JP2000071935A - シートベルトリトラクタおよびこれを用いた車両の乗員拘束保護システム - Google Patents

シートベルトリトラクタおよびこれを用いた車両の乗員拘束保護システム

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JP2000071935A
JP2000071935A JP10226749A JP22674998A JP2000071935A JP 2000071935 A JP2000071935 A JP 2000071935A JP 10226749 A JP10226749 A JP 10226749A JP 22674998 A JP22674998 A JP 22674998A JP 2000071935 A JP2000071935 A JP 2000071935A
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reel
belt
seat belt
rotation
ultrasonic motor
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JP10226749A
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English (en)
Inventor
Yuichi Sawatari
澤渡雄一
Hiroaki Fujii
藤居弘昭
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Takata Corp
Original Assignee
Takata Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】できるだけコンパクトにし、しかも、乗員の拘
束保護をより一層効率よくかつより一層快適に行う。 【解決手段】シートベルトリトラクタ1は、シートベル
ト3を巻き取るリール4と、作動時にリール4のベルト
引出し方向αの回転を阻止するロック手段5と、ロック
手段5を必要時に作動させるロック作動機構6と、シー
トベルト引出が阻止されたとき、ベルト荷重を制限する
フォースリミッタ機構7と、減速度検知手段8と、リー
ル回転検出手段9と、リール4を回転駆動する超音波モ
ータ10と、クラッチ機構11と、クラッチ機構11を
介して伝達される超音波モータ10の回転を減速してリ
ール4に伝達する減速機構12と、リール4をシートベ
ルト3の巻取り方向βに付勢するスプリング手段13
と、超音波モータ10の回転量を検出して電気信号に変
換するモータ回転量検出手段14とからなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に
装備され、乗員を拘束保護するためのシートベルトを引
出し、巻取りを制御するシートベルトリトラクタおよび
これを用いた乗員拘束保護システムの技術分野に属し、
特に車両の周囲の物体を検知して、その車両と物体との
間の状況および/またはシートベルトリトラクタの動作
状況に基づいてシートベルトのベルトテンションを調整
するとともに、衝突等による車両の大減速度発生時にシ
ートベルトのベルト荷重を制限することにより、乗員を
確実に拘束保護するシートベルトリトラクタおよびこれ
を用いた乗員拘束保護システムの技術分野に属するもの
である。
【0002】
【従来の技術分野】従来から自動車等の車両に装備され
ているシートベルト装置は、衝突時等の車両に大きな減
速度が作用した場合のような緊急時に、シートベルトで
乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出し
を阻止して、乗員を保護している。
【0003】このようなシートベルト装置においては、
シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタが設け
られている。このシートベルトリトラクタは、シートベ
ルトを巻き取るリールを常時巻取り方向に付勢するうず
巻きばね等の付勢力付与手段を備えている。この付勢力
付与手段の付勢力により、シートベルトは非装着時には
リールに巻き取られている。また、シートベルトは装着
時には付勢力付与手段の付勢力に抗して引き出されて、
乗員に装着される。そして、シートベルトリトラクタ
は、前述のような緊急時にロック手段が作動してリール
の引出し方向の回転を阻止することにより、シートベル
トの引出しが阻止される。これにより、緊急時にシート
ベルトは乗員を確実に拘束し、保護するようになる。
【0004】ところで、このような従来からのシートベ
ルト装置においては、シートベルト装着時には付勢力付
与手段の付勢力によるほぼ一定のベルトテンションがシ
ートベルトに加えられている。このため、シートベルト
リトラクタは自車と自車周囲の物体との間の状況に関係
なくほぼ同じ態様で作動するようになっている。しかし
ながら、従来のシートベルト装置は前述のように緊急時
に乗員を確実に拘束し保護することができるが、前述の
ような緊急時以外のときに乗員に対してより快適に制御
されているとは言えない。しかも、緊急時に乗員を堅固
に拘束して更に一層確実に保護するようにすることが望
ましい。
【0005】そこで、自車と物体との間の状況を加味し
てDCモータでシートベルトリトラクタを制御し、ベル
トテンションを調節することにより、乗員の拘束保護を
より一層効率よくかつ乗員に対してより一層快適に行う
ようにした乗員拘束保護システムが、特開平9−132
113号公報において提案されている。
【0006】一方、前述のようにシートベルトリトラク
タのロック手段が緊急時に作動してリールの引出し方向
の回転を阻止したとき、乗員はその慣性により前方へ移
動しようとするため、シートベルトから大きな衝撃を受
けるようになる。そこで、この衝撃から乗員を保護する
ために、リールとロック手段との間にトーションバーを
介設し、このトーションバーがねじれ変形することによ
り、その衝撃エネルギを吸収して乗員が受ける衝撃を緩
和するベルト荷重制限機構(EA機構)を備えたシート
ベルトリトラクタが実公昭61−11085号公報にお
いて提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述の特開平9−13
2113号公報の乗員拘束保護システムにおいては、D
Cモータが用いられているばかりでなく、リールの軸と
DCモータの回転軸とが同軸ではなく2軸構成となって
いるため、シートベルトリトラクタがきわめて大型にな
っている。しかも、この2軸構成により、DCモータの
回転トルクをリールに伝達するために歯車伝達減速機構
を必要とするので、シートベルトリトラクタは複雑な構
造となっており、しかもより一層大型にならざるを得な
い構造となっている。このため、特開平9−13211
3号公報のシートベルトリトラクタでは、せっかく自車
と物体との間の状況を加味してベルトテンションを調節
することができるようになったにも係わらず、比較的大
きな設置スペースが必要となっている。
【0008】しかしながら、このようなシートベルトリ
トラクタが設けられる自動車の車室内は限られたきわめ
て狭い空間であり、しかも車室内の居住性等を考慮した
場合、シートベルトリトラクタの設置スペースはきわめ
て厳しく制限されている。このため、自車と物体との間
の状況を加味してベルトテンションを調節することがで
きるようにしながら、しかもできるだけコンパクトに形
成して設置スペースの厳しい制限に確実に対応するよう
にすることが望まれる。
【0009】更に、特開平9−132113号公報のシ
ートベルトリトラクタでは、実公昭61−11085号
公報のようなEA機構を備えていないが、このEA機構
も備えて、ベルトテンションを総合的に制御するように
することが望ましい。しかし、特開平9−132113
号公報のシートベルトリトラクタに、EA機構のトーシ
ョンバーを単純に設けたのでは、シートベルトは、構造
が複雑となるとともに、大型になってしまう。
【0010】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、できるだけコンパクトに
まとめて簡単な構造にできるようにしながら、しかも、
乗員の拘束保護をより一層効率よくかつより一層快適に
行うことのできるシートベルトリトラクタおよびこれを
用いた車両の乗員拘束保護システムを提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明のシートベルトリトラクタは、シ
ートベルトを巻取るリールと、該リールを回転自在に支
持するフレームと、前記リールをシートベルト巻取り方
向に付勢するリール付勢手段と、前記フレームおよび前
記リール間に配設されて通常時リールの回転を許容し必
要時に作動してリールのベルト引出し方向の回転を阻止
するロック手段と、前記シートベルトのベルトテンショ
ンを制御するベルトテンション制御機構と、前記ロック
手段の作動による前記シートベルトの引出し阻止時に前
記シートベルトにかかるベルト荷重を制限するベルト荷
重制限機構とを備え、前記ベルトテンション制御機構
は、前記リール付勢手段および前記リールに付与する回
転トルクを発生する超音波モータと、非作動時前記超音
波モータの回転トルクを前記リール付勢手段に伝達する
ように設定すると共に、作動時前記超音波モータの回転
トルクを前記リールに直接伝達するように設定するクラ
ッチ機構とからなるシートベルトリトラクタであって、
前記超音波モータが、前記フレームに取り付けられた環
状のステータと、該ステータの進行波によって回転する
環状のロータと、該ロータを貫通してロータに一体回転
可能に連結されると共に、一端が前記リール付勢手段に
接続されかつ他端が前記クラッチ機構に連結される筒状
のモータ回転軸とから中空形状に形成されていると共
に、前記クラッチ機構も中空形状に形成されていること
を特徴としている。
【0012】また、請求項2の歯は、前記クラッチ機構
が、前記超音波モータの所定角加速度より小さい角加速
度での始動時には作動しなく、前記超音波モータの前記
所定角加速度以上の大きな角加速度での始動時には作動
する角加速度クラッチからなることを特徴としている。
【0013】更に、請求項3の発明は、前記角加速度ク
ラッチが、前記超音波モータの回転軸に、該回転軸と直
交する面内で回動可能に設けられた係止部材と、前記リ
ールに回転トルクを伝達すると共に、前記係止部材が係
脱可能に設けられて、前記係止部材が係合したとき前記
回転軸の回転トルクが伝達され、また前記係止部材が係
合しないとき前記回転軸の回転トルクが伝達されない被
動部材と、前記超音波モータが前記所定角加速度以上の
角加速度で始動したときに作動して前記係止部材を前記
被動部材に係合させ、また前記超音波モータが前記所定
角加速度より小さい角加速度で始動したときには作動し
ないで前記係止部材を前記被動部材に係合させない係止
部材制御手段とからなることを特徴としている。
【0014】更に、請求項4の発明は、前記係止部材に
カムフォロワが設けられており、係止部材制御手段が、
前記超音波モータの回転軸に同軸上に配設されるととも
に、前記係止部材にカムフォロワを制御するカムを有
し、前記超音波モータの回転軸との間に回転差が生じた
とき、前記係止部材を前記被動部材に係合させる環状の
慣性プレートと、前記超音波モータが前記所定角加速度
以上の角加速度で始動したときには、前記超音波モータ
の回転軸と前記慣性プレートとの間に回転差を生じさ
せ、前記超音波モータが前記所定角加速度より小さい角
加速度で始動したときには、前記超音波モータの回転軸
と前記慣性プレートとの間に回転差を生じさせない回転
差発生手段とからなることを特徴としている。
【0015】更に、請求項5の発明は、前記クラッチ機
構と前記リールとの間に減速機構が介設されていること
を特徴としている。更に、請求項6の発明は、前記減速
機構が、遊星歯車減速機構からなることを特徴としてい
る。
【0016】更に、請求項7の発明は、前記リール付勢
手段が、回転可能に設けられかつ前記超音波モータの回
転トルクが伝達されるスプリングケースと、該スプリン
グケースと前記リールとの間に設けられ、前記リールを
ベルト巻取り方向に常時付勢するスパイラルスプリング
とを備え、前記スパイラルスプリングが、第1スパイラ
ルスプリングと、この第1スパイラルスプリングに環状
の連結部材を介して連結され、前記第1スパイラルスプ
リングのばね定数より小さいばね定数の第2スパイラル
スプリングとからなり、前記第1スパイラルスプリング
が前記スプリングケース側に連結されると共に、前記第
2スパイラルスプリングが前記リール側に連結されるこ
とを特徴としている。
【0017】更に、請求項8の発明は、前記ベルト荷重
制限機構がトーションバーを備えており、該トーション
バーが、前記ロック手段に連結され、該ロック手段の作
動時ベルト引出し方向の回転が阻止される第1トルク伝
達部と、前記超音波モータの回転トルクおよび/または
前記リール付勢手段の付勢力が伝達されると共に前記リ
ールに回転方向に係合する第2トルク伝達部と、これら
の第1および第2トルク伝達部間を接続すると共に第1
および第2トルク伝達部の回転差によりねじれ変形する
トーションバー部とからなり、前記ロック手段の作動に
よる前記シートベルトの引出し阻止時に前記トーション
バー部のねじれ変形により前記ベルト荷重を制限するこ
とを特徴としている。
【0018】更に、請求項9の発明は、シートベルトを
巻取るリールと、該リールを回転自在に支持するフレー
ムと、前記リールをシートベルト巻取り方向に付勢する
リール付勢手段と、前記フレームおよび前記リール間に
配設されて通常時リールの回転を許容し必要時に作動し
てリールのベルト引出し方向の回転を阻止するロック手
段と、前記シートベルトのベルトテンションを制御する
ベルトテンション制御機構と、前記ロック手段の作動に
よる前記シートベルトの引出し阻止時に前記シートベル
トにかかるベルト荷重を制限するベルト荷重制限機構と
を備え、前記ベルトテンション制御機構は、前記リール
付勢手段および前記リールに付与する回転トルクを発生
する電磁モータと、非作動時前記電磁モータの回転トル
クを前記リール付勢手段に伝達するように設定すると共
に、作動時前記電磁モータの回転トルクを前記リールに
直接伝達するように設定するクラッチ機構とからなるシ
ートベルトリトラクタであって、前記電磁モータが第1
減速機構を介して前記リール付勢手段に接続されてい
て、前記電磁モータの回転トルクが前記第1減速機構に
より減速された前記リール付勢手段に付与するようにな
っており、前記第1減速機構が第2減速機構を介して前
記リールに接続可能とされていて、前記第2減速機構を
介した前記第1減速機構の前記リールへの接続時、前記
電磁モータの回転トルクが前記第1減速機構により減速
され、更に前記第2減速機構により減速されて前記リー
ルに付与するようになっており、更に、前記クラッチ機
構が、前記第2減速機構を介する前記減速機構と前記リ
ールとの間の接続または遮断を制御するクラッチ機構で
あることを特徴としている。
【0019】更に、請求項10の発明は、前記第1およ
び第2減速機構が、それぞれ、第1および第2遊星歯車
減速機構からなることを特徴としている。更に、請求項
11の発明は、前記第2遊星歯車減速機構が、前記第1
遊星歯車減速機構からの回転トルクが伝達されるサンギ
ヤと、このサンギヤに噛合する所定数のプラネタリギヤ
と、該所定数のプラネタリギヤを回転可能に支持すると
ともに前記リールに接続されるキャリヤと、前記プラネ
タリギヤに噛合するインタ−ナルギヤとからなり、前記
クラッチ機構が、前記インタ−ナルギヤの自由回転また
は前記インタ−ナルギヤの少なくとも一方向の回転が阻
止される回転規制を切換制御するクラッチ機構であるこ
とを特徴としている。
【0020】更に、請求項12の発明は、前記クラッチ
機構が、前記インタ−ナルギヤの外周に形成されたラチ
ェット歯と、このラチェット歯に係脱可能な係止爪を有
するレバーと、このレバーを作動制御するソレノイド手
段とからなることを特徴としている。
【0021】更に、請求項13の発明は、前記リール付
勢手段が、回転可能に設けられかつ前記電磁モータの回
転トルクが伝達されるスプリングケースと、該スプリン
グケースと前記リールとの間に設けられ、前記リールを
ベルト巻取り方向に常時付勢するスパイラルスプリング
とを備え、前記スパイラルスプリングが、第1スパイラ
ルスプリングと、この第1スパイラルスプリングに環状
の連結部材を介して連結され、前記第1スパイラルスプ
リングのばね定数より小さいばね定数の第2スパイラル
スプリングとからなり、前記第1スパイラルスプリング
が前記スプリングケース側に連結されると共に、前記第
2スパイラルスプリングが前記リール側に連結され、更
に、前記サンギヤが前記スプリングケースに一体的に直
結されていることを特徴としている。
【0022】更に、請求項14の発明は、前記ベルト荷
重制限機構による前記ベルト荷重の制限を、前記ロック
手段の作動による前記シートベルトの引出し阻止時から
の前記リールの回転の所定範囲に規定するベルト荷重制
限範囲設定機構を備えていることを特徴としている。
【0023】更に、請求項15の発明の乗員拘束保護シ
ステムは、請求項1ないし14のいずれか1記載のシー
トベルトリトラクタを備えており、前記必要時に前記シ
ートベルトの引出しを阻止して乗員を拘束保護する車両
の乗員拘束保護システムにおいて、前記車両周囲の物体
を検出する物体検出手段と、該物体検出手段からの物体
検出信号に基づいて判断された前記車両と前記物体との
間の状況および/または前記シートベルトリトラクタの
動作状況に基づいて前記ベルトテンション制御機構を制
御する中央処理装置とを備えており、前記シートベルト
のベルトテンションを前記車両と物体との間の状況また
は前記シートベルトリトラクタの動作状況に応じた設定
値に制御することを特徴としている。
【0024】更に、請求項16の発明は、前記車両と前
記物体との間の状況および/または前記シートベルトリ
トラクタの動作状況に応じた所定数のモードが設定され
ており、前記ベルトテンションの前記設定値が各モード
毎に設定されていることを特徴としている。
【0025】更に、請求項17の発明は、前記所定数の
モードとして、少なくとも、前記ベルトテンションの設
定値が前記シートベルトの引出し時にベルト引出しが軽
くなる値に設定されるベルト引出しモードと、前記ベル
トテンションの設定値がシートベルト装着解除後のシー
トベルトの巻取り時にベルト巻取りが迅速かつ確実に行
われる値に設定されるベルト巻取りモードと、前記ベル
トテンションの設定値がシートベルト装着後のシートベ
ルトの長さ調節時にベルトスラックを除去する値に設定
されるベルト長さ調節モードと、前記ベルトテンション
の設定値が通常運転時のシートベルト装着状態において
ベルト負荷が軽くなる値に設定されるコンフォートモー
ドと、前記ベルトテンションの設定値が前記物体に対し
て直ちに回避動作を行う必要があるときに乗員に警告す
る値に設定される警告モードと、前記ベルトテンション
の設定値が前記物体に対して回避の余裕がなく、乗員の
回避動作が不能であるときに乗員を堅固に拘束する値に
設定される緊急モードとが設定されていることを特徴と
している。
【0026】更に、請求項18の発明は、更に、前記ベ
ルトテンションの設定値がシートベルトによりチャイル
ドシートを車両シートに固定する値に設定されるチャイ
ルドシートモードとが設定されていることを特徴として
いる。
【0027】
【作用】このように構成された本発明に係るシートベル
トリトラクタにおいては、超音波モータのステータ、ロ
ータ、モータ回転軸、およびクラッチ機構を中空形状に
しているので、これらの部品の中空部を利用して各部品
が効率よくコンパクトにレイアウトされるようになる。
これにより、超音波モータはクラッチ機構を内蔵するこ
とが可能となるので、フレームにコンパクトに取り付け
られるようになる。
【0028】しかも、このように超音波モータおよびク
ラッチ機構の中空部を利用することで、超音波モータ、
クラッチ機構およびスプリング手段がリールと同軸上に
レイアウトされるようになるので、シートベルトリトラ
クタが全体として効果的にコンパクトにまとめられるよ
うになる。
【0029】そのうえ、超音波モータおよびクラッチ機
構の中空部にリール軸を貫通させるという簡単な構造に
より、スプリング手段を介さずかつクラッチ機構を介す
るリールへのモータトルク伝達経路と、クラッチ機構を
介さずかつスプリング手段を介するリールへのモータト
ルク伝達経路との2つのトルク伝達経路が切り替え可能
となる。
【0030】更に、トーションバーもこれらの部品の中
空部に配置することが可能となるので、トーションバー
を設けても動力伝達機構が複雑になることはなく、コン
パクトにまとめられるようになる。更に、超音波モータ
の高起動性が有効に利用されるようになるので、単純コ
ンパクトでかつソレノイド等の外部トリガが不要の角加
速度クラッチが採用可能となる。更に、電磁モータが用
いられることにより、駆動回路が比較的簡単になる。
【0031】また、第1および第2減速機構で2段に減
速することにより、減速比を適宜選定することができる
ので、減速比の選定次第で、所望の大きなベルトテンシ
ョンを容易に得ることが可能となる。特に、第1および
第2減速機構に第1および第2遊星歯車減速機構を用い
ることにより、減速比をより容易に選定することができ
るとともに、リトラクタをコンパクトにまとめることが
可能となる。
【0032】更に、第2遊星歯車減速機において、その
インタ−ナルギヤの回転がクラッチ機構のソレノイド手
段で停止させるようにしているので、電磁モータの回転
トルクが効果的に減速され、リールに加えるトルクが更
に大きくなる。
【0033】更に、ベルトテンション制御機構により、
シートベルトのベルトテンションが制御可能となる。こ
れにより、シートベルトリトラクタの種々の状況に応じ
てベルトテンションが種々制御されるようになる。しか
も、ベルト荷重制限機構により、シートベルトリトラク
タは、衝突時等の大減速度発生時にシートベルトにかか
るベルト荷重を制限するEA機能を発揮可能となる。こ
のEA機能により、ベルト荷重の増大が抑制されるの
で、シートベルトによる乗員への圧迫が緩和されるよう
になる。特に、トーションバーが用いられることによ
り、EA機能が安定して発揮されるようになり、シート
ベルトによる乗員への押圧力が効果的に緩和される。
【0034】一方、本発明に係る乗員拘束保護システム
においては、通常運転時はシートベルトからのベルト負
荷が緩和またはなくなり、シートベルトを装着しても乗
員を快適にするコンフォート機能が発揮されるようにな
る。更に、物体との衝突のおそれがあるときは、シート
ベルトがかなり強く巻き取られて警告機能が発揮される
ようになり、特別な警告装置を装備しなくても乗員に警
告が発せられるようになる。更に、物体との衝突が余儀
なくされるときは、シートベルトがきわめて強く巻き取
られてプリリワインド機能が発揮されるようになり、乗
員が衝突前に予め堅固に拘束保護されるようになる。
【0035】しかも、シートベルトリトラクタによるベ
ルト引出しが軽く行われるようになると共に、ベルト巻
取りが迅速に行われてシートベルトが完全に巻き取られ
るようになる。更に、ベルトスラックが自動的に除去さ
れる。こうして、シートベルトリトラクタはコンビニエ
ンス機能を発揮するようになる。
【0036】更に、チャイルドシートモードにより、例
えばバックルに設けられたCRSモード選択ボタンを押
すだけで、チャイルドシートが車両シートに堅固にかつ
自動的に固定されるようになる。これにより、チャイル
ドシートの車両シートへの固定および固定解除がきわめ
て簡単になる。
【0037】こうして、本発明の乗員拘束保護システム
は、コンフォート機能、注意機能、警告機能、プリリワ
インド機能、コンビニエンス機能、EA機能、およびチ
ャイルドシート固定機能の多くの機能が発揮されるよう
になるので、全体として、より効率よくかつより快適に
乗員が拘束保護されるようになる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明の実
施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態の一例
における車両の乗員拘束保護システムに用いられるシー
トベルトリトラクタを示す、分解斜視図、図2ないし図
7は、図1を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視
図、図8はこの例のシートベルトリトラクタの組立状態
の縦断面図、図9は図8に示すシートベルトリトラクタ
の右側を部分的に切り欠いて示す右側面図、図10は図
8に示すシートベルトリトラクタの左側を部分的に切り
欠いて示す左側面図である。
【0039】図1に示すように、この例の乗員拘束保護
システムに用いられるシートベルトリトラクタ1は、大
きく分けてフレーム2と、シートベルト3を巻き取るリ
ール4と、フレーム2の一側に配設され、作動時にリー
ル4のベルト引出し方向αの回転を阻止するロック手段
5と、このロック手段5を必要時に作動させるロック作
動機構6と、衝突等の大減速度時にロック手段5の作動
によりシートベルト引出が阻止されたとき、シートベル
トの荷重を制限するフォースリミッタ機構(以下、EA
機構ともいう)7と、車両減速度を検知する減速度検知
手段8と、リール4の最大巻取り位置からの回転量を検
出して電気信号に変換するリール回転量検出手段9と、
回転トルクを後述するクラッチ機構11を介してリール
4に付与するとともに、回転トルクを後述するスプリン
グ手段13に付与する超音波モータ10と、超音波モー
タ10の回転トルクを、スプリング手段13を介さずに
リール4の方へ伝達するクラッチ機構11と、このクラ
ッチ機構11を介して伝達される超音波モータ10の回
転トルクを減速してリール4に伝達する減速機構12
と、リール4をシートベルト3の巻取り方向βに付勢す
るスプリング手段13と、超音波モータ10の回転軸の
非作動位置からの回転量を検出して電気信号に変換する
モータ回転量検出手段14と、超音波モータ10を駆動
するためのドライバユニット15とからなっている。
【0040】図2に示すように、フレーム2は平行な一
対の側壁16,17とこれらの側壁16,17を連結する
背板18とからなっている。このフレーム2内の両側壁
16,17間には、シートベルト3を巻き取るためのリ
ール4が配設されている。
【0041】一方の側壁16には円形の大孔16aが穿
設されているとともに、この大孔16aの周縁に、所定
数(図示例では6個)の小孔16bが周方向に等間隔に
穿設されている。また、他方の側壁17にも、円形の大
孔17aが大孔16aと同心に穿設されているととも
に、この側壁17の内側に、内周面に所定数のラチェッ
ト歯状の内歯19aを有する円形の大孔が穿設された内
歯形成部材19が、これらの内歯19aを大孔17aと
同心にして固定されている。更に、側壁17には、減速
度検知手段8を取り付ける取付孔17bが穿設されてい
る。
【0042】リール4は、シートベルト3を巻き取るシ
ートベルト巻取部4aと、このシートベルト巻取部4a
の両端のフランジ部4b,4cとからなり、その中央に
軸方向に貫通する貫通孔4dが穿設されている。その場
合、貫通孔4dは、図示しないが側壁16側の端部が後
述するキャリヤ54(図1および図2に図示)の断面正
6角形の軸部54cが嵌合可能で、かつリール4とキャ
リヤ54と後述するトーションバー27とが一体回転可
能になる断面正6角形状の孔に形成され、また側壁17
側の端部が後述するストッパ28(図1および図3に図
示)が嵌合可能でかつリール4とストッパ28とが一体
回転可能になる断面形状の孔に形成されている。
【0043】図3に示すように、ロック手段5はロッキ
ングベース20とパウル21とを備えている。ロッキン
グベース20は、ディスク部20aとねじ軸部20bと
からなり、その中心に軸方向に貫通する貫通孔20cが
穿設されている。この貫通孔20cのディスク部20a
に対応する部分は、断面正6角形状孔20c′とされて
いる。また、ディスク部20aには、パウル21を回転
可能に支持するための孔20dが穿設されていると共
に、この孔20dと同心円の円弧状の荷重被伝達部20
eが形成されている。この荷重被伝達部20eはパウル
21からの荷重を受けるようになっている。更に、ディ
スク部20aの外周面の荷重被伝達部20eと反対側の
部分には、所定範囲にわたってギザギザの刻み歯20f
が形成されており、この刻み歯20fは内歯19aに係
合可能となっている。更に、ディスク部20aには、後
述の図4に示すパウルスプリング26の一端を支持する
スプリング支持部20gが設けられている。
【0044】一方、パウル21は回転基端に穿設された
孔21aを有しており、この孔21aとロッキングベー
ス20の孔20dとに図示しないピン等の固定具を嵌合
させることにより、パウル21がロッキングベース20
に回転可能に取り付けられている。また、パウル21の
先端には、内歯形成部材19の内歯19aに係合可能な
係止爪21bが形成されていると共に、突出軸からなる
カムフォロワ21cが設けられている。更に、パウル2
1bには、円弧状の荷重伝達部21dが形成されてお
り、この荷重伝達部21dは、係止爪21bが内歯19
aに係合したとき、パウル21bに作用する反力をロッ
キングベース20の荷重被伝達部20eに伝達させるよ
うになっている。すなわち、パウル21bの反力をロッ
キングベース20で支持するようになっている。
【0045】図4に示すように、ロック作動機構6は、
ロックギヤ22と、フライホイール23と、ロックギヤ
22とフライホイール23との間に縮設されるフライホ
イールスプリング24と、フレーム2の側壁17の着脱
可能に固定されるリテーナ25と、ロッキングベース2
0とロックギヤ22との間に縮設されるパウルスプリン
グ26とを備えている。
【0046】ロックギヤ22は、ディスク部22aと、
このディスク部22aの外周に形成され、その外周面に
形成された所定数のラチェット歯状の外歯22bを有す
る環状歯部材22cとからなっている。
【0047】ディスク部22aの中心には、筒状のボス
22dが形成されていると共に、このボス22dの近傍
にフライホイール23を回転可能に支持する支持軸22
eが突設されている。更に、ディスク部22aの外周側
には、フライホイール23の回転を所定範囲に規制する
第1および第2ストッパ22f,22gが設けられてい
ると共に、ディスク部22aを貫通するカム孔22hが
穿設されている。このカム孔22hには、パウル21の
カムフォロワ21cが嵌合されるようになっており、し
たがってロックギヤ22がロッキングベース20に対し
て相対回転したとき、カムフォロワ21cがカム孔22
hにガイドされることにより、パウル21が回転するよ
うになっている。更に、ディスク部22aにはパウルス
プリング26の一端を支持するスプリング支持部22i
が設けられている。
【0048】フライホイール23は、ロックギヤ22の
支持軸22eに回転可能に嵌合される支持孔23aが穿
設されていると共に、先端に係止爪23bが形成された
係止部23cが設けられている。そして、フライホイー
ル23が支持孔23aに回転可能に支持されたとき、こ
の係止部23cは第1および第2ストッパ22f,22
gの間に位置するようになっている。したがって、フラ
イホイール23の回転は、第1および第2ストッパ22
f,22gの間に規制され、係止部23cが第1ストッ
パ22fに当接しているときは係止爪23bが内側に引
っ込んだ状態になり、また係止部23cが第2ストッパ
22gに当接しているときは係止爪23bが外側に突出
した状態になる。更に、フライホイール23には、フラ
イホイールスプリング24の一端を支持するスプリング
支持部23dが設けられている。
【0049】フライホイールスプリング24は、その一
端がフライホイール23のスプリング支持部23dに支
持され、またその他端がロックギヤ22の図示しないス
プリング支持部に支持されて、フライホイール23をロ
ックギヤ22に対してベルト引出し方向αに常時付勢し
ている。したがって、フライホイール23の非作動時
は、係止部23cが第1ストッパ22fに当接してい
る。
【0050】リテーナ25は、ディスク部25aと、こ
のディスク部25aの外周にフレーム2側に突出して形
成され、側壁17に着脱可能に固定される第1環状フラ
ンジ部25b(図8に図示)と、ディスク部25aの外
周にフレーム2側と反対側に突出して形成された第2環
状フランジ部25cとからなっている。
【0051】ディスク部25aの中心には貫通孔25d
が穿設されている。また、図8に示すようにディスク部
25aのフレーム2側の面には、内周面にラチェット歯
状の内歯25eを有する環状歯部材25fが貫通孔25
dと同心に突設されている。この環状歯部材25fは、
リトラクタ1が組み立てられたとき、ロックギヤ22の
環状歯部材22cと第1および第2ストッパ22f,2
2gとの間に進入可能な大きさに設定されている。その
場合、フライホイール23の係止爪23cも環状歯部材
22cの内側に位置しており、ロックギヤ22に対して
フライホイール23が回転し、係止部23cが第2スト
ッパ22gに当接した位置では、この係止爪23cが内
歯25eに係止するようになっている。
【0052】パウルスプリング26は、その一端がロッ
クギヤ22のスプリング支持部22iに支持され、また
その他端がロッキングベース20のスプリング支持部2
0gに支持されて、ロックギヤ22をロッキングベース
20に対してベルト引出し方向αに常時付勢している。
したがって、ロックギヤ22の非作動時は、パウル21
のカムフォロワ21cがカム孔22hの最内側位置22
1に位置し、この状態で、ロックギヤ22はパウルス
プリング26によるそれ以上の回転を阻止されている。
【0053】EA機構7は、トーションバー27と、ロ
ッキングベース20のねじ軸部20bに螺合される筒状
のストッパ28とを備えている。トーションバー27は
トーションバー部27aと、このトーションバー部27
aの一端側のロックギヤ22側端部に設けられ、ロッキ
ングベース20の断面正6角形状孔20c′にこのロッ
キングベース20と相対回転不能に嵌合する断面正6角
形状の第1トルク伝達部27bと、この第1トルク伝達
部27bの端に設けられたフランジ部27cと、トーシ
ョンバー部27aの他端に設けられ、後述するキャリヤ
に嵌合する断面正6角形状の第2トルク伝達部27d
と、この第2トルク伝達部27dから同心状に突出し、
先端にスプライン溝27eが形成された第1軸部27f
と、フランジ部27cから同心状に突出し、スプライン
溝27gが形成された第2軸部27hとからなってい
る。
【0054】筒状のストッパ28は内周に雌ねじ28a
が形成されているとともに、外周にリール4の回転トル
クが伝達される一対の回転トルク伝達部28b,28c
がそれぞれ設けられている。そして、これらの回転トル
ク伝達部28b,28cにより、ストッパ28はリール
4と一体に回転するようになっていると共に、リール4
に対して軸方向に相対的に移動可能となっている。した
がって、ストッパ28がロッキングベース20に対して
ベルト引出し方向αに回転するような回転差が生じる、
換言すればリール4がロッキングベース20に対してベ
ルト引出し方向αに回転するような回転差が生じると、
ストッパ28は軸方向に移動してロッキングベース20
のディスク部20aに当接するようになっている。更
に、ストッパ28がロッキングベース20に当接する
と、ストッパ28は軸方向移動が停止し、ロッキングベ
ース20と一体回転するようになる。
【0055】したがって、ストッパ28とロッキングベ
ース20との間に回転差が生じている間は、トーション
バー部27aがねじられるので、EA機構7は車両衝突
時のベルト荷重を制限するEA機能を発揮するようにな
り、ストッパ28がロッキングベース20に当接する
と、EA機能が終了する。このように、ストッパ28お
よびその雌ねじ28aとロッキングベース20およびそ
のねじ軸部20bとにより、EA機能を行う範囲を規定
する、本発明のベルト荷重制限範囲設定機構が構成され
ている。
【0056】図3に示すように、減速度検知手段8は、
側壁17に取り付けられるハウジング29と、このハウ
ジング29に取り付けられるセンサケース30と、この
センサケース30に搭載される慣性質量31と、この慣
性質量31により作動されるアクチュエータ32とを備
えている。
【0057】ハウジング29は、フレーム2の側壁17
の取付孔17bに嵌合された取り付けられる嵌合取付部
29aと、センサケース30を支持する一対の支持腕部
29b,29cとからなっている。また、センサケース
30は、支持腕部29b,29cの溝に係合して支持さ
れる一対の被支持部30a,30bと、慣性質量31が
搭載される質量搭載部30cと、アクチュエータ32を
回転可能に支持する一対の支持腕部30d,30eとか
らなっている。
【0058】慣性質量31は、脚部31aと、この脚部
31aの上の質量部31bと、アクチュエータ32を作
動する作動部31cとからなっている。そして、慣性質
量31は質量搭載部30cに搭載されて、通常時は図示
のように直立しているが、車両に所定減速度以上の減速
度が作用したとき傾動して、作動部31cがアクチュエ
ータ32を回転するようになっている。
【0059】更に、アクチュエータ32は、センサケー
ス30の一対の支持腕部30d,30eの孔に回転可能
に嵌合支持される回転軸部32aと、慣性質量31の作
動部31cによって押圧される被押圧部32bと、回転
軸部32aと反対側に設けられ、ロックギヤ22の外歯
22bに係止可能な係止爪32cとからなっている。そ
して、このアクチュエータ31は、慣性質量31が直立
状態のときは最下位置にあって、係止爪32cが外歯2
2bに係合しない非係合位置となり、慣性質量31が傾
動したときは上方へ回転して、係止爪32cが外歯22
bに係合する係合位置となるようにされている。
【0060】図4に示すように、リール回転検出手段9
は、トーションバー27の回転によって回転させられる
回転取出しギヤ33と、リテーナ25のディスク部25
aに取り付けられ(図9に図示)、回転取出しギヤ33
の回転を歯車減速機構34で減速してトーションバー2
7の回転、つまりリール4の回転量を絶対値で検出し、
これを電気信号に変換するリール回転ボリューム検出計
35と、リテーナ25の第2環状フランジ部25cに着
脱可能に取り付けられて、リール回転ボリューム検出計
35を覆うボリュームカバー36とを備えている。
【0061】回転取出しギヤ33はその中心に穿設され
た断面正5角形の貫通孔33aを有しており、この貫通
孔33aがピン37の断面正5角形の軸部37aに嵌合
されて、このピンと一体に回転するようになっている。
また、図8に示すようにピン37の軸部37aと反対側
は、トーションバー27の第2軸部27hのスプライン
溝27gにスプライン嵌合されて、このトーションバー
27と一体に回転するようになっている。したがって、
トーションバー27の回転つまりリール4の回転は、ピ
ン37、回転取出しギヤ33、減速歯車機構34を介し
てリール回転ボリューム検出計35で検出されるように
なる。その場合、減速歯車機構34により、シートベル
ト3の全巻取りから全引出しまでのリール4の回転が、
リール回転ボリューム検出計35の抵抗体(不図示)で
270゜の回転に減速されるようになっている。そし
て、このリール回転ボリューム検出計35はリール4の
絶対位置を検出するようになっている。このように、リ
ール回転ボリューム検出計35をボリュームタイプとす
ることにより、電源をオフにしてもリール4の絶対位置
の情報を消えないようにして、回転検出計を安価で信頼
性のあるものにしている。
【0062】図5および図6に示すように、超音波モー
タ10は、円環状のステータ38と、このステータ38
に対向して配設される円環状のロータ39と、モータ回
転軸40と、ラバーシート41と、ディスクスプリング
42と、ボールベアリング43と、貫通孔44aを有す
るモータケース44とを備えている。
【0063】図5に示すように、ステータ38は、円周
方向に所定数に区分され、かつ隣り合う区分の分極方向
が交互に厚み方向に逆方向となるように分極された円環
状の圧電セラミック38aを、櫛歯を有する円環状の弾
性体38bに貼り付けられて構成されている。このステ
ータ38は、弾性体38bの櫛歯面がロータ39に対向
するようにして配置されている。
【0064】ロータ39は、環状のディスク部39a
と、このディスク部39aの外周縁に形成された環状の
フランジ部39bとから構成されている。ディスク部3
9aの内周面には、4個の係止突起39cが周方向に等
間隔に配置されて径方向に突設されている。
【0065】モータ回転軸40は、軸部40aと、この
軸部40aの一端に設けられたディスク状のフランジ部
40bとからなっている。軸部40aの他端にはスプラ
イン溝40cが形成されている。また、フランジ部40
bの軸部40a側の面には、ロータ39の係止突起39
cが嵌合可能な4個の係止溝40dが形成されている。
これらの係止溝40dに係止突起39cが嵌合すること
により、ロータ39とモータ回転軸40とが周方向に互
いに係合し、一体に回転するようになっている。更に、
フランジ部40bの軸部40a側と反対側の面には、ク
ラッチ機構11の後述するパウル46 ,47が配置され
る凹部40eが設けられていると共に、この凹部40e
内にパウル支持軸40fが設けられている。図5では、
凹部40eとパウル支持軸40fとが1組しか記載され
ていないが、これら凹部40eとパウル支持軸40fと
は、フランジ部40bの中心に関して対称な位置にも設
けられている。なお、これらの凹部40eおよびパウル
支持軸40fは、後述するクラッチ機構11を構成する
ものである。更に、軸部40aとフランジ部40bとを
軸方向に貫通する貫通孔40gが穿設されている。
【0066】図6に示すように、ラバーシート41およ
びディスクスプリング42はともに円環ディスク状に形
成されており、ディスクスプリング42はラバーシート
41を介してロータ39を加圧している。これにより、
ロータ39とディスクスプリング42とはこれらの間に
介在されるラバーシート41の摩擦で一体回転するよう
になっていると共に、ディスクスプリング42の加圧力
で、ステータ38とロータ39との間に、ロータ39が
回転するための摩擦力が得られるようになっている。
【0067】ボールベアリング43は、ディスクスプリ
ング42をスラスト方向に支持すると共に、モータケー
ス44の貫通孔44aに嵌合固定されて、モータ回転軸
40の軸部40aを回転可能に支持するようになってい
る。また、このモータケース44は、4個のねじ45に
よりフレームの側壁16に固定されるようになってい
る。
【0068】図5に示すように、クラッチ機構11は、
メインパウル46と、サブパウル47と、慣性プレート
48と、慣性スプリング49とを備えているとともに、
図2に示すようにクラッチギヤ50を備えていて、超音
波モータ10の所定角加速度より小さい角加速度での始
動時には作動しなく、超音波モータ10の所定角加速度
以上の大きな角加速度での始動時には作動する角加速度
クラッチからなっている。
【0069】メインパウル46は、一端側に穿設され、
モータ回転軸40のフランジ部40bのパウル支持軸4
0fに回転可能に嵌合される回転軸孔46aと、この回
転軸孔46aの反対側の端に設けられた係止爪46b
と、回転軸孔46aと係止爪46bの間に突設されたピ
ンからなるカムフォロワ46cとからなっている。
【0070】サブパウル47は、メインパウル46とま
ったく同じに形成されており、同様に回転軸孔47a
と、係止爪47bと、カムフォロワ47cとからなって
いる。そして、両パウル46,47は本発明の係止部材
を構成している。
【0071】慣性プレート48は環状のディスクからな
り、一対のカム孔48a,48bが中心点に関して対称
に穿設されている。これらのカム孔48a,48bに
は、それぞれメインパウル46のカムフォロワ46cお
よびサブパウル47のカムフォロワ47cが嵌合される
ようになっている。また、慣性スプリング49の一端を
支持するスプリング支持部48cが設けられている。
【0072】慣性スプリング49は、環状ばね部49a
と、この環状ばね部49aからそれぞれ延びた一対の支
持部49b,49cとからなっている。この慣性スプリ
ング49は、一方の支持部49bがモータ回転軸40の
フランジ部40bに設けられた図示しないスプリング支
持部に支持されると共に、他方の支持部49cが慣性プ
レート48のスプリング支持部48cに支持されるよう
になっている。そして、慣性スプリング49は、超音波
モータ10の所定角加速度より小さい角加速度での通常
のスローな始動時には撓まないで、モータ回転軸40と
慣性プレート48との間に回転差を生じさせなくこれら
を一体回転させ、超音波モータ10の所定角加速度以上
の角加速度での急激な回転時には撓んでモータ回転軸4
0と慣性プレート48との間に回転差を生じさせるよう
になっている。この慣性スプリング49は、本発明の回
転差発生手段を構成していると共に、慣性プレート48
と慣性スプリング49とは、本発明の係止部材制御手段
を構成している。
【0073】図2および図8に示すように、クラッチギ
ヤ50は、環状のディスク部50aと、ディスク部50
aの外周縁に突設され、内周面に内歯50bを有する環
状歯部材50cと、ディスク部50aの内周縁に突設さ
れ、外周面に外歯50dを有するサンギヤ50eと、ト
ーションバー27の第1軸部27fにベアリング51
(図5に図示)を介して相対回転可能に嵌合される貫通
孔50fとからなっている。なお、サンギヤ50eは後
述する減速機構12を構成するものである。このクラッ
チギヤ50は、本発明の被動部材を構成している。
【0074】そして、環状のステータ38、環状のロー
タ39、筒状のモータ回転軸40、各パウル46,4
7、環状の慣性プレート48、慣性スプリング49、お
よび環状のクラッチギヤ50を組み立てた状態では、図
8に示すようにモータ回転軸40がロータ39を貫通す
ると共にクラッチギヤ50がステータ38を貫通し、更
にステータ38とロータ39とをの間に、各パウル4
6,47、環状の慣性プレート48、慣性スプリング4
9およびクラッチギヤ50の環状歯部材50cが効率よ
くコンパクトにレイアウトされるようになる。すなわ
ち、超音波モータ10はクラッチ機構11を内蔵した形
で組み立てられてフレーム2の左側壁16にコンパクト
に取り付けられるようになる。
【0075】更に、この組立状態において、超音波モー
タ10が所定角加速度より小さい角加速度のスロースタ
ートで回転してモータ回転軸40と慣性プレート48と
に回転差が生じないときは、各パウル46,47は非係
合位置にあり、それらの係止爪46b,47bがクラッ
チギヤ50の内歯50bに係合しないようになってい
る。すなわち、このときは、クラッチ機構11は作動し
なく遮断されたままであるので、超音波モータ10の回
転トルクはクラッチギヤ50に伝達されない。
【0076】更に、超音波モータ10が所定角加速度以
上の大きな角加速度の急激なスタートで回転してモータ
回転軸40と慣性プレート48とに回転差が生じたとき
は、各パウル46,47のカムフォロワ46c,47cが
それぞれ慣性プレート48のカム孔48a,48bにガ
イドされるので、各パウル46,47は作動して係合位
置となり、それらの係止爪46b,47bがクラッチギ
ヤ50の内歯50bに係合するようになっている。すな
わち、このときは、クラッチ機構11は作動して接続さ
れ、超音波モータ10の回転トルクがクラッチギヤ50
に伝達されるようになる。
【0077】図2および図10に示すように、減速機構
12は、円環状のリング部材52に設けられたインター
ナルギヤ52aと、サンギヤ50eに噛合する4個のプ
ラネタリギヤ53と、これらのプラネタリギヤ53を回
転可能に支持するキャリヤ54とからなり、サンギヤ5
0e入力でキャリヤ54出力の遊星歯車減速機構から構
成されている。
【0078】リング部材52は、4個のプラネタリギヤ
53がそれぞれ噛合する内歯からなるインターナルギヤ
52aを備えたリング部52bと、このリング部52b
の側面に設けられ、フレーム2の側壁16の小孔16b
のうち、3個の小孔16bに嵌合されて、このリング部
材52を側壁16に取り付けるための3個の取付ピン5
2cとを備えている。リング部52bの取付ピン52c
と反対側の側面には、図8に示すようにステータ38が
固定されており、これにより、リング部材52はステー
タ38の回転止めを行うと共に、側壁16とステータ3
8との間にスラスト方向の空間を形成している。
【0079】キャリヤ54は、環状のディスク部54a
と、4個のプラネタリギヤ53をそれぞれ回転可能に支
持する4個の支持軸54b(図8に図示)と、断面正6
角形の筒状の軸部54cとからなっている。軸部54c
はリール4における貫通孔4dの側壁16側端部の断面
正6角形状孔に嵌合されてリール4とキャリヤ54とが
一体回転するようになっていると共に、この軸部54c
の内側に断面正6角形状の第2トルク伝達部27dが嵌
合されてトーションバー27とキャリヤ54とが一体回
転するようになっている。このとき、図8に示すように
Eリング55によりディスク部54aが第2トルク伝達
部27dとの間に挟持されて、キャリヤ54の軸方向の
抜け止めがされるようになっている。
【0080】このようにステータ38、ロータ39、モ
ータ回転軸40、慣性プレート48、クラッチギヤ5
0、リング部材52、およびキャリヤ54を環状または
筒状に形成することにより、図8に示すようにこれらは
リール4と同軸上にレイアウトされるようになる。した
がって、本発明のシートベルトリトラクタは、スプリン
グ手段13を含むすべての可動部品がリール4と同軸上
にレイアウトされるようになり、全体としてコンパクト
にまとめられるようになる。
【0081】図7に示すように、スプリング手段13
は、スプリングケース56と、第1スパイラルスプリン
グ57と、第2スパイラルスプリング58と、環状のジ
ョイントブッシュ59と、トーションバー27の第1軸
部27fのスプライン溝27eに相対回転不能にスプラ
イン嵌合されるブッシュシャフト60と、モータケース
44の外側に固定されるハウジング61とを備えてい
る。
【0082】スプリングケース56は、中心部に配置さ
れ、内周縁にスプライン溝56aが形成された貫通孔を
有するディスク部56bと、このディスク部56bの貫
通孔と同心に配置された円環状の周壁板56cと、ディ
スク部56bと周壁板56cとを接続する6本のスポー
ク56dとからなっている。このディスク部56bのス
プライン溝56aにモータ回転軸40の軸部40aのス
プライン溝40cがスプライン嵌合して、モータ回転軸
40とスプリングケース56とが一体回転するようにな
っている。また、周壁板56cにはフック部56eが設
けられており、このフック部56eに、第1スパイラル
スプリング57の外端係止部57aが係止されるように
なっている。
【0083】第1スパイラルスプリング57のばね定数
は第2スパイラルスプリング58のばね定数より大きく
設定されていて、第1スパイラルスプリング57が高ト
ルクのばねで、第2スパイラルスプリング58が低トル
クのばねとなっている。
【0084】ジョイントブッシュ59は環状に形成され
ており、このジョイントブッシュ59には、第1および
第2フック部59a,59bが設けられている。第1フ
ック部59aには、第1スパイラルスプリング57の内
端係止部57bが係止されるとともに、第2フック部5
9bには、第2スパイラルスプリング58の外端係止部
58aが係止されるようになっている。
【0085】ブッシュシャフト60は筒状に形成されて
おり、その内周面にはスプライン溝60aが形成されて
いると共に、その外周側には一対のフック部60b,6
0cが設けられている。スプライン溝60aはトーショ
ンバー27の第1軸部27fのスプライン溝27eにス
プライン嵌合されて、第1軸部27fとブッシュシャフ
ト60とが一体回転するようになっている。また、フッ
ク部60b,60cの一方に、第2スパイラルスプリン
グ58の内端係止部58bが係止されるようになってい
る。
【0086】このようにして、これらの第1および第2
スパイラルスプリング57,58はジョイントブッシュ
59を介して直列に接続され、ともにリール4をベルト
巻取り方向βに常時付勢するように設けられている。そ
して、リール4からシートベルト3が引き出されるとき
には、まずばね定数の小さい第2スパイラルスプリング
58が巻き締められ、その後ばね定数の大きい第1スパ
イラルスプリング59が巻き締められるようになる。
【0087】ハウジング61は、筒状部61aと、この
筒状部61aに設けられたフランジ部61bとからなっ
ている。筒状部61a内に、スプリングケース56、第
1および第2スパイラルスプリング57,58、ジョイ
ントブッシュ59、およびブッシュシャフト60が収容
されるようにして、フランジ部61bがモータケース4
4の外側に取付固定されるようになっている。
【0088】図6に示すように、モータ回転量検出手段
14は、歯車減速機構62と、ボリュームタイプのモー
タ回転ボリューム検出計63とを備えている。歯車減速
機構62の回転取出しギヤ62aは、その外歯がモータ
回転軸40の軸部40dのスプライン溝40cに噛合し
てモータ回転軸40の回転を取り出すようになってい
る。そして、モータ回転軸40の回転が歯車減速機構6
2により減速されて、モータ回転軸40の回転量の絶対
値がモータ回転ボリューム検出計63で検出されるよう
になる。
【0089】更に、図8に示すように、超音波モータ1
0を駆動するためのドライバユニット15にはマイクロ
コンピュータ等からなる中央処理装置(以下、CPUと
もいう)64が接続されている。このCPU64には、
リール回転ボリューム検出計35およびモータ回転検出
計63も接続されていると共に、更に前方物体検出セン
サ65、バックルスイッチ67、車速センサ68がそれ
ぞれ接続されている。
【0090】図7に示すように、前方物体検出センサ6
5は、例えば光学系センサで構成され、例えば車両のフ
ロントウィンドシールドの車室側の所定位置に取り付け
られる。そして、この前方物体検出センサ65は車両前
方にある物体を検出してその物体検出信号をCPU64
に送出する。また、バックルスイッチ67はシートベル
トの装着すなわちバックルとトングとの連結を検知して
その検知信号をCPU64に送出する。更に、車速セン
サ68は自車の走行速度を検知してその検知信号をCP
U64に送出する。
【0091】そして、CPU64は、これらの各検出
計、検出センサ、スイッチ等からの出力信号に基づいて
超音波モータ10を駆動制御し、シートベルト3のベル
トテンションを制御するようになっている。その場合、
シートベルト3のベルトテンションは、リール回転量検
出手段9からのリール回転量とモータ回転量検出手段1
4からのモータ回転軸の回転量とに基づいて、CPU6
4が算出するようになっている。
【0092】ところで、このような超音波モータ10に
よるベルトテンション制御のために、この例の乗員拘束
保護システムにおいては、8つのモードを設けている。
これらの8つのモードは、非使用モード、ベルト引出し
モード、ベルト巻取りモード、ベルト装着後のベルト長
さ調節モード、コンフォートモード、注意モード、警告
モード、緊急モードおよびチャイルドシートモード(以
下、CRSモードともいう)である。
【0093】非使用モードは、シートベルト3がリトラ
クタ1のリール4に、ベルトの緩みがない状態で完全に
巻き取られているときにおいて、ベルトテンションが設
定されるモードである。この非使用モードでは、ベルト
テンションは、ベルト3がトングの自重で引き出されな
い程度の第1および2スプリング57,58の付勢力に
よるきわめて小さな値(例えば、0.14kgf強程度)に
設定されている。
【0094】ベルト引出しモードは、シートベルト3の
装着のためのシートベルト3の引出し時において、ベル
トテンションが設定されるモードである。このベルト引
出しモードでは、ベルトテンションは、乗員が、ベルト
引出し時に引出し力が軽いと感じるような比較的小さな
値(例えば、0.4kgf弱程度)に設定されている。
【0095】ベルト巻取りモードは、シートベルト3の
装着解除でのシートベルト3の巻取り時において、ベル
トテンションが設定されるモードである。このベルト巻
取りモードでは、ベルトテンションは、ベルト巻取り時
にシートベルト3を所定時間(例えば、2sec)内で完
全に巻き取るような比較的大きな値(例えば、0.6kgf
強程度)に設定されている。
【0096】ベルト装着後のベルト長さ調節モードは、
バックルとトングとの係合後におけるベルト長さ調節時
においてベルトテンションが設定されるモードである。
このベルト長さ調節モードでは、ベルトテンションは、
バックルとトングとの係合後のベルト長さ調節時にシー
トベルト3のスラックを除去してシートベルト3が乗員
にフィットするような比較的大きな値(例えば、0.5k
gf強程度)に設定されている。
【0097】このベルト長さ調節モードにおけるシート
ベルトの長さ調節は、まず始めに乗員が車両のシートに
正姿勢で着座し、バックルにトングを係合してシートベ
ルト3を装着した状態で、自車の車速が設定速度を超え
てから所定時間経過後に、CPU64が超音波モータ1
0を一旦ベルト巻取り方向βにゆっくりと回転させ、シ
ートベルト3を着座した乗員にフィットした状態となる
まで巻き取ることにより、行われる。
【0098】これらのベルト引出しモード、ベルト巻取
りモード、およびベルト長さ調節モードにより、シート
ベルトリトラクタ1は、ベルト引出しを軽く行うことが
できると共に、ベルト巻取りを迅速にかつ完全に行うこ
とができ、更にベルトスラックを自動的に除去すること
ができるコンビニエンス機能を発揮するようになる。
【0099】コンフォートモードは、通常運転時および
通常運転時の物取り等のための乗員の移動時におけるベ
ルトテンションが設定されるモードである。このコンフ
ォートモードでは、ベルトテンションは、通常運転時の
ベルト装着状態で、乗員がシートベルト3からの負荷を
軽いと感じるようにしながら、しかも物取り等の動作を
容易にするためにシートベルト3の長さ調節を可能にす
る程度の比較的小さな値(例えば、0.3kgf弱程度)に
設定されている。
【0100】乗員拘束保護システムをこのコンフォート
モードに設定させる条件として、例えば、1. 前方に検
出物体がないとき、2. 前方の検出物体が近づいてこな
いときの2つの条件が設定されている。
【0101】そして、コンフォートモードの条件の一つ
が成立しているか否かを実際に判断するにあたっては、
前方物体検出センサ65からの物体検出信号がないこ
と、前方物体検出センサ65からの物体検出信号があっ
たとき、自車の速度と物体の速度との差、すなわち自車
と物体との相対速度が、相対速度≦0である(すなわ
ち、物体が自車に近づいてこない)こと、あるいは他の
モードが成立されていないことをCPU64が判断する
ことにより、コンフォートモードの条件が成立している
と判断する。
【0102】乗員拘束保護システムのコンフォートモー
ド設定は次のようにして行われる。ベルト長さ調節モー
ドでシートベルト3を着座した乗員にフィットした状態
にした後、CPU64は乗員拘束保護システムが正常で
あるか否かを判断するとともに、乗員の正姿勢の着座状
態をチェックして初期条件を設定する。その後で、超音
波モータ10をベルト引出し方向αにゆっくりと回転さ
せて、スプリング手段13による巻取り力を緩和してベ
ルトテンションを比較的小さな値に制御することによ
り、乗員拘束保護システムをコンフォートモードに設定
する。このとき、リール回転量検出計35およびモータ
回転量検出計63からのリール4の回転位置および超音
波モータ10の回転位置がCPU64のメモリに記憶さ
れる。
【0103】また、システムがコンフォートモードに設
定されている状態で、乗員が例えば物取り等により若干
動いてシートベルト3が引き出された場合には、CPU
64は、乗員が元の正姿勢に戻ったとき、メモリされて
いるリール4の回転位置および超音波モータ10の回転
位置に基づいて超音波モータ10を制御し、元のコンフ
ォートモードの状態にするようにしている。
【0104】更に、コンフォートモード以外の他のモー
ドに設定されている乗員拘束保護システムを、コンフォ
ートモードに設定するには、コンフォートモードの条件
の一つが成立されてから所定時間経過後に、前述と同様
に一旦シートベルト3を巻き取り、その後にコンフォー
トモードに設定する。
【0105】注意モードは、車両の運転中、接近してく
る前方の検出物体に対して乗員の回避動作に充分余裕が
あるときにおけるベルトテンションモードである。この
注意モードでは、ベルトテンションは、シートベルト3
のベルトテンションをスプリング手段13の付勢力によ
る巻取り力のみによる値に設定しているが、その場合ス
プリング手段13の付勢力は、コンフォートモードの場
合よりも少し強めた値(例えば0.50kgf程度)に設定
している。すなわち、超音波モータ10の回転トルクに
よる巻取り力がベルトテンションに直接寄与しないよう
にしている。乗員拘束保護システムをこの注意モードに
動作させる条件として、1. シートベルト3を装着、離
脱するとき、2. 自車が速度10〜20km/h以上で走行
中に、検出物体が近づきつつあるが、乗員の回避動作に
充分余裕があるとき、またはすでに減速等の回避動作を
行っているとき、の2つの条件が設定されている。
【0106】注意モードの動作条件の一つが成立してい
るか否かを実際に判断するにあたっては、まず1の条件
はトングとバックルとの連結、分離を、バックルスイッ
チ67により検出して判断する。
【0107】また2の条件の成立判断は、まず自車走行
速度が所定速度であるとき、前方物体検出センサ65か
らの物体検出信号により自車と物体との前後方向の相対
距離および相対速度を求め、自車走行速度が相対速度よ
り大きくかつ相対速度が正であるとき、(1) 先にある物
体が自車と同方向に走行している先行車でありかつこの
先行車との相対距離が縮まる追従走行であると判断す
る。また自車走行速度が相対速度以下であるとき、(2)
先にある物体が静止物または対向車であると判断する。
そして、まず、自車を同じ設定減速度で減速したときの
安全車間距離を(1)および(2)のそれぞれについて求め、
相対距離が求めた安全車間距離以下のとき、2の条件が
成立していると判断する。
【0108】乗員拘束保護システムを注意モードに設定
するには、注意モードの条件が成立していると判断した
とき、所定時間経過後に超音波モータ10をベルト巻取
り方向βにゆっくりと回転させる。これにより、乗員拘
束保護システムを、シートベルト3にスプリング手段1
3による巻取り力のみが加えられた状態で、ベルトテン
ションを、前述のようにコンフォートモードの場合より
も強めた値に設定した後、超音波モータ10を停止す
る。こうして、乗員拘束保護システムを注意モードに設
定する。なお、この注意モードは必ずしも必要ではな
く、場合によっては省略することもできる。
【0109】警告モードは、車両の運転中、接近してく
る前方の検出物体に対して、ただちに乗員の回避動作が
必要なときにおけるベルトテンションが設定されるモー
ドである。この警告モードでは、ベルトテンションは、
クラッチ機構11を介して、超音波モータ10の低トル
クで直接シートベルト3をモータ回転軸40が停止する
まで巻き取ることにより、注意モードの場合よりかなり
大きな値(例えば、4〜5kgf程度)に設定される。こ
の場合のベルトテンションは乗員がシートベルト3を引
いたと感じる大きさの荷重であり、これにより、乗員は
体感で、ただちに回避動作が必要であることの警告を知
ることができるようになっている。乗員拘束保護システ
ムをこの注意モードに動作させる条件として、1. 検出
物体が近づきつつあって、ただちに乗員の回避動作が必
要なとき、の条件が設定されている。
【0110】警告モードの動作条件が成立しているか否
かを実際に判断する方法は、前述の注意モードの場合と
ほとんど同じであり、安全車間距離を求めるが、この安
全車間距離は注意モードの場合より短く設定されてい
る。求めた安全車間距離が相対距離以上であるとき、1
の条件が成立していると判断する。
【0111】乗員拘束保護システムを警告モードに設定
するには、警告モードの条件が成立していると判断した
とき、超音波モータ10をベルト巻取り方向βに注意モ
ードの場合より急激に回転させる。これにより、クラッ
チ機構11が作動して、超音波モータ10とリール4と
が直結される。そして、超音波モータ10の低トルクで
モータ回転軸40が停止するまでリール4をベルト巻取
り方向βに回転させ、ベルトテンションを、前述のよう
に注意モードの場合よりも強めた値に設定した後、超音
波モータ10を停止する。こうして、乗員拘束保護シス
テムを警告モードに設定する。
【0112】緊急モードは、車両の運転中、接近してく
る前方の検出物体に対して、回避の余裕がなく、乗員の
回避動作が不能であるときにおけるベルトテンションが
設定されるモードである。この緊急モードでは、ベルト
テンションは、クラッチ機構11を作動して、超音波モ
ータ10の高トルクで直接シートベルト3を強制的に一
定時間巻き取ることにより、警告モードの場合より大き
な値(例えば6kgf以上等)に設定される。この場合の
ベルトテンションは、乗員がかなりきつく感じる大きさ
の荷重である。乗員拘束保護システムをこの緊急モード
に動作させる条件として、1. 自車が速度10〜20km
/h以上で走行中に、ドライバーの回避動作では検出物体
との衝突が回避できないとき、の条件が設定されてい
る。
【0113】緊急モードの動作条件が成立しているか否
かを実際に判断するにあたっては、自車走行速度が所定
速度以上であり、自車と物体との相対速度および相対距
離、予め設定されているシステムの作動完了時間、予め
設定した設定余裕距離等に基づいて、緊急モードの条件
が成立していると判断する。
【0114】乗員拘束保護システムを緊急モードに設定
するには、緊急モードの条件が成立していると判断した
とき、超音波モータ10をベルト巻取り方向βに急激に
回転させる。これにより、クラッチ機構11が作動し
て、超音波モータ10とリール4とが直結される。そし
て、ベルトテンションを、超音波モータ10の高トルク
で直接シートベルト3を強制的に一定時間巻き取ること
により、前述のように警告モードの場合より強めた値に
設定した後、超音波モータ10を停止する。こうして、
乗員拘束保護システムを緊急モードに設定する。
【0115】CRSモードは、例えば図11に示すよう
に車両シート69にシートベルト3によってチャイルド
シート70を固定するときにおけるベルトテンションが
設定されるモードである。このCRSモードでは、ベル
トテンションは、車両シート69にチャイルドシート7
0を堅固に固定するために、緊急モードと同等かそれ以
上の大きな値(例えば6kgf以上等)に設定される。
【0116】乗員拘束保護システムをCRSモードに設
定するには、バックルとトングとを係合した後、バック
ルに設けられたCRSモード選択ボタンを押すことによ
り、CPU64が超音波モータ10をベルト巻取り方向
βに注意モードの場合より急激に回転させる。これによ
り、クラッチ機構11が作動して、超音波モータ10と
リール4とが直結される。そして、超音波モータ10の
高トルクの回転トルクでモータ回転軸40が停止するま
でリール4をベルト巻取り方向βに回転させ、ベルトテ
ンションを、前述のように緊急モードと同等かそれ以上
の大きな値に設定した後、超音波モータ10を停止す
る。こうして、乗員拘束保護システムをCRSモードに
設定する。
【0117】このように構成されたこの例の乗員拘束保
護システムの作動について説明する。(1) シートベルト
の非使用状態 シートベルトが使用されていないときは、シートベルト
3が引き出されなく、スプリングケース56およびモー
タ回転軸40は、シートベルト3がトングの自重で引き
出されない程度の第1および2スプリング8,9の付勢
力が発生する位置で停止している。
【0118】(2) シートベルトの引出時 シートベルトを装着するために、車両の乗員によってシ
ートベルト3の引き出しが通常の引出し速さで開始され
ると、リール4がベルト引出し方向αに回転し、このリ
ール4の回転がトーションバー27、ピン37、回転取
出しギヤ33、減速歯車機構34を介してリール回転ボ
リューム検出計35によって検出される。このとき、ヴ
ィークルセンサおよびウェビングセンサが共に作動しな
いので、ロックギヤ22およびロッキングベース20が
回転可能となっている。したがって、ロッキングベース
20とストッパ28とに回転差が生じないと共に、トー
ションバー27がねじられなく、EA機構7はEA機能
を行わない。
【0119】リール回転ボリューム検出計35の検出信
号がCPU64に供給され、CPU64はこの検出信号
に基づいて超音波モータ10をベルト引出し方向αに所
定量回転する。このとき、超音波モータ10はスロース
タートで立ち上げられるので、クラッチ機構11は作動
しなく、モータ回転軸40とリール4とは直結しなく、
スプリング手段13を介してのみ接続されるようにな
る。
【0120】スプリングケース56がベルト引出し方向
αに所定量回転されることにより、スプリング手段13
によってリール4に与えられるトルクは、第2スパイラ
ルスプリング58のばね力による小さい値となる。これ
により、乗員は、シートベルトリトラクタ1からシート
ベルト3を引き出すときにはほとんど抵抗力を受けるこ
とがなく、きわめて軽快にシートベルト3を引き出すこ
とができる。このとき、リール回転ボリューム検出計3
5によってリール4の回転量がベルト引き出し量として
検出されるとともに、モータ回転ボリューム検出計63
によってスプリングケース56の回転量が検出される。
こうして、ベルト引出しモードが設定される。
【0121】(3) 装着時のシートベルトの長さ調節 シートベルト3が所定量引き出されて、トングがバック
ルに係合されると、バックルスイッチ67がオンし、そ
のオン信号がCPU64に供給される。すると、CPU
64は超音波モータ10を逆のベルト巻取り方向βに前
述のベルト引出し方向αの回転量よりも大きな所定量だ
け回転駆動する。すると、スプリングケース56もベル
ト巻取り方向βにこの所定量だけ回転され、リール4に
与えられるトルクが第1および第2スパイラルスプリン
グ57,58のばね力による大きい値となる。このスプ
リングケース56の回転量の制御は、モータ回転ボリュ
ーム検出計63からの検出信号に基づいてCPU64が
超音波モータ10を制御することにより行われる。こう
して、ベルト引き出し開始後における第2スパイラルス
プリング58のばね力によるリール4のトルクの小さい
状態が終了した後、逆に第1および第2スパイラルスプ
リング57,58のばね力によるリール4のトルクが大
きく増大する。そして、これにより、シートベルト3の
緩みが除去され、シートベルト3は乗員にぴったりとフ
ィットする。こうして、ベルト長さ調節モードが設定さ
れる。
【0122】(4) シートベルトの通常装着時、あるいは
車両の通常運転中、前方に物体が検出されないかあるい
は前方に物体が検出されても遠ざかっていくとき シートベルト3の緩みが除去されて乗員にぴったりとフ
ィットした状態では、シートベルト3による乗員への圧
迫感が強いので、シートベルト3が乗員にフィットした
後、超音波モータ10によってスプリングケース56が
再びベルト引出し方向αに所定回転量回転され、リール
4のトルクが小さい値に設定される。これにより、シー
トベルト3による圧迫感が解消ないし低減される。この
ときの、リール4の回転位置および超音波モータ10の
回転位置がCPU64内のメモリに記憶される。こうし
て、乗員拘束保護システム1はコンフォートモードに設
定される。
【0123】そして、通常走行時は、乗員拘束保護シス
テムは、このコンフォートモード状態が保持される。こ
のコンフォートモード状態では、乗員が物を取るためな
どで動くと、スプリング手段13の付勢力が弱くなって
いるため、シートベルト3が容易に引き出されるが、乗
員が再び元の着座姿勢に戻ると、引き出されたシートベ
ルト3はスプリング手段13の付勢力によってリール4
の記憶されている回転位置となるまで巻き取られ、乗員
拘束保護システムはコンフォートモード状態に復帰され
る。このコンフォートモード時にも、EA機構7はEA
機能を行わない。
【0124】(5) 車両運転中、接近してくる前方の検出
物体に対して乗員の回避動作に充分余裕があるとき、ま
たは既に回避動作が行われているとき このときは、超音波モータ10がスロースタートで立ち
上げられ、スプリングケース56が再びベルト巻取り方
向βに所定回転量回転され、リール4の巻取りトルクが
大きい値に設定される。このとき、超音波モータ10が
スロースタートであるため、クラッチ機構11は作動し
なく、リール4とモータ回転軸40とは、スプリング手
段13を介してのみ接続される。
【0125】スプリングケース56のベルト巻取り方向
βの回転により、スプリング手段13の付勢力が強くな
り、リール4の巻取りトルクが大きい値に設定される。
これにより、乗員に対してシートベルト3による若干の
圧迫感が生じる。これにより、前方に物体があって徐々
に接近しつつあるとき、乗員に対して注意が促される。
こうして、乗員拘束保護システム1は注意モードに設定
される。
【0126】(6) 車両運転中、接近してくる前方の検出
物体に対して、ただちに乗員が回避動作を行わなければ
ならないとき このときは、超音波モータ10が急激に立ち上げられる
ので、クラッチ機構11が作動する。すなわち、モータ
回転軸40の回転に対して慣性プレート48の回転が遅
れ、モータ回転軸40と慣性プレート48との間に回転
差が生じる。するので、慣性プレート48のカム孔48
a,48bが、ぞれぞれメインパウル46およびサブパ
ウル47の各カムフォロワ46c,47cをガイドする
ようになる。このため、各パウル46,47はクラッチ
ギヤ50の環状歯部材50cの方へ回転し、それらの先
端の係止爪46b,47bが環状歯部材50cの内歯5
0bに係合するようになる。これにより、モータ回転軸
40とクラッチギヤ50とがベルト引出し方向αに一体
に回転するようになり、リール4とモータ回転軸40と
がクラッチ機構11および歯車減速機構12を介して直
結される。
【0127】そして、超音波モータ10の低トルクの回
転トルクにより、リール4の巻取りトルクが注意モード
より更に大きい値に設定される。これにより、乗員に対
してシートベルト3による大きな圧迫感が生じる。こう
して、乗員拘束保護システム1は警告モードに設定され
る。これにより、前方に物体があって急速に接近してい
て、ただちに乗員の回避動作を行う必要があるとき、乗
員はシートベルト3のより強い力で確実に拘束されると
共に、乗員に対して警告がなされる。こうして、乗員拘
束保護システム1は警告モードに設定される。
【0128】(7) 車両運転中、接近してくる前方の検出
物体に対して回避動作が不能であるとき このときは、超音波モータ10が急激に立ち上げられる
ので、クラッチ機構11が作動して、リール4とモータ
回転軸40とがクラッチ機構11および遊星歯車機構か
らなる歯車減速機構12を介して直結され、超音波モー
タ10の回転トルクがこれらのクラッチ機構11および
歯車減速機構12を介してリール4に伝達される。この
とき、超音波モータ10のパワーが歯車減速機構12に
より減速されて増大してリール4に伝達されるようにな
る。
【0129】そして、超音波モータ10の高トルクの回
転トルクにより、リール4の巻取りトルクが警告モード
より更に大きい値に設定される。これにより、シートベ
ルト3は強く巻き取られてプリリワインドが行われるの
で、乗員に対してシートベルト3による更に大きな圧迫
感が生じる。こうして、乗員拘束保護システム1は緊急
モードに設定される。これにより、前方に物体があって
きわめて急速に接近していて乗員の回避動作が不能であ
るとき、乗員はシートベルト3のより強い力で堅固に拘
束される。こうして、乗員拘束保護システム1は緊急モ
ードに設定される。
【0130】(8) 車両運転中、接近してくる前方の検出
物体に衝突して車両に所定値以上の減速度が発生したと
き 車両に所定値以上の減速度が発生すると、減速度検知手
段8の慣性質量31が傾動してアクチュエータ32がロ
ックギヤ22の方に回転し、係止爪32cがロックギヤ
22の外歯22bに係合するため、ロックギヤ22のベ
ルト引出し方向αの回転が阻止される。一方、この車両
の減速度発生により、乗員が慣性で前方へ移動しようと
してシートベルト3が引き出されようとするため、リー
ル4にはベルト引出し方向αの回転トルクが発生する。
このリール4の回転トルクが54、トーションバー27
を介してロッキングベース20に伝達され、このロッキ
ングベース20がベルト引出し方向αに回転する。する
と、ロッキングベース20とロックギヤ22との間に回
転差が生じるため、ロッキングベース20に取り付けら
れたパウル21のカムフォロワ21cがロックギヤ22
のカム孔22hによりガイドされ、パウル21がフレー
ム2の側壁17の内歯19aに係合する。このため、ロ
ッキングベース20のベルト引出し方向αの回転が阻止
される。このとき、内歯19aからパウル21を介して
ロッキングベース20に作用する反力およびシートベル
ト3の引出力の合力により、ロッキングベース20の刻
み歯20fが内歯19aに係合するので、この合力が側
壁17によって支持されるようになり、ロッキングベー
ス20に作用する力がバランスし、ロッキングベース2
0は安定して側壁17に支持されるようになる。
【0131】ロッキングベース20のベルト引出し方向
αの回転阻止により、トーションバー27の第1トルク
伝達部27bも回転が阻止されるが、一方、トーション
バー27の第2トルク伝達部27dは引き続くリール4
のベルト引出し方向αの回転トルクにより回転しようと
するため、トーションバー27のトーションバー部27
aがねじれ変形する。これにより、シートベルト3に作
用するベルト荷重の増大が制限、緩和されるため、シー
トベルト3から乗員に加えられる負荷が抑制され、EA
機構7のEA機能が発揮される。こうして、EA機構7
のEA機能により、乗員はシートベルト3の負荷から効
果的に保護されるようになる。
【0132】そして、ロッキングベース20のベルト引
出し方向αの回転が阻止されるのに対して、リール4が
ベルト引出し方向αに回転されるため、このリール4と
一体回転するストッパ28とロッキングベース20との
間に回転差が生じる。すると、ストッパ28がねじ軸部
20bに螺合されているため、このストッパ28は軸方
向にロッキングベース20の方へ移動してこのロッキン
グベース20に当接する。これ以後、ストッパ28は軸
方向に移動不能となるので、ストッパ28はベルト引出
し方向αの回転が不能となる。これにより、トーション
バー27のトーションバー部27aのねじれ変形による
EA機能が終了する。
【0133】こうして、リール4のベルト引出し方向α
の回転が不能となるので、シートベルト3の引出は阻止
され、乗員は物体との衝突等による大減速度時に、シー
トベルト3により確実に拘束保護されるようになる。こ
のとき、超音波モータ10によりシートベルト3がプリ
リワインドされているので、乗員はより堅固に拘束保護
されるようになる。
【0134】(9) シートベルトの装着解除 シートベルト3の装着を解除するために、トングをバッ
クルから解離させると、バックルスイッチ67がオフに
なる、このためCPU64は超音波モータ10を再びベ
ルト巻取り方向βに所定量回転駆動し、スプリングケー
ス56が再びベルト巻取り方向βに回転され第1および
第2スパイラルスプリング57,58のばね力が増大す
る。これにより、リール4に与えられるトルクが第1お
よび第2スパイラルスプリング57,58の増大したば
ね力により大きい値となる。この大きなトルクによりリ
ール4は強力にかつ急速に回転し、シートベルト3が迅
速にかつ確実に巻き取られるようになる。こうして、ベ
ルト巻取りモードが設定される。
【0135】このように、スプライン手段13において
は、シートベルト3の引出時にはスプリング手段13に
よる引出し力が比較的弱く設定されて、シートベルト3
が容易に引き出すことができ、またシートベルト3の巻
取り時には、スプリング手段13による巻取り力が比較
的強く設定されて、シートベルト3を完全に巻き取るま
で、迅速にかつ確実に巻き取ることができるコンビニエ
ンス機能が発揮されるようになる。
【0136】(10) 車両シートへのチャイルドシートの
固定 例えば図11に示すように、チャイルドシート70を車
両シート69に固定するために、チャイルドシート70
を車両シート69の所定位置にセットした後、車両シー
ト69に付設されているシートベルト3をチャイルドシ
ート70の取付孔71に挿通するとともに、トングをバ
ックルに係合する。これにより、バックルスイッチ67
のオン信号がCPU64に入力される。そして、バック
ルに設けられているCRSモード選択ボタンを押すと、
CPU64は超音波モータ10を急激にスタートさせ
る。すると、前述の(7)の場合と同様にクラッチ機構1
1が作動して、リール4とモータ回転軸40とがクラッ
チ機構11および遊星歯車機構からなる歯車減速機構1
2を介して直結され、超音波モータ10の高トルクによ
り、リール4がシートベルト3を高トルクで巻き取るよ
うになる。これにより、チャイルドシート70はシート
ベルト3のより強い力で車両シートに堅固に固定され
る。こうして、乗員拘束保護システム1はCRSモード
に設定される。
【0137】このように、この例のシートベルトリトラ
クタ1によれば、超音波モータ10のステータ38、ロ
ータ39、モータ回転軸40、およびクラッチ機構11
の慣性プレート48、クラッチギヤ50をそれぞれ環状
または筒状の中空形状にしているので、これらの部品の
中空部を利用して各部品を効率よくコンパクトにレイア
ウトすることができるようになる。これにより、超音波
モータ10を、クラッチ機構11を内蔵して組み立てる
ことができるようになるので、フレーム2の左側壁16
にコンパクトに取り付けることができるようになる。
【0138】しかも、このように超音波モータ10およ
びクラッチ機構11の各部品の中空部を利用すること
で、これらの各部品および従来からあるスプリング手段
13の各部品をリール4と同軸上にレイアウトすること
ができるようになるので、シートベルトリトラクタ1を
全体として効果的にコンパクトにまとめることができ
る。そのうえ、超音波モータ10およびクラッチ機構1
1の各部品の中空部にリール軸を貫通させることによ
り、スプリング手段13を介さずかつクラッチ機構11
を介するリール4へのモータトルク伝達経路と、クラッ
チ機構11を介さずかつスプリング手段13を介するリ
ール4へのモータトルク伝達経路との2つのトルク伝達
経路を切り替え可能な構造にすることが可能となる。更
に、トーションバー27もこれらの部品の中空部に配置
することが可能となるので、トーションバー27を設け
ても動力伝達機構を複雑にすることなく、コンパクトに
まとめることができる。
【0139】また、超音波モータ10を用いてこの超音
波モータ10の高起動性を有効に利用しているので、単
純コンパクトでかつソレノイド等の外部トリガが不要の
角加速度クラッチを採用することができる。更に、超音
波モータ10は停止時に高保持トルクを有しているの
で、超音波モータ10の停止時にスプリングケース56
を固定するロック機構を不要にできる。
【0140】また、この例の乗員拘束保護システムによ
れば、通常運転時はシートベルト3からのベルト負荷を
緩和またはなくして快適にするコンフォート機能を発揮
することができる。また、物体が近づきつつあるがこの
物体を充分に回避する余裕があるときは、シートベルト
3を若干強く巻き取る注意機能を発揮して乗員に一応注
意を促すことができると共に、物体との衝突のおそれが
あるときは、シートベルト3をかなり強く巻き取る警告
機能を発揮して、特別な警告装置を装備しなくても乗員
に警告を発することができる。更に、物体との衝突が余
儀なくされるときは、シートベルト3をきわめて強く巻
き取るプリリワインド機能を発揮して乗員を衝突前に予
め堅固に拘束保護することができる。しかも、シートベ
ルトリトラクタ1が、ベルト引出しを軽く行うことがで
きると共に、ベルト巻取りを迅速にかつ完全に行うこと
ができ、更にベルトスラックを自動的に除去することが
できるコンビニエンス機能を発揮することができる。
【0141】そのうえ、シートベルトリトラクタ1は、
衝突時等の大減速度発生時にシートベルト3にかかるベ
ルト荷重を制限するEA機能を発揮してベルト荷重の増
大を抑制し、シートベルト3による乗員への押圧力を緩
和することができる。特に、トーションバー27を用い
ることにより、EA機能を安定して発揮させることがで
き、シートベルト3による乗員への押圧力を効果的に緩
和させることができると共に、トーションバー27が単
純な構造であるので、シートベルトリトラクタ1をコン
パクトに形成することができるようになる。
【0142】更に、チャイルドシートモードにより、チ
ャイルドシート70を、バックルにあるCRSモード選
択ボタンを押すだけで車両シート69に堅固にかつ自動
的に固定することができるので、チャイルドシート70
の車両シートへの固定および固定解除がきわめて簡単に
なると共に、従来チャイルドシート70を車両シート6
9に固定する際に用いられているシートベルト3を締め
付ける締付具のような特別な部品が不要になる。
【0143】こうして、本例の乗員拘束保護システム
は、コンフォート機能、注意機能、警告機能、プリリワ
インド機能、コンビニエンス機能、EA機能、およびチ
ャイルドシート固定機能の多くの機能を発揮することが
できるので、全体として、より効率よくかつより快適に
乗員を拘束保護することができるようになる。
【0144】図12ないし図14は、本発明の実施の形
態の他の例を示し、図12は前述の例の図2に対応する
図、図13は前述の例の図5に対応する図、および図1
4は前述の例の図6に対応する図である。なお、前述の
例と同じ構成要素には同じ符号を付すとともに、前述の
例と異なる部分のみ詳細に説明し、他の部分の詳細な説
明は省略する。
【0145】前述の例では、遊星歯車減速機構からなる
減速機構12が設けられているが、この例の乗員拘束保
護システムのリトラクタ1では、図12に示すようにこ
の減速機構12が省略されている。すなわち、この例の
リトラクタ1では、クラッチギヤ50は、前述の例のク
ラッチギヤ50におけるサンギヤ50eが省略されてい
ると共に、このサンギヤ50eの設置位置に、前述の例
のキャリヤ54における断面正6角形の筒状の軸部54
cと同じ断面正6角形の筒状の軸部50gが設けられて
いる。この軸部50gは、キャリヤ54の軸部54cと
同様に、リール4における貫通孔4dの側壁16側端部
の断面正6角形状孔に嵌合されてリール4とクラッチギ
ヤ50とが一体回転するようになっていると共に、この
軸部50gの内側に断面正6角形状の第2トルク伝達部
27dが嵌合されてトーションバー27とクラッチギヤ
50とが一体回転するようになっている。
【0146】また、この例のリトラクタ1では、遊星歯
車減速機構が省略されていることから、前述の例に対し
て、リング部材52のインターナルギヤ52aが省略さ
れているとともに、プラネタリギヤ53およびキャリヤ
54がそれぞれ省略されている。
【0147】このような減速機構12を有さないリトラ
クタ1は、超音波モータ10が高出力のものでなくても
済む場合等の、減速を必要としないリトラクタに適用さ
れるものである。
【0148】更に、この例のリトラクタ1では、図13
に示すようにトーションバー27の第1軸部27fをラ
ジアル方向に支持するベアリング51が、トーションバ
ー27のスラスト方向に支持するためのフランジ51a
が設けられている。
【0149】更に、この例のモータ回転軸40は、前述
の例のモータ回転軸40におけるフランジ部40bの係
止溝40dが省略されていると共に、軸部40aが大径
軸部40a1と小径軸部40a2とから段付に形成されて
いる。その場合、小径軸部40a2が前述の例の軸部4
0aに相当している。大径軸部40a1と小径軸部40
2との段部には、軸方向に延びる6個の突起40h
(図13では全部示されていない)が周方向に等間隔で
設けられている。
【0150】また、環状のロータ39は、前述の例のロ
ータ39における係止突起39cが省略されていると共
に、中心の貫通孔39dがモータ回転軸40の大径軸部
40a1に嵌合されるようになっている。
【0151】更に、図14に示すようにこの例のリトラ
クタ1では、環状のストッパリング72が設けられてい
る。このストッパリング72の内周孔72aはモータ回
転軸40の小径軸部40a2に嵌合されるようになって
いるとともに、この内周孔72aの内周面には、モータ
回転軸40の突起40hに回転方向に係合する6個の係
止溝72bが形成されている。そして、ロータ39、ラ
バーシート41、ディスクスプリング42、およびスト
ッパリング72がそれぞれ組み立てられた状態では、デ
ィスクスプリング42がストッパリング72によりスラ
スト方向に支持されると共に、ストッパリング72がベ
アリング43によりスラスト方向に支持され、また突起
40hと係止溝72bとが回転方向に係合している。こ
の例の乗員拘束保護システムの他の構成は、前述の例と
同じである。
【0152】このように構成されたこの例の乗員拘束保
護システムにおいては、ロータ39の回転がラバ−シー
ト41、ディスクスプリング42、およびストッパリン
グ72を介してモータ回転軸40に伝達されるようにな
る。そして、このモータ回転軸40の回転は、作動した
クラッチ機構11を介してリール4およびトーションバ
ー27に伝達されるようになる。この例の乗員拘束保護
システムの他の作動は、前述の例と同じである。この例
のシートベルトリトラクタ1によれば、超音波モータ1
0の低回転、高トルク特性を利用することにより、減速
機構を不要にしている。この例の乗員拘束保護システム
の効果は、前述の例と同じである。
【0153】なお、図13および図14に示す超音波モ
ータ10の構成を前述の例の減速機構12を有するリト
ラクタ1の超音波モータ10に適用することもできる
し、また図5および図6に示す前述の例の超音波モータ
10の構成をこの例の減速機構12を有さないリトラク
タ1の超音波モータ10に適用することもできる。
【0154】図15ないし図20は、本発明の実施の形
態の更に他の例を示し、図15は前述の例の図1に対応
する分解斜視図、図16は図15を部分的に拡大して示
す、部分拡大分解斜視図、図17は図15に示す構成要
素を各ユニット毎にまとめて示す分解斜視図、図18は
図15に示す例のシートベルトリトラクタの組立状態の
縦断面図、図19はクラッチ機構がオフ状態の図18の
左側面を部分的に切り欠いて示す左側面図、図20はク
ラッチ機構がオン状態の図18の左側面を部分的に切り
欠いて示す左側面図である。なお、前述の例と同じ構成
要素には同じ符号を付すとともに、前述の例と異なる部
分のみ詳細に説明し、他の部分の詳細な説明は省略す
る。
【0155】前述の図1に示す例では、遊星歯車減速機
構からなる減速機構12のプラネタリギヤ53が4個設
けられているが、この例の乗員拘束保護システムのリト
ラクタ1では、図15に示すようにプラネタリギヤ53
が3個設けられている。また、内周面にインターナルギ
ヤ52aを有するリング部材52には、その外周面にラ
チェエト歯52dが設けられているとともに、図1に示
す例の3個の取付ピン52cが省略されている。更に、
減速機構12のサンギヤは、トーションバー27の第1
軸部27fが貫通する筒状のシャフト73の一端側に設
けられたギヤ73からなり(以下、サンギヤ73aとい
う)、このサンギヤ73aに3個のプラネタリギヤ53
が噛合している。
【0156】シャフト73の他端側にはスプライン73
bが設けられており、このスプライン73bがスプリン
グケース56のスプライン溝56aに回転方向に係合さ
れている。したがって、スプリングケース56とシャフ
ト73とは一体に回転するようになっている。このシャ
フト73はベース部材74の中心孔74aにベアリング
51を介して回転可能に支持されている。
【0157】図16に示すように、ベース部材74の上
部右側(図16において右側)の凹部74bには、ソレ
ノイドアッシ75が設けられている。このソレノイドア
ッシ75は、ソレノイド75aとこのソレノイド75a
によって進退出するロッド75bとを有している。この
ロッド75bの先端部には、凹溝75cが設けられてい
る。
【0158】また、ベース部材74の上部中央には支軸
74cが突設されており、この支軸74cにレバー76
が回動自在に支持されている。レバー76の一側には、
リング部材52のラチェエト歯52dに係合可能な係止
爪76aが設けられているとともに、他側に二股状の一
対の腕76bが設けられている。これらの一対の腕76
bはロッド75bの凹溝75cに嵌合されていて(つま
り、一対の腕76bの間にロッド75の凹溝75c形成
部分が嵌入されている)、ロッド75の進退動により一
対の腕76bを介して、レバー76が反時計方向あるい
は時計方向に回動するようになっている。この一対の腕
76bとソレノイドアッシ75のケースとの間には、ス
プリング73がロッド75bの遊嵌されて縮設されてい
る。
【0159】そして、図19に示すようにソレノイド7
5aの非励磁では、スプリング73のばね力によって、
レバー76が、一対の腕76bがベース部材74に設け
られたストッパ74dに当接するまでにおいて図19に
おいて時計方向に回動されるようになっているととも
に、ロッド75bが一対の腕76bを介して最大に進出
されるようになっている。腕76bがストッパ74dに
当接した状態では、係止爪76aがリング部材52のラ
チェエト歯52dから離脱して、このラチェエト歯52
dに係合しない状態に設定される。
【0160】また、ソレノイド75aの励磁では、その
励磁力でロッド75bがスプリング73のばね力に抗し
て退くとともに、このロッド75bの退き運動に伴っ
て、レバー76が時計方向に回動され、係止爪76aが
ラチェット歯52dに係合可能な状態に設定される。係
止爪76aがラチェット歯52dに係合した状態では、
インタ−ナルギヤ52のベルト引出し方向αの回転が阻
止されるようになっている。
【0161】ベース部材74の下部には、電磁モータ7
8が設けられており、この電磁モータ78の回転軸78
aはリール4の回転軸と平行にされている。また、電磁
モータ78の回転軸78aにはギヤ79が取り付けら
れ、この回転軸78aとともに一体回転するようになっ
ている。
【0162】電磁モータ78は、前述の各例と同様にC
PU64に接続されているとともに、ソレノイド75a
もCPU64に接続されていて、電磁モータ78および
ソレノイド75aはこのCPU64によって制御される
ようになっている。
【0163】また、ベース部材74の下部には、所定数
(図16に示す例では6個)の溝74eを有し、リング
部材80を支持する支持孔74fが穿設されている。リ
ング部材80は、電磁モータ78の回転軸78aが貫通
する中央孔80aを有する環状に形成されている。この
リング部材80の一側には、筒状の支持部80bが設け
られており、この支持部80bの外周に、支持孔74f
の溝74eと同数でこれらの溝74eに嵌合する突起8
0cが形成されている。また、このリング部材80の他
側には、環状フランジ80dが設けられており、この環
状フランジ80dの内周には、インタ−ナルギヤ80e
(図18に図示)が形成されている。そして、リング部
材80は、支持部80bの突起80cが支持孔74fの
溝74eに嵌合するようにして支持部80bが支持孔7
4fに嵌合支持されて、ベース部材74に固定されてい
る。
【0164】4個のプラネタリギヤ81がギヤ79とイ
ンターナルギヤ80eとのいずれにも噛合されており、
これらのプラネタリギヤ81はキャリヤ82の支軸82
a(図16では2本しか図示されていないが、あと2本
設けられていることは言うまでもない)に回転可能に支
持されている。キャリヤ82は環状のフランジ82bを
有しており、この環状フランジ82bの外周には外歯の
ギヤ82cが形成されている。図19および図20から
明らかなように、キャリヤ82の環状フランジ82b内
に、リング部材80の環状フランジ80dが収容されて
いるとともに、図18に示すように、キャリヤ82は電
磁モータ78の回転軸78aに、この回転軸78aに対
して相対回転可能に支持されている。そして、ギヤ7
9、インターナルギヤ80e、プラネタリギヤ81、お
よびキャリヤ82により、ギヤ79をサンギヤとした遊
星歯車機構からなる減速機構83が構成されている(以
下、ギヤ79をサンギヤ79という)。
【0165】更に、ベース部材74には、アイドルギヤ
84が回転可能に支持されており、このアイドルギヤ8
4は、スプリングケース56の外周に形成された外歯か
らなるギヤ56fに噛合されているとともに、キャリヤ
82のギヤ82cに噛合されている。すなわち、キャリ
ヤ82の回転がアイドルギヤ84を介してスプリングケ
ース56に伝達され、このスプリングケース56がキャ
リヤ82と同方向に回転するようになっている。
【0166】このようにして、この例のリトラクタ1で
は、図17に示すようにフレーム2、リール4、ロック
手段5、ロック作動機構6、EA機構7、および減速度
検知手段8によりリトラクタ本体85が構成され、ま
た、スプリングケース56、第1スパイラルスプリング
57、第2スパイラルスプリング58、ジョイントブッ
シュ59、ブッシュシャフト60、およびベース部材7
4に固定されたハウジング61によりスプリング手段1
3が構成され、更に、減速機構83およびこれを覆うよ
うにしてベース部材74に取り付けられるギヤキャップ
86により第1遊星歯車減速機構87が構成され、更
に、減速機構12およびベース部材74により第2遊星
歯車減速機構88が構成され、更に、リング部材52の
ラチェエト歯52d、ソレノイドアッシ75、レバー7
6、およびスプリング77によりクラッチ機構11が構
成されている。すなわち、この例のリトラクタ1は、ク
ラッチ機構11が図1に示す例の所定角加速度以上の慣
性力によるクラッチ機構に代えて、電磁制御によるクラ
ッチ機構であり、また、モータが超音波モータ10に代
えて電磁モータ78であり、更に、減速機構が第1およ
び第2遊星歯車減速機構87,88の2つの減速機構が
用いられている。この例のリトラクタ1の他の構成は、
図1に示す例と同じである。
【0167】このように構成されたこの例のリトラクタ
1においては、CPU64からPT.CAUTIONの
信号がソレノイド75aに入力されないときは、ソレノ
イド75aが励磁されなく、クラッチ機構11のレバー
76は、図19に示すその腕76bがストッパ74dに
当接した状態に設定される。この状態では、レバー76
の係止爪76aが第2遊星歯車減速機構88のリング部
材52のラチェット歯52bに係合しない状態に設定さ
れる。したがって、クラッチ機構11は切断(オフ)状
態に設定され、リング部材52が自由に回転可能な状態
に設定される。
【0168】この状態で、電磁モータ78が回転する
と、その回転がサンギヤ79を介してプラネタリギヤ8
1に伝達され、このプラネタリギヤ81が自転する。こ
のとき、インタ−ナルギヤ80eが固定されているの
で、プラネタリギヤ81が自転によってサンギヤ79の
回りを公転するようになる。このプラネタリギヤ81の
公転により、キャリヤ82がプラネタリギヤ81の公転
速度と同速度で同方向に回転するようになり、このキャ
リヤ82の回転速度はサンギヤ79の回転速度つまりは
電磁モータ78の回転速度より減速された速度となって
いる。すなわち、電磁モータ78の回転トルクが第1遊
星歯車機構87により減速されて、キャリヤ82に伝達
される。
【0169】キャリヤ82の回転トルクは、アイドルギ
ヤ84を介してスプリングケース56に若干(ギヤ82
cの歯数とギヤ56fの歯数との比による)減速されて
伝達され、スプリングケース56が回転する。このと
き、スプリングケース56に直結されている第2遊星歯
車機構88のサンギヤ73aも回転するとともにプラネ
タリギヤ53が自転するが、インタ−ナルギヤ52aが
前述のように回転規制されていなく自由に回転してサン
ギヤ73aの回転を吸収するため、プラネタリギヤ53
は公転しない。このため、キャリヤ54が回転しなく、
したがってリール4も電磁モータ78の回転トルクによ
って回転することはない。すなわち、第2遊星歯車機構
88での減速は機能せず、スプリングケース56とリー
ル4とは、両スプリング57,58を介して連結される
ようになる。
【0170】CPU64が、前述の警告モードあるいは
緊急モードの条件が成立していると判断すると、PT.
CAUTIONの信号をソレノイド75aに出力する。
これにより、ソレノイド75aが励磁され、進出してい
たロッド75bが引き込められる。このロッド75bの
引込み運動により、レバ−76が図19において反時計
方向に回動し、図20に示すように係止爪76aがラチ
ェット歯52bに係合可能な状態に設定される。このた
め、リング部材52のベルト引出し方向αの回転に対し
ては、係止爪76aがラチェット歯52bに係合してク
ラッチ機構11が接続(オン)するので、リング部材5
2のベルト引出し方向αの回転が阻止される。
【0171】この状態で、電磁モータ78がベルト引出
し方向αに回転駆動されると、前述のように第1遊星歯
車減速機構87によって減速された電磁モータ78の回
転トルクで、スプリングケース56が回転駆動され、前
述のようにサンギヤ73aも回転するとともにプラネタ
リギヤ53が自転する。このとき、インタ−ナルギヤ5
2aがクラッチ機構11のオンによってベルト引出し方
向αの回転が規制されているため、プラネタリギヤ53
が公転し、キャリヤ54がプラネタリギヤ53の公転速
度と同じ速度で回転する。
【0172】すなわち、第1遊星歯車減速機構87によ
って減速された電磁モータ78の回転トルクが更に第2
遊星歯車減速機構88によって減速され、この回転トル
クによりリール4が回転駆動する。この例の乗員拘束保
護システムの他の作動は、前述の例と同じである。
【0173】この例のシートベルトリトラクタ1によれ
ば、電磁モータ78を用いているので、駆動回路を比較
的簡単にできる。また、第1および第2遊星歯車減速機
構87,88で2段に減速しており、減速比を適宜選定
することができるので、減速比の選定次第で、所望の大
きなベルトテンションを容易に得ることが可能となる。
更に、第2遊星歯車減速機88において、そのインタ
−ナルギヤ52の回転をソレノイドアクチュエータから
なるクラッチ機構11で停止させることにより、電磁モ
ータ11の回転トルクを効果的に減速させることができ
るので、リール4に加えるトルクを更に大きくすること
ができる。これによっても、ベルトテンションを更に大
きくすることができる。この例の乗員拘束保護システム
の効果は、前述の例と同じである。
【0174】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のシートベルトリトラクタによれば、超音波モータのス
テータ、ロータ、モータ回転軸、およびクラッチ機構を
中空形状にしているので、これらの部品の中空部を利用
して各部品を効率よくコンパクトにレイアウトすること
ができる。これにより、超音波モータにクラッチ機構を
内蔵することができるので、超音波モータおよびクラッ
チ機構をフレームにコンパクトに取り付けることができ
る。
【0175】しかも、このように超音波モータおよびク
ラッチ機構の中空部を利用することで、超音波モータ、
クラッチ機構およびスプリング手段をリールと同軸上に
レイアウトできるようになるので、シートベルトリトラ
クタを全体として効果的にコンパクトにまとめることが
できる。これにより、自動車の車室等のきわめて限られ
た狭いリトラクタの設置スペースに対しても、効果的に
かつ確実に対応することができる。
【0176】そのうえ、超音波モータおよびクラッチ機
構の中空部にリール軸を貫通させるという簡単な構造に
より、スプリング手段を介さずかつクラッチ機構を介す
るリールへのモータトルク伝達経路と、クラッチ機構を
介さずかつスプリング手段を介するリールへのモータト
ルク伝達経路との2つのトルク伝達経路が切り替え可能
にできる。
【0177】更に、トーションバーもこれらの部品の中
空部に配置することが可能となるので、トーションバー
を設けても動力伝達機構を簡単な構造にでき、コンパク
トにまとめることができる。
【0178】更に、超音波モータの高起動性を有効に利
用しているので、単純コンパクトでかつソレノイド等の
外部トリガが不要の角加速度クラッチが採用可能にな
る。更に、超音波モータは停止時に高保持トルクを有し
ていることから、超音波モータの停止時にスプリングケ
ースを固定するロック機構が不要となる。更に、電磁モ
ータを用いることにより、駆動回路を比較的簡単にでき
る。
【0179】また、第1および第2減速機構で2段に減
速しているので、減速比を適宜選定することができる。
これにより、減速比の選定次第で、所望の大きなベルト
テンションを容易に得ることが可能となる。特に、第1
および第2減速機構に第1および第2遊星歯車減速機構
を用いることにより、減速比をより容易に選定すること
ができるとともに、リトラクタをコンパクトにまとめる
ことが可能となる。
【0180】更に、第2遊星歯車減速機において、その
インタ−ナルギヤの回転がクラッチ機構のソレノイド手
段で停止させるようにしているので、電磁モータの回転
トルクを効果的に減速でき、リールに加えるトルクを更
に大きくできる。
【0181】更に、シートベルトのベルトテンションを
制御可能としているので、シートベルトリトラクタの種
々の状況に応じてベルトテンションを種々制御できるよ
うになる。しかも、衝突時等の大減速度発生時にシート
ベルトにかかるベルト荷重を制限するEA機能を発揮す
るようにしているので、ベルト荷重の増大を抑制でき、
シートベルトによる乗員への圧迫を緩和することができ
る。
【0182】一方、本発明の乗員拘束保護システムによ
れば、通常運転時はシートベルトからのベルト負荷を緩
和またはなくしているので、乗員を快適にするコンフォ
ート機能を発揮することができる。更に、物体との衝突
のおそれがあるときは、シートベルトをかなり強く巻き
取る警告機能を発揮して、特別な警告装置を装備しなく
ても乗員に警告を発することができる。更に、物体との
衝突が余儀なくされるときは、シートベルトをきわめて
強く巻き取るプリリワインド機能を発揮して乗員を衝突
前に予め堅固に拘束保護することができる。
【0183】しかも、シートベルトリトラクタは、ベル
ト引出しを軽く行うことができると共に、ベルト巻取り
を迅速にかつ完全に行うことができ、更にベルトスラッ
クを自動的に除去することができるコンビニエンス機能
を発揮することができる。
【0184】制し、シートベルト3による乗員への圧迫
を緩和することができる。
【0185】更に、チャイルドシートモードにより、チ
ャイルドシートを、例えばバックルに設けたCRSモー
ド選択ボタンを押すだけで、車両シートに堅固にかつ自
動的に固定することができる。これにより、チャイルド
シートの車両シートへの固定および固定解除がきわめて
簡単になると共に、従来チャイルドシートを車両シート
に固定する際に用いられているシートベルトを締め付け
る締付具のような特別な部品が不要になる。
【0186】こうして、本発明の乗員拘束保護システム
は、コンフォート機能、注意機能、警告機能、プリリワ
インド機能、コンビニエンス機能、EA機能、およびチ
ャイルドシート固定機能の多くの機能を発揮することが
できるので、全体として、より効率よくかつより快適に
乗員を拘束保護することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例における車両の乗
員拘束保護システムに用いられるシートベルトリトラク
タを示す分解斜視図である。
【図2】 図1に示すシートベルトリトラクタの一部を
部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図3】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他
の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図で
ある。
【図4】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他
の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図で
ある。
【図5】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他
の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図で
ある。
【図6】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他
の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図で
ある。
【図7】 図1に示すシートベルトリトラクタの残部を
部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図8】 図1に示す例のシートベルトリトラクタの組
立状態の縦断面図である。
【図9】 図8に示すシートベルトリトラクタの右側を
部分的に切り欠いて示す右側面図である。
【図10】図8に示すシートベルトリトラクタの左側を
部分的に切り欠いて示す左側面図である。
【図11】シートベルトによりチャイルドシートを車両
シートに固定した状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態の他の例を示す、図2と
同様の部分拡大分解斜視図である。
【図13】図12示す例の、図5と同様の部分拡大分解
斜視図である。
【図14】図12示す例の、図6と同様の部分拡大分解
斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態の更に他の例を示し、図
1に対応する分解斜視図である。
【図16】図15を部分的に拡大して示す、部分拡大分
解斜視図である。
【図17】図15に示す構成要素を各ユニット毎にまと
めて示す分解斜視図である。
【図18】図15に示す例のシートベルトリトラクタの
組立状態の縦断面図である。
【図19】クラッチ機構がオフ状態の図18の左側面を
部分的に切り欠いて示す左側面図である。
【図20】クラッチ機構がオン状態の図18の左側面を
部分的に切り欠いて示す左側面図である。
【符号の説明】
1…シートベルトリトラクタ、2…フレーム、3…シー
トベルト、4…リール、5…ロック手段、6…ロック作
動機構、7…フォースリミッタ機構(EA機構)、8…
減速度検知手段、9…リール回転検出手段、10…超音
波モータ、11…クラッチ機構、12…減速機構、13
…スプリング手段、14…モータ回転量検出手段、15
…ドライバユニット、16,17…側壁、20…ロッキ
ングベース、21…パウル、22…ロックギヤ、23…
フライホイール、27…トーションバー、64…中央処
理装置(CPU)、75…ソレノイドアッシ、78…電
磁モータ、87…第1遊星歯車減速機構、88…第2遊
星歯車減速機構

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートベルトを巻取るリールと、該リー
    ルを回転自在に支持するフレームと、前記リールをシー
    トベルト巻取り方向に付勢するリール付勢手段と、前記
    フレームおよび前記リール間に配設されて通常時リール
    の回転を許容し必要時に作動してリールのベルト引出し
    方向の回転を阻止するロック手段と、前記シートベルト
    のベルトテンションを制御するベルトテンション制御機
    構と、前記ロック手段の作動による前記シートベルトの
    引出し阻止時に前記シートベルトにかかるベルト荷重を
    制限するベルト荷重制限機構とを備え、前記ベルトテン
    ション制御機構は、前記リール付勢手段および前記リー
    ルに付与する回転トルクを発生する超音波モータと、非
    作動時前記超音波モータの回転トルクを前記リール付勢
    手段に伝達するように設定すると共に、作動時前記超音
    波モータの回転トルクを前記リールに直接伝達するよう
    に設定するクラッチ機構とからなるシートベルトリトラ
    クタであって、 前記超音波モータは、前記フレームに取り付けられた環
    状のステータと、該ステータの進行波によって回転する
    環状のロータと、該ロータを貫通してロータに一体回転
    可能に連結されると共に、一端が前記リール付勢手段に
    接続されかつ他端が前記クラッチ機構に連結される筒状
    のモータ回転軸とから中空形状に形成されていると共
    に、前記クラッチ機構も中空形状に形成されていること
    を特徴とするシートベルトリトラクタ。
  2. 【請求項2】 前記クラッチ機構は、前記超音波モータ
    の所定角加速度より小さい角加速度での始動時には作動
    しなく、前記超音波モータの前記所定角加速度以上の大
    きな角加速度での始動時には作動する角加速度クラッチ
    からなることを特徴とする請求項1記載のシートベルト
    リトラクタ。
  3. 【請求項3】 前記角加速度クラッチは、前記超音波モ
    ータの回転軸に、該回転軸と直交する面内で回動可能に
    設けられた係止部材と、前記リールに回転トルクを伝達
    すると共に、前記係止部材が係脱可能に設けられて、前
    記係止部材が係合したとき前記回転軸の回転トルクが伝
    達され、また前記係止部材が係合しないとき前記回転軸
    の回転トルクが伝達されない被動部材と、前記超音波モ
    ータが前記所定角加速度以上の角加速度で始動したとき
    に作動して前記係止部材を前記被動部材に係合させ、ま
    た前記超音波モータが前記所定角加速度より小さい角加
    速度で始動したときには作動しないで前記係止部材を前
    記被動部材に係合させない係止部材制御手段とからなる
    ことを特徴とする請求項2記載のシートベルトリトラク
    タ。
  4. 【請求項4】 前記係止部材にカムフォロワが設けられ
    ており、係止部材制御手段は、前記超音波モータの回転
    軸に同軸上に配設されるとともに、前記係止部材にカム
    フォロワを制御するカムを有し、前記超音波モータの回
    転軸との間に回転差が生じたとき、前記係止部材を前記
    被動部材に係合させる環状の慣性プレートと、前記超音
    波モータが前記所定角加速度以上の角加速度で始動した
    ときには、前記超音波モータの回転軸と前記慣性プレー
    トとの間に回転差を生じさせ、前記超音波モータが前記
    所定角加速度より小さい角加速度で始動したときには、
    前記超音波モータの回転軸と前記慣性プレートとの間に
    回転差を生じさせない回転差発生手段とからなることを
    特徴とする請求項3記載のシートベルトリトラクタ。
  5. 【請求項5】 前記クラッチ機構と前記リールとの間に
    減速機構が介設されていることを特徴とする請求項1な
    いし4のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  6. 【請求項6】 前記減速機構は、遊星歯車減速機構から
    なることを特徴とする請求項5記載のシートベルトリト
    ラクタ。
  7. 【請求項7】 前記リール付勢手段は、回転可能に設け
    られかつ前記超音波モータの回転トルクが伝達されるス
    プリングケースと、該スプリングケースと前記リールと
    の間に設けられ、前記リールをベルト巻取り方向に常時
    付勢するスパイラルスプリングとを備え、 前記スパイラルスプリングは、第1スパイラルスプリン
    グと、この第1スパイラルスプリングに環状の連結部材
    を介して連結され、前記第1スパイラルスプリングのば
    ね定数より小さいばね定数の第2スパイラルスプリング
    とからなり、 前記第1スパイラルスプリングが前記スプリングケース
    側に連結されると共に、前記第2スパイラルスプリング
    が前記リール側に連結されることを特徴とする請求項2
    ないし6のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  8. 【請求項8】 前記ベルト荷重制限機構はトーションバ
    ーを備えており、該トーションバーは、前記ロック手段
    に連結され、該ロック手段の作動時ベルト引出し方向の
    回転が阻止される第1トルク伝達部と、前記超音波モー
    タの回転トルクおよび/または前記リール付勢手段の付
    勢力が伝達されると共に前記リールに回転方向に係合す
    る第2トルク伝達部と、これらの第1および第2トルク
    伝達部間を接続すると共に第1および第2トルク伝達部
    の回転差によりねじれ変形するトーションバー部とから
    なり、前記ロック手段の作動による前記シートベルトの
    引出し阻止時に前記トーションバー部のねじれ変形によ
    り前記ベルト荷重を制限することを特徴とする請求項2
    ないし7のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  9. 【請求項9】 シートベルトを巻取るリールと、該リー
    ルを回転自在に支持するフレームと、前記リールをシー
    トベルト巻取り方向に付勢するリール付勢手段と、前記
    フレームおよび前記リール間に配設されて通常時リール
    の回転を許容し必要時に作動してリールのベルト引出し
    方向の回転を阻止するロック手段と、前記シートベルト
    のベルトテンションを制御するベルトテンション制御機
    構と、前記ロック手段の作動による前記シートベルトの
    引出し阻止時に前記シートベルトにかかるベルト荷重を
    制限するベルト荷重制限機構とを備え、前記ベルトテン
    ション制御機構は、前記リール付勢手段および前記リー
    ルに付与する回転トルクを発生する電磁モータと、非作
    動時前記電磁モータの回転トルクを前記リール付勢手段
    に伝達するように設定すると共に、作動時前記電磁モー
    タの回転トルクを前記リールに直接伝達するように設定
    するクラッチ機構とからなるシートベルトリトラクタで
    あって、 前記電磁モータは第1減速機構を介して前記リール付勢
    手段に接続されていて、前記電磁モータの回転トルクが
    前記第1減速機構により減速された前記リール付勢手段
    に付与するようになっており、 前記第1減速機構は第2減速機構を介して前記リールに
    接続可能とされていて、前記第2減速機構を介した前記
    第1減速機構の前記リールへの接続時、前記電磁モータ
    の回転トルクが前記第1減速機構により減速され、更に
    前記第2減速機構により減速されて前記リールに付与す
    るようになっており、 更に、前記クラッチ機構は、前記第2減速機構を介する
    前記減速機構と前記リールとの間の接続または遮断を制
    御するクラッチ機構であることを特徴とするシートベル
    トリトラクタ。
  10. 【請求項10】前記第1および第2減速機構は、それぞ
    れ、第1および第2遊星歯車減速機構からなることを特
    徴とする請求項9記載のシートベルトリトラクタ。
  11. 【請求項11】前記第2遊星歯車減速機構は、前記第1
    遊星歯車減速機構からの回転トルクが伝達されるサンギ
    ヤと、このサンギヤに噛合する所定数のプラネタリギヤ
    と、該所定数のプラネタリギヤを回転可能に支持すると
    ともに前記リールに接続されるキャリヤと、前記プラネ
    タリギヤに噛合するインタ−ナルギヤとからなり、 前記クラッチ機構は、前記インタ−ナルギヤの自由回転
    または前記インタ−ナルギヤの少なくとも一方向の回転
    が阻止される回転規制を切換制御するクラッチ機構であ
    ることを特徴とする請求項10記載のシートベルトリト
    ラクタ。
  12. 【請求項12】 前記クラッチ機構は、前記インタ−ナ
    ルギヤの外周に形成されたラチェット歯と、このラチェ
    ット歯に係脱可能な係止爪を有するレバーと、このレバ
    ーを作動制御するソレノイド手段とからなることを特徴
    とする請求項11記載のシートベルトリトラクタ。
  13. 【請求項13】前記リール付勢手段は、回転可能に設け
    られかつ前記電磁モータの回転トルクが伝達されるスプ
    リングケースと、該スプリングケースと前記リールとの
    間に設けられ、前記リールをベルト巻取り方向に常時付
    勢するスパイラルスプリングとを備え、 前記スパイラルスプリングは、第1スパイラルスプリン
    グと、この第1スパイラルスプリングに環状の連結部材
    を介して連結され、前記第1スパイラルスプリングのば
    ね定数より小さいばね定数の第2スパイラルスプリング
    とからなり、 前記第1スパイラルスプリングが前記スプリングケース
    側に連結されると共に、前記第2スパイラルスプリング
    が前記リール側に連結され、 更に、前記サンギヤが前記スプリングケースに一体的に
    直結されていることを特徴とする請求項11ないし12
    のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  14. 【請求項14】 前記ベルト荷重制限機構による前記ベ
    ルト荷重の制限を、前記ロック手段の作動による前記シ
    ートベルトの引出し阻止時からの前記リールの回転の所
    定範囲に規定するベルト荷重制限範囲設定機構を備えて
    いることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1
    記載のシートベルトリトラクタ。
  15. 【請求項15】請求項1ないし14のいずれか1記載の
    シートベルトリトラクタを備えており、前記必要時に前
    記シートベルトの引出しを阻止して乗員を拘束保護する
    車両の乗員拘束保護システムにおいて、 前記車両周囲の物体を検出する物体検出手段と、該物体
    検出手段からの物体検出信号に基づいて判断された前記
    車両と前記物体との間の状況および/または前記シート
    ベルトリトラクタの動作状況に基づいて前記ベルトテン
    ション制御機構を制御する中央処理装置とを備えてお
    り、前記シートベルトのベルトテンションを前記車両と
    物体との間の状況または前記シートベルトリトラクタの
    動作状況に応じた設定値に制御することを特徴とする車
    両の乗員拘束保護システム。
  16. 【請求項16】 前記車両と前記物体との間の状況およ
    び/または前記シートベルトリトラクタの動作状況に応
    じた所定数のモードが設定されており、前記ベルトテン
    ションの前記設定値が各モード毎に設定されていること
    を特徴とする請求項15記載の車両の乗員拘束保護シス
    テム。
  17. 【請求項17】 前記所定数のモードとして、少なくと
    も、前記ベルトテンションの設定値が前記シートベルト
    の引出し時にベルト引出しが軽くなる値に設定されるベ
    ルト引出しモードと、前記ベルトテンションの設定値が
    シートベルト装着解除後のシートベルトの巻取り時にベ
    ルト巻取りが迅速かつ確実に行われる値に設定されるベ
    ルト巻取りモードと、前記ベルトテンションの設定値が
    シートベルト装着後のシートベルトの長さ調節時にベル
    トスラックを除去する値に設定されるベルト長さ調節モ
    ードと、前記ベルトテンションの設定値が通常運転時の
    シートベルト装着状態においてベルト負荷が軽くなる値
    に設定されるコンフォートモードと、前記ベルトテンシ
    ョンの設定値が前記物体に対して直ちに回避動作を行う
    必要があるときに乗員に警告する値に設定される警告モ
    ードと、前記ベルトテンションの設定値が前記物体に対
    して回避の余裕がなく、乗員の回避動作が不能であると
    きに乗員を堅固に拘束する値に設定される緊急モードと
    が設定されていることを特徴とする請求項16記載の車
    両の乗員拘束保護システム。
  18. 【請求項18】 更に、前記ベルトテンションの設定値
    がシートベルトによりチャイルドシートを車両シートに
    固定する値に設定されるチャイルドシートモードとが設
    定されていることを特徴とする請求項17記載の車両の
    乗員拘束保護システム。
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