JP2000135969A - ばね力とモータとにより駆動制御される駆動制御装置およびこの駆動制御装置を用いたシートベルト制御システム - Google Patents

ばね力とモータとにより駆動制御される駆動制御装置およびこの駆動制御装置を用いたシートベルト制御システム

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JP2000135969A
JP2000135969A JP10310624A JP31062498A JP2000135969A JP 2000135969 A JP2000135969 A JP 2000135969A JP 10310624 A JP10310624 A JP 10310624A JP 31062498 A JP31062498 A JP 31062498A JP 2000135969 A JP2000135969 A JP 2000135969A
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seat belt
belt
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spring
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Hitoshi Fujita
藤田仁
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Takata Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ばね力をより簡単にかつ連続的に制御するとと
もにモータの駆動力を連続的に制御して動作を簡単に制
御する。 【解決手段】シートベルト制御システムは非使用モード
からシートベルトが引き出されるとベルト引出しモード
となり、モータをリールの回転に追従連動させてばね力
を「弱」状態に保持し、ベルトテンションを小さくす
る。トングがバックルに係合されると、ベルト長さ調節
モードとなり、モータをベルト巻取り方向に回転してば
ね力を「強」にする。シートベルトが乗員にフィットし
たら、モータをベルト引出しり方向に若干回転してばね
力を「中」にし、シートベルトによる圧迫感を受けない
コンフォートモードにする。運転が終了して、トングが
バックルから解放されると、ベルト巻取りモードとな
り、モータがベルト巻取り方向に回転してばね力を
「強」にし、シートベルトが迅速にかつ確実に巻き取ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ばね力とモータと
により駆動制御される駆動制御装置の技術分野に属する
ものである。また本発明は、この駆動制御装置を備える
とともにシートベルトリトラクタを備えたシートベルト
制御システムの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術分野】従来から自動車等の車両に装備され
ているシートベルト装置は、衝突時等の車両に大きな減
速度が作用した場合のような緊急時に、シートベルトで
乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出し
を阻止して、乗員を保護している。
【0003】このようなシートベルト装置においては、
シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタが設け
られている。このシートベルトリトラクタは、シートベ
ルトを巻き取るリールを常時巻取り方向に付勢するうず
巻きばね等の付勢力付与手段を備えている。この付勢力
付与手段の付勢力により、シートベルトは非装着時には
リールに巻き取られている。また、シートベルトは装着
時には付勢力付与手段の付勢力に抗して引き出されて、
乗員に装着される。そして、シートベルトリトラクタ
は、前述のような緊急時にロック手段が作動してリール
の引出し方向の回転を阻止することにより、シートベル
トの引出しが阻止される。これにより、緊急時にシート
ベルトは乗員を確実に拘束し、保護するようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来のシートベルト装置においては、シートベルト装着
時には付勢力付与手段の付勢力によるほぼ一定のベルト
テンションがシートベルトに加えられている。このた
め、シートベルトリトラクタは自車と自車周囲の物体と
の間の状況に関係なくほぼ同じ態様で作動するようにな
っている。しかしながら、従来のシートベルト装置は前
述のように緊急時に乗員を確実に拘束し保護することが
できるが、前述のような緊急時以外のときに乗員に対し
てより快適に制御されているとは言えない。しかも、緊
急時に乗員を堅固に拘束して更に一層確実に保護するよ
うにすることが望ましい。
【0005】そこで、本出願人は、自車と物体との間の
状況を加味してDCモータでシートベルトリトラクタを
制御し、ベルトテンションを調節することにより、乗員
の拘束保護をより一層効率よくかつ乗員に対してより一
層快適に行うようにした乗員拘束保護システムを、特開
平9−132113号公報において提案している。この
公開公報の乗員拘束保護システムにおいては、DCモー
タでベルトテンションの調節を行う場合、所定のばね力
になったときにDCモータを停止させ、DCモータ側に
作用するばね力をメカニカルにロックする(ばね力の作
用を止める)ようになっている。このため、この乗員拘
束保護システムではシートベルトリトラクタの動作が複
雑になっている。
【0006】そこで、更に本出願人は、モータでばね力
を支持することによりロックするようにして、シートベ
ルトリトラクタの動作をできるだけ簡単に実行させるよ
うにした乗員拘束保護システムを、特開平10−167
007号公報において提案している。この公開公報の乗
員拘束保護システムにおいては、シートベルトを巻き取
るリールの回転およびモータの回転を検出するためにそ
れぞれロータリエンコーダを用いていて、リールおよび
モータの各回転がそれぞれ予め設定された回転位置にな
ったことをこれらのロータリエンコーダが検知すること
により、モータを停止するようにしている。
【0007】ところで、この特開平10−167007
号公報の乗員拘束保護システムは、このようにリールお
よびモータの各回転がそれぞれ予め設定された回転位置
になったときにだけ、モータの回転を停止し、ベルトテ
ンションを予め設定された大きさに調節するようになっ
ている。このため、この乗員拘束保護システムでは、ベ
ルトテンションを調節するためのシートベルトリトラク
タの動作が簡単になるとことに関しては十分であるが、
リールおよびモータの各回転が連続的に制御することが
できなく、ベルトテンションをきめ細かく、周囲の状況
等に応じて柔軟にかつ連続的に調節することは難しい。
しかしながら、緊急時の乗員の確実な拘束護あるいは緊
急時以外のときの乗員に対するベルトテンションのより
快適な制御を得るために、乗員拘束保護システムにおい
て、このようにベルトテンションをきめ細かく、周囲の
状況等に応じて柔軟にかつ連続的に調節できるようにす
ることが非常に望ましい。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、ばね力をより簡単にかつ
連続的に制御するとともにモータの駆動力を連続的に制
御して動作を簡単に制御できる駆動制御装置を提供する
ことである。本発明の他の目的は、ベルトテンションを
きめ細かく、周囲の状況等に応じて柔軟にかつ連続的に
調節できるシートベルト制御システムを提供することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明の任意に制御されるばね力を発生
するスプリング手段と、このスプリング手段のばね力が
付与されて駆動される被駆動部材と、スプリング手段の
ばね力の反力側にトルクを供給可能に設けられたモータ
と、このモータと前記被駆動部材との直結または解放を
制御するクラッチ手段と、前記被駆動部材の駆動量を連
続的に検出する被駆動部材駆動量検出手段と、前記モー
タの駆動量を連続的に検出するモータ駆動量検出手段
と、これらの被駆動部材駆動量検出手段およびモータ駆
動量検出手段からの検出信号に基づいて前記モータを制
御する中央処理装置とを備え、前記被駆動部材の駆動制
御を前記ばね力制御でソフト的に行うと共に、所定条件
の時、前記クラッチ手段を係合させて前記モータと前記
被駆動部材とを直結させることにより、前記モータのト
ルクで前記被駆動部材の駆動制御をソフト的に行い、更
に、前記スプリング手段のばね力を前記モータでソフト
的に任意に制御することを特徴としている。
【0010】また、請求項2の発明は、請求項1記載の
駆動制御装置を備えるとともにシートベルトリトラクタ
を備えたシートベルト制御システムであって、前記被駆
動部材は前記シートベルトリトラクタの、シートベルト
を巻き取るリールであり、前記スプリング手段のばね力
を前記モータで任意に制御するとともに前記モータのト
ルクを任意に制御することにより、前記シートベルトの
ベルトテンションを車両と物体との間の状況および/ま
たはシートベルトリトラクタの動作状況に基づいてソフ
ト的にかつ連続的に調節することを特徴としている。
【0011】
【作用】このように構成された本発明に係る駆動制御装
置においては、被駆動部材の駆動制御がばね力制御でソ
フト的に行われるようになると共に、所定条件の時、ク
ラッチ手段が係合されてモータと被駆動部材とが直結さ
れて、モータのトルクで被駆動部材の駆動制御がソフト
的に行われる。このとき、前記スプリング手段のばね力
がモータでソフト的に任意に制御されるようになる。こ
うして、駆動制御装置の動作が複雑であっても、この動
作を簡単に制御することが可能となる。
【0012】また、本発明に係るシートベルト制御シス
テムにおいては、スプリング手段のばね力をモータで任
意に制御するとともにモータのトルクを任意に制御する
ことにより、シートベルトリトラクタの複雑な動作を簡
単に制御することが可能となる。これにより、シートベ
ルトのベルトテンションが、車両と物体との間の状況お
よび/またはシートベルトリトラクタの動作状況に応じ
て柔軟にかつ連続的に調節されるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明の実
施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態の一例
におけるシートベルト制御システムに用いられ、本発明
の駆動制御装置に相当するシートベルトリトラクタの一
例を示す分解斜視図、図2ないし図7は、図1を部分的
に拡大して示す、部分拡大分解斜視図、図8はこの例の
シートベルトリトラクタの組立状態の縦断面図、図9は
図8に示すシートベルトリトラクタの右側を部分的に切
り欠いて示す右側面図、図10は図8に示すシートベル
トリトラクタの左側を部分的に切り欠いて示す左側面図
である。
【0014】図1に示すように、この例のシートベルト
制御システムに用いられるシートベルトリトラクタ1
は、大きく分けてフレーム2と、シートベルト3を巻き
取るリール4と、フレーム2の一側に配設され、作動時
にリール4のベルト引出し方向αの回転を阻止するロッ
ク手段5と、このロック手段5を必要時に作動させるロ
ック作動機構6と、衝突等の大減速度時にロック手段5
の作動によりシートベルト引出が阻止されたとき、シー
トベルトの荷重を制限するフォースリミッタ機構(以
下、EA機構ともいう)7と、車両減速度を検知する減
速度検知手段8と、リール4の最大巻取り位置からの回
転量を検出して電気信号に変換するリール回転量検出手
段9と、回転トルクを後述するクラッチ機構11を介し
てリール4に付与するとともに、回転トルクを後述する
スプリング手段13に付与する超音波モータ10と、超
音波モータ10の回転トルクを、スプリング手段13を
介さずにリール4の方へ伝達するクラッチ機構11と、
このクラッチ機構11を介して伝達される超音波モータ
10の回転トルクを減速してリール4に伝達する減速機
構12と、リール4をシートベルト3の巻取り方向βに
付勢するスプリング手段13と、超音波モータ10の回
転軸の非作動位置からの回転量を検出して電気信号に変
換するモータ回転量検出手段14と、超音波モータ10
を駆動するためのドライバユニット15とからなってい
る。
【0015】図2に示すように、フレーム2は平行な一
対の側壁16,17とこれらの側壁16,17を連結する
背板18とからなっている。このフレーム2内の両側壁
16,17間には、シートベルト3を巻き取るためのリ
ール4が配設されている。
【0016】一方の側壁16には円形の大孔16aが穿
設されているとともに、この大孔16aの周縁に、所定
数(図示例では6個)の小孔16bが周方向に等間隔に
穿設されている。また、他方の側壁17にも、円形の大
孔17aが大孔16aと同心に穿設されているととも
に、この側壁17の内側に、内周面に所定数のラチェッ
ト歯状の内歯19aを有する円形の大孔が穿設された内
歯形成部材19が、これらの内歯19aを大孔17aと
同心にして固定されている。更に、側壁17には、減速
度検知手段8を取り付ける取付孔17bが穿設されてい
る。
【0017】リール4は、シートベルト3を巻き取るシ
ートベルト巻取部4aと、このシートベルト巻取部4a
の両端のフランジ部4b,4cとからなり、その中央に
軸方向に貫通する貫通孔4dが穿設されている。その場
合、貫通孔4dは、図示しないが側壁16側の端部が後
述するキャリヤ54(図1および図2に図示)の断面正
6角形の軸部54cが嵌合可能で、かつリール4とキャ
リヤ54と後述するトーションバー27とが一体回転可
能になる断面正6角形状の孔に形成され、また側壁17
側の端部が後述するストッパ28(図1および図3に図
示)が嵌合可能でかつリール4とストッパ28とが一体
回転可能になる断面形状の孔に形成されている。
【0018】図3に示すように、ロック手段5はロッキ
ングベース20とパウル21とを備えている。ロッキン
グベース20は、ディスク部20aとねじ軸部20bと
からなり、その中心に軸方向に貫通する貫通孔20cが
穿設されている。この貫通孔20cのディスク部20a
に対応する部分は、断面正6角形状孔20c′とされて
いる。また、ディスク部20aには、パウル21を回転
可能に支持するための孔20dが穿設されていると共
に、この孔20dと同心円の円弧状の荷重被伝達部20
eが形成されている。この荷重被伝達部20eはパウル
21からの荷重を受けるようになっている。更に、ディ
スク部20aの外周面の荷重被伝達部20eと反対側の
部分には、所定範囲にわたってギザギザの刻み歯20f
が形成されており、この刻み歯20fは内歯19aに係
合可能となっている。更に、ディスク部20aには、後
述の図4に示すパウルスプリング26の一端を支持する
スプリング支持部20gが設けられている。
【0019】一方、パウル21は回転基端に穿設された
孔21aを有しており、この孔21aとロッキングベー
ス20の孔20dとに図示しないピン等の固定具を嵌合
させることにより、パウル21がロッキングベース20
に回転可能に取り付けられている。また、パウル21の
先端には、内歯形成部材19の内歯19aに係合可能な
係止爪21bが形成されていると共に、突出軸からなる
カムフォロワ21cが設けられている。更に、パウル2
1bには、円弧状の荷重伝達部21dが形成されてお
り、この荷重伝達部21dは、係止爪21bが内歯19
aに係合したとき、パウル21bに作用する反力をロッ
キングベース20の荷重被伝達部20eに伝達させるよ
うになっている。すなわち、パウル21bの反力をロッ
キングベース20で支持するようになっている。
【0020】図4に示すように、ロック作動機構6は、
ロックギヤ22と、フライホイール23と、ロックギヤ
22とフライホイール23との間に縮設されるフライホ
イールスプリング24と、フレーム2の側壁17の着脱
可能に固定されるリテーナ25と、ロッキングベース2
0とロックギヤ22との間に縮設されるパウルスプリン
グ26とを備えている。
【0021】ロックギヤ22は、ディスク部22aと、
このディスク部22aの外周に形成され、その外周面に
形成された所定数のラチェット歯状の外歯22bを有す
る環状歯部材22cとからなっている。
【0022】ディスク部22aの中心には、筒状のボス
22dが形成されていると共に、このボス22dの近傍
にフライホイール23を回転可能に支持する支持軸22
eが突設されている。更に、ディスク部22aの外周側
には、フライホイール23の回転を所定範囲に規制する
第1および第2ストッパ22f,22gが設けられてい
ると共に、ディスク部22aを貫通するカム孔22hが
穿設されている。このカム孔22hには、パウル21の
カムフォロワ21cが嵌合されるようになっており、し
たがってロックギヤ22がロッキングベース20に対し
て相対回転したとき、カムフォロワ21cがカム孔22
hにガイドされることにより、パウル21が回転するよ
うになっている。更に、ディスク部22aにはパウルス
プリング26の一端を支持するスプリング支持部22i
が設けられている。
【0023】フライホイール23は、ロックギヤ22の
支持軸22eに回転可能に嵌合される支持孔23aが穿
設されていると共に、先端に係止爪23bが形成された
係止部23cが設けられている。そして、フライホイー
ル23が支持孔23aに回転可能に支持されたとき、こ
の係止部23cは第1および第2ストッパ22f,22
gの間に位置するようになっている。したがって、フラ
イホイール23の回転は、第1および第2ストッパ22
f,22gの間に規制され、係止部23cが第1ストッ
パ22fに当接しているときは係止爪23bが内側に引
っ込んだ状態になり、また係止部23cが第2ストッパ
22gに当接しているときは係止爪23bが外側に突出
した状態になる。更に、フライホイール23には、フラ
イホイールスプリング24の一端を支持するスプリング
支持部23dが設けられている。
【0024】フライホイールスプリング24は、その一
端がフライホイール23のスプリング支持部23dに支
持され、またその他端がロックギヤ22の図示しないス
プリング支持部に支持されて、フライホイール23をロ
ックギヤ22に対してベルト引出し方向αに常時付勢し
ている。したがって、フライホイール23の非作動時
は、係止部23cが第1ストッパ22fに当接してい
る。
【0025】リテーナ25は、ディスク部25aと、こ
のディスク部25aの外周にフレーム2側に突出して形
成され、側壁17に着脱可能に固定される第1環状フラ
ンジ部25b(図8に図示)と、ディスク部25aの外
周にフレーム2側と反対側に突出して形成された第2環
状フランジ部25cとからなっている。
【0026】ディスク部25aの中心には貫通孔25d
が穿設されている。また、図8に示すようにディスク部
25aのフレーム2側の面には、内周面にラチェット歯
状の内歯25eを有する環状歯部材25fが貫通孔25
dと同心に突設されている。この環状歯部材25fは、
リトラクタ1が組み立てられたとき、ロックギヤ22の
環状歯部材22cと第1および第2ストッパ22f,2
2gとの間に進入可能な大きさに設定されている。その
場合、フライホイール23の係止爪23cも環状歯部材
22cの内側に位置しており、ロックギヤ22に対して
フライホイール23が回転し、係止部23cが第2スト
ッパ22gに当接した位置では、この係止爪23cが内
歯25eに係止するようになっている。
【0027】パウルスプリング26は、その一端がロッ
クギヤ22のスプリング支持部22iに支持され、また
その他端がロッキングベース20のスプリング支持部2
0gに支持されて、ロックギヤ22をロッキングベース
20に対してベルト引出し方向αに常時付勢している。
したがって、ロックギヤ22の非作動時は、パウル21
のカムフォロワ21cがカム孔22hの最内側位置22
1に位置し、この状態で、ロックギヤ22はパウルス
プリング26によるそれ以上の回転を阻止されている。
【0028】EA機構7は、トーションバー27と、ロ
ッキングベース20のねじ軸部20bに螺合される筒状
のストッパ28とを備えている。トーションバー27は
トーションバー部27aと、このトーションバー部27
aの一端側のロックギヤ22側端部に設けられ、ロッキ
ングベース20の断面正6角形状孔20c′にこのロッ
キングベース20と相対回転不能に嵌合する断面正6角
形状の第1トルク伝達部27bと、この第1トルク伝達
部27bの端に設けられたフランジ部27cと、トーシ
ョンバー部27aの他端に設けられ、後述するキャリヤ
に嵌合する断面正6角形状の第2トルク伝達部27d
と、この第2トルク伝達部27dから同心状に突出し、
先端にスプライン溝27eが形成された第1軸部27f
と、フランジ部27cから同心状に突出し、スプライン
溝27gが形成された第2軸部27hとからなってい
る。
【0029】筒状のストッパ28は内周に雌ねじ28a
が形成されているとともに、外周にリール4の回転トル
クが伝達される一対の回転トルク伝達部28b,28c
がそれぞれ設けられている。そして、これらの回転トル
ク伝達部28b,28cにより、ストッパ28はリール
4と一体に回転するようになっていると共に、リール4
に対して軸方向に相対的に移動可能となっている。した
がって、ストッパ28がロッキングベース20に対して
ベルト引出し方向αに回転するような回転差が生じる、
換言すればリール4がロッキングベース20に対してベ
ルト引出し方向αに回転するような回転差が生じると、
ストッパ28は軸方向に移動してロッキングベース20
のディスク部20aに当接するようになっている。更
に、ストッパ28がロッキングベース20に当接する
と、ストッパ28は軸方向移動が停止し、ロッキングベ
ース20と一体回転するようになる。
【0030】したがって、ストッパ28とロッキングベ
ース20との間に回転差が生じている間は、トーション
バー部27aがねじられるので、EA機構7は車両衝突
時のベルト荷重を制限するEA機能を発揮するようにな
り、ストッパ28がロッキングベース20に当接する
と、EA機能が終了する。
【0031】図3に示すように、減速度検知手段8は、
側壁17に取り付けられるハウジング29と、このハウ
ジング29に取り付けられるセンサケース30と、この
センサケース30に搭載される慣性質量31と、この慣
性質量31により作動されるアクチュエータ32とを備
えている。
【0032】ハウジング29は、フレーム2の側壁17
の取付孔17bに嵌合された取り付けられる嵌合取付部
29aと、センサケース30を支持する一対の支持腕部
29b,29cとからなっている。また、センサケース
30は、支持腕部29b,29cの溝に係合して支持さ
れる一対の被支持部30a,30bと、慣性質量31が
搭載される質量搭載部30cと、アクチュエータ32を
回転可能に支持する一対の支持腕部30d,30eとか
らなっている。
【0033】慣性質量31は、脚部31aと、この脚部
31aの上の質量部31bと、アクチュエータ32を作
動する作動部31cとからなっている。そして、慣性質
量31は質量搭載部30cに搭載されて、通常時は図示
のように直立しているが、車両に所定減速度以上の減速
度が作用したとき傾動して、作動部31cがアクチュエ
ータ32を回転するようになっている。
【0034】更に、アクチュエータ32は、センサケー
ス30の一対の支持腕部30d,30eの孔に回転可能
に嵌合支持される回転軸部32aと、慣性質量31の作
動部31cによって押圧される被押圧部32bと、回転
軸部32aと反対側に設けられ、ロックギヤ22の外歯
22bに係止可能な係止爪32cとからなっている。そ
して、このアクチュエータ31は、慣性質量31が直立
状態のときは最下位置にあって、係止爪32cが外歯2
2bに係合しない非係合位置となり、慣性質量31が傾
動したときは上方へ回転して、係止爪32cが外歯22
bに係合する係合位置となるようにされている。
【0035】図4に示すように、リール回転検出手段9
は、トーションバー27の回転によって回転させられる
回転取出しギヤ33と、リテーナ25のディスク部25
aに取り付けられ(図9に図示)、回転取出しギヤ33
の回転を歯車減速機構34で減速してトーションバー2
7の回転、つまりリール4の回転量を絶対値で検出し、
これを電気信号に変換するリール回転ボリューム検出計
35と、リテーナ25の第2環状フランジ部25cに着
脱可能に取り付けられて、リール回転ボリューム検出計
35を覆うボリュームカバー36とを備えている。
【0036】回転取出しギヤ33はその中心に穿設され
た断面正5角形の貫通孔33aを有しており、この貫通
孔33aがピン37の断面正5角形の軸部37aに嵌合
されて、このピンと一体に回転するようになっている。
また、図8に示すようにピン37の軸部37aと反対側
は、トーションバー27の第2軸部27hのスプライン
溝27gにスプライン嵌合されて、このトーションバー
27と一体に回転するようになっている。したがって、
トーションバー27の回転つまりリール4の回転は、ピ
ン37、回転取出しギヤ33、減速歯車機構34を介し
てリール回転ボリューム検出計35で検出されるように
なる。その場合、減速歯車機構34により、シートベル
ト3の全巻取りから全引出しまでのリール4の回転が、
リール回転ボリューム検出計35の抵抗体(不図示)で
270゜の回転に減速されるようになっている。そし
て、このリール回転ボリューム検出計35はシートベル
ト3の絶対位置をボリューム値として連続的に検出する
ようになっている。このように、リール回転ボリューム
検出計35をボリュームタイプとすることにより、電源
をオフにしてもシートベルト3の絶対位置の情報を消え
ないようにして、回転検出計を安価で信頼性のあるもの
にしている。
【0037】図5および図6に示すように、超音波モー
タ10は、円環状のステータ38と、このステータ38
に対向して配設される円環状のロータ39と、モータ回
転軸40と、ラバーシート41と、ディスクスプリング
42と、ボールベアリング43と、貫通孔44aを有す
るモータケース44とを備えている。
【0038】図5に示すように、ステータ38は、円周
方向に所定数に区分され、かつ隣り合う区分の分極方向
が交互に厚み方向に逆方向となるように分極された円環
状の圧電セラミック38aを、櫛歯を有する円環状の弾
性体38bに貼り付けられて構成されている。このステ
ータ38は、弾性体38bの櫛歯面がロータ39に対向
するようにして配置されている。
【0039】ロータ39は、環状のディスク部39a
と、このディスク部39aの外周縁に形成された環状の
フランジ部39bとから構成されている。ディスク部3
9aの内周面には、4個の係止突起39cが周方向に等
間隔に配置されて径方向に突設されている。
【0040】モータ回転軸40は、軸部40aと、この
軸部40aの一端に設けられたディスク状のフランジ部
40bとからなっている。軸部40aの他端にはスプラ
イン溝40cが形成されている。また、フランジ部40
bの軸部40a側の面には、ロータ39の係止突起39
cが嵌合可能な4個の係止溝40dが形成されている。
これらの係止溝40dに係止突起39cが嵌合すること
により、ロータ39とモータ回転軸40とが周方向に互
いに係合し、一体に回転するようになっている。更に、
フランジ部40bの軸部40a側と反対側の面には、ク
ラッチ機構11の後述するパウル46 ,47が配置され
る凹部40eが設けられていると共に、この凹部40e
内にパウル支持軸40fが設けられている。図5では、
凹部40eとパウル支持軸40fとが1組しか記載され
ていないが、これら凹部40eとパウル支持軸40fと
は、フランジ部40bの中心に関して対称な位置にも設
けられている。なお、これらの凹部40eおよびパウル
支持軸40fは、後述するクラッチ機構11を構成する
ものである。更に、軸部40aとフランジ部40bとを
軸方向に貫通する貫通孔40gが穿設されている。
【0041】図6に示すように、ラバーシート41およ
びディスクスプリング42はともに円環ディスク状に形
成されており、ディスクスプリング42はラバーシート
41を介してロータ39を加圧している。これにより、
ロータ39とディスクスプリング42とはこれらの間に
介在されるラバーシート41の摩擦で一体回転するよう
になっていると共に、ディスクスプリング42の加圧力
で、ステータ38とロータ39との間に、ロータ39が
回転するための摩擦力が得られるようになっている。
【0042】ボールベアリング43は、ディスクスプリ
ング42をスラスト方向に支持すると共に、モータケー
ス44の貫通孔44aに嵌合固定されて、モータ回転軸
40の軸部40aを回転可能に支持するようになってい
る。また、このモータケース44は、4個のねじ45に
よりフレームの側壁16に固定されるようになってい
る。
【0043】図5に示すように、クラッチ機構11は、
メインパウル46と、サブパウル47と、慣性プレート
48と、慣性スプリング49とを備えているとともに、
図2に示すようにクラッチギヤ50を備えていて、超音
波モータ10の所定角加速度より小さい角加速度での始
動時には作動しなく、超音波モータ10の所定角加速度
以上の大きな角加速度での始動時には作動する角加速度
クラッチからなっている。
【0044】メインパウル46は、一端側に穿設され、
モータ回転軸40のフランジ部40bのパウル支持軸4
0fに回転可能に嵌合される回転軸孔46aと、この回
転軸孔46aの反対側の端に設けられた係止爪46b
と、回転軸孔46aと係止爪46bの間に突設されたピ
ンからなるカムフォロワ46cとからなっている。
【0045】サブパウル47は、メインパウル46とま
ったく同じに形成されており、同様に回転軸孔47a
と、係止爪47bと、カムフォロワ47cとからなって
いる。
【0046】慣性プレート48は環状のディスクからな
り、一対のカム孔48a,48bが中心点に関して対称
に穿設されている。これらのカム孔48a,48bに
は、それぞれメインパウル46のカムフォロワ46cお
よびサブパウル47のカムフォロワ47cが嵌合される
ようになっている。また、慣性スプリング49の一端を
支持するスプリング支持部48cが設けられている。
【0047】慣性スプリング49は、環状ばね部49a
と、この環状ばね部49aからそれぞれ延びた一対の支
持部49b,49cとからなっている。この慣性スプリ
ング49は、一方の支持部49bがモータ回転軸40の
フランジ部40bに設けられた図示しないスプリング支
持部に支持されると共に、他方の支持部49cが慣性プ
レート48のスプリング支持部48cに支持されるよう
になっている。そして、慣性スプリング49は、超音波
モータ10の所定角加速度より小さい角加速度での通常
のスローな始動時には撓まないで、モータ回転軸40と
慣性プレート48との間に回転差を生じさせなくこれら
を一体回転させ、超音波モータ10の所定角加速度以上
の角加速度での急激な回転時には撓んでモータ回転軸4
0と慣性プレート48との間に回転差を生じさせるよう
になっている。
【0048】図2および図8に示すように、クラッチギ
ヤ50は、環状のディスク部50aと、ディスク部50
aの外周縁に突設され、内周面に内歯50bを有する環
状歯部材50cと、ディスク部50aの内周縁に突設さ
れ、外周面に外歯50dを有するサンギヤ50eと、ト
ーションバー27の第1軸部27fにベアリング51
(図5に図示)を介して相対回転可能に嵌合される貫通
孔50fとからなっている。なお、サンギヤ50eは後
述する減速機構12を構成するものである。
【0049】そして、環状のステータ38、環状のロー
タ39、筒状のモータ回転軸40、各パウル46,4
7、環状の慣性プレート48、慣性スプリング49、お
よび環状のクラッチギヤ50を組み立てた状態では、図
8に示すようにモータ回転軸40がロータ39を貫通す
ると共にクラッチギヤ50がステータ38を貫通し、更
にステータ38とロータ39とをの間に、各パウル4
6,47、環状の慣性プレート48、慣性スプリング4
9およびクラッチギヤ50の環状歯部材50cが効率よ
くコンパクトにレイアウトされるようになる。すなわ
ち、超音波モータ10はクラッチ機構11を内蔵した形
で組み立てられてフレーム2の左側壁16にコンパクト
に取り付けられるようになる。
【0050】更に、この組立状態において、超音波モー
タ10が所定角加速度より小さい角加速度のスロースタ
ートで回転してモータ回転軸40と慣性プレート48と
に回転差が生じないときは、各パウル46,47は非係
合位置にあり、それらの係止爪46b,47bがクラッ
チギヤ50の内歯50bに係合しないようになってい
る。すなわち、このときは、クラッチ機構11は作動し
なく遮断されたままであるので、超音波モータ10の回
転トルクはクラッチギヤ50に伝達されない。
【0051】更に、超音波モータ10が所定角加速度以
上の大きな角加速度の急激なスタートで回転してモータ
回転軸40と慣性プレート48とに回転差が生じたとき
は、各パウル46,47のカムフォロワ46c,47cが
それぞれ慣性プレート48のカム孔48a,48bにガ
イドされるので、各パウル46,47は作動して係合位
置となり、それらの係止爪46b,47bがクラッチギ
ヤ50の内歯50bに係合するようになっている。すな
わち、このときは、クラッチ機構11は作動して接続さ
れ、超音波モータ10の回転トルクがクラッチギヤ50
に伝達されるようになる。
【0052】図2および図10に示すように、減速機構
12は、円環状のリング部材52に設けられたインター
ナルギヤ52aと、サンギヤ50eに噛合する4個のプ
ラネタリギヤ53と、これらのプラネタリギヤ53を回
転可能に支持するキャリヤ54とからなり、サンギヤ5
0e入力でキャリヤ54出力の遊星歯車減速機構から構
成されている。
【0053】リング部材52は、4個のプラネタリギヤ
53がそれぞれ噛合する内歯からなるインターナルギヤ
52aを備えたリング部52bと、このリング部52b
の側面に設けられ、フレーム2の側壁16の小孔16b
のうち、3個の小孔16bに嵌合されて、このリング部
材52を側壁16に取り付けるための3個の取付ピン5
2cとを備えている。リング部52bの取付ピン52c
と反対側の側面には、図8に示すようにステータ38が
固定されており、これにより、リング部材52はステー
タ38の回転止めを行うと共に、側壁16とステータ3
8との間にスラスト方向の空間を形成している。
【0054】キャリヤ54は、環状のディスク部54a
と、4個のプラネタリギヤ53をそれぞれ回転可能に支
持する4個の支持軸54b(図8に図示)と、断面正6
角形の筒状の軸部54cとからなっている。軸部54c
はリール4における貫通孔4dの側壁16側端部の断面
正6角形状孔に嵌合されてリール4とキャリヤ54とが
一体回転するようになっていると共に、この軸部54c
の内側に断面正6角形状の第2トルク伝達部27dが嵌
合されてトーションバー27とキャリヤ54とが一体回
転するようになっている。このとき、図8に示すように
Eリング55によりディスク部54aが第2トルク伝達
部27dとの間に挟持されて、キャリヤ54の軸方向の
抜け止めがされるようになっている。
【0055】図7に示すように、スプリング手段13
は、スプリングケース56と、第1スパイラルスプリン
グ57と、第2スパイラルスプリング58と、環状のジ
ョイントブッシュ59と、トーションバー27の第1軸
部27fのスプライン溝27eに相対回転不能にスプラ
イン嵌合されるブッシュシャフト60と、モータケース
44の外側に固定されるハウジング61とを備えてい
る。
【0056】スプリングケース56は、中心部に配置さ
れ、内周縁にスプライン溝56aが形成された貫通孔を
有するディスク部56bと、このディスク部56bの貫
通孔と同心に配置された円環状の周壁板56cと、ディ
スク部56bと周壁板56cとを接続する6本のスポー
ク56dとからなっている。このディスク部56bのス
プライン溝56aにモータ回転軸40の軸部40aのス
プライン溝40cがスプライン嵌合して、モータ回転軸
40とスプリングケース56とが一体回転するようにな
っている。また、周壁板56cにはフック部56eが設
けられており、このフック部56eに、第1スパイラル
スプリング57の外端係止部57aが係止されるように
なっている。
【0057】第1スパイラルスプリング57のばね定数
は第2スパイラルスプリング58のばね定数より大きく
設定されていて、第1スパイラルスプリング57が高ト
ルクのばねで、第2スパイラルスプリング58が低トル
クのばねとなっている。
【0058】ジョイントブッシュ59は環状に形成され
ており、このジョイントブッシュ59には、第1および
第2フック部59a,59bが設けられている。第1フ
ック部59aには、第1スパイラルスプリング57の内
端係止部57bが係止されるとともに、第2フック部5
9bには、第2スパイラルスプリング58の外端係止部
58aが係止されるようになっている。
【0059】ブッシュシャフト60は筒状に形成されて
おり、その内周面にはスプライン溝60aが形成されて
いると共に、その外周側には一対のフック部60b,6
0cが設けられている。スプライン溝60aはトーショ
ンバー27の第1軸部27fのスプライン溝27eにス
プライン嵌合されて、第1軸部27fとブッシュシャフ
ト60とが一体回転するようになっている。また、フッ
ク部60b,60cの一方に、第2スパイラルスプリン
グ58の内端係止部58bが係止されるようになってい
る。
【0060】このようにして、これらの第1および第2
スパイラルスプリング57,58はジョイントブッシュ
59を介して直列に接続され、ともにリール4をベルト
巻取り方向βに常時付勢するように設けられている。そ
して、リール4からシートベルト3が引き出されるとき
には、まずばね定数の小さい第2スパイラルスプリング
58が巻き締められ、その後ばね定数の大きい第1スパ
イラルスプリング59が巻き締められるようになる。
【0061】ハウジング61は、筒状部61aと、この
筒状部61aに設けられたフランジ部61bとからなっ
ている。筒状部61a内に、スプリングケース56、第
1および第2スパイラルスプリング57,58、ジョイ
ントブッシュ59、およびブッシュシャフト60が収容
されるようにして、フランジ部61bがモータケース4
4の外側に取付固定されるようになっている。
【0062】図6に示すように、モータ回転量検出手段
14は、歯車減速機構62と、ボリュームタイプのモー
タ回転ボリューム検出計63とを備えている。歯車減速
機構62の回転取出しギヤ62aは、その外歯がモータ
回転軸40の軸部40dのスプライン溝40cに噛合し
てモータ回転軸40の回転を取り出すようになってい
る。そして、モータ回転軸40の回転が歯車減速機構6
2により減速されて、モータ回転軸40の回転量の絶対
値がモータ回転ボリューム検出計63でモータボリュー
ム値として連続的に検出されるようになる。
【0063】更に、図8に示すように、超音波モータ1
0を駆動するためのドライバユニット15にはマイクロ
コンピュータ等からなる中央処理装置(以下、CPUと
もいう)64が接続されている。このCPU64には、
リール回転ボリューム検出計35およびモータ回転検出
計63も接続されていると共に、更に前方物体検出セン
サ65、バックルスイッチ67、車速センサ68がそれ
ぞれ接続されている。
【0064】図7に示すように、前方物体検出センサ6
5は、例えば光学系センサで構成され、例えば車両のフ
ロントウィンドシールドの車室側の所定位置に取り付け
られる。そして、この前方物体検出センサ65は車両前
方にある物体を検出してその物体検出信号をCPU64
に送出する。また、バックルスイッチ67はシートベル
トの装着すなわちバックルとトングとの連結を検知して
その検知信号をCPU64に送出する。更に、車速セン
サ68は自車の走行速度を検知してその検知信号をCP
U64に送出する。
【0065】そして、CPU64は、これらの各検出
計、検出センサ、スイッチ等からの出力信号に基づいて
超音波モータ10を駆動制御し、シートベルト3のベル
トテンションを制御するようになっている。その場合、
シートベルト3のベルトテンションは、リール回転量検
出手段9からのリール回転量とモータ回転量検出手段1
4からのモータ回転軸の回転量とに基づいて、CPU6
4が算出するようになっている。
【0066】ところで、この例のシートベルト制御シス
テムにおいては、このようなベルトテンションの調節と
して、超音波モータ10によってスプリング手段13の
ばね力を制御することで行う場合と、超音波モータ10
で直接行う場合とが設定されている。
【0067】まず、スプリング手段13のばね力でベル
トテンションを調節する場合について説明する。この場
合は、超音波モータ10でスプリング手段13のばね力
を制御することが行われる。
【0068】このスプリング手段13のばね力の制御
は、本発明の被駆動部材であるリール4にばね力を付与
してこのリール4を常時巻取り方向に駆動するように付
勢する側の第1スパイラルスプリング58の内端の位置
とスプリングケース56でばね力の反力を受ける側の第
2スパイラルスプリング59の外端の位置との相対位
置、換言すれば、リール4の回転量を示すリール回転ボ
リューム検出計35のベルトボリューム値と超音波モー
タ10の回転量を示すモータ回転ボリューム検出計63
のモータボリューム値との差に基づいて行われる。
【0069】2つのボリューム値でばね力を制御するた
めには、これらのボリューム値に対する基準設定を行う
必要がある。そこで、図11に示すようにこの例では、
シートベルト3がリール4に巻き取られたリール4のベ
ルト格納位置を示すベルトボリューム値を初期基準値と
して設定する。このとき、後述するようにスプリング手
段13にリール4をベルト巻取り方向に付勢する小さな
ばね力f0が生じるように、超音波モータ10のモータ
回転軸40の回転位置を設定し、このときのモータボリ
ューム値をこの初期基準値と等しくなるように設定す
る。このように、シートベルト3が完全に巻き取られ、
巻取り方向の小さなばね力が生じている状態を基準とし
ている。なお、両ボリューム値は、いずれもリール4お
よび超音波モータ10がベルト引出し方向αに回転する
ときに大きくなるように設定されている。
【0070】また、この例のシートベルト制御システム
では、ばね力を次のように定義している。すなわち、図
11に示すようにベルトボリューム値とモータボリュー
ム値とが等しい状態では、前述のように巻取り方向の小
さなばね力が常に生じている状態となっており、この状
態をばね力「弱」と定義している。したがって、ベルト
が引き出されてベルトボリューム値がある大きな値とな
っても、超音波モータ10がベルト引出し方向αに回転
して、モータボリューム値がベルトボリューム値と等し
い値に設定されると、ばね力は巻取り方向の小さなばね
力となり、ばね力「弱」の状態となる。ベルトボリュー
ム値とモータボリューム値とにある一定量の差(+;以
下、第1設定差という)を持たせると、ばね力は、後述
するように「弱」の状態より大きいばね力となり、この
状態をばね力「中」と定義している。更に、ベルトボリ
ューム値とモータボリューム値とにこの第1設定差より
大きいある一定量の差(+;以下、第2設定差という)
を持たせると、ばね力は、「中」の状態より更に大きい
ばね力となり、この状態をばね力「強」と定義してい
る。
【0071】次に、超音波モータ10で直接ベルトテン
ションを調節する場合について説明する。この場合は、
クラッチ手段11がオン(係合)されて超音波モータ1
0とリール4とが直結される。このためには、超音波モ
ータ10は、クラッチ手段11がオンする速度以上の速
度で回転駆動されるとともに、超音波モータ10のトル
クの高低でベルトテンションが調節されるようになって
いる。
【0072】更に、この例のシートベルト制御システム
においては、超音波モータ10によるベルトテンション
調節のための9個のモードが設定されている。これらの
9個のモードは、非使用モード、ベルト引出しモード、
ベルト装着後のベルト長さ調節モード、ベルト巻取りモ
ード、コンフォートモード、注意モード、警告モード、
緊急モード、CRSモードである。
【0073】そして、これらのモードのうち、通常の走
行を行う場合に設定される、非使用モード、ベルト引出
しモード、ベルト長さ調節モード、ベルト巻取りモー
ド、およびコンフォートモードにおけるベルトテンショ
ン調節と通常の走行以外のある条件が成立すると設定さ
れるモードのうち、比較的小さなベルトテンションが設
定される注意モードとは、前述のばね力制御で行われ
る。また、前述の通常の走行以外のモードのうち、比較
的大きなベルトテンションが設定される警告モード、緊
急モード、およびCRSモードにおけるベルトテンショ
ン調節は超音波モータ10のトルクで直接行われる。更
に、このシートベルト制御システムにおいては、リール
4と超音波モータ10との直結から解放するためのクラ
ッチ解除モードが設定されており、クラッチ解除モード
のクラッチ解除制御は超音波モータ10のトルクで直接
行われる。
【0074】次に、各モードについて、説明する。非使
用モードは、シートベルト3がリトラクタ1のリール4
に、ベルトの緩みがない状態で完全に巻き取られている
ときにおいて、ベルトテンションが設定されるモードで
ある。この非使用モードでは、ベルトテンションは、ベ
ルト3がトングの自重で引き出されない程度の第1およ
び2スプリング57,58のばね力によるきわめて小さ
な値f0(例えば、0.14kgf強程度)に設定されてい
る。
【0075】ベルト引出しモードは、シートベルト3の
装着のためのシートベルト3の引出し時において、ベル
トテンションが設定されるモードである。このベルト引
出しモードでは、ベルトテンションは、乗員が、ベルト
引出し時に引出し力が軽いと感じるような比較的小さな
値f1(例えば、0.4kgf弱程度)に設定されている。
このとき、ベルト引出しは乗員が行うことから、その引
出し速度が比較的速いので、ベルトボリューム値とモー
タボリューム値との差に応じて超音波モータ10の速度
が制御されるようになっている。
【0076】ベルト装着後のベルト長さ調節モードは、
バックルとトングとの係合後におけるベルト長さ調節時
においてベルトテンションが設定されるモードである。
このベルト長さ調節モードでは、ベルトテンションは、
バックルとトングとの係合後のベルト長さ調節時にシー
トベルト3のスラッグを除去してシートベルト3が乗員
にフィットための比較的大きな値f2(例えば、0.5kg
f強程度)に設定されている。
【0077】このベルト長さ調節モードにおけるシート
ベルトの長さ調節は、まず始めに乗員が車両のシートに
正姿勢で着座し、バックルにトングを係合してシートベ
ルト3を装着した状態で、CPU64が超音波モータ1
0を一旦ベルト巻取り方向βにゆっくりと回転させ、シ
ートベルト3を着座した乗員にフィットした状態となる
まで巻き取ることにより、行われる。
【0078】ベルト巻取りモードは、シートベルト3の
装着解除でのシートベルト3の巻取り時において、ベル
トテンションが設定されるモードである。このベルト巻
取りモードでは、ベルトテンションは、ベルト巻取り時
にシートベルト3を所定時間(例えば、2sec)内で完
全に巻き取るような比較的大きな値f4(例えば、0.6
kgf強程度)に設定されている。その場合、超音波モー
タ10がばねを強める方向に回転することから、ばねの
負荷が非常に大きくなるおそれがあるので、超音波モー
タ10の回転速度を遅くしてベルトを巻き取る必要があ
る。
【0079】これらのベルト引出しモード、ベルト長さ
調節モード、およびベルト巻取りモードにより、シート
ベルトリトラクタ1は、ベルト引出しを軽く行うことが
できると共に、ベルト巻取りを迅速にかつ完全に行うこ
とができ、更にベルトスラッッグを自動的に除去するこ
とができるコンビニエンス機能を発揮するようになる。
【0080】コンフォートモードは、通常運転時および
通常運転時の物取り等のための乗員の移動時におけるベ
ルトテンションが設定されるモードである。このコンフ
ォートモードでは、ベルトテンションは、通常運転時の
ベルト装着状態で、乗員がシートベルト3からの負荷を
軽いと感じるようにしながら、しかも物取り等の動作を
容易にするためにシートベルト3の長さ調節を可能にす
る程度の比較的小さな値f3(例えば、0.3kgf弱程
度)に設定されている。
【0081】シートベルト制御システムをこのコンフォ
ートモードに設定させる条件として、例えば、1. 前方
に検出物体がないとき、2. 前方の検出物体が近づいて
こないときの2つの条件が設定されている。
【0082】そして、コンフォートモードの条件の一つ
が成立しているか否かを実際に判断するにあたっては、
前方物体検出センサ65からの物体検出信号がないこ
と、前方物体検出センサ65からの物体検出信号があっ
たとき、自車の速度と物体の速度との差、すなわち自車
と物体との相対速度が、相対速度≦0である(すなわ
ち、物体が自車に近づいてこない)こと、あるいは他の
モードが成立されていないことをCPU64が判断する
ことにより、コンフォートモードの条件が成立している
と判断する。
【0083】シートベルト制御システムのコンフォート
モード設定は次のようにして行われる。ベルト長さ調節
モードでシートベルト3を着座した乗員にフィットした
状態にした後、CPU64はシートベルト制御システム
が正常であるか否かを判断するとともに、乗員の正姿勢
の着座状態をチェックして初期条件を設定する。その後
で、超音波モータ10をベルト引出し方向αにゆっくり
と回転させて、スプリング手段13による巻取り力を緩
和してベルトテンションを比較的小さな値fに調節す
ることにより、シートベルト制御システムをコンフォー
トモードに設定する。
【0084】また、システムがコンフォートモードに設
定されている状態で、乗員が例えば物取り等により若干
動いてシートベルト3が引き出された場合には、CPU
64は、乗員が元の正姿勢に戻ったとき、設定されたば
ね力fにより、シートベルト3が引き込まれるのを検
出し、超音波モータ10を制御して元のコンフォートモ
ードの状態に戻すようにしている。
【0085】更に、コンフォートモード以外の他のモー
ドに設定されているシートベルト制御システムを、コン
フォートモードに設定するには、コンフォートモードの
条件の一つが成立されてから所定時間経過後に、前述と
同様に一旦シートベルト3を巻き取り、その後にコンフ
ォートモードに設定する。
【0086】注意モードは、車両の運転中、接近してく
る前方の検出物体に対して乗員の回避動作に充分余裕が
あるときにおけるベルトテンションモードである。この
注意モードでは、ベルトテンションは、シートベルト3
のベルトテンションをスプリング手段13のばね力によ
る巻取り力のみによる値に設定しているが、その場合ベ
ルトテンションは、コンフォートモードの場合よりも少
し強めた値(前述のf2より若干小さい値、例えば0.5
0kgf程度)に設定している。すなわち、超音波モータ
10の回転トルクによる巻取り力がベルトテンションに
直接寄与しないようにしている。シートベルト制御シス
テムをこの注意モードに動作させる条件として、1. シ
ートベルト3を装着、離脱するとき、2. 自車が速度1
0〜20km/h以上で走行中に、検出物体が近づきつつあ
るが、乗員の回避動作に充分余裕があるとき、またはす
でに減速等の回避動作を行っているとき、の2つの条件
が設定されている。
【0087】注意モードの動作条件の一つが成立してい
るか否かを実際に判断するにあたっては、まず1の条件
はトングとバックルとの連結、分離を、バックルスイッ
チ67により検出して判断する。
【0088】また2の条件の成立判断は、まず自車走行
速度が所定速度であるとき、前方物体検出センサ65か
らの物体検出信号により自車と物体との前後方向の相対
距離および相対速度を求め、自車走行速度が相対速度よ
り大きくかつ相対速度が正であるとき、(1) 先にある物
体が自車と同方向に走行している先行車でありかつこの
先行車との相対距離が縮まる追従走行であると判断す
る。また自車走行速度が相対速度以下であるとき、(2)
先にある物体が静止物または対向車であると判断する。
そして、まず、自車を同じ設定減速度で減速したときの
安全車間距離を(1)および(2)のそれぞれについて求め、
相対距離が求めた安全車間距離以下のとき、2の条件が
成立していると判断する。
【0089】シートベルト制御システムを注意モードに
設定するには、注意モードの条件が成立していると判断
したとき、所定時間経過後に超音波モータ10をベルト
巻取り方向βにゆっくりと回転させる。これにより、シ
ートベルト制御システムを、シートベルト3にスプリン
グ手段13による巻取り力のみが加えられた状態で、ベ
ルトテンションを、前述のようにコンフォートモードの
場合よりも強めた値に設定した後、超音波モータ10を
停止する。こうして、シートベルト制御システムを注意
モードに設定する。なお、この注意モードは必ずしも必
要ではなく、場合によっては省略することもできる。
【0090】警告モードは、車両の運転中、接近してく
る前方の検出物体に対して、ただちに乗員の回避動作が
必要なときにおけるベルトテンションが設定されるモー
ドである。この警告モードでは、ベルトテンションは、
クラッチ機構11を介して、超音波モータ10の低トル
クで直接シートベルト3をモータ回転軸40が停止する
まで巻き取ることにより、注意モードの場合よりかなり
大きな値f5(例えば、4〜5kgf程度)に設定される。
この場合のベルトテンションは乗員がシートベルト3を
引いたと感じる大きさの荷重であり、これにより、乗員
は体感で、ただちに回避動作が必要であることの警告を
知ることができるようになっている。シートベルト制御
システムをこの注意モードに動作させる条件として、
1. 検出物体が近づきつつあって、ただちに乗員の回避
動作が必要なとき、の条件が設定されている。
【0091】警告モードの動作条件が成立しているか否
かを実際に判断する方法は、前述の注意モードの場合と
ほとんど同じであり、安全車間距離を求めるが、この安
全車間距離は注意モードの場合より短く設定されてい
る。求めた安全車間距離が相対距離以上であるとき、1
の条件が成立していると判断する。
【0092】シートベルト制御システムを警告モードに
設定するには、警告モードの条件が成立していると判断
したとき、超音波モータ10をベルト巻取り方向βに注
意モードの場合より急激に回転させる。これにより、ク
ラッチ機構11が作動して、超音波モータ10とリール
4とが直結される。そして、超音波モータ10の低トル
クでモータ回転軸40が停止するまでリール4をベルト
巻取り方向βに回転させ、ベルトテンションを、前述の
ように注意モードの場合よりも強めた値に設定した後、
超音波モータ10を停止する。こうして、シートベルト
制御システムを警告モードに設定する。
【0093】緊急モードは、車両の運転中、接近してく
る前方の検出物体に対して、回避の余裕がなく、乗員の
回避動作が不能であるときにおけるベルトテンションが
設定されるモードである。この緊急モードでは、ベルト
テンションは、クラッチ機構11を作動して、超音波モ
ータ10の高トルクで直接シートベルト3を強制的に一
定時間巻き取ることにより、警告モードの場合より大き
な値(例えば6kgf以上等)に設定される。この場合の
ベルトテンションは、乗員がかなりきつく感じる大きさ
の荷重である。シートベルト制御システムをこの緊急モ
ードに動作させる条件として、1. 自車が速度10〜2
0km/h以上で走行中に、ドライバーの回避動作では検出
物体との衝突が回避できないとき、の条件が設定されて
いる。
【0094】緊急モードの動作条件が成立しているか否
かを実際に判断するにあたっては、自車走行速度が所定
速度以上であり、自車と物体との相対速度および相対距
離、予め設定されているシステムの作動完了時間、予め
設定した設定余裕距離等に基づいて、緊急モードの条件
が成立していると判断する。
【0095】シートベルト制御システムを緊急モードに
設定するには、緊急モードの条件が成立していると判断
したとき、超音波モータ10をベルト巻取り方向βに急
激に回転させる。これにより、クラッチ機構11が作動
して、超音波モータ10とリール4とが直結される。そ
して、ベルトテンションを、超音波モータ10の高トル
クで直接シートベルト3を強制的に一定時間巻き取るこ
とにより、前述のように警告モードの場合より強めた値
に設定した後、超音波モータ10を停止する。こうし
て、シートベルト制御システムを緊急モードに設定す
る。
【0096】CRSモードは、例えば図12に示すよう
に車両シート69にシートベルト3によってチャイルド
シート70を固定するときにおけるベルトテンションが
設定されるモードである。このCRSモードでは、ベル
トテンションは、車両シート69にチャイルドシート7
0を堅固に固定するために、緊急モードと同等かそれ以
上の大きな値(例えば6kgf以上等)に設定される。
【0097】シートベルト制御システムをCRSモード
に設定するには、バックルとトングとを係合した後、バ
ックルに設けられたCRSモード選択ボタンを押すこと
により、CPU64が超音波モータ10をベルト巻取り
方向βに注意モードの場合より急激に回転させる。これ
により、クラッチ機構11が作動して、超音波モータ1
0とリール4とが直結される。そして、超音波モータ1
0の高トルクの回転トルクでモータ回転軸40が停止す
るまでリール4をベルト巻取り方向βに回転させ、ベル
トテンションを、前述のように緊急モードと同等かそれ
以上の大きな値に設定した後、超音波モータ10を停止
する。こうして、シートベルト制御システムをCRSモ
ードに設定する。
【0098】クラッチ解除モードは、オンしたクラッチ
機構11を解除するモードであり、このクラッチ解除モ
ードに設定するには、クラッチ機構11をオンするモー
ドの設定が解除されたとき、CPU64が超音波モータ
10をベルト引出し方向αにに逆回転(クラッチ機構1
1のオン方向であるベルト巻取り方向βに対して逆方向
に回転)させる。
【0099】一方、前述のように通常の走行を行う場合
は、ベルトテンションはばね力制御により調節される
が、この場合のシートベルトの状態は図13ないし図1
5に示すパターンに分けられる。すなわち、ドアが閉じ
ているかあるいは開いているかで分けられると共に、ド
アが閉じている状態で、バックルスイッチ67がオフで
あるかあるいはオンであるかに分けられる。
【0100】まず、乗員が乗車してドアを閉じてシート
に着座したが、シートベルトが装着される前の状態、つ
まりドアが閉でバックルスイッチ67がオフの状態につ
いて説明する。図13に示すように、この状態では、更
に次の3つのパターンがある。まず、パターン1はシー
トベルトが非使用でシートベルト3が完全に格納された
位置にある状態であり、この状態では、ばね力は「弱」
に設定される。この状態から、乗員はシートベルト装着
のためにシートベルト3を引き出すが、このベルト引出
し時には、後述するように、シートベルト3の引出し時
にはリール4がベルト引出し方向αに回転するが、この
リール4の回転に追従して超音波モータ10もベルト引
出し方向αに回転し、図示しないがばね力は「弱」に設
定される。
【0101】次に、パターン2はシートベルト3の引出
しを引出し途中で停止した状態である。この状態では、
リール4の引出し方向αの回転が停止するが、これに追
従して超音波モータ10の回転も停止する。そして、超
音波モータ10の停止後、所定時間t1(例、0,5秒)
経過すると、ばね力は「強」に設定される。これは、シ
ートベルト3の引出しが停止し、所定時間t1が経過し
たときは、CPU64は乗員がシートベルトの装着を止
めたと判断し、引き出されたシートベルト3を再び巻き
取るためにばね力を「強」に設定するものである。
【0102】次に、パターン3は前述のパターン2のば
ね力「強」に設定された後、再度シートベルト3の引出
しが行われた状態である。この状態では、リール4が引
出し方向αに回転する。CPU64はこのシートベルト
3の引出しを検出し、超音波モータ10を制御してベル
ト引出し方向αに追従回転させて、ばね力を「弱」に設
定するものである。
【0103】次いで、シートベルトが装着された後の状
態、つまりドアが閉でバックルスイッチ67がオンの状
態について説明する。図14に示すように、この状態で
は、更に次の2つのパターンがある。まず、パターン1
は、乗員がシートベルト3を装着に必要な量だけ十分に
引き出してトングをバックルに係合し、バックルスイッ
チ67がオンとなったときの状態である。このときは、
ばね力は「強」に設定される。これは、トングがバック
ルに係合したときは、シートベルト3が十分に引き出さ
れて乗員にフィットしていなく弛んでいるので、シート
ベルト3を巻き取るためである。
【0104】次に、パターン2は、シートベルト3が巻
き取られて乗員にフィットし、シートベルト3の弛みが
なく、リール4の回転が停止した状態である。そして、
リール4の停止つまりベルトボリューム値の変化なしが
所定時間t2(例、1秒)以上経過すると、ばね力は
「中」に設定される。これは、シートベルト3が乗員に
完全にフィットしたとCPU64が判断し、乗員に対す
るシートベルトによる圧迫感をなくすためにばね力を
「中」に設定するものであり、コンフォートモードに設
定される。
【0105】更に、ドアが開いている状態について説明
する。図15に示すように、ドアが開いているときは、
バックルスイッチ67のオン、オフに関わらず、すなわ
ち、図13および図14に示すすべてのパターンのベル
ト状態において、ばね力は「強」に設定される。これ
は、ドアが開いているときは、シートベルト3を強制的
に巻き取るようにするためである。このばね力「強」の
状態はドアが閉じられるまで保持され、ばね力の制御は
停止される。
【0106】次に、ばね力制御を行うためのフローにつ
いて説明する。ばね力制御は基本的に図13ないし図1
5示す3つの制御で構成され、そのフローもこれらの3
つの制御に沿ったフローとなっている。すなわち、図1
6に示すように、まずステップS1でドアが開いている
か否かが判断され、ドアが開いていないと判断される
と、ステップS2でバックルスイッチ67がオンか否か
が判断される。バックルスイッチ67がオンでないと判
断されると、ステップS3で図13に示すばね力制御が
行われる。
【0107】また、ステップS2でバックルスイッチ6
7がオンであると判断されると、ステップS4で図14
に示すばね力制御が行われる。その場合、CPU64
は、通常走行時に設定されるモード以外の「緊急」、
「警告」、「注意」および「CRSスイッチオン」のい
ずれかのモードが設定されていると判断すると、図13
に示すばね力制御によるベルトテンション調節を停止し
て、設定されているモードに対応した、超音波モータ1
0の直接のトルクによるベルトテンション調節を行う。
この通常走行時のモード以外のモードでのベルトテンシ
ョン調節のフローについては後述する。更に、ステップ
S1でドアが開いていると判断されると、ステップS5
で図15に示すばね力制御が行われる。
【0108】次に、通常走行時のモード以外のモードの
ベルトテンション調節のフローについて説明する。ま
ず、緊急モードでは、図17に示すようにステップS6
で、緊急モードの条件が成立しているか否かが判断され
る。緊急モードの条件が成立していないと判断される
と、後述する警告モードのベルトテンション調節のフロ
ーに移行する。緊急モードの条件が成立していると判断
されると、緊急モードのばね力制御が行われる。すなわ
ち、ステップS7で緊急モードの動作開始つまり超音波
モータ10の駆動開始から経過した時間が所定時間t3
(例、0.3秒)未満であるか否かが判断される。経過
時間が所定時間t3未満であると判断されると、ステッ
プS8でクラッチ機構11がオンする回転速度以上の最
大速度で超音波モータ10がベルト引出し方向αに回転
する。これにより、超音波モータ10は、クラッチ機構
11および減速機構12を介してリール4に迅速に直結
し、超音波モータ10の回転がリール4に直接に伝達さ
れるようになる。
【0109】ステップS7で経過時間が所定時間t3
満でないと判断されると、ステップS9でこの経過時間
が所定時間t4(例、3秒)未満であるか否かが判断さ
れる。経過時間が所定時間t4未満であると判断される
と、ステップS10で超音波モータ10が中間速度でか
つ高トルクで回転される。これにより、ベルトテンショ
ンは非常に大きな値に設定される。ステップS9で経過
時間が所定時間t4未満でないと判断されると、ステッ
プS11で超音波モータ10が停止され、モードをコン
フォートモードへ移行する。
【0110】以上の事項を整理すると、緊急モードで
は、緊急モードの条件成立により、超音波モータ10の
駆動開始後所定時間t3が経過するまでは、超音波モー
タ10を最大速度で回転してクラッチ機構11をオン
し、迅速にリール4に直結すると共に、超音波モータ1
0の駆動開始後所定時間t3が経過しかつ所定時間t4
経過するまでは、超音波モータ10を中間速度でかつ高
トルクで回転してリール4を超音波モータ10の高トル
クで回転することにより、ベルトテンションを最大にす
る。これにより、緊急モードでは、乗員を迅速にかつ強
固に拘束するようになる。そして、超音波モータ10の
駆動開始後所定時間t4が経過したら、超音波モータ1
0を停止し、その後モードをコンフォートモードに設定
する。
【0111】前述のように、ステップS6で緊急モード
の条件が成立していないと判断されると、警告モードで
のベルトテンション調節のフローに移行する。図18に
示すように、この警告モードでは、まずステップS12
で、警告モードの条件が成立しているか否かが判断され
る。警告モードの条件が成立していないと判断される
と、後述するCRSモードのベルトテンション調節のフ
ローに移行する。警告モードの条件が成立していると判
断されると、警告モードのばね力制御が行われる。すな
わち、ステップS13で警告モードの動作開始つまり超
音波モータ10の駆動開始から経過した時間が所定時間
5(例、0.1秒)未満であるか否かが判断される。経
過時間が所定時間t5未満であると判断されると、ステ
ップS14で緊急モードの場合と同様に、クラッチ機構
11がオンする回転速度以上の最大速度で超音波モータ
10がベルト引出し方向αに回転する。これにより、前
述の緊急モードと同様に超音波モータ10は、リール4
に迅速に直結される。
【0112】ステップS13で経過時間が所定時間t5
未満でないと判断されると、ステップS15でこの経過
時間が所定時間t6(例、5秒)未満でかつリール4の
回転停止から所定時間t7(例、1秒)未満であるか否
かが判断される。超音波モータ10の駆動開始からの経
過時間が所定時間t6未満でありかつリール4の回転停
止からの所定時間t7未満であると判断されると、ステ
ップS16で超音波モータ10が最小速度でかつ低トル
クで回転される。これにより、ベルトテンションは、前
述の値f5に設定され、中間の大きさとなる。
【0113】ステップS15で経過時間が所定時間t7
未満でないと判断されると、ステップS17で緊急モー
ドの場合と同様に超音波モータ10が停止され、モード
をコンフォートモードへ移行する。
【0114】以上の事項を整理すると、警告モードで
は、警告モードの条件成立により、超音波モータ10の
駆動開始後所定時間t5が経過するまでは、緊急モード
の場合と同様に超音波モータ10を最大速度で回転して
クラッチ機構11をオンし、迅速にリール4に直結する
と共に、超音波モータ10の駆動開始後所定時間t5
経過すると、超音波モータ10の駆動開始後所定時間t
6が経過しかつリール4の停止から所定時間t7経過する
までは、超音波モータ10を最小速度でかつ低トルクで
回転することにより、ベルトテンションを中間の大きさ
5にする。これにより、警告モードでは、乗員を迅速
にかつ緊急モードよりは弱いが強固に拘束するようにな
る。そして、超音波モータ10の駆動開始後所定時間t
7が経過したら、超音波モータ10を停止し、その後モ
ードをコンフォートモードに設定する。
【0115】前述のように、ステップS12で警告モー
ドの条件が成立していないと判断されると、CRSモー
ドのベルトテンション調節のフローに移行する。図19
に示すように、このCRSモードでは、まずステップS
18で、CRSスイッチがオンしているか否かが判断さ
れる。CRSスイッチがオンしていないと判断される
と、後述するクラッチ解除モードのクラッチ解除制御の
フローに移行する。CRSスイッチがオンしていると判
断されると、CRSモードのベルトテンション調節が行
われる。すなわち、ステップS19で、クラッチ機構1
1がオンする回転速度以上の中速度以上ので速度でかつ
高トルクで超音波モータ10がベルト引出し方向αに回
転する。これにより、ベルトテンションは、緊急モード
以上の最大の大きさとなる。
【0116】以上の事項を整理すると、CRSモードで
は、超音波モータ10を中速度以上の速度でかつ高トル
クで回転してリール4を超音波モータ10の高トルクで
回転することにより、ベルトテンションを最大の大きさ
にする。これにより、CRSモードでは、チャイルドシ
ートを車両のシートに強固に固定するようになる。
【0117】前述のように、ステップS18でCRSス
イッチがオンしていないと判断されると、クラッチ解除
モードの制御フローに移行する。図20に示すように、
このクラッチ解除モードでは、まずステップS20で、
クラッチ解除モードが設定されているか否かが判断され
る。クラッチ解除モードが設定されていないと判断され
ると、シートベルト制御システムはコンフォートモード
であり、超音波モータ10のトルクによるベルトテンシ
ョン調節は行われない。
【0118】ステップS20で、クラッチ解除モードが
設定されていると判断されると、ステップS21で、ク
ラッチ解除モードの動作開始つまり超音波モータ10の
回転駆動開始から経過した時間が所定時間t8(例、1
秒)未満であるか否かが判断される。経過時間が所定時
間t8未満であると判断されると、ステップS22で超
音波モータ10は最小速度で逆回転つまりベルト巻取り
方向βに回転する。これにより、オンしていたクラッチ
機構はオフ(非係合)となる。経過時間が所定時間t8
未満でないと判断されると、ステップS23で超音波モ
ータ10が停止され、モードをコンフォートモードへ移
行する。
【0119】以上の事項を整理すると、クラッチ解除モ
ードでは、超音波モータ10を経過時間が所定時間t8
未満だけ最小速度でベルト巻取り方向βに回転させてク
ラッチ機構11をオフにし、経過時間が所定時間t8
上になると、超音波モータ10が停止され、モードをコ
ンフォートモードへ移行する。
【0120】図21は、この例のシートベルト制御シス
テムにおける自動車の各モードにおけるベルトテンショ
ンを示す図である。なお、この図21では、注意モー
ド、緊急モード、CRSモードおよびクラッチ解除モー
ドは省略されている。
【0121】図21に示すように、まず、例えば運転者
等の乗員が自動車に乗る前では、シートベルト制御シス
テムは非使用モードとなっている。この状態では、リー
ル4がシートベルト3を完全に巻き取った状態となって
おり、前述のベルトボリューム値はベルト格納位置とな
り、またモータボリューム値はベルトボリューム値と等
しくなっている。この非使用モードでは、ベルト巻取り
方向βの「弱」のばね力による小さなベルトテンション
0が生じている。
【0122】この状態から、乗員が自動車に乗ってシー
トに着座し、シートベルトを装着するためにシートベル
ト3を引き出すと、シートベルト制御システムはベルト
引出しモードとなる。このシートベルト3の引出しによ
りリール4がベルト引出し方向αに回転するので、ベル
トボリューム値がリール4の回転量の増大とともに連続
的に増大する。このベルトボリューム値はCPU64に
入力される。CPU64は、このボリューム値信号によ
りリール4のベルト引出し方向αの回転が開始したと判
断して、超音波モータ10をリール4の回転に追従連動
させて、モータボリューム値がベルトボリューム値と等
しくまたはほぼ等しくなるようにベルト引出し方向αに
回転する。このモータボリューム値もCPU64に入力
される。したがって、ばね力はほとんど増大することな
く「弱」状態に保持され、ベルト引出しは軽い引出し力
でスムーズに行われる。
【0123】そして、シートベルト3がベルト装着に必
要な量を超えてある程度引き出されると、CPU64は
超音波モータ10の回転を停止し、モータボリューム値
がほぼ一定となる。しかし、シートベルト3は引き続き
引き出されるので、ベルトボリューム値とモータボリュ
ーム値との差が大きくなってほぼ第1設定差となり、ば
ね力がほぼ「中」状態にまで増大し、ベルトテンション
が大きくなる。そして、乗員は、従来の3点式シートベ
ルトと同様にシートベルト3に摺動可能に取り付けられ
ているトング(不図示)を車体に固定されたバックル
(不図示)に連結した後、トングおよびシートベルト3
から手を離すと、シートベルト制御システムはベルト長
さ調節モードとなり、スプリング手段13のばね力でベ
ルト巻取り方向βに回転を開始し、シートベルト3の巻
取りを開始する。このとき、ベルトボリューム値は小さ
くなる。そして、このベルト長さ調節モードでは、トン
グとバックルとの連結と同時に、バックルスイッチ67
がオンしてそのオン信号がCPU64に入力されるの
で、CPU64は超音波モータ10をベルト巻取り方向
βに回転する。このとき、超音波モータ10はリール4
の回転量より大きくベルト巻取り方向βに一定量になる
まで回転するので、ベルトボリューム値とモータボリュ
ーム値との差が更に大きくなって第2設定差以上とな
る。すなわち、ばね力が増大して「強」状態になり、リ
ール4はシートベルト3を迅速にかつ確実に巻き取るよ
うになる。
【0124】シートベルト3が乗員にフィットすると、
リール4の巻取り方向βの回転がほぼ停止してベルトボ
リューム値がほぼ一定となるので、CPU64は超音波
モータ10を再びベルト引出し方向αに回転させる。そ
して、CPU64は、ベルトボリューム値とモータボリ
ューム値との差が第1設定差となると、超音波モータ1
0を停止し、シートベルト制御システムはコンフォート
モードとなるとともに、ばね力は「中」状態となる。こ
の「中」のばね力により、ベルトテンションは小さくな
り、乗員はシートベルト3からの圧迫感を受けなくな
り、このコンフォートモードが自動車の通常運転時のシ
ートベルト装着状態となる。
【0125】シートベルト制御システムがコンフォート
モードに設定されている状態で、乗員が、例えばコンソ
ールボックス内の物等の車室内の物を取ったりするため
等で所定量移動すると、シートベルト3が引き出されて
ベルトボリューム値が大きくなる。一方、このコンフォ
ートモードでは超音波モータ10は停止している。した
がって、物取り等による乗員の移動では、ベルトボリュ
ーム値とモータボリューム値との差が第2設定差以上と
なり、ばね力はコンフォートモードでも「強」状態とな
り、ベルトテンションは大きくなる。しかし、乗員が再
び正規の着座姿勢でシートに着座すれば、ベルトボリュ
ーム値とモータボリューム値との差が第1設定差とな
り、ばね力は再び「中」状態となる。
【0126】シートベルト制御システムのコンフォート
モード状態で、通常の走行中に、例えば自車の前方に他
車があって通常の走行時のモード以外の警告モードの条
件が成立すると、CPU64は、超音波モータ10をベ
ルト巻取り方向βに、前述のベルト長さ調節モードの場
合よりは大きくかつ緊急モードの場合よりは小さい低ト
ルクで、しかもクラッチ機構11がオンする速度で回転
させる。クラッチ機構11がオンして、超音波モータ1
0がクラッチ機構11および減速機構12を介してリー
ル4に直結し、リール4は直接超音波モータ10の低ト
ルクによって直接ベルト巻取り方向βに回転されるの
で、ベルトテンションが大きくなる。このとき、シート
ベルト3が乗員にフィットしていることからシートベル
ト3は若干巻き取られるだけであり、リール4はベルト
巻取り方向βに若干回転するだけ、ほとんど回転しな
い。このとき一方、リール4は超音波モータ10の低ト
ルクで直接回転させられるようになるので、ベルトテン
ションは非常に大きな値となる。なお、このとき、ベル
トテンションは、図21に示すように最初急速に大きく
なった後一旦小さくなり、その後ほぼ所定値f5になる
まで再び大きくなるようになっている。
【0127】警告モードの成立条件が解消すると、クラ
ッチ解除モードとなり、CPU64は超音波モータ10
をベルト引出し方向αに回転して、クラッチタッチ機構
11をオフにする。その後、CPU64はシートベルト
制御システムを再びコンフォートモードに設定する。
【0128】ドライブが終了し、乗員がシートベルトの
装着を解除するためにトングをバックルから外してトン
グから手を離すと、シートベルト制御システムはベルト
巻取りモードとなる。すなわち、リール4がベルト巻取
り方向βに回転しシートベルト3が巻き取られ、ベルト
ボリューム値は次第に小さくなる。また、CPU64
は、バックルスイッチ67のオフを検出して超音波モー
タ10をこのリール4の回転に追従連動させてベルト巻
取り方向βに回転する。このとき、CPU64はベルト
ボリューム値とモードボリューム値との差を次第に大き
くして第2設定差以上にし、ばね力を「強」状態に設定
する。したがって、シートベルト3は大きなばね力で迅
速にかつ確実に巻き取られるようになる。そして、シー
トベルト3が完全に巻き取られ、リール4がベルト格納
位置になっても、CPU64は超音波モータ10の回転
を持続し、ベルトボリューム値とモードボリューム値と
の差が第2設定差以上のある大きさになった時点で停止
する。このため、ばね力が更に大きくなってシートベル
ト3が確実にかつ完全に巻き取られるようになる。その
後、CPU64は、超音波モータ10を再びベルト引出
し方向αに回転させて、モータボリューム値がベルトボ
リューム値に等しくなった時点で停止する。こうして、
シートベルト制御システムは再び非使用モードになり、
ばね力は「弱」状態となる。
【0129】なお、前述の例のシートベルト制御システ
ムでは、超音波モータ10を用いるものとしているが、
これに限定されることはなく、超音波モータ10以外
の、例えばDCモータ等の他のモータを用いることもで
きる。また、前述の例のシートベルト制御システムで
は、スパイラルスプリングを用いているが、コイルば
ね、板ばね等の他のばねを用いることもできる。
【0130】更に、本発明の駆動制御装置の図11に示
すばね力制御の部分およびボリューム値によるモータの
制御は、シートベルト制御システム以外に、例えば、電
動ウィンチ、電動カーテンあるいは電動ブラインド等
の、人の操作と連動するような他の制御システムにも適
用できる。
【0131】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の駆動制御装置によれば、被駆動部材の駆動制御をばね
力およびモータのトルクでソフト的に行うようにしてい
るので、駆動制御装置の動作が複雑であっても、この動
作を簡単に制御することができる。しかも、ばね力およ
びモータのトルクを制御するソフトを変更することによ
り、簡単に動作を変更することができる。
【0132】また、本発明に係るシートベルト制御シス
テムによれば、スプリング手段のばね力をモータで任意
に制御するとともにモータのトルクを任意にかつソフト
的に制御しているので、シートベルトリトラクタの複雑
な動作を簡単に制御することができるようになる。これ
により、シートベルトのベルトテンションを、車両と物
体との間の状況および/またはシートベルトリトラクタ
の動作状況に応じて柔軟にかつ連続的に調節できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例におけるシートベ
ルト制御システムに用いられるシートベルトリトラクタ
を示す分解斜視図である。
【図2】 図1に示すシートベルトリトラクタの一部を
部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図3】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他
の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図で
ある。
【図4】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他
の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図で
ある。
【図5】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他
の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図で
ある。
【図6】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他
の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図で
ある。
【図7】 図1に示すシートベルトリトラクタの残部を
部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図8】 図1に示す例のシートベルトリトラクタの組
立状態の縦断面図である。
【図9】 図8に示すシートベルトリトラクタの右側を
部分的に切り欠いて示す右側面図である。
【図10】図8に示すシートベルトリトラクタの左側を
部分的に切り欠いて示す左側面図である。
【図11】スプリング手段のばね力とベルトボリューム
値およびモータボリューム値との青木健二Kんけいを説
明する図である。
【図12】シートベルトによりチャイルドシートを車両
シートに固定した状態を示す斜視図である。
【図13】ドアが閉で、通常運転時にシートベルト制御
システムにおいて生じるパターンを示し、バックルスイ
ッチがオフの時を示す図である。
【図14】ドアが閉で、通常運転時にシートベルト制御
システムにおいて生じるパターンを示し、バックルスイ
ッチがオンの時を示す図である。
【図15】ドアが開の時にシートベルト制御システムに
おいて生じるパターンを示す図である。
【図16】通常運転時にシートベルト制御システムにお
ける制御のフローを示す図である。
【図17】緊急モード時にシートベルト制御システムに
おけるベルトテンション調節のフローを示す図である。
【図18】警告モード時にシートベルト制御システムに
おけるベルトテンション調節のフローを示す図である。
【図19】CRSモード時にシートベルト制御システム
におけるベルトテンション調節のフローを示す図であ
る。
【図20】クラッチ解除モード時にシートベルト制御シ
ステムにおけるクラッチ解除制御のフローを示す図であ
る。
【図21】シートベルト制御システムにおける自動車の
各モードにおけるベルトテンションを示す図である。
【符号の説明】
1…シートベルトリトラクタ、3…シートベルト、4…
リール9…リール回転検出手段、10…超音波モータ、
11…クラッチ機構、12…減速機構、13…スプリン
グ手段、14…モータ回転量検出手段、35…リール回
転ボリューム検出計、63…モータ回転ボリューム検出
計、64…中央処理装置(CPU)、67…バックルス
イッチ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 任意に制御されるばね力を発生するスプ
    リング手段と、このスプリング手段のばね力が付与され
    て駆動される被駆動部材と、スプリング手段のばね力の
    反力側にトルクを供給可能に設けられたモータと、この
    モータと前記被駆動部材との直結または解放を制御する
    クラッチ手段と、前記被駆動部材の駆動量を連続的に検
    出する被駆動部材駆動量検出手段と、前記モータの駆動
    量を連続的に検出するモータ駆動量検出手段と、これら
    の被駆動部材駆動量検出手段およびモータ駆動量検出手
    段からの検出信号に基づいて前記モータを制御する中央
    処理装置とを備え、前記被駆動部材の駆動制御を前記ば
    ね力制御でソフト的に行うと共に、所定条件の時、前記
    クラッチ手段を係合させて前記モータと前記被駆動部材
    とを直結させることにより、前記モータのトルクで前記
    被駆動部材の駆動制御をソフト的に行い、更に、前記ス
    プリング手段のばね力を前記モータでソフト的に任意に
    制御することを特徴とするばね力とモータとにより駆動
    制御される駆動制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の駆動制御装置を備えると
    ともにシートベルトリトラクタを備えたシートベルト制
    御システムであって、前記被駆動部材は前記シートベル
    トリトラクタの、シートベルトを巻き取るリールであ
    り、前記スプリング手段のばね力を前記モータで任意に
    制御するとともに前記モータのトルクを任意に制御する
    ことにより、前記シートベルトのベルトテンションを車
    両と物体との間の状況および/またはシートベルトリト
    ラクタの動作状況に基づいてソフト的にかつ連続的に調
    節することを特徴とするシートベルト制御システム。
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