JP3868513B2 - 海水電解用電極及びその製造方法 - Google Patents

海水電解用電極及びその製造方法 Download PDF

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  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は海水の電解に使用しうる電極に関し、更に詳しくは、塩素発生効率が高く、しかも酸洗時の卑なる電位環境化でも安定な海水電解用電極及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術と問題点】
海水を電解して陽極に塩素を発生させ、この塩素と水酸化イオンの反応により生成する次亜塩素酸イオンの殺菌性を利用して、例えば、海水構造物への生物の付着防止や工場廃水の水処理等を行うことは知られている。このような電解では、海水中のカルシウムやマグネシウムが、電解時に陰極側で生成する水酸化イオンと反応して陰極表面に水酸化物として付着し、電解槽構造や環境によっては、約半年から一年で槽内が上記水酸化物で詰ってしまうことがある。そこで定期的に析出した水酸化物を酸によって溶解除去すること(酸洗)がしばしば行なわれている。
【0003】
従来、海水の電解用陽極として、例えばチタンのような耐食性電極基体の表面に、酸化ルテニウム、酸化パラジウム、酸化イリジウム、白金等を被覆したものが提案されている(特公平3−6232号公報参照)。しかし、それらの電極は、上記酸洗を行うと塩素発生効率が低下したり、或いはもともと塩素発生効率が低い等の欠点がある。
【0004】
その他、酸化イリジウムと白金と酸化タンタルからなる塩素発生用電極が提案されている(特開平2−263989号公報参照)。しかしながら、本電極は耐久性及び耐食性は良好であるものの、塩素発生効率が低下するという欠点がある。
【0005】
【問題を解決するための手段】
上記の酸洗による陽極の劣化は、酸洗時に陽極材が陰極材と電池系を形成し、陽極材が卑な電位環境下にさらされることが主な原因であるので、本発明者らは、塩素発生効率が高く且つ卑な電位環境下でも安定な海水電解用陽極を提供することを目的に鋭意研究を行ない、本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば、(a)表面に薄い酸化チタン層を有するチタン又はチタン基合金よりなる電極基体と、(b)該酸化チタン層を介して該電極基体表面に設けられた見掛密度が8〜19g/cmの範囲内にある多孔性白金被覆層と、(c)該白金被覆層上に担持せしめられた酸化イリジウム30〜65mol%、酸化タンタル10〜40mol%及び白金25〜60mol%の複合体とからなることを特徴とする海水電解用電極が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、(i)表面に薄い水素化チタン層を形成せしめたチタン又はチタン合金よりなる電極基体上に、見掛密度が8〜19g/cmの範囲内にある多孔質白金層被覆層を設け、必要により酸素含有雰囲気中で焼成した後、(ii)白金濃度が250g/l以上のジニトロジアンミン白金の硝酸水溶液、イリジウム化合物及びタンタル化合物を低級アルコールに溶解することにより得られる溶液を、該多孔性白金被覆層に浸透させた後、酸素含有雰囲気中で加熱して酸化イリジウム−酸化タンタル−白金複合体を該多孔性白金被覆層上に析出せしめることを特徴とする上記の海水電解用電極の製造方法が提供される。
【0008】
以下、本発明の電極及びその製造法についてさらに詳細に説明する。
【0009】
本発明において使用される電極基体の材質としては、チタンまたはチタン基合金が挙げられる。チタン基合金としては、チタンを主体とする耐食性のある導電性の合金が使用され、例えば、Ti−Ta−Nb、Ti−Pd、Ti−Zr、Ti−Al等の組合わせからなる、通常電極材料として使用されているTi基合金が挙げられる。これらの電極材料は板状、有孔板状、棒状、網板状等の所望形状に加工して電極基材として用いることができる。
【0010】
上記の如き電極基体には、通常行われているように、予め前処理をするのが望ましい。そのような前処理の好適具体例としては以下に述べるものが挙げられる。先ず、前述したチタン又はチタン基合金よりなる電極基体(以下「チタン基体」ということがある)表面を常法に従い、例えばアルコール等で洗浄し及び/又はアルカリ溶液中での電解により脱脂した後、フッ化水素濃度が1〜20重量%のフッ化水素酸又はフッ化水素酸と硝酸、硫酸等の他の酸との混酸で処理することにより、チタン基体表面の酸化膜を除去するとともにチタン結晶粒界単位の粗面化を行う。該酸処理は、チタン基体の表面状態に応じて常温ないし約40℃の温度において数分間ないし十数分間行うことができる。なお、粗面化を十分行なうためにブラスト処理を併用してもよい。
【0011】
このように酸処理されたチタン基体表面を濃硫酸と接触させて、該チタン結晶粒界内部表面を突起状に細かく粗面化するとともに該チタン基体表面に水素化チタンの薄い層を形成する。使用する濃硫酸は一般に40〜80重量%、好ましくは50〜60重量%の濃度のものが適当であり、この濃硫酸には必要により、処理の安定化を図る目的で少量の硫酸ナトリウム、その他の硫酸塩等を添加してもよい。該濃硫酸との接触は通常チタン基体を濃硫酸の浴中に浸漬することにより行うことができ、その際の浴温は一般に約100〜約150℃、好ましくは約110〜約130℃の範囲内の温度とすることができ、また浸漬時間は通常約0.5〜約10分間、好ましくは約1〜約3分間で十分である。この硫酸処理により、チタン結晶粒界内部表面を突起状に細かく粗面化するとともに、チタン基体の表面にごく薄い水素化チタンの被膜を形成させることができる。硫酸処理されたチタン基体は硫酸浴から取り出し、好ましくは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で急冷してチタン基体の表面温度を約60℃以下に低下させる。この急冷には洗浄も兼ねて大量の冷水を用いるのが適当である。
【0012】
このようにしてごく薄い水素化チタンの被膜層を表面に形成せしめたチタン基体は、希フッ化水素酸又は希フッ化物水溶液(例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等の水溶液)中で浸漬処理して該水素化チタン被膜を生長させ、該被膜の均一化及び安定化を図る。ここで使用しうる希フッ化水素酸又は希フッ化物水溶液中のフッ化水素の濃度は、一般に0.05〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%の範囲内とすることができ、また、これらの溶液による浸漬処理の際の温度は、一般に10〜40℃、好ましくは20〜30℃の範囲とすることができる。該処理はチタン基体表面に、通常0.5〜10ミクロン、好ましくは1〜3ミクロンの厚さの水素化チタンの均一被膜が形成されるまで行うことができる。この水素化チタン(TiHy、ここでyは1.5〜2の数である)は水素化の程度に応じて灰褐色から黒褐色を呈するので、上記範囲の厚さの水素化チタン被膜の生成は、経験的に該基体表面の色調の変化を標準色源との明度対比によってコントロールすることができる。
【0013】
このようにしてチタン基体表面を粗面化するとともに水素化チタンの被膜を形成したチタン基体は、適時水洗等の処理を行った後、その表面を多孔性白金層で被膜する。この多孔性白金層の被膜は通常電気めっき法により行うことができる。この電気めっき法に使用しうるめっき浴の組成としては、たとえばH2PtCl6、(NH4)2PtCl6、K2PtCl6、Pt(NH3)2(NO2)等の白金化合物を、硫酸溶液(pH1〜3)又はアンモニア水溶液に、白金換算で2〜20g/l、特に5〜10g/lの濃度になるように溶解し、さらに必要に応じて浴の安定化のために硫酸ナトリウム(酸性浴の場合)、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム(アルカリ性浴の場合)等を少量添加した酸性又はアルカリ性のめっき浴が挙げられる。
【0014】
かかる組成のめっき浴を用いての白金電気めっきは、チタン基体表面に形成された水素化チタン被膜の分解をできるだけ抑制するため、所謂ストライクめっき等の高速めっき法を用い約30〜約60℃の範囲内の比較的低温で行うのが望ましい。この電気めっきにより、チタン基体の水素化チタン被膜上に物理的密着強度の優れた多孔性の白金被膜層を形成せしめることができる。その際の白金被膜層の見掛密度は8〜19g/cm3、好ましくは12〜18g/cmの範囲内にあるのが適当である。該多孔性被膜層の見掛け密度が8g/cmより小さいと白金の結合強度が低下して剥離しやすくなり、反対に19g/cmを越えると後述する熱分解で得られる白金と酸化イリジウムの安定な担持が困難となる。白金被膜層の見掛密度のコントロールは、例えばチタンの前処理条件、白金めっき浴の浴組成及び/又はめっき条件(電流密度や電流波形等)を経験的に調節することによって行うことができる。なお、より多孔性の高い白金金属被膜層を得たい場合には、多孔質の白金金属層を形成した後、更に化学的もしくは電気化学的方法によって多孔質状態を高めることができる。
【0015】
また、上記白金の電気めっきは上記基体上への白金の被膜量が通常少なくとも0.2mg/cm2以上となるまで継続する。白金の被膜量が0.2mg/cm2より少ないと、後述する焼成処理に際して水素化チタン被膜部の酸化が進み過ぎて導電性が低下する傾向がみられる。白金の被膜量の上限は特に制限されないが、必要以上に多くしてもそれに伴うだけの効果は得られず、劫って不経済となるので、通常は5mg/cm2以下の被膜量で十分である。白金の好適な被膜量は1〜3m/cm2の範囲内である。ここで、多孔性白金被膜層における白金の被膜量は、ケイ光X線分析法を用い次の如くして求めた量である。すなわち、前述した如く前処理したチタン基体上に前記の方法で種々の厚さに白金めっき量を湿式分析法及びケイ光X線分析法により定量し、両方法による分析値をグラフにプロットして標準検量線を作成しておき、次いで実際の試料をケイ光X線分析にかけてその分析値及び標準検量線から白金の被膜量を求める。また、白金被膜の密度(δ g/cm3)は、上記の如くして求めた白金の被膜量(w g/cm2)と試料の断面顕微鏡観察で求めた白金被膜層の厚さ(t cm)からδ=w/tによって求めたものである。
【0016】
かようにして多孔性の白金被膜層を設けたチタン基体は、次いで必要により、大気中で焼成することにより、該白金被膜層の下の水素化チタンの被膜の層を熱分解して、該層中の水素化チタンを実質的にほとんどチタン金属に戻し、さらに白金被膜層との境界部近傍のチタンを低酸化状態の酸化チタンに変えることができる。この焼成は一般に約300〜約600℃、好ましくは約300〜約400℃の温度で10分〜4時間程度加熱することにより行うことができる。これによりチタン基体表面にごく薄い導電性の酸化チタン層が形成される。この酸化チタン層の厚さは一般に100〜1,000オングストローム、好ましくは200〜600オングストロームの範囲内にあるのが好適であり、また、酸化チタンの組成はTiOx としてxが一般に1<x<2、特に1.9<x<2の範囲にあるのが望ましい。また別法として、白金の分散被覆を行ったチタン基体は、上記の如き焼成処理を行わずに直接次の工程に付してもよい。この場合には、次工程での熱分解処理時にチタン基体表面の水素化チタンの被膜の層は、チタン金属及び低酸化状態の酸化チタンに変換される。このようにして、多孔性白金被覆層とチタン界面との高い密着強度を維持し、更に電気伝導性のある酸化チタン(不働態化膜)が形成され化学的強度をも高めることができる。
【0017】
しかる後、このように焼成された白金被覆チタン基体の多孔性白金被覆面に、白金化合物、イリジウム化合物及びタンタル化合物を含む溶液を浸透させ、乾燥した後焼成して、該白金被覆層に酸化イリジウム−酸化タンタル−白金複合体を析出、担持せしめる。
【0018】
ここで使用する白金化合物、イリジウム化合物及びタンタル化合物は、以下に述べる条件下で分解してそれぞれ白金及び酸化イリジウム及び酸化タンタルに転化しうる化合物であり、白金化合物としては、ジニトロジアンミン白金、塩化白金酸、塩化白金等が例示され、特にジニトロジアンミン白金が好適である。また、イリジウム化合物としては、例えば、塩化イリジウム酸、塩化イリジウム、塩化イリジウムカリ等が挙げられ、特に塩化イリジウム酸が好適である。さらに、タンタル化合物としては、例えば、塩化タンタル、タンタルエトキシド等が挙げられる。
【0019】
一方、これら白金化合物、イリジウム化合物及びタンタル化合物を溶解するための溶媒としては、低級アルコールが好適であり、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はこれらの混合物等が有利に用いられる。なお、ジニトロジアンミン白金は、低級アルコールに直接溶解しないので、はじめに硝酸水溶液に溶解し、白金金属換算で250〜450g/lの濃度に調整した後、低級アルコールに溶解するのが好ましい。
【0020】
低級アルコール溶液中における白金化合物、イリジウム化合物及びタンタル化合物の合計の金属濃度は、一般に20〜200g/l、好ましくは40〜150g/lの範囲内とすることができる。該金属濃度が20g/lより低いと触媒担持効率が悪くなり、また200g/lを越えると触媒が凝集しやすくなり、触媒活性、担持強度、担持量の不均一性等の問題が生ずる。
【0021】
また、白金化合物、イリジウム化合物及びタンタル化合物の相対的使用割合は、それぞれ白金、酸化イリジウム及び酸化タンタルに換算して、白金化合物は25〜60mol%、好ましくは35〜50mol%、イリジウム化合物は30〜65mol%、好ましくは40〜55mol%、そしてタンタル化合物は10〜40mol%、好ましくは20〜30mol%とすることができる。
【0022】
多孔性白金被覆層に該溶液を含浸させた基体は、必要により約20〜約150℃の範囲内の温度で乾燥させた後、酸素含有ガス雰囲気中、例えば空気中で焼成する。焼成は、例えば電気炉、ガス炉、赤外線炉等の適当な加熱炉中で、一般に約450〜約650℃、好ましくは約500〜約600℃の範囲内の温度に加熱することによって行うことができる。加熱時間は、焼成すべき基体の大きさに応じて、大体3分〜30分間程度とすることができる。この焼成により、多孔性白金被覆層の表面(孔の内部及び/又は外面)に酸化イリジウム−酸化タンタル−白金複合体を担持させることができる。
【0023】
ここで、「酸化イリジウム−酸化タンタル−白金複合体」とは多孔性白金被覆層表面において、酸化イリジウムと酸化タンタルと白金とが相互作用を及ぼすように混合又は緊密に接触した状態にあるものをいう。
【0024】
そして、1回の担持操作で充分量の酸化イリジウム−酸化タンタル−白金複合体を担持することができない場合には、以上に述べた溶液の浸透−(乾燥)−焼成の工程を所望の回数繰り返し行うことができる。
【0025】
多孔性白金被覆層上に担持せしめられる酸化イリジウム−酸化タンタル−白金複合体における各成分の割合は、酸化イリジウム30〜65mol%、好ましくは40〜55mol%;酸化タンタル10〜40mol%、好ましくは20〜30mol%;白金25〜60mol%、好ましくは35〜50mol%であることができる。複合体中の酸化イリジウムの割合が30mol%未満では塩素発生効率が低くなると同時に酸洗処理を繰り返し実施すると触媒の消耗が大きくなりやすく、反対に65mol%を越えると酸化イリジウム−酸化タンタル−白金複合体同志の結合性が低下し、触媒の密着性が悪くなる傾向がみられる。また、酸化タンタルの割合が10mol%未満では酸洗処理を繰り返し実施すると触媒の消耗が大きくなり、一方40mol%を越えると塩素発生効率が低くなる傾向がみられる。さらに、白金の割合が25mol%未満では塩素発生効率が低くなり、一方60mol%を越えると酸洗処理を繰り返し実施することにより触媒の消耗が大きくなる傾向がみられる。
【0026】
このようにして製造される本発明の海水電解用電極は、塩素発生効率が高く且つ酸洗に対して安定で、多孔性白金被覆層とのアンカー効果により被覆物の密着性が良好で、また消耗量が少なく耐久性に優れているという特性を有する。
【0027】
次に実施例により、本発明の電極の製造法及び特性についてさらに具体的に説明する。
【0028】
【実施例】
実施例1
JIS2種相当のチタン板素材(t1.0×w10×l10mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗化水素酸水溶液中で2分間処理し、次いで、120℃の60重量%硫酸水溶液中で3分間処理した。次いでチタン基体を硫酸水溶液から取りだし、窒素雰囲気中で冷水を噴霧し急冷した。更に20℃の0.3重量%弗化水素酸水溶液中に2分間浸漬した後水洗した。
【0029】
水洗後ジニトロジアンミン白金を硫酸溶液に溶解して白金含有量5g/l、pH≒2、50℃に調整した状態の白金めっき浴中で、30mA/cmで約6分間のめっきを行って、見掛密度16g/cmで電着量が1.7mg/cmの多孔性の白金被覆層をチタン基体上に形成した。
【0030】
このようにして多孔性白金被覆層を設けたチタン基体を400℃の大気中で1時間加熱処理した。次いでイリジウム濃度100g/lに調整した塩化イリジウム酸のブタノール溶液とタンタル濃度100g/lに調整したタンタルエトキシドのブタノール溶液と白金濃度300g/lのジニトロジアンミン硝酸溶液をブタノールに溶解した白金濃度100g/lの溶液を、Ir−Ta−Ptの組成比が表−1記載のモル%となるようにそれぞれ秤量し、次いでIr−Ta−Ptの金属換算合計量が75g/lとなるようにブタノールにて希釈し、表−1記載の実施例4種と比較例4種の溶液をそれぞれ作製した。
【0031】
この溶液をマイクロピペットで2.5μl秤量し、それを多孔性白金被覆層に浸透させた後、室温で30分間乾燥し、更に550℃の大気中で10分間焼成した。この浸透−乾燥−焼成工程を3回繰返し、該多孔性白金被覆層に酸化イリジウム−酸化タンタル−白金複合体を担持した実施例電極4種と比較例電極4種を表−1のとおり作製した。
【0032】
このようにして得られた電極を5重量%塩酸と5重量%シュウ酸の混酸水溶液中で、SUS−304と短絡させて6時間酸洗した。酸洗前後の塩素発生効率を表−1に示す。なお、塩素発生効率は、3重量%塩化ナトリウム中での測定値である。また、酸洗後の被覆物の密着強度をJIS H 8504に従ったテープ試験で評価した。結果は表−1に示すとおりであった。表中の○はテープ試験による被覆物の剥離量が5%未満、△は5%以上〜15%未満、×は15%以上を表す。
【0033】
表−1の結果から、本発明の電極は、塩素発生効率が高く且つ酸洗に対して安定であることがわかる。
【0034】
【表1】
Figure 0003868513
【0035】
実施例2
前記実施例1に記載したと同様の方法で、多孔性白金被覆層に担持させる担持物の組成比(表−2参照)だけを変えた実施例電極5及び6と比較例電極5及び6を作製した。また、チタン板を熱シュウ酸水溶液で洗浄し、その上に塩化イリジウム酸(H2IrCl6・6H2O)と塩化白金酸(H2PtCl6・6H2O)とタンタルエトキシド[Ta(OC255]をブタノールに個々溶解して、表−2記載の担持物の組成比となるように配合し、IrとPtとTaの金属濃度が80g/lである溶液を塗布し、乾燥し、次いで500℃大気中で5分間熱処理した。この操作を4回繰返して比較例電極7及び8を作製した。
【0036】
さらに同様にチタン板を熱シュウ酸水溶液で洗浄し、その上に
RuCl3 1g
ブチルチタネート 3ml
ブチルアルコール 6.2ml
濃塩酸 0.4ml
からなる十分撹拌された溶液を塗布し、乾燥し、次いで500℃大気中で5分間熱処理した。この操作を4回繰返して比較例電極9を作製した。
【0037】
次に、これらの実施例電極及び比較例電極の塩素発生効率を実施例1と同じ方法にて測定し(測定結果は表−2に示す)、次いで、3重量%塩化ナトリウム溶液中で、電解電流密度75A/dmで5000時間電解後、5重量%塩酸と5重量%シュウ酸の混酸水溶液中で、SUS−304と短絡させて6時間酸洗した。酸洗後の塩素発生効率を表−2に示す。また、塩素発生効率を測定した後、電極の被覆物の消耗量を蛍光X線膜厚計にて測定した。その結果を表−2に示す。なお、表中の○は被覆物の消耗量が5%未満、△は5%以上〜15%未満、×は15%以上を表す。
【0038】
【表2】
Figure 0003868513
【0039】
表−2の結果から、塩水を使用し連続電解した後、酸洗処理を実施しても、本発明の電極は塩素発生効率が高く、且つ被覆物の消耗が少ないことがわかる。
【0040】
【発明の効果】
(a)表面に薄い酸化チタン層を有するチタン又はチタン基合金よりなる電極基体と、(b)該酸化チタン層を介して該電極基体表面に設けられた見掛密度が8〜19g/cmの範囲内にある多孔性白金被覆層と、(c)該白金被覆層上に担持せしめられた酸化イリジウム30〜65mol%、酸化タンタル10〜40mol%及び白金25〜60mol%からなる本発明の電極は、塩素発生効率が高く且つ酸洗に対して安定で、消耗量の少ない優れた特性を有し、また、電極基体表面に形成した水素化チタン被膜に基づく薄い酸化チタン層により上層の多孔性白金層と電極基体との物理的化学的強度に優れ、しかも多孔性の白金被覆層は該多孔の構成から上層の被覆物を3次元的に熱分解法により担持させ得るので、白金被覆層と上層の被覆物との間の結合強度が向上し、脱落することがなく、電極被覆体が殆ど消耗されるまで用いることができ、電極寿命の著しい延長が図れるという優れた効果が得られる。

Claims (1)

  1. (a)表面に薄い酸化チタン層を有するチタン又はチタン基合金よりなる電極基体と、(b)該酸化チタン層を介して該電極基体表面に設けられた見掛密度が8〜19g/cm3の範囲内にある多孔性白金被覆層と、(c)該白金被覆層上に担持せしめられた酸化イリジウム30〜65mol%、酸化タンタル10〜40mol%及び白金40〜60mol%の複合体とからなることを特徴とする海水電解用電極。
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