JP5542044B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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Description
このため、車両挙動が不安定になってビークルセンサが作動すると、ロック作動ドラムが制動され、ウェビングが引き出されようとしたときに、リールとロック作動ドラムが一方向に相対回転する。これにより、ロック爪がケーシングのロック溝と噛合し、その結果、リールのウェビング引き出し方向の回転がロックされる。
また、リールと緊急ロック機構(ロック作動ドラム)はトーションバーを介して連結されており、緊急ロック機構の作動直後に、乗員の上体移動に伴う規定値以上の荷重がウェビングを通してリールに作用したときにトーションバーの捩れによって乗員に作用する衝撃荷重を緩和するようになっている。
このトルクリミッタ機構は、同軸に配置される一対の歯車をスプリングで軸方向に付勢して両者間をラチェット歯で噛合させた構造とされ、通常使用の範囲のトルクでは一対の歯車が一体に回転し、規定値以上のトルクが減速機構に作用した場合には、一対の歯車がラチェット歯部分で滑ってモータ側に規定値以上のトルクが作用するのを制限する。
また、このシートベルト装置の場合、減速機構には、モータとリールの間の動力伝達を断接操作するクラッチが設けられ、モータ動力を必要としない情況のときにクラッチを遮断するようになっている。
ところが、この場合、クラッチを含む減速機構を無くして構造の簡素化を図れる反面、モータとリールが常時結合状態となるため、緊急ロック機構の作動直後に乗員の上体移動によってウェビングが引き出されようとしたときにトーションバーが捩れにくくなる情況が考えられる。
つまり、例えば、緊急ロック機構の作動直後にモータによる巻き取り駆動が継続されている場合には、トーションバーの一端側が緊急ロック機構に固定され、その一方でトーションバーの他端側(リール)がモータによる巻き取り方向のトルクを受けることになるため、トーションバーに捩れが生じにくくなる。
請求項1に係る発明は、ウェビング(例えば、実施形態のウェビング5)を巻回したリール(例えば、実施形態のリール12)と、前記リールを回転可能に支持するケーシング(例えば、実施形態のリール14)と、車両が不安定状態になったときに、前記リールのウェビング引き出し方向の回転を機械的にロックする緊急ロック機構(例えば、実施形態の緊急ロック機構22)と、前記リールと緊急ロック機構の間に介装されて両者間に規定値以上のトルクが作用したときに弾性的に捩れ変形するトーションバー(例えば、実施形態のトーションバー15)と、前記ケーシングの外側に配置されるとともに、前記トーションバーの前記緊急ロック機構と反対側の軸方向の端部に連結され、前記リールに回転駆動力を付与するモータ(例えば、実施形態のモータ10)と、を備えたシートベルト装置であって、前記モータの回転軸(例えば、実施形態の回転軸10a)と前記トーションバーが同軸に配置され、前記モータの回転軸に、異磁極が円周方向に沿って交互に配置された第1の連結板(例えば、実施形態の第1の連結板50)が設けられるとともに、前記トーションバーのモータ側の端部に、異磁極が円周方向に沿って交互に配置された第2の連結板(例えば、実施形態の第2の連結板51)が設けられ、前記モータの回転軸と前記トーションバーとが、前記第1の連結板と第2の連結板の異磁極同士を磁着させて結合されていることを特徴とするものである。
これにより、モータの回転軸とトーションバーの間に規定値以上のトルクが作用しないウェビングの通常の巻き取り作動時には、第1の連結板と第2の連結板が異磁極同士の磁着によって連結状態に維持される。一方、緊急ロック機構の作動直後にウェビングが乗員の上体によって引っ張られ、それによってモータの回転軸とトーションバーの間に規定値以上のトルクが作用した場合には、第1の連結板と第2の連結板の異磁極同士の磁着が一旦離れ、両連結板が相対的に微少量回転した後に再度異磁極同士で磁着する。そして、こうして第1の連結板と第2の連結板の離反と磁着が繰り返されることによってトーションバーのモータ側の端部の回転が許容され、トーションバーには捩れが生じることになる。
これにより、モータの回転軸とトーションバーの間に規定値以上のトルクが作用しないウェビングの通常の巻き取り作動時には、スプリングプレートの係止爪部とスプリングケースの係合凹部との係合によってモータの回転軸とトーションバーのモータ側の端部が連結状態に維持される。一方、緊急ロック機構の作動後にウェビングが乗員の上体によって引っ張られ、それによってモータの回転軸とトーションバーの間に規定値以上のトルクが作用した場合には、スプリングプレートの湾曲脚部が撓み、それによって係止爪部と係合凹部の係合位置が回転方向にずれる。こうして、係止爪部と係合凹部の係合位置が回転方向にずれることによってトーションバーのモータ側の端部の回転が許容され、トーションバーには捩れが生じることになる。
最初に図1〜図4に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、シートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、乗員3の着座する運転席側のシートである。
このシートベルト装置1は、所謂三点式のシートベルトであり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
リトラクタ4は、ケーシング14に回転可能に支持された略円筒状のリール12にウェビング5が巻回されている。ケーシング14には一対の側壁14A,14Bが設けられ、一方の側壁14Aには、ガス圧式のプリテンショナ13が取り付けられている。このプリテンショナ13は、車両の衝突時のように車両に大きな衝撃が入力されたときに、ガスジュネレータの推力によってリール12をウェビング巻き取り方向に急激に回転させ、それによって乗員3を瞬時にシート2に拘束する。このプリテンショナ13の作動はコントローラ21によって制御される。
同図に示すように、ケーシング14の他方の側壁14Bには、円形状の孔25が設けられ、その孔25の内周にはウェビング巻き取り方向に傾斜したロック溝26が形成されている。
また、図3中、15dは、ロッキングベース27を貫通して突出したトーションバー15の端部軸であり、その端部軸15dにはロック作動ドラム23が嵌合されている。ロック作動ドラム23は、トーションバー15の端部軸15dに微小な摩擦抵抗をもって嵌合され、リール12の通常回転時にはリール12と一体に回転し、ロッキングベース27との間に相反方向の回転力が加わったとき等には、ロッキングベース27に対して設定角度の範囲で相対回動する。また、ロッキングベース27の回転中心から離間した位置には、ロック爪28aを有する揺動アーム28が揺動可能に取り付けられている。
揺動アーム28は、先端側のロック爪28aが径方向外側に揺動して突出したときに、そのロック爪28aがケーシング14側のロック溝26と噛合する。揺動アーム28は、ウェビング巻取り方向に傾斜したロック溝26と噛合することにより、リール12の引き出し方向の回転をロックするとともに、リール12の巻取り方向の回転を許容する。また、揺動アーム28にはロック作動ドラム23方向に突出するガイド突起29が設けられている。
ガイド突起29は、リール12(ロッキングベース27)がロック作動ドラム23に対してウェビング引き出し方向に相対回動したときに、カム孔31による案内作用によって揺動アーム28のロック爪28aを径方向外側に突出させる。こうして、揺動アーム28のロック爪28aが径方向外側に突出すると、そのロック爪28aがケーシング14側のロック溝26に噛合される(ロック状態とされる)。また、この状態からリール12がロック作動ドラム23に対してウェビング巻取り方向に相対回動すると、同様にカム孔31による案内作用によって揺動アーム28のロック爪28aを径方向内側に引き戻す。こうして、揺動アーム28のロック爪28aが径方向内側に所定量引き戻されると、ロック溝26に対するロック爪28aの噛合が解除される(ロック状態が解除される)。
リテーナ24は、その内部にロック作動ドラム23の軸部を回転自在に支持する図示しない軸受構造が設けられるとともに、遠心アーム33のロック爪34の外周側に臨むように内歯構造の図示しないクラッチ歯が設けられている。このリテーナ24のクラッチ歯には、遠心アーム33が遠心力を受けて径方向外側に揺動したときに、遠心アーム33のロック爪34が噛合する。ロック作動ドラム23はこれによって回転をロックされ、この状態からウェビング5が引き出されようとする(リール12がウェビング引き出し方向に回転しようとする)と、前述のように揺動アーム28のロック爪28aがケーシング14側のロック溝26と噛合される(緊急ロック機構22がロックされる)。
こうして、係止爪36がクラッチ歯32に噛合されると、ロック作動ドラム23の回転がロックする。したがって、この状態でウェビング5が引き出されようとすると、揺動アーム28のロック爪28aがケーシング14側のロック溝26と噛合される(緊急ロック機構22がロックされる)。
両連結板50,51は、いずれも略円板状に形成され、外周縁部に異磁極(S極とN極)が円周方向に沿って交互に現れるように、複数の磁極が着磁されている。そして、第1の連結板50と第2の連結板51は、外周縁部の異磁極同士を磁着させることによって相互に結合されている。
この異磁極同士の磁着による第1の連結板50と第2の連結板51の結合力は、ウェビング5の巻き取りのためのモータ10の通常作動時には結合状態を維持し、両者の間に規定値以上のトルクが作用したときに結合が解除されるように設定されている。ただし、第1の連結板50と第2の連結板51の外周縁部には、異磁極が円周方向に沿って交互に着磁されているため、入力トルクによって異磁極同士の結合が一旦解除されても、第1の連結板50と第2の連結板51が微小角度相対回転した後に次の異磁極同士で結合されようとする。このため、第1の連結板50と第2の連結板51の間に規定値以上のトルクが連続して作用する場合には、両者は磁極による磁着と離反を繰り返して間欠的に相対回転する。
このとき、トーションバー15は他端側が緊急ロック機構22でロックされた状態において一端側にウェビング引き出し方向のトルクが作用し、その結果、軸方向に亘って弾性的な捩れ変形を生じることになる。したがって、このときウェビング5を通して乗員に作用する衝撃荷重がトーションバー15の捩れによって緩和される。
この実施形態のシートベルト装置101は、モータ10の回転軸10aとトーションバー15の延長軸15bとの結合部の構造が異なるだけで、他の部分の構造は第1の実施形態のものと同様となっている。したがって、ここでは第1の実施形態と同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
この実施形態では、第1の実施形態と同様にモータ10の回転軸10aとトーションバー15が同軸に配置され、モータ10の回転軸10aとトーションバー15の延長軸15bが薄型のトルクリミッター60を介して結合されている。
トルクリミッター60は、トーションバー15の延長軸15bに結合されるスプリングプレート61と、モータ10の回転軸10に結合されるスプリングケース62とを備えている。スプリングプレート61は、延長軸15に対してスプライン結合や、圧入、溶接等によって同軸に結合され、スプリングケース62は、回転軸10aに対してボルト結合や溶接、圧入等によって結合されている。この例の場合、スプリングケース62は、回転軸10aの端面に円周方向に離間して突設された3本の締結軸63によって結合されている。
なお、図6中、68は、トーションバー15に取り付けられ、スプリングケース62の凹部内にスプリングプレート61を収容した状態で、スプリングケース62の凹部を覆うカバープレートである。
このとき、トーションバー15は他端側が緊急ロック機構22でロックされた状態で一端側にウェビング引き出し方向のトルクが作用することになるため、軸方向に亘って捩じれ変形し、ウェビング5を通して乗員に作用する衝撃荷重を緩和することになる。
5…ウェビング
10…モータ
10a…回転軸
12…リール
14…ケーシング
22…緊急ロック機構
50…第1の連結板
51…第2の連結板
61…スプリングプレート
62…スプリングケース
64…湾曲脚部
65…係止爪部
67…係合凹部
Claims (2)
- ウェビングを巻回したリールと、
前記リールを回転可能に支持するケーシングと、
車両が不安定状態になったときに、前記リールのウェビング引き出し方向の回転を機械的にロックする緊急ロック機構と、
前記リールと緊急ロック機構の間に介装されて両者間に規定値以上のトルクが作用したときに弾性的に捩れ変形するトーションバーと、
前記ケーシングの外側に配置されるとともに、前記トーションバーの前記緊急ロック機構と反対側の軸方向の端部に連結され、前記リールに回転駆動力を付与するモータと、を備えたシートベルト装置であって、
前記モータの回転軸と前記トーションバーが同軸に配置され、
前記モータの回転軸に、異磁極が円周方向に沿って交互に配置された第1の連結板が設けられるとともに、
前記トーションバーのモータ側の端部に、異磁極が円周方向に沿って交互に配置された第2の連結板が設けられ、
前記モータの回転軸と前記トーションバーとが、前記第1の連結板と第2の連結板の異磁極同士を磁着させて結合されていることを特徴とするシートベルト装置。 - ウェビングを巻回したリールと、
車両が不安定状態になったときに、前記リールのウェビング引き出し方向の回転を機械的にロックする緊急ロック機構と、
前記リールと緊急ロック機構の間に介装されて両者間に規定値以上のトルクが作用したときに弾性的に捩れ変形するトーションバーと、
前記トーションバーの前記緊急ロック機構と反対側の軸方向の端部に連結され、前記リールに回転駆動力を付与するモータと、を備えたシートベルト装置であって、
前記モータの回転軸と前記トーションバーが同軸に配置され、
前記トーションバーのモータ側の端部と前記モータの回転軸のうちの一方に、中心部から径方向外側に向かって湾曲して延出する複数の湾曲脚部を備え、この各湾曲脚部の先端側に係止爪部が設けられている平板状のスプリングプレートが固定され、
前記トーションバーのモータ側の端部と前記モータの回転軸のうちの他方に、前記スプリングプレートの外周側を囲繞し、前記スプリングプレートの係止爪部と係合される複数の係合凹部を備えたスプリングケースが固定され、
前記モータの回転軸と前記トーションバーとが、前記スプリングプレートと前記スプリングケースを介して結合されるとともに、前記モータの回転軸と前記トーションバーの間に規定値以上のトルクが作用したときに、前記スプリングプレートの湾曲脚部の撓みによって前記係止爪部と係合凹部の係合位置が回転方向にずれるように設定されていることを特徴とするシートベルト装置。
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