を回動自在に支持する
フレームと、該フレームおよびリールシャフト間に配設
されて通常時リールシャフトの回動を許容し必要時に作
動してリールシャフトの少なくともウェビング引出し方
向の回動を阻止するロック手段と、車両に所定値以上の
減速度が加えられたとき作動する減速度感知手段と、該
減速度感知手段の作動により前記ロック手段を作動する
ロック作動手段とを備えているシートベルトリトラクタ
において、前記ロック手段が、前記フレームの前記リー
ルシャフト一端側に設けられた第1係合部材および第1
被係合部のいずれか一方と、前記リールシャフトの一端
側に支持され前記第1係合部材および前記第1被係合部
のいずれか一方に係合可能な前記第1係合部材および前
記第1被係合部のいずれか他方と、前記フレームの前記
リールシャフト他端側に設けられた第2係合部材および
第2被係合部のいずれか一方と、前記リールシャフトの
他端側に支持され前記第2係合部材および前記第2被係
合部のいずれか一方に係合可能な前記第2係合部材およ
び前記第2被係合部のいずれか他方とを備えており、ま
た前記ロック作動手段が、前記第1係合部材および第1
被係合部のいずれか一方と前記第1係合部材および前記
第1被係合部のいずれか他方との係合が可能な状態に設
定した後、前記第2係合部材および前記第2被係合部の
いずれか一方と前記第2係合部材および前記第2被係合
部のいずれか他方との係合が可能な状態に設定し、次い
で前記第1被係合部と前記第1係合部材との係合および
前記第2被係合部と前記第2係合部材との係合を行うロ
ック調整手段を備えていることを特徴としている。
【0008】また請求項2の発明は、前記ロック調整手
段が、前記第1被係合部と前記第1係合部材との係合お
よび前記第2被係合部と前記第2係合部材との係合を同
時完了するように調整するロック調整手段であることを
特徴としている。更に請求項3の発明は、前記ロック調
整手段が、前記第1被係合部と前記第1係合部材との係
合が完了した後、前記第2被係合部と前記第2係合部材
との係合を完了するように調整するロック調整手段であ
ることを特徴としている。更に請求項4の発明は、更に
所定値以上の加速度でウェビングが引き出されたとき作
動するウェビング引出し感知手段が設けられており、該
ウェビング引出し感知手段の作動によっても前記ロック
作動手段が作動することを特徴としている。
【0009】更に請求項5の発明は、前記第1被係合部
および前記第2被係合部が、それぞれフレームに形成し
た円形孔の内周面に形成された所定数の第1歯および第
2歯から構成されているとともに、前記第1係合部材お
よび前記第2係合部材が、それぞれ前記リールシャフト
に揺動自在に設けられ前記第1歯および前記第2歯に係
合可能な第1パウルおよび第2パウルから構成されてお
り、前記ロック調整手段は前記第1歯のうち前記第1パ
ウルが係合する歯を決定してから前記第2歯のうち前記
第2パウルが係合する歯を決定することを特徴としてい
る。
【0010】更に請求項6の発明は、前記ロック調整手
段が、前記第1パウルを案内作動する第1カムと、前記
第2パウルを案内作動する第2カムと、これら第1パウ
ルおよび第2パウルを連動する連動手段とを備えている
ことを特徴としている。更に請求項7の発明は、前記第
1カムは径方向のカム孔により形成されていると共に、
前記第2カムは径方向の孔と周方向の孔とのほぼL字形
に形成されていることを特徴としている。
【0011】更に請求項8の発明は、前記第1被係合部
および前記第2被係合部が、それぞれリールシャフトに
形成したフランジ部の外周に形成された所定数の第1歯
および第2歯から構成されているとともに、前記第1係
合部材および前記第2係合部材は、それぞれ前記フレー
ムに揺動自在に設けられ前記第1歯および前記第2歯に
係合可能な第1パウルおよび第2パウルから構成されて
おり、前記ロック調整手段は前記第1歯のうち前記第1
パウルが係合する歯を決定してから前記第2歯のうち前
記第2パウルが係合する歯を決定することを特徴として
いる。更に請求項9の発明は、前記ロック調整手段が、
前記第1パウルを案内作動する第1カムと、前記第2パ
ウルを案内作動する第2カムと、これらの第1カムおよ
び第2カムを連動する連動手段とを備えていることを特
徴としている。
【0012】
【作用】このような構成をした請求項1の発明に係るシ
ートベルトリトラクタにおいては、車両に所定値以上の
減速度が作用したとき、減速度感知手段によりロック作
動手段が作動して、フレームのリールシャフト一端側に
設けられた第1係合部材および第1被係合部のいずれか
一方と、リールシャフトの一端側に支持され、第1係合
部材および第1被係合部のいずれか一方に係合可能な前
記第1係合部材および第1被係合部のいずれか他方とが
係合するとともに、フレームのリールシャフト他端側に
設けられた第2係合部材および第2被係合部のいずれか
一方と、リールシャフトの他端側に支持され第2係合部
材および第2被係合部のいずれか一方に係合可能な第2
係合部材および第2被係合部のいずれか他方とが係合す
る。その場合ロック調整手段により、第1被係合部と第
1係合部材との係合が可能な状態に設定された後、第2
被係合部と第2係合部材との係合が可能な状態に設定さ
れ、次いで第1被係合部と第1係合部材との係合および
第2被係合部と第2係合部材との係合が行なわれるよう
になる。
【0013】したがって、第1被係合部と第1係合部材
との係合および第2被係合部と第2係合部材との係合が
確実に行なわれるので、リールシャフトのウェビング引
出し方向の回動がリールシャフトの両側で確実に阻止さ
れるようになる。これにより、シートベルトリトラクタ
の信頼性が向上する。特に、リールシャフトを移動させ
ることなくフレームにロックさせることができるので、
更に一層信頼性が向上する。
【0014】また、請求項2の発明においては、第1被
係合部と第1係合部材との係合および第2被係合部と第
2係合部材との係合がともに確実に行なわれることによ
り、片側係合によって生じる集中応力が生じることもな
くなるので、係合により生じる応力はきわめて小さくな
る。したがって、フレームの厚さをそれほど大きくする
必要はないとともに、リールシャフトも小型に形成する
ことができる。これにより、リトラクタを小型軽量に形
成することができる。
【0015】更に、請求項3の発明では、まず第1係合
部材と第1被係合部との係合を完了させることにより、
少なくとも第1係合部材と第1被係合部とが確実に係合
するようになる。これにより、係合部材と被係合部との
係合不良がなくなり、リールシャフトを確実にロックす
ることが可能となる。更に請求項1ないし3の発明で
は、第1および第2係合部材を第1および第2被係合部
に係合させるだけで、リールシャフトは何等移動しない
ので、機構が簡単になるとともに、部品点数が少なくな
り組付工数が削減し、コストが低減する。
【0016】更に請求項4の発明では、ウェビングが所
定の加速度以上で引き出されたとき、ウェビング引き出
し感知手段によって、リールシャフトを確実にロックす
るようになる。特に請求項5および8の発明のように第
1および第2係合部材としてパウルを用いるとともに、
第1および第2被係合部を歯によって構成することによ
り、係合がより一層確実になるとともに、構造が簡単に
なる。更に請求項5、6および9の発明のようにロック
調整手段にカムおよびカム孔を用いることにより、更に
一層構造が簡単になるとともに、作動が確実なものとな
る。
【0017】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。図1は本発明に係るシートベルトリトラクタの一実
施例を示す分解斜視図、図2ないし図4はこの実施例の
組み立てた状態を示し、図2はカバーを取り外した状態
のシートベルトリトラクタの左側面図、図3は図2にお
けるIIIーIII線に沿う断面図、図4は図3におけるIVー
IV線に沿う断面図である。
【0018】図1ないし図4に示すように、この実施例
におけるシートベルトリトラクタ1は左右側壁2a,2
bを有するコ字形に形成されたフレーム2を備えてい
る。これらの左右側壁2a,2bは連結部材2cにより
互いに連結されており、これによりフレーム2は補強さ
れている。また、図5に示すように左側壁2aには円形
状の孔2dが形成されているとともに、図6に示すよう
に右側壁2bには円形状の孔2eが形成されている。右
側壁2bにおける孔2eの内周面には、全周にわたって
所定数の山形状の歯2fが形成されている。
【0019】図3に示すようにフレーム2の左右側壁2
a,2b間にウェビング3を巻き取るリールシャフト4
が配設されている。図7に示すように、このリールシャ
フト4の左右側面の中心部には、それぞれ第1回転軸4
aおよび第2回転軸4bが設けられている。また、左側
端面には一対の扇形の軸方向突出部4c,4dが形成さ
れているとともに、右側端面には変則扇形状の凹部4e
が形成されている。更に、一対の軸方向突出部4c,4
dの間の一方の挟間部4fと凹部4eとに開口するよう
にして、軸方向孔4gが穿設されている。更に、リール
シャフト4の左右端近傍には、ウェビング3の巻取り時
にこのウェビング3をガイドする一対のフランジ4h,
4iが形成されている。
【0020】右側壁2bには、リールシャフト4にウェ
ビング3の巻取り力を付与する付勢力付与手段5が取り
付けられている。更に、左側壁2aにはシートベルトロ
ック作動手段6が取り付けられているとともに、車両に
所定の減速度が作用したとき、その減速度を感知してシ
ートベルトロック作動手段6を動作させる減速度感知手
段7が設けられている。
【0021】付勢力付与手段5は、渦巻ばね8、この渦
巻ばね8の内周端8aが連結されてばね力が加えられる
ブッシュ9、渦巻ばね8の外周端8bが固定されるとと
もにこの渦巻ばね8を収容するスプリングケース10お
よびスプリングケース10に取り付けられて渦巻ばね8
を覆うカバー11とから構成されている。ブッシュ9は
第2回転軸4bに相対回転不能に嵌合連結され、したが
ってリールシャフト4には渦巻ばね8のばね力がウェビ
ング3の巻取り方向Bに常時作用している。
【0022】一方シートベルトロック作動手段6は、左
側壁2aに固定されるリテーナ12と、ロックギヤ13
と、このロックギヤ13に揺動可能に取り付けられる慣
性体14と、ロックギヤ13および慣性体14間に配設
されるコントロールばね15と、一対の軸方向突出部4
c,4dの間の他方の挟間部4j(図8に図示)に配設
されるメインパウル19と、リールシャフト4およびメ
インパウル19間に配設されるΩ状のリターンスプリン
グ16と、リテーナ12に固定され、内周面全周にわた
って所定数の山形状の歯20aが形成されたインターナ
ルギヤ20と、リールシャフト4の軸方向孔4gを貫通
するジョイントピン21と、このジョイントピン21の
一端に連結されるバックアップパウル22と、ロックギ
ヤ13を覆うカバー18とから構成されている。なお、
図1において、23はウェビングガイドである。
【0023】図1および図5に示すようにリテーナ12
は平板状に形成されているとともにきわめて大きな孔1
2aを有しており、また下部に減速度感知手段7の取付
部12bを有している。ロックギヤ13は、図9に示す
ように円形の平板13aが形成されているとともに、こ
の平板13aの外周端に環状のフランジ13bが形成さ
れている。このフランジ13bの外周面に所定数の歯1
3c,13c,…が形成されている。これらの歯13cは
3角形の山形に形成されており、その場合ウェビング引
出し方向Aに対して面する面が比較的緩やかな傾斜面と
なっているのに対して、ウェビング巻取り方向Bに対し
て面する面がほぼ垂直面となっている。
【0024】図9(a)に示すように平板13aの同図
(b)において左側面にはばね受け部材13dが立設さ
れており、このばね受け部材13dにはばねガイド部1
3eが平板13aに平行に立設されている。更に平板1
3aには軸13fが立設されているとともに第1ストッ
パ13gおよび第2ストッパ13hが立設されている。
【0025】更に平板13aには、長円形状の第1カム
孔13iとL字形状の第2カム孔13jとが穿設されて
いる。第1カム孔13iは内側から外側に向かってウェ
ビング引出し方向Aに傾斜するように設けられており、
また第2カム孔13jは内側から外側に向かってウェビ
ング引出し方向Aに傾斜する径方向の孔部13kとこの
孔部13kの内端から延びる周方向の孔13mとからな
っている。更に平板13aの中央には回転軸13nが立
設されているとともに、この回転軸13nを貫通する貫
通孔13pが穿設されている。
【0026】図10に示すように、慣性体14は平板か
ら概略Ω形状に形成されているとともに中央に孔14a
が穿設されている。また両先端にはそれぞれ係止爪14
b,14cが形成されている。更に係止爪14b,14c
の間には、ばね受け部14d,14eおよびばねガイド
部14f,14gが設けられている。図2に示すように
この慣性体14は孔14aをロックギヤ13の軸13f
に嵌合することにより揺動可能にロックギヤ13に支持
されるようになっている。そして、コントロールばね1
5がガイド部13e,14fに嵌合されて、ばね受け部
材13dとばね受け部14dとの間に縮設されている。
このコントロールばね15のばね力により、慣性体14
はロックギヤ13に対してA方向に常時付勢されてい
て、通常時は実線で示すように第1ストッパ13iに当
接するようになっている。そして、慣性体14がロック
ギヤ13に対してB方向にコントロールばね15のばね
力に抗して回転したとき二点鎖線で示すように第2スト
ッパ13hに当接するようになっている。
【0027】図11に示すように、メインパウル19は
ほぼ扇形に形成され、扇のかなめの部分に貫通孔19a
が穿設されているとともに、扇の外周面に一対の係止爪
19b,19cが形成されている。また、一方の係止爪
19cの近傍には軸方向にに延びる突出軸19dが設け
られている。更に一対の係止爪19b,19cの間には
V字形の凹部19eが形成されており、このV字形凹部
19eがインターナルギヤ20の山形状の歯20aの一
つに係合可能となっている。
【0028】Ω状のリターンスプリング16は、一端が
リールシャフト4の孔4kに係止されているとともに他
端がメインパウル19の孔19aに係止されている。そ
して、このΩ状のリターンスプリング16により、メイ
ンパウル19はリールシャフト4に対してウェビング引
出し方向Aに常時付勢されている。
【0029】図12に示すように、インターナルギヤ2
0はリング状平板から形成されており、前述のようにそ
の内周面には全周にわたって所定数の山形状の歯20a
が形成されている。これらの山形状の歯20aは形状お
よび数ともフレーム2の右側壁2bに形成されている歯
2fの形状および数と全く同じに形成されている。この
インターナルギヤ20はリテーナ12の孔12a内に配
置され、例えばビス等の締結具を上下一対の取付孔20
b,20cを貫通してフレーム2の左側壁2aの上下一
対の孔2g,2hの螺合することによりこの左側壁2a
に固定される。インターナルギヤ20が左側壁2aに固
定されたときには、インターナルギヤ20の一つの歯2
0aと右側壁2bの一つの歯2fとが周方向に一致する
ように設定されている。
【0030】図13に示すように、ジョイントピン21
は軸部21aの左端に一体に形成された腕部21bと、
この腕部21bの先端に設けられた軸方向の突出軸21
cとから構成されている。また、軸部21aの右端にバ
ックアップパウル22が固定されており、バックアップ
パウル22は腕部21bの回転に連動して同方向に回転
するようになっている。図4に示すように、このバック
アップパウル22はフレーム2の右側壁2bに形成され
た山形状の歯2fにウェビング引出し方向Aに係合可能
となっている。
【0031】ロックギヤ13の回転軸13nにおける貫
通孔13pをリールシャフト4の第1回転軸4aに貫通
させることによりロックギヤ13が装着されたとき、メ
インパウル19の突出軸19dがロックギヤ13の第1
カム孔13iを貫通するようになっているとともに、ジ
ョイントピン21の突出軸21cが第2カム孔13jを
貫通するようになっている。その場合、メインパウル1
9がΩ状のリターンスプリング16によりリールシャフ
ト4に対してウェビング引出し方向Aに付勢されている
ので、突出軸19dを介してロックギヤ13もリールシ
ャフト4に対して同A方向に付勢されている。
【0032】ロックギヤ13が付勢されている通常状態
では、図2に示すように突出軸19dは第1カム孔13
iの内側端に当接した位置に設定されるとともに、突出
軸21cは第2カム孔13jの周方向の孔13mの端に
当接した位置に設定されるようになる。この状態では、
メインパウル19の第1および第2係止爪19b,19
cがインターナルギヤ20の歯20aに係合しない位置
となっているとともに、バックアップパウル22がフレ
ーム2の右側壁2bの歯2fに係合しない位置となって
いる。
【0033】図3に示すようにカバー18が、ロックギ
ヤ13、慣性体14および減速度感知手段7を覆うよう
にしてリテーナ12に着脱可能に取り付けられている。
図14に示すように、このカバー18は所定形状の平板
部18aとその周縁全周にわたって設けられているフラ
ンジ部18bとから構成されている。平板部18aには
内周面に所定数の歯18cが形成された環状の歯部材1
8dが設けられている。歯18cは3角形の山形状に形
成されており、ウェビング引出し方向Aに面する面がほ
ぼ垂直面とされているとともに、ウェビング巻取り方向
Bに面する面が緩やかな傾斜面とされている。
【0034】図2および図3に示すように、カバー18
を取り付けた状態では、この環状の歯部材18dはロッ
クギヤ13のフランジ13bの内側でこのフランジ13
bと慣性体14との間に位置するようになっている。そ
して、前述したように通常状態ではコントロールばね1
5のばね力により慣性体14が第1ストッパ13gに当
接した位置に保持されているので、係止爪14cは歯1
8cから離れた非係合位置に保持されている。また、慣
性体14がコントロールばね15のばね力に抗してロッ
クギヤ13に対して相対的に揺動して第2ストッパ13
hに当接したとき、係止爪14cが歯18cとの係合可
能位置に移動するようになっている。
【0035】係止爪14cがこの係合可能位置にある時
にロックギヤ13がウェビング引出し方向Aに回転する
と、係止爪14cが歯18cと係合し、ロックギヤ13
はそれ以上のウェビング引出し方向Aの回転が阻止され
る。係止爪14cが係合可能位置にある時にロックギヤ
13がウェビング巻取り方向Bに回転すると、係止爪1
4cが歯18cのゆるやかな傾斜面に沿ってコントロー
ルばね15に抗して移動して歯18cを飛び越えるの
で、ロックギヤ13はウェビング巻取り方向Bに対して
は回転可能となっている。
【0036】環状の歯部材18dの中心部には突起18
eが設けられており、図3に示すようにカバー18が取
り付けられたとき、この突起18eはリールシャフト4
の孔4mに嵌入されるようになり、これによりカバー1
8の環状の歯部材18dはロックギヤ13に対して正確
に位置決めされるようになっている。
【0037】次にメインパウル19とバックアップパウ
ル22との動作について図15を用いて詳細に説明す
る。なお、図15は模式的に表したものであり、二つの
歯2f,20a、メインパウル19およびバックアップ
パウル22を同一平面に記載してある。
【0038】図15(a)においてΩ状のリターンスプ
リング16のばね力によりメインパウル19がA方向に
常時付勢されているので、ロックギヤ13およびジョイ
ントピン21の腕部21bがともにA方向に付勢されて
いる。したがって、ロックギヤ13がリールシャフト4
に対してA方向に相対回動する。このため、突出軸19
dが第1カム孔13iの内側端に当接する位置まで、ロ
ックギヤ13がリールシャフト4に対してA方向に相対
回動し、その位置でロックギヤ13は停止しかつ保持さ
れる。
【0039】一方このとき、ジョイントピン21の腕部
21bの突出軸21cは第2カム孔13jにおける周方
向孔13mの端部に当接した位置になっている。この状
態では、メインパウル19およびバックアップパウル2
2がともにそれぞれ歯20aおよび歯2fと係合しない
非係合位置となっている。
【0040】また、ロックギヤ13がリールシャフト4
に対してB方向に相対回動すると、図15(b)に示す
ように第1カム孔13iに案内されて突出軸19dが移
動する。この突出軸19dの移動により、メインパウル
19がB方向すなわち歯20aの方へ回動し、第1およ
び第2係止爪19b,19cと係合する歯20aが決定
される。一方このとき、ジョイントピン21の腕部21
bの突出軸21cが周方向の孔13mに案内されて孔1
3mの他方の端部まで移動する。その場合、突出軸21
cが周方向の孔13mに沿って単に移動するだけである
ので、腕部21bはほとんど回動することがなく、した
がってバックアップパウル22も回動しない。このた
め、バックアップパウル22は通常状態の姿勢を保持し
ている。
【0041】更に、ロックギヤ13がリールシャフト4
に対してB方向に相対回動すると、図15(c)に示す
ように突出軸19dが第1カム孔13iに案内されて更
に移動し、これによりメインパウル19が歯20aの方
へ更に回動して、第1および第2係止爪19b,19c
と歯20aとが噛み合い始める。一方このとき、腕部2
1bの突出軸21cが径方向の孔13kに案内されて移
動し、このためバックアップパウル22がB方向すなわ
ち歯2fの方へ回動して、バックアップパウル22と係
合する歯2fが決定される。
【0042】更にロックギヤ13がリールシャフト4に
対してB方向に相対回動すると、図15(d)に示すよ
うに突出軸19dが第1カム孔13iに案内されて更に
移動し、これによりメインパウル19が歯20aの方へ
更に回動して、第1および第2係止爪19b,19cと
歯20aとの噛み合いが進行するとともに、腕部21b
の突出軸21cが径方向の孔13kに案内されて更に移
動し、バックアップパウル22と歯2fとの係合が開始
される。
【0043】更にロックギヤ13がリールシャフト4に
対してB方向に相対回動すると、図15(e)に示すよ
うに突出軸19dが第1カム孔13iに案内されて更に
移動し、これによりメインパウル19が歯20aの方へ
更に回動して、第1および第2係止爪19b,19cと
歯20aとが完全に噛み合うとともに、腕部21bの突
出軸21cが径方向の孔13kに案内されて更に移動
し、バックアップパウル22と歯2fとが、第1および
第2係止爪19b,19cと歯20aとの噛み合いと同
時にかつ完全に係合する。このように、メインパウル1
9、バックアップパウル22および歯20a,2fによ
り、シートベルトロック手段が構成されている。
【0044】ところで、本実施例のシートベルトリトラ
クタ1においては、メインパウル19における第1およ
び第2係止爪19b,19cと係合する歯20aがまず
決定され、次いでバックアップパウル22と係合する歯
2fが決定される。このため、メインパウル19と歯2
0aとの係合およびバックアップパウル22と歯2fと
の係合の少なくともいずれか一方に不良を生じることが
なく、それらの係合が確実に行われるようになる。
【0045】減速度感知手段7は、図1に示すように慣
性ボール7aと、この慣性ボール7aを支持する支持台
7bと、慣性ボール7aに移動より揺動可能に支持台7
bに取り付けられるアクチュエータ7cとからなってい
る。図2に示すように、支持台7bには慣性ボール7a
を載置するための凹部7dが設けられており、この凹部
7dにより慣性ボール7aは通常時にほとんど移動しな
いように支持されるとともに、車両に所定値以上の減速
度が作用したときにこの凹部7dから脱出して矢印で示
すように前方へ移動するようになっている。
【0046】またアクチュエータ7cの先端には係止爪
7eが形成されており、このアクチュエータ7cは通常
時には図に実線で示すようにロックギヤ13の歯13c
から離れた非係合位置にあり、慣性ボール7aが図で右
方へ移動したとき矢印で示すように上方へ回動し、二点
鎖線で示すように係止爪7eが歯13eと係合する係合
位置になるようにされている。
【0047】次に、このように構成された本実施例の作
用について説明する。 〔車両に所定値以上の減速度が作用しない通常状態〕こ
の状態では、減速度感知手段7の慣性ボール7aが移動
しないので、アクチュエータ7cは図2の実線位置にあ
り、係止爪7eはロックギヤ13の歯13eから離れた
非係合位置にある。また、同様に慣性体14の係止爪1
4c、メインパウル19およびバックアップパウル22
もそれぞれ図2、図3および図4に示すように非係合位
置にある。
【0048】したがって、この状態ではシートベルトリ
トラクタ1はおもに付勢力付与手段5の作用が行われ
る。すなわち、この付勢力付与手段5の渦巻ばね8のば
ね力により、リールシャフト4はウェビング巻取り方向
Bに付勢され、ウェビング3が巻き取られるようにな
る。
【0049】(シートベルトの非装着状態)この状態で
は、ウェビング3に取り付けられているタング(不図
示)とバックル部材(不図示)とが離れている。したが
って、前述のように渦巻ばね8のばね力によりウェビン
グ3を巻き取っている状態となる。 (ウェビングを引き出すときの状態)ウェビング3を装
着するために乗員がウェビング3を引き出すと、これに
ともないリールシャフト4およびブッシュ9がウェビン
グ引出し方向Aへ回転する。このため、渦巻ばね8が巻
き締められていく。
【0050】(タングとバックル部材との結合後、ウェ
ビングから手を離したときの状態)乗員がタングとバッ
クル部材とを結合した時点では、ウェビング3は正規の
装着状態のときの引出し長さよりも余分に引き出された
状態となっているので、乗員が結合操作後にウェビング
3を離すと、渦巻ばね8のばね力によってウェビング3
は乗員の体にフィットするまで巻き取られる。このと
き、ウェビング3により乗員に圧迫感を与えないよう
に、渦巻ばね8のばね力が適宜決定されている。そして
車両走行中は、車両に所定値以上の減速度が作用しない
限り、シートベルトリトラクタ1はこの状態を保持して
いる。
【0051】〔車両に所定値以上の減速度が作用したと
きの状態〕車両走行中急ブレーキ等により車両に所定値
以上の減速度が作用すると、シートベルトロック作動手
段6および減速度感知手段7がともに動作する。まず第
1段階として減速度感知手段7の慣性ボール7aがこの
減速度により前方に(図2の矢印方向)移動するので、
アクチュエータ7cが上方へ回動して図2の二点鎖線で
示す位置となる。このため、係止爪7eが係合位置とな
る。一方、車両のこの所定値以上の減速度により乗員が
前方へ移動しようとするため、ウェビング3が引き出さ
れるが、このウェビング3の引出しにより、リールシャ
フト4およびロックギヤ13が引き出し方向Aへ回動す
る。
【0052】しかし、ロックギヤ13の歯13cがすぐ
に係止爪7eに係合するので、ロックギヤ13はすぐに
引き出し方向Aへの回動が停止する。この結果、リール
シャフト4のみが引き出し方向Aへ引続き回動するよう
になるため、ロックギヤ13とリールシャフト4との間
には相対回動が生じる。すなわち、ロックギヤ13はリ
ールシャフト4に対してB方向へ相対回動するようにな
る。
【0053】このロックギヤ13の相対回動により、第
2段階として図15(b)ないし同図(e)に示すよう
にメインパウル19およびバックアップパウル22が回
動してそれぞれ歯20aおよび歯2fに係合する。これ
により、リールシャフト4はウェビング引出し方向Aの
回動が阻止されるようになる。この結果、慣性により乗
員が前方へ移動しようとすることによって生じるウェビ
ング3の引出しが確実に阻止される。これにより、乗員
は確実に拘束されて保護されるようになる。
【0054】〔ウェビングに急激に引出し力が作用した
ときの状態〕この状態ではウェビング3が急激に引き出
されるようになるため、リールシャフト4、ロックギヤ
13および慣性体14がウェビング引出し方向Aへ急激
に回動しようとする。しかし、コントロールばね15の
ばね力がそれほど大きくないので、コントロールばね1
5が縮んで慣性体14は慣性遅れを生じる。すなわち、
慣性体14はロックギヤ13とともにウェビング引出し
方向Aへ公転するばかりでなくロックギヤ13に対して
B方向へ相対的に自転する。このように慣性体14は、
本発明のウェビング引出し感知手段を構成している。
【0055】この慣性体14の自転により、図2に二点
鎖線で示すように係止爪14cが第2ストッパ13hに
当接する係合位置に移動するとともに、歯18cに係合
する。このため、慣性体14の公転、ロックギヤ13の
ウェビング引出し方向Aの回転が阻止されるようにな
る。したがって、リールシャフト4のみがウェビング引
出し方向Aへ回転する。これにより、前述したようにロ
ックギヤ13はリールシャフト4に対してB方向へ相対
回動するようになる。
【0056】このロックギヤ13の相対回動により、前
述と同様にメインパウル19およびバックアップパウル
22が回動してそれぞれ歯20aおよび歯2fに係合す
る。これにより、リールシャフト4はウェビング引出し
方向Aの回動が阻止されるようになる。この結果、慣性
により乗員が前方へ移動しようとすることによって生じ
るウェビング3の引出しが確実に阻止される。これによ
り、乗員は確実に拘束されて保護されるようになる。
【0057】図16ないし図18は本発明に係るシート
ベルトリトラクタの他の実施例を示す分解斜視図であ
り、図16はその中央部分であり、図17はその左側部
分であり、更に図18はその右側部分である。そして、
図16の線A1,B1,C1,D1と図17の線A2,B2,C2,
2とがそれぞれ整合し、図16の線E1,F1,C1,G1,
1と図18の線E3,F3,C3,G3,H3とがそれぞれ整合
することにより、この実施例の全体の分解斜視図が構成
される。また、図19ないし図21はこの実施例のシー
トベルトリトラクタが組み立てられた状態を示し、図1
9はカバーを取り外した状態のシートベルトリトラクタ
の右側面図、図20は図19におけるXXーXX線に沿う断
面図、図21は図20において付勢力付与手段5を取り
除いた状態を部分的に示す部分左側面図である。
【0058】図16ないし図21に示すように、この実
施例におけるシートベルトリトラクタ101は右、左側壁1
02a,102bを有するコ字形に形成されたフレーム102を備
えている。これらの右、左側壁102a,102bは連結部材102
cにより互いに連結されており、これによりフレーム102
は補強されている。また、図22に示すように右側壁10
2aには円形状の孔102dが形成されているとともに、図2
3に示すように左側壁102bには円形状の孔102eが形成さ
れている。更に、右、左側壁102a,102bにおける孔102d,
102eの内周面には、それぞれ全周にわたって所定数の山
形状の歯102f…,102g…が形成されている。その場合、
左側の歯102の位相が右側の歯102fの位相に対してウェ
ビング引出し方向αの方へ所定角度(例えば3゜等)進
んで設定されている。更にこれらの歯102f,102gは3角
形の山形の同形状に形成されており、その場合ウェビン
グ引出し方向αに対面する面が比較的急な傾斜面となっ
ているのに対して、ウェビング巻取り方向βに対面する
面が比較的緩やかな傾斜面となっている。
【0059】これらの歯102f,102gの急斜面側の形状
は、後述するようにメインパウル117およびバックアッ
プパウル120のそれぞれの歯117d,120dが対応する歯102
f,102gに係合開始するスタンバイ位置にカム孔114m,114
nにより誘導された後、歯117d,120dが歯102f,102gに完
全に係合するロック位置にメインパウル117およびバッ
クアップパウル120を回動させるような形状、すなわち
メインパウル117およびバックアップパウル120がそれぞ
れセルフロック作用を行うような形状に形成されてい
る。このセルフロック作用の詳細については後述する。
【0060】更に、左側壁2bには、3個の係止孔102
h,102i,102jおよび長孔からなるガイド孔102qが穿設さ
れているとともに、右側壁102aには、4個の係止孔102
k,102m,102n,102rおよび長孔からなるガイド孔102pが穿
設されている。更に右側壁102aの上端には、係止突起10
2sが上方へ突設されている。
【0061】図20に示すように、フレーム102の左右
側壁102a,102b間にはウェビング103を巻き取るリールシ
ャフト104が配設されている。図24に示すように、こ
のリールシャフト104は、中央のウェビング巻取り部104
aと、このウェビング巻取り部104aの右、左両端に形成
され、ウェビング103を巻取りガイドする円形のフラン
ジ状部104b,104cと、フランジ状部104bの中心部に設け
られ、軸方向外方に突出する第1回転軸104dと、フラン
ジ状部104cの中心部に設けられ、第1回転軸104dと同軸
の第2回転軸104eとから構成されている。ウェビング巻
取り部104aには、ウェビング103を巻取り可能にするた
めにウェビング103の先端が挿入されかつ係止される径
方向の貫通孔104fが穿設されている。この貫通孔104fの
一端部側が幅広に形成されており、したがって貫通孔10
4fは段部104gを有した段付孔に形成され、この段部104g
にウェビング103の先端が係止されるようになってい
る。このリールシャフト104は、例えばアルミのPFダ
イカストにより形成することができる。
【0062】図25に示すように右側のフランジ状部10
4bには、パウルスプリング118(図16に図示)が収容
される第1凹嵌部104hと、メインパウル117(詳細は後
述の図35に図示)の爪部117cが配置される第2凹嵌部
104iと、このメインパウル117の爪部117cに加えられる
荷重を受ける荷重受け面104jが形成された荷重受け部10
4kと、ジョイントピン119が回転可能に遊嵌される軸方
向の貫通孔104mと、この貫通孔104mの端部に形成された
貫通孔104mと同心円形の第3凹嵌部104nとが設けられて
いる。第1、第2および第3凹嵌部104h,104i,104nがフ
ランジ状部104bの外周縁部104pの面に対して最も深く軸
方向にへこんでいるとともに、荷重受け部104kの面がフ
ランジ状部104bの外周縁部104pの面に対して各凹嵌部10
4h,104i,104nよりは浅く軸方向にへこんでいる。したが
って、第2凹嵌部104iとフランジ状部104bの外周縁部10
4pの第1凹嵌部104h形成部との間、フランジ状部104bの
外周縁部104pと荷重受け部104kとの間、および第2凹嵌
部104iと荷重受け部104kとの間には、それぞれ段部104
q,104r,104sが形成されている。また、荷重受け面104j
は貫通孔104mと同心円の所定長さの円弧から形成されて
いる。
【0063】更に、フランジ状部104bの外周面には、リ
ールシャフト104が右、左側壁102a,102bの間に配設
されたとき、リールシャフト104を右側壁102aに対して
軸方向にガイドする右側ガイド部104tが3箇所周方向に
等間隔に形成されている。これらの右側ガイド部104t
は、右、左側壁102a,102bの孔102d,102eを容易に通過す
ることができないような大きさに設定されている。しか
し、これらの右側ガイド部104tは所定数の歯104t1を有
しており、これらの歯104t1は左右側壁102a,102bに形成
された歯102f,102gと相似形にかつ若干小さく形成され
ている。したがって、歯104t1が歯102fまたは歯102gと
整合されたとき、右側ガイド部104tを有するフランジ状
部104bは孔102dおよび孔102eを通過することができるよ
うになる。更に、第1回転軸104dの先端は小径部104d1
とされており、この小径部104d1は後述するようにロッ
クギヤ第1カバー113の小孔113nに回転可能に嵌入支持
される。
【0064】また、図26に示すように左側のフランジ
状部104cには、バックアップパウル120(詳細は後述の
図37に図示)の爪部120cが配置される第4凹嵌部104u
と、このバックアップパウル120の爪部120cに加えられ
る荷重を受ける荷重受け面104vが形成された荷重受け部
104wと、ジョイントピン119が回転可能に遊嵌される軸
方向の貫通孔104mと、この貫通孔104mの端部に形成され
た貫通孔104mと同心円形の第5凹嵌部104xが設けられて
いる。第4および第5凹嵌部104u,104xがフランジ状部1
04cの外周縁部104yの面に対して最も深く軸方向にへこ
んでいるとともに、荷重受け部104wの面がフランジ状部
104cの外周縁部104yの面に対して各凹嵌部104u,104xよ
りは浅く軸方向にへこんでいる。したがって、第4凹嵌
部104uとフランジ状部104cの外周縁部104yとの間、フラ
ンジ状部104cの外周縁部104yと荷重受け部104wとの間、
および第4凹嵌部104uと荷重受け部104wとの間には、そ
れぞれ段部104z,104A,104Bが形成されている。また、荷
重受け面104vは貫通孔104mと同心円の所定長さの円弧か
ら形成されている。
【0065】更に、フランジ状部104cの外周面にも、リ
ールシャフト104が右、左側壁102a,102bの間に配設され
たとき、リールシャフト104を左側壁102bに対して軸方
向にガイドする左側ガイド部104Dが3箇所周方向に等間
隔に形成されている。これらの左側ガイド部104Dは、
右、左側壁102a,102bの孔102d,102eを容易に通過するこ
とができないような大きさに設定されている。しかし、
これらの左側ガイド部104Dは所定数の歯104D1を有して
おり、これらの歯104D1は左右側壁102a,102bに形成され
た歯102f,102gと相似形にかつ若干小さく形成されてい
る。したがって、歯104D1が歯102fまたは歯102gと整合
されたとき、左側ガイド部104tを有するフランジ状部10
4cは孔102dおよび孔102eを通過することができるように
なる。
【0066】更にフランジ状部104cから軸方向に突出す
る第2回転軸104eは、先端部104e1が断面円形に形成さ
れているとともに、根元部104e2が断面角形(本実施例
の場合は正方形)に形成されている。図24から明らか
なように、貫通孔104mはフランジ状部104b,104cを貫通
するばかりでなく、中央のウェビング巻取り部104aをも
軸方向に貫通しており、すなわち貫通孔104mはリールシ
ャフト104を軸方向に貫通して設けられている。
【0067】図17および図20に示すように、左側壁
102bには、リールシャフト104にウェビング103の巻取り
力を付与する付勢力付与手段105が取り付けられてい
る。更に、図16、図18および図20に示すように右
側壁102aにはシートベルトロック作動手段106が取り付
けられているとともに、図18および図20に示すよう
に車両に所定の減速度が作用したとき、その減速度を感
知してシートベルトロック作動手段106を動作させる減
速度感知手段107が設けられている。
【0068】付勢力付与手段105は、渦巻ばねからなる
パワースプリング108、このパワースプリング108の内側
端108aが連結されてばね力が加えられるブッシュ109、
パワースプリング108の外側端108bが固定されるととも
にこのパワースプリング108を収容するスプリングケー
ス110およびスプリングケース110に取り付けられてパワ
ースプリング108を覆うカバー111とから構成されてい
る。
【0069】図27に示すように、ブッシュ109の中心
部には、リールシャフト104の第2回転軸104eの根元部1
04e2が嵌入可能な貫通孔109aが軸方向に穿設されてい
る。この貫通孔109aの断面形状は第2回転軸104eの根元
部104e2の断面形状と同形状の角形とされている。ま
た、ブッシュ109には、その外周面に開口する104個の断
面U字状の溝109b,109c,109d,109eが設けられている。
これらの溝のうち、溝109bと溝109d、および溝109cと溝
109eがそれぞれブッシュ109の中心に関して径方向反対
側に配置されている。後述するように、これらの溝には
スプリングピン112(図17に図示)が貫通されるよう
になっている。更に、ブッシュ109にはスプリング108の
内側端108aが嵌入、係止される係止溝109fが設けられて
いる。
【0070】このブッシュ109はその孔109aに第2回転
軸104eの根元部104e2が嵌入されることによりその第2
回転軸104eに相対回転不能に嵌合連結されるようになっ
ており、これによりスプリング108のばね力がブッシュ1
09を介してリールシャフト104にウェビング1O3の巻取り
方向βに常時作用するようになっている。
【0071】図28に示すように、スプリングケース11
0はほぼ中心部にリールシャフト104の第2回転軸104eの
根元部104e2が遊嵌される孔110aが穿設されているとと
もに、スプリングピン112が貫通する一対の小孔110b,11
0cが孔110aを挟んで穿設されている。また、スプリング
ケース110の外周端部近傍には、スプリング108の外側端
108bが係止する係止部110dが設けられている。
【0072】図29に示すように、カバー111はほぼ中
央部にリールシャフト104の第2回転軸104eの先端部104
e1を回動自在に支持する孔111aが穿設されているととも
に、スプリングピン112が貫通する一対の小孔111b,111c
が孔111aを挟んで穿設されている。また、カバー111の
端部に形成されたフランジ部には、3個の係止突起111
d,111e,111fが設けられている。これらの係止突起111d,
111e,111fは、それぞれフレーム102の左側壁102bに穿設
された対応する係止孔102h,102i,102jに嵌入係止される
ようになっており、これにより付勢力付与手段105がフ
レーム102の左側壁102bに着脱可能に取り付けられる。
【0073】ところで、シートベルトリトラクタ101を
組み立てる際には、付勢力付与手段105をサブアッセン
ブリとして予め組み立て、このサブアッセンブリをフレ
ーム102の左側壁102bに取り付けるようにしている。そ
の場合、付勢力付与手段105をサブアッセンブリした状
態では、リールシャフト104に常時ばね力をウェビング
巻取り方向βに付与するようにするために、パワースプ
リング108をウェビング引出し方向αに所定量巻いた状
態に保持しておく必要がある。そのために、図17に示
すようなスプリングピン112が用いられている。
【0074】図30に詳細に示すように、このスプリン
グピン112は弾性線材を折り曲げて形成されており、2
本の回転阻止腕112a,112bを備えている。そして、付勢
力付与手段105のサブアッセンブリ状態でパワースプリ
ング108が巻き戻ることのないようにするため、これら
の回転阻止腕112a,112bを、図17に示すようにスプリ
ングカバー111の小孔111b,111c、ブッシュ109の溝109b,
109cのいずれか一方、溝109d,109eのいずれか一方、ス
プリングケース110の小孔110b,110cに貫通することによ
り、パワースプリング108の巻戻りを阻止するようにし
ている。
【0075】一方シートベルトロック作動手段106は、
フレーム102の右側壁102aに固定されるロックギヤ第1
カバー113と、ロックギヤ114と、このロックギヤ114に
揺動可能に取り付けられる慣性体115と、ロックギヤ114
および慣性体115間に配設されるコントロールばね116
と、一端がリールシャフト104のフランジ状部104bに形
成された第3凹嵌部104nに回動可能に支持され、他端が
第2凹嵌部104iに配置される係止部となっているメイン
パウル117と、リールシャフト104の第1凹嵌部104h内に
収容されかつリールシャフト104およびメインパウル117
間に縮設されるパウルスプリング118と、リールシャフ
ト104の軸方向孔104mを貫通するジョイントピン119と、
このジョイントピン119の一端に連結されかつ一端がリ
ールシャフト104のフランジ状部104cに形成された第5
凹嵌部104xに回動可能に支持され、他端が第4凹嵌部10
4uに配置される係止部となっているバックアップパウル
120と、フレーム102の右側壁102aに嵌合支持されて、ロ
ックギヤ第1カバー113、ロックギヤ114、慣性体115、
メインパウル117、ジョイントピン119および減速度感知
手段107を覆うロックギヤ第2カバー121とから構成され
ている。更に、シートベルトリトラクタ101は、ウェビ
ング1O3を案内するウェビングガイド122を備えている。
【0076】図31および図32に示すように、ロック
ギヤ第1カバー113は比較的大きな貫通孔113aを有して
おり、この貫通孔113aの内周面には全周にわたって所定
数の歯113c,113c,…が形成されている。これらの環状の
歯113cは3角形の山形に形成されており、その場合ウェ
ビング引出し方向αに対面する面がほぼ垂直面となって
いるのに対して、ウェビング巻取り方向βに対面する面
が比較的緩やかな傾斜面となっている。また、図31に
示すようにロックギヤ第1カバー113の、フレーム102の
右側壁102aに相対する側の面には、3個の係止突起113
d,113e,113fが設けられている。これらの係止突起113d,
113e,113fが右側壁102aに形成された係止孔102k,102m,1
02nにそれぞれ嵌合されることにより、ロックギヤ第1
カバー113がフレーム102に着脱可能に取り付けられる。
【0077】更に、図32に示すようにロックギヤ第1
カバー113の、係止突起113d,113e,113f側の面と反対側
の面に開口するようにして、減速度感知手段107の収容
部113gが設けられている。この収容部113gの内壁には、
減速度感知手段107を図32の紙面に対して垂直方向に
案内しかつ固定支持する一対のガイド部材113h,113iが
設けられている。これらのガイド部材113h,113iの互い
に対向する面には、それぞれガイド部材113h,113iの長
手方向に延びる断面台形の凹嵌部113j,113kが形成され
ている。すなわち、凹嵌部113j,113kの両側壁113j1,113
j2,113k1,113k2は、それぞれ傾斜面とされている。
【0078】更に、ロックギヤ第1カバー113の係止突
起側の面と反対側の面には、ほぼ十字形の側壁113mが形
成されており、その場合側壁113mの交差部が環状の歯11
3cの中心にほぼ位置するようにされている。そして、こ
の側壁113mの交差部における環状の歯113cの中心位置に
は、小孔113nが穿設されている。この小孔113nにはリー
ルシャフト113における第1回転軸104dの先端小径部104
d1がほとんど隙間なく遊嵌されるようになっており、こ
れにより第1回転軸104dは小孔113nに回転可能に支持さ
れる。
【0079】ロックギヤ114は、(a)に示すように円
形の平板部114aとこの平板部114aの外周端に形成された
環状のフランジ114bとから構成されている。フランジ11
4bの外周面には所定数の歯114c,114c,…が形成されてい
る。これらの歯114cは3角形の山形に形成されており、
その場合ウェビング引出し方向αに対面する面が比較的
緩やかな傾斜面となっているのに対して、ウェビング巻
取り方向βに対面する面がほぼ垂直面となっている。
【0080】同図(a)及び(b)に示すように、平板
部114aの、同図(b)において左側面(フランジ114bに
より囲まれている側の面)には、コントロールばね116
の一端を支持するばね受け部材114dが立設されており、
このばね受け部材114dにはばねガイド部114eが平板部11
4aに平行に立設されている。更に平板部114aには軸114f
が立設されており、この軸114fには後述するように慣性
体115が揺動自在に支持されるようになっている。そし
て、この軸114fに隣接して円弧状の抜け止め部材114gが
立設されている。
【0081】同図(c)に示すように、この抜け止め部
材114gの先端には係止爪114g1が形成されており、この
係止爪114g1は上面が傾斜面とされているとともに、軸1
14fに向かってほんのわずか突出するようにして形成さ
れている。したがって、慣性体115が軸114fに嵌合され
るとき、慣性体115は係止爪114g1の傾斜面を押圧するの
で、抜け止め部材114gが軸114fと抜け止め部材114gとの
間の間隙を若干開くように弾性変形し、これにより慣性
体115はこの係止爪114g1を乗り越えて、軸114fおよび抜
け止め部材114gによって囲まれる空間内に収容される。
この状態では、慣性体115は図33(c)において上方
へ軸方向に移動しようとしても、係止爪114g1によって
その軸方向移動が阻止されるので、軸114fから抜け出る
ことが阻止される。しかし、係止爪114g1の突出量がわ
ずかで、慣性体115と係止爪114g1とは軽く係合するよう
になるので、慣性体115に軸114fから抜け出す方向にわ
ずかの外力を加えることにより、慣性体115は係止爪114
g1を乗り越えて軸114fから容易に抜け出ることができる
ようになっている。この抜け止め部材114gにより、慣性
体115の軸114fに対する着脱が簡単となるとともに、慣
性体115が軸114に確実に揺動可能に支持されるようにな
る。
【0082】更に、平板部114aには第1ストッパ114hお
よび第2ストッパ114iが立設されているとともに、平板
部114aの中央には筒状の回転軸114jが軸方向に立設され
ている。なお、この筒状の回転軸114jの孔には、リール
シャフト104の第1回転軸104dが貫通され、回転軸114j
はこの第1回転軸104dを中心に回転可能となっている。
【0083】更に平板部114aには、この平板部114aを貫
通する所定形状の第1、第2および第3カム孔114k,114
m,114nがそれぞれ穿設されている。同図(b)に示すよ
うに、これらの第1、第2および第3カム孔114k,114m,
114nの周縁部には、これらのカム孔に嵌入されるカムフ
ォロワが確実に案内されるようにし、しかもカム孔周縁
部を補強するため、平板部114aよりも厚肉に形成されて
いる。第2および第3カム孔114m,114nのカム形状の詳
細にについては後述する。第1カム孔114kは回転軸114j
を中心とする円弧として形成されている。
【0084】一方、同図(b)において平板部114aの右
側面(フランジ114bにより囲まれない側の面)には、パ
ウルスプリング118の一端を支持するばね受け部材114p
が立設されており、このばね受け部材114pにはばねガイ
ド部114qが平板部114aに平行に立設されている。
【0085】図34に示すように、慣性体115は平板か
ら概略C形状に形成されており、その中央に孔115aを有
するボス部115bが形成されている。また、一方の端部に
は係止爪115cが形成されているとともに、他端にはコン
トロールばね116の他端が支持されかつ案内されるばね
受け部115dおよびばねガイド部115eが設けられている。
図19に示すようにこの慣性体115は孔115aをロックギ
ヤ114の軸114fに嵌合することにより揺動自在にロック
ギヤ114に支持されるようになっており、その場合前述
したように抜け止め部材114gの係止爪114g1に慣性体115
のボス部115bが係止されることにより、慣性体115の軸1
14fからの抜けが防止される。
【0086】図19に示すように、コントロールばね11
6は、慣性体115が軸114fに揺動自在に支持された状態で
ロックギヤ114および慣性体115の両ガイド部114e,115e
に嵌合されて、ばね受け部材114dとばね受け部115dとの
間に縮設されている。したがって、このコントロールば
ね116のばね力により、慣性体115はロックギヤ114に対
してα方向に常時付勢されていて、通常時は実線で示す
ように第1ストッパ114hに当接した位置に保持される。
また、慣性体115がロックギヤ114に対してβ方向にコン
トロールばね115のばね力に抗して回転したとき二点鎖
線で示すように第2ストッパ114iに当接した位置とな
る。
【0087】図19および図20に示すように、シート
ベルトリトラクタ101を組み立てた状態では、ロックギ
ヤ第1カバー113の歯113cがロックギヤ114の環状のフラ
ンジ114bの内側で、このフランジ114bと慣性体115との
間に位置する。そして、慣性体115が通常時には図19
に実線で示す第1ストッパ114hに当接した位置に保持さ
れているので、係止爪115cは歯113cから離れた非係合位
置に保持されている。また、慣性体115が図19に二点
鎖線で示す第2ストッパ114iに当接した位置にあるとき
は、係止爪115cは歯113cとの係合可能位置となる。
【0088】係止爪115cがこの係合可能位置にある時に
ロックギヤ114がウェビング引出し方向αに回転する
と、係止爪115cが歯113cと係合し、ロックギヤ114はそ
れ以上のウェビング引出し方向αの回転が阻止される。
係止爪115cが係合可能位置にある時にロックギヤ114が
ウェビング巻取り方向βに回転すると、係止爪115cが歯
113cのゆるやかな傾斜面に沿ってコントロールばね116
に抗して移動して歯113cを飛び越えるので、ロックギヤ
114はウェビング巻取り方向βに対しては回転可能とな
っている。
【0089】図35に示すように、メインパウル117は
ほぼ扇形に形成され、扇のかなめの部分に貫通孔117aを
有するボス部117bが形成されている。扇のかなめと反対
側の端部には爪部117cが形成されており、更にこの爪部
117cの先端には、フレーム102の右側壁102aの歯102fに
係合可能な歯117dが形成されている。そして、図25
(a)に示すようにボス部117bがリールシャフト104の
フランジ状部104bの第3凹嵌部104nに回動可能に嵌合さ
れるようになっており、したがって、メインパウル117
はボス部117bを中心にリールシャフト104に対して揺動
自在に設けられるようになっている。その場合、メイン
パウル117はフランジ状部104bに形成された段部104qに
当接することにより、それ以上のα方向の回動が阻止さ
れるとともに、フランジ状部104bに形成された段部104r
に当接することにより、それ以上のβ方向の回動が阻止
されるようになっている。すなわち、これらの段部104
q,104rはそれぞれメインパウル117のα方向の回動を規
制するストッパとなっている。
【0090】また、メインパウル117は、段部104qに当
接した状態ではその先端の歯117dがフランジ状部104bの
外周面から完全に内側に位置し、また段部104qに当接し
た状態では歯117dがフランジ状部104bの外周面から外側
に突出して後述するようにフレーム102の右側壁102aの
歯102fに係合する位置となるようされている。また、爪
部117cの歯117dと反対側の端には荷重伝達部117eが形成
されている。この荷重伝達部117eは、貫通孔117aおよび
ボス部117bと同心の円からなる円弧によって形成されて
いる。
【0091】図25(a)に二点鎖線で示すように、こ
のメインパウル117は、そのボス部117bがリールシャフ
ト104の第3凹嵌部104nに回転可能に嵌合されることに
より、右側フランジ状部104bに取り付けられる。メイン
パウル117が右側フランジ状部104bに取り付けられた状
態では、爪部117cが第2凹嵌部104iに位置するととも
に、荷重伝達部117eがリールシャフト104の荷重受け面1
04jに当接するようになる。その場合、荷重伝達部117e
およびリールシャフト104の荷重受け面104jがともに同
一同心円の円弧によって形成されているので、荷重伝達
部117eはメインパウル117の位置に関係なく荷重伝達部1
17eがリールシャフト104の荷重受け面104jに常時当接す
る。
【0092】このように荷重伝達部117eがリールシャフ
ト104の荷重受け面104jに当接することにより、メイン
パウル117の爪部117cに加えられる荷重wが、同図
(b)に示すように荷重伝達部117eから荷重受け面104j
に伝達されてリールシャフト104によって支持されるよ
うになる。このような荷重支持構造においては、荷重点
である歯117dと荷重伝達部117eとが比較的近接している
ため、メインパウル117には曲げがほとんど作用しな
く、ほぼ圧縮のみが作用するようになる。その上、荷重
伝達部117eと荷重受け面104jとが面接触するので、荷重
が広面積でリールシャフト104に伝達されるようにな
り、荷重が分散されて発生する応力が比較的小さなもの
となる。したがって、メインパウル117の強度は従来の
メインパウルに比して小さくてよく、メインパウル117
を樹脂等の比較的軽い材料で形成することができる。
【0093】更に、メインパウル117の荷重伝達部117e
と反対側の面には円柱状のカムフォロワ117fが突設され
ており、このカムフォロワ117fはロックギヤ114の第3
カム孔114nに嵌入されかつこの第3カム孔114nに沿って
案内されるようになっている。
【0094】パウルスプリング118は、リールシャフト1
04の第1凹嵌部104hに収容されるとともにロックギヤ11
4のばねガイド部114qに嵌合され、第1凹嵌部104hの壁
面とばね受け部114pとの間に縮設されている。したがっ
て、このパウルスプリング118は、メインパウル117をリ
ールシャフト104に対してウェビング引出し方向αに常
時付勢している。したがって、このパウルスプリング11
8の付勢力により、メインパウル117は通常時フランジ状
部104bに形成された段部104qに当接されている。
【0095】図36に示すように、ジョイントピン119
はその本体119aが断面円形状に形成されており、本体11
9aの同図(a)において右端には、本体119aに対して直
角に延びる腕119bが形成されている。この腕119bの先端
には、断面円形のカムフォロワ119cが設けられている。
このカムフォロワ119cはロックギヤ114の第2カム孔114
m内に嵌入されて、この第2カム孔114mに案内されるよ
うになっている。また本体119aの他端には、断面矩形状
の軸部119dが形成されており、この軸部119dは後述する
バックアップパウル120の一端に形成された孔に相対回
動不能に嵌入されるようになっている。したがって、カ
ムフォロワ119cが第2カム孔114mに案内されて腕119bが
回動したとき、本体119aが回転し、この本体119aの回転
がバックアップパウル120に伝達されて、バックアップ
パウル120が第2カム孔114mに案内されるカムフォロワ1
19cの動きに応じて回動するようになる。
【0096】図37に示すように、バックアップパウル
120はほぼ扇形に形成され、扇のかなめの部分に断面矩
形状の貫通孔120aを有するボス部120bが形成されてい
る。扇のかなめと反対側の端部には爪部120cが形成され
ており、更にこの爪部120cの先端には、フレーム102の
左側壁102bの歯102gに係合可能な歯120dが形成されてい
る。そして、図26(a)に示すようにボス部120bがリ
ールシャフト104のフランジ状部104cの第105凹嵌部104x
に回動可能に嵌合されるようになっており、したがっ
て、バックアップパウル120はボス部120bを中心にリー
ルシャフト104に対して揺動自在に設けられるようにな
っている。その場合、バックアップパウル120はフラン
ジ状部104cに形成された段部104zの、外周縁部104y端に
位置する部分104z′に当接することにより、それ以上の
α方向の回動が阻止されるとともに、フランジ状部104b
に形成された段部104Aに当接することにより、それ以上
のβ方向の回動が阻止されるようになっている。すなわ
ち、これらの段部104z′,104Aはそれぞれメインパウル1
07のα方向の回動を規制するストッパとなっている。そ
して、バックアップパウル120は、段部104z′に当接し
た状態ではその先端の歯120dがフランジ状部104cの外周
面から完全に内側に位置し、また段部104Aに当接した状
態では歯120dがフランジ状部104cの外周面から外側に突
出して後述するようにフレーム102の左側壁102bの歯102
gに係合する位置となるようされている。また、爪部120
cの歯120dと反対側の端には荷重伝達部120eが形成され
ている。この荷重伝達部120eは、貫通孔120a及びボス部
120bと同心の円からなる円弧によって形成されている。
【0097】図26(a)に示すように、バックアップ
パウル120が左側フランジ状部104cに取り付けられた状
態では、爪部120cが第4凹嵌部104uに位置するととも
に、荷重伝達部120eがリールシャフト104の荷重受け面1
04vに当接するようになる。その場合、荷重伝達部120e
はバックアップパウル120の位置に関係なく荷重伝達部1
20eがリールシャフト104の荷重受け面104vに常時当接す
る。
【0098】このように荷重伝達部120eがリールシャフ
ト104の荷重受け面104vに当接することにより、バック
アップパウル120の爪部120cに加えられる荷重w′が、
同図(b)に示すように荷重伝達部120eから荷重受け面1
04vに伝達されてリールシャフト104によって支持される
ようになる。前述のメインパウル117と同様に、このよ
うな荷重支持構造においては、荷重点である歯120dと荷
重伝達部120eとが比較的近接しているため、バックアッ
プパウル120には曲げがほとんど作用しなく、ほぼ圧縮
のみが作用するようになる。その上、荷重伝達部120eと
荷重受け面120jとが面接触するので、荷重が広面積でリ
ールシャフト104に伝達されるようになり、荷重が分散
されて発生する応力が比較的小さなものとなる。したが
って、バックアップパウル120の強度は従来のバックア
ップパウルに比して小さくてよく、バックアップパウル
117を樹脂等の比較的軽い材料で形成することができる
図38に示すように、ロックギヤ第2カバー121は、平
板部121aと、この平板部121aの外周縁に形成されたフラ
ンジ部121bと、フレーム右側壁102aに形成された貫通孔
に嵌合される係止突起121cと、右側壁102aの上端に形成
された係止突起102sが嵌入される間隙121dを形成する係
止部121eとを備えている。そして、係止突起102sを間隙
121dに嵌入させることにより、係止部121eを係止突起10
2sに係止するとともに、係止突起121cを右側壁102aの係
止孔102rに嵌合係止することにより、ロックギヤ第2カ
バー121が右側壁102aに減速度感知手段107を覆うように
して着脱可能に取り付けられる。
【0099】図39に示すように、減速度感知手段107
は、ケース107aと、このケース107aに揺動自在に支持さ
れるレバー107bと、ケース107aに収容され、通常時には
実線で示す状態にあるとともに、車両に所定以上の減速
度が生じたとき二点鎖線の位置に揺動する慣性体107cと
を備えている。
【0100】図40に示すように、ケース107aは断面矩
形状の容器状に形成されており、その底部には慣性体10
7cの載置部107dが形成されている。また、ケース107aの
前壁107e及び後壁107fには、それぞれ断面台形状の係合
突条107g,107hが形成されている。すなわち、係合突条1
07g,107hの両側壁107g1,107g2,107h1,107h2は、ガイド
部材113h,113iの凹嵌部113j,113kの両側壁113j1,113j2,
113k1,113k2と同じ傾斜角の傾斜面とされている。同図
(a)から明らかなように、係合突条107gの長手方向の
一端部は傾斜面107g3とされている。図示しないが、も
う一方の係合突条107hの長手方向の一端部も同様に傾斜
面とされている。これらの係合突条107g,107hは、ロッ
クギヤ第1カバー113におけるガイド部材113h,113iの凹
嵌部113j,113kに嵌合されるようになっている。レバー1
07bは、後端がケース107aに回動自在に支持されてお
り、このレバー107bの前端には、ロックギヤ114の歯114
cに係合可能な係止爪107iが設けられている。
【0101】図41に示すように、慣性体107cは、下部
に中空円筒の小質量部107jが形成されており、この小質
量部107jの上にこれより大径でかつ中実の截頭円錐台状
の大質量部107kが形成されている。大質量部107kの外周
側面の傾斜角度は、後述するように慣性体107cが最大に
揺動したときに、前壁107eの内面にほぼ一致する大きさ
に設定されている。更に大質量部107kの上には、円錐形
状の作動突起107mが形成されている。このように、慣性
体107cの上部を下部よりも大質量とすることにより、慣
性体107cの減速度の感知がより一層敏感にすることがで
きる。
【0102】図39に示すように、このように構成され
た慣性体107cは前述したようにケース107aの載置部107d
に載置される。載置部107dに載置された慣性体107cは、
通常状態では実線で示すように載置部107dに対して垂直
に起立し、その上部の作動突起107mの上端が、レバー10
7bに形成された截頭円錐台形状の凹部107nに嵌入してい
る。この通常状態では、レバー107bは実線で示すほぼ水
平位置に保持されており、レバー107bのこの実線位置で
は、レバー107bは係止爪107iがロックギヤ114の歯114c
に係合しない非係合位置となる。
【0103】車両に所定の大きさの減速度が作用する
と、慣性体107cは二点鎖線で示すように大質量部107kの
外周面が前壁107eの内面にほぼ当接するまで傾く。この
慣性体107cの傾きにより、作動突起107mがレバー107bを
上方へ押し上げるので、レバー107bは二点鎖線で示す位
置まで回動する。レバー107bのこの二点鎖線位置では、
レバー107bは係止爪がロックギヤ114の歯114cに係合す
る係合位置となる。
【0104】ところで、慣性体107cには作動突起107mが
設けられているが、この作動突起107mにより、慣性体10
7cの小さな傾きでレバー107bの回動ストロークが大きく
なる。これにより、レバー107bの腕の長さを短くでき、
減速度感知手段107をコンパクトに形成することができ
る。
【0105】このように構成された減速度感知手段107
は、図39に示すように係合突条107g,107hを収容部113
gにおけるガイド部材113h,113iの凹嵌部113j,113kに長
手方向に沿って嵌合させることにより、収容部113g内に
収容される。その場合、前述のように係合突条107g,107
hの一端部が傾斜面とされているので、係合突条107g,10
7hの凹嵌部113j,113kへの嵌合はスムーズに行うことが
できる。
【0106】また、両係合突条107g,107hの突出端にお
ける、上下の側壁107g1,107g2,107h1,107h2間の長さa
が凹嵌部113j,113kの係合突条107g,107hの突出端位置に
対応する位置における、上下の側壁113j1,113j2,113k1,
113k2間の距離bよりも大きく設定されている。係合突
条107g,107hが凹嵌部113j,113kに嵌合した状態では、収
容部113gおよびケース107aの弾性変形による弾性力によ
り、ケース107aはガイド部材113h,113iに比較的堅固に
支持されるようになる。特に、係合突条107g,107hおよ
び凹嵌部113j,113kの側壁がそれぞれともに傾斜面とさ
れているので、ガイド部材113h,113iと係合突条107g,10
7hとの間にくさび効果が得られ、ケース107aはガイド部
材113h,113iに更に一層堅固に支持される。
【0107】図42に示すように、ウェビングガイド12
2は、フレーム102の両側壁102a,102bの間に配置され、
中央にウェビング1O3が貫通する孔122fを有する本体122
aと、この本体122aの両端からそれぞれ長手方向に突設
され、両側壁102a,102bのガイド孔102p,102qに摺動自在
に嵌入される突出軸122b,122cと、同様に本体122aの両
端からそれぞれ長手方向に突設され、両側壁102a,102b
の上端面に当接するフランジ部122d,122eとから構成さ
れている。そして、ウェビングガイド122は、リールシ
ャフト104のウェビング103巻取り量に応じて両側壁102
a,102bのガイド孔102p,102qに沿って摺動し、ウェビン
グ103の巻取り及び引出しをスムーズにするとともに、
ウェビング103を保護している。
【0108】次にメインパウル117とバックアップパウ
ル120との動作について図43および図44を用いて詳
細に説明する。なお、図43および図44において上側
のIがメインパウル117の作動を説明し、下側のIIがバ
ックアップパウル120の作動を説明するものである。ま
た、図43および図44は模式的に表したものであり、
メインパウル117側において、歯102f、係止爪117dおよ
び三つのカム孔114k,114m,114nを、それぞれ同一平面に
記載してあるとともに、メインパウル117側及びバック
アップパウル120側とも、図18において右側からみた
状態を記載してある。
【0109】図43において、パウルスプリング118
(図43には不図示;図16等を参照)のばね力によ
り、リールシャフト104(図43にはジョイントピン119
の本体119aが貫通する貫通孔104mおよびこのリールシャ
フト104に設けられるメインパウル117のみ図示)が、ロ
ックギヤ114(同様に図43にはカム孔114k,114m,114n
のみ図示)に対して相対的にβ方向に常時付勢されてい
るので、リールシャフト104がロックギヤ114に対してβ
方向に本体119aがカム孔114kの上端縁に当接するまで相
対回動し、同図(イ)に示す通常状態となる。
【0110】この通常状態では、ジョイントピン119の
カムフォロワ119cがカム孔114mの上端縁に当接するとと
もに、メインパウル117のカムフォロワ117fがカム孔114
nの上端縁に当接する。そして、メインパウル117の係止
爪117dが右側壁102aの歯102fから大きく離れ、メインパ
ウル117は係止爪117dが歯102fに係合しない非係合位置
となる。一方、カムフォロワ119c,117fのカム孔114m,11
4n上端縁へのそれぞれの当接位置によって定まるジョイ
ントピン119の回転角に応じて、バックップアップパウ
ル120が同図(イ)に示す位置となる。すなわち、バッ
クアップパウル120の係止爪120dが左側壁102bの歯102g
から大きく離れ、バックアップパウル120も係止爪120d
が歯102gに係合しない非係合位置となる。
【0111】リールシャフト104がその第1回転軸104d
(図43には不図示:図24を参照)を中心にロックギ
ヤ114に対してα方向に相対回動する、すなわち本体119
aが貫通している貫通孔104mが第1回転軸104dを中心に
ロックギヤ114の第1ないし第3カム孔114k,114m,114n
に対してα方向に相対回動すると、同図(ロ)に示すよ
うに本体119aおよびメインパウル117のボス部117bが、
それぞれ第1カム孔114kに対してこの第1カム孔114kに
沿って下方へ若干相対移動する。
【0112】同時に、カムフォロワ117fが第3カム孔11
4nに案内されて下方へ若干移動する。その場合、第1カ
ム孔114kのカム形状によりボス部117bが図において若干
左方へも移動するとともに、第3カム孔114nのカム形状
によりカムフォロワ117fが若干左方へ移動するようにな
るが、カムフォロワ117fの左方への移動量がボス部117b
の左方への移動量よりも若干大きいので、メインパウル
117はβ方向へ若干回動するようになる。これにより、
係止爪117dが歯102fに近づく。
【0113】更に同時に、カムフォロワ119cが第2カム
孔114mに案内されて下方へ移動する。その場合、第2カ
ム孔114mのカム形状により、カムフォロワ119cは右方へ
も移動するので、腕119bは本体119aを中心にα方向へ若
干回動する。この腕119bのα方向への回動により、本体
119aもα方向へ若干回転するが、リールシャフト104が
α方向へ回動しているので、本体119aおよび腕119bはリ
ールシャフト104に対してほとんど相対回動しない。し
たがって、同図(ロ)に示すようにバックアップパウル
120は非係合位置に保持される。
【0114】同図(ハ)に示すように、リールシャフト
104がロックギヤ114に対してα方向に更に相対回動する
と、本体119aおよびボス部117bが、それぞれ第1カム孔
114kに沿って更に下方へかつ左方へ移動する。同時に、
カムフォロワ117fが第3カム孔114nに案内されて下方へ
更に若干移動する。カムフォロワ117fの左方への更なる
移動量がボス部117bの左方への更なる移動量よりも若干
大きいので、メインパウル117はβ方向へ更に若干回動
し、係止爪117dが歯102fに更に接近する。
【0115】更に同時に、カムフォロワ119cが第2カム
孔114mに案内されて下方へかつ左方へ更に若干移動す
る。その場合、第2カム孔114mのカム形状により、カム
フォロワ119cも下方かつ左方へ若干移動するので、腕11
9bはほとんど回動しない。しかし、リールシャフト104
がα方向へ更に回動しているので、本体119aおよび腕11
9bがリールシャフト104に対してβ方向へ相対回動す
る。これにより、バックアップパウル120はリールシャ
フト104に対してβ方向へ若干相対回動し、係止爪120d
が歯102gに近づく。
【0116】同図(ニ)に示すように、リールシャフト
104がロックギヤ114に対してα方向に更に相対回動する
と、同様にしてメインパウル117はリールシャフト104に
対してβ方向へ更に若干回動し、係止爪117dが歯102fに
更に一層大きく接近するようになる。同様に、バックア
ップパウル120がβ方向へ更に若干回動し、係止爪120d
が歯102gに接近する。
【0117】図44(ホ)に示すように、リールシャフ
ト104がロックギヤ114に対してα方向に更に相対回動す
ると、同様にしてメインパウル117およびバックアップ
パウル120は、それぞれリールシャフト104に対してβ方
向へ更に回動するので、係止爪117dは歯102fに係合可能
な位置に移動する。また、バックアップパウル120がβ
方向へ更に若干回動し、係止爪120dが歯102gに更に一層
大きく接近するようになる。
【0118】同図(ヘ)に示すように、リールシャフト
104のα方向への更なる相対回動により、係止爪117dが
歯102fに更に設定量だけ接近するが、それ以上は歯102f
に接近しなくなる。この状態で、リールシャフト104の
α方向への更なる回動により、メインパウル117の歯117
dのα方向回動時の最前にある歯17d1が歯102fの急斜面
に当接する。このメインパウル117の位置は、メインパ
ウル117の歯117dが右側壁102aの歯102fに係合開始する
スタンバイ位置である。歯17d1が歯102fの急斜面に当接
した後、リールシャフト104がα方向へ更に回動する
と、歯17d1の歯先が歯102fの急斜面側によって歯102fの
歯底の方へ誘導されるようになり、メインパウル117が
β方向に回動する。
【0119】こうして、同図(ト)に示すように、リー
ルシャフト104のα方向への更なる相対回動により、係
止爪117dの歯先が歯102fの歯底に当接し、メインパウル
117の歯117dは右側壁102aの歯102fに完全に係合し、メ
インパウル117はロック位置となる。このメインパウル1
17のスタンバイ位置からロック位置への運動は、カム孔
114nによって行われるものではなく、歯102fの急斜面側
の誘導によって行われるものであり、この運動により、
メインパウル117はセルフロック作用を行う。
【0120】一方、メインパウル117の歯117dが右側壁1
02aの歯102fに完全に係合した状態では、バックアップ
パウル120は、その歯120dのα方向回動時の最前にある
歯20d1が歯102gの急斜面に当接した状態となり、バック
アップパウル120の歯120dが左側壁102bの歯102gに係合
開始するスタンバイ位置となる。
【0121】同図(チ)に示すように、リールシャフト
104のα方向への更なる相対回動により、係止爪117は歯
102fとの完全係合状態が保持される。また、バックアッ
プパウル120は歯102gの急斜面に誘導されてメインパウ
ル117と同様のセルフロック作用を行って、左側壁102b
の歯102gに完全に係合し、ロック位置となる。このよう
に、バックアップパウル120における係止爪120dの歯102
gへの係合は、メインパウル117における係止爪117dの歯
102fへの係合より若干遅れるようになる。
【0122】ところで、メインパウル117がスタンバイ
状態からセルフロック作用を行うとき、すなわちメイン
パウル117が図44(ヘ)から同図(ト)へ移行すると
き、メインパウル117およびロックギヤ114の動きとそれ
らの動きを行わせる第3カムのカム形状および右側壁10
2aの歯102fの形状とについて更に詳細に説明する。
【0123】図45(a)および(b)は、それぞれ図
44(ヘ)および(ト)を拡大した図である。まず、リ
ールシャフト104がロックギヤ114に対してα方向に相対
回動したとき、メインパウル117の回動を制御するため
の第3カム孔114nのカム形状について説明する。図43
(イ)に示すメインパウル117の非作動位置では、カム
フォロワ117fが第3カム孔114nの最上端位置にある。第
3カム孔114nのカム形状として、まずリールシャフト10
4がロックギヤ114に対してα方向に相対回動したとき、
このカムフォロワ117fが第3カム孔114nの最上端位置か
らこの第3カム孔114nの第1案内カム面114n1に案内さ
れて下降するようにし、このカムフォロワ117fの下降に
より、メインパウル117が図45(a)に示すスタンバ
イ位置になるまでβ方向へ回動して、その歯117dが右側
壁102aの歯102fに接近するようなカム形状に設定してい
る。
【0124】更に第3カム孔117fのカム形状として、カ
ムフォロワ117fが第3カム孔114nの図45(a)に示す
位置にきたとき、リールシャフト104がロックギヤ114に
対して更にα方向に相対回動しても、もはや第3カム孔
114nがカムフォロワ117fを案内しないような形状に設定
している。このように第3カム孔114nのカム形状を設定
することにより、第3カム孔114nによっては、歯117dの
歯先が歯102fの歯底までは到達しないようにしている。
【0125】更に、カム形状として、図45(a)から
同図(b)に示す完全係合状態のロック位置に移行する
際、前述のようにメインパウル117は歯102fの急斜面側
の作用によりセルフロック作用を行うようになるが、こ
のセルフロック作用時に、カムフォロワ117fが第3カム
孔114nの第2案内カム面114n2を介してロックギヤ114
(図45では第1ないし第3カム孔114k,114m,114nで表
示している)を若干β方向に逆回転させるようなカム形
状に設定している。このようにカム形状を設定すること
により、メインパウル117の歯102fへの完全係合時に
は、減速度感知手段107におけるレバー107bの係止爪107
iがロックギヤ114の歯114cとの係合からフリー状態とす
ることができ、これによりエンドロックを防止すること
ができるようになる。
【0126】このように、第3カム孔114nは、カムフォ
ロワ117fを図43(イ)に示すカム孔の上端の非作動位
置から図44(ヘ)に示すスタンバイ位置に誘導する第
1案内カム面14n1からなるメインパウル117の作動制御
部と、カムフォロワ117fが図44(ヘ)に示すスタンバ
イ位置から同図(ト)に示すロック位置に移行すると
き、ロックギヤ114にカムフォロワ117fからの作用力が
伝達されて、ロックギヤ114をウェビング巻取り方向に
逆回転させる第2案内カム面14n2からなるロックギヤ11
4の逆回転制御部とから構成されている。
【0127】一方、右側壁102aの歯102fの急斜面におい
ては、メインパウル117が図45(a)に示すスタンバ
イ状態から同図(b)に示す完全係合状態にセルフロッ
ク作用を行うことができるように、その傾斜角度θ〔図
45(a)に示すように、歯102fの急斜面における歯17
d1との当接部δとメインパウル117の回動中心εとを結
ぶ直線γに対する歯102fの急斜面のなす角度〕が設定さ
れている。また、左側壁102bの歯102gの急斜面の傾斜角
度も、バックアップパウル120がセルフロック作用を行
うことができるように設定されている。
【0128】次に、リールシャフト104がロックギヤ114
に対してα方向に相対回動したとき、バックアップパウ
ル120の回動を制御するための第2カム孔114mのカム形
状について説明する。この第2カム孔114mのカム形状と
しては、図43および図44に示すようにバックアップ
パウル120が、メインパウル117の作動に対して遅れてメ
インパウル117の作動と同様の作動を行うようなカム形
状に設定されている。特に、この第2カム孔114mのカム
形状は、メインパウル117が図44(ヘ)に示すスタン
バイ状態から同図(ト)に示すロック状態に移行したと
き、すなわちメインパウル117がセルフロック作用を行
ってロック位置となったときに、同図(ト)に示すよう
にバックアップパウル120がスタンバイ状態となるよう
に設定されている。
【0129】この第2カム孔114mのカム形状により、最
初にメインパウル117が、その係止爪117dが右側壁102a
の歯102fに完全に係合したロック位置となり、このとき
バックアップパウル120がスタンバイ状態に設定され、
その後遅れてバックアップパウル120は、その係止爪120
dが左側壁102bの歯102gに完全に係合したロック位置と
なる。このように、まず一方のメインパウル117の係止
爪117dを歯102fに係合を完了させた後、遅れて係止爪12
0dを歯102gに係合完了させることにより、メインパウル
117と歯102fとの係合およびバックアップパウル120と歯
102gとの係合の少なくともいずれか一方に係合不良を生
じることがなく、それらの係合が確実に行われるように
なる。
【0130】次に、このように構成された本実施例のリ
トラクタの作用について説明する。 〔車両に所定値以上の減速度が作用しない通常状態〕こ
の状態では、減速度感知手段107の慣性体107cが前方へ
傾動しないので、レバー107bは図4に示す実線位置にあ
り、係止爪107iはロックギヤ114の歯114cから離れた非
係合位置にある。また、同様に慣性体115の係止爪115
c、メインパウル117およびバックアップパウル120もそ
れぞれ図4および図21に示すように非係合位置にあ
る。
【0131】したがって、この状態ではシートベルトリ
トラクタ101はおもに付勢力付与手段105の作用が行われ
る。すなわち、この付勢力付与手段105のパワースプリ
ング108のばね力により、リールシャフト104はウェビン
グ巻取り方向βに付勢され、ウェビング103が巻き取ら
れる。
【0132】(シートベルトの非装着状態)この状態で
は、ウェビング103に取り付けられているタング(不図
示)とバックル部材(不図示)とが離れている。したが
って、前述のようにパワースプリング108のばね力によ
りウェビング103を巻き取っている状態となる。 (ウェビングを引き出すときの状態)ウェビング103を
装着するために乗員がウェビング103を引き出すと、こ
れにともないリールシャフト104およびブッシュ109がウ
ェビング引出し方向αへ回転する。このため、パワース
プリング108が巻き締められていく。
【0133】(タングとバックル部材との結合後、ウェ
ビングから手を離したときの状態)乗員がタングとバッ
クル部材とを結合した時点では、ウェビング103は正規
の装着状態のときの引出し長さよりも余分に引き出され
た状態となっているので、乗員が結合操作後にウェビン
グ103を離すと、パワースプリング108のばね力によって
ウェビング103は乗員の体にフィットするまで巻き取ら
れる。このとき、ウェビング103により乗員に圧迫感を
与えないように、パワースプリング108のばね力が適宜
決定されている。そして車両走行中は、車両に所定値以
上の減速度が作用しない限り、シートベルトリトラクタ
101はこの状態を保持している。
【0134】〔車両に所定値以上の減速度が作用したと
きの状態〕車両走行中急ブレーキ等により車両に所定値
以上の減速度が作用すると、シートベルトロック作動手
段106および減速度感知手段107がともに動作する。まず
第1段階として、減速度感知手段107の慣性体107cが慣
性により前方に(図19の二点鎖線で示す位置)移動す
るので、レバー107bが上方へ回動して図19の二点鎖線
で示す位置となる。このため、レバー107bの係止爪107i
がロックギヤ114の歯114cと係合する係合位置となる。
一方、車両のこの所定値以上の減速度により乗員が前方
へ移動しようとするため、ウェビング103が引き出され
るが、このウェビング103の引出しにより、リールシャ
フト104およびロックギヤ114がともに引き出し方向αへ
回動しようとする。
【0135】しかし、ロックギヤ114の歯114cがすぐに
係止爪107eに係合するので、ロックギヤ114はすぐに引
き出し方向αへの回動が停止する。この結果、リールシ
ャフト104のみが引き出し方向αへ引続き回動するた
め、リールシャフト104はロックギヤ114に対してα方向
へ相対回動するようになる。
【0136】このリールシャフト104のα方向への相対
回動により、第2段階として図43および図44に示す
ようにメインパウル117がリールシャフト104に対してβ
方向に相対回動して歯102fに係合しロック位置となる。
その場合、メインパウル117がスタンバイ位置からロッ
ク位置に移行するとき、ロックギヤ114がウェビング巻
取り方向βに若干逆回転する。メインパウル117がロッ
ク位置になったとき、バックアップパウル120がスタン
バイ位置となり、その後遅れてバックアップパウル120
が歯102gに係合しロック位置となる。これにより、リー
ルシャフト104はウェビング引出し方向αの回動が阻止
されるようになる。
【0137】この結果、慣性により乗員が前方へ移動し
ようとすることによって生じるウェビング103の引出し
が確実に阻止される。これにより、乗員は確実に拘束さ
れて保護される。また、ロックギヤ114がウェビング巻
取り方向βに若干逆回転することにより、減速度感知手
段107の係止爪107iがロックギヤ114の歯114cから外れ、
ロックギヤ114はフリー状態となっているので、再びウ
ェビング103を巻き取る場合には、リールシャフト104は
容易にウェビング103を巻き取ることができるようにな
る。
【0138】〔ウェビングに急激に引出し力が作用した
ときの状態〕この状態ではウェビング103が急激に引き
出されるようになるため、リールシャフト104、ロック
ギヤ114および慣性体115がウェビング引出し方向αへ急
激に回動しようとする。しかし、コントロールばね116
のばね力がそれほど大きくないので、コントロールばね
116が縮んで慣性体115は慣性遅れを生じる。すなわち、
慣性体115はロックギヤ114とともにウェビング引出し方
向αへ公転するばかりでなくロックギヤ114に対してβ
方向へ相対的に自転する。
【0139】この慣性体115の自転により、図19に二
点鎖線で示すように係止爪115cが第2ストッパ114iに当
接する係合位置に移動してロックギヤ第1カバー113の
歯113cに係合する。このため、慣性体115の公転、ロッ
クギヤ114のウェビング引出し方向αの回転が阻止され
るようになる。したがって、リールシャフト104のみが
ウェビング引出し方向αへ回転する。これにより、前述
したようにリールシャフト104はロックギヤ114に対して
β方向へ相対回動するようになる。
【0140】このリールシャフト104のα方向への相対
回動により、前述と同様にメインパウル117が回動して
歯102fに係合し、その後遅れてバックアップパウル120
が歯102fに係合する。これにより、リールシャフト104
はウェビング引出し方向αの回動が阻止されるようにな
る。この結果、慣性により乗員が前方へ移動しようとす
ることによって生じるウェビング103の引出しが確実に
阻止される。これにより、乗員は確実に拘束されて保護
されるようになる。
【0141】また、この場合にもロックギヤ114がウェ
ビング巻取り方向βに若干逆回転することにより、慣性
体115の係止爪115cがロックギヤ第1カバー113の歯113c
から外れ、ロックギヤ114はフリー状態となっているの
で、再びウェビング103を巻き取る場合には、リールシ
ャフト104は容易にウェビング103を巻き取ることができ
るようになる。
【0142】図46および図47は本発明の更に他の実
施例を示す分解斜視図であり、図46の右側に図47が
整列することにより本実施例の全体の分解斜視図が構成
される。前述の各実施例が、いずれもリールシャフトに
設けたパウルをフレームに形成された歯に係合すること
により、リールシャフトのウェビング引出し方向の回転
を阻止するようにしているが、本実施例はフレームに設
けたパウルをリールシャフトに形成された歯に係合する
ことにより、リールシャフトのウェビング引出し方向の
回転を阻止するようにしている。
【0143】本実施例の構成要素も前述の各実施例の構
成要素と類似したものが多いので、それらの構成要素を
符号で簡単に説明すると、図46および図47中、201
はシートベルトリトラクタ、202はフレーム、202a,202b
は左、右側壁、202cは連結部材、203はウェビング、204
はリールシャフト、204d,204eは歯、205は付勢力付与手
段、206はシートベルトロック作動手段、207は減速度感
知手段、208は渦巻ばね、209はブッシュ、210はリテー
ナ、211はカバー、212はリテーナ、213,214はロックリ
ング、215,216はスプリング、217はリングギヤ、219は
メインパウル、221はジョイントピン、222はバックアッ
プパウル、223はウェビングガイド、224は係止爪、225
はスプリングである。
【0144】図46および図47に示すように、フレー
ム202の左右側壁202a,202bには、それぞれ円形状の孔20
2d,202e、パウルが嵌入する溝202f,202g、パウルを揺動
支持する孔202h,202iが形成され、更に左側壁202aには
付勢力付与手段205の取付孔202jが、また右側壁202bに
リテーナ212の取付孔202kがそれぞれ形成されている。
【0145】図49に示すようにフレーム202の左右側
壁202a,202b間にウェビング203を巻き取るリールシャフ
ト204が配設されている。図46から明らかなように、
このリールシャフト204は、ウェビング203の巻取り部20
4aと、この巻取り部204aの左右端に形成され、巻き取る
ウェビングをガイドするフランジ部204b,204cとから構
成されている。
【0146】図51(a)および(b)に示すように、
左右のフランジ部204b,204cの外側面には、ぞれぞれラ
チェット歯車が形成されており、これらのラチェット歯
車の歯204d,2o4eは三角形の山形形状に形成されてお
り、その場合、ウェビング203の引き出し方向αに面す
る面が緩斜面に形成され、ウェビング203の巻き取る方
向βに面する面が急斜面に形成されている。更に、左側
フランジ部204bの中心部に第1回転軸204fが、また右側
フランジ部204cの中心部に第2回転軸204gがそれぞれ形
成されている。更に、リールシャフト204には、後述す
るジョイントピン221が貫通する軸方向の貫通孔204hが
形成されている。
【0147】付勢力付与手段205の渦巻ばね208は、ブッ
シュ209とリテーナ210との間に配設され、そのばね力が
ブッシュ209に加えられるようになっている。このブッ
シュ209は第1回転軸204fに相対回転不能に嵌合連結さ
れる。図52(a)および(b)に示すように、シート
ベルトロック作動手段206における左右のロックリング2
13,214は、それぞれ内周面に所定数の歯213a,214aが形
成された大きな円形孔213b,214b、カム孔213c,214cおよ
び後述するリターンスプリングの一端を受けるばね受け
部213d,214dを備えている。
【0148】図53(a)および(b)に示すように、
バックアップパウル222およびメインパウル219は、それ
ぞれ一面側の上端部にこれらの揺動軸が貫通できる孔22
2a,219aが設けられているとともに、反対側の面の下部
に、ロックリング213,214のカム孔213c,214cに嵌入され
てそのカム孔213c,214cにガイドされる円柱状の突起222
b,219bが設けられている。また、バックアップパウル22
2およびメインパウル219の過半部はそれぞれ係止部222
c,219cとされており、これらの係止部222c,219cにはそ
れぞれ係止爪222d,219dが形成されている。更に、各パ
ウル222,219の上方部は、揺動軸222a,219aが設けられて
いる面側が削られて係止部222c,219cよりも薄肉部とな
っており、この薄肉部と係止部222cとの間には、揺動軸
222a,219aを中心とした円弧状の段部222e,219eが形成さ
れている。
【0149】これらのバックアップパウル222およびメ
インパウル219は、それぞれ揺動軸222a,219aを左右側壁
202a,202bの孔202h,202iに嵌入することにより、フレー
ム202に揺動自在に取り付けられる。このとき、係止部2
22c,219cが溝202f,202g内に位置するようになり、その
段部222e,219eが溝202f,202gを形成する円弧状のフレー
ム縁部202m,202n(図46に図示)に摺動可能に当接す
るようになっている。また、バックアップパウル222お
よびメインパウル219は、それらの係止爪222d,219dがそ
れぞれリールシャフト204の歯204d,204eに係合する係合
位置と歯204d,204eに係合しない非係合位置との2位置
が設定されている。
【0150】そして、図46に示すようにリテーナ210
のばね受け部210aとロックリング213のばね受け部213d
との間に、スプリング215が縮設されており、このスプ
リング215のばね力により、図50においてロックリン
グ213がウェビング203の巻取り方向βに常時付勢されて
いる。したがって、ロックリング213は、通常時はバッ
クアップパウル222を非係合位置に保持するようになっ
ている。
【0151】同様に図47に示すようにリテーナ212の
ばね受け部212a(図48に図示)とロックリング214の
ばね受け部214dとの間に、スプリング225が縮設されて
おり、このスプリング225のばね力により、図48にお
いてロックリング214がウェビング203の巻取り方向βに
常時付勢されている。したがって、ロックリング214
は、通常時はメインパウル219を非係合位置に保持する
ようになっている。
【0152】ジョイントピン221は、その軸部221aの右
端に係止爪221bが形成されており、図54に示すように
この係止爪221bの円柱状の突起221cが設けられている。
このジョイントピン221はリールシャフト204の貫通孔20
4hに貫通されるとともに、突起221cが後述するロックギ
ヤ217のカム孔217bに嵌入される。また、係止爪221bは
ロックリング214の歯214aに係合可能となっている。そ
の場合、スプリング216により、係止爪221bはロックリ
ング214の歯214aに対して非係合位置の方へ常時付勢さ
れており、したがって、通常時は係止爪221bは非係合位
置に保持されている。
【0153】リールシャフト204の貫通孔204hを貫通し
たジョイントピン221の他端には、係止爪222が相対回動
不能に取り付けられる。この係止爪224はロックリング2
13の歯213aに係合可能となっている。この係止爪224
も、歯213aに対する非係合位置に保持されている。
【0154】ロックギヤ217は、その外周面に所定数の
歯217aが形成されているとともに、カム孔217bが形成さ
れている。歯217aには、後述するように減速度感知手段
207のアクチュエータ207cの係止爪207dが係合可能とな
っている。またカム孔217bは、これに嵌入される係止爪
221bの突起221cをガイドするようになっており、このカ
ム孔217bは、ロックギヤ217に対してリールシャフト204
がウェビング203の引き出し方向αへ相対回動したと
き、係止爪221bをロックリング214の歯214aに対する非
係合位置から係合位置へ揺動するようになっている。
【0155】次にメインパウル219とバックアップパウ
ル222との動作について図55を用いて詳細に説明す
る。なお、図55は模式的に表したものであり、(I)
はメインパウル219の作動を説明し、(II)はバックア
ップパウル222の作動を説明する。
【0156】スプリング225のばね力によりロックリン
グ214がウェビング203の巻取り方向βに付勢されている
ので、通常時は図55(a)に示すように突起219bがカ
ム孔214cの上端に位置し、メインパウル219は非係合位
置に保持されている。同様に、突起222bがカム孔213cの
上端に位置し、バックアップパウル222は非係合位置に
保持されている。
【0157】リールシャフト204がロックギヤ217に対し
てウェビング3の引出し方向αに相対回動すると、係止
爪221bの突起221cがロックギヤ217のカム孔217bに案内
されて移動する。この突起221cの移動により、係止爪22
1bが回動してロックリング214の歯214aに係合する。係
止爪221bの回動により、ジョイントピン221を介して係
止爪224が回動し、この係止爪224もロックリング213の
歯213aに係合する。
【0158】この状態で、リールシャフト204がロック
ギヤ217に対してウェビング3の引出し方向αに更に相
対回動すると、ロックリング213,214もそれぞれ同方向
αに回動する。このロックリング213,214の回動によ
り、図55(b)に示すように突起219b,222bがそれぞ
れカム孔214c,213cに案内されて移動する。これらの突
起219b,222bの移動により、同図(b)に示すようにメ
インパウル219が歯204eの方へ回動するとともに、バッ
クアップパウル222も歯204dの方へ回動する。
【0159】更に、リールシャフト204がロックギヤ217
に対してα方向に相対回動すると、ロックリング213,21
4もそれぞれ更に同α方向に回動するので、同図(c)
に示すように突起219b,222bがそれぞれカム孔214c,213c
に案内されて更に移動する。これにより、メインパウル
219およびバックアップパウル222が、それぞれ歯204e,2
04dの方へ更に回動し、両パウル219,222の各係止爪219
d,222dが、それぞれリールシャフト204の歯204e,204dに
係合開始するようになる。
【0160】更に、リールシャフト204がロックギヤ217
に対してα方向に相対回動して、ロックリング213,214
もそれぞれ更に同α方向に回動すると、同図(d)に示
すように突起219b,222bがそれぞれカム孔214c,213cに案
内されて更に移動し、カム孔214c,213cの下端に位置す
るようになる。この状態では、メインパウル219および
バックアップパウル222がそれぞれ歯204e,204dと完全に
係合し、これによりリールシャフト204のそれ以上のα
方向への相対回動が阻止される。したがって、ウェビン
グ203の引出しが阻止される。その場合、リールシャフ
ト204からメインパウル219およびバックアップパウル22
2に加えられる反力は、それぞれの段部219e,222eから円
弧状のフレーム縁部202m,202nに伝達されるので、この
フレーム202により確実に受け止められるようになる。
したがって、この反力は両パウル219,222の揺動軸には
ほとんど伝達されなく、揺動軸の強度は比較的小さくて
済むようになる。
【0161】減速度感知手段207は、図47に示すよう
に慣性体207aと、この慣性体207aを支持する支持台207b
と、慣性体207aに移動より揺動可能に支持台207bに取り
付けられるアクチュエータ207cと、このアクチュエータ
207cに取り付けられた係止爪207dとからなっている。
【0162】図48に示すように、支持台207bには慣性
体207aが載置され、この慣性体207aは通常時に直立姿勢
が保持されているが、車両に所定値以上の減速度が作用
したときに慣性体207aが前方へ傾斜するようになってい
る。慣性体207aが傾斜することにより、アクチュエータ
207cが上方へ回動し、係止爪207dがロックギヤ217の歯2
17aと係合するようになる。
【0163】次に、このように構成された本実施例の作
用について説明する。 〔車両に所定値以上の減速度が作用しない通常状態〕こ
の状態では、減速度感知手段207の慣性体207aが傾斜し
ないので、アクチュエータ207cは非作動位置となるとと
もに、係止爪207dが歯217aに対し非係合位置となり、ロ
ックギヤ217は回動可能になっている。また、同様に係
止爪221b、メインパウル219およびバックアップパウル2
22もそれぞれ図48および図50に示すように非係合位
置にある。
【0164】したがって、この状態ではシートベルトリ
トラクタ1はおもに付勢力付与手段205の作用が行われ
る。すなわち、この付勢力付与手段205の渦巻ばね208の
ばね力により、リールシャフト204はウェビング203の巻
取り方向βに付勢され、ウェビン203はリールシャフト2
04に巻き取られるようになる。
【0165】(シートベルトの非装着状態)この状態で
は、ウェビング203に取り付けられているタング(不図
示)とバックル部材(不図示)とが離れている。したが
って、前述のように渦巻ばね208のばね力によりウェビ
ング203は巻き取っている状態となる。 (ウェビング引き出すときの状態)ウェビング203を装
着するために乗員がウェビング203を引き出すと、これ
にともないリールシャフト204およびブッシュ209がウェ
ビング引出し方向αへ回転する。このため、渦巻ばね20
8が巻き締められていく。
【0166】(タングとバックル部材との結合後、ウェ
ビングから手を離したときの状態)乗員がタングとバッ
クル部材とを結合した時点では、ウェビング203は正規
の装着状態のときの引出し長さよりも余分に引き出され
た状態となっているので、乗員が結合操作後にウェビン
グ203を離すと、渦巻ばね208のばね力によってウェビン
グ203は乗員の体にフィットするまで巻き取られる。そ
して車両走行中は、車両に所定値以上の減速度が作用し
ない限り、シートベルトリトラクタ1はこの状態を保持
している。
【0167】〔車両に所定値以上の減速度が作用したと
きの状態〕車両走行中急ブレーキ等により車両に所定値
以上の減速度が作用すると、シートベルトロック作動手
段206および減速度感知手段207がともに動作する。まず
第1段階として減速度感知手段207の慣性体207aがこの
減速度により前方に(図48において左方)傾斜するの
で、アクチュエータ207cが上方へ回動する。このため、
係止爪207dが係合位置となる。一方、乗員が慣性により
前方へ移動しようとするため、ウェビング203が引き出
されるが、このウェビング203の引出しにより、リール
シャフト204およびロックギヤ217が引き出し方向αへ回
動する。
【0168】しかし、ロックギヤ217の歯217aがすぐに
係止爪207dに係合するので、ロックギヤ217はすぐに引
き出し方向αへの回動が停止する。この結果、リールシ
ャフト204のみが引き出し方向α引続き回動するように
なるため、リールシャフト204はロックギヤ213に対して
α方向へ相対回動するようになる。
【0169】このリールシャフト204のロックギヤ217に
対する相対回動により、第2段階として係止爪221b,224
がそれぞれロックリング214,213の歯214a,213aに係合
し、ロックリング214,213がα方向へ回動する。これに
より、メインパウル219およびバックアップパウル222が
回動してそれぞれリールシャフト204の歯204e,204dに係
合する。これにより、リールシャフト204はウェビング
引出し方向αの回動が阻止されるようになる。この結
果、慣性により乗員が前方へ移動しようとすることによ
って生じるウェビング203の引出しが確実に阻止され
る。これにより、乗員は確実に拘束されて保護されるよ
うになる。
【0170】なお、本発明は前述の実施例に限定される
ことなく、種々の設計変更が可能である。例えば、前述
の実施例では、付勢力付与手段105はコンフォートデバ
イスが設けられていないものとしているが、本発明はコ
ンフォートデバイスが設けられているシートベルトリト
ラクタにも適用することができる。
【0171】また前述の実施例では、本発明を付勢力付
与手段でウェビングにテンションを付与するようになっ
ているシートベルトリトラクタに適用した場合について
説明しているが、本発明はテンションレスのシートベル
トリトラクタにも適用できることは言うまでもない。
【0172】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように請求項1
の発明に係るシートベルトリトラクタによれば、ロック
調整手段により、第1被係合部と第1係合部材との係合
および第2被係合部と第2係合部材との係合がともに確
実に行なわれるので、リールシャフトのウェビング引出
し方向の回動をリールシャフトの両側で確実に阻止する
ことができる。したがって、シートベルトリトラクタの
信頼性を向上させることができる。
【0173】また、請求項2の発明によれば、片側係合
によって生じる集中応力が生じることもなくなるので、
係合により生じる応力はきわめて小さくなる。したがっ
て、フレームの厚さをそれほど大きくする必要はないと
ともに、リールシャフトも小型に形成することができ
る。これにより、リトラクタを小型軽量に形成すること
ができる。
【0174】更に、請求項3の発明によれば、係合部材
と被係合部との係合不良がなくなり、リールシャフトを
確実にロックすることが可能となる。
【0175】更に請求項1ないし3の発明によれば、第
1および第2係合部材を第1および第2被係合部に係合
させるだけで、リールシャフトは何等移動しないので、
機構が簡単になるとともに、部品点数が少なくなり組付
工数が削減し、コストが低減する。
【0176】特に、請求項5および8の発明のように第
1および第2係合部材としてパウルを用いるとともに、
第1および第2被係合部を歯によって構成することによ
り、係合がより一層確実になるとともに、構造が簡単に
なる。更に請求項5、6および9の発明のようにロック
調整手段にカムおよびカム孔を用いることにより、更に
一層構造が簡単になるとともに、作動が確実なものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るシートベルトリトラクタの一実
施例を示す分解斜視図である。
【図2】 この実施例のシートベルトリトラクタの組立
状態を示し、カバーを取り外した状態のシートベルトリ
トラクタの左側面図である。
【図3】 この実施例のシートベルトリトラクタの組立
状態を示し、図2におけるIIIーIII線に沿う断面図であ
る。
【図4】 この実施例のシートベルトリトラクタの組立
状態を示し、図3におけるIVーIV線に沿う断面図であ
る。
【図5】 この実施例に用いられるフレームを示す、リ
テーナを取り付けた状態の左側面図である。
【図6】 このフレームの右側面図である。
【図7】 この実施例に用いられるリールシャフトを示
す正面図である。
【図8】 このリールシャフトを示し、(b)は左側面
図、(c)は右側面図である。
【図9】 この実施例に用いられるロックギヤを示し、
(a)は左側面図、(b)は(a)におけるIXBーIXB線
に沿う断面図である。
【図10】この実施例に用いられる慣性体を示す図であ
る。
【図11】この実施例に用いられるメインパウルを示
し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図12】この実施例に用いられるインターナルギヤを
示す平面図である。
【図13】この実施例に用いられるジョイントピンとバ
ックアップパウルとの一体組立体を示し、(a)は左側
面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図14】この実施例に用いられるカバーの平面図であ
る。
【図15】この実施例に用いられるメインパウルとバッ
クアップパウルとの作動を説明する図である。
【図16】本発明に係るシートベルトリトラクタの他の
実施例を分解斜視的に示し、その中央部分を示す分解斜
視図である。
【図17】この実施例を分解斜視的に示し、その左側部
分を示す分解斜視図である。
【図18】この実施例を分解斜視的に示し、その右側部
分を示す分解斜視図である。
【図19】この実施例のシートベルトリトラクタの組立
状態を示し、カバーを取り外した状態のシートベルトリ
トラクタの左側面図である。
【図20】この実施例のシートベルトリトラクタの組立
状態を示し、図19におけるXXーXX線に沿う断面図であ
る。
【図21】この実施例のシートベルトリトラクタの組立
状態を示し、図20におけるXXIーXXI線に沿う部分断面
図である。
【図22】この実施例に用いられるフレームの右側面図
である。
【図23】この実施例に用いられるフレームの左側面図
である。
【図24】この実施例に用いられるリールシャフトの正
面図である。
【図25】この実施例に用いられるリールシャフトの右
側面図である。
【図26】この実施例に用いられるリールシャフトの左
側面図である。
【図27】この実施例に用いられるブッシュの左側面図
である。
【図28】この実施例に用いられるスプリングケースを
示し、(a)はその右側面図、(b)は(a)における
XXVIIIBーXXVIIIB線に沿う断面図である。
【図29】この実施例に用いられるカバーを示し、
(a)はその左側面図、(b)は(a)におけるXXIXB
ーXXIXB線に沿う断面図である。
【図30】この実施例に用いられるスプリングピンを示
す図である。
【図31】この実施例に用いられるロックギヤ第1カバ
ーを示す左側面図である。
【図32】この実施例に用いられるロックギヤ第1カバ
ーを示す右側面図である。
【図33】この実施例に用いられるロックギヤを示し、
(a)はその右側面図、(b)は(a)におけるXXXIII
BーXXXIIIB線に沿う断面図、(c)は(a)におけるXX
XVIICーXXXIIIC線に沿う断面図である。
【図34】この実施例に用いられる慣性体を示し、
(a)はその左側面図、(b)は(a)におけるXXXIVB
ーXXXIVB線に沿う断面図である。
【図35】この実施例に用いられるメインパウルを示
し、(a)はその左側面図、(b)はその正面図、
(c)はその右側面図である。
【図36】この実施例に用いられるジョイントピンを示
し、(a)はその正面図、(b)は(a)におけるXXXV
IBーXXXVIB線に沿う断面図、(c)はその左側面図であ
る。
【図37】この実施例に用いられるバックアップパウル
を示し、(a)はその左側面図、(b)はその正面図、
(c)はその右側面図である。
【図38】この実施例に用いられるロックギヤ第2カバ
ーを示し、(a)はその左側面図、(b)は(a)にお
けるXXXVIIIB方向から見た矢視図である。
【図39】この実施例に用いられる減速度感知手段を部
分的に切り欠いて示す図である。
【図40】この減速度感知手段のケース、レバーおよび
係止爪を示し、(a)はその正面図、(b)は部分的に
切り欠いて示す右側面図である。
【図41】この減速度感知手段の慣性体を示し、(a)
はその平面図、(b)は部分的に切り欠いて示す正面
図、(c)はその下面図である。
【図42】この実施例に用いられるウェビングガイドを
示し、(a)はその平面図、(b)はその左側面図、
(c)は(a)におけるXXXXIICーXXXXIIC線に沿う断面
図である。
【図43】この実施例におけるメインパウルとバックア
ップパウルとの動作の一部を説明する説明図である。
【図44】この実施例におけるメインパウルとバックア
ップパウルとの動作の他部を説明する説明図である。
【図45】メインパウルがセルフロック作用を行うとき
の、メインパウルおよびロックギヤの動作を説明し、
(a)はメインパウルのスタンバイ位置のとき、(b)
はメインパウルのロック位置のときを示す図である。
【図46】本発明に係るシートベルトリトラクタの更に
他の実施例を分解斜視的に示し、その左半分を示す分解
斜視図である。
【図47】この実施例の右半分を示す分解斜視図であ
る。
【図48】この実施例のシートベルトリトラクタの組立
状態を示し、カバーを取り外した状態のシートベルトリ
トラクタの右側面図である。
【図49】この実施例のシートベルトリトラクタの組立
状態を示した正面図である。
【図50】この実施例のシートベルトリトラクタの組立
状態を示し、カバーを取り外した状態のシートベルトリ
トラクタの左側面図である。
【図51】この実施例に用いられるリールシャフトを示
し、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
【図52】この実施例に用いられるロックリングを示
し、(a)は左側に用いられるロックリングを示す図、
(b)は右側に用いられるロックリングを示す図であ
る。
【図53】この実施例に用いられるパウルを示し、
(a)はバックアップパウルを示す図、(b)はメイン
パウルを示す図である。
【図54】この実施例に用いられる係止爪を示す図であ
る。
【図55】この実施例に用いられるメインパウルとバッ
クアップパウルとの作動を説明する図である。
【符号の説明】
1…シートベルトリトラクタ、2…フレーム、2a…左
側壁、2b…右側壁、2f…歯、3…ウェビング、4…
リールシャフト、4a…第1回転軸、4b…第2回転
軸、4c,4d…突出部、4e凹嵌部、4g…孔、5…付
勢力付与手段、6…シートベルトロック作動手段、7…
減速度感知手段、7a…慣性ボール、7c…アクチュエ
ータ、7e…係止爪、8…渦巻ばね、9…ブッシュ、1
2…リテーナ、13…ロックギヤ、13c…歯、13d
…ばね受け部材、13f…突出軸、13g…第1ストッ
パ、13h…第2ストッパ、13i…第1カム孔、13
j…第2カム孔、13k…径方向の孔、13m…周方向
の孔、13n…回転軸、13p…貫通孔、14…慣性
体、14b,14c…係止爪、15…コントロールば
ね、16…リターンスプリング、18…カバー、18c
…歯、19…メインパウル、19b,19c…第1、第
2係止爪、19d…突出軸、20…インターナルギヤ、
20a…歯、21…ジョイントピン、22…バックアッ
プパウル、101…シートベルトリトラクタ、102…フレー
ム、102a…右側壁、102b…左側壁、102f,102g…歯、1
03…ウェビング、104…リールシャフト、104a…ウェビ
ング巻取り部、104b…右側フランジ状部、104c…左側
フランジ状部、104j…荷重受け面、104k…荷重受け部、
104m…貫通孔、104n…第3凹嵌部、105…付勢力付与手
段、106…シートベルトロック作動手段、107…減速度感
知手段、108…パワースプリング、109…ブッシュ、110
…スプリングケース、111…カバー、112…スプリングピ
ン、113…ロックギヤ第1カバー、114…ロックギヤ、11
4k…第1カム孔、114m…第2カム孔、114n…第3カム
孔、115…慣性体、116…コントロールばね、117…メイ
ンパウル、117b…ボス部、117c…爪部、117e…荷重伝
達部、117f…カムフォロワ、118…パウルスプリング、1
19…ジョイントピン、120…バックアップパウル、120b
…ボス部、120c…爪部、120e…荷重伝達部、121…ロッ
クギヤ第2カバー、201…シートベルトリトラクタ、202
…フレーム、202a,202b…左、右側壁、202c…連結部
材、203…ウェビング、204…リールシャフト、204d,204
e…歯、205…付勢力付与手段、206…シートベルトロッ
ク作動手段、207…減速度感知手段、208…渦巻ばね、20
9…ブッシュ、210…リテーナ、211…カバー、212…リテ
ーナ、213,214…ロックリング、215,216…スプリング、
217…リングギヤ、219…メインパウル、221…ジョイン
トピン、222…バックアップパウル、223…ウェビングガ
イド、224…係止爪、225…スプリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−16452(JP,A) 特開 昭55−16686(JP,A) 特開 昭55−16685(JP,A) 特開 昭55−2481(JP,A) 特開 昭63−265750(JP,A) 特開 平2−70551(JP,A) 実開 昭59−36356(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 22/36 - 22/40

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウェビングを巻取るリールシャフトと、
    該リールシャフトの両端を回動自在に支持するフレーム
    と、該フレームおよびリールシャフト間に配設されて通
    常時リールシャフトの回動を許容し必要時に作動してリ
    ールシャフトの少なくともウェビング引出し方向の回動
    を阻止するロック手段と、車両に所定値以上の減速度が
    加えられたとき作動する減速度感知手段と、該減速度感
    知手段の作動により前記ロック手段を作動するロック作
    動手段とを備えているシートベルトリトラクタにおい
    て、 前記ロック手段は、前記フレームの前記リールシャフト
    一端側に設けられた第1係合部材および第1被係合部の
    いずれか一方と、前記リールシャフトの一端側に支持さ
    れ前記第1係合部材および前記第1被係合部のいずれか
    一方に係合可能な前記第1係合部材および前記第1被係
    合部のいずれか他方と、前記フレームの前記リールシャ
    フト他端側に設けられた第2係合部材および第2被係合
    部のいずれか一方と、前記リールシャフトの他端側に支
    持され前記第2係合部材および前記第2被係合部のいず
    れか一方に係合可能な前記第2係合部材および前記第2
    被係合部のいずれか他方とを備えており、 また前記ロック作動手段は、前記第1係合部材および第
    1被係合部のいずれか一方と前記第1係合部材および前
    記第1被係合部のいずれか他方との係合が可能な状態に
    設定した後、前記第2係合部材および前記第2被係合部
    のいずれか一方と前記第2係合部材および前記第2被係
    合部のいずれか他方との係合が可能な状態に設定し、次
    いで前記第1被係合部と前記第1係合部材との係合およ
    び前記第2被係合部と前記第2係合部材との係合を行う
    ロック調整手段を備えていることを特徴とするシートベ
    ルトリトラクタ。
  2. 【請求項2】 前記ロック調整手段は、前記第1被係合
    部と前記第1係合部材との係合および前記第2被係合部
    と前記第2係合部材との係合を同時完了するように調整
    するロック調整手段であることを特徴とする請求項1記
    載のシートベルトリトラクタ。
  3. 【請求項3】 前記ロック調整手段は、前記第1被係合
    部と前記第1係合部材との係合が完了した後、前記第2
    被係合部と前記第2係合部材との係合を完了するように
    調整するロック調整手段であることを特徴とする請求項
    1記載のシートベルトリトラクタ。
  4. 【請求項4】 更に所定値以上の加速度でウェビングが
    引き出されたとき作動するウェビング引出し感知手段が
    設けられており、該ウェビング引出し感知手段の作動に
    よっても前記ロック作動手段が作動することを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれか1記載のシートベルトリ
    トラクタ。
  5. 【請求項5】 前記第1被係合部および前記第2被係合
    部は、それぞれフレームに形成した円形孔の内周面に形
    成された所定数の第1歯および第2歯から構成されてい
    るとともに、前記第1係合部材および前記第2係合部材
    は、それぞれ前記リールシャフトに揺動自在に設けられ
    前記第1歯および前記第2歯に係合可能な第1パウルお
    よび第2パウルから構成されており、前記ロック調整手
    段は前記第1歯のうち前記第1パウルが係合する歯を決
    定してから前記第2歯のうち前記第2パウルが係合する
    歯を決定することを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れか1記載のシートベルトリトラクタ。
  6. 【請求項6】 前記ロック調整手段は、前記第1パウル
    を案内作動する第1カムと、前記第2パウルを案内作動
    する第2カムと、これら第1パウルおよび第2パウルを
    連動する連動手段とを備えていることを特徴とする請求
    項5記載のシートベルトリトラクタ。
  7. 【請求項7】 前記第1カムは径方向のカム孔により形
    成されていると共に、前記第2カムは径方向の孔と周方
    向の孔とのほぼL字形に形成されていることを特徴とす
    る請求項6記載のシートベルトリトラクタ。
  8. 【請求項8】 前記第1被係合部および前記第2被係合
    部は、それぞれリールシャフトに形成したフランジ部の
    外周に形成された所定数の第1歯および第2歯から構成
    されているとともに、前記第1係合部材および前記第2
    係合部材は、それぞれ前記フレームに揺動自在に設けら
    れ前記第1歯および前記第2歯に係合可能な第1パウル
    および第2パウルから構成されており、前記ロック調整
    手段は前記第1歯のうち前記第1パウルが係合する歯を
    決定してから前記第2歯のうち前記第2パウルが係合す
    る歯を決定することを特徴とする請求項1ないし4のい
    ずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  9. 【請求項9】 前記ロック調整手段は、前記第1パウル
    を案内作動する第1カムと、前記第2パウルを案内作動
    する第2カムと、これらの第1カムおよび第2カムを連
    動する連動手段とを備えていることを特徴とする請求項
    8記載のシートベルトリトラクタ。
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