JP3698292B2 - スプリング手段で連結される2つの可動部材の位置検出計およびばね力の初期設定方法 - Google Patents

スプリング手段で連結される2つの可動部材の位置検出計およびばね力の初期設定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いにスプリング手段で連結される2つの第1および第2可動部材と、これらの第1および第2可動部材の位置をそれぞれ検出する第1および第2位置検出計とを備えた装置における、前記第1および第2位置検出計と前記スプリング手段のばね力とをそれぞれ初期設定する方法の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術分野】
従来から自動車等の車両に装備されているシートベルト装置は、衝突時等の車両に大きな減速度が作用した場合のような緊急時に、シートベルトで乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出しを阻止して、乗員を保護している。
【0003】
このようなシートベルト装置においては、シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタが設けられている。このシートベルトリトラクタは、シートベルトを巻き取るリールを常時巻取り方向に付勢するうず巻きばね等の付勢力付与手段を備えている。この付勢力付与手段の付勢力により、シートベルトは非装着時にはリールに巻き取られている。また、シートベルトは装着時には付勢力付与手段の付勢力に抗して引き出されて、乗員に装着される。そして、シートベルトリトラクタは、前述のような緊急時にロック手段が作動してリールの引出し方向の回転を阻止することにより、シートベルトの引出しが阻止される。これにより、緊急時にシートベルトは乗員を確実に拘束し、保護するようになる。
【0004】
ところで、このような従来からのシートベルト装置においては、シートベルト装着時には付勢力付与手段の付勢力によるほぼ一定のベルトテンションがシートベルトに加えられている。このため、シートベルトリトラクタは自車と自車周囲の物体との間の状況に関係なくほぼ同じ態様で作動するようになっている。しかしながら、従来のシートベルト装置は前述のように緊急時に乗員を確実に拘束し保護することができるが、前述のような緊急時以外のときに乗員に対してより快適に制御されているとは言えない。しかも、緊急時に乗員を堅固に拘束して更に一層確実に保護するようにすることが望ましい。
【0005】
そこで、自車と物体との間の状況を加味してDCモータでシートベルトリトラクタを制御し、ベルトテンションを調節することにより、乗員の拘束保護をより一層効率よくかつ乗員に対してより一層快適に行うようにした乗員拘束保護システムが、特開平9−132113号公報において提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この公開公報の乗員拘束保護システムのような、モータでスプリング手段のばね力を制御することによりベルトテンションを制御するシステムにおいては、モータによるベルトテンション制御のために、リールおよびモータの各回転をそれぞれ検出する検出計を設けることが考えられる。そこで、これらの回転検出計を設けた場合には、回転検出計の初期設定及びスプリング手段のばね力の初期設定を行う必要がある。シートベルトリトラクタは、リールおよびモータの2つの可動部材が設けられると共に、シートベルトの最大巻取り量および最大巻取り量が設定され、更にスプリング手段のばね力が設定されることから、これらの初期設定を行うことは簡単ではない。
【0007】
しかしながら、これらの初期設定はシートベルトリトラクタの組立て後に行うことになるため、このように初期設定が簡単でないと、リトラクタの製造工程が複雑となり、工数が多くなるばかりでなく手間がかかり、製造コストが高くなってしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、初期設定をできるだけ簡略化して、工数及び手間を削減し、かつ製造コストを低減することのできる、スプリング手段で連結される2つの可動部材の位置検出計およびばね力の初期設定方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、互いにスプリング手段で連結される2つの第1および第2可動部材と、これらの第1および第2可動部材の位置をそれぞれ検出する第1および第2位置検出計とを備えた装置における、前記第1および第2位置検出計と前記スプリング手段のばね力とをそれぞれ初期設定する方法であって、まず、前記スプリング手段のスプリングをフリーにするとともに、少なくとも前記第1可動部材をその可動領域の一端側位置に設定し、更に前記第1および第2位置検出計の指示値をそれぞれ最大または最小に設定した状態にして、前記スプリング手段、前記第1および第2可動部材、および前記第1および第2位置検出計を、それぞれ組み付け、次いで、前記第2可動部材を移動させ、前記第2位置検出計の指示値が前記第1可動部材の最大可動位置を表す、第1位置検出計の設定指示値に対応する対応指示値を通過した所定位置を示す指示値となったとき、前記第2可動部材の移動を停止して第2可動部材をその所定位置に保持し、この第2可動部材の移動により発生した前記スプリングのばね力で、前記第1可動部材を、前記第1位置検出計の指示値が前記設定指示値となるまで移動させ、その後、前記第2可動部材を逆方向に移動させ、第2位置検出計の指示値が前記対応指示値になる前、または前記対応指示値になったとき、前記第2可動部材の移動を停止して第2可動部材をその停止位置に保持すること特徴としている。
【0010】
また、請求項2の発明は、前記第1および第2位置検出計がともにボリューム型位置検出計であり、前記第1および第2位置検出計の指示値がそれぞれボリューム型位置検出計のボリューム値であること特徴としている。
更に、請求項3の発明は、前記第2位置検出計の、前記第2所定位置を示す指示値が、前記対応指示値となるように設定されていること特徴としている。
【0011】
更に、請求項4の発明は、少なくとも、シートベルトを巻取るリールをスプリング手段によりシートベルト巻取り方向に付勢するとともに、前記スプリング手段のばね力をモータの回転駆動により制御するようになっているシートベルトリトラクタの組付け時、まず、前記スプリング手段のスプリングをフリーにするとともに、前記シートベルトを最大限引き出し、更に前記リールの回転を検出するリール回転ボリューム検出計および前記モータの回転を検出するモータ回転ボリューム検出計の各ボリューム値を最大に設定した状態で、前記スプリング手段、前記リール、前記モータ、前記リール回転ボリューム検出計および前記モータ回転ボリューム検出計を組み付け、次いで、前記モータを回転駆動して前記スプリングを巻き締めるとともに、前記モータ回転ボリューム検出計のボリューム値が前記リールのシートベルト最大限巻き取った格納位置を表す、前記リール回転ボリューム検出計の設定値に等しいボリューム値を通過した所定位置を示すボリューム値となったとき、前記モータの回転を停止して該モータをその所定位置に保持し、このモータの回転により発生した前記スプリングのばね力で、前記リールを、前記回転ボリューム検出計のボリューム値が前記設定値となるまで回転させ、その後、前記モータを逆方向に回転させ、前記モータ回転ボリューム検出計のボリューム値が前記設定値に等しいボリューム値になる前、または前記設定値に等しいボリューム値となったとき、前記モータ回転を停止して該モータをその停止位置に保持すること特徴としている。
【0012】
【作用】
このように構成された本発明に係る初期設定方法においては、スプリングのフリー、少なくとも第1可動部材をその可動領域の一端側位置に設定し、更に第1および第2位置検出計の指示値をそれぞれ最大または最小に設定した規定状態にして、スプリング手段、第1および第2可動部材、および第1および第2位置検出計をそれぞれ組み付けるだけで、スプリングのばね力、第1および第2位置検出計の指示値が自動的にかつ簡単に初期設定されるようになる。
【0013】
特に、スプリングがフリーであることからスプリングの取扱いが簡単であり、また、少なくとも第1可動部材がその可動領域の一端側位置に設定されることから、可動部材の位置管理も簡単となり、更に第1および第2位置検出計の各指示値がMAXまたはMINに設定されることから、第1および第2位置検出計の取扱いも簡単になる。その結果、装置の初期設定が更に一層簡単になる。これにより、装置の製造工程が簡略化され、工数及びコストが削減されるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の初期設定方法の実施の形態の一例が適用される乗員拘束保護システムのなかのシートベルトリトラクタを示す分解斜視図、図2ないし図7は、図1を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図、図8はこの例のシートベルトリトラクタの組立状態の縦断面図、図9は図8に示すシートベルトリトラクタの右側を部分的に切り欠いて示す右側面図、図10は図8に示すシートベルトリトラクタの左側を部分的に切り欠いて示す左側面図である。
【0015】
図1に示すように、この例の乗員拘束保護システムに用いられるシートベルトリトラクタ1は、大きく分けてフレーム2と、シートベルト3を巻き取るリール4と、フレーム2の一側に配設され、作動時にリール4のベルト引出し方向αの回転を阻止するロック手段5と、このロック手段5を必要時に作動させるロック作動機構6と、衝突等の大減速度時にロック手段5の作動によりシートベルト引出が阻止されたとき、シートベルトの荷重を制限するフォースリミッタ機構(以下、EA機構ともいう)7と、車両減速度を検知する減速度検知手段8と、リール4のベルト巻取り初期設定位置からの回転量を検出して電気信号に変換するリール回転量検出手段9と、回転トルクを後述するクラッチ機構11を介してリール4に付与するとともに、回転トルクを後述するスプリング手段13に付与する超音波モータ10と、超音波モータ10の回転トルクを、スプリング手段13を介さずにリール4の方へ伝達するクラッチ機構11と、このクラッチ機構11を介して伝達される超音波モータ10の回転トルクを減速してリール4に伝達する減速機構12と、リール4をシートベルト3の巻取り方向βに付勢するスプリング手段13と、超音波モータ10の回転軸のモータ回転初期設定位置からの回転量を検出して電気信号に変換するモータ回転量検出手段14と、超音波モータ10を駆動するためのドライバユニット15とからなっている。
【0016】
図2に示すように、フレーム2は平行な一対の側壁16,17とこれらの側壁16,17を連結する背板18とからなっている。このフレーム2内の両側壁16,17間には、シートベルト3を巻き取るためのリール4が配設されている。
【0017】
一方の側壁16には円形の大孔16aが穿設されているとともに、この大孔16aの周縁に、所定数(図示例では6個)の小孔16bが周方向に等間隔に穿設されている。また、他方の側壁17にも、円形の大孔17aが大孔16aと同心に穿設されているとともに、この側壁17の内側に、内周面に所定数のラチェット歯状の内歯19aを有する円形の大孔が穿設された内歯形成部材19が、これらの内歯19aを大孔17aと同心にして固定されている。更に、側壁17には、減速度検知手段8を取り付ける取付孔17bが穿設されている。
【0018】
リール4は、シートベルト3を巻き取るシートベルト巻取部4aと、このシートベルト巻取部4aの両端のフランジ部4b,4cとからなり、その中央に軸方向に貫通する貫通孔4dが穿設されている。その場合、貫通孔4dは、図示しないが側壁16側の端部が後述するキャリヤ54(図1および図2に図示)の断面正6角形の軸部54cが嵌合可能で、かつリール4とキャリヤ54と後述するトーションバー27とが一体回転可能になる断面正6角形状の孔に形成され、また側壁17側の端部が後述するストッパ28(図1および図3に図示)が嵌合可能でかつリール4とストッパ28とが一体回転可能になる断面形状の孔に形成されている。
【0019】
図3に示すように、ロック手段5はロッキングベース20とパウル21とを備えている。ロッキングベース20は、ディスク部20aとねじ軸部20bとからなり、その中心に軸方向に貫通する貫通孔20cが穿設されている。この貫通孔20cのディスク部20aに対応する部分は、断面正6角形状孔20c′とされている。また、ディスク部20aには、パウル21を回転可能に支持するための孔20dが穿設されていると共に、この孔20dと同心円の円弧状の荷重被伝達部20eが形成されている。この荷重被伝達部20eはパウル21からの荷重を受けるようになっている。更に、ディスク部20aの外周面の荷重被伝達部20eと反対側の部分には、所定範囲にわたってギザギザの刻み歯20fが形成されており、この刻み歯20fは内歯19aに係合可能となっている。更に、ディスク部20aには、後述の図4に示すパウルスプリング26の一端を支持するスプリング支持部20gが設けられている。
【0020】
一方、パウル21は回転基端に穿設された孔21aを有しており、この孔21aとロッキングベース20の孔20dとに図示しないピン等の固定具を嵌合させることにより、パウル21がロッキングベース20に回転可能に取り付けられている。また、パウル21の先端には、内歯形成部材19の内歯19aに係合可能な係止爪21bが形成されていると共に、突出軸からなるカムフォロワ21cが設けられている。更に、パウル21bには、円弧状の荷重伝達部21dが形成されており、この荷重伝達部21dは、係止爪21bが内歯19aに係合したとき、パウル21bに作用する反力をロッキングベース20の荷重被伝達部20eに伝達させるようになっている。すなわち、パウル21bの反力をロッキングベース20で支持するようになっている。
【0021】
図4に示すように、ロック作動機構6は、ロックギヤ22と、フライホイール23と、ロックギヤ22とフライホイール23との間に縮設されるフライホイールスプリング24と、フレーム2の側壁17の着脱可能に固定されるリテーナ25と、ロッキングベース20とロックギヤ22との間に縮設されるパウルスプリング26とを備えている。
【0022】
ロックギヤ22は、ディスク部22aと、このディスク部22aの外周に形成され、その外周面に形成された所定数のラチェット歯状の外歯22bを有する環状歯部材22cとからなっている。
【0023】
ディスク部22aの中心には、筒状のボス22dが形成されていると共に、このボス22dの近傍にフライホイール23を回転可能に支持する支持軸22eが突設されている。更に、ディスク部22aの外周側には、フライホイール23の回転を所定範囲に規制する第1および第2ストッパ22f,22gが設けられていると共に、ディスク部22aを貫通するカム孔22hが穿設されている。このカム孔22hには、パウル21のカムフォロワ21cが嵌合されるようになっており、したがってロックギヤ22がロッキングベース20に対して相対回転したとき、カムフォロワ21cがカム孔22hにガイドされることにより、パウル21が回転するようになっている。更に、ディスク部22aにはパウルスプリング26の一端を支持するスプリング支持部22iが設けられている。
【0024】
フライホイール23は、ロックギヤ22の支持軸22eに回転可能に嵌合される支持孔23aが穿設されていると共に、先端に係止爪23bが形成された係止部23cが設けられている。そして、フライホイール23が支持孔23aに回転可能に支持されたとき、この係止部23cは第1および第2ストッパ22f,22gの間に位置するようになっている。したがって、フライホイール23の回転は、第1および第2ストッパ22f,22gの間に規制され、係止部23cが第1ストッパ22fに当接しているときは係止爪23bが内側に引っ込んだ状態になり、また係止部23cが第2ストッパ22gに当接しているときは係止爪23bが外側に突出した状態になる。更に、フライホイール23には、フライホイールスプリング24の一端を支持するスプリング支持部23dが設けられている。
【0025】
フライホイールスプリング24は、その一端がフライホイール23のスプリング支持部23dに支持され、またその他端がロックギヤ22の図示しないスプリング支持部に支持されて、フライホイール23をロックギヤ22に対してベルト引出し方向αに常時付勢している。したがって、フライホイール23の非作動時は、係止部23cが第1ストッパ22fに当接している。
【0026】
リテーナ25は、ディスク部25aと、このディスク部25aの外周にフレーム2側に突出して形成され、側壁17に着脱可能に固定される第1環状フランジ部25b(図8に図示)と、ディスク部25aの外周にフレーム2側と反対側に突出して形成された第2環状フランジ部25cとからなっている。
【0027】
ディスク部25aの中心には貫通孔25dが穿設されている。また、図8に示すようにディスク部25aのフレーム2側の面には、内周面にラチェット歯状の内歯25eを有する環状歯部材25fが貫通孔25dと同心に突設されている。この環状歯部材25fは、リトラクタ1が組み立てられたとき、ロックギヤ22の環状歯部材22cと第1および第2ストッパ22f,22gとの間に進入可能な大きさに設定されている。その場合、フライホイール23の係止爪23cも環状歯部材22cの内側に位置しており、ロックギヤ22に対してフライホイール23が回転し、係止部23cが第2ストッパ22gに当接した位置では、この係止爪23cが内歯25eに係止するようになっている。
【0028】
パウルスプリング26は、その一端がロックギヤ22のスプリング支持部22iに支持され、またその他端がロッキングベース20のスプリング支持部20gに支持されて、ロックギヤ22をロッキングベース20に対してベルト引出し方向αに常時付勢している。したがって、ロックギヤ22の非作動時は、パウル21のカムフォロワ21cがカム孔22hの最内側位置22h1に位置し、この状態で、ロックギヤ22はパウルスプリング26によるそれ以上の回転を阻止されている。
【0029】
EA機構7は、トーションバー27と、ロッキングベース20のねじ軸部20bに螺合される筒状のストッパ28とを備えている。トーションバー27は
トーションバー部27aと、このトーションバー部27aの一端側のロックギヤ22側端部に設けられ、ロッキングベース20の断面正6角形状孔20c′にこのロッキングベース20と相対回転不能に嵌合する断面正6角形状の第1トルク伝達部27bと、この第1トルク伝達部27bの端に設けられたフランジ部27cと、トーションバー部27aの他端に設けられ、後述するキャリヤに嵌合する断面正6角形状の第2トルク伝達部27dと、この第2トルク伝達部27dから同心状に突出し、先端にスプライン溝27eが形成された第1軸部27fと、フランジ部27cから同心状に突出し、スプライン溝27gが形成された第2軸部27hとからなっている。
【0030】
筒状のストッパ28は内周に雌ねじ28aが形成されているとともに、外周にリール4の回転トルクが伝達される一対の回転トルク伝達部28b,28cがそれぞれ設けられている。そして、これらの回転トルク伝達部28b,28cにより、ストッパ28はリール4と一体に回転するようになっていると共に、リール4に対して軸方向に相対的に移動可能となっている。したがって、ストッパ28がロッキングベース20に対してベルト引出し方向αに回転するような回転差が生じる、換言すればリール4がロッキングベース20に対してベルト引出し方向αに回転するような回転差が生じると、ストッパ28は軸方向に移動してロッキングベース20のディスク部20aに当接するようになっている。更に、ストッパ28がロッキングベース20に当接すると、ストッパ28は軸方向移動が停止し、ロッキングベース20と一体回転するようになる。
【0031】
したがって、ストッパ28とロッキングベース20との間に回転差が生じている間は、トーションバー部27aがねじられるので、EA機構7は車両衝突時のベルト荷重を制限するEA機能を発揮するようになり、ストッパ28がロッキングベース20に当接すると、EA機能が終了する。このように、ストッパ28およびその雌ねじ28aとロッキングベース20およびそのねじ軸部20bとにより、EA機能を行う範囲を規定する、本発明のベルト荷重制限範囲設定機構が構成されている。
【0032】
図3に示すように、減速度検知手段8は、側壁17に取り付けられるハウジング29と、このハウジング29に取り付けられるセンサケース30と、このセンサケース30に搭載される慣性質量31と、この慣性質量31により作動されるアクチュエータ32とを備えている。
【0033】
ハウジング29は、フレーム2の側壁17の取付孔17bに嵌合された取り付けられる嵌合取付部29aと、センサケース30を支持する一対の支持腕部29b,29cとからなっている。また、センサケース30は、支持腕部29b,29cの溝に係合して支持される一対の被支持部30a,30bと、慣性質量31が搭載される質量搭載部30cと、アクチュエータ32を回転可能に支持する一対の支持腕部30d,30eとからなっている。
【0034】
慣性質量31は、脚部31aと、この脚部31aの上の質量部31bと、アクチュエータ32を作動する作動部31cとからなっている。そして、慣性質量31は質量搭載部30cに搭載されて、通常時は図示のように直立しているが、車両に所定減速度以上の減速度が作用したとき傾動して、作動部31cがアクチュエータ32を回転するようになっている。
【0035】
更に、アクチュエータ32は、センサケース30の一対の支持腕部30d,30eの孔に回転可能に嵌合支持される回転軸部32aと、慣性質量31の作動部31cによって押圧される被押圧部32bと、回転軸部32aと反対側に設けられ、ロックギヤ22の外歯22bに係止可能な係止爪32cとからなっている。そして、このアクチュエータ31は、慣性質量31が直立状態のときは最下位置にあって、係止爪32cが外歯22bに係合しない非係合位置となり、慣性質量31が傾動したときは上方へ回転して、係止爪32cが外歯22bに係合する係合位置となるようにされている。
【0036】
図4に示すように、リール回転検出手段9は、トーションバー27の回転によって回転させられる回転取出しギヤ33と、リテーナ25のディスク部25aに取り付けられ(図9に図示)、回転取出しギヤ33の回転を歯車減速機構34で減速してトーションバー27の回転、つまりリール4の回転量を絶対値で検出し、これを電気信号に変換するリール回転ボリューム検出計35と、リテーナ25の第2環状フランジ部25cに着脱可能に取り付けられて、リール回転ボリューム検出計35を覆うボリュームカバー36とを備えている。
【0037】
回転取出しギヤ33はその中心に穿設された断面正5角形の貫通孔33aを有しており、この貫通孔33aがピン37の断面正5角形の軸部37aに嵌合されて、このピンと一体に回転するようになっている。また、図8に示すようにピン37の軸部37aと反対側は、トーションバー27の第2軸部27hのスプライン溝27gにスプライン嵌合されて、このトーションバー27と一体に回転するようになっている。したがって、トーションバー27の回転つまりリール4の回転は、ピン37、回転取出しギヤ33、減速歯車機構34を介してリール回転ボリューム検出計35で検出されるようになる。その場合、減速歯車機構34により、シートベルト3の全巻取りから全引出しまでのリール4の回転が、リール回転ボリューム検出計35の抵抗体(不図示)で270゜の回転に減速されるようになっている。そして、このリール回転ボリューム検出計35はリール4の絶対位置を検出するようになっている。このように、リール回転ボリューム検出計35をボリュームタイプとすることにより、電源をオフにしてもリール4の絶対位置の情報を消えないようにして、回転検出計を安価で信頼性のあるものにしている。
【0038】
図5および図6に示すように、超音波モータ10は、円環状のステータ38と、このステータ38に対向して配設される円環状のロータ39と、モータ回転軸40と、ラバーシート41と、ディスクスプリング42と、ボールベアリング43と、貫通孔44aを有するモータケース44とを備えている。
【0039】
図5に示すように、ステータ38は、円周方向に所定数に区分され、かつ隣り合う区分の分極方向が交互に厚み方向に逆方向となるように分極された円環状の圧電セラミック38aを、櫛歯を有する円環状の弾性体38bに貼り付けられて構成されている。このステータ38は、弾性体38bの櫛歯面がロータ39に対向するようにして配置されている。
【0040】
ロータ39は、環状のディスク部39aと、このディスク部39aの外周縁に形成された環状のフランジ部39bとから構成されている。ディスク部39aの内周面には、4個の係止突起39cが周方向に等間隔に配置されて径方向に突設されている。
【0041】
モータ回転軸40は、軸部40aと、この軸部40aの一端に設けられたディスク状のフランジ部40bとからなっている。軸部40aの他端にはスプライン溝40cが形成されている。また、フランジ部40bの軸部40a側の面には、ロータ39の係止突起39cが嵌合可能な4個の係止溝40dが形成されている。これらの係止溝40dに係止突起39cが嵌合することにより、ロータ39とモータ回転軸40とが周方向に互いに係合し、一体に回転するようになっている。更に、フランジ部40bの軸部40a側と反対側の面には、クラッチ機構11の後述するパウル46 ,47が配置される凹部40eが設けられていると共に、この凹部40e内にパウル支持軸40fが設けられている。図5では、凹部40eとパウル支持軸40fとが1組しか記載されていないが、これら凹部40eとパウル支持軸40fとは、フランジ部40bの中心に関して対称な位置にも設けられている。なお、これらの凹部40eおよびパウル支持軸40fは、後述するクラッチ機構11を構成するものである。更に、軸部40aとフランジ部40bとを軸方向に貫通する貫通孔40gが穿設されている。
【0042】
図6に示すように、ラバーシート41およびディスクスプリング42はともに円環ディスク状に形成されており、ディスクスプリング42はラバーシート41を介してロータ39を加圧している。これにより、ロータ39とディスクスプリング42とはこれらの間に介在されるラバーシート41の摩擦で一体回転するようになっていると共に、ディスクスプリング42の加圧力で、ステータ38とロータ39との間に、ロータ39が回転するための摩擦力が得られるようになっている。
【0043】
ボールベアリング43は、ディスクスプリング42をスラスト方向に支持すると共に、モータケース44の貫通孔44aに嵌合固定されて、モータ回転軸40の軸部40aを回転可能に支持するようになっている。また、このモータケース44は、4個のねじ45によりフレームの側壁16に固定されるようになっている。
【0044】
図5に示すように、クラッチ機構11は、メインパウル46と、サブパウル47と、慣性プレート48と、慣性スプリング49とを備えているとともに、図2に示すようにクラッチギヤ50を備えていて、超音波モータ10の所定角加速度より小さい角加速度での始動時には作動しなく、超音波モータ10の所定角加速度以上の大きな角加速度での始動時には作動する角加速度クラッチからなっている。
【0045】
メインパウル46は、一端側に穿設され、モータ回転軸40のフランジ部40bのパウル支持軸40fに回転可能に嵌合される回転軸孔46aと、この回転軸孔46aの反対側の端に設けられた係止爪46bと、回転軸孔46aと係止爪46bの間に突設されたピンからなるカムフォロワ46cとからなっている。
【0046】
サブパウル47は、メインパウル46とまったく同じに形成されており、同様に回転軸孔47aと、係止爪47bと、カムフォロワ47cとからなっている。そして、両パウル46,47は本発明の係止部材を構成している。
【0047】
慣性プレート48は環状のディスクからなり、一対のカム孔48a,48bが中心点に関して対称に穿設されている。これらのカム孔48a,48bには、それぞれメインパウル46のカムフォロワ46cおよびサブパウル47のカムフォロワ47cが嵌合されるようになっている。また、慣性スプリング49の一端を支持するスプリング支持部48cが設けられている。
【0048】
慣性スプリング49は、環状ばね部49aと、この環状ばね部49aからそれぞれ延びた一対の支持部49b,49cとからなっている。この慣性スプリング49は、一方の支持部49bがモータ回転軸40のフランジ部40bに設けられた図示しないスプリング支持部に支持されると共に、他方の支持部49cが慣性プレート48のスプリング支持部48cに支持されるようになっている。そして、慣性スプリング49は、超音波モータ10の所定角加速度より小さい角加速度での通常のスローな始動時には撓まないで、モータ回転軸40と慣性プレート48との間に回転差を生じさせなくこれらを一体回転させ、超音波モータ10の所定角加速度以上の角加速度での急激な回転時には撓んでモータ回転軸40と慣性プレート48との間に回転差を生じさせるようになっている。この慣性スプリング49は、本発明の回転差発生手段を構成していると共に、慣性プレート48と慣性スプリング49とは、本発明の係止部材制御手段を構成している。
【0049】
図2および図8に示すように、クラッチギヤ50は、環状のディスク部50aと、ディスク部50aの外周縁に突設され、内周面に内歯50bを有する環状歯部材50cと、ディスク部50aの内周縁に突設され、外周面に外歯50dを有するサンギヤ50eと、トーションバー27の第1軸部27fにベアリング51(図5に図示)を介して相対回転可能に嵌合される貫通孔50fとからなっている。なお、サンギヤ50eは後述する減速機構12を構成するものである。このクラッチギヤ50は、本発明の被動部材を構成している。
【0050】
そして、環状のステータ38、環状のロータ39、筒状のモータ回転軸40、各パウル46,47、環状の慣性プレート48、慣性スプリング49、および環状のクラッチギヤ50を組み立てた状態では、図8に示すようにモータ回転軸40がロータ39を貫通すると共にクラッチギヤ50がステータ38を貫通し、更にステータ38とロータ39とをの間に、各パウル46,47、環状の慣性プレート48、慣性スプリング49およびクラッチギヤ50の環状歯部材50cが効率よくコンパクトにレイアウトされるようになる。すなわち、超音波モータ10はクラッチ機構11を内蔵した形で組み立てられてフレーム2の左側壁16にコンパクトに取り付けられるようになる。
【0051】
更に、この組立状態において、超音波モータ10が所定角加速度より小さい角加速度のスロースタートで回転してモータ回転軸40と慣性プレート48とに回転差が生じないときは、各パウル46,47は非係合位置にあり、それらの係止爪46b,47bがクラッチギヤ50の内歯50bに係合しないようになっている。すなわち、このときは、クラッチ機構11は作動しなく遮断されたままであるので、超音波モータ10の回転トルクはクラッチギヤ50に伝達されない。
【0052】
更に、超音波モータ10が所定角加速度以上の大きな角加速度の急激なスタートで回転してモータ回転軸40と慣性プレート48とに回転差が生じたときは、各パウル46,47のカムフォロワ46c,47cがそれぞれ慣性プレート48のカム孔48a,48bにガイドされるので、各パウル46,47は作動して係合位置となり、それらの係止爪46b,47bがクラッチギヤ50の内歯50bに係合するようになっている。すなわち、このときは、クラッチ機構11は作動して接続され、超音波モータ10の回転トルクがクラッチギヤ50に伝達されるようになる。
【0053】
図2および図10に示すように、減速機構12は、円環状のリング部材52に設けられたインターナルギヤ52aと、サンギヤ50eに噛合する4個のプラネタリギヤ53と、これらのプラネタリギヤ53を回転可能に支持するキャリヤ54とからなり、サンギヤ50e入力でキャリヤ54出力の遊星歯車減速機構から構成されている。
【0054】
リング部材52は、4個のプラネタリギヤ53がそれぞれ噛合する内歯からなるインターナルギヤ52aを備えたリング部52bと、このリング部52bの側面に設けられ、フレーム2の側壁16の小孔16bのうち、3個の小孔16bに嵌合されて、このリング部材52を側壁16に取り付けるための3個の取付ピン52cとを備えている。リング部52bの取付ピン52cと反対側の側面には、図8に示すようにステータ38が固定されており、これにより、リング部材52はステータ38の回転止めを行うと共に、側壁16とステータ38との間にスラスト方向の空間を形成している。
【0055】
キャリヤ54は、環状のディスク部54aと、4個のプラネタリギヤ53をそれぞれ回転可能に支持する4個の支持軸54b(図8に図示)と、断面正6角形の筒状の軸部54cとからなっている。軸部54cはリール4における貫通孔4dの側壁16側端部の断面正6角形状孔に嵌合されてリール4とキャリヤ54とが一体回転するようになっていると共に、この軸部54cの内側に断面正6角形状の第2トルク伝達部27dが嵌合されてトーションバー27とキャリヤ54とが一体回転するようになっている。このとき、図8に示すようにEリング55によりディスク部54aが第2トルク伝達部27dとの間に挟持されて、キャリヤ54の軸方向の抜け止めがされるようになっている。
【0056】
このようにステータ38、ロータ39、モータ回転軸40、慣性プレート48、クラッチギヤ50、リング部材52、およびキャリヤ54を環状または筒状に形成することにより、図8に示すようにこれらはリール4と同軸上にレイアウトされるようになる。したがって、本発明のシートベルトリトラクタは、スプリング手段13を含むすべての可動部品がリール4と同軸上にレイアウトされるようになり、全体としてコンパクトにまとめられるようになる。
【0057】
図7に示すように、スプリング手段13は、スプリングケース56と、第1スパイラルスプリング57と、第2スパイラルスプリング58と、環状のジョイントブッシュ59と、モータ回転軸40のスプライン溝40cに相対回転不能にスプライン嵌合されるブッシュシャフト60と、モータケース44の外側に固定されるハウジング61とを備えている。
【0058】
スプリングケース56は、中心部に配置され、内周縁にスプライン溝56aが形成された貫通孔を有するディスク部56bと、このディスク部56bの貫通孔と同心に配置された円環状の周壁板56cと、ディスク部56bと周壁板56cとを接続する6本のスポーク56dとからなっている。このディスク部56bのスプライン溝56aにモータ回転軸40の軸部40aのスプライン溝40cがスプライン嵌合して、モータ回転軸40とスプリングケース56とが一体回転するようになっている。また、周壁板56cにはフック部56eが設けられており、このフック部56eに、第1スパイラルスプリング57の外端係止部57aが係止されるようになっている。
【0059】
第1スパイラルスプリング57のばね定数は第2スパイラルスプリング58のばね定数より大きく設定されていて、第1スパイラルスプリング57が高トルクのばねで、第2スパイラルスプリング58が低トルクのばねとなっている。
【0060】
ジョイントブッシュ59は環状に形成されており、このジョイントブッシュ59には、第1および第2フック部59a,59bが設けられている。第1フック部59aには、第1スパイラルスプリング57の内端係止部57bが係止されるとともに、第2フック部59bには、第2スパイラルスプリング58の外端係止部58aが係止されるようになっている。
【0061】
ブッシュシャフト60は筒状に形成されており、その内周面にはスプライン溝60aが形成されていると共に、その外周側には一対のフック部60b,60cが設けられている。スプライン溝60aはトーションバー27の第1軸部27fのスプライン溝27eにスプライン嵌合されて、第1軸部27fとブッシュシャフト60とが一体回転するようになっている。また、フック部60b,60cの一方に、第2スパイラルスプリング58の内端係止部58bが係止されるようになっている。
【0062】
このようにして、これらの第1および第2スパイラルスプリング57,58はジョイントブッシュ59を介して直列に接続され、ともにリール4をベルト巻取り方向βに常時付勢するように設けられている。そして、リール4からシートベルト3が引き出されるときには、まずばね定数の小さい第2スパイラルスプリング58が巻き締められ、その後ばね定数の大きい第1スパイラルスプリング59が巻き締められるようになる。
【0063】
ハウジング61は、筒状部61aと、この筒状部61aに設けられたフランジ部61bとからなっている。筒状部61a内に、スプリングケース56、第1および第2スパイラルスプリング57,58、ジョイントブッシュ59、およびブッシュシャフト60が収容されるようにして、フランジ部61bがモータケース44の外側に取付固定されるようになっている。
【0064】
図6に示すように、モータ回転量検出手段14は、歯車減速機構62と、ボリュームタイプのモータ回転ボリューム検出計63とを備えている。歯車減速機構62の回転取出しギヤ62aは、その外歯がモータ回転軸40の軸部40dのスプライン溝40cに噛合してモータ回転軸40の回転を取り出すようになっている。そして、モータ回転軸40の回転が歯車減速機構62により減速されて、モータ回転軸40の回転量の絶対値がモータ回転ボリューム検出計63で検出されるようになる。
【0065】
更に、図8に示すように、超音波モータ10を駆動するためのドライバユニット15にはマイクロコンピュータ等からなる中央処理装置(以下、CPUともいう)64が接続されている。このCPU64には、リール回転ボリューム検出計35およびモータ回転検出計63も接続されていると共に、更に前方物体検出センサ65、バックルスイッチ67、車速センサ68がそれぞれ接続されている。
【0066】
図7に示すように、前方物体検出センサ65は、例えば光学系センサで構成され、例えば車両のフロントウィンドシールドの車室側の所定位置に取り付けられる。そして、この前方物体検出センサ65は車両前方にある物体を検出してその物体検出信号をCPU64に送出する。また、バックルスイッチ67はシートベルトの装着すなわちバックルとトングとの連結を検知してその検知信号をCPU64に送出する。更に、車速センサ68は自車の走行速度を検知してその検知信号をCPU64に送出する。
【0067】
そして、CPU64は、これらの各検出計、検出センサ、スイッチ等からの出力信号に基づいて超音波モータ10を駆動制御し、シートベルト3のベルトテンションを制御するようになっている。その場合、シートベルト3のベルトテンションは、リール回転量検出手段9におけるリール回転ボリューム検出計35からのリール回転量を示すボリューム値とモータ回転量検出手段14におけるモータ回転ボリューム検出計63からのモータ回転軸の回転量を示すボリューム値とに基づいて、CPU64が算出するようになっている。
【0068】
ところで、シートベルトリトラクタ1を組み立てた後、超音波モータ10によるベルトテンション制御のために、リール回転ボリューム検出計35およびモータ回転ボリューム検出計63の各ボリューム値およびスプリング手段13のばね力の各初期設定を行う必要がある。
【0069】
これらの初期設定を行うあたり、この例の乗員拘束保護システムにおいては、まず、ばね力と各検出計35,63のボリューム値との関係を定義している。すなわち、図11に示すようにリール回転ボリューム検出計35のベルト側ボリューム値BVとモータ回転ボリューム検出計63のスプリング側ボリューム値SVとがある一定値以下のとき、すなわちBV−SV≦一定値(>0)であるとき、ばね力を「弱」と定義するとともに、BV−SV>一定値であるとき、ばね力を「強」と定義している。
【0070】
また、リール回転ボリューム検出計35を、スプリングが弛められる方向すなわちばね力が減少する方向に対して、ボリューム値BVが最大値MAXから最小値MINの方へ変わるように、組み付けている。一方、モータ回転ボリューム検出計63を、スプリングが巻き締められる方向に対して、ボリューム値SVがMAXからMINの方へ変わるように、組み付けている。
【0071】
更に、シートベルト3が最大限引き出された状態でのリール回転ボリューム検出計35のボリューム値BVをMAXに設定したときに、シートベルト3がリール4に最大限巻き取られたときのリール回転ボリューム検出計35のボリューム値BVをシートベルト3格納位置の設定値HM(本発明の設定指示値に相当)として設定している。
【0072】
そして、シートベルトリトラクタ1を組み立て、初期設定を行うにあたって、次のシ−ケンスを実行している。すなわち、図12(1)に示すようにシートベルトリトラクタ1(本発明の装置に相当)を、スプリング手段13の各スプリング58,59をフリーにするとともに、シートベルト3を最大限引き出し、更に各BV値およびSV値をともにMAX(本発明の可動領域の一端側位置に相当)に設定した状態で組み付ける。したがってシートベルトリトラクタ1の組立て時の状態では、BV−SV=0となり、ばね力が「弱」状態に設定されるが、ばね力の実際値は、スプリング58,59がフリーとされていることから0となっている。
【0073】
シートベルトリトラクタ1の組立て後、超音波モータ10(本発明の第2可動部材に相当)を、スプリング58,59が巻き締められる方向に回転駆動すると、同図(2)に示すようにモータ回転ボリューム検出計63(本発明の第2位置検出計に相当)のSV値(本発明の指示値に相当)がMINの方へ移動すると共に、スプリング58,59が巻き締められてばね力が発生する。このとき、リール4(本発明の第1可動部材に相当)が回転しないから、リール回転ボリューム検出計35(本発明の第1位置検出計に相当)のBV値(本発明の指示値に相当)は変化しなく、BV−SVが大きくなる。
【0074】
BV−SVが次第に増大していき、BV−SV>一定値となると、ばね力が「弱」状態から「強」状態になる。更に、SV値がMINの方へ移動し、BV値のHMに対応する対応指示値を通過して、ボリュームの所定位置を示す小さい値になると、CPU64は超音波モータ10の駆動を停止し、かつ超音波モータ10をその停止位置に保持する。すると、「強」に設定されたスプリング58,59のばね力によりリール4がベルト巻取り方向に回転され、同図(3)に示すようにリール回転ボリューム検出計35のBV値がMINの方へ移動すると共にシートベルト3が巻き取られる。
【0075】
そして、同図(4)に示すようにBV値がHMになると、シートベルト3が最大限巻き取られるので、ばね力によるリール4の回転が停止し、リール4はこの停止位置(本発明の最大可動位置に相当)に保持される。これと同時に、CPU64は超音波モータ10を逆方向に回転させて、スプリング58,59の巻きを弛める。この超音波モータ10の逆回転で、SV値はMAXの方へ移動し、同図(5)に示すようにBV−SV=一定値となると、CPU64は超音波モータ10の駆動を停止し、かつ超音波モータ10をこの停止位置に保持する。このとき、ばね力が「弱」状態に設定されるが、このときのばね力の実際値は、スプリング58,59がBV−SV=一定値分だけ巻き締められているので、0ではなく、シートベルト3を軽く巻き取る程度の大きさとなっている。
なお、超音波モータ10の駆動を、BV−SV=0となる位置すなわちSV値が対応指示値となる位置で停止させることもできる。
【0076】
こうして、スプリング58,59のフリー、シートベルト3の最大限引き出し、および各BV値およびSV値のMAX設定の状態で、シートベルトリトラクタ1を組み付けた後、CPU64が超音波モータ10を駆動制御することで、ばね力、BV値およびSV値がいずれも自動的に設定され、自動初期設定のシーケンスが完了する。そして、初期設定が終了したシートベルトリトラクタ1においては、シートベルト3を最大限巻き取られた状態から引き出すと、BV値はMAXの方へ移動して、BV−SV>一定値となるので、BV値がHMより大きいときは、ばね力は「強」状態に設定される。
【0077】
この例のばね力の初期設定方法によれば、スプリング58,59のフリー、シートベルト3の最大限引き出し、および各BV値およびSV値のMAX設定という規定状態でシートベルトリトラクタ1を組み付け、CPU64が自動初期設定の一定のシーケンスを実行するだけで、ばね力、BV値およびSV値を自動的にかつ簡単に初期設定することができる。特に、スプリングがフリーであることからスパイラルスプリングの取扱いが簡単であり、またシートベルト3が最大限引き出されることからリール4の位置管理も簡単となり、更に各BV値およびSV値がMAXに設定されることから、両検出計35,63の取扱いも簡単になるので、初期設定が更に一層簡単になる。これにより、シートベルトリトラクタ1の製造工程が簡略化され、工数及び手間が削減できると共に、製造コストが低減できる。
【0078】
なお、前述の例では、シートベルトリトラクタ1の組み付け時において、BV値およびSV値をともにMAXに設定するようにしているが、リール回転ボリューム検出計35を、スプリングが弛められる方向すなわちばね力が減少する方向に対して、BV値がMINからMAXの方へ変わるように、また、モータ回転ボリューム検出計63を、スプリングが巻き締められる方向すなわちばね力が増大する方向に対して、SV値がMINからMAXの方へ変わるように、それぞれ組み付けることにより、シートベルトリトラクタ1の組み付け時において、BV値およびSV値をともにMINに設定することもできる。
【0079】
また、本発明は、シートベルトリトラクタ以外にも、例えば位置決め装置の原点出し等の、互いにスプリング手段で連結される2つの第1および第2可動部材と、これらの第1および第2可動部材の位置をそれぞれ検出する第1および第2位置検出計とを備えた装置における、第1および第2位置検出計とスプリング手段のばね力とをそれぞれ初期設定する必要があるものであれば、どのようなものにも適用することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の初期設定方法によれば、スプリングのばね力、第1および第2位置検出計の指示値の各初期設定を自動的にかつ簡単に行うことができるようになる。
【0081】
特に、スプリング、可動部材、第1および第2位置検出計の各取扱いを簡単になるようにしているので、装置の初期設定を更に一層簡単にできる。これにより、装置の製造工程を簡略化でき、工数及び手間を削減できるとともに、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の初期設定方法の実施の形態の一例が適用される乗員拘束保護システムのなかのシートベルトリトラクタを示す分解斜視図である。
【図2】 図1に示すシートベルトリトラクタの一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図3】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図4】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図5】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図6】 図1に示すシートベルトリトラクタの更に他の一部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図7】 図1に示すシートベルトリトラクタの残部を部分的に拡大して示す、部分拡大分解斜視図である。
【図8】 図1に示す例のシートベルトリトラクタの組立状態の縦断面図である。
【図9】 図8に示すシートベルトリトラクタの右側を部分的に切り欠いて示す右側面図である。
【図10】図8に示すシートベルトリトラクタの左側を部分的に切り欠いて示す左側面図である。
【図11】この例の初期設定方法において、ばね力の定義を説明する図である。
【図12】この例の初期設定方法のシーケンスを説明する図である。
【符号の説明】
1…シートベルトリトラクタ、2…フレーム、3…シートベルト、4…リール、9…リール回転検出手段、10…超音波モータ、13…スプリング手段、14…モータ回転量検出手段、35…リール回転ボリューム検出計、58…第1スパイラルスプリング、59…第2スパイラルスプリング、63…モータ回転ボリューム検出計、BV…ベルト側ボリューム値、SV…モータ側ボリューム値

Claims (4)

  1. 互いにスプリング手段で連結される2つの第1および第2可動部材と、これらの第1および第2可動部材の位置をそれぞれ検出する第1および第2位置検出計とを備えた装置における、前記第1および第2位置検出計と前記スプリング手段のばね力とをそれぞれ初期設定する方法であって、
    まず、前記スプリング手段のスプリングをフリーにするとともに、少なくとも前記第1可動部材をその可動領域の一端側位置に設定し、更に前記第1および第2位置検出計の指示値をそれぞれ最大または最小に設定した状態にして、前記スプリング手段、前記第1および第2可動部材、および前記第1および第2位置検出計を、それぞれ組み付け、
    次いで、前記第2可動部材を移動させ、前記第2位置検出計の指示値が前記第1可動部材の最大可動位置を表す、第1位置検出計の設定指示値に対応する対応指示値を通過した所定位置を示す指示値となったとき、前記第2可動部材の移動を停止して第2可動部材をその所定位置に保持し、この第2可動部材の移動により発生した前記スプリングのばね力で、前記第1可動部材を、前記第1位置検出計の指示値が前記設定指示値となるまで移動させ、
    その後、前記第2可動部材を逆方向に移動させ、第2位置検出計の指示値が前記対応指示値になる前、または前記対応指示値になったとき、前記第2可動部材の移動を停止して第2可動部材をその停止位置に保持すること特徴とする、スプリング手段で連結される2つの可動部材の位置検出計およびばね力の初期設定方法。
  2. 前記第1および第2位置検出計はともにボリューム型位置検出計であり、前記第1および第2位置検出計の指示値はそれぞれボリューム型位置検出計のボリューム値であること特徴とする請求項1記載の、スプリング手段で連結される2つの可動部材の位置検出計およびばね力の初期設定方法。
  3. 前記第2位置検出計の、前記第2所定位置を示す指示値が、前記対応指示値となるように設定されていること特徴とする請求項1または2記載の、スプリング手段で連結される2つの可動部材の位置検出計およびばね力の初期設定方法。
  4. 少なくとも、シートベルトを巻取るリールをスプリング手段によりシートベルト巻取り方向に付勢するとともに、前記スプリング手段のばね力をモータの回転駆動により制御するようになっているシートベルトリトラクタの組付け時、
    まず、前記スプリング手段のスプリングをフリーにするとともに、前記シートベルトを最大限引き出し、更に前記リールの回転を検出するリール回転ボリューム検出計および前記モータの回転を検出するモータ回転ボリューム検出計の各ボリューム値を最大に設定した状態で、前記スプリング手段、前記リール、前記モータ、前記リール回転ボリューム検出計および前記モータ回転ボリューム検出計を組み付け、
    次いで、前記モータを回転駆動して前記スプリングを巻き締めるとともに、前記モータ回転ボリューム検出計のボリューム値が前記リールのシートベルト最大限巻き取った格納位置を表す、前記リール回転ボリューム検出計の設定値に等しいボリューム値を通過した所定位置を示すボリューム値となったとき、前記モータの回転を停止して該モータをその所定位置に保持し、このモータの回転により発生した前記スプリングのばね力で、前記リールを、前記回転ボリューム検出計のボリューム値が前記設定値となるまで回転させ、
    その後、前記モータを逆方向に回転させ、前記モータ回転ボリューム検出計のボリューム値が前記設定値に等しいボリューム値になる前、または前記設定値に等しいボリューム値となったとき、前記モータ回転を停止して該モータをその停止位置に保持すること特徴とする、スプリング手段で連結される2つの可動部材の位置検出計およびばね力の初期設定方法。
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