JP2008004492A - 酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化性環境下に長期間さらされても曝されても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、特に酸化性環境下に長期間曝されても接触抵抗が増加することの少ない燃料電池セルのガス拡散電極バイポーラプレートを提供する。
【解決手段】Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなりかつ表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔5と骨格6からなる構造を有する多孔質体の少なくとも骨格外表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜7が形成されており、さらにこれら導電性酸化物膜7の上に、Au、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜8´が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなりかつ表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔5と骨格6からなる構造を有する多孔質体の少なくとも骨格外表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜7が形成されており、さらにこれら導電性酸化物膜7の上に、Au、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜8´が形成されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板に関するものであり、この複合層被覆多孔質板は、たとえば、燃料電池の空気極および燃料極などのガス拡散電極、バイポーラプレートなどとして使用すると、この複合層被覆多孔質板からなるガス拡散電極材は酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することが少ないところから、燃料電池の性能を長期間維持することができる。
一般に、図3に示されるように、固体高分子形燃料電池は、電解質4の両面に触媒層3が形成されてなる電解質セルの両面に触媒を伴った導電性多孔質体からなる空気極および燃料極などのガス拡散電極2を積層し、これらガス拡散電極2の外側に空気通路11および燃料ガス通路12が設けられているバイポーラプレート1を積層した基本的構造を有している。この図3に示される電解質セル、ガス拡散電極2およびバイポーラプレート1を積層した基本的構造を有する燃料電池セル10を図4に示されるように直列に積み重ねて燃料電池を構成し、この燃料電池から高電圧電流を取り出して使用するようになっている。
燃料電池の作動中に燃料電池セル10に組み込まれている前記ガス拡散電極2およびバイポーラプレート1は常に酸化しやすい環境下に置かれており、そのために、導電性多孔質体からなるガス拡散電極2およびバイポーラプレート1は耐食性に優れたTi,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金で構成されている。しかし、ガス拡散電極2およびバイポーラプレート1が耐食性に優れたTi,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金で構成されていてもその耐食性には限界があり、このガス拡散電極2およびバイポーラプレート1の表面が酸化し、電気伝導性に乏しい酸化被膜が成長すると、ガス拡散電極2とバイポーラプレート1の間の接触抵抗が増加し、そのために燃料電池の特性が低下する。これを防止するためにガス拡散電極2および/またはバイポーラプレート1の表面にPt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する一層耐食性に優れた導電性酸化物膜が形成されている(特許文献1、2、3参照)。
しかし、ガス拡散電極2およびバイポーラプレート1の表面に導電性酸化膜を形成した場合、酸化膜の導電性が不十分であったり、酸化膜自体の導電性は十分であっても、これらを他の電極部材と接触させて通電した場合に得られる接触抵抗は、実用上無視できない程度に大きく、燃料電池の出力低下が避けられない。そのため、燃料電池の組込み初期から長期間の使用後に亘って安定して低接触抵抗を発揮できる電極の開発が求められていた。
この発明は、燃料電池内酸化性環境下に長期間さらされても曝されても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、特に酸化性環境下に長期間さらされても曝されても接触抵抗が増加することの少ない燃料電池セルのガス拡散電極を提供することを目的とするものである。
この発明は、燃料電池内酸化性環境下に長期間さらされても曝されても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、特に酸化性環境下に長期間さらされても曝されても接触抵抗が増加することの少ない燃料電池セルのガス拡散電極を提供することを目的とするものである。
そこで、本発明者らは、長期間使用しても燃料電池の性能が低下することの少ない燃料電池を開発すべく研究を行った。
その結果、(イ)図1に示されるように、Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなりかつ表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔5と骨格6からなる多孔質体の少なくとも骨格外表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜7が形成されている従来のガス拡散電極の上に、さらにAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜8が形成されている複合層被覆多孔質板は、酸化性環境下に長期間曝されても接触抵抗が増加することが少なく、この複合層被覆多孔質板を燃料電池のガス拡散電極、バイポーラプレートとして使用すると、燃料電池特性が長期間低下することが少ない、
(ロ)Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなりかつ表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔5と骨格6からなる多孔質体の少なくとも骨格外表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜14が形成されており、さらにこれら導電性酸化物膜の上に形成されているAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金膜からなる金属膜は、導電性酸化物膜の一部が露出するような形状の不連続膜(たとえば、図1に示されるような分離独立した島状の膜8´、さらに図示されてはいないが、格子状膜、縞状膜などの不連続膜)が好ましいが、図2に示されるように、導電性酸化物膜の上に全体に均一に形成した膜であっても良い、
(ハ)前記Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなりかつ表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなる多孔質体に換えて、Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなる不織布を使用してもよい、などの知見を得たのである。
この発明は、これら知見に基づいてなされたものであって、
(1)Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなりかつ表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなる構造を有する多孔質体の少なくとも骨格外表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜が形成されており、さらにこれら導電性酸化物膜の上に、Au、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜が形成されている酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、
(2)Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなる不織布の表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜が形成されており、さらにこれら導電性酸化物膜の上に、Au、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜が形成されている酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、
(3)前記(1)または(2)記載のAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜は、前記導電性酸化物膜全体を被覆するように形成されている酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、
(4)前記(1)または(2)記載のAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜は、前記導電性酸化物膜が一部露出する不連続金属膜である酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、
(5)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の複合層被覆多孔質板からなる燃料電池用ガス拡散電極材、
(6)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の複合層被覆多孔質板からなる燃料電池用バイポーラプレート材、
(7)前記(5)記載の燃料電池用ガス拡散電極材を有する燃料電池、
(8)前記(6)記載の燃料電池用バイポーラプレート材を有する燃料電池、
(9)前記(5)記載の燃料電池用ガス拡散電極材および(6)記載の燃料電池用バイポーラプレート材を有する燃料電池、に特長を有するものである。
(1)Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなりかつ表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなる構造を有する多孔質体の少なくとも骨格外表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜が形成されており、さらにこれら導電性酸化物膜の上に、Au、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜が形成されている酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、
(2)Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなる不織布の表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜が形成されており、さらにこれら導電性酸化物膜の上に、Au、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜が形成されている酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、
(3)前記(1)または(2)記載のAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜は、前記導電性酸化物膜全体を被覆するように形成されている酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、
(4)前記(1)または(2)記載のAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜は、前記導電性酸化物膜が一部露出する不連続金属膜である酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板、
(5)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の複合層被覆多孔質板からなる燃料電池用ガス拡散電極材、
(6)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の複合層被覆多孔質板からなる燃料電池用バイポーラプレート材、
(7)前記(5)記載の燃料電池用ガス拡散電極材を有する燃料電池、
(8)前記(6)記載の燃料電池用バイポーラプレート材を有する燃料電池、
(9)前記(5)記載の燃料電池用ガス拡散電極材および(6)記載の燃料電池用バイポーラプレート材を有する燃料電池、に特長を有するものである。
この発明の酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板およびその製造方法を説明する。
この発明の長期間接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板の基体となる多孔質体は、Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなるいかなる発泡金属、不織布など流体が通過することができる多孔質体であれば、いかなる多孔質体であっても良い。この多孔質体の表面にPt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜を形成する。この導電性酸化物膜は、試薬を浸漬、スプレー塗布、ブラシ塗布、スクリーン印刷などの方法で塗布し、得られた塗布膜を乾燥させたのち焼成することにより形成する。次に、導電性酸化物膜の上にAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜を形成する。ここで形成する金属膜は、導電性酸化物膜の表面の一部が露出する不連続な金属膜(例えば、島状に分離した金属膜、網状金属膜など)であることが好ましいが、導電性酸化物膜の表面全体を被覆する連続膜な金属膜であっても良い。導電性酸化物膜の表面の一部が露出する不連続な金属膜はスプレー塗布、ブラシ塗布、ロール転写、スポンジ転写、浸漬、フィルム転写などにより行なわれる。一方、連続膜な金属膜はイオンプレーティング法、無電解メッキ法、電解メッキ法、スパッタリング法などの方法で形成される。これら金属膜と下地層の密着性を強化するために300〜700℃の温度域で熱処理を行なっても良く、特に真空中または還元雰囲気中での加熱が好ましい。
この発明の長期間接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板の基体となる多孔質体は、Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなるいかなる発泡金属、不織布など流体が通過することができる多孔質体であれば、いかなる多孔質体であっても良い。この多孔質体の表面にPt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜を形成する。この導電性酸化物膜は、試薬を浸漬、スプレー塗布、ブラシ塗布、スクリーン印刷などの方法で塗布し、得られた塗布膜を乾燥させたのち焼成することにより形成する。次に、導電性酸化物膜の上にAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜を形成する。ここで形成する金属膜は、導電性酸化物膜の表面の一部が露出する不連続な金属膜(例えば、島状に分離した金属膜、網状金属膜など)であることが好ましいが、導電性酸化物膜の表面全体を被覆する連続膜な金属膜であっても良い。導電性酸化物膜の表面の一部が露出する不連続な金属膜はスプレー塗布、ブラシ塗布、ロール転写、スポンジ転写、浸漬、フィルム転写などにより行なわれる。一方、連続膜な金属膜はイオンプレーティング法、無電解メッキ法、電解メッキ法、スパッタリング法などの方法で形成される。これら金属膜と下地層の密着性を強化するために300〜700℃の温度域で熱処理を行なっても良く、特に真空中または還元雰囲気中での加熱が好ましい。
この発明の複合層被覆多孔質板は、長期間酸化性雰囲気に曝されても接触抵抗が増加することが少ないことから、これを燃料電池の空気極および燃料極などのガス拡散電極および/またはバイポーラプレートとして使用した場合に、燃料電池の高性能を長期間にわたって維持することができ、燃料電池などの性能の向上に大いに貢献し得るものである。
チタン製多孔質発泡金属板の製造:
原料粉末として、平均粒径:10μmの純Ti(JIS 2種)粉末を用意し、さらに水溶性樹脂結合剤としてメチルセルロース10%水溶液、可塑剤としてエチレングリコール、起泡剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてネオペンタンを用意した。
原料粉末:20質量%、水溶性樹脂結合剤:10質量%、可塑剤:1質量%、起泡剤:1質量%、発泡剤:0.6質量%、残部:イオン交換水となるように配合し、15分間混練し、発泡スラリーを作製した。得られた発泡スラリーをブレードギャップ:0.5mmでドクターブレード法によりPETフィルム上にほぼA4サイズの成形体を作製した。得られた成形体をPETフィルム上にのせたまま恒温恒湿度槽に供給し、そこで温度:35℃、湿度:90%、25分間保持の条件で発泡させた後、温度:80℃、20分間保持の条件の温風乾燥を行い、スポンジ状グリーン成形体を作製した。このスポンジ状グリーン成形体をPETフィルムから剥がし、アルミナ板上に載せ、Ar雰囲気中、温度:550℃、180分保持の条件で脱脂し、続いて真空焼結炉で真空度:5×10−3Pa、温度:1,200℃に1時間保持の条件で真空焼結することにより気孔率90%を有し、厚さ:1.0mmを有するチタン製多孔質発泡金属板を作製した。得られたチタン製多孔質発泡金属板を縦:100mm、横:100mmの寸法となるようにレーザー加工機により切断した。
原料粉末として、平均粒径:10μmの純Ti(JIS 2種)粉末を用意し、さらに水溶性樹脂結合剤としてメチルセルロース10%水溶液、可塑剤としてエチレングリコール、起泡剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてネオペンタンを用意した。
原料粉末:20質量%、水溶性樹脂結合剤:10質量%、可塑剤:1質量%、起泡剤:1質量%、発泡剤:0.6質量%、残部:イオン交換水となるように配合し、15分間混練し、発泡スラリーを作製した。得られた発泡スラリーをブレードギャップ:0.5mmでドクターブレード法によりPETフィルム上にほぼA4サイズの成形体を作製した。得られた成形体をPETフィルム上にのせたまま恒温恒湿度槽に供給し、そこで温度:35℃、湿度:90%、25分間保持の条件で発泡させた後、温度:80℃、20分間保持の条件の温風乾燥を行い、スポンジ状グリーン成形体を作製した。このスポンジ状グリーン成形体をPETフィルムから剥がし、アルミナ板上に載せ、Ar雰囲気中、温度:550℃、180分保持の条件で脱脂し、続いて真空焼結炉で真空度:5×10−3Pa、温度:1,200℃に1時間保持の条件で真空焼結することにより気孔率90%を有し、厚さ:1.0mmを有するチタン製多孔質発泡金属板を作製した。得られたチタン製多孔質発泡金属板を縦:100mm、横:100mmの寸法となるようにレーザー加工機により切断した。
316Lステンレス鋼製多孔質発泡金属板の製造:
さらに、原料粉末として平均粒径:10μmの316Lステンレス鋼粉末、水溶性樹脂結合剤としてヒドロキシメチルセルロース10%水溶液、可塑剤としてエチレングリコール、起泡剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、発泡剤としてネオペンタンを準備した。
原料粉末:20質量%、水溶性樹脂結合剤:10質量%、可塑剤:1質量%、起泡剤:1質量%、発泡剤:1質量%、残部:イオン交換水となるように配合し、15分間混練して発泡スラリーを作製した。得られた発泡スラリーをブレードギャップ:0.9mmでドクターブレード法により、PETフィルム上、ほぼA4サイズの成形体を作製した。
この成形体をPETフィルム上に載せたまま恒温恒湿度槽に移送し、そこで温度:35℃、湿度:95%、25分間保持の条件で発泡させた後、温度:80℃、20分間保持の条件で温風乾燥を行い、スポンジ状グリーン成形体を作製した。
この成形体をPETフィルムから剥がし、アルミナ板上に載せ、アルゴン雰囲気中で温度:550℃、180分保持の条件で脱脂し、続いて真空度:5×10−3Pa、温度:1,200℃に1時間保持の条件で真空焼結を行うことにより、気孔率:95%、厚さ2mmの316Lステンレス鋼製多孔質発泡金属板を作製した。
得られた316Lステンレス鋼製多孔質発泡金属板から、レーザー加工機によって縦:100mm、横:100mmの寸法となるようにレーザー加工機により切断した。
さらに、市販のチタン不織布(商品名:Bekinit 厚さ0.3mm)および市販の多孔質ニッケル板(商品名:セルメット#7)を用意した。
これらチタン製多孔質発泡金属板、316Lステンレス鋼製多孔質発泡金属板、多孔質ニッケル板(商品名:セルメット#7)およびチタン不織布(商品名:Bekinit 厚さ0.3mm)を用い、下記の条件で本発明複合層被覆多孔質板1〜13および従来導電性酸化物層被覆多孔質板1〜2を作製した。
実施例1
316Lステンレス鋼製発泡金属板を沸騰している20%塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去し、次いでチタン源としてブチルチタネート、レニウム源として塩化レニウム試薬を使用した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、450℃大気中で焼成することにより、ステンレス製発泡金属の骨格表面に導電性酸化物であるチタン/レニウム複合酸化物膜を形成した。これをアルゴンガス中でプラズマアークにより表面をクリーニングした後、パラジウムターゲットを用いてスパッタリング法により、骨格表面のチタン/レニウム複合酸化物膜に約50nmの厚みのパラジウム被膜を形成し、本発明複合層被覆多孔質板1を作製した。
316Lステンレス鋼製発泡金属板を沸騰している20%塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去し、次いでチタン源としてブチルチタネート、レニウム源として塩化レニウム試薬を使用した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、450℃大気中で焼成することにより、ステンレス製発泡金属の骨格表面に導電性酸化物であるチタン/レニウム複合酸化物膜を形成した。これをアルゴンガス中でプラズマアークにより表面をクリーニングした後、パラジウムターゲットを用いてスパッタリング法により、骨格表面のチタン/レニウム複合酸化物膜に約50nmの厚みのパラジウム被膜を形成し、本発明複合層被覆多孔質板1を作製した。
実施例2
多孔質ニッケル板(商品名:セルメット#7)を沸騰している20%塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去し、次いでタンタル源としてブチルタンタレート、イリジウム源として塩化イリジウム試薬を使用したペーストを表面からブラシで塗布した後、乾燥し、裏返して、再度この塗布と乾燥を行うという工程を3回ずつ繰り返した後、450℃大気中で焼成することにより、多孔質ニッケル板の表裏面の骨格表面に導電性酸化物であるタンタル/イリジウム複合酸化物膜を形成した。中央部の骨格は必ずしも被覆されていなかった。これをアルゴンガス中でプラズマアークにより表面をクリーニングした後、イリジウムターゲットを用いてスパッタリング法により、骨格表面のタンタル/イリジウム複合酸化物膜に約50nmの厚みのイリジウム被膜を形成し、本発明複合層被覆多孔質板2を作製した。
実施例3
チタン製多孔質発泡金属板を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去し、ついで、タンタル源としてブチルタンタレート、イリジウム源として塩化イリジウム試薬を使用した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、400℃大気中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の骨格表面に導電性酸化物であるタンタル/イリジウム複合酸化物膜を形成した。中央部の骨格まで被覆されていた。これに無電解めっき法により、約50nmの厚みの金被膜を形成した後、400℃アルゴン−10%水素中で熱処理を行なうことにより本発明複合層被覆多孔質板3を作製した。
実施例4
チタン製多孔質発泡金属板を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去し、次いで、ルテニウム源として塩化ルテニウム酸と白金源として塩化白金酸を溶解したペーストをロール転写法により試験片表面に塗布した後、乾燥し、450℃大気中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の表裏面の骨格表面に導電性酸化物である白金/ルテニウム複合酸化物膜を形成した。中央部の骨格は必ずしも被覆されていなかった。これをアルゴンガス中でプラズマアークにより表面をクリーニングした後、金ターゲットを用いてスパッタリング法により、骨格表面に約50nmの厚みの金被膜を形成し、本発明複合層被覆多孔質板4を作製した。
実施例5
チタン製多孔質発泡金属板を大気中150℃で予備酸化した後、イリジウム源として塩化イリジウム酸試薬を使用した塩酸水溶液中に浸漬した後、乾燥し、450℃大気中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の骨格表面に導電性酸化物であるチタン/イリジウム複合酸化物膜を形成した。このサンプルを高真空チャンバー中で回転させながら、アークイオンプレーティング法により、骨格表面のチタン/イリジウム複合酸化物膜に約50nmの厚みの白金被膜を形成し、本発明複合層被覆多孔質板5を作製した。
実施例6
チタン製多孔質発泡金属板を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去し、ついで、インジウム源として塩化インジウム試薬、スズ源として塩化スズ試薬を溶解した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、600℃大気中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の骨格表面に導電性酸化物であるインジウム/スズ複合酸化物膜を形成し、この上に電解めっき法により、約50nmの厚みの白金被膜を形成することにより本発明複合層被覆多孔質板6を作製した。
実施例7
チタン製多孔質発泡金属板をアセトン中での超音波洗浄により脱脂し、乾燥した後、イリジウム源として塩化イリジウム試薬、亜鉛源として塩化亜鉛試薬、コバルト源として塩化コバルト試薬を溶解した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、600℃大気中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の骨格表面に導電性酸化物であるイリジウム/亜鉛/コバルト複合酸化物膜を形成し、この上に電解めっき法により約50nmの厚みの白金被膜を形成することにより本発明複合層被覆多孔質板7を作製した。
実施例8
純チタン製不織布(商品名:Bekinit 厚さ0.3mm)を80℃の20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去した。これにパラジウム源として塩化パラジウム試薬を使用したペーストを試料表面にスプレー吹付法により塗布した後、乾燥し、裏返して、再度この塗布と乾燥を行うという工程を5回繰り返した後、500℃大気中で焼成することにより、チタン製不織布の表面に導電性酸化物である酸化パラジウム膜を形成した。これに電解めっき法により約50nmのパラジウム被膜を形成し、150℃、真空中で熱処理を行うことにより本発明複合層被覆多孔質板8を作製した。
実施例9
316Lステンレス鋼製発泡金属板を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去した。イリジウム源として塩化イリジウム試薬を使用した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、450℃大気中で焼成することにより、ステンレス製発泡金属の骨格表面に導電性酸化物であるイリジウム酸化物膜を形成した。この上に、平均粒径10nmの白金微粒子が懸濁している市販の白金コロイド溶液をロール転写法により試験片表面に塗布した後、乾燥し、裏返して、再度この塗布と乾燥を行うという工程を2回繰り返した後、400℃真空中で焼成することにより、ステンレス製発泡金属の表裏面の骨格表面のイリジウム酸化物膜に白金の不連続分散層を形成し、本発明複合層被覆多孔質板9を作製した。316Lステンレス鋼製発泡金属板の中央部の骨格は必ずしも白金の不連続分散層により被覆されなかった。
実施例10
多孔質ニッケル板(商品名:セルメット#7)を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去した。パラジウム源として塩化パラジウム試薬を使用した溶液を表面からブラシで塗布した後、乾燥し、裏返して、再度この塗布と乾燥を行うという工程を3回ずつ繰り返した後、450℃大気中で焼成することにより、多孔質ニッケル板の表裏面の骨格表面に導電性酸化物であるパラジウム酸化物膜を形成した。この上に、平均粒径20nmの金微粒子が懸濁している市販の金コロイド溶液をスプレー吹付法により塗布した後、乾燥し、裏返して、再度この塗布と乾燥を行うという工程を3回繰り返した後、300℃真空中で焼成し、その状態で炉内に大気を導入しパラジウム酸化物膜の表面に金の不連続分散層を形成し、本発明複合層被覆多孔質板10を作製した。多孔質ニッケル板の中央部の骨格は必ずしも被覆されなかった。
実施例11
チタン製多孔質発泡金属板を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去した。ルテニウム源として塩化ルテニウム酸を溶解した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、400℃大気中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の骨格表面に導電性酸化物であるルテニウム酸化物膜を形成した。この上に、平均粒径10nmの白金微粒子が懸濁している市販の白金コロイド溶液をブラシにより試験片表面に塗布した後、乾燥し、裏返し、再度、塗布、乾燥を450℃真空中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の表裏面の骨格表面のルテニウム酸化物膜に白金の不連続分散層を形成し、本発明複合層被覆多孔質板11を作製した。チタン製多孔質発泡金属板の中央部の骨格は必ずしも白金の不連続分散層により被覆されなかった。
実施例12
チタン製多孔質発泡金属板を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去した。タンタル源としてブチルタンタレート、イリジウム源として塩化イリジウム試薬を溶解した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、400℃大気中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の骨格表面に導電性酸化物であるタンタル/イリジウム複合酸化物膜を形成した。この上に、平均粒径20nmの金微粒子が懸濁している市販の金コロイド溶液をロール転写法により試験片表面に塗布した後、乾燥し、裏返して、再度この塗布と乾燥した後、300℃真空中で焼成し、タンタル/イリジウム複合酸化物膜の表面に金の不連続分散層を形成し、本発明複合層被覆多孔質板12を作製した。チタン製多孔質発泡金属板の中央部の骨格は必ずしも金の不連続分散層により被覆されなかった。
実施例13
チタン製多孔質発泡金属板を大気中250℃で予備酸化した後、白金源として塩化白金酸を溶解した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、450℃大気中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の骨格表面に導電性酸化物であるチタン/白金複合酸化物膜を形成した。
塩化ルテニウム水和物試薬をエタノール溶媒に溶解し、同時に保護剤としてポリビニルピロリドンを添加し、よく拡散したのち、水素化ホウ素ナトリウムを加えて還元することによりルテニウム微粒子を液中に懸濁形成させ、遠心分離機を用いてルテニウム微粒子を分離した。このようにして得られたルテニウム微粒子をエタノール中に分散させたコロイド溶液を得た。得られたコロイド溶液をロール転写法により試料表面に塗布した後、乾燥し、裏返して再度この塗布と乾燥を行なう工程を3回繰り返したのち、400℃、アルゴンー10%水素中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の骨格表面のチタン/白金複合酸化物膜にルテニウムの不連続分散層を形成し、本発明複合層被覆多孔質板13を作製した。
実施例14
チタン製多孔質発泡金属板を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去した。ルテニウム源として塩化ルテニウム酸、白金源として塩化白金酸試薬を溶解した塩酸水溶液中をロール転写法により試験片表面に塗布した後、乾燥し、裏返して、再度この塗布と乾燥を行うという工程を2回繰り返した後、450℃大気中で焼成することにより、発泡チタンの表裏面の骨格表面にルテニウム/白金複合酸化物膜を形成した。
塩化ロジウム水和物試薬をエタノール溶媒に溶解し、同時に保護剤としてポリビニルピロリドンを添加し、よく攪拌した後、水素化ホウ素ナトリウムを加えて還元することによりロジウム微粒子を液中に懸濁形成させ、遠心分離機を用いてロジウム微粒子を分離した。この様にして得られたロジウム微粒子をエタノール中に分散させたコロイド溶液を得た。得られた溶液をフィルム転写法により塗布した後、乾燥し、裏返して、再度この塗布と乾燥を行うという工程を2回繰り返した後、300℃真空中で焼成して発泡チタンの表裏面の骨格表面のルテニウム/白金複合酸化物膜にロジウムの不連続分散層を形成し、本発明複合層被覆多孔質板14を作製した。チタン製多孔質発泡金属板中央部の骨格は必ずしもロジウムの不連続分散層が被覆されていなかった。
実施例15
チタン製多孔質発泡金属板を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去した。イリジウム源として塩化イリジウム、チタン源としてブチルチタネート試薬を使用した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥した後、450℃大気中で焼成することにより、発泡チタンの表裏面の骨格表面にイリジウム/チタン複合酸化物膜を形成した。中央部の骨格も被覆されていた。さらに平均粒径20nmの金微粒子が懸濁している市販の金コロイド溶液中に浸漬した後、乾燥した後、450℃真空中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の表面のイリジウム/チタン複合酸化物膜に金の不連続分散層を形成し、本発明複合層被覆多孔質板15を作製した。
実施例16
純チタン製不織布(商品名:Bekinit 厚さ0.3mm)を80℃の20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去した。これにイリジウム源として塩化イリジウム試薬を使用した溶液を試料表面にスプレー吹付法により塗布した後、乾燥し、裏返して、再度この塗布と乾燥を行うという工程を5回繰り返した後、450℃大気中で焼成することにより、チタン製不織布の表面に導電性酸化物である酸化イリジウム膜を形成した。さらに平均粒径20nmの金微粒子が懸濁している市販の金コロイド溶液中をスプレー吹付法により塗布、乾燥した後、裏返して、同様に塗布、乾燥する工程を3回繰り返した後、300℃真空中で焼成することにより、チタン不織布の酸化イリジウム膜表面に金の不連続分散層を形成し、本発明複合層被覆多孔質板16を作製した。
従来例1
チタン製多孔質発泡金属板を沸騰している20% 塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去し、ついで、タンタル源としてブチルタンタレート、イリジウム源として塩化イリジウム試薬を使用した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、500℃大気中で焼成することにより、チタン製多孔質発泡金属板の骨格表面に導電性酸化物であるタンタル/イリジウム複合酸化物層を形成し、従来導電性酸化物被覆多孔質板1を作製した。
従来例2
316Lステンレス鋼製発泡金属板を沸騰している20%塩酸水溶液中で1分間煮沸し、イオン交換水で洗浄、乾燥させ表面酸化膜を除去し、次いでチタン源としてブチルチタネート、レニウム源として塩化レニウム試薬を使用した塩酸水溶液中に浸漬し、乾燥し、450℃大気中で焼成することにより、ステンレス製発泡金属の骨格表面に導電性酸化物であるチタン/レニウム複合酸化物層を形成し、従来導電性酸化物被覆多孔質板2を作製した。
実施例1〜16で得られた本発明複合層被覆多孔質板1〜16および従来例1〜2で得られた従来導電性酸化物被覆多孔質板1〜2についてそれぞれ縦:60mm、横:60mm、厚さ:30mmの寸法を有する2個の銅製ブロック(上下面平行度調整済、試料接触面は鏡面)間に、銅製ブロックと中心を合わせるように本発明複合層被覆多孔質板1〜16および従来導電性酸化物層被覆多孔質板1〜2をそれぞれ挟み、油圧プレスを用いて、銅製ブロックの上から、本発明複合層被覆多孔質板1〜16および従来導電性酸化物層被覆多孔質板1〜2にそれぞれ1MPaの負荷をかけ、銅製ブロックに取り付けた電極間の抵抗値を端子直流4端子方式の微小抵抗測定計(HIOKIミリオームハイテスタ3227)により測定し、得られた抵抗値から接触抵抗値を算出し、その結果を表1に示した。
次に、本発明複合層被覆多孔質板1〜16および従来導電性酸化物層被覆多孔質板1〜2を150mlのpH2.00の硫酸溶液中に浸漬した後、容器を密閉した状態で80℃の恒温槽中に静置し1000時間放置したのち取り出す腐食試験を実施し、腐食試験後の抵抗値を端子直流4端子方式の微小抵抗測定計(HIOKIミリオームハイテスタ3227)により測定し、得られた抵抗値から接触抵抗値を算出し、その結果を表1に示した。
表1に示される効果から、本発明複合層被覆多孔質板1〜16と従来導電性酸化物層被覆多孔質板1〜2を比較すると、本発明複合層被覆多孔質板1〜16は従来導電性酸化物層被覆多孔質板1〜2に比べて、導電性酸化物被膜と最表面電気伝導層の効果により優れた初期接触抵抗を示すこと、腐食環境中に長期間曝されても導電性酸化物被膜は安定であることから接触抵抗はほとんど変化しないこと、などがわかる。
1:バイポーラプレート、2:ガス拡散電極、3:触媒層、4:電解質、5:連続空孔、6:骨格、7:導電性酸化物膜、8:金属膜、10:燃料電池セル、11:空気通路、12:燃料ガス通路
Claims (9)
- Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなりかつ表面に開口し内部の空孔に連続している連続空孔と骨格からなる構造を有する多孔質体の少なくとも骨格外表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜が形成されており、さらにこれら導電性酸化物膜の上に、Au、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜が形成されていることを特徴とする酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板。
- Ti,Ni,Cu,Fe,Al,Ta,Nb,Zrまたはこれらの合金からなる不織布の繊維表面に、Pt,Ir,Ru,Pd,Ti,Ta,Nb,Zr,Co,Ni,Sn,In,Zn,Reのうちの少なくとも1種の元素を含有する導電性酸化物膜が形成されており、さらにこれら導電性酸化物膜の上に、Au、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜が形成されていることを特徴とする酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板。
- 請求項1または2記載のAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜は、前記導電性酸化物膜全体を被覆するように形成されていることを特徴とする酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板。
- 請求項1または2記載のAu、Pt、Pd,Ir,Ru,Rhのうちの少なくとも1種からなる貴金属またはそれらの合金からなる金属膜は、前記導電性酸化物膜が一部露出する不連続金属膜であることを特徴とする酸化性環境下に長期間さらされても接触抵抗が増加することの少ない複合層被覆多孔質板。
- 請求項1、2、3または4記載の複合層被覆多孔質板からなることを特徴とする燃料電池用ガス拡散電極材。
- 請求項1、2、3または4記載の複合層被覆多孔質板からなることを特徴とする燃料電池用バイポーラプレート材。
- 請求項5記載の燃料電池用ガス拡散電極材を有する燃料電池。
- 請求項6記載の燃料電池用バイポーラプレート材を有する燃料電池。
- 請求項5記載の燃料電池用ガス拡散電極材および請求項6記載の燃料電池用バイポーラプレート材を有する燃料電池。
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